~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

大人が読む児童書「やかまし村の春・夏・秋・冬」2 読了 お腹を抱えて笑ってしまう「はじめてじゃないおつかい」

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

やかまし村の春・夏・秋・冬
アストリッド リンドグレーン (著),
イロン・ヴィークランド (イラスト), 大塚 勇三 (翻訳)

かまし村はスエーデンの小さな農村。クリスマスにはショウガ入りクッキーを焼き、復活祭には卵パーティーで大もりあがり!夏休みには宝物をさがしに湖の島へ。子どもたちの四季おりおりの遊びやくらしを、いきいきと描きます。小学3・4年以上。(「BOOK」データベースより)

 

 

今日の一冊「やかまし村の子どもたち」

大人が読む児童書「やかまし村の春・夏・秋・冬」1 クリスマスからはじまる物語。のどかな日常系

 

以前ご紹介したとき、このようなちょっと分厚い、文字ばかりの本を子どもになじんでもらうため、「読み聞かせで面白い章だけを読んできかせる」と書きました。

 

この本は、冒頭からクリスマスでクッキーを焼くというすてきな所からはじまっているので、そういうことはしなくても読んでくれるのですが、やっぱりこの本の中にも、特別に面白く、お腹を抱えて笑ってしまう章があります。

 

「春・夏・秋・冬」では、「9章 アンナとわたしのお買い物」がそれにあたります。

 

11章の「オッレの妹が生まれました」も面白いのですが、やはりこの7章に敵う章はありません。

どんな感じなのか?
この捧腹絶倒な巻を、ちょっとご紹介してみたいと思います。

 

 

アンナとわたし(リーサ)は、ふたりとも、お母さんにお買い物をいいつかって、連れだってお買い物に行きます。

 

お買い物をするお店は、やかまし村から離れた所にある「大村」という、学校もある少し大きな村にあるのですが、かなりの距離があります。

なので、お買い物をする品も、たくさん種類があって大変なのです。

 

お母さんは、メモを渡そうとしましたが、えんぴつがすぐには見つかりません。
アンナもリーサも、「覚えていくから大丈夫」と言って出かけました。

 

リーサのお買い物:イースト200g、ショウガを1袋、針を1袋、イワシのかんづめ1かん、甘いアーモンドを100g、酢を1びん、一番上等なあぶりソーセージ1つ

アンナのお買い物:石けん、黒パン1つつみ、コーヒー500g、角砂糖1kg、ゴムバンド2m、一番上等なあぶりソーセージ1つ

 

針を一袋。
そんなに、なくすものなんだろうか…?

二人とも、「いちばん上等なあぶりソーセージ」が入っているところがみそです。

 

アンナのおじいさんに追加のお買い物を頼まれました。

 

氷砂糖すこし、しょうのうの塗り薬

 

さらに、オッレのお母さんからも追加でおつかいを頼まれます。

 

四十番の白糸を1まき、ヴァニラ入り砂糖を1かん、いちばん上等なあぶりソーセージ

 

お母さんたちはみんな、あぶりソーセージを買いたがりますね。
みんなだいすき、あぶりソーセージというのは、スモークソーセージなんでしょうか?
美味しそうです…。

 

このお買い物、けっこう重たくなると思うのですが……。

アンナの方が重そうです。
石けんに、コーヒー500g、それに砂糖が1キロ!

 

ヴァニラ入り砂糖というのもちょっと気になりました。
味がすでについている砂糖ということですね。

 

 

女子二人でお買い物、歌を歌いながら、楽しい気分で上機嫌です。
この歌う歌が傑作です。

 

あぶりソーセージについて歌うのですが、ゆったりした節回しで歌ったり、明るい元気で調子で歌ったり、それを組み合わせたりして歌います。

 

しかし、けっきょく、わたしたちがきめたのは、とってもかなしくて、それでも、はじめからおわりまですばらしくうつくしい節まわしでした。その節は、きいてると泣きたくなるくらい、かなしくて、すてきでした。
「ほんとに、あぶりソーセージって、かなしいものねえ!」
アンナがそういってるとき、やっとわたしたちは、お店につきました。

 

既にここだけで十分に笑えるのですが、ここからが大変です。
これだけ頼まれて、忘れものをしないはずがありません。

 

最初の忘れ物:イース

 

この忘れ物をしたかもしれない品を探すのに、アンナとリーサは、
「かごにはいってる包みを、ぜんぶ手でおしてみはじめました。」

 

この探し方、めっちゃわかる~!と思いました。
ビニール袋の上からでも、「おしてみはじめる」ことありますから。

 

どうやら、ひとつひとつすべてきちんと包みとしてくるんであるようです。

 

いやいやながら二人は戻って、(そのたびにお店のおじさんは「すっぱいドロップ」をくれます)また帰ろうとします。
いつも、「分かれ道のところ」で二人は気が付きます。

 

二回目に気が付いた忘れ物:おじいさんのしょうのうのぬり薬

 

また二人はいやいやながら戻って、おじさんに笑われながらすっぱいドロップをもらい、忘れ物を購入します。

 

三回目。

 

さて、もういっぺん、あの分かれ道にきたとき、アンナは、すごくこわそうな顔をしました。その顔つきといったら、ほんとにかわいそうなくらいでした。

 

三度めに気付いた忘れ物:お砂糖

 

二人とも、分かれ道のところが鬼門だということに気が付きました。
なので、走って通ることにします。
名案だとわたしも思いました。

 

二人は走って分かれ道を通り抜け、いい気分になりました。
そして、きた時と同じように、歌い始めます。

 

『いちばん、いちばん、上等な、あぶりソーセージ、ひとつだよ……』

 

二人は立ち止まりました。
あぶりソーセージを買い忘れてしまったのです!

 

いや、さすがにもうこれは帰ってもいいだろう!
というところですが、あぶりソーセージは、アンナのお母さんと、リーサのお母さんと、オッレのおかあさん、全員が頼んだ品なのです!

 

これはさすがに、買いに戻らないわけにはいかない……。

 

わたしたちは、道のわきにすわりこんだまま、ながいこと、口もききませんでした。やがて、アンナがいいました。
「あぶりソーセージなんてもの、だれもつくろうとおもわなきゃいいんだわ。……」

 

このあたりで、もう妹子もわたしも涙が出るほど笑っているのですが、この雑な紹介のままだと、面白さが10分の1ぐらいになってるのが実に残念です。

 

 

何気ない日常って、こんなにも楽しくて面白いものだっただろうか?
ひとつひとつの買い物の品や、行き来する道のりが、こんなにも輝いていただろうか?
この本を読んでいると、そんな風に感じられます。

 

ずいぶん昔の(昭和期の)「むかし話集」なのですが、「ママお話きかせて―冬の巻」という本のあとがきに、こんな風に書かれていました。

ところで、テレビや映画からも、情操をやしない知識を得ることはできます。しかし、自分の意思をつたえるのには、ことばをもってします。テレビや映画は視覚が主となっていますから、ことばでする表現のほうは多分に省略されます。それにくらべて、おはなしは、すべてをことばでする劇です。しぜんと多くことばをおぼえ、そして、また、意志を表現する方法をまなびとることができるのです。外国語をならうことも必要ですが、そのまえに、まず、祖国のことばが、正しく美しくつかえるよう、心がけることがたいせつだと思います。


西山敏夫さんの書かれたあとがきでした。

 

 

いまはYouTubeといい、Twitterでもインスタでも、動画があふれている時代ですから、何となく、「文章だけでものごとを描写する」ということが、薄れかけているように思います。

本もまた、会話ばかりが多く、挿し絵が多くなっています。

 

でも、絵がなければ子どもは読まない、と思い込んではいないかな?と思います。
また、詩的で繊細な文章だけに頼りすぎてはいないだろうか。

 

もっと骨太に。
もっと、単純に。
もっとわかりやすく、もっと明るく楽しく。

 

正確に美しく、楽しくすばらしく、「文章だけで」その状況を、空気を、景色を、描写すること。
それを読むことこそ、読書の最大の楽しみであり、よいと言われる効果なのではないだろうか?

 

そのことばがたくさんわたしたちの中、子どもたちのなかに流れ込んできて、よく言われる「想像力」だけではない、表現する力を培ってくれるのではないか。

 

そんな風に感じることができる、すばらしい訳にめぐまれたリンドグレーンの名作です。

 

 

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やかまし村の子どもたち
アストリッド・リンドグレーン (著),
イロン・ヴィークランド (イラスト), 大塚 勇三 (翻訳)

かまし村には、家が3軒きり、子どもは男の子と女の子が3人ずつ、ぜんぶで6人しかいません。でも、たいくつすることなんてありません。ひみつの手紙をやりとりしたり、かくれ小屋をつくったり、毎日楽しいことがいっぱい!小学3・4年以上。(「BOOK」データベースより)

 

 

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やかまし村はいつもにぎやか
アストリッド リンドグレーン (著),
イロン・ヴィークランド (イラスト), 大塚 勇三 (翻訳)

かまし村の子どもたちは、楽しいことを見つける天才!リーサが子ヒツジを学校へ連れていったり、みんなでオッレの歯をぬく作戦をたてたり、宝箱をめぐって男の子と女の子がかけひきをしたり…陽気な話がつづきます。小学3・4年以上。(「BOOK」データベースより)

 

 

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ロッタちゃんとクリスマスツリー
アストリッド=リンドグレーン (著), イロン=ヴィークランド (イラスト), やまむろ しずか (翻訳)

明日は、楽しいクリスマスイブ。けれども、ロッタちゃんの家では、まだクリスマスツリーにするモミの木が手にはいりません。嘆き悲しんでばかりいるお兄さんたちを残してロッタちゃんは雪の町へ飛び出していきます。行動的な女の子を生き生きと描いたリンドグレーンの絵本。絵は彼女とのコンビが多いヴィークランドです。

 

 

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長くつ下のピッピ
アストリッド・リンドグレーン (著), 桜井 誠 (イラスト), 大塚 勇三 (翻訳)

あしながおじさん」にヒントを得て,作者リンドグレーンの小さい娘が,「ねえ,長くつ下のピッピって女の子のお話を作って」と母に頼んだ.そこで生れたのがこの世界一つよい少女の物語だった.自由ほんぽうに生きるピッピに,子どもは自分の夢の理想像を発見し,大人は愛さずにはいられない野育ちの永遠な少女を見出す.

 

 

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ママお話きかせて―冬の巻
(小学館のお話シリーズ)

初版と新版は、表紙デザインが異なります。日本昔話、イソップ童話などが90話収録。毎日ちゃんと読み聞かせても三か月分あり、読み応え十分。挿絵はダイナミックかつ個性的で、家族の話題作りにもいかがでしょうか。

 

 

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ママお話きかせて―春の巻
(小学館のお話シリーズ)

みつばちマーヤ、桃太郎さん、一寸法師など花の季節にふさわしいお話を収録。

 

 

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ママお話きかせて―夏の巻
(小学館のお話シリーズ)

はだかの王さま、七夕さま、人魚姫など夏の夕べに心なごむお話がせいぞろい。

 

 

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ママお話きかせて 秋の巻
(小学館のお話シリーズ)

虫の音楽会、かぐや姫、月とうさぎなど静かな秋の夜長に最適なお話を紹介。

 

 

 

 

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