~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

今日の一冊「ババヤガーのしろいとり」

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

ババヤガーのしろいとり
内田莉莎子 (著), 佐藤忠良 (イラスト)

希少本、絶版でしたがリクエストにより1998年特製版として復活しましたが今では手に入らないようです。彫刻家の佐藤忠良さんのイラストです。ハードカバー

 

どの本にしようかとめくっていて「ババヤガーのしろいとり」を見つけました。

 

この本大好きだったな~!
懐かしくなって取り出しました。

 

こどものとも」は名作が多くて、よく復刊されていますけど、この本はどうだろう。

 

そう思って、Amazonで検索してみる前に、Yahooの検索窓に「ババヤガー」、と入れますと、それだけですぐに、「白い鳥」「しろいとり」と候補が出てきました。
やはり私だけではなく、探してる人がいるんだなと思いました。

 

1998年にいちど、特製版として復活しているようです。
残念ながら、また絶版になっているらしく中古しか出回っていませんが、中古市場ではさかんにやり取りされています。
本当に素晴らしい絵本です。

 

こうして古い本を探していると、2000年代あたりに、さかんに復刊・復刻されています。
それから20年もたつのですから、そろそろまた復刊の時期ではないのでしょうか?

 

間違いなく、記憶に残る本だと思います。

 

 

ババヤガーはロシアのやまんばです。

 

やまんば、やまうば、おにばば、色んな言い方がありますが、山に住んでいるぼろぼろの姿をしたおそろしい老婆、という点では変わりありません。
主に人食いですが、やさしいやまんばもたくさんいます。

 

(どうでもいいですが、昔ギャルの間でヤマンバスタイルというのが流行ったとき、その名前に「山姥」を使うのが気に食わなくてしかたなかったです。もう、その言い方を覚えてる人もそうはいませんよね)

 

ロシアのババヤガー、「ババ」、という音が、「婆」とぶっているところが面白いです。

このお話のババヤガーは、恐ろしい方です。

 

この前から、「くわずにょうぼう」の鬼婆とか、ババヤガーとか、グレートマザーっぽい昔話ばかり拾っているような気がしますけど、迫力満点でこわおもしろいのでOKということにします。

 

お話の大筋は、今となっては、よくあるモチーフの話だとわかるのですけれども、このお話の特徴はやはりこの佐藤忠良さんの絵です。

 

素晴らしいです。

 

「おおきなかぶ」で有名なかたですが、私はおおきなかぶよりもとにかくこの「しろいとり」の方が断然好きでした。

 

この絵が、うちだりさこさんの見事な語りと一体となって、一度読むと、やみつきになります。

 

 

マーシャとワーニゃは姉弟です。
お父さんとお母さんがいない間マーシャは弟のお世話を頼まれました

 

おくらおねえさんとはいっても、そこはマーシャも子ども。
ちょっと弟をほったらかして、友達の所へ遊びに行っている間に、ワーニャはさらわれてしまいます。

 

何にさらわれたかというと「まっしろなとり」です。

 

この鳥ですが、どこからどう見ても明らかに白鳥です。

 

 

その目つき、顔つきの意地悪そうなこと!
悪役の白鳥、というのは珍しいです。

白鳥の湖でも、悪役は黒鳥になりますし、一般的には、はかなくて綺麗で美しい鳥というイメージです。

 

しかし、こいつらは白鳥のままの姿で、ババヤガーの手先であり、手足です。

 

この悪い白鳥たち、たくさんいます。
昔は意識していなかったんですけど、今数えてみると七羽です。
その数もなんとなく、神秘的…。

 

マーシャは、弟を探してしろいとりたちを、どこまでも追いかけていきます

 

途中で「ペチカ」「りんごの木」「ミルクの川」「ハリネズミ」に助けてもらいます。

 

 助けてもらう代わりに、マーシャはペチカを掃除するし、リンゴの木は実を落として軽くしてあげるし、とにかくはたらきます。
ちょっと目を離したことで、大変な労力を使うことになったわけです。

 

リンゴの木のあかあかとした実のいろの素晴らしさ。
黒々と建つペチカの大きながっしりとした頼もしさ。

 

ババヤガーの家に行けば、天井からはあの意地悪そうな白鳥の悪い顔がのぞいていますし、窓からのぞくババヤガーの頭もこわいです。

 

でも、弟のワーニャは入り口で遊んでいますので、絵からして何となく、ギリセーフで連れ出せそう感があるといいますか、その匙加減が絶妙です。

 

ことばの響きも美しいです。

 

ペチカ!ペチカ!おしえてよ。しろいとりはどっちへとんでいったかしら?

 

りんごのき、りんごのき、おねがい、わたしたちをたすけて!

 

ババヤガーに命令されて、追っかけてくる、しろいとりの恐ろしいこと!
普通の白鳥の大きさなのですが、ワーニャを背中に乗せて飛んでいるところといい、ころされかねないすごさがあります。

 

それでも、特にこの話を読んだからといって白鳥に怖いイメージがつくこともなくいられるのは、やっぱり絵の魅力です。

 

恐ろしいのですが、なんとなくやわらかく牧歌的で、しかもりんごの木、ミルクの川、はりねずみやペチカの絵が素晴らしく魅力的なので、そちらに対する憧れの方が大きく、全体的に美しいイメージしか残りません。

 

最後にもらうお土産のかわいさはたまりません。
(マーシャはマトリョーシカをもらってほおずりしています)

 

お友達にも教えて、一緒に読んでもらって、あちこち隠れてしろいとり遊びをやりました。
やはり、最後の最後に頼りになるペチカの頑丈さは頼もしい限りです。

 

  

 「おおきなかぶ」を探していたら…「ゆきむすめ」を見つけました!

 

そして、その説明には

『おおきなかぶ』のコンビによるロシアの昔話絵本。

と書かれているではありませんか!

 

これこれ!こっち!
この「ババヤガー」も、「おおきなかぶ」コンビなんですよ~。

 

是非復刊してほしい一冊です。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

ゆきむすめ
内田 莉莎子 (著), 佐藤 忠良 (イラスト)

子どものいないおじいさんとおばあさんが、ある冬、雪で女の子を作ると突然動きだしました。おじいさんとおばあさんは大喜びして娘としてかわいがります。でも、春がきても、娘は家の中に閉じこもって外では遊びたがりません。やがて夏になり、娘はおじいさんやおばあさんにすすめられて、女の子たちと森に遊びに出かけますが……。『おおきなかぶ』のコンビによるロシアの昔話絵本。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

おおきなかぶ
A.トルストイ (著), 佐藤 忠良 (イラスト), 内田 莉莎子 (翻訳)

おじいさんが植えたかぶが、甘くて元気のよいとてつもなく大きなかぶになりました。おじいさんは、「うんとこしょどっこいしょ」とかけ声をかけてかぶを抜こうとしますが、かぶは抜けません。おじいさんはおばあさんを呼んできて一緒にかぶを抜こうとしますが、かぶは抜けません。おばあさんは孫を呼び、孫は犬を呼び、犬は猫を呼んできますが、それでもかぶは抜けません。とうとう猫はねずみを呼んできますが……。力強いロシアの昔話が絵本になりました。

 

 

 

 

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