大人が読む児童書「少女ポリアンナ」 2 テリトリーをあっさりと踏み越える子どものパワー
今日、ご紹介するのは児童書です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
11歳のポリアンナは,牧師の父を亡くして孤児になり,母の妹である独身のポリーおばさんに引き取られた.天真爛漫なポリアンナは持ち前の明るさで,子ども嫌いの気むずかしいポリーおばさんや,孤独に暮らす金持ちの老人など,周囲の人々を変えていく.
大人が読む児童書「少女ポリアンナ」1 忘れていた何かを思い出す
ポリアンナとパレアナ。
違う話の、赤毛のアンやポリアンナの亜種だと思っていました。
今更の衝撃です。
◇
さて、厳格なアラフォー独身者のミス・ポリーはいよいよ、姪っ子とご対面です。
11歳。ポリアンナ・ホイッティア。
ちょうど五年生くらいなので、物心もついているし多感な時期ですね。
大きな屋敷や家具にびっくりして喜んでいるので、ミス・ポリーは、この子には虚栄心があるのだと決めつけちゃってます。
色眼鏡です。
これは読んでいくと分かりますけど、この子は単に素直なだけなのです。
どうして殺風景な屋根裏部屋を選んだのか、ミス・ポリーの考えが書いてありますが、これは決して、意地悪からではありませんでした。
・一人が好きで静かに暮らしているのに、環境が変化するのは耐えられないから、なるべく自分から離れた場所にいてほしい(家庭内別居の提案)
・いきなり何も知らずに子供がガンガン走り回って、貴重な家具などを傷つけるのは避けたい。
子供はおかまいなしですよね。
子供を持たない人が、子どもと一緒に遊びに来る人を心配して
(来る前)「かなり乱暴なタイプだし、親が注意しないので心配です」
(来た後)「弁償してもらってもよいですか?子どものしたこと?わたしの心が狭いですか?」
すごくよくある質問です
(そんなんばっかチェックしてるのかよ~)
・テリトリーにズケズケと入ってくるのが苦手というか、静かに過ごしているのだから、そっとしておいてもらいたい。
・居心地のいい空間を維持しているのだから、そこは配慮してほしい。
妹子「何こいつ、わたしこのおばさん嫌い!」
いつの間にか乱入していた。
やっぱり、私が読んでいると読むのだな。
導き出された方程式「親が読むと子どもも読む=親が児童書を読むべき」
昔は当然のように、妹子の考えと同じでした。(ミス・ポリー=何こいつ)
ミス・ポリーの気持ち、今となっては痛いほどわかります。
◇
しかし、この屋根裏部屋、あまりにもほかの部屋と差がありすぎ、殺風景すぎて、ポリアンナはショックを受けます。
でもこの少女は境遇のどんなところからも、楽しいことを見つけようとします。
最初に見つけたのは窓からの景色!
ナンシーはさぞショックのあまり涙に濡れているだろうと想像してますが、この子はいつまでもメソメソしていませんでした。
窓から木に飛びうつり、するする降りて遊びに行ってしまいました。
つよい。
◇
今、あれこれと見たり聞いたりしてきた中で思いだすこともあるのですが、こういう系統の天真爛漫なお子さんを嫌う人って必ずいます。
ひとめ見ただけで、「あっ、こういう子嫌いだわ」って言う人。
ポリアンナ、あの人たちに言われちゃいそうだな~。
と思いながら読んでました。
いらない経験が入ってしまった。
心の汚れた大人とはこういうものだな…。
「苦手なタイプ」と最初から決めつける。
それは女子だけじゃなくて男子も同じですが、そりゃあ人間なので相性がありますから、苦手な子がいるのは、世間で苦手なタイプの人がいるのと同じ確率であるとは思うのですけど、「ひとめ見て」ってのはどうなんでしょうか。
逆にそういうテリトリーを意識し、配慮できる子というのは、小賢しいとみられる傾向があって、 どっちにしても前途多難です。
いきなりそりゃああんまりだよ。
もうちょっと見てあげようよ。
って言いたいけど余計なことは言えないからいつも黙ってるけど…。
……と思いながら読み進めていると、ポリアンナの明るくポジティブな考え方は、亡くなったお父さん仕込みであることが語られます。
ポリアンナは、努力してポジティブになろうとしているのです。
頑張ってるのです。
ただ、ひたすら天然でポジティブなんじゃないのです。
つらいことが多いのに、自分なりに一生懸命、この生きづらい世の中を生きようとしてるのです。
◇
おばさんと姪のご対面です。
ミス・ポリーは、とりあえず厳格にしようとしていますが、ポリアンナは口を開くより前にまず飛びつきます。
飛びついてぎゅっとしてくるのです。
まさにテリトリー、プライベートエリアなんてぱっと飛び越えてくる行動です。
子いぬか。
これはかわいい。
ミス・ポリー、「うまくものが言えなく」なってしまいます。
この、「何ていっていいかわからなくなる」「うまく言えなくなる」というのが次々に重なって、しかもそれが、
あれ、いやではない……かな……?
あれ……?
というのが、非常に非常に非常~~に、よく描けている作品です。
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両親をなくし、ひとりぼっちで叔母の家に引き取られた少女・ポリアンナ。亡き父との約束「何でもうれしいゲーム」を通して、町中の人たちや、かたくなだった叔母の心をとかしていく……。
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『少女ポリアンナ』から6年後.成長したポリアンナは,ポリーおばさんといっしに滞在先のドイツから帰国した.幼友だちのジミーは見違えるような青年になっており,恋が芽生える.みずみずしい青春編.
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少女ポリアンナ (10歳までに読みたい世界名作)
エレナ ポーター (著), 横山 洋子 (監修), 鯉沼 菜奈 (イラスト), 立原 えりか (翻訳)
叔母の家に住みはじめた11歳の少女・ポリアンナは、「幸せゲーム」でまわりの人たちの心をあたため、奇跡を起こしていきます。そんなある日、ポリアンナは交通事故にあってしまい…。さくさく読める世界名作シリーズ第17弾。
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よろこびと愛をはこぶ少女『ポリアンナ』…感動の名作。読みやすい新訳〔完訳版〕
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エレナ・ポーターによるアメリカ児童文学の傑作「Pollyanna」の新訳&全訳です。母親を亡くし、牧師だった父親とも死に別れることとなった11歳の少女ポリアンナは、大きなお屋敷で暮らす独身のおばさんミス・ポリーに引き取られます。〝うれしい遊び〟で辛さや悲しみを乗り越えようとするポリアンナは、やがて町中の人たちを勇気づけ、さらには「義務」で引き取ったおばさんの心をも溶かしてゆくのですが、そんなポリアンナにさらなる試練が……。
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トキメキ夢文庫 少女ポリアンナ
エレノア・ホグマン ポーター (著), ルイーザ・メイ オルコット (著), 新星出版社編集部 (編集)
明るく前向きな少女ポリアンナがみんなを幸せにしていく!人気の名作をお子さんにも読みやすいように編集しました。物語の冒頭やハイライトに漫画を取り入れ、挿し絵も豊富に盛り込むことで、はじめて名作にふれるお子さんでも楽しく読めるように工夫しています。時代背景や物語の舞台について写真を交えた解説もあり、理解を深めます。小学6年生までに学習する漢字を使用(すべてふりがな付き)。
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愛する両親を亡くしてしまった11歳のパレアナは、気むずかしいおばさんに引き取られることに。冷たくされて寂しい思いをするが、パレアナの明るさと素直さはやがて回りの人々の冷たい心を溶かして……?
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