今日の一冊「チロヌップのきつね」
今日、ご紹介するのは絵本です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
北海の孤島で平和に暮らすきつね親子にも戦争の余波が…詩情豊かなロングセラー絵本。
チロヌップの狐の話は、ごんぎつねと同じかそれ以上に号泣してしまうお話です。
全体的には、何となく筋立てのないまま、散漫といえば散漫にお話は進みます。
ちいさな子ぎつねを捕まえた老夫妻は、ちびこと名前をつけ、赤いリボンをつけてやってかわいがります。
しかし、島にも兵隊がやってきました。まずお兄ちゃんぎつねが撃たれ、それからちびこは罠にかかります…。
最後まで読んでみて、一体おじいさんとおばあさんは何だったんだろう?というような、一見つながらないし何の影響も及ぼさないように見えるストーリーでもあります。
このような、淡々とした事実だけを述べていくようなつくりの物語が、不思議な感動をもたらすことがあります。
都合よく上手に話にからんできたり、伏線回収したりしないからこそ、真実味が増すとでもいいますか…。
物語は綺麗に静かにひそやかに終焉を迎えます。
小さな赤い花は、そこにちびこが確かにいたこと、人とのかかわりがあったことを示唆しています。
大きな歴史の流れは変えられない。
ただ、北方の島々がかつてはアイヌの人々のすみかだったこと。
それが普通だったこと。人々のいとなみがあり、動物たちのいとなみもまた、あったこと。
そういう歴史を知らせる意味でもこのチロヌップの狐はとても 何度でも 読んでもらいたいお話だと思います。
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