~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

大人が読む児童書「ヤマネコ号の冒険」 2 さあ、冒険の再開だ!

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

ヤマネコ号の冒険

アーサー・ランサム (著), 神宮 輝夫 (翻訳)

ツバメ号とアマゾン号の乗組員たちは、老水夫ピーター・ダックと知りあい、帆船ヤマネコ号で、イギリス海峡に船出しました。ところがピーター・ダックの宝をつけねらう海賊、ブラック・ジェイクがあらわれ、しつこく彼らを追いまわします。初めて味わう本格的な航海の喜び。熱帯の島で起きる思わぬ事件。海洋冒険物語。

 

 

大人が読む児童書「ヤマネコ号の冒険」 1 空想と現実が交差する瞬間

 

 

もうきっと、すっかり忘れている方が殆どだと思うので、もう一度ご説明申し上げますが
4か月前ほど、私はアーサー・ランサムのシリーズ三巻目、「ヤマネコ号の冒険」を読みかけていたのでした。

 

レビューを中途半端に放り出していたのですが、再開です!

 

アーサー・ランサムシリーズ、ランサム・サーガの大三作目「ヤマネコ号の冒険」です。

 

これまでは、実にリアルすぎるほどリアルでスリリングな、「子供のみでのキャンプ」を、ウォーカー四人兄弟とブラケット姉妹が(大人たちに見守られながらも)やってきたのですが、ついに!

 

ついに、現実の世界から(ある意味)飛び出して、外洋の海に旅立ちます!

 

 

二巻までは、ティティの空想の産物であったはずの老船乗り、「ピーター・ダック」が、生きた人間として、「ウォーカー四人兄弟姉妹+ブラケット姉妹」の前に現れます。

 

そして周囲をしきりとストーキングしてくる、いかにも悪い海賊っぽい集団の影…。ブラック・ジェイクのマムシ号。


この展開は、どきどきものです!

 

 

ピーター・ダックの語る 昔話 、 面白い冒険 を、目を輝かせて聞く子供たち。

 

作者はきっと、この子どもたちと一緒に「リアル宝島」をやりたい誘惑に負けたのかな、と思います。
負けてくれてありがとうございました。

 

そして、描写といえば、相変わらずこうです。

 

「その帆船はルイジアナ・ベル号っていうアメリカの船でな、ほかの船が トップギャラントを絞帆してる時にも、ローヤルの上にスカイスルをあげてた。」

 

この調子だよ、相変わらずだな!

 

帆船用語の詳しさなど、あまりにも容赦がないです。

 

でも、ここまで読んで来たランサムファンにはもうわかってるでしょうし、何より三巻は、わからずにいきなり読み始めた人にも面白いです。

 

さて、このピーター・ダックは昔、「何か」を見たのです。

 

ある者が、何かを、ある場所へ埋めるのを。

 

それが何なのか、悪い海賊たちもどうしても確かめたいと思っているのです。

 

 

船が出てからは、ナンシイがやっぱり一番船長らしいです。

 

たくましく、カッコよく、一番船長らしいです。ジョンはエリート海軍のようで、ナンシイは海賊の船長のようです。

 

でも、かわいそうに!
ナンシイ、船酔いにかかってしまいます。
ティティはともかく、この勇ましいナンシイが船酔いにかかるなんて!と読んでる方までそう思います。
 

日光さえも、へんな気もちのわるい色に変わってしまったように思われた。

 

船酔い、苦しそう…。

 

 

 

船酔いが治るまでに、ドーバー海峡を抜けて、外洋に出ていくわけです。

地図をごらんになるとわかりますが、ロンドン→カリブ海まで行きますから、すごい航海です。

 

北大西洋を完全に横断してます。  

 

これを、大人2人と子供6人で!?

 

と、一瞬我に返ってしまいそうな所を、そうはさせないのが、あまりにもリアルで詳細な航海の描写と、帆船術です!

 

山のように出てくる帆船用語を、半ばわからないままに、自分も一緒に海を航海しているような気分になります。

 

 

 

しかし、気味が悪いのはずーっとつけてくる海賊のマムシ号です。
彼らは、ピーター・ダックが「何か」を見つけるために航海しているに違いないと思い込んでいるのです。

 

この不気味でスリリングな展開が、詳細な船内生活の描写の中にあって、読み手を飽きさせません。

 

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この絵!この絵が大好き!!

タピオカもある!

 

 

さて、トラブルを起こすのは、子どもたちではなく、ジムおじさん、つまりフリント船長です。

おとなが宝物の魅力に取りつかれてしまったのです!

 

子供ら、「また始まったよ」的な、非常~にさめた目で見ています。

 

フリント船長は、ピーター・ダックが実際に「それ」が埋められる所を自分の目で見た、という所が重要だと言います。

割れたがくぶちの裏から出てきた宝の地図よりも、確実性が高いということです。

(この前、久しぶりにグーニーズを見て素晴らしかったのでまだ影響が…)

 

フリント船長は言います。

西インド諸島ってところはひじょうに暑いから、もってる値うちがあるとも思わないものをうずめるために、たとえ半キロでも歩く者はいないよ。

 

説得力ありすぎる。
夏が苦手な私には、切実によくわかる話です。

 

 

ピーター・ダックは反対しています。島の場所をマムシ号の悪者たちは知っていますから、行くと決めれば結局は同じことだろう、ということです。

子どもたち、無茶苦茶冷静に、もし行くとするならば水と食料はどうか、なんて語り合ってます。
すごい現実的だ…。

 

結局、冒険というのは、それを成し遂げるための準備と下調べが90%ぐらいの比率で重要なんでしょうね。

 

ナンシイが言います。

「探検なんて、ほんのとなりの家へいくようなものよ。だけど、となりからとなりへと、ひっかえさないでどこまでもいくことなのよ。でも、途中でものが買えない場合、あなたどうする?」

 

たくさんの船とすれ違います。

 

実際、わたしも海に、それも広い広い海に出てしまえばひとりぽっちなのではないかと考えていたのですが、実際には航路が決まっている分、そこを通過する船はたくさんあるわけで、まるで道路ですれ違うような感覚です。

 

定期船、駆逐艦などさまざまです。

 

 

ここから、マムシ号はヤマネコ号を煽る行動に出始めます。
やってることは、昨今のドライブレコーダーで動画としてよく出ている、公道での煽り運転にそっくりです。

 

これは、ヤマネコ号の全員をふゆかいにした。

 

でしょうね。

 

マムシとネコとの戦いです!
ゴングが鳴ったような音まで聞こえてきそうです。

 

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ツバメ号とアマゾン号(上) (岩波少年文庫 ランサム・サーガ) (日本語) 単行本(ソフトカバー) - 2010/7/15 アーサー・ランサム (著), 神宮 輝夫 (翻訳)

夏休み、ウォーカー家の4人きょうだいは、小さな帆船「ツバメ号」に乗って、子どもたちだけで、無人島ですごします。湖を探検したり、アマゾン海賊を名乗るナンシイとペギイの姉妹からの挑戦をうけたり、わくわくするできごとがいっぱい!

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

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