今日の一冊「ウェン王子とトラ」
今日、ご紹介するのは絵本です。
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今日の一冊
昔、猟師に子どもを殺された母トラが、憎しみのあまり、夜ごと村をおそうようになった。困りはてた王に、国の占い師が予言する。王子をトラにさしだせば、国に平穏がおとずれると。王は、幼い王子ウェンを森の奥におきざりにするが・・・?2005年ドイツ児童図書賞受賞。
2007年初版発行の、「ウェン王子とトラ」です。
2000年以降に発表された作品だと、まだ割と最近だと感じてしまう自分がいます。
私が「読みきかせ定番です」と書くとき、そこには一冊のノートがあります。
うちの読みきかせボランティアには、読み聞かせが終わったときに皆がメモするノートがあって、子どもたちの反応や、ポイントなどが詳細に書かれていて、とても参考になるものです。
このノートに頻繁に名前が出てくるのが「定番です」とご紹介しているものなのです。
「ウェン王子とトラ」も定番です。
子供を失った母虎の悲しみが人間の子供によって癒され、人と獣の垣根を超えた結びつきが生まれます。
墨を使った迫力のあるダイナミックな絵と、融和と愛を尊ぶ美しい物語とが、見事な自然の表現の中で完璧にマッチしています。
物語の最後に但し書きがあり、「中国の殷王朝時代に作られた青銅器を眺めていて思いついたものです」と書かれています。
(この青銅器パリの美術館に所蔵されているそうです。作者も今はパリ在住のようです。)
歴史に思いを馳せながらも、この人を今にも丸呑みしようと牙を突き立てている虎の青銅器から、このような優しい物語を思いつく感性がすばらしいなと感じます。
この物語は虐げられる存在に対して慈しみの目を向け、虐げる存在に対して厳しい眼差しを注いでいます。
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