~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

大人が読む児童書「くるみわり人形」4 読了 すべての争いのはじまり。それは……あぶら身。

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

くるみわり人形
北見 葉胡 (イラスト), E.T.A. ホフマン (著), 村山 早紀 (著)

クリスマスの日、マリーは、おくりものの中に、りっぱな服に身をつつんだ、くるみわり人形を見つけます。すっかり、このお人形が気に入ってしまうマリー。しかし、真夜中になると、家の中で音がきこえ、おどろきの光景を目にすることになります……!世界中で愛され読みつがれてきた名作に、現代の児童文学作家たちが新しい命をふきこんだ、ポプラ世界名作童話シリーズ。

 

 

今日の一冊「くるみ割り人形」クリスマスのホラー

大人が読む児童書「くるみわり人形」1 マルチパンのなぞ。

2 きらびやかさの中にひそむ不可思議な仕掛け

3 クリスマスの夜に起きる、人形とねずみの大戦争

 

典型的なクリスマスの物語といわれる「くるみ割り人形

 

クリスマスは過ぎてしまいましたが、しかしこのマリーちゃん。
気持ちわるいねずみの王様と思っちゃうの大戦争に巻き込まれたのは、まさにそのクリスマスの夜です。

 

そしてマリーのくるみ割りの物語はクリスマスに始まって、その後もずっと続いていきます。

 

なんとなくバレエ作品などでは、
「クリスマスの一夜の夢」
という扱いをされているような気がするのですが、全然そんなことはなく、クリスマスがこの不思議な物語の始まりだったのです。

 

 

ドロッセルマイエルさんが語る、くるみ割り人形の事情を語る「かたいくるみのおとぎ話」は三章にわたって続きます。

 

大筋を言ってしまうと
(古典的名作なので、もうネタバレも今更です)

 

・ピルリパート姫という姫が、ねずみのマウゼンリンクス夫人に呪われて醜くなってしまった。
・クラカトゥクのくるみという、かたいくるみを割って食べさせることが呪いを解く方法。
・これを命令されたのが「ドロッセルマイル」という、偶然にも同じ名前の男だった。☜え?
・「ドロッセルマイル」の甥っ子が、その役割を受けることになった。
・魔法を解く方法は、半分成功し、姫は元どおり美しくなったが、失敗した部分もあり、ドロッセルマイエルの甥っ子は、醜い姿になってしまった。

 

 

つまりあのくるみわり人形は、魔法をかけられた「偶然にも同じ名前のドロッセルマイエル」の甥っ子のなれの果ての姿のようなのです。

 

今度はこのくるみ割り人形の魔法を解かねばなりませんが、これは
「マウゼンリンクス夫人の孫の、七つの頭のむす子を、くるみ割り人形が自分の手で殺し、かつ、醜い姿にもかかわらずある上流婦人から愛されたとき」
だそうです。

 

あー読めたわ。
と思わないで、ぜひ抄訳でない完全版を読んでみてもらいたいと思います。
このお話は、細かい所に面白味があるのです!!

 

しかし多分バレエでもっとも見せ場であり、長いパートである、金平糖の踊りなどさまざまな踊りを妖精の国で披露するあの部分は、かなり終盤の1章程度に過ぎません。

 

 

妹子「あぶら身のところはやんないの?」
わたし「えーあそこ好きなの?」
妹子「だってあそこをやらなきゃ意味ないじゃん。紹介してよ」

 

確かにあぶら身のところは面白いからな。

 

というわけで、終盤の展開は、是非読んでもらいたいところですが、それとは別に、少し戻って、ドロッセルマイエルさんが話した「かたいくるみのおとぎ話」の中でも、ちょっと細かい部分のエピソードをご紹介したいと思います。

 

 

くるみわり人形が、もともと自分のせいでもなかった呪いを引き受けたのはピルリパート姫のためでした。


この姫が呪いを受けることになった訳があります。
例によって親戚を招待しなかったとかしたとかそういう話っぽくはあるのですが……。

 

つまりこういうことです。

 

王様(姫のお父さん)が、ある日大宴会を催しました。

そこでお妃様が自ら台所用のエプロンをかけて調理していたのですが、

 

いよいよ、あぶら身をさいころの形に切って、銀のあみの上で焼く、だいじなところになりました。

 

銀の網の上で焼いていいのかどうかとか、いろいろ突っ込みどころがありますが、多分ゴージャスさを演出したかったので銀になったんだろうなと思います。

 

王様の宮殿には、マウゼンリンクス夫人という、王さまと親類だと言い張っている「かまどの下に宮廷をかまえる」者(……?あきらかにねずみ)が住んでいました。

おきさきさまが、ちょっとだけ分けてもいいと行ったことが災いして、あぶら身はほとんど食べ尽くされてしまいました。

 

この「あぶら身」、「ちょうづめ」に入れるのですけど、おそらくは、というかほぼ間違いなくソーセージのことです。

 

王さま、この出来上がったソーセージを食べるのですが、その時の様子がこうです。

 

肝臓のちょうづめが出たとき、王さまはしだいしだいに顔色が青ざめ、天井に目を向け──かすかなため息を胸からもらして──どうやら、はげしいいたみで、胸をかきむしられるようにみえました。

 

王さま、顔を手でおおって、嘆いたり悲しんだりします。
みんなが看病するんですが、様子が治まる気配がありません。

何だ何だ。
いったいどうしたんだ。

 

深い、なんともいいようのない悲しみが、王さまの胸をせめさいなんでいるらしいのでした。

 

あれこれと薬をためし、力を尽くして看病した結果がこうです。

 

ようやく王さまは、いくらか正気にかえられたようすで、口ごもりながら、ほとんど聞きとれないくらいの声でこうおっしゃいました。
「あぶら身が少なすぎるよ。」

 

妹子「いやどんだけ~!あぶら身どんだけ~!」

 

この王様が嘆き悲しんでいる様子、およそ1ページにあたって、延々と続いています。
私も笑ってましたが、妹子もここは面白いと言って、腹を抱えて笑ったところでした。

 

食べ物の恨みは恐ろしく、 このあぶら身の恨みこそ、マウゼンリンクス夫人の一族と、ピルリパート姫のお父さんの王さまとの、長い戦いと魔法の応酬の原因となったのです!

 

 

この王さまも、肝心のピルリパート姫も、非常にわがままで自分勝手な人間です。

 

自分の呪いを解いてくれようとした若者なのに、醜くなると
「どこかへ連れて行って!見たくもない!」
と叫びます。

 

さてこうなってくると、先の大戦争でのマリーの 優しさが際立ってきます。

 

マリーに対して、ドロッセルマイエルさんはこんな風に言うのでした。

 

「くるみわりを助けてやれるのは、きみだけだ……おじさんではだめだ。しっかりがんばって、まごころをつくしてあげなさい。」

 

 

この有名な「くるみ割り人形

きっと、バレエを機会に存在を知って、読んでみたいと思うお子さんもきっといることと思います。

 

きらびやかで美しいクリスマスの贈り物の中で、マリーが不格好で醜いけれど、誠実であたたかいくるみ割りに目をとめる。

とても大事なことを示唆しているように思います。
人にとって大切なのは外見ではなくて、行動と誠実さで決まる、というようなことです。

 

たしかに「くるみわり人形」には、私が読んでいてもちょっと夜に読むのははばからられるような不気味さがあります。

 

それは決しておとぎ話の範疇を出るものではなく、かえってこのきらびやかなクリスマスを彩る効果を演出するものではあるのですが。

 

たくさんの子どもたちを、夢と幻想、また紙一重の所にあるホラー展開にさそい、怖がらせたり、どきどきさせたりしてくれることと思います。

ある時はロマンティックであり、ある時は大戦争の勇ましさであり、おとぎ話もあり、人間の醜さ、本当の真心とはいったい何なのか…。

 

児童書の古典。
間違いなく、名作中の名作の一冊です。

 

 

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くるみ割り人形 白鳥の湖 バレエ名作物語 (集英社みらい文庫)
ひかわ玲子 (著), 碧風羽 (その他)

クリスマス・イヴのパーティで、名づけ親のドロッセルマイヤーさんから、くるみ割り人形を送られた少女クララは、その夜、不思議な体験をする…「くるみ割り人形」。悪魔に呪いをかけられ、白鳥の姿に変えられてしまったオデット姫。夜の湖で出会ったジークフリート王子と恋に落ちるが…「白鳥の湖」。世界中で上演されている、チャイコフスキーの人気バレエ2作品が、ロマンチックなファンタジー小説に!【もくじ】はじめに/くるみ割り人形/白鳥の湖/解説 少女の夢のつまった世界(深沢美潮

 

 

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ラビリンス 魔王の迷宮 (字幕版)
Amazonプライム

おとぎ話が大好きな少女サラは、泣き止まない幼い弟に腹を立て、愛読書"ラビリンス"に出てくる呪文を唱えてしまう。その瞬間、魔王ジャレスが本当に現れ、彼女の希望通り弟を連れ去ってしまう。慌てたサラは弟を取り戻す為、迷路を抜けてゴブリン・シティの城へ向かうが…。

 

 

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とぶ船
ヒルダ・ルイス (著), ノーラ・ラヴリン (イラスト), 石井 桃子 (翻訳)

ピーターがある日、うす暗い小さな店で手に入れた古い小船は、なんと魔法の「とぶ船」でした。ピーターたち4人きょうだいはこの船で、エジプトやウィリアム征服王時代のイギリス、北欧神話の世界にまで冒険旅行をします。

 

 

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くるみ割り人形 白鳥の湖 バレエ名作物語 (集英社みらい文庫)
ひかわ玲子 (著), 碧風羽 (その他)

クリスマス・イヴのパーティで、名づけ親のドロッセルマイヤーさんから、くるみ割り人形を送られた少女クララは、その夜、不思議な体験をする…「くるみ割り人形」。悪魔に呪いをかけられ、白鳥の姿に変えられてしまったオデット姫。夜の湖で出会ったジークフリート王子と恋に落ちるが…「白鳥の湖」。世界中で上演されている、チャイコフスキーの人気バレエ2作品が、ロマンチックなファンタジー小説に!【もくじ】はじめに/くるみ割り人形/白鳥の湖/解説 少女の夢のつまった世界(深沢美潮

 

 

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やかまし村の春・夏・秋・冬
アストリッド リンドグレーン (著), イロン・ヴィークランド (イラスト), 大塚 勇三 (翻訳)

かまし村はスエーデンの小さな農村。クリスマスにはショウガ入りクッキーを焼き、復活祭には卵パーティーで大もりあがり!夏休みには宝物をさがしに湖の島へ。子どもたちの四季おりおりの遊びやくらしを、いきいきと描きます。小学3・4年以上。(「BOOK」データベースより)

 

 

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ママお話きかせて―冬の巻
(小学館のお話シリーズ)

初版と新版は、表紙デザインが異なります。日本昔話、イソップ童話などが90話収録。毎日ちゃんと読み聞かせても三か月分あり、読み応え十分。挿絵はダイナミックかつ個性的で、家族の話題作りにもいかがでしょうか。

 

 

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こうさぎのクリスマス
松野正子 (著), 荻 太郎 (イラスト)

両親がキツネに追われたまま帰ってこないので、兄ウサギのラビーと妹ウサギのルビーは、二人だけで暮らしていました。森で薪をひろいながら、他の家にはどこもクリスマスツリーが飾ってあるのを見て、ラビーはルビーに「うちにはサンタクロースなんかこないよ」といいます。でも二人はそっとお互いのためにクリスマスの贈り物を……。心にしみいるお話が柔らかなタッチで描かれます。(福音館https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=03-0249

 

 

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子うさぎましろのお話
佐々木 たづ (著), 三好 碩也 (イラスト)

サンタクロースからもらったおかしを食べてしまった子うさぎのましろは、またほしくなってもらいにいくのですが……。

 

 

 

 

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