「冒険者たち ガンバと15ひきの仲間」がとても面白かったのと、家族のノロイに対する力説(ノロイ最強最悪説)を確認したくて、アニメ版も見て見たくなりました。
イタチと戦う島ネズミを助けに,ガンバと15ひきの仲間は、船で夢見が島に向いました。しかし、白毛のノロイがひきいる、どうもうなイタチの群れに追いつめられ、海岸の岩山で最後の決戦の時をむかえます。
さらに、ガンバの冒険のWikipediaを見ていた所、こんな記述が…。
動物のキャラクターながら日本のアニメ史上でも屈指の恐ろしい悪役として知られ、藤田和日郎による『週刊少年サンデー』に連載されていた少年漫画作品『うしおととら』の白面の者のモチーフになったと言われている。
漫画「うしおととら」は大好きだったし、悪役の白面の者はこれはもう怖さが半端なく怖い感じでしたので、非常によく覚えています。
白面の者のモチーフになるとは、これは相当なものです。
というわけで、Amazonプライムですが、まず1話を見て見ました。
頑張り者のネズミ・ガンバは、相棒のボーボと一緒に、海を一目見ようと港町までやってくる。そこで出会った子ネズミの忠太が、自分たちの島の仲間を助けて欲しいと求めてきた。力自慢のヨイショや博学のガクシャといったネズミ仲間とともに、大海原へ乗り出すことを決意する。だが、目的の島には脅威の白イタチ・ノロイが待ち構える。小さなネズミ7匹が繰り広げる波乱に満ちた大冒険。他に類を見ない表現にドキドキハラハラの連続だ。(C)斎藤惇夫/岩波書店・TMS
ガンバの声は安定の野沢雅子さん。
ノロイの声はねずみ男、フック船長で覚えのある大塚周夫さん。
かわいくほのぼのとした絵です。
見始めました。
...!?
なんだか、すごく、上手いです。
アニメというより、映像として技術、演出がものすご~くうまいです。
絵はもちろん、アニメ黎明期の線画のそれなのですが…。
カット割り、アングル、光と影の使い方、音楽の入れ方、ワンカットの長回し風の流れの中で次々にカメラ(?)の位置を変えていく...。
素人目からしても、びっくりするほど引き付けられます。
こんなクオリティの高い演出を駆使するなんて、技術が発達した今のドラマや映画でもなかなか見られません。
そして、ガンバが皆と仲良く騒いでいる所に、唐突な沈黙!
シーンとなりました。このギャップがすごい。
雷の音と沈黙と、白黒の映像...。
忠太がよろよろとやってきました。血が滴ります。
(床にしたたる血がなんだかすごくリアルです)
そして忠太の語るイタチの被害と、ノロイという名前に反応するねずみたち...!
海から(ゴジラ並の大きさで)赤い口を開きカッと現れるノロイの姿…!!
こ…怖い!!!
ねずみたちのノロイの名前に対する恐怖心がすごいです!
アニメの「動かし方」「撮り方」「演出」によって、これほどの迫力が出せるんだと感嘆しました。
だんなは、幼稚園の時に見てトラウマになったようです。
ノロイの恐ろしさが深く刻み込まれたのも、このアニメ自体の出来の良さと無関係ではないのだな、と思いました。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
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※ここからはアニメおよび、原作のネタバレを含みます!!
名作なのでぜひ読んでから・見てからおすすめします。
アニメで印象に残ったところ
・7~9話、黒ギツネのザクリ編。
リスのクリークの覚悟が胸に痛いほどです…!
「リスには爪も牙もない、でも欲しいんだ!大きな牙が…!」
これは本当に子ども向けのアニメなのでしょうか!?
まだ序盤で、しかもまだ旅の途中でイタチの影もないのに、こんな盛り上がりを見せてこれなら、ノロイはどうなっちゃうんだろう!?と思いました。
・キツネ、ねこ、犬(野良犬と猟犬と両方)、そしてイタチと、あらゆる外敵に襲われます!
そのすべてがものすごくこわく、そしてどうぶつの動きがすごいです。
ガンバたちも服を着たり二本足で立ったりしていますが、走って逃げるところはまんまネズミの動きと走り方です。
・15話「鷹にさらわれたガンバ」、人間との束の間のふれあい。
このアニメ作品はすべて、人間が灰色で塗りつぶされており、ほぼ存在はありません。
ネズミの目線、鼠の世界としての物語のきりとりが際立ちます。
そこで唯一と言える人とのふれあい…。
孤独な山男が、雪山でひとり孤独にさいなまれていたとき、鷹にさらわれてひとり、山小屋に逃げ込んできたガンバを見つけます。
これまで灰色の恐ろしい怪物でしかなかった人間、その個人のやさしがしみる、とても良い回でした。
・23話「裏切りの砦」、これはガンダムなのかな?というような、ハードなエピソードをぶっこんできました。
食料を持ってやってきてくれた高倉ネズミたち、このままではまったくノロイに対してなすすべもないまま、全員殺されてしまったことになります。しかも食糧もムダに。
ノロイの恐ろしさがひしひしと心に迫ります。
一郎が死んだときのイカサマの悔し泣きがとても印象的でした。
・ノロイ
噂に違わぬ恐怖の大王感満載でした。とても勝てそうにない感がすごいです。
ノロイが出る頃には、ガンバのアニメをもはや家族全員で見ていました。
バカにしていた上の子も釘付けです。とても目が離せないのです!!
そして、要所要所のコマ回しや演出が抜群にうまいので(うますぎるので)、目を離すことが出来ません。
ノロイの恐ろしげな顔のカットがバァ~ン!!とすごいタイミングでアップになります。(だんな「ヒィー!!怖い~っ!!!」)
ラストに向けてのガンバの頑張りが本当にすごかったです...。
そして、最後の最後の最期まで、ノロイは最強の敵で在り続けました。敵役の誇り...、この目に焼き付けられました。
さすがに、言われるだけのことはあるノロイでした…。
アニメと原作のちがい
・15ひきの仲間は多すぎるからでしょう。
2~3びきをあわせて1ぴきにしていました。
原作でのマンプク+ボーボ+アナホリ→アニメのボーボ
原作でのイカサマ+イダテン→アニメのイカサマ
といった感じです。
・ノロイの島に着くまでが原作は短い。
アニメは26話の中、1~16話までがロードムービーになっています。
原作は、割とあっという間にノロイの島に着きますので、全編ほぼノロイとの戦いになっています。
・リーダー
アニメでは、リーダーをどうするかでもめたり、仲間なんだからリーダーのようなものはない、という風になりますが、原作でははっきりとリーダーをガンバと決めます。
リーダーを決めないと、現場で緊急事態に到った時の即時判断が出来ないからです。
このあたりが、全編ほぼイタチとの戦いなのもあって、原作は緊迫感に満ちた出来になっています。
・ガクシャ
ガクシャは原作では、本当に尊敬すべき大学教授のようなキャラであり、だいたいガクシャの言うことに従っていればほぼ間違いないかもしれない、という感じです。参謀将軍といった雰囲気です。
みずからの知識と作戦に自信のあるタイプだからこそ、最後の作戦が破れた時の心の折れ方がいっそう胸にしみます。
・イタチとの戦いかたが原作は慎重
着いた直後から、とにかくガンバたちはイタチに見つからないように細心の注意を払います。
ノロイの怖さに関しては、アニメの方が数十倍割り増しで怖かったです!
・イカサマ。
娘「(アニメの)イカサマかっこいい。イカサマ好き…」
昔で言う渡世人風の、ちょっと斜に構えた一匹狼のイカサマはかっこいいいです。
原作のイカサマは、アニメのイカサマともまた違ったカッコよさなので、ぜひイカサマファンは原作を読んで欲しいです。
アニメで高倉ネズミの一郎が死んだ所のショックの涙などは、原作でボーボが死んだときのイカサマの涙に通じるところがありました。
(原作のボーボ、アナホリの特技があるわけでもなく、ただぼうっとしているだけなのにものすごい働きを見せます…)
・潮路
もっとも違いがあったのは潮路です。
すべてにおいて完璧と言えるすばらしいアニメ作品でしたが、わたしは潮路に関してだけは不満でした...。
というより、原作の潮路がとても良かったのです!!
原作の潮路は、大和撫子な守られるヒロインではなくて、ときには女なんだからという意見に真っ向から物申し、自ら戦う女戦士のような存在でした。
だからこそ、「今言って!」と言われた時にどうしてガンバは言わなかったのか…。
潮路はどうして、惑乱したように自殺行為とも言える行動に出たのか…。
ガンバのさいごの「潮路ぼくは…」という叫びの切なさ…。
(→胸がいっぱい)
アニメ作品を見たことがあるかたは、ぜひ原作を!!
原作を読んでみて欲しいです。
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