今日、ご紹介するのは児童書です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
11歳のポリアンナは,牧師の父を亡くして孤児になり,母の妹である独身のポリーおばさんに引き取られた.天真爛漫なポリアンナは持ち前の明るさで,子ども嫌いの気むずかしいポリーおばさんや,孤独に暮らす金持ちの老人など,周囲の人々を変えていく.
大人が読む児童書「少女ポリアンナ」1 忘れていた何かを思い出す
読みながらも、とりあえずフラグを探しています。
フラグフラグ。回収はどこだ。
ポリーおばさんの昔の恋人だという人です。
「その人」…?
シルクハットのぶっきらぼうな男の人が出てきました。
ジョン・ペンデルトン。
名前に何か既視感はありますけど、関係ないない。メモメモ( ..)φ。
この人、めちゃくちゃ羨ましい生活です。
・変わり者で大金持ち。
・一週間ごとに、帰ってきたり旅に出たり。
・旅行先はいつも見知らぬ外国。エジプト、アジア、サハラ砂漠
・帰ってくると本を書く。外国で見つけたものについて
世が世なら、カリスマ旅行ブロガーです。
しかももともと金持ちだから、炎上なんて気にしなくてもいい。
最高の生活ッ!
でもあまり幸せそうではありません。
とりあえず、ミス・ポリーの恋愛フラグの候補としてメモに入れておきます。
◇
ひがみやのおばあさんに対するボランティア(慈善)活動は、ちょっと考えさせられました。
世の中のすべてが楽しくない、介護されてるおばあさんと、介護づかれをしている娘さんです。
他人事とは思えません。
この介護されてるスノウ夫人は、みかけほどボケていません。
まだしっかりしているから、余計につらい。
ポリアンナは無理してるところもあるのですが、過去の話を聞くかぎり、今があの頃より不幸だとかいうことはない状態です。
でも大好きだったお父さんもいないし、あの頃より幸福だということもなく、日々を自分なりに一生懸命がんばっているのです。
この「よろこびの種を探す」「ものごとの楽しい面を見つける」というのは、ポリアンナの不断の努力の結果です。
みんな、無邪気でけなげなポリアンナと話していると、忘れていた何か、失われた何かを思い出します。
しかし、その無邪気で無意識の言動がおとなを傷つけることもあります。
介護されている半身不随のおばあさんに、
「皆が自分と違って歩き回れることを喜べるはず」
なんて言います。
な……な……なんてきついひとことなんだ!
これは、さすがに、キッツイ!
おばあさん、まさにそこがつらくて、へそまがりになってたのに…。
だからって、介護する人や、慈善してくるひとに当たり散らしていいわけではないだろうけど、でも……。
ポリアンナ、あまりにも無邪気なので、おばあさんは顔色を変えるのですが返事をすることができません。
牧師だったお父さんの、キリスト教の価値観をあまりにも素直に頭から信じ来んでいるのです。
こういう、子供がやりがちな、無意識の残酷さ、無神経さまできちんと描いている所がすごいと思いました。
ポリアンナ、これは、ただ無邪気なだけで終わらず、手痛いしっぺ返しをくらうことになるのではないか?
ひとごとながら心配になってる間に、ペースにすっかり巻き込まれてしまったポリーおばさんは、ポリアンナの部屋を殺風景な屋根裏部屋から、ちゃんとした部屋に変えました。
ポリアンナに、さかんに「わたしのすてきな部屋へどうぞどうぞ」と招かれているうちに、「さすがにこの部屋はないかな」と思いはじめたのです。
ついにポリアンナ、かたくなだったおばさんのパーソナルスペース、共有エリア内に進入許可です。
◇
ここからは、ミス・ポリーの過去の恋愛フラグの回収に入って来るし、これはさすがの私も
絶対にネタバレしたくない
と思う箇所なので、どうか是非読んでみて欲しいと思います。
あれこれさかのぼって、20回ぐらい読み返しました。
ちょうど市役所に来て読んでいたので、マスクの下でニヤニヤが止まらなかった箇所でもあります。
こういうテンプレは何度読んでもいいものです。
つっけんどんで感じの悪いミス・ポリーが変化していく!
過程が!
たのしい!!
です!
(机バンバン)
◇
そのほか、ポリアンナを読んでいて気になったところ。
・ポリアンナ、ハックルベリー・フィンのような浮浪少年ジミーと知り合うのですが、このエピソードを通して、婦人会の慈善のやみを見ることになります。
ボランティアもきっと、たくさんの闇があるのでしょうね…。
でもやらない善よりやる偽善と言いますしね…。
きっと、やらない善よりやる偽善を念頭におきつつも、そのような闇からも目をそらさない、というのがおとなの理想なのでしょう。
・岩波少年文庫訳、古いからかもしれませんがよく出てくるフレーズがあります。
おどろき桃の木さんしょの木
この「驚き桃の木山椒の木」は、確か瀬田貞二訳のナルニア国でも出てきていました。
しかし、それ以外でリアルで聞いたことありませんでした。
わたし「これって聞いたことある?」
だんな「タイムボカン」
わたし「マジで!?」
だんな「最初は落語かな?」
ネットで調べてみたら、確かに落語がもとになっているようでした。
◇
終盤、いたましい事件が起きる直前に、教区の腐敗や争いに悩む牧師さんが聖書の中の厳しい非難のことばを頭に並べ立てているとき、ポリアンナに出会います。
牧師さんは、ポリアンナとの会話の中で、聖書の中に優しい愛と許しの言葉も書かれていることを思い出すのでした。
キリスト教に馴染みがないこどもなんて、さーっと読み飛ばすところだとは思うのですが、おとなにとっては、おそらくこの箇所は、キリスト教における「幼子のようであれ」という所を言いたいのだろうなと解釈しました。
そして、聖書や(もちろん仏典も)、宗教的な経典の中には、激しい非難の言葉も、いとおしむ愛と許しの言葉もどちらも含まれており、どちらに目を向けるかは読んでいる人の心の問題なのであるということ。
どちらを求めている人にもひとしく受け入れる余地があるのだということを書いてるのだろうなと思います。
この直後に起きる悲劇は、これからの、ポリアンナに訪れた苦難と苦しみは、物事にはよい面ばかりではないということを………。
ウッ( 涙)
市役所なのに泣いてしまった箇所はここです。
本を読みながら笑ったり泣いたり、非常に変な人でした。
介護されているスノウ夫人に放った、あの一言が、これ以上ない形でポリアンナ自身に降りかかってきました。
そのとき、当のスノウ夫人がどれだけ悲しんだか…。
元気になって、落ち込んでいた気持ちも上向いてきていたか。
ポリアンナに励まされてきたすべての人が、みんなポリアンナを心配……。
ウッ( 涙)
◇
妹子「なぜポリーおばさんはアイスをたべないんだ?あんなにおいしいのに。おとなだって食べたがるんだぞ、爽とかスーパーカップとか」
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両親をなくし、ひとりぼっちで叔母の家に引き取られた少女・ポリアンナ。亡き父との約束「何でもうれしいゲーム」を通して、町中の人たちや、かたくなだった叔母の心をとかしていく……。
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『少女ポリアンナ』から6年後.成長したポリアンナは,ポリーおばさんといっしに滞在先のドイツから帰国した.幼友だちのジミーは見違えるような青年になっており,恋が芽生える.みずみずしい青春編.
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少女ポリアンナ (10歳までに読みたい世界名作)
エレナ ポーター (著), 横山 洋子 (監修), 鯉沼 菜奈 (イラスト), 立原 えりか (翻訳)
叔母の家に住みはじめた11歳の少女・ポリアンナは、「幸せゲーム」でまわりの人たちの心をあたため、奇跡を起こしていきます。そんなある日、ポリアンナは交通事故にあってしまい…。さくさく読める世界名作シリーズ第17弾。
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よろこびと愛をはこぶ少女『ポリアンナ』…感動の名作。読みやすい新訳〔完訳版〕
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エレナ・ポーターによるアメリカ児童文学の傑作「Pollyanna」の新訳&全訳です。母親を亡くし、牧師だった父親とも死に別れることとなった11歳の少女ポリアンナは、大きなお屋敷で暮らす独身のおばさんミス・ポリーに引き取られます。〝うれしい遊び〟で辛さや悲しみを乗り越えようとするポリアンナは、やがて町中の人たちを勇気づけ、さらには「義務」で引き取ったおばさんの心をも溶かしてゆくのですが、そんなポリアンナにさらなる試練が……。
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トキメキ夢文庫 少女ポリアンナ
エレノア・ホグマン ポーター (著), ルイーザ・メイ オルコット (著), 新星出版社編集部 (編集)
明るく前向きな少女ポリアンナがみんなを幸せにしていく!人気の名作をお子さんにも読みやすいように編集しました。物語の冒頭やハイライトに漫画を取り入れ、挿し絵も豊富に盛り込むことで、はじめて名作にふれるお子さんでも楽しく読めるように工夫しています。時代背景や物語の舞台について写真を交えた解説もあり、理解を深めます。小学6年生までに学習する漢字を使用(すべてふりがな付き)。
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愛する両親を亡くしてしまった11歳のパレアナは、気むずかしいおばさんに引き取られることに。冷たくされて寂しい思いをするが、パレアナの明るさと素直さはやがて回りの人々の冷たい心を溶かして……?
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