~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

大人が読む児童書「トム・ソーヤーの冒険」 4 冒険とあらし、その文章表現のすばらしさ

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

トム・ソーヤーの冒険
マーク トウェイン (著), T.W.ウィリアムズ  (イラスト), 石井 桃子 (翻訳)

ミシシッピ川沿いの小さな村を舞台に,わんぱくな少年トムが浮浪児ハックを相棒に大活躍するゆかいな冒険物語.因習にとらわれがちな大人たちの思惑をよそに,自然の中で自由にのびのびと生きる子どもたちを描く少年文学の名作.

 

 

 

 

「トム・ソーヤーの冒険」を、初心に帰って読んでみようかなあという話
2 自分の子じゃない子供を育てるということ
3 関わるとろくなことが起きない。いぬやねこの受難。

 

 

現在、「第十三章 海賊団の出帆」になります。

 

トムは、親友のジョー・ハーパー、ハックルベリー・フィンと一緒に家出をしてミシシッピ川の中州のようになっている島に行くことになりました。

 

世をはかなんだトムですが、この原因になったのは、「恐ろしい犯罪を墓地で目撃したことを、黙っているという呵責」による鬱です。

 

しかし、同じぐらいトムのダウナーな気分に拍車をかけたのは、何とベッキーでした。

 

愛してる愛してないとか元カノがいたとかいないとかの騒ぎはまだ尾を引いていたのです。

 

トムは、自分が一番貴重で価値があると思っている宝物をあげたのですけど、突っ返されてしまいました。

 

それも、机の上に包んで置いてあるという返品扱いです。
この宝物とは、「炉の道具の頭についている丸い、しんちゅうのつまみ」だそうです。

 

十歳ってほんとうに石ころのようなものを宝物にしますよね。

 

これだけではなく、まだベッキーをあきらめられなかったトムは、とんぼ返りとか逆立ちとか、挙句の果てにベッキーすれすれに走り回るという行動に出るのですが
ベッキー「だれかさんてば、見せびらかして、あれで自分じゃすてきだと思っているんだわ。」

 

これがトムにとどめをさしてしまったのでした……。

 

 

親友のジョーの世をはかなんだ理由も語られます。
家出の冒険そのものが楽しいのはわかっているので、今注目するのはこういう箇所です。

 

ジョーは、お母さんにクリームをなめたという罪で責められ、むちで叩かれたらしいのですが、これが何と冤罪だったのです。

 

かれは、クリームなんて、なめたおぼえもなければ、そんなものがあることさえ知らなかったのだ。きっと、おかあさんは、ジョーがきらいになって、どこかへ行ってしまえばいいと思っているのだ。

 

かわいそうに(*^-^*)
子どもあるあるの悩みですね。

 

きっと、その何十倍も怒られてもたりないほどのいたずらや悪さをずっと繰り返してきていたのでしょうね(*^-^*)
たったひとつの冤罪に、鬼の首を取ったように無実を主張しまくるのですよね。

 

ですが、何十万の罪と、一つの冤罪とでは、これはまた別問題でもあるでしょうから、とにかくここで三人はぼうけん☆に出発しました。

 

南海の復讐鬼、トム・ソーヤ
兇状持ちのハック・フィン
海のかみなり、ジョー・ハーパー

 

最初に、復讐鬼と打とうとして、「服臭気」と変換されたのですが、前回のエピソードを見る限り、あながち間違いでもないような気がします。

 

 

ここのぼうけん☆の表現があまりにも面白く、楽しいので、これまでベッキーとの恋のかけひきにうんざりしていた妹子、すっかり夢中になりました。

 

最初に抜け出してから島でキャンプして、朝の目覚めの美しいこと!

 

川で水浴びをして、火をおこし、ベーコンと、釣った魚との朝食です。
(トムはハム、ジョーはベーコンの巨大なかたまりを持ってきました)

 

マーク・トウェイン氏によれば、淡水魚はとりたてを料理すればするほど風味がよく、戸外で眠り運動をすること、おなかがすくことがどれほど料理をおいしく感じさせるか、という風に書いておられます。

 

ああー、キャンプ行きたいな~。

 

 

このあたりの流れとしては、

 

・家出をして、キャンプする。
・町の人々が大騒ぎをして、三人を川ざらいして探しているのを島から見る。
・家を偵察して、みなが悲しんでいるところを見る。
・あらしに会う
・自分たちのお葬式の日に帰ることに決める(生きていた演出を最大限にするため)

 

という感じなのですが、家を偵察したときに、おばさんがトムのねこにたいするいたずらを引き合いに出して、泣き崩れてしまったところは、わたしがほろりときてしまいました。

 

ベッキーも、こんなことになるなら、あんなに冷たくするんじゃなかったと後悔しています。
あんなに意地悪するんじゃなかった。あの「しんちゅうのつまみ」を突き返すんじゃなかった。思い出になるようなものが何もない…と考えています。

 

 

ここで、「あらしにあう」と書いてあるところなのですが、妹子はここにすっかり魅了されてしまいました。

 

妹子「なんてすばらしい表現なんだろう…」
わたし「それはよかった」
妹子「聞いて!すごいんだよ!」

 

たえまなく天をこがす光りの下、すべてのものは、あざやかに、影もないほどにはっきりと、照らしだされた──風にしなう木、白くあわだって、もりあがる川、とびちるしぶき。とぶ雲のわれめと、横なぐりの雨をすかして見える、川向こうの高いがけのぼんやりとしたりんかく。大木は、つぎつぎに、このたたかいにやぶれ、地ひびきをたてて、若木の上へたおれていく。
訳:吉田甲子太郎

Under the ceaseless conflagration of lightning that flamed in the skies, everything below stood out in cleancut and shadowless distinctness: the bending trees, the billowy river, white with foam, the driving spray of spumeflakes, the dim outlines of the high bluffs on the other side, glimpsed through the drifting cloudrack and the slanting veil of rain. Every little while some giant tree yielded the fight and fell crashing through the younger growth;

 

妹子「しかもこれ字なんだよ!?絵じゃないの!」
わたし「そうだよねえ!すばらしいね」

 

こんな風に、文章で表現する、というすばらしさへの体験となってくれればいいなあ♡
……と思ったのですが、それだけでは終わりませんでした。

 

皆を驚かせるため、最大限のイベントにするために、自分たちのお葬式の最中にもどっていった三人。

 

このあとに、ベッキーとの恋のかけひき・ラウンド2がふたたびです。

 

妹子「(# ゚Д゚)」

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

トム・ソーヤーの冒険
マーク トウェイン (著), 柴田 元幸 (翻訳)

ポリー伯母さんに塀塗りを言いつけられたわんぱく小僧のトム・ソーヤー。転んでもタダでは起きぬ彼のこと、いかにも意味ありげに塀を塗ってみせれば皆がぼくにもやらせてとやってきて、林檎も凧もせしめてしまう。海賊ごっこに幽霊屋敷探検の日々を送る中、ある夜親友のハックと墓場に忍び込んだら……殺人事件を目撃! 永遠の少年時代がいきいきと描かれた名作を名翻訳家が新訳。

 

 

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トム・ソーヤーの冒険
マーク トウェイン (著), T.W.ウィリアムズ  (イラスト), 石井 桃子 (翻訳)

ミシシッピ川沿いの小さな村を舞台に,わんぱくな少年トムが浮浪児ハックを相棒に大活躍するゆかいな冒険物語.因習にとらわれがちな大人たちの思惑をよそに,自然の中で自由にのびのびと生きる子どもたちを描く少年文学の名作.

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

トム・ソーヤーの冒険 (角川つばさ文庫)
マーク・トウェイン (著), ちーこ (イラスト), 中井 はるの (その他)

いつもはちゃめちゃなトムは、宿なしハックを相棒に、毎日いたずらざんまい。そんなある日、真夜中の墓場で事件を目撃してしまって!? 世界中があこがれた、冒険と小さな恋の名作が、つばさ文庫に登場!

 

 

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トム・ソーヤの冒険 宝さがしに出発だ! (集英社みらい文庫)
マーク・トウェイン (原著), 亀井 俊介 (翻訳), ミギー (イラスト)

トムと胸のすく冒険の旅に出よう!いたずらをしたり、海賊になったり、宝探しをしたり……世界一のわんぱく少年トム・ソーヤが、親友のハックとともに冒険をくりひろげる。ワクワクがとまらない、トムの青春物語。

 

 

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トム・ソーヤーの冒険 (新装版) (講談社青い鳥文庫)
マーク・トウェーン (著), にし けいこ (著), 飯島 淳秀 (翻訳)

19世紀のアメリカの田舎町、セント・ピーターズバークを舞台に、わんぱく少年トムは所せましと、いたずらをして、みんなを困らせます。その毎日は冒険でいっぱい。 あるときは、家出をして、ジャクソン島でキャンプをして、あげくのはてに、自分たちの葬式に帰ってきたり、またあるときは、夜中の墓場にしのびこみ、殺人現場を目撃したり……。そして最後には、仲間のハックといっしょに洞窟で財宝を発見!

 

 

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ハックルベリー・フィンの冒けん
マーク・トウェイン (著), 柴田 元幸 (翻訳)

今まで知らなかったハックがここにいる。原書オリジナル・イラスト174点収録。柴田元幸がいちばん訳したかったあの名作、ついに翻訳刊行。

 

 

 

公開されている「トム・ソーヤ」英語原文です。

www.gutenberg.org

 

 

 

 

「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492

 

プロジェクト・グーテンベルクについて
Wikiの説明ページ

プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館

 

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