大人が読む児童書「ウィロビー・チェースのおおかみ」4 読了 おもしろい!のひとこと
大人が読む児童書。
「積ん読・解消計画★児童書編」です。
この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
両親が不在の屋敷にあらわれた家庭教師によって、ボニーといとこのシルヴィアは、次々と陰謀の渦に巻きこまれていきます。少年サイモンの助けで窮地を脱するのですが…三人の大冒険の結末は?波瀾万丈のシリーズ第1作、待望の新訳!
大人が読む児童書「ウィロビー・チェースのおおかみ」1 つかみは最高
大人が読む児童書「ウィロビー・チェースのおおかみ」2 海外ドラマもびっくり
ボニーはしきりと、シルヴィア上げ↑をするなあ…。
「シルヴィアすごいね!かしこいね!わあ!シルヴィアがいなかったらわたしできなかったな!」
(なんだかすごくうちの子っぽいです…。どちらかというと大人しいタイプのかしこいお子さんと話すときこんな感じです)
褒め殺しタイプです。
かっとなった時にも直情的ですが、褒め方も直情的です。
しかし、目に見えている部分で元気なタイプとおとなしいタイプの子どもがいるとしても、本を読むときはひとりで本の世界に向き合うことでしょう。
どんな子どもの内部にもきっと、おとなしいのも元気なのも、どちらの傾向もあるのだと思います。
そういう、隠れている傾向が本の中で冒険をして生き生きと動き輝くのを経験するのは、これはとてもいいことなんじゃないかと思います。
あれよあれよという間に悪人どもは屋敷を支配していき、子どもたちはなすすべもありません。
親たちがいなくなった途端に、この悪役スカイラープ先生が、ボニーのママの一番いいドレスを着込んでいて、ボニーが唖然となるシーンなど、「神経にさわる嫌なこと」を描くのがものすごくうまいな!と思いました。
最悪です。
◇
お話はどんどん展開しますので、やめられなくなることは間違いなしです。
これはあまり詳しく説明しない方がいいなと思います。
サイモンのことも...やめておきます。
周囲の大人たちに比べてあまりにも頼りになるので、うっかり好きになってしまいそうでした。
これから興味をもって、読んでみたいなと思われた方のため、お楽しみに取っておきたい感じです。
最終回の今回は、別の観点から紹介(感想)をしてみます!
めちゃくちゃに食事が美味しそうです。
(対照的に、まずそうな食事もめちゃくちゃまずそうです)
読んでいると、よだれが出てきました。
本当に一体誰がイギリスの食事は美味しくないって言ったのでしょう。
「おかゆ」は多分オートミールだと思いますが、赤砂糖と黄色い生クリームをひとすくいかける、これは絶対にクリーム絞りたてです。味が違うはずです。
ジュージューと焼けたベーコンの厚切りと口にやけどしそうな熱いお茶。
とろりとした金色で素晴らしく良い香りがしている桜の皮から作ったシロップ。
肉入りのパイ。
アップル・ダンプリング(「生地でりんごをまるごと包んで焼いたアップルパイのようなお菓子」と書かれています。うまそうすぎます。
りんご入りのチーズケーキ。
珍しいのが出てきました、「ビーフ・ティー」。煮詰めた牛肉のスープだそうです。ちゃんとレシピもついています。「肉を薄切りにして人参とブランデー小さじ一杯と一緒にコトコトと静かに煮込む」
読んでいるだけで最高に癒されます!ほわほわしてきます。
まあ、たまに!?と思う記述はあります。
たとえば病気の人に生卵を飲ませたり、シャンパンを飲ませたりとかです。
ブランデーならわかります。よくある描写です。
シャンパンってありなのか!?シャンパンって…。
気付け薬がわり?海外の小説を読んでいると、カクテル類が実に多彩です。
ワインもあたためて砂糖を入れていたりするので、これは一度やってみようと思っていた所でした。その系統の一種なのかもしれません。
生卵も、美女と野獣のガストンなら1日1ダースぐらいのんでも大丈夫でしょうけど、病気の人に飲ませたら吐いちゃわないのかな…。
◇
序盤でグリムショー氏が冗談で、「若い娘はみんな射撃を習わないといけない」なんて言ってシルヴィアをおびえさせていましたが、なんとボニーはばっちり撃てますし、射撃が好きなようです。
全く元気なお子さんです。
◇
総括として言えることはつまり、オオカミとは乗っ取りを企んだ悪人どものことだったのです!
この本、2008年に初版発行で新訳が発行されたようですが、訳が本当に素晴らしいです。
「ウィロビー・チースのおおかみ」のwikiページには、ジョン・ロウ・タウンゼントのこの本に対するわるくちが書かれていますけど、勧善懲悪の何が悪いのかと思います。
(そもそもタウンゼントよりもエイキンの方がずっと…ごにょごにょ…)
それは、ご都合主義な展開だって確かにありますけど、ドキドキワクワク・ハラハラしておさまる所に話がおさまる。気になっていたところは全て伏線は回収される。さまざまな冒険と経験をする。
そして何よりもそれが本であること。文字で描写されていること。
この世の中は危険でいっぱいです。
人の心のおおかみに対して、注意深く、勇気をもち、細心に満ちて協力し合いながら行動せねばなりません。
ライトノベルやゲーム的な要素もいっぱい詰まっていて、なお描写も美しいという、これ以上ないほど理想的な本です。
現代の子にも読みやすいでしょう。
◇
シリーズの名前を今後のために書き留めておきたいと思います。
バタシー城の悪者たち
ナンタケットの夜鳥
かっこうの木
盗まれた湖
ダイドーと父ちゃん
少女イス 地下の国へ
コールド・ショルダー通りのなぞ
レインボー・ロッジ
真冬のナイチンゲール
クラッタリングショーズの魔女
英語版のkindleでは、9巻まとめられていました。
手に入らなかったときの最終手段です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
子どもの本だな【広告】
おしゃべりなたまごやき | 青い月の石 | カッレくんの冒険 |
いたずらきかんしゃちゅうちゅう | あおい目のこねこ | くまのがっこうシリーズ(既12巻) |
だれも知らない小さな国 | かえりみち | こわれた腕環 |
児童文学ランキング |