今日、ご紹介するのは児童書です。
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今日の一冊
大人が読む児童書「写楽暗殺」2 あれ、私たち入れ替わっちゃったぁ~?
伝統芸能への興味は、なかなか難しいです。
ワンピース歌舞伎や、ナウシカ歌舞伎など、歌舞伎業界も頑張ってはいますけど…。
歌舞伎はともかく、お能はなかなか…。
「狂言」はゆかいでわかりやすくて、実によい切り口です。
古文の入り口として、もっと注目されて欲しいです。
この写楽暗殺にハマったあと、狂言を読んで、それからお正月にやっている「髭櫓」を見つけてテレビで見て見ました。
皆で押さえつけ、人間ほどもある大きな毛抜きを使って、威張る男性の立派な髭を引っこ抜きます。
まんが日本偉人伝→源氏物語
日本むかしばなし集→宇治拾遺
「写楽暗殺」→狂言集・浮世絵
と言う風に興味をもちました。
復刊、全力で希望です。
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言及さてれいる伝統芸能関係(食べ物も入ってますけど…)の続きです。
🎀北斎と写楽が顔を合わせ、お互いの似顔絵を描き合うシーンはとても胸熱です。夢のようなシチュエーションです。描いた絵は、それぞれ夕一郎とお栄ちゃんがもっていってしまいます。
🎀北斎がいずれ「富嶽三十六景」に挑むこと、狂言「釣狐」をいずれ夕一郎が踊ることのへ夢予知のような示唆があります。「釣狐」は、狂言は猿にはじまり狐に終わる、と言われるように、一人前の狂言師として認められるための儀式のような作品だとのこと。
🎀新しく夕一郎が世話されることになった、江戸の寺のお坊さまのご馳走。大皿いっぱいに花のように広げられた薄い刺身、ふぐです。(自分でさばいてるみたいです)、ふぐと白菜の鍋物、白子。
🎀蔦谷とのお抱え絵師の契約が成った写楽、数々の錦絵が頭をめぐります。勝川春章の役者似顔絵、春好の焼き物の役者絵、春英の相撲絵、北尾政美の武者絵、そして歌麿の美人大首絵。
🎀お栄ちゃんをもう一度描かせてもらう写楽。歌麿の「高名三美人」への言及。おひさ(薬研堀の煎餅やの娘)、おきた(浅草の水茶や、難波屋の娘)、豊雛(新道の女師匠)
🎀鉄の分銅で(忍者か!)襲われる写楽ですが、全身の当て身で返り討ちにします。二世坂東三津五郎の石井源蔵を描きあげ、蔦谷重三郎を驚嘆させます。
🎀写楽となった十郎兵衛都は、五月五日の夏興行に合わせて大首絵を次々に描く。座の「花菖蒲文禄曽我」から十一枚、桐座の「佐々木岸柳──志賀大七敵討乗合話」から六枚、「花菖蒲思弁」から一枚、河原崎座の「恋女房染分手綱」から九枚、「義経千本桜」から一枚。
🎀疲れた写楽の脳裏に浮かぶ「竹生島」小段キリの一節。光も輝く金銀珠玉を─。「海人(あま)」小段玉ノ段の一節。人々喜び引揚たりけり──
このあと大変だ大変だと「一心太助みたいな言い方をした」報告が来て、写楽の絵が大評判となったことが知れるのですが、一番盛り上がるところです。
この「てぇへんだてへぇんだ~」という時代劇特有の呼びかけも漫画に今もみられますが、誰ももう「一心太助」がわからなくても、生活に根付いて、どこかで息づいて残っているのを感じます。
🎀写楽がお栄ちゃんにあげた、「松本米三郎のけわい坂の少将」「三代目市川八百蔵の田辺文蔵」
🎀写楽が夕一郎にあげた、「三代目坂田半五郎の藤川水右衛門」
写楽の絵が大評判になった章のもくじは、「イッツ・ア・ビューティフル・デイ」
次第にわかってくるのは、このお話は写楽のお話だったということです。
「夕子がいれかわっちゃった夕一郎」と、「明らかに夕子そのものであるお栄ちゃん」
二人して、写楽という人物の歴史の生き証人として、その短い栄枯盛衰を見届けるのです!
名もない絵師だった男が蔦谷に見出され、大成功をおさめる写楽…!
なのに、謎の組織とともに、死の影がちらちらとつきまとっています。
写楽のその売れ方や生き方もどこか、花火のようにぱっと打ち上げて華々しく消える、太く短い生き方、運命のようなものを感じさせます。
北斎がその対極に位置していて、自分は百まで生きて蔵いっぱいの絵を描き残したいと言いながらも、写楽のことを心配すします。
ほんとうに写楽という人、北斎という人はこうであったかもしれないという生き生きとした描写になっています。
🎀写楽の次の作品都座「けいせい三本傘」、河原崎座「二本松陸奥生長(みちのくそだち)」、気晴らしで能を舞う「鞍馬天狗」、狂言「花子」、描いているのは三代目市川八百蔵の八幡太郎義家(源吾成重)
🎀曽我兄弟の仇討のストーリー解説。
🎀写楽の死を目の当たりにして、気を失う夕一郎の脳裏に、狂言「福の神」の小謡がよぎる
写楽は、夕一郎のお父さんがらみの敵が放った刺客(若い女)に、心臓に一突きを浴びて崩れ落ちてしまいます。
謎は謎のまま、写楽の命が切れると同時に物語も終焉を迎え、夕一郎は、夕子となって我に返ります。
目が覚めた夕子は、すべてを忘れてしまっていました。
でも、狂言師に挨拶に行き、狂言師のおじさんは「こ太りのおじさん」にそっくりでした。
そして、靭猿を演じていた少年、栄一郎。
栄一郎=お栄ちゃん
ここで、見事に一つの輪が完成してました。
お栄ちゃんと夕一郎の、男女逆になってもう一度めぐり逢う逆転現象!
写楽の死という悲劇的な終わり方をしていますが、冒頭の夕子から始まった物語が、栄一郎との出会いで、今後の明るい展望を示して終わる。
江戸時代の夕一郎がいずれ狂言師として大成し、「釣狐」を踊ることが出来るようになるのは、作中で暗示されているので、そこはあまり不安な思いは抱きません。
読後もすっきりとして、ちっともいやな感じではありません。
この本を読むと、男の子は女の子になり、女の子は男の子になれます。
復刊、全力で希望です。
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江戸を代表する浮世絵師の1人、東洲斎写楽の役者絵を集めたコレクションです。
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役者絵で名高い浮世絵師・写楽は、その生涯がまったく謎につつまれ、今日まで多種多様の人物像が描かれてきたが、その決着はついていない。本書は、美術に造詣の深い、日本文学界の巨匠である著者が、その鋭い分析と大胆な推理に基づいて、日本美術の点と線を明かす、興味深いひとつの試論である。
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なぜ「能」と「狂言」はセットになることが多いの?初心者はどこに注目すれば楽しめる?難しそうだけど理解できる?眠くなったらどうしよう…。名曲「野宮」を一曲丸ごと解説しながら、能の番組の見どころや衣装、作り物の鑑賞ポイントを紹介します。
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隣の山に、どこより早く見事に桜が咲いているのを見つけたタチバナは、一族を引き連れ花見の宴を始めます。それを見た山の住人、栗は面白くありません。文句を言いに押しかける栗とタチバナ一族の駆け引きが笑いを誘います。しかし多勢に無勢、栗はやり込められ逃げ帰ります。が、今度は栗が山の木の実仲間をひきつれ乗り込み、桜の下での合戦の大団円。さて、その勝敗やいかに?果物を主人公とする珍しいこの物語は、狂言「木の実争い」を下敷きにして、華やかでチャーミングな絵を得て、見事な絵本になりました。
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