~可愛いは正義!から大切なことへ~「あおいめのこねこ」
今日ご紹介するのは、
たいへんかわいらしい絵本です。
青い目の元気なこねこは、ねずみのくにをみつけにでかけます。途中、さまざまな困難にあっても、前向きに進んでいくこねこは、同じく、ねずみのくにを探す黄色い目の5匹のねこたちに出会い、一緒に暮らすことにします。ある日、犬に襲われた黄色い目のねこたちを助けようとしたこねこは、急に吠えた声に驚いた拍子に犬の背にとび乗ってしまいます。犬は背中に青い目のこねこをのせたまま駆け出し、そして行きついたところは……。
さかなにぱしゃんとやられ、はえやかをつかまえたり、自由に生きるこねこの旅です。
いかにもねこといった感じです。
「あおいめのこねこ」は気にしません。
このこねこには、鈍感力があります。
けれど、無神経ではない。
なにより可愛いです!!!
可愛いは正義。
私情はおいて、あおいめのこねこは、きいろいめのねこたちの国に付き、何となく嫌味を言われます。
多様性と、たくさんの同一性のなかのひとつの異質とは意味が違います。
異質であるものがたくさんある時にはそれは すでに 異質ではないのです。
しかし同一性のなかで異質であっても、こねこはまったく気にしません。
え?ぼくきれいじゃん
どこもへんじゃない
この類稀なるポジティブシンキング。
この手の話においては、ちょっといないタイプです!
まあ、だいたいにおいてこのようなはみだし者が物語になる場合、疎外感を感じて悲しい気持ちを抱いたり、最終的には融和を迎える姿に安心したり共感を得たりするものです…。
今は何かの物語を語る上でも、共感を得るのが大切、と言われます。
(言われているのを最近読みました)
しかし、本当に共感がすべてでしょうか?
作者の言いたいこと、意図するところがそれなりにはっきりしているため、わたしは読んだ時にはっとした思いを抱きました。
自然に和を乱さないことに迎合している自分の普段の価値観が見えました。
さまざまな本に触れることは、さまざまな人の生き方や考え方を知ることです。
このねこは、自分の特異性を違和感ではなく長所として受け止めています。
「和を乱すこと」に価値を置いていません。
「人はそれぞれ異なるもの」というよりは、「絶対的な個」として自分を捉えているからです。
それは、「集団の中で異質なものとして自分をとらえる個」とはまた別格のものです。
この気にしないこねこの行動力!
人の言うことなど一切気にせず、そこにエネルギーを使わない代わりに...何かを成し遂げる余力を残しています。
人にはそれぞれ役割があり、集団となった時に「和を乱さないことを監視する役割」もまた、集団を維持するために必要となることもあるでしょう。
ですがこの本を一読しておくことは、空気を読むことを最大の美徳としている日本の価値観で育つ子供たちにとって、なかなかに重要な意味を持つものとなるでしょう。
この「空気を読む」学校や集団の場で、自然と身についてしまいます。
しかし、そうでない子がはじかれた時、自分がどうしても迎合できないとき、自然と和からはずれた(はずされた)時に、どうすればいいいのか?
そうなったときに、この物語が心のどこかに記憶として残っていてくれたなら…。
どう行動するべきなのか、どう考えるべきなのかという、一つのモデルとなってくれる…かも、しれません。
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