今日の一冊「もじゃもじゃペーター」 どう考えてもタイトル詐欺
今日、ご紹介するのは絵本です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
「りょうての つめは 1ねんも きらせないから のびほうだい。かみにも くしを いれさせない うへえ! とだれもが さけんでる……」1844年のクリスマスの1週間ほどまえ、若い開業医ホフマン博士は、3歳半の息子に適当な絵本と本屋で見つけることができなかったので、かわりに1冊のノートを買ってきて、自分で絵を描き、詩をそえて絵本をつくりました。それがもとで生まれたのが、この歴史にのこる傑作絵本『もじゃもじゃペーター』です。この度、新装版として生まれ変わりました。
この本は、わりと発売されたばかりの、室井滋さんの絵と長谷川義史さんの文のコラボ絵本の近くにありました。
こちらです。
室井滋さんの絵は大好きだし、長谷川義史さんはママさんがたに大人気。
が、しかし!
そこで、あえての、そうではなく、棚の若干奥深くに刺さっている、
に目ざとく目を付けた。
なめちゃいけないぜ!
この本は子どもに刺さる匂いがぷんぷんするぜ。
間違いなく、「あまりにも強烈すぎて記憶に残る」匂いだぜ!
◇
一読。
うーん強烈。
予想以上。想像を超えてた。
しかし、なめちゃいけないという所だけはあっていました!
ものすごいインパクトです。
まあまあ、ろくなことが起きない、ろくでもないやつらのオンパレードです。
子供も、大人も、ダメなことばかり。
乱暴したり
生き物をいじめたり
火遊びして遊んだり
つまり、家の内外でよく見聞きしては、だめ、だめ、だめー!と繰り返し言ってることばかりです。
こどもには、切実で身近なエピソードいっぱいです。
◇
間違いなくわかってますが、子どもは普段はダメダメと言われる立場であっても、いざこういう本を読むと
「わーやべぇ。きっしょ」
「ダメでしょ」
「こいつ最悪!」
とか言いやがるものです。
まったくもって他人事。
おのおのがた、鏡を見ろと言いたくなります。
この本に登場する、あらゆるダメな子どもとダメな大人たち。
天罰とか、因果応報とか、そんな言葉のレベルをはるかに超えた、よくわからない無茶苦茶にひどい目にあいます。
例えば、マッチをすった子は火が唐突に自分に燃え移り、ひとつかみの灰になってしまったりだとか。
(家・調度品はすべて無事)
指を吸うというのもあります。
これ、うちは悩ましかったなあ。
今も夜にはたまに吸ってます。
この子、唐突に家の中に大ばさみを持った男が入ってきて、何の脈絡もなく唐突に指をちょんぎられて、親指がなくなっちまいます。
留守にしていたお母さんが帰ってくると、そこにはぽかんとした指をなくした子どもが…。
シュールこの上ないです。
◇
そして、この表紙にどーん!と鎮座している「もじゃもじゃペーター」
最初のページだけで、まったく出てきません。
そして、彼には特に何か悪いことが起きるわけでもありません。
(後ろ指はさされてますが)
まったくのタイトル詐欺。
これはたぶん、いわば、つめも切らず、髪にくしも入れない、強烈な見た目で表紙を飾る彼は、
すべての言うことをきかない子どもらの代表
シンボルであり、象徴的アイコン
……なのだと思います!
この本のインパクトは、めちゃくちゃシュールで、割と細かい絵とともに、記憶に刻み込まれることでしょう。
そう、ダメなものはダメ!
ダメなんです!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
コロナ禍は、一番会いたい人に、相手を思えば思うほど会えない、会うのを躊躇するという、これまでにない状況を生み出しました。そうした中で、この絵本は誕生しました。ケイちゃんはおばあちゃんが大好き。ママからは「ホームへしばらく行っちゃダメ!」と言われますが、こっそり会いに……。おばあちゃんが住む老人ホームを訪れる心細さ、不安の先に待っているのは驚きの展開。そしておばあちゃんがケイちゃんに語りかける言葉には、人生で大切にしたい想いが詰まっています。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
朝、めざめて窓をあける、という何気ない日常と、窓の外に広がるあたりまえの風景。けれども、その日常のくりかえしの中にこそ、生きるよろこび、そしてたしかな希望があることを、そっと気づかせてくれる一冊です。
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