閑話 ガラスの仮面からたけくらべへ
閑話です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
亜弓の劇団オンディーヌと劇団つきかげは共に「たけくらべ」でぶつかりあい、競い合うことに。全国大会では新たなライバル劇団一角獣が現れ、益々白熱していく。そこでマヤと劇団つきかげに仕掛けられた罠とは。
わたし「妹子、ガラスの仮面が、最初の5巻ぐらい無料で出てるよ。読む?面白いよ?あなた昭和のまんが好きでしょ」
妹子「読む読むー!」
妹子、食いついてきました。
妹子「あの黒い人がなんであんなにえらそうなのか知りたい」
そんな理由なのか。
たぶん、黒い人というのは、月影先生のことだと思います。
めくりながら(といってもタブレットです)
妹子「ほほー、ガラスの仮面てそういうことだったの」
そして叫んでいました。
妹子「あれ、黒いひと、男じゃなかったのか!」
月影先生のことを、男だと思ってたんかーい!
わたし「それでね、北島マヤが劇をするでしょ。劇中劇って言うんだけどね。お話の中の劇ね。その題材に、なかなかの名作を使ってるんだよ。だからガラスの仮面を読んで、本に興味を持ちました!って人が結構いるんだよ」
メモしませんでしたが、そんな風に紹介しているニュースを見たことがあるような気がします。
ちなみに、その時のニュースのコメントは、
早く続きを書け
の大合唱でした。
◇
妹子「たけくらべ読んでみたいわ」
わたし(けい、かく、どおり!)
わたし「でも、いきなりたけくらべなんだ。『若草物語』とかじゃないんだ」
妹子「うんたけくらべが気に入った」
わたし「そこにあるよ、おばあちゃんの日本文学全集です」
明治文学を代表する小説家、歌人である樋口一葉の長篇小説。初出は「文學界」[1895(明治28)年]。全十六章から成り、吉原遊廓に接する大音寺前を舞台に、千束神社の夏祭りから、大鳥神社の酉の市までの季節の推移を共に展開していく少年少女の、いわば初恋の物語である。
読む気満々で開いている妹子。
まあちょっと明日で、という気配もありません。
わたし「あの~~。ちょっと忠告しておくけど、きっと思ってるのと違うと思うよ。びっくりするかもしれない」
妹子「大丈夫大丈夫。内容わかってるから(ドヤッ)」
10分後
妹子「なんじゃこりゃ!!!!」
叫び声が聞こえてきました。
妹子「思ってるのと違うって、ちがいすぎるわ!なにこれむり、ぜったいむり」
わたし「ははは」
妹子「おかしいでしょ難しすぎ。だって『まる』がないよ?文章どこできれてるの?」
わたし「ははは」
妹子「はははじゃないから!15ページか。あー楽勝だわ、って思ったらなに!1ぺーじたっても一文が終わんないよ!」
まあ、たけくらべといえばこうです。
廻れば大門の見返り柳いと長けれど、お歯ぐろ溝に燈火うつる三階の騒ぎも手に取る如く、明けくれなしの車の行来にはかり知られぬ全盛をうらなひて、大音寺前と名は仏くさけれど、さりとは陽気の町と住みたる人の申き、三嶋神社の角をまがりてより是れぞと見ゆるいへもなく、かたぶく軒端の十軒長屋二十軒長や、商ひはかつふつ利かぬ処とて半さしたる雨戸の外に、あやしき形に紙を切りなして、胡粉ぬりくり彩色のある田楽みるやう、裏にはりたる串のさまもをかし、一軒ならず二軒ならず、朝日に干して夕日に仕舞ふ手当ことごとしく、一家内これにかかりて夫れは何ぞと問ふに、知らず霜月酉の日例の神社に欲深様のかつぎ給ふ是れぞ熊手の下ごしらへといふ、正月門松とりすつるよりかかりて、一年うち通しの夫れは誠の商売人、片手わざにも…………………
まだ切れない。
一行がこの×5ぐらい。
妹子「蓮如は出てるんだ」
わたし「そこ確認したんだ」
妹子「いやありえないわ!源氏物語のほうがわかりやすいよ!ああ、だいたいこういうことかなっ?てわかるもん!源氏物語のほうが千年ふるいのに、現代に近いほうが難しいってどゆこと!いちぎょうもりかいできない!」
わたし「でもさ、源氏物語は読みやすいように改行されてるし、説明がちゃんと書いてるから……」
妹子「いやいやいや、絶対源氏物語のほうがわかりやすい!!!」
◇
1時間後。
あれっ。
妹子、また、たけくらべを開いて見てる。
奇妙なことですが、魅力的なパズルや知恵の輪のように、難易度が高い、解けないほうにどんどんひきつけられていく。
こ難しくて、まったく理解できないと思った本を、思い出しては開き、閉じては開き、を繰り返しているうちに、成長とともにいつの間にか読める部分が増えていく…。
最終的にはどっぷりはまる、ということがあります。
◇
この日本文学全集には、私の大好きな泉鏡花の「湯島詣」も入っているので、特に好きで、倉庫からもひきとって持っている一冊でした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
樋口一葉 たけくらべ/夏目漱石/森鴎外 池澤夏樹=個人編集 日本文学全集
夏目漱石 (著), 森鴎外 (著), 川上未映子 (翻訳)
吉原の廓の隣町を舞台に、快活な十四歳の美少女・美登利と、内向的な少年・信如の淡い想いが交錯する、一葉「たけくらべ」(新訳・川上未映子)。
川上未映子さんが現代訳をした「たけくらべ」という、とても貴重な一冊です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
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