今日、ご紹介するのは絵本です。
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今日の一冊
いもうとのバージニアが、おおかみみたいになっちゃった! むしゃくしゃしておこりっぽく、おちこんで もうふにもぐったまんま。どうしたら、げんきになってくれるかな? 「おおかみきぶん」を引き上げてくれるのは――おいしいお菓子、すてきな絵の具箱、大好きだよっていう気持ち、そして、たっぷりの想像力。 カナダ総督文学賞児童書部門(絵/英語)受賞。第20回いたばし国際絵本翻訳大賞〈英語部門〉受賞作品。
この本は、自分の絵の好みで借りてしまいました。
つまり大人の目線です。
読み聞かせで子供にあう本を考えるとき、やはり選んでいる側として、ある程度は、子どもの気持ちに寄り添いってみようとします。
自分の中の子供の気持ちを掘り返してみたり、読むクラスの子供たちの好みそうなところを探ってみようとしたりです。
そのとき、
・ぜんぜん読む系統の違うボラさんの紹介した本で、子どもにウケたと聞いたものを試してみる。
・自分だったら手に取りそうにもない本を選ぶ。
・どの方面から見ても好みにもあいそうもないけど、ちょっと気になる本を思い切って借りる。
などの手を使いながら、手探りで探ってみます。
つまり、おとなが好む絵柄というのは、やっぱりデザイン性に富んでいて少しスタイリッシュなんです。
しかし、子どもの心にそのまま入っていくのは、らくがき風(風、であり、芸術の域である)という絵柄も忘れちゃいけない!
……これは理性や分析です。
けど、もうこの本は何も考えずに「絵が好みで中身も自分好みそう」だから借りちゃいました!
まず開いたときに、姉妹の部屋があります。
巨大な暖炉があるだけでも相当に大きな部屋なのに、ベッドの頭のところに、壁をくり抜いて作った天井ぐらいまで届く巨大な本棚!
本がたくさん並んでいます。
もう最初に1ページでそれが気に入ってしまいました。
◇
お姉ちゃんと妹のお話です。
でもお友達関係にも言えることかもしれません。
お姉ちゃんのバネッサの語り口で語られます。
妹のバージニアは、目が覚めるとおおかみみたいにむしゃくしゃしています。
ベッドの中にいるのですが、姿がぼんやりとかすれていて、耳が真っ黒で尖っています。
ご機嫌ななめ?
怒ってる?
カフカの「変身」みたいに、「朝起きてみたら僕は巨大な毒虫になっていた」みたいな感じ?
何もかも気に入りません。
おねえさんが絵を描いてたら
「だめ!がおーーう!」
友達が来たら
「いないってば!うおーん!」
おねえちゃんが1番被害を受けています。
すべてに文句をつけ、何もかも気に入らない
それをこんな風に表現しています。絵もすごい。
いえが しずむ。
ひっくりかえって。
ひかりが きえる。
こころが かげる。
お姉ちゃんのバネッサはどうしたらいいかわからないなりに、ずっとそばにいてあげています。
何とかして機嫌をよくしようと努力をしている訳でもないし、怒ったり、おどおどしたりでもなく、かといって、不必要におおらかに包み込んであげるわけでもなくて、ただなんとなく自然にそばにいる感じがとても素敵です。
どうしたらいいのか分からないバージニア、ずっとそばに寄り添っているねえさんにやっと少しだけ話してくれました。
「とんでいきたいのは、かんぺきなばしょ。
クリームたっぷりの ケーキが あって、
きれいな おはなが さいていて、
いろんな木にのぼれて、
ぜったいに かなしいきもちに ならないところ」
何かきっと、いやなことがあったのですね……。
◇
お姉ちゃんのヴァネッサは、妹のバージニアが寝ている間にダメだと言われた絵をそっと書きはじめます。
目をさましたバージニア、 まだおおかみのままですが、 バネッサが、バージニアも入れるように描いた、「はしご」を登って、その絵の中にふたり、入って行きました。
この絵も素晴らしいけど、やっぱり大事なのが文字で表現しているということです。
たぶんこのもちろん絵は素晴らしいですが文章だけだとしても、充分にその素晴らしさが伝わります。
ふしぎな キャンディーの はな、みどりの わかば、クリームたっぷりの ケーキ。さやさや ゆれる はっぱ、きゅっきゅと 音を立てるくだもの。
そのうち次第におおかみからいもうと(女の子)に戻っていく
という過程がとても素敵な絵本でした。
妹子は
「まあ、本当にこういう時ってあるよね」
で終わってしまいました。
まあ本当に機嫌が悪い時っていつもありますし、機嫌を悪くしたほう、された方、どちらの気持ちにも寄り添う本でした。
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シートン動物記 (1) おおかみ王ロボ ほか
アーネスト・トムソン・シートン (著), 清水 勝 (イラスト), 阿部 知二 (翻訳)
愛するめすオオカミのブランカを助けようとして、ついに、わなにかかったおおかみ王「ロボ」、あわれなみなしごから、たくましい森の王者に成長する『ハイイログマの一生』など、大自然にくりひろげられる、動物たちの愛と戦い、かなしみを、生き生きとえがく動物文学の傑作4編をおさめました。
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海辺で鯨の肉を見つけたおおかみどん。家に持って帰る途中、子供にわけてとたのまれますがしらんぷり。北海道石狩に伝わるアイヌの民話。
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あるひ、おじいさんが まごたちをあつめて おなはしをしました。「よいかな、ひとの こころのなかには にとうの おおかみが すんでいるのだ」「その にとうの おおかみは、 わしの こおろのなかでも つねに たたかいを くりひろげている」(本文より)二頭のおおかみとは? そして、そのおおかみの戦いの結末は?大人から子どもまで、深い感動と気づきをもたらしてくれる、インディアンが大切に伝えてきた、心を育てるための物語。
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おおかみを家にいれないよう注意しなさい。おかあさんやぎはこやぎたちにそういって森に食べものを探しにでけます。こやぎたちは、おおかみの「しわがれ声」や「黒い足」をしっかり見ぬいて、おおかみを追い払います。しかし、おおかみは知恵を働かせて「しわがれ声」を「きれいな声」に、「黒い足」を「白い足」に変えて再びこやぎたちの家にやってきます。こやぎたちは、とうとうおおかみに騙されて家の扉をあけてしまいます。
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3びきのかわいいオオカミ
ユージーン トリビザス (著), ヘレン オクセンバリー (イラスト), こだま ともこ (翻訳)
「3びきのこぶた」をすてきにひねった愉快なお話。あちこちで話題になり、幼稚園や小学校でもこどもたちが劇にして楽しんでいます。犯罪学者と人気画家のコンビニよる、極上の絵本です。
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両親が不在の屋敷にあらわれた家庭教師によって、ボニーといとこのシルヴィアは、次々と陰謀の渦に巻きこまれていきます。少年サイモンの助けで窮地を脱するのですが…三人の大冒険の結末は?波瀾万丈のシリーズ第1作、待望の新訳!
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アイヌの人々は自分で作った四つ足で頭のあるものは魂が入っていると信じ、お守りにして肌身離さず持っているものだった。不思議な木彫りのオオカミのウエペケレ(民話)を題材にした力強い画風の絵本。1976年刊の新装版。
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