今日、ご紹介するのは絵本です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
1980年の初版以来読み継がれてきたお話はそのままに、イラストをすべてデジタル化し、原書の美しさを再現。めくるめく幻想世界。
書店さんに絵本がたくさん並んでいて、ふーんグリムか、と手に取りました。
2021年のこどもの本フェアみたいです。
うーん、いい企画!
それにしても、なんて綺麗な絵。
ウットリ…。
◇
王様が大事にしている12人のおひめさま。
毎晩、見張りをつけて絶対に抜け出せないようにしているのに、どうも様子がおかしいです。
朝になると、12人のおひめさまのドレスは、ぼろぼろです。
まるで夜通しダンスを踊ったかのように。
………。
ダンスを踊ったら、ドレスってボロボロになるものなんですかね?
どういうダンスなんですかね?
あまり突っ込まない方がいいとわかっているのですけど。
◇
妹子に見つかった!
「あっ!『12人のおひめさま』だ~~!!」
「ふふふ、いいだろう」
「知ってるよぉ~!絵がすっごくきれいなんだよ」
めちゃくちゃ説明されました。
妹子「王様が甘やかしすぎててね!ダメになってるんだよ!あれはね、ダメ!甘やかしすぎはダメ!」
わたし「……………そうですか」
妹子「疲れた兵隊さんが、自分も疲れてるのにおばあさんに親切にしてあげたから、透明になるマントをもらったんだよ!!」
兵士は、透明になるマントを使って、おひめさまたちの謎を暴こうとします。
◇
訳し方が若干硬質です。
だが、そこがいい!
一番上のおねえさまのことを「惣領のおひめさま」と書かれています。
うん、この訳は、いいなあ…。
好きだなあ。
格調高い、とでも言いますか。
この緻密で繊細な、美の極致ともいうべき絵に、ぴったりあっています。
「惣領」ということば、今ではあまり使わなくなってしまったように思います。
訳するとき、子どもだからと気を使いすぎて、簡単なことばのままだと、新しい語彙を覚えることなく、そのまま通り過ぎてしまいます。
ただでさえ、絵本から本に向かわない子も増えてきているので。
何に書かれてあったのか、忘れてしまいましたけど、
「子どもは大人が使っているような、難しい言葉が大好きだ」
「これは何?どういう意味?と聞くことに意味がある」
と書かれていたのを読んだことがあります。
あえて、難しいことばを混ぜて訳するのはとてもいいことだと思います。
あと、ごまかさずに、割とちょっとドキッとするような展開の所も、思い切ってハデに強調して訳してみるのも、面白いと思うんだよなあ…。
(これは、トム・ソーヤのことを考えてました)
◇
大体、こういうお話は、一番下の娘、三人娘であれば三人目、「いちばん末のおひめさま」が結婚するものでした。
わたしが読んだ中では、そういうのが多かったです。
そして、末のお姫さまだけ、何となく兵士の気配に気づいています。
これは、そういうことなのかな?と思って読んでました。
(どういうことだよ!)
お姫さまたちがこっそりとダンスの場に向かう道のりで、銀の森を通ります。
証拠にするために、枝をポキッと折っただけで飛び上がる末のお姫様。
末のお姫様がどきどき、おどおどと不安がるたびに、「惣領」のおひめさまが大人っぽく、たしなめたり、なだめたりします。
どうやらこのダンスのいたずらの首謀者は、一番上のおねえさまだな。
透明マントで姿が見えないのをいいことに、ダンスの間も兵士はやりたい放題です。
ちょっと小突いてみたりだとか、くるくる回してみたりだとか。
アニメだときっと、コミカルに笑いが取れる所です。
「時間停止もの」とか、「透明人間もの」とか…。
時代を問わず、人気だなあ…。
◇
さて、王様にいたずらをバラされてしまったおひめさまたち。
兵士は誰と結婚するのかな?
兵士、末のお姫様を見ます。
→ めそめそ泣いてます。
その他のおひめさまたちを見ます。
→ ふくれっつらしています。
兵士、「惣領のおひめさま」を選びました!!
へえ~~~。
理由は、「自分も年だから、一番年がいってる人を選びました」
その理由ってどうなのよ。
と、読んでる全員が総ツッコミだと思いますが、この「惣領のおひめさま」ご本人からも、ツッコミが入りました!
面白いな、これ!
いたずらがばれたからといっても、動じることのない、しっかり者で堂々としている所が気に入ったのです。
兵士「ほんとのこと言うと、いちばんさいしょに見たときからあなたがすきでした。いいなっておもってました」(意訳)
は~~~~~ん。
さっき品定めしてたのにかい?
いやあ、グリムは面白いわ!
こんなへたくそレビューよりも何よりも、とにかく絵が美しいです!
すばらしいです。
どうも、限りなく原画に近い色彩を再現したということのようで、その美しさ、精巧さは芸術品です。
飾っておいても間違いなく「ばえる」絵本です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
『世界の童話全集・41作品⇒1冊』 Kindle版
グリム, アンデルセン, アミーチス, ウィーダ
, レフ・トルストイ, 新美 南吉, 小川 未明, 宮沢 賢治
グリム童話にアンデルセン、イワンの馬鹿に母をたずねて三千里。一度は耳にしたことがある世界の童話に、新美南吉、小川未明、宮沢賢治の代表作をそえて、合計「41作品」を1冊に凝縮しました。目次一覧から、目当ての作品に移動することが可能です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【e-hon】 ─ ネットで予約、本屋さんで受け取れる e-hon サービスで本屋さんを応援しよう📚️
子どもの本だな【広告】
ジオジオのかんむり | あかいひかり みどりのひかり | 安寿姫草紙 |
「ナルニア国ものがたり」全7冊 | チムとシャーロット | 仔鹿物語 |
とけいのほん1 | マチルダばあや、ロンドンへ行く | 銀のシギ |
児童文学ランキング |