今日、ご紹介するのは児童書です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
煙突そうじの少年トムは,仕事中お屋敷のおじょうさんの部屋に入ってしまい,どろぼうとまちがわれてにげるうちに,川に落ちて「水の子」となります.ファンタジーの古典
妹子がしきりに読んだりやめたり、読んだりやめたりしている、キングスレイの「水の子」。
その気持ち、ちょっとわかります。
昔の本というのは、現在で模範とされているところの「構成」や「筋立て」なんて関係なく、ガンガン自分の書きたいように書き、話を進めたいように進めるというところがあります。
どちらかというと、読む方が本に合わせなければならないという感じ があります。
でも、そんなのを吹き飛ばしてしまうほど面白く、印象に残る作品なので、いつか紹介したいなと思っていました。
今回、紹介するにあたって、ちらっと調べてみると…。
んん~~??
絶版になっている?
Wikipediaによれば…
イギリスで非常に人気があり、何十年もの間、英国児童文学の主力だった。が、アイルランド人、ユダヤ人、アメリカ人、貧乏人に対する偏見(当時は普通だった)をふくむため、流行らなくなった。
そうかなあ~?
正直、読んでいてまったく差別的表現は感じられませんでした。
アイルランドに侮蔑的表現とありますが、この本には、老婆、美女と自在に形を変える、女神のような、仙女のような、魔法使いのような、マリアさまのような、天使のような、非常に神秘的な存在が出てきます。
この、「報いのおばさん」「親切のおばさん」は、アイルランドの女の形をとって現れますので、この「水の子」を読んだ人がいったいどこに侮蔑を見出したのか、わたしにはさっぱりわかりません。
本場の人でなければわからないようなカチンとくる表現でもあるのでしょうか…?
◇
先日の「マヤの一生」の椋鳩十さんのWikipediaに書かれていたのですが
1947年から1966年までの19年間、鹿児島県立図書館長を務める。館長としては、GHQによる軍国主義的図書館資料の排除(実質上の廃棄・焚書)命令を書庫に封印する事を条件に命令実行を回避するなどしたが、財政難によって図書館再建は困難を伴った。
という記述があって、そうだったのかと思いました。
軍国主義的図書の排除も焚書なら、差別的表現の図書の排除も、焚書のたぐいと言えるのではないでしょうか?
あまり小難しく考えず、とにかくこの本は、非常に面白いです。
面白さ、それがすべてです!
復刊希望の意味もこめて、地味に紹介していこうかと思います。
◇
それにしてもこの「水の子」
名前も若干、たしかに微妙と言われれば微妙です。
これは迫害された子ども、虐待された子どもたちに捧げる本なのですが、「水子」という表現に漠然とつながっている所が、不思議な符合だなと思ったりこともありました。
「水の子どもたち」という訳し方もあるようで、確かにそちらの方があっているかもしれません。原題は「The Water-Babies」です。
しかし、阿部知二さんの訳があまりにも素晴らしいので、これを変えて欲しくないという気持ちもあります。
古本か、図書館で入手するしかないと思われますが、版権が切れていますので、英語の原書としては、ネット上で読むことができます。
絵も綺麗ですが、とにかくこの本の特徴は、
語彙の多さです!
これでもかというほどの単語。
雨あられというほどの単語。
その情報量たるや、半端ないです。
根底に流れる子どもたちへの気持ちもですが、この情報量の多さこそ、この本の最大の魅力ですので、そういう面からもやはり、見直されていい一冊だと思います。
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「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492
◆プロジェクト・グーテンベルクについて
☞Wikiの説明ページ
プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリカ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館。
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