大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。
この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
ヘンリーくんは小学三年生。どこにでもいる、ごくふつうの男の子です。ある日、街角でやせこけた犬を拾い、こっそりバスに乗せて家までつれて帰ろうとしましたが、とちゅうで犬があばれだして大さわぎに…。それいらい、ヘンリーくんのまわりでは、次つぎにゆかいな事件がおこります。小学校中学年から。(「BOOK」データベースより)
妹子が読書感想文に悩んでいます。
(正確には、いました。夏休みは終わってしまったので…)
妹子、LINEで会話しています。
久々登場の、とても本が好きな妹子のお友達です。
年齢層も上がり、コロナの中で遊びに来ることも少なくなってしまいましたが……。
妹子「LINEで聞いてみたら、推薦図書に読みたいのがないから、ヘンリーくんにするって言ってた」
わたし「へぇ~」
ヘンリーくん、感想を書くには難しくないかな…。
と、ちらっと思いました。
妹子「ヘンリーくんは難しい。わたしむり。書けない」
わたし「!」
妹子「読んでると、もう感想とかない。ただひたすら面白いだけで、ただ次々に先を読んでいくだけだからむり」
読んでいると、笑ったり、騒いだり…。
本当に面白い本です。
よし、頑張ってヘンリーくんを紹介してみよう!
いつか絶対にしようとは思っていたので、今がそのときです。
今しかない。
◇
さてこの本なのですが、以前も書いたと思いますが、見た目が何とも…手に取りにくいというか、アメコミ調のこの絵を、今のお子さんで手を取ってくれる人はなかなかいないかもしれません。
しかし、この絵でなければだめなんです!
読み始めてもらえばわかるはずです!
まずは、
・本を手にとってもらうこと。
・ページを開いて、最初の一行を読んでもらうこと。
ハードカバーの「字の多い」本は、それこそが、ハードルです。
これだけは、おとなが誘導しないとなかなか読んではもらえません。
やる気と集中力の話のニュースでも、見たことがあります。
やる気など、出そうとしても出るものではない!
まず、机につき、ペンとノートを出して、最初の一文字を書くこと。それが大事。
やる気とはやっている間にあとから出てくるもので最初からあるものではないっ。
というやつです。
◇
目次はこんな感じです。
1 ヘンリーとアバラー
2 百万びきのグッピー
3 ヘンリーと夜のお客さま
4 みどりのクリスマス
5 うすもも色の犬
6 ひろったものはその人のもの
一話完結の、いわば「日常系」です。
ヘンリーくんという少年と、アバラーという犬のお話です。
何気ない日常のはずなのに、どうしてこんなに面白いのか。
◇
めくったら、著者の紹介がありました。
読んでみたら興味深かったので、ここはおとなとしては外せません。
著者のクリアリーさんは、図書館員だったようです。
ながいあいだ子どもの本を扱ううち、クリアリーは、子どもの本について一つの不満を持つようになった。それは、子どもの本といえば、ふだんの子どもたちの生活からは程遠い世界を描いたものが多く、ふつうの子どもたちのことを描いた愉快な物語が少ないということだった。そこで、現実の子どもの生活をありのままに描いた物語の必要を痛感し、児童図書館員として子どもに接した豊富な経験を生かして、子どもの本の創作の道にはいった。
第一作が、一九五〇年発表の「がんばれヘンリーくん」で、たちまち子どもたちのあいだでひっぱりだこで読まれ、つづいて、「ヘンリーくんとアバラー」「ヘンリーくんと秘密クラブ」など、一連のヘンリーものを書き続けた。
◇
翻訳は松岡 享子さん。
大好きな松岡 享子さん!
「とこちゃんはどこ」は大好きでした。
有名どころでは、「なぞなぞのすきな女の子」を書かれているかたです。
「くまのパディントン」も訳されていますが、こちらも最高に面白いです。
くまのパディントンについて、おもしろさをちょこっとだけ紹介した記事です。
面白い本を面白く描く。
それもいたずらです。
子どもあるあるの困ったいたずらを、これほど無邪気に愛をこめて面白く描くことにかけては、随一といってもいいでしょう。
(言い切った!)
冒頭はこんな感じで始まります。
ヘンリーくんことヘンリー=ハギンズは、三年生です。かみの
毛 は、たわしみたいにつったっていて、前歯は、ほとんどはえかわっていました。
声に出して読んできかせるとき、「かみの毛」「たわし」「突っ立って」という言葉を強調して読むと笑ってくれます。
なにか面白いことが起きないかなあ、と思っているヘンリーくん。
「毎週水曜日の放課後、バスに乗って、町のYMCAへ、およぎにいくことにしていました。
スイミングスクールのようなもののようです。
YMCA…。
懐かしいです。
検索してみたら、EXILEのカバーが出てきました。
Village Peopleのオリジナルはこちらです。
この水曜日、ヘンリーくんは
「YMCAを出て、道でポスターをはがす人をながめ、ポケットに小銭があるか確かめて、ドラッグストアにチョコレートアイスクリームを食べに行った」のです。
ヘンリーくんは、アイスを買うと雑誌を少し立ち読みしました。(今の時代はだめです)これもすごくよくわかる話なのですが、
バス代をのけると、五セント玉がふたつしかのこらないので、買うわけにはいかなかったのです。
アイスクリームを食べてからバスに乗り、うちに帰る。
まさに日常です。
日本の子どもとも、何ら変わりありません。
お母さんに送ってもらうか、歩いて帰るか、自転車を使うかの違いです。
ところが、そうはいかなかったのです。
つづきます。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ヘンリーくんの飼い犬アバラーは、近所のネコを追いかけたり、パトカーの中から警官のおべんとうを失敬したり、行くさきざきでめんどうなさわぎをおこして、ヘンリーくんをうんざりさせます。念願のサケつりにつれていってもらったヘンリーくんは、アバラーのおかげで…ときにはよいことも!小学校中学年から。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
なぞなぞあそびの大好きな女の子とはらぺこのオオカミが、森でばったり出会いました。うまそうな女の子だぞと舌なめずりしたとたん、女の子になぞなぞを出されて、オオカミは大弱り。さあ、どんななぞなぞかな?なぞなぞがいっぱい出てくる楽しい幼年童話。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
一度読み始めたらやめられない、おかしなおかしなクマのパディントンのお話の第1冊目。ブラウン夫妻がパディントン駅で見つけた子ぐまが、夫妻にひきとられ縦横無尽に活躍します。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492
◆プロジェクト・グーテンベルクについて
☞Wikiの説明ページ
プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリカ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館。
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