~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

大人が読む児童書「とぶ船」3 あのトトロに影響?病気のお母さんのエピソード

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

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今日の一冊

 

とぶ船
ヒルダ・ルイス (著), ノーラ・ラヴリン (イラスト), 石井 桃子 (翻訳)

ピーターがある日、うす暗い小さな店で手に入れた古い小船は、なんと魔法の「とぶ船」でした。ピーターたち4人きょうだいはこの船で、エジプトやウィリアム征服王時代のイギリス、北欧神話の世界にまで冒険旅行をします。

 

 

大人が読む児童書「とぶ船」 児童書は世界へのとびら

大人が読む児童書「とぶ船」2 古い、うすぐらい小道のうすぐらい店に魔法は待っている

 

ほかの兄弟姉妹たちとピーターが合流してから、この船のことを兄弟たちが信じるようになるまでは、せっかく面白いところなので、ここは省くとして、この船を使っての、この四人兄弟姉妹たちの最初の冒険です。

 

「お母さんのところに行ったエピソード」

 

これについて、わたしは前々から、ちょっと言いたくてたまらなかったこと、誰かに賛同を求めたかったことがあります。

 

というのも、この病気のお母さんに会いに行くエピソード。

 

・お母さんが病気であり、会うことができない
・なんだか難しそうな病気であるらしい
・子供たちはみんな元気に暮らしているのだけれど、どこかでおかあさんのことで影が落ちている。
・みんなお母さんを心配しているし寂しがっている
・魔法の船で夜にこっそりお母さんに会いに行く
・お母さんの寝顔をみんなで見る
・夢かと思われるが、子供たちが持ってきたバラの花が残っている

 

これ、どこかで見たり聞いたりしたような話だと思いませんか?
そうです!
あの「となりのトトロ」にそっくりなのです。

 

「とぶ船」の翻訳は1953年。
「となりのトトロ」は、1988年公開です。そして、昭和30年代(1955年~)が舞台です。
どうです?ぴったりだと思いませんか?

 

ジブリ作品は、児童書をモチーフとした作品が多いです。
魔女の宅急便ハウルアリエッティ、マーニー、ゲド戦記など。
そして千と千尋は、「霧のむこうのふしぎな町」が影響を与えていると言われていますし、ラストシーンにも、名作児童書をオマージュしたと自ら宮崎駿監督が書かれているシーンが存在します。

 

はっきり確認したことではないんですけど、どう考えても絶対この長年愛されてきている超有名な「とぶ船」の児童書の存在、内容を宮崎駿監督が知らないわけはなく、この「お母さんに会いに行く」部分になんとなく感銘を受けて、日本の子供達の話にしてトトロを描いたのではないのかなと、長年思ってきました。

この場合、船は猫バスになったわけです。

 

全く関係がないのじゃないか?と思われる方は是非、この「とぶ船」を読んでみてもらいたいと思います。

あまりにも似ていますので。

 

(ちょっと見つけられなかったのですが、以前、トトロの映画を観た当時からずっと「とぶ船」との類似性を指摘していたと主張されている方のブログもありました。)

 

 

決してパクリであるとか言いたいわけではなくて、例えば、ディズニーのライオンキングが、手塚治虫ジャングル大帝に似ているなどと言われたこともあるわけです。

それにお母さんに会いに行くエピソードは、この長編の「とぶ船」のごく一部分の類似性にすぎません。

 

それでもやっぱり、あの昭和という時代に、いかに優れた作品が、大小さまざまな影響を与えてこんにちの名作が生まれてきたという背景もあるのではないかと思っています。

 

なのでこの「となりのトトロ」「とぶ船」の類似性をもっとアピールして、ぜひたくさんの子供たちに「とぶ船」を逆アピールしたいと私は考えているわけです!

 

 

ここからは様々な国への旅立ちです。

…と言いたいところでしたが、今回読み直し調べてみたところ、ほとんどエジプトであったことが判明しました。

 

ツタンカーメンの大発見があった頃では無理もありません。
この発見の後、しばらく発掘熱がイギリスでは続いたそうですから。

 

最初に子供達が行ったのは4章「ナイルの岸」
現代エジプトのバザールです。
(現代といっても、当時の現代なので、かなり昔ではあります)

 

ピーターがお休みの宿題でエジプトの研究文を書かなくちゃならなかったからなのですが
じゃあ行ってみよう☆
というテンションがまさにドラえもんです。

 

しかしこの場合は、何か起きたときに対応する道具を出してくれるネコ型ロボットはいないので、4人兄弟が自分たちで何とかしなければなりません。

 

 

この船、古代に行くならともかく現代をとぶときは、ちゃんと空中を飛んでくれます。
なので、英仏海峡をすぎフランスの上を飛んで地中海を抜け、シシリー島のエトナ山の煙を見て、海の色がだんだん濃くなってくるという、この上なく素晴らしい旅です。

 

さらに、お世話係のガートルードが作ってくれた素晴らしいお弁当!
バザールの素晴らしいお菓子の数々!

 

マジパン=マルチパンだということを、ここで知りました。

 

マルチパンというのは、「くるみわり人形」にたくさん出てきていました。
その時は、何か特殊なパンなのだろうと思っていましたが、マジパンのドイツ語が、マルチパンだったのです!
衝撃の事実!

 

読み返してみたところ、子どもの頃のわたしは、このとき4人が食べたお菓子の素晴らしさにあまりにも夢中になっていて、その後の大変な展開の内容はすっかり忘れていました。

 

この回の記憶はもう、食べ物しかありません。
イギリスはメシマズだと言われるのですが、いまだに信じられません。
(本場イギリス料理を食べたことのない人)
おいしいイメージしかありません。

 

 

次に行くのは、北欧神話の世界!
これは胸熱です。

オーディンにフリッガ、フレイ、ロキなどが登場します。

 

詳しく書いてしまうと面白くないので、詳細は省きます。

 

これらの神々が子どもたちと会話するのですが、妙に人間臭すぎず、神性を保っていて、言うことも予言めいていてどこか神秘的です。
そこがとても良いのです!!
作者は、やはり神様は神様でいてもらいたいと思う、そこのさじ加減をようくご存じです。

 

これまでの冒険や、神々の助言によって、子どもたちはより、この船を使いこなせるようになりました。

 

何よりもありがたいのは、船首の金色のイノシシの首をなでて願えば、古代に行ったときにも、四人兄弟姉妹の姿もその当時の人々の姿になり、ことばもわかるようになる、ということでした。

 

現代エジプトの時には、言葉が通じなかったのでえらいことになってしまったのです。

 

これで、準備は整いました!

 

七章で、このお話最大の盛り上がり、いちばん面白いところ。
ノルマン・コンクエスト時代のイギリスに出発です。

 

 

 

 

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The Ship That Flew (English Edition)
Kindle版 英語版 Hilda Lewis (著), Beebliome Books (編集)

The model Viking ship lay in the window of a little old shop in an unfamiliar back street, and Peter, on his way to the dentist, lost his heart to it at once. It cost him all the money in hist pocket, including the fare home. That was how he came to take the way along the beach which led him into grave danger, but also opened his eyes to the magic properties of the little ship in his hand—the ship that flew.

 

 

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となりのトトロ
宮崎駿 (監督)

大人から子どもまで、幅広い年齢層に支持され続ける宮崎駿監督による代表作のデジタルリマスター版。昭和30年代の田舎を舞台に、仲良し姉妹・さつきとめいと、不思議でチャーミングな生き物・トトロとの心温まるふれあいを描くファンタジーアニメ。

 

 

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クラバート
オトフリート=プロイスラー (著), ヘルベルト=ホルツィング (イラスト), 中村 浩三 (翻訳)

ヴェンド人の少年3人組で村から村への浮浪生活をしていたクラバートは、ある時から奇妙な夢を見るようになる。「シュヴァルツコルムの水車場に来い。お前の損にはならぬだろう!」という声と止まり木に止まった11羽のカラスの夢。 その声に従って水車場の見習となったクラバートは、昼は水車場の職人として働き、金曜の夜には12羽目のカラスとなって、親方から魔法を習うことになる。(小山由絵)

 

 

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霧のむこうのふしぎな町 (講談社青い鳥文庫)
柏葉 幸子 (著), 杉田 比呂美 (イラスト)

心躍る夏休み。6年生のリナは1人で旅に出た。霧の谷の森を抜け、霧が晴れた後、赤やクリーム色の洋館が立ち並ぶ、きれいでどこか風変わりな町が現れた。リナが出会った、めちゃくちゃ通りに住んでいる、へんてこりんな人々との交流が、みずみずしく描かれる。『千と千尋の神隠し』に影響を与えた、ファンタジー永遠の名作。

 

 

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小人の冒険シリーズ 全5冊セット
メアリー・ノートン (著), 猪熊 葉子 (翻訳), 林 容吉 (翻訳)

イギリスの古風な家の床下に住む小人の一家。生活に必要なものはすべて、こっそり人間から借りて暮らしていましたが、ある日、小人の少女アリエッティがその家の男の子に見られたことから、小人たちの運命に大きな変化が……。イギリスファンタジーの傑作「小人の冒険シリーズ」全5作

 

 

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思い出のマーニー
ジョーン ロビンソン (著), ペギー・フォートナム (イラスト), 松野 正子 (翻訳)

養い親のもとを離れ、転地のため海辺の村の老夫婦にあずけられた少女アンナ。孤独なアンナは、同い年の不思議な少女マーニーと友だちになり、毎日二人で遊びます。ところが、村人はだれもマーニーのことを知らないのでした。

 

 

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ハウルの動く城 (全3巻)
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ (Author) , 西村醇子 (Translator) , 市田泉 (Translator)

魔法が本当に存在する国で暮らす18歳のソフィーは、「荒地の魔女」に呪いをかけられ、老婆に変身してしまった。家を出て、悪名高い魔法使いハウルの動く城に、掃除婦として住み込んだソフィーは、暖炉に住む火の悪魔と仲よくなる。やがて、ハウルもまた「荒地の魔女」に追われていると知ったソフィーは…? 英国のファンタジーの女王ダイアナ・ウィン・ジョーンズの代表作。スタジオジブリのアニメーション映画「ハウルの動く城」原作。【解説】荻原規子

 

 

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くるみわり人形 (ポプラ世界名作童話) (日本語) 単行本 - 2018/11/10 北見 葉胡 (イラスト), E.T.A. ホフマン (著), 村山 早紀 (著)

クリスマスの日、マリーは、おくりものの中に、りっぱな服に身をつつんだ、くるみわり人形を見つけます。すっかり、このお人形が気に入ってしまうマリー。しかし、真夜中になると、家の中で音がきこえ、おどろきの光景を目にすることになります……!世界中で愛され読みつがれてきた名作に、現代の児童文学作家たちが新しい命をふきこんだ、ポプラ世界名作童話シリーズ。

 

 

 

 

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