再読「エルマーのぼうけん」 2 ねこの説明、カラフルで芸術的な挿し絵の魅力。
大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。
この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
エルマーのぼうけん
ルース・スタイルス・ガネット (著), ルース・クリスマン・ガネット (イラスト), わたなべ しげお (翻訳), 子どもの本研究会 (編集)
年取ったのらねこからどうぶつ島に囚われているりゅうの子どもの話を聞いたエルマーは、りゅうの子どもを助ける冒険の旅に出発します。どうぶつ島ではライオン、トラ、サイなど恐ろしい動物たちが待ちうけていました。エルマーは、知恵と勇気で出発前にリュックにつめた輪ゴムやチューインガム、歯ブラシをつかって、次々と動物たちをやりこめていきます。エルマーはりゅうの子どもを助け出すことができるのでしょうか?
この、のらねこさんは、年取った船乗りのイメージです。
「年取った船乗りは、物知りで、世界のさまざまなことを知っている」という、海外の児童書に特有のイメージがあります。
小さい頃に、読み飛ばしていた「ねこの説明」。
冒険にそのまま突入していましたから、わたしがきちんと読み始めて覚えていたのは
3.エルマー しまをみつける
からでした。
一章と二章の
1.ぼくのとうさん ねこにあう
2.エルマー にげだす
を、最初から順序だてて読んでみると、第一人称が「ぼくのとうさん」から、「エルマー」 にはっきりと変わったのは、エルマーのお母さんがねこを連れてきたことに怒りながら
「エルマー・エレベーター!」
と名前を呼んだ時からでした。
◇
ねこは、エルマーに、みかん島とどうぶつ島がどういう感じなのか、ていねいに話をしていきます。
島の真ん中を流れているどろ川や、わたし船の役割をしてくれているようだけど、ぜんぜん頼りになりそうもない上に腹をすかせているワニだとか、詳しく話すので、エルマー
「だけど、ひこうきと、いまのはなしと、どんなかんけいがあるの?」
ねこのせつめいがあまりながいのでエルマーは、がまんができなくなってききました。
ちょうど私も我慢ができなくなってくるところでした。
しかし、ここで、出ました!
りゅうの子です。
空からおっこちてきた、ちっちゃな子どものりゅうです。
・大きさは大きなくろくまぐらい。
・からだには、きいろと、そらいろのしまがある。
・つのと、目と、足のうらは、目のさめるような赤。
色鮮やかで、とてもきれいです。
「エルマーのぼうけん」では裏表紙になりますが、見ていても、いつも本当にカラフル心浮き立つような色彩です。
どうして、このねこが、長い時間をかけて丁寧に、どろ川と、あてにならないワニの話をしていたのか、わかりました。
どうぶつたちは、この赤ちゃんりゅうをつかまえて、「川わたりもんだい」の解決をはかることにしたのです。
りゅうの赤ちゃんが、けがをして飛べない間に、首にふといなわをつけ、虐待しながら児童労働を強いて働かせます。
ものすごいおもいにもつをはこばせたり、それで、もし、りゅうがもんくをいえば、はねをかじったり、からだをたたいたりしました。
最低です!
犯罪です!
ねこは、エルマーのやさしさを見て、この人はと見込んで、りゅうをたすけるのをやってみては、と頼んだのでした。
エルマーは、やってみることにしました。
「お母さんがねこにあんまりしつれいなことをしたので」腹を立てていたのです。
半分、家出のようなものでした。
エルマーは、ねこと一緒に時間をかけて準備を整え、綿密に計画を練ります。
ねこは一緒に行くことはできませんが、あらゆる面でアドバイスをしました。
この準備する品のリストは、とても楽しい所です。
流し読みしていたようでも、ここだけは強烈に覚えていました。
輪ゴムや、じしゃくなど、色々ありますが、やはり一番強烈なのは
チューインガム
ももいろのぼうつきキャンデー2ダース
はブラシとチューブいりはみがき
などです。
特に、ももいろのぼうつきキャンデー2ダースは、しばらく自分の憧れになりました。
お弁当がすごいです。
ピーナッツバターとゼリーをはさんだサンドイッチ25個。
腐っちゃわないのだろうか…?
ねこは、船に乗るときにも活躍します。
おかしななきごえをして、番人の気をひいているうちに、エルマーは船にのりこみ、密航をします。
このときの、波止場でいっぴきで船を見送るねこの絵がとても可愛らしいです。
◇
この絵がとても素敵なのですが、何となく、新印象派と呼ばれる点描で書かれているものにスタイルが似ています。
でも、本当に点描で描かれているのかどうかは確認できませんでした...。
この絵をもっと色鮮やかにして、ほのぼのとした感じです。
どうぶつ島のジャングルといい、芸術的で大好きです。
この絵で、ワラワラと出て来るさまざまなどうぶつたちが、強烈ですごく印象に残ります。
つづきます。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
エルマーのぼうけんセット
ルース・スタイルス・ガネット (著), ルース・クリスマン・ガネット (イラスト), 渡辺 茂男 (翻訳)
エルマー少年とりゅうの子の冒険物語3部作。ユーモアたっぷりのお話は、読むものの心を空想の世界に羽ばたかせながら、物語のリアリティーに引き込みます。幼年童話の最高峰として読みつがれているロングセラー。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
エルマーとりゅう
ルース・スタイルス・ガネット (著), ルース・クリスマン・ガネット (イラスト), わたなべ しげお (翻訳), 子どもの本研究会 (編集)
「エルマーのぼうけん」の続編。ぶじ動物島を脱出したエルマーとりゅうが、「知りたがり病」という病気をめぐって大活躍。一度読みはじめたらやめられない抜群のおもしろさです。
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エルマーと16ぴきのりゅう
ルース・スタイルス・ガネット (著), ルース・クリスマン・ガネット (イラスト), わたなべ しげお (翻訳), 子どもの本研究会 (編集)
エルマーのお話の完結編。やっと家に帰りついたりゅうを捕えようと、人間どもがやってきます! エルマーは、りゅうの家族を救おうと、りゅうの家にやってきます。心躍る結末です。
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