「本好きは作るもの」読解力を身に付ける~珠玉の児童書~

「本好きは作るもの」~珠玉の児童書~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

今日の一冊「マイマイとナイナイ」

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

怪談えほん (2) マイマイとナイナイ

皆川 博子 (著), 東 雅夫 (編集), 宇野 亜喜良 (イラスト)

皆川博子宇野亜喜良コンビによる、美しく、怖い物語。マイマイは、小さい小さい弟、ナイナイをみつけた。マイマイは、ナイナイをこわれた自分の右目にいれて、そっと右目をあけてみる。すると、そこには不思議な世界がひろがっていた。

 

たまには変わった絵本のご紹介をしてみようかなと思います。
図書館を歩いていると、思わぬ本にめぐり合うことがあります。

マイマイとナイナイ」...だ。

 

いっとき、発売したときに評判になった「怪談えほん」シリーズです。

www.iwasakishoten.co.jp

 

 

有名なのは宮部みゆきさんの「悪い本」などです。
一時期、ニュースにもなり評判にもなり、論争にもなったのでご存じの方も多いかもしれません。

 

このシリーズのなかで、特に異彩を放っているのがこの「マイマイとナイナイ」です。

作者は怪奇ものミステリの作家である皆川博子さんです。


怪談絵本シリーズ、私はたぶん、読み聞かせに使用しようとは思いませんし、子どもにおすすめしようとも思わないです。

子どもたちにおすすめはしないけど、この本がしっくり来るような状況や気分というのは、人生の中や人々の中にあるな、と思います。

そのような幅広さを持った本です。

 

あえて説明をするとすれば、

・ナンセンス系
・幻想系
・バッドエンド
・リアルな絵
シュールレアリズム

というような説明が出来るでしょうか。

 

この本は、翻訳して海外に売り込みたいようなクオリティの高さと、ストーリーの深さです。

 

マイマイは女の子。
手のひらに小さな空想の弟が現れます。

 

これはマイマイの空想の産物だと思われますが、そのような説明はありません。
小さすぎてお母さんには見えなかった。
と書かれているだけです。

 

あくまで、マイマイにだけ存在が確認できる、弟「ナイナイ」

マイは「my」?
ナイは「無い」?

自分が...無い?

 

想像が広がります。
さすがは怪奇系のトリックやサスペンスの皆川さんです。


マイマイは馬に蹴られて目が見えなくなってしまいます。

「みぎめにはめたくるみのから」

 

どんどん、物語はナンセンスに、詩的に、幻想的に…。
そして、怪奇になっていきます。

 

しだいに広がって、手に負えなくなっていく「よるのゆめ」
よるのゆめに捕われて、マイマイよりもナイナイの方が思わぬ行動力を見せ、主導権を握りはじめます。
マイマイが守り育ててきたナイナイ。

 

マイマイとナイナイの力関係が逆転したとき、そこには…!

 

バッドエンドとも取れる終わり方なので、不気味で後味が悪いと思われるかたもいるかもしれません。
また、子どもには悪夢の呼び水になってしまうかもしれません。

 

マグリットの世界を想起させるような、リアルな絵とシュールな展開の中に、不思議な美しい詩情があります。
エンデの「鏡の中の鏡」の世界観と似ている気がしました。

 


とじこめられたマイマイのような存在の子どもが、誰かの頭の中に、わたしの頭の中にも、どこかにひそんでいて、かたいくるみのからの中からSOSを送り続けているのではないか…。

 

傷ついてしまった目は、人が生きる上で負う傷のようなものなのだろうか。
くるみのからという目を閉じてしまったのは、そうしなければ生きられなかったからかもしれません。

 

そして、このような、「意思決定の力関係が反転してしまう」ような(実際はもっと深い意味を含んでいると思いますが便宜的にこのような表現にします)「自分が自分でなくなる」「自分が失われる」という体験は、誰しも大なり小なり体験しているのではないかと思います。

 

大人のための本かと言われると そうとも言い切れない気がします。

 

とりあえず、他の怪談シリーズよりも私はこのマイマイとナイナイには強くひかれるものがあると思いましたし、子供が自分からこの本を発見して手に取った時に、阻むようなことはしないと思いました。

 

それは、「子供につたえなければならない、たいせつなこと」がこの本には確かにあるからです。

 

じぶんのしたことが じぶんのしあわせに つながるとは かぎらない


子供達の方にはナンセンスな物語に対して柔軟な思考能力を持ち、すうっと吸い取って自分のものにしてしまう力があると思います。

 

価値の逆転や理不尽さは子供たちが 日々体験していることです。
この、「自分のしたことが 自分の幸せに繋がるとは限らない」という一文は、人生の中でどこまでも背負っていくべき一つの教訓となり得るでしょう。

 

そういう面で決して 大人のためだけの本とこれを言い切ることはできないと思います。
様々な本がひっそりと 子供達の作るの手に取られる日を待っています。

 

怖い本は割と子供の目に留まることが多いので、そんな中でこの本に触れる子どもたちがいてもかまわない、私はそう思います。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

怪談えほん (1) 悪い本

宮部 みゆき (著), 東 雅夫 (編集), 吉田 尚令 (イラスト)

宮部みゆき吉田尚令が子どもたちに贈る、この世でいちばん悪い本。この世のなかのどこかに存在している悪い本は、あなたにいちばん悪いことをおしえてくれるでしょう。そんな本いらない?でもあなたは悪い本がほしくなります。きっとほしくなります。

 

 

 

 

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