今日、ご紹介するのは児童書です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
チェコの文豪カレル・チャペックの楽しい童話集。しんせつな町のお医者さんたちや、はたらき者の郵便屋さんが活躍するしゃれたおとぎ話9編を、兄ヨセフのゆかいな挿し絵が飾ります。
大人が読む児童書「長い長いお医者さんの話」 1 チャペックの傑作 -
妹子「すごい絵だな」
わたし「あー、読みますか?」
妹子「うん読む」
うちはつまんなくても、つまんないと言いづらい雰囲気かもしれないので、気を付けないとな、と思います。
正直、そうとうに古めかしい言葉ではあるので、現代の子にはどうなんだろう?とちらっと思わないこともありません。
例えば、お医者さんがお話をはじめる時はこんな感じです。
ここでちょっと、パイブにタバコをつめなおして、またお医者さんはいいました。
「それはさておきとしてだな、トランプのもちあわせがないのなら、ひとつ、たいくつしのぎに、わしがソリマンのお姫さまの話をしてあげよう。もし、前にも聞いたことのある話だったらな、そういってくれればすぐよすからね。チョーン、チョーン、チョーン、チョーン、チョーン、さあ、はじまり、はじまり。」
チョーン、チョーン、チョーン、チョーン、チョーン、さあ、はじまり、はじまり。
拍子木だーっ!
たぶん…。
拍子木です。
わたしも、聞いたことはほとんどありません。
テレビなどで、紙芝居はこうですよ、などという描写を見た程度です。
(最近、「ゲゲゲの女房」を見直していますが、紙芝居について出てきた所がありました)
しかし、子どもの頃、まったく聞いたこともないし見たこともなかったけど、ここを読んでいて違和感はなかったし、面白かったです。
突然、指で机も叩いて、話す心の準備をしてるのかな、と思いました。
今だからわかります、これ、拍子木だったんだ!
お医者さんが話すだけのことはあって、お医者さんの話です。
あるソリマンという国の、お姫さまの具合が悪くなりました。
まえぶれもなしに元気がなくなられて、コンコンとせきは出るし、だんだん、よわっておいでになったのです。顔のいろもあおざめて、しょんぼりと、ただ、ため息ばかりつかれるありさまは、はたの見る目もおいたわしいほどでありました。王さまは、どうしてすてておかれましょう。すぐさま、おかかえの魔法つかい、うらない師、巫女、八卦見、陰陽師、祈祷師、天文学者、神主さん、お医者さん、やぶ医者たちを、つぎからつぎへと、お姫さまの枕もとへおめしになりましたが、だれひとりとしてご病気をなおすことができません。
魔法つかい、うらない師、巫女、八卦見、陰陽師、祈祷師、天文学者、神主さん、お医者さん、やぶ医者。
やぶ医者…。
このお話、こんな風に単語が数多く並んでいる所がたくさんあって、これが実に面白いのです。
今読み返してみると、いくつか妙なのが混じってます。「八卦見」「陰陽師」「神主さん」
ここで笑ってしまいました。
この訳のままで、そのままであってほしいです。
すごくイメージは伝わりますので。
◇
お姫さまの病気を治そうと、もっとまともなお医者さまを探すことになりました。
しかし、使いの者たちは「ドクトルという名称のついている人がまともな医者だ」という情報に固執するあまり、何となくドクトルっぽく聞こえる名前の「ドルヴォシュテープさん」という、木こりのおじさんを連れてきてしまいます。
会話がひとつひとつ、とてもユーモラスで楽しいです。
さていくら勘違いだと言っても納得してもらえないドルヴォシュテープさん、お城があまりにも暗いので、とりあえず職業的本能に従って、周囲の木を切り倒してしまいました。
途中でドルヴォシュテープさん、お弁当を食べ始めます。
これが、「チーズをはさんだパン」なのですが、もうそれはそれはそれは…。
読んでるだけでよだれが出てきそうな美味しそうさです。
明るい光のまぶしさに起き出して来た病気のお姫さまも当然そう思いました。
お姫さまにじいさんは、チーズつきのパンをすすめます。(ジャック・ナイフで切ってます)
お姫さまは、すばやくあたりを見まわしてごらんになりました──だれも人が見ていなけりゃいいんだけど!お姫さまは、おろおろしながら、じいさんに礼を言って、一口にそのパンをガブリとおたべになりました。
光と空気と日光が、お姫さまの病気を治して、めでたしめでたしとなりました。
◇
妹子「本当にすごい絵だわ!」
わたし「この絵は、書いた人のお兄さんが書いたんだって」
しみじみと眺めています。
そんなにすごいかな?
ちゃおの漫画やジャンプの鬼滅などを見慣れた目には新鮮なのかもしれません。
「9個、話があるから、どこから読んでもいいんだよ」
と声をかけると、妹子、えらそうに顎に手なんか当てちゃってます。
妹子「どんな読み方があってもいいと思うんだよね。後ろから読んだっていいし、ぱらぱら~っとめくってもいいし」
わたし「うんうん」
ピキーン!
ひらめいたっ。
わたし「そうだよ。どんな読み方か、違ってもいい。本当にその通りだ。それだったら無理矢理読まされるっていう見方もあっていいと思うんだ」
妹子「いっぱいくわされた」
わたし「お母さんも今のはいいこと思いついたと思いました」
妹子「まあでも、無理矢理読まされても読んだら面白いってことあるからな」
わたし「つまんなかったら言ってね」
というわけで、「長い長いお医者さんの話」の「郵便屋さんの話」をいま読んでます。
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ロボットという言葉はこの戯曲で生まれて世界中に広まった。舞台は人造人間の製造販売を一手にまかなっている工場。人間の労働を肩代わりしていたロボットたちが団結して反乱を起こし、人類抹殺を開始する。機械文明の発達がはたして人間に幸福をもたらすか否かを問うたチャペック(一八九〇‐一九三八)の予言的作品。
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