大人が読む児童書「長くつ下のピッピ」 4 読了 正しい「大人が読む児童書」の効果
今日、ご紹介するのは児童書です。
いやいや、やはり特筆すべきは「竹さんの靴」です。
(まだ言ってる)
大人が読む児童書「長くつ下のピッピ」1 マッドパワー超人 -
大人が読む児童書「長くつ下のピッピ」2 時代を70年ほど先どりした最先端ファッション -
大人が読む児童書「長くつ下のピッピ」3 何から書けばいいやら… -
久しぶりに読んでさんざん笑わせてもらったら、これをおすすめして大好きだと言ってくれた子どもたち、読んでくれてありがとう、ピッピを好きになってくれてありがとう、という気持ちになりました。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「あしながおじさん」にヒントを得て,作者リンドグレーンの小さい娘が,「ねえ,長くつ下のピッピって女の子のお話を作って」と母に頼んだ.そこで生れたのがこの世界一つよい少女の物語だった.自由ほんぽうに生きるピッピに,子どもは自分の夢の理想像を発見し,大人は愛さずにはいられない野育ちの永遠な少女を見出す.
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ピッピのお話は、主に3パターンで
・一般の生活の中に入り込んで、トンデモな言動で大人を煙に巻いて大騒ぎを起こす。
・こんな遊びがしたいなあ!という遊びを、ピッピの発想力(と財力)いっそう面白くする。
・いじめっ子や、ピンチに対して、マッドパワーを発揮して解決する。
となっています。
発想力(と財力)。
やはり、さまざまな楽しいことを実現するのに、財力を見逃すわけにはいかないです。
ここでは、発想力こそ、注目して大絶賛すべきなのでしょうけど…。
発想力、財力、怪力、どれが欠けても、ピッピではないのですけど、財力…これはやはり、魅力です…。
子どもたちがリカちゃんやほっぺちゃんなどで、面白い空想物語を作って遊んでいるのを見たことがありますが、設定がすごかったです。
「親がすごいセレブで、お父さんから毎月1億円のおこづかいが振り込まれる」
「子どもの頃からモデルで、服を毎月1000個(着じゃないです)買う」
とか、そんな感じでした。
思い返してみれば、ちょうど三年生、9歳~10歳の年ごろでした。
ずいぶん欲にまみれてるな~と思いつつ、思い出してみれば、そういえば、昨日お母さんに買いたい買いたいとねだって、「ダメ!」と怒られてたな~。
なんて、その空想の中に、子供なりのストレス発散方法を見ていました。
その空想話の中では、それだけのセレブでお金持ちにも関わらず、キャッツアイのように変身して宝石泥棒をすることになっています。
その泥棒現場で、悪人に遭遇して、ボコボコにやっつけます。(自分たちも泥棒なのに…)
そうなるともう、リカちゃんが空中を乱れとぶ大騒動に発展して、お人形の一つは、腕がちぎれてしまいました。
リカちゃんはかなり丈夫に作ってあるので、これは相当なものです。
子どもらは全く気にせず、「この子はそういう(腕がない)子」という設定で、その後もめちゃくちゃ活躍してました。(つ、つよい…)
もうむちゃくちゃだな、と思いながら見ていて、何となくピッピのことを思い出しました。
何でもあり!思いついたことはぜんぶやっちゃう。
どっさりあるからお金の心配もないし、一人で暮らせる。
筋肉がすべてを解決する。馬だっていじめっ子だって、おまわりさんだってもちあげちゃう!
という世界です。
◇
こんな素敵な物語にも、やはり終わりが来るもので、3冊目でおしまいになってます。
二冊目、三冊目は、どちらかというと「黒人の王さまになっているお父さん」とか、そういう話が随所に入ってきてしまっていて、大人目線としては若干微妙になります。
1冊目の完成度の高さが実にすごいです。
三冊目で、ピッピ、トミー、アンニカは「永遠に子供でいる薬」を飲みますが、
最後の最後に、トミーとアンニカが見ている中、ごたごた荘のランプは吹き消され、ピッピの姿は見えなくなります。
何ともいえない切ない終わり方です。
子ども時代の終わりを告げているのか。
どんなに楽しいお話も、いずれ終わりが来るという刹那さなのか。
また、このお話は寝物語で語られたもののようなので、「ランプが吹き消される」というのは、さあこれでお話はおしまい、ねんねですよ、という意味を示しているのか。
色んな風に考えられますけど...。
ピッピがとても明るく破天荒でいるだけに、お別れしないといけない、その切なさはひとしおです。
同じトンデモな感じでも、ロッタちゃんはおこちゃまのわがままなので、家族のあったかさに包まれて終わります。
ピッピはすごさが突出しているし、何よりひとりで自立しています。
自分ひとりで何でも好きなことやれたらなあ!
そんな夢の権化であるような気がします。
しかし、さみしい話はいいんです。
妹子が次も次もとせがむので、二巻三巻と買い与えたのですが、もともと家には一巻目しかありませんでした。
(妹子は特に二巻目が大好きです)
私の中で、ピッピはこの「一巻目」にすべて凝縮されています。
お別れの時は来ないし、さよならもしない、大人にもならない。
「アリャサノ、コリャサ!」
おばけごっこをして、トミーがすごい叫び声を上げる。
その楽しさの最中で終わっています。
◇
会社でパソコンに向かいながら、ここにピッピが現れたらどうなるだろうか、なんて考えていました。
何しろ頭はピッピでいっぱいなので。
エクセル使いながら、ご大層に見えるけど、実はそれほど重要でもないこのデータ...。
ぜんぶぶち壊して、書類も全部ちぎって窓から紙ふぶきとして遊んでみたら、さぞ楽しいだろうな。(危険思考)
パワーポイントを読むだけの無意味な会議に紛れ込んで、自分のおしゃべりに全部すりかえちゃって、
ウーウーウーウー
ボイーン!
上司たちのポカンとした顔見たら笑っちゃうな。
「出て行きなさい!」って警備員が来ても、あのがっちりしたベスト(警備員さんてがちがちのベスト着てますよね)をつかんで、軽々と持ち上げて高い所に置いちゃうだろうな。
楽しいです。
仕事で気分になった時、いやなことがあったとき、ピッピにそんな奴、投げ飛ばしてもらうのはおすすめです。
これぞ正しい「大人が読む児童書」の効果というものです。
長くつ下のピッピ
アストリッド・リンドグレーン (著), イングリッド・ヴァン・ニイマン (イラスト), 菱木 晃子 (翻訳)
1941年の冬、病気の娘を元気づけるためにリンドグレーンが語り聞かせたのが、世界一強くて自由な赤毛の女の子の物語。世界中で愛されてきた「ピッピ」を、作者自身がお気に入りだったイングリッド・ヴァン・ニイマンによる挿絵と新訳でお届けします。ハチャメチャだけど心やさしくまっすぐなピッピの活躍から目がはなせません。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
世界一強くてお金もちでおもしろい女の子、ピッピがひっこしてきてから、おとなりのトミーとアンニカは毎日がわくわくの連続です!
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こんにちは、長くつ下のピッピ
アストリッド・リンドグレーン (著), イングリッド・ニイマン (イラスト), いしいとしこ (翻訳)
お待たせしました! 世界一強い女の子『長くつ下のピッピ』の絵本が、ついに日本にやってきます! 「ピッピ」が生まれたスウェーデンで、60年近く経た今もなお、愛され続けているオリジナル版絵本。日本版には、かわいい『特別ふろくのきせかえ紙人形』がついています!
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牛も馬もどろぼうもおまわりさんも、ピッピがヒョイとかついでポイ!町はずれのボロ家にひっこしてきたのは、親がいない、学校も行かない女の子。大人たちはしんぱいするけど、大きなおせわ。だってその子、とびきり大金もちで力もちなんだもん! 世界一つよい女の子の物語
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すばしっこくて、世界一の力もち! 赤と青のへんてこな服にがぼがぼの靴、色違いの長くつしたをはいた不思議な女の子ピッピが大活躍。
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