~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

大人が読む児童書「とぶ船」1 児童書は世界へのとびら

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

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今日の一冊

 

とぶ船
ヒルダ・ルイス (著), ノーラ・ラヴリン (イラスト), 石井 桃子 (翻訳)

ピーターがある日、うす暗い小さな店で手に入れた古い小船は、なんと魔法の「とぶ船」でした。ピーターたち4人きょうだいはこの船で、エジプトやウィリアム征服王時代のイギリス、北欧神話の世界にまで冒険旅行をします。

 

 

子ども時代に大・大・大好きだった、思い入れのある児童書です。

 

一時期絶版になっていて絶望していたのですが、岩波さんが復刊してくれてその時は本当に嬉しかったです。
上・下巻ある大長編ですが、妹子も、なご助も大好きです。

 

イギリスは本当にすばらしい物語の宝庫です。

 

長かったヴィクトリア朝時代。
産業革命によって爆発的に発展したイギリスは、(世界に国々にとって)功罪はあれど、黄金期を迎え、私たちを夢中にさせた王道児童文学の傑作もこの時期に醸成され、数々生み出されています。

 

 

岩波さんの添え書きによると作者のヒルダ・ルイス(1896年~1974)。
ロンドンに生まれノッティンガムに暮らし、大人向けの歴史小説を書きました。
ひとり息子のハンフリのために書いたのだとのこと。

 

「タイムファンタジーの傑作」
ほんとうにそうです。傑作です。

 

ヒルダ・ルイスは、ヴィクトリア朝末期に生まれていますから、もうほぼ次世代の方なのですが、これを読んでいると明らかにイギリスの王道児童文学の形式を踏襲しています。

 

その形式とは何かというと出てくる子供たちが4人。
4人の兄弟姉妹なのです。

 

 

砂の妖精をはじめとするイーディス・ネズビット。1858年から1924年
アーサーランサムは1884年から1967年。
ナルニア国のC・S・ルイスは1898年から1963年。

 

これらはみな主人公が4人の兄弟姉妹です。

 

これは研究したわけでもなんでもない私の想像なので話半分に聞いていただきたいのですが、4人というのは子どもたちのどの立場にあってもどこかにはまってくる子がいるはずです。

 

兄であり姉であり弟であり妹である。
世話焼きタイプであり空想家であり、やんちゃであり、困らせや。

 

つまりどんな子供が読んでも、そのうちの誰かに自分をおいて楽しむことができるという子供に対する心、児童文学を書こうという、子どもに読んでもらおうという、はっきりとした目的を感じます。

 

 

「とぶ船」は、明らかに「ネズビット風」ではあり、不思議なグッズを手に入れた4人の子供たちが、およそ1話完結であちこちを旅をしてしっちゃかめっちゃかの騒動を巻き起こす、というその大筋の骨組みは、ネズビット作品群とほぼ同じです。

 

しかしやはりこの本が私にとって特別であるというのは、その1つ1つの旅先が実に多彩で、歴史的な考証にちゃんと彩られてリアルであることです。

本当に自分がその時代に行ったような気分になれます。

 

とぶ船が好きすぎて、図書館から10回も20回も借りてきたのですが、でもなぜか買ってはもらえませんでした。
大人になってから自分で買い求め、ついでに英語版も買いました。

 

ある時は北欧神話にすっかり魅せられて、そうだ確かうちに北欧神話の本があったはず(赤本の児童文学全集)と思って、詳しく読みふけりました。

 

エジプト、北欧神話の世界、古代のイギリスに興味を持ったのはこの本がきっかけでした。

 

「児童書は世界へのとびらである」という、典型例のような作品です。

 

 

この本、上下2冊なのですが、開いて見ると分かりますが文字がそんなにぎゅっと詰まっていません。
上巻下巻ともに、どちらも八章ずつあり、合計16章です。

 

「トムは真夜中の庭で」が、文字がぎゅうぎゅうに詰まっており、ページ数も多くて一巻で27章あったのに比べると、ずいぶん違います。

 

でも、「トムは真夜中の庭で」は、1巻で完結していたからいいのであって、あれは巻を変えるということはありえません。
切れ目なく1つの物語として完結しているイメージです。

 

「とぶ船」ならそのおもしろさに、上巻を読んで下巻を読まないという選択肢はないので、そこはやっぱりこのもとの物語が持つ力に対する信頼のようなものを感じます。
出版社さんの絶妙な判断です。

 

ここに出てくる4人兄弟は、
ピーター、シーラ、ハンフリ、サンディ・グラント。

 

どちらかと言うと兄弟たちそのものよりはこの話のキーになる「魔法の船」そのものがあまりにも強烈で、どこに行ったか、何をしたかの方がずっと強く心に残っています。

 

 

どちらかというと、この本の紹介は、あらすじよりも「どこへ行ったか」を中心に伝えていきたいと思ったので、最初に並べてみます。

 

・おかあさんの病院
・現代エジプトのバザール
北欧神話アースガルド
ノルマン・コンクエスト時代の中世イギリス
・エジプトの発掘現場
古代エジプト
ロビン・フッド

 

そんなにエジプトにばかり行ってたかな!?

こうして書き並べてみると、ずいぶんエジプトに特化していました。
世界の色んな所に行ってると思ったのですが、主にエジプトと昔のイギリスだった。

 

何となく気になったので調べてみます。

 

1922年、ハワード・カーター、ツタンカーメン王の墓を発掘。
1939年、「とぶ船」出版
1953年、石井桃子、「とぶ船」翻訳、出版

 

と、こういうことでした!

 

やっぱり、考古学の先生とのシーンは、すごくハワード・カーターっぽいなと前から思っていたのです。
そして、ちょうどこの頃、わたしはハワード・カーターにもハマっていましたっけ。

 

山岸凉子さんが、最近、電子書籍解禁しましたが、その中にツタンカーメンがあります。
これは、ツタンカーメンのお話ではなくて、ハワード・カーターのお話なので、連載されたときとても嬉しかったです。
ツタンカーメン (全4巻)
山岸凉子(著)

ハワード・カーターが大好きです。
ちょっと真面目で好青年の、融通のきかない誠実でスマートな、山岸凉子版ハワード・カーターがすごくすごくかっこいいです。

 

ツタンカーメンの発見は世紀の大発見でしたから、ヒルダ・ルイス女史もこのときめきを、興奮を、子どもたちと分かち合いたい!と思ったのかもしれません。

 

何となく、おとなになって読み返してから、こんな所で、自分のハワード・カーター萌え(萌えって言うな)を、とぶ船のヒルダ・ルイス、山岸凉子といった世代の女性と同じところに発見したような気がして、いま、勝手にとても感動しています。

 

 

 

 

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The Ship That Flew (English Edition)
Kindle版 英語版 Hilda Lewis (著), Beebliome Books (編集)

The model Viking ship lay in the window of a little old shop in an unfamiliar back street, and Peter, on his way to the dentist, lost his heart to it at once. It cost him all the money in hist pocket, including the fare home. That was how he came to take the way along the beach which led him into grave danger, but also opened his eyes to the magic properties of the little ship in his hand—the ship that flew.

 

 

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砂の妖精
イーディス ネズビット (著), H R ミラー (イラスト), 石井 桃子 (翻訳)

ロンドンから田舎に移り住んだ子どもたち4人。彼らは砂の中に棲んでいるサミアドという不思議な妖精に出会います。その魔法の力で空を飛んだり、巨人になったり…愉快な冒険物語。

 

 

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ライオンと魔女―ナルニア国ものがたり〈1〉
C.S.ルイス (著), ポーリン・ベインズ (イラスト), 瀬田 貞二 (翻訳)

地方の古い屋敷にやってきた4人きょうだいが、ある日大きな衣裳だんすに入ると、そこは雪の降りつもる別世界、ナルニア国だった。ナルニア国ものがたりシリーズ第1作。1985年刊の新版。

 

 

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ツバメ号とアマゾン号
アーサー・ランサム (著), 神宮 輝夫 (翻訳)

夏休み、ウォーカー家の4人きょうだいは、小さな帆船「ツバメ号」に乗って、子どもたちだけで、無人島ですごします。湖を探検したり、アマゾン海賊を名乗るナンシイとペギイの姉妹からの挑戦をうけたり、わくわくするできごとがいっぱい!

 

 

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火の鳥と魔法のじゅうたん
イーディス ネズビット (著), H.R.ミラー  (イラスト), 猪熊 葉子 (翻訳)

ロンドンに住む5人の兄妹は子供部屋のじゅたんを焦がしてしまい、新しいじゅうたんを買ってもらったら・・・なかには不死鳥の卵が・・・空飛ぶじゅうたんと不思議な力を持つ不死鳥と数々の冒険をするのですが、願いはかなえられるけど、意外な結果に・・・日常にふとまぎれこんだ「魔法」を楽しく描くネズビットの傑作

 

 

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「ナルニア国ものがたり」全7冊セット
C.S.ルイス (著), 瀬田 貞二 (翻訳)

押入れやクローゼットを開けたとき、この向こう側に行ってみたいと、ふと思うことがある人。それは『ナルニア国ものがたり』をかつて夢中になって読んだ人にちがいない。第二次世界大戦中のイギリスの片田舎。ロンドンから疎開してきたピーター、スーザン、エドマンド、ルーシィの4人きょうだいが学者先生のお屋敷を探検するところから、この壮大な物語は始まる。

 

 

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ツタンカーメン (全4巻)
山岸凉子(著)

「我は汝を王と成さしめる者なり」。1903年エジプト。封印されたファラオの墓発掘に挑むハワード・カーターはテントの中で枕元に立つ金のサンダルを履いた男から不思議な言葉をかけられた。彼の人生をかけた挑戦が、始まりを告げる。ツタンカーメンの王墓発掘を描く冒険歴史ミステリー。

 

 

 

 

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