~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

大人が読む児童書「町かどのジム」 3 リアル・ポパイ系ジムの挿し絵の衝撃

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 

町かどのジム
エリノア ファージョン (著), エドワード アーディゾーニ (イラスト), 松岡 享子 (翻訳)

デリーが物心ついてからというもの、ジムはいつでも街角のポストのそばに座っています。むかし船乗りだったジムは、デリーにいろんな場所の話をしてくれます…。1965年学研刊の名作をアーディゾーニの挿絵で。

 

 

大人が読む児童書「町かどのジム」 1 ねことベーコン(のベーコン)

大人が読む児童書「町かどのジム」 2 ねことベーコン(のねこ)

 

 

ベーコンとねこの終わった後は、どれをとっても素敵なお話なのですが、あまり紹介しすぎるのもアレなので、さらっと注目ポイント(独断と偏見で)をお話します。

 

もくじ:

デリーとジム
男の子のパイ
みどり色の子ネコ
ありあまり島
ペンギンのフリップ
九ばんめの波
月を見はる星
大海ヘビ
チンマパンジーとポリマロイ
ジムのたんじょう日

 

 

「ありあまり島」

 

ファージョンの作品の魅力は、食べ物があふれるばかり出て来るところです!

 

ずいぶん昔に、エクセルが使えるようになってからまず最初に作ったファイルは
『「物語の中の食べ物」特集.xls』
というものでした。

 

(主にファージョンでしたが、ホッツェンプロッツ・クラバートからも入っていました。私の「児童書食べ物」チェックは、ファージョンとプロイスラ―だったようです)

 

数年前に消してしまったのですが、今となっては悔やまれます。

 

どうしてこんなに長々と食べ物の話をしているかというと、この「ありあまり島」は食べ物の描写が豊富に出て来るからです。

 

牛肉とニンジンのゆでたの、ブタの足のあげもの、マメのプディング、ブタ肉のパイに、ほしブドウのはいったゆでまんじゅう、マキガイにアイスクリームコーン、ニシンのくん製、みつのついたまるパン。そのほか、いちいち思いだせん。

 

「牛肉とニンジンのゆでたの」
こんな風に、もとの料理名を書いていない所がわりと好きです。

 

せっかくなので、情熱の限りを傾けて、初期のAmazon本家から輸入した英語版を引っ張り出してきました。

 

There was boiled beef and carrots, pigs' trotters and pease pudding, pork pies and spotted dog, winkles and ice-cream cornets, kippered herrings and treacle roll, and I don't know what all.

 

割と難しいです!
peaseは豆(pea)の古語のようです。
「spotted dog」とは何ぞ…?

 

いい時代です。こちらのブログに記載ありました。

ricorice.exblog.jp

 

 

食べ物の話でどんどん過ぎていくような気がしますが…。

 

訳者さまの努力もあって、とにかく美味しそうなイメージがどっと押し寄せてきます!

 

 

蛇足ですが、私の持っている「町かどのジム」の絵は、アーディゾーニではなくて、三芳悌吉さんです。
あたたかく、とてもイメージにあっていて、アーディゾーニ版に負けずおとらず好きな絵です。

f:id:WhichBook:20210120192410j:plain

三芳悌吉氏のジムです。

どうかこの、優しげなおじいさんの姿をよ~~~く刻み付けておいて下さい。お願いします。

 

さて「情熱の限りを傾けて、初期のAmazon本家から輸入した英語版」

こちらの挿し絵はというと…。

 

苦労して取り寄せたこの英語の本なのですが、開けてみたところ、私はショックを受けました。

 

f:id:WhichBook:20210120192659j:plain

リアル!リアルぅ~っ!
ポパイかよ!

 

筋肉!まだモリモリやん!
(Irene Mountfortさんというかたの挿し絵です)

 

しかし、しかしです。
改めて見るとこの挿絵…。


カラフルに手書きで塗られていて、(その落書きっぽいのも最初は何となくイヤでした)そこに名前が書いてあるではありませんか!

 

f:id:WhichBook:20210120192736j:plain

This book belongs to Philip Easion

 

遠く海を渡って、日本にまでやってきたこの本、子供の頃のフィリップさんは愛読していたんだろうなあ、と、なんとなくしみじみとしてしまいました。

 

当時、どえらくショックを受けて、「ポパイかよ!」「なんじゃこりゃあ!」となっていたときに、「いいじゃん、夢があるじゃん」、と言ってくれる人がいてくれたらなあ。

 

こんなにもずっと、本棚のなかに、お蔵入りになっていることもなかったかもしれないのに。

 

今、このブログに興味を持って読んでくれている方がたは、そう言ってくれるような気がします。

 

筋肉や、カラフルな落書きを気にせずに、いまもう一度手に取ってみられたので、このブログ書いてよかったなと思います。
(自己完結)

 

 

「ペンギンのフリップ」

 

妹子の大のお気に入りの回です。

 

ポッツ船長率いるジムたちが、ゆり木馬号で南極に行った時のお話です。
フリップとは?
この一文がすべてを物語っています。

 

「フリップってのは、わしのとくべつお気にいりのペンギンさ。 フリップのほうでも、わしが気にいってた。 まあ、いってみりゃ、わしは、フリップのおくさんだったんだ。」

 

ジムがペンギンのおくさん。

 

めちゃめちゃ気になりませんか!?

 

しかし、この二人(フリップとジム)の純愛…(友情と言うべきか…純愛と呼びたい…)は実にいじらしいです。
妹子がこの話を大好きなのもよくわかります。

 

 

「九ばんめの波」

 

この話で知ったので、海に行くときいつも、誰か人がいるとその人に「九ばんめの波が大きいんだって」と伝えてきたので、かなり伝播しているに違いありません。(忘れられてなければ)


セイコのアルバムに「The 9th Wave」というのがあるらしいですが、きっとこのお話から取ったに違いありません(無根拠・想像)

 

タラとの友情、これもまた胸をうつ絆ですし、タラがとても可愛いです。

 

ペンギンといい、タラといい、ここまで読んできてジムのやさしさに胸を打たれると同時に、ジム、ちょっと気が多いような気がしてきました。

 

優しいので仕方ないですね…。

 

おとなの再読ならではの感想です。

 

 

食べ物の話題で長くなってしまった気がするのですが…
明日は、
「月を見はる星」
からはじめたいと思います。

 

ファージョンの本について語るのがとても楽しいです💖
(ファージョンの美しい文章にふさわしくない、ろくでもない感想になっちゃっているような気がしますが…)

 

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whichbook.hatenablog.com

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ムギと王さま
エリナー・ファージョン (著), エドワード・アーディゾーニ (イラスト), 石井 桃子 (翻訳)

幼い日,本のぎっしりつまった古い小べやでひねもす読みふけった本の思い出―それはエリナー・ファージョンに幻想ゆたかな現代のおとぎ話を生みださせる母胎となりました.みずみずしい感性と空想力で紡ぎだされた,国際アンデルセン賞作家の美しい自選短篇集

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

銀のシギ
エリナー・ファージョン (著), E・H・シェパード (イラスト), 石井 桃子 (翻訳)

気だてはいいが食いしんぼうの粉屋の娘ドルが、小鬼のたくらみで王さまの妃になりました。妹のポルが銀のシギの助けを借りて、姉の危機を救います。素材は昔話の「トム・ティット・トット

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

リンゴ畑のマーティン・ピピン
エリナー・ファージョン (著), リチャード・ケネディ (イラスト), 石井 桃子 (翻訳)

恋人から引き離されてリンゴ畑の井戸屋形にとじこめられている少女ギリアンを,6人の娘たちが牢番として見張っています.陽気な旅の歌い手マーティン・ピピンは,美しく幻想的な6つの恋物語をくりひろげて娘たちの心を奪い,首尾よく牢屋のかぎを手に入れます.ファージョンが作家としての地位を確立した傑作

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ヒナギク野のマーティン・ピピン
エリナー・ファージョン (著), 石井 桃子 (翻訳)

ファージョン作品集5巻。

 

 

 

 

 

 

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