大人が読む児童書「長くつ下のピッピ」 2 時代を70年ほど先取りした最先端ファッション
今日、ご紹介するのは児童書です。
大人が読む児童書「長くつ下のピッピ」1 マッドパワー超人 -
まあ、とにかくピッピがあまりにもトンデモという言葉では表現しきれないほどのはちゃめちゃなので、忘れられがちなのですが...。
このピッピの面白さ(とお金)の恩恵を、いちばん受けているのが、ピッピの「ごたごた荘」のおとなりに住んでいるトミーとアンニカです。
いつも影が薄く、ピッピの影にかくれがちなので、大文字で主張してみました。
だって、読んでくれた子たちは誰に聞いても
「あの子」とか「あの子たち」とかばかり...、ひどいことに妹子なんて、存在すら忘れています!
「いたっけ?」というレベルです。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「あしながおじさん」にヒントを得て,作者リンドグレーンの小さい娘が,「ねえ,長くつ下のピッピって女の子のお話を作って」と母に頼んだ.そこで生れたのがこの世界一つよい少女の物語だった.自由ほんぽうに生きるピッピに,子どもは自分の夢の理想像を発見し,大人は愛さずにはいられない野育ちの永遠な少女を見出す.
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
このトミーとアンニカはとっても良い子です。
・気立てがよくて、しつけもよい
・つめをかんだりしない。
・お母さんに言われたことはいつでもする。
・思い通りにならなくてもさわいだりしない。
そんな子、いるか~?というほどの理想的な子どもたちなのですが、大人が望むよい子像、といってもいいほどのよいこです。
これはやはり、思うにこの二人は読者の子どもたちの分身なのですよね。
そして、このトミーとアンニカのおかげで、読んでいる子たちは、客観的に本を読むのではなくて、まるで自分がピッピと友達になり、いままさに現在、一緒に遊んでいるように夢中になれるんだと思います。
◇
そのふたりが、お友達が欲しいな、楽しいことが起きないかな、と思っている時に隣の家(ごたごた荘)の扉が開いて、ピッピが出てきます。
正直、ピッピの文字であらわされている描写は、今までチェックしたどのピッピの絵よりもはるかにトンデモです。
まず、服はお手製で、青で作るつもりだったけど足りないので、「小さな赤いきれが、どこにもここにも、いっぱいぬいつけ」られています。炭治郎の服の柄が赤と青になった感じですかね。
桜井誠さんの絵が一番近いかと思いますが、それでも赤いきれのあるのは控え目に2か所ぐらいです。
名前のもととなっていると思われる、ピッピがはいている長くつ下。
片方が茶色で片方が黒のアシンメトリーです。
数年前、横浜の赤レンガ倉庫に行ったとき(そんな所に行く機会はめったにないので一度行ったきり二度と行ってないのですが)子供用の長くつ下で、左右アシンメトリーになっているものが、ものすごいおしゃれの最先端、みたいなディスプレイで売られていました。
なのでこのピッピのくつ下も、時代を70年ぐらいさきどりしている最先端です。
青と赤の服、アシンメトリーの長くつ下、足の倍ぐらいある黒い靴を履いた女の子は、サルを肩に乗せて、赤毛のおさげをぴんと突き出し、「かた足では敷石の上を、かた足では道のわきのみぞをふんで」歩いています。
ああ~、この歩き方!
子どもたちが大好きなやつだ!
さらに、ピッピは一度視界から消えた後にまた戻ってくるのですが、うしろむきに歩いています!!
これは若干、難易度が高いぞ?
「かた足では敷石の上を、かた足では道のわきのみぞをふんで」だけなら、普通の子もやりたいし出来ますが、それを後ろ向きでやるとなると、絶対おとなには「いけません!」「危ないよ!」と言われるやつです。
...。
登場するだけでこれなので、先が思いやられますが、とにかくピッピはすべてにおいて、規格外のトンデモちゃんなのです。
三人のご挨拶、自己紹介は、ピッピのうそからはじまります。
まさにピッピは、よく言われる「口から先に出たような子」で、しかもうそのスケールが多彩で国際色ゆたかです。エジプト、インドシナ、ベルギー領コンゴ、ブラジルなど…。
船員(水夫)さんは、うそか本当かわからないような大げさな話をたくさんして楽しませる、というイメージがあったみたいなので、ピッピは海で育ちましたし、おかしくはないな、と思いました。
トミーとアンニカ、ピッピの家に遊びに行きますが...。
おうちは、「居間と台所と寝室」
パーフェクトです。
家にほかに何を望むことがあるでしょうか...。
ちなみに、ピッピの家、ちょっと「今週はおそうじを忘れてしまったみたい」らしいです。
何をかいわんや、です。
さて、ピッピが焼いてもてなしてくれるパンケーキ。
これはもう、本当に私もトップクラスで好きですし、子どもたちもみんな大好きなシーンです。
ピッピは、どなりました。
「さあ、パンケーキを、つくりましょう
さあ、パンケーキを、ならべましょう
さあ、パンケーキを、焼きましょう!」どなりながら、ピッピは、卵を三つ、とりだして、上にほうりあげました。ひとつの卵はピッピの頭におっこちて、つぶれたので、卵のきみがたれてきて、ピッピの目にはいりました。でも、ほかのふたつのほうは、ピッピは、柄のついたなべで、うまいこと、うけとめました。ふたつは、なべの中でつぶれました。
何というか、今すぐわたしも焼いてみたい気がしてなりません。
ピッピは、くだけた卵のからを、なべのなかから、指でじょうずにつまみだしました。それから、かべにかかっていたおふろ用のブラシを手にもって、どろどろのねり粉をたたきはじめたので、ねり粉はとびちって、かべにくっつきました。
もちろん、おもいっきり天井近くまでとびあがらせて、ひっくり返すのです。
このパンケーキ、ピッピは台所からなげとばして、テーブルの上の皿にうまく着地させます。
これは1話のお話で、次の2話目では、またしても物凄い規格外の作り方でクッキーを焼きますが、もう、おとなになって読んでいても、本当にやってみたいです。
身だしなみ、過度なおしゃべり、安全確認、虚言癖、衛生観念...。
そんなことばのすべてが、ばかばかしくなって窓からぽいっと捨てちゃいたくなるような、ものすごさです。
つづく。
長くつ下のピッピ
アストリッド・リンドグレーン (著), イングリッド・ヴァン・ニイマン (イラスト), 菱木 晃子 (翻訳)
1941年の冬、病気の娘を元気づけるためにリンドグレーンが語り聞かせたのが、世界一強くて自由な赤毛の女の子の物語。世界中で愛されてきた「ピッピ」を、作者自身がお気に入りだったイングリッド・ヴァン・ニイマンによる挿絵と新訳でお届けします。ハチャメチャだけど心やさしくまっすぐなピッピの活躍から目がはなせません。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
世界一強くてお金もちでおもしろい女の子、ピッピがひっこしてきてから、おとなりのトミーとアンニカは毎日がわくわくの連続です!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
こんにちは、長くつ下のピッピ
アストリッド・リンドグレーン (著), イングリッド・ニイマン (イラスト), いしいとしこ (翻訳)
お待たせしました! 世界一強い女の子『長くつ下のピッピ』の絵本が、ついに日本にやってきます! 「ピッピ」が生まれたスウェーデンで、60年近く経た今もなお、愛され続けているオリジナル版絵本。日本版には、かわいい『特別ふろくのきせかえ紙人形』がついています!
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牛も馬もどろぼうもおまわりさんも、ピッピがヒョイとかついでポイ!町はずれのボロ家にひっこしてきたのは、親がいない、学校も行かない女の子。大人たちはしんぱいするけど、大きなおせわ。だってその子、とびきり大金もちで力もちなんだもん! 世界一つよい女の子の物語
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すばしっこくて、世界一の力もち! 赤と青のへんてこな服にがぼがぼの靴、色違いの長くつしたをはいた不思議な女の子ピッピが大活躍。
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