オーノワ夫人「青い鳥」5 バレエ「ブルーバード」の結末をさっくりと
後半は、もしかするとバレエの青い鳥のあらすじを調べてここにたどり着いた方のために、ざっくりの説明にしておきます。
これで興味を持った方は、ぜひ図書館で探してみてください。
国立国会図書館に所蔵されているのは確認ずみです。
オーノワ夫人「青い鳥」3 バレエ「ブルー・バード」の衣装の羽
◇
今度は、女王になったフロリーヌが国を大臣たちにあずけ、シャルマン王を取り返すために、冒険の旅に出ます。
もちろん、フロリーヌ姫は、シャルマン王の顛末を知らないので、唐突に青い鳥が来なくなったという事しかわかりません。
鳥を探して旅をするのですが、色々なことが起こります。
その中でも、スーシオは自分の姉であると打ち明ける、美しい仙女が一瞬だけ、現れます。
旅の助けに、「こまったときに割るたまご」をもらうのですが、RPGのアイテムっぽいです。
1個目 - 昇れない象牙の山
2個目 - 魔法の鏡の谷
と、冒険の間に2個使い、いよいよシャルマン王の国に到着です。
シャルマン王は、とうとう結婚しなければならない所まで追い詰められていました。
いやで仕方が無いので、なるべくそばによりつかないようにするとか、一日でも伸ばそうと苦心したりしています。
一般的に、鉢かつぎ系のおとぎ話では、何ごとか、自分の正体を明かす工夫をたくらむのですが、この3回を、フロリーヌはこういう風にしています。
1回目 - シャルマン王にもらったエメラルドの腕輪(あの貢ぎ物が、こんな所で生きてきた!)
2回目 - 3個目のたまご
3回目 - 4個目のたまご
このたまごから出てくる魔法の品が、微に入り細に入り、あれこれとことばを尽くして描写されますが、実にめずらしいものです。
こんな面白い品はなかなかありません。
ぜひ本で読んでいただきたいなあ、と思います。
4個目のたまごを使い切った時にはもう、あとがありません。
しかも翌日は結婚式とのことで、から、絶体絶命、ハラハラしっぱなしなのですが(昔は今ほど離婚が簡単ではないと思うので…)
ギリギリであることが起き、なんとか二人は結ばれることができました。
やっとめぐりあった二人の前に、魔法使いとあのフロリーヌを助けてくれた仙女が現れます。
そして、2対1なので、力関係により、スーシオはもう手出しを出来なくなったと告げて解決です。
力関係なんかーーい!
トリュイトンヌは、雌ぶた(トリュイ)に変えられてしまいました。
とりあえず、命だけは助かったわけです。
ここで、そもそもの岩魚(トルイト)と、雌ぶた(トリュイ)をひっかけた、フランス式のしゃれになっていたことがわかります。
このお話、往年のおとぎ話に添った作りでありながらも、
・細部にいたる細かい描写
・人生訓をふくんだ意見
・宝石をちりばめたリアルなアイテム
・しゃれを含んだネーミング
そうとうに筋立てを考えて作られて書かれていることがわかります。
やはり昔から語り継がれて残っているお話の面白さというのは、極限には原典にあるものです。
抄訳や、あらすじ解説では、その良さや意味がかき消されてしまったりすることもあるものなので、ざっくり紹介や「○分でわかる○○」系に頼りすぎずに、ぜひ本をひもといてみて欲しいと思います。
(とか言いながら、割と「○分でわかる○○」にはお世話になってたりもするのですが…)
冒頭の継母との結婚の所も、王さまが頭をぶっつける所をどんだけだよと思ったり、悪女の小細工に戦慄するときにも、「生き生きとした青いひとみ」などという所にふっと理由も見出したり。
そこを省いて「再婚しました☆」だけでは、味気ないです。
◇
作者の何気ないひとこと、ふたことがとても印象的だったりします。
トリュイトンヌとの婚約を死って、嘆き悲しむフロリーヌの所などに、
心に深い悲しみを抱いているときは、食べるものなどは見るのもいやになります。
などとちらっとひとこと書かれていて、こういう部分が味を添えておもしろいです。
妹子のお友達は、この本の絵が好きだと言っていました。
見てすぐに、「わあー、すてきな絵!」と言っていて、この絵をすてきと感じるのが良いなあと思いました。
さし絵 高橋忠彌さんだそうです。
◇
さて大団円を迎えたこの「ブルーバード」のお話ですが、ぜひ図書館でも通ってみていただきたいと思うのは、この本「フランス編1」には、ラブレーの「ガルガンチュワ物語」が入っています。
フランスの古典です。
それはそれは…ハチャメチャな物語で、とても面白いです。
忠実に訳しているものも読んだのですが、この訳に匹敵するものはないなと思うほどの名訳、名抄訳です。
(お酒と下ネタのお話が満載です。うんこ、おしっこなどは頻出単語です)
いつか、紹介する機会があればなあと思います。
◇
この本には、他にも、おとな版で読んだらびっくりした「狐物語」、またフランス古典版「美女と野獣」も入っています。
もし、バレエ関係でこちらにたどり着いた方も、昔話にしろ、原典にしろ、たくさんのお話を読んでみて欲しいと思います。
バレエは、海外文学への扉となりうる、物語の宝庫ですから。
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「 青い鳥」はないのですが、オーノワ夫人の「美女と野獣」です。
美女と野獣 (ワンス・アポンナ・タイム・シリーズ)
ドーノワ夫人 (著), エティエンヌ・ドレセール (イラスト), 石川 康弘 (翻訳)
そまつな服を着て、このうえなくみじめなくらしをつづけながら、娘たちはいつも、むかしのぜいたくで楽しかった生活をなつかしんでいました。ただ末娘だけは、明るく、強く、生きようとしていました。彼女は、父親がはじめて不幸に見舞われたとき、だれよりもなぎけ悲しみました。けれども、もちまえの快活さを取りもどすと、つらい生活にたえて、仕事に取りかかって、父親や兄さんたちをできるだけなぐさめようとしたり、姉さんたちの気持ちが、歌やダンスでまぎれるようにつとめるのでした。ボローニャ・ブックフェア特別賞受賞のシリーズ。
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「1年後のこの時刻にこの世でいちばんかわいい犬を探して来た者にこの国を与える」 王の言葉に3人の王子は旅に出ます。17世紀フランスの、話ができる白い猫の繰り広げる、不思議で華麗な世界をのぞいてみて下さい。
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こちらのオーノワ夫人の「青い鳥」とはまったく関係のない、メーテルリンクの「青い鳥」ですが、せっかくなのでリンクを置いておくことにしました。
貧しいきこりの子どもチルチルとミチルは、「幸福」の象徴である「青い鳥」をさがして、思い出の国や夜の御殿、未来の国などを旅します.ノーベル賞作家による、有名な戯曲.新訳.
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フランス・ルネサンス文学を代表する作家フランソワ・ラブレーの傑作大長編、待望の新訳版。この巻では、巨人王ガルガンチュアの誕生・成長と冒険の数々、さらに戦争とその顛末が、笑いと風刺を織り込んだ密度の高い文体によって描き出されてゆく。現代的センスあふれる清新な訳文から、不朽の物語の爆発的な面白さと輝かしい感動が楽しく伝わってくる。
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フランス中世に成立した『狐物語』は、赤毛の性悪狐・ルナールが知恵の限りをつくして森の動物や農村の人間たちとわたりあい、またライオンのノーブル王が君臨する宮廷にあってさまざまに策略をめぐらすお話の集成です。多くの国や地域にも広まり親しまれている動物叙事詩の代表作に、『年をとったワニの話』のL.ショヴォーが絵をつけた現代語版を、読みやすく生き生きした日本語に移しました。巻末の充実した解説も必読です!
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本書は、12世紀後半から13世紀にかけて主に北フランスで作られた動物叙事詩、20話を収録する。各話共通の主人公はルナールという名の狐で、この狐がいろいろな動物や領主、騎士、僧侶などに悪知恵を働かせ、騒動を引き起こす様を明るく陽気に描いている。随所に諷刺を盛り込んだ韻文物語。
「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492
◆プロジェクト・グーテンベルクについて
☞Wikiの説明ページ
プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリカ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館。
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