今日の一冊「たまごからうま」 ありえないことを指す言葉、展開もありえない。
今日、ご紹介するのは絵本です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
ある日、男が市場へうまを買いにいきました。ところが、お金が足りなくてかわりに馬のたまごを買いました。さて、そのたまごから、かえったのは…? 次から次へと動物たちが登場する、奇想天外なベンガル地方の民話。
むかしばなしは世界のさまざまな地域に分布していて、似ているものから全く聞いたことがないものまで、実に色んなものがあります。
同じようなモチーフでも、やはりそれぞれの地域や文化によって彩りが違っていて、とても興味深いものです。
「たまごからうま」
これはベンガルの民話と言うことで珍しいなあと思って開きました。
◇
「たまごからうま」というのはありえないことを指すらしいです。
あとがきに作者の酒井公子さんが書かれていますが、
20数年前、カルカッタ出身のインドの友人が「それはうそだ。ありえない。うまのたまごだよ。」というのを、面白いと思いました。「日本語では、おなじことをなんというのか?」ときかれたので、眉につばをつけてみせると大笑いされた思い出があります。(ベンガル地方では、いまも日常的に「それは、うまのたまごだ!」というそうです。
考えてみれば眉に唾をつけるっていうのもとても変わっています。
もともとの話ではジャッカルだったのを、きつねに変えたようですね。
こういう風に、文化や風俗を説明してくれているあとがきが大好きです。
◇
いつも楽がしたいと考えているなまけもののダーという男。
名前もなんだか変わっています。
楽をしようと思って市場へうまを買いにきました。
市場の様子の絵がとても素敵です。
カラフルな服装の男性や女性が入り混じって、エキゾチックな露天でいろんなものが売られています。
うまは高くて買えないなと男が考えていると、なんだか怪しげな男が寄ってきました。
顔も怪しいですし、「特別にお安くしとくよ」なんてことも言ってます。
次のページを開けると男が「わたくしが詐欺師のロールモデル」ぐらいの、いかにも怪しげな顔で、ダーに持たせているのはものすごくでっかいカボチャです。
「これは、とくべつにあしのはやいうまのたまごだ」
なわけねーだろ
ふざけんな
ぶん殴るぞ
とはならず、ダーは喜んでかぼちゃを買って帰りました。
あ~あ。
◇
ですが重いので、途中で道ばたにねころんで眠りこけてしまいました。
そこにやってきたのがきつねです。
うっかりかぼちゃにつまずいて、田んぼの中に蹴落としてしまいました。
…………。
ジャッカルならいいのかと言われるとそういうわけでもないですが、
絵的にあまりにもでっかいかぼちゃだったので、キツネがかぼちゃを跳ね飛ばすというよりは、かぼちゃがキツネを跳ね飛ばしそうな大きさなのですが、このかぼちゃはきっと、中身も薄くてすっからかんだったんですね。
◇
逃げていくきつね。
起き上がったダーは、てっきりきつねが生まれたばかりの馬だと勘違いして、壮絶な追いかけっこが始まります。
もうめちゃくちゃですけど、夕日の中を真っ赤に照らされた田んぼと、雄大な光景の中を走って行くダーときつねの見開きの絵、素晴らしく美しいです。
狐は森に逃げ込んで、ダーはあとを追いかけます。
今度はさる、次はとらと、うまには形も大きさもかすりもしないような、どうしてそれを間違えるのか?というどうぶつたちを次々に追いかけて、みんなとんだ災難です。
とまあ、こうどうしようもない話なのです。
オチもあるようなないような……。
ただ、笑えることは確かです。
考えられないような無茶苦茶なことが次々に起きますから。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
おばあさんが大切に育てた麦をヤギが食べ散らしてしまいます。クマもオオカミもかなわなかったヤギを、なんと豆つぶほどのハチが見事に退治してしまいます。
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継母に虐げられていた素直で優しいプンクが、山の牧場でおなかをすかして働いていると、キツネの頭とヤギの頭を合わせもつ不思議なヤギ、ドーン・チョーレチャが食べ物を出してくれました。それを知った継母はドーンを殺して食べてしまいます。プンクがその骨を集めて山の牧場に埋めると、そこから、おいしいまんじゅうがたくさんなる大きな木が生えてきました。そこに鬼の夫婦がやってきて……。ネパールの民話を力強く大胆に美しい絵で描きます。
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山の神である石の獅子の言いつけを守り、黄金を手に入れた正直者の弟と、欲張りすぎて罰を受けた兄。日本人にも親しみのあるストーリーが、雄大なスケールで描かれます。
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風に吹かれて巣からころがり落ちた、まいごの卵が、お母さんをさがしています。あたりにいた恐竜たちも心配して、たまごの親さがしに協力します。やがて、夕方になったとき、奇跡がおこり、たまごの親がだれなのかがわかりました!ようやくお母さんと再会できた、まいごのたまごは、翌朝、ぶじに孵ることができました。
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いいなあ。オレも、なかまにはいりたいなあ。やせこけたトラは、宮殿のひろまで楽しそうにごはんを食べている王さま一家が、うらやましくてたまりません。ある日、宮殿の庭にじゅうたんが干されているのを目にしたトラは、とんでもないことを思いつきます! ケイト・グリーナウェイ賞作家による、とびきりゆかいな絵本。
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むかし、アディ・ニハァスという村の12人の男たちが、粉をひいてもらうために、マイ・エデガという町へ行った。 帰り道、一人が仲間を数えたが、自分を数えるのを忘れたので、11人しかいなかった。 「たいへんだ! 誰かがいないぞ! 」 …さてそれからどうなった?! 読み聞かせに楽しいエチオピアの昔話です。
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