~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

~可愛いは正義!から大切なことへ~「あおいめのこねこ」

 

今日ご紹介するのは、

「あおい目のこねこ」

 

たいへんかわいらしい絵本です。

  

あおい目のこねこ

エゴン・マチーセン (著, イラスト), せた ていじ (翻訳)

青い目の元気なこねこは、ねずみのくにをみつけにでかけます。途中、さまざまな困難にあっても、前向きに進んでいくこねこは、同じく、ねずみのくにを探す黄色い目の5匹のねこたちに出会い、一緒に暮らすことにします。ある日、犬に襲われた黄色い目のねこたちを助けようとしたこねこは、急に吠えた声に驚いた拍子に犬の背にとび乗ってしまいます。犬は背中に青い目のこねこをのせたまま駆け出し、そして行きついたところは……。

 

さかなにぱしゃんとやられ、はえをつかまえたり、自由に生きるこねこの旅です。

いかにもねこといった感じです。


「あおいめのこねこ」は気にしません。

このこねこには、鈍感力があります。


けれど、無神経ではない。

 

なにより可愛いです!!!

可愛いは正義

 

私情はおいて、あおいめのこねこは、きいろいめのねこたちの国に付き、何となく嫌味を言われます。

 

多様性と、たくさんの同一性のなかのひとつの異質とは意味が違います。

 

異質であるものがたくさんある時にはそれは すでに 異質ではないのです。

しかし同一性のなかで異質であっても、こねこはまったく気にしません。

 

え?ぼくきれいじゃん
どこもへんじゃない

 

この類稀なるポジティブシンキング。
この手の話においては、ちょっといないタイプです!

 

まあ、だいたいにおいてこのようなはみだし者が物語になる場合、疎外感を感じて悲しい気持ちを抱いたり、最終的には融和を迎える姿に安心したり共感を得たりするものです…。

 

今は何かの物語を語る上でも、共感を得るのが大切、と言われます。
(言われているのを最近読みました)
しかし、本当に共感がすべてでしょうか?

 

作者の言いたいこと、意図するところがそれなりにはっきりしているため、わたしは読んだ時にはっとした思いを抱きました。
自然に和を乱さないことに迎合している自分の普段の価値観が見えました。

 

さまざまな本に触れることは、さまざまな人の生き方や考え方を知ることです。

 

このねこは、自分の特異性を違和感ではなく長所として受け止めています。
「和を乱すこと」に価値を置いていません。

 

「人はそれぞれ異なるもの」というよりは、「絶対的な個」として自分を捉えているからです。
それは、「集団の中で異質なものとして自分をとらえる個」とはまた別格のものです。

 

この気にしないこねこの行動力!

人の言うことなど一切気にせず、そこにエネルギーを使わない代わりに...何かを成し遂げる余力を残しています。

 

人にはそれぞれ役割があり、集団となった時に「和を乱さないことを監視する役割」もまた、集団を維持するために必要となることもあるでしょう。

 

ですがこの本を一読しておくことは、空気を読むことを最大の美徳としている日本の価値観で育つ子供たちにとって、なかなかに重要な意味を持つものとなるでしょう。

 

この「空気を読む」学校や集団の場で、自然と身についてしまいます。

 

しかし、そうでない子がはじかれた時、自分がどうしても迎合できないとき、自然と和からはずれた(はずされた)時に、どうすればいいいのか?

 

そうなったときに、この物語が心のどこかに記憶として残っていてくれたなら…。 

 

 

どう行動するべきなのか、どう考えるべきなのかという、一つのモデルとなってくれる…かも、しれません。

 

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

きかんしゃ1414 きかんしゃやえもん こひつじまある
真夜中のパーティー イギリスとアイルランドの昔話 銀のいす
銀のほのおの国 地底旅行 チムとゆうかんなせんちょうさん

 

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今日の一冊「がんばれヘンリーくん」

 

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

がんばれヘンリーくん (ゆかいなヘンリーくん 1) 

ベバリイ クリアリー (著), ルイス ダーリング (イラスト)

ヘンリーくんは小学三年生。どこにでもいる、ごくふつうの男の子です。ある日、街角でやせこけた犬を拾い、こっそりバスに乗せて家までつれて帰ろうとしましたが、とちゅうで犬があばれだして大さわぎに…。それいらい、ヘンリーくんのまわりでは、次つぎにゆかいな事件がおこります。小学校中学年から。(「BOOK」データベースより)

 

 

長文記事で一度ご紹介した「がんばれ ヘンリーくん」

 

家の中に開いたまま置きっぱなしにしてあったので、ちょっとめくりました。

 

1ページ目はこんなものかという感じです。
3ページ目から、口元がゆるんで笑顔になっていました。

 

「ヘンリー!」おかあさんは大声でさけびました。「おまえどうかしたんじゃないの?」
「どうもしやしないよ」ヘンリーも、大声で返事をしました。
おかあさんって、どうしてああいつもいつも、ぼくになにかあったんじゃないかって思うんだろう。

 

本当に、親というのはいつも子供に何かあったんじゃないかと思っているものです。

 

 

5ページ目ではもう、涙を流して笑っていました。
何度読んでも、やっぱり面白い本です。

 

いぬのアバラーが本当にかわいくて面白いです。

 

 

 

英語版ヘンリーくん

  

Henry Huggins (Henry Huggins series Book 1) (English Edition)

Kindle版 Beverly Cleary (著), Tracy Dockray (イラスト)

 

 

  

 

 

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子どもの本だな【広告】

地底旅行 みどりのゆび 第九軍団のワシ
だれも知らない小さな国 子うさぎましろのお話 もこ もこもこ
北極のムーシカミーシカ 14ひきのあさごはん サリーのこけももつみ

 

 

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今日の一冊「とこちゃんはどこ」

 

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

とこちゃんはどこ

松岡 享子 (著)

赤い帽子と青い半ズボンの元気な男の子、とこちゃん。市場でお母さんがおしゃべりしているまに、とことこかけだして、どこかへいってしまいました。人ごみの中をさがしていくと、ああ、いたいた! 動物園、浜辺にお祭り、デパート……人ごみにまぎれたとこちゃんを探そう! 絵さがしの絵本の元祖ともいえる、子どもの大好きな絵本です。

 

ざっくり言ってしまえば、日本版ウォーリーを探せなのですが、とにかく絵がとってもかわいいです。

ウォーリーよりも人数が少ないので、幼児向きです。

また、ウォーリーと違って、なぜ探すハメになったのか、ちゃんと理由付けがしてあります。

 

ご家庭での読み聞かせにはたいへんむいていますが、教室での読み聞かせにはちょっと向かないかもしれません。

一度やったことがありますが、子供たちがみんな前に乗り出してやってきました。

見える子、見えない子の差が出てきてしまうので、押し合いへし合いになってしまいます。

(「大丈夫、見える、見えるよ!」と言ってくれましたが...)

 

...要は、とこちゃんは目が離せないかわいらしいよくあるクソガキということです。

 

お祭り、海のビーチ...などなど、いかにもあるあるなシチュエーションが並び、思わずうなずいてしまいます。

 

そして疲れ切ったお父さん、お母さんの姿が哀愁をさそいます。 

世の中のパパさん、ママさん、本当にお疲れさまです。

 

 

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子どもの本だな【広告】

シャーロットのおくりもの ルピナスさん―小さなおばあさんのお話 ドリトル先生ものがたり
グリーン・ノウの子どもたち はははのはなし 火曜日のごちそうはヒキガエル
とこちゃんはどこ 世界むかし話集9アフリカ編 アラビアン・ナイト

 

 

 

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今日の一冊「さかさ町」

 

今日ご紹介するのは児童書です。 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

さかさ町

F.エマーソン・アンドリュース (著),

ルイス・スロボドキン (イラスト), 小宮 由 (翻訳)

リッキーとアンの兄妹が、ひょんなことから滞在することになった「さかさ町」。名前の通り、そこではすべてが「さかさま」。子供は楽しんで働き、大人は遊ぶ。学校に通うのは休日だけで、覚えることより忘れることが大事。買い物をすれば、品物といっしょに値段分のお金がお客に渡される……。そんなユニークな世界を描いた児童文学

 

少し皮肉な風刺をまじえた作品です。

子供は「普通でない視点」 が大好きです!

変わった町、普通でない町、おかしな町…。

そして、少し長いですが「今日はここまで」と言って数日欠けて読み聞かせをしてあげるのもよいです。

子供はきっと続きが気になって仕方なくなってくれます!
それで「続きが気になるのなら自分で読んでみれば?」と持って行く…。

 

2015年あたりに古い作品ながら、読書感想文の推薦図書にされたようです。
ぐっどチョイスです!🎊

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

原書のkindle版を探してみましたが、残念ながら取り扱いはありませんでした。 
アメリカのAmazonから購入することは出来ます)

Upside Down Town Paperback – May 19, 2012

 

  

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子どもの本だな【広告】

100かいだてのいえ ジュニア版ファーブル昆虫記 全8巻セット 世界むかし話集5東欧・古代編
どろんこハリー どろぼう がっこう いないいないばあや
バルバルさん こいぬとこねこのおかしな話 チョコレート戦争

 

 

 

 

 

 

 

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今日の一冊「黒ねこの王子カーボネル」

 

今日ご紹介するのは、児童書です。 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

黒ねこの王子カーボネル

バーバラ スレイ (著), 大社 玲子 (イラスト), 山本 まつよ (翻訳)

十歳の女の子ロージーは、夏休みなのに遊びの予定がありません。ところが、買いものにでかけた市場で、思いがけなく魔女のほうきとネコを手に入れます。それは、ふしぎな冒険の幕開けでした…!心おどるファンタジーの秀作。小学4・5年以上。(「BOOK」データベースより)

 

筋立てがしっかりとした長い「小説」です。
もちろん、大人が読んでも面白いです。

ねこ好きさんにはぜひおすすめします。

カーボネルがどうなるか、ハラハラドキドキ。
魔女も登場しながらも、現代(ちょっとひと世代昔ではありますが…)を舞台に話はすすみます。

訳がおもしろく、展開も飽きさせません。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

Carbonel (Puffin Book) by Barbara Sleigh(2015-07-02)

ペーパーバック - 2015 Barbara Sleigh (著)

 

こちらはkindle版がありませんでしたので、取り寄せになってしまうでしょう。
ペーパーバックもハードカバーも、表紙がなかなか味があります。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

Carbonel and Calidor (New York Review Children's Collection)

by Barbara Sleigh(2009-10-27) ハードカバー - 2009 Barbara Sleigh (著)

 

このようなハードカバーの英語本が家に一冊あると、とてもばえるのではないか? とたまに思います🤔

見かけから入ったっていいんです!
見栄でいいんです、ええ!

 

 

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子どもの本だな【広告】

か わ こんとあき もりのなか
ジェイン・エア(上) あのころはフリードリヒがいた 大きい1年生と 小さな2年生
読書ノート(羽海野 チカ イラスト) やかまし村の春・夏・秋・冬 ぼくがぼくであること

 

 

 

 

 

 

 

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今日の一冊「よかったね ネッドくん」

今日ご紹介するのは、絵本です。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

よかったねネッドくん

レミー チャーリップ (著) 八木田 宜子 (翻訳)

よかったね!(FORTUNATELY!)びっくりパーティーにしょうたいされ、ネッドくん、ニューヨークからとおいフロリダへしゅっぱつしたのはいいけれど…。いいことわるいこと、なんだかどんどんネッドくんにふりかかる。さあ、ネッドくんはぶじパーティーにたどりつけるのかな。(「BOOK」データベースより)

 

読み聞かせサークルの先輩がたに教えていただきました。
読み聞かせの定番です。

よかったことと、ヤバいことが交互に置き、最後まで飽きさせません。

大型本を使い、身振り手振りを加えて「満面の笑顔と明るい声」「がっかりした恐怖」を表現すると、子供たちは丸く目を開いて(口も開いて)見ていてくれました。

 

こんなことを言うと何ですが…。

もちろんウケない時もありました。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

Fortunately (Classic Board Books) (English Edition)

Kindle版 Remy Charlip (著, イラスト)

 

フレーズが単純なので、英語教育にもとても良いと思います。
英語のkindle版を載せておきます。

 

単純ですぐ飽きるのではないか?と思いがちですが、案外子供は飽きません。
結末も次に起きることもわかっているのに何度もめくって読んでくれます。

 

こんな事を言うと何ですが…。

飽きて読まない子ももちろんいます。

 

子どもたちはそれぞれです😊。

 

 

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子どもの本だな【広告】

マチルダは小さな大天才 すてきな三にんぐみ 五月三十五日
フェアリーたちの魔法の夜 エルマーのぼうけん クマのプーさん
ぐるんぱのようちえん シートン動物記 全8巻+別巻 9冊セット チョコレート・アンダーグラウンド

 

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今日の一冊「おおきなおおきなおいも」

今日ご紹介するのは、「本型の絵本」です。

  

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

おおきなおおきな おいも

(福音館創作童話シリーズ)赤羽 末吉 (著)

楽しみにしていたいもほり遠足の日、雨が降って延期になってしまいました。残念がる子どもたちは大きな紙においもを描きはじめます。紙をつなげてつなげて、おいもの絵はどんどん大きくなります。大きなおいもは、ヘリコプターで幼稚園に運びます。プールに浮かべて船にしたり、かいじゅうにみたてて遊びます。たくさん遊んだあとは、天ぷら、焼きいも、大学いも、たくさん作っておいもパーティ! 大きなおいもをめぐる子どもたちの空想がつまった絵童話です。

 

はじめて読み聞かせをした思い出深い本です。
子供たちが声にあわせて体を揺らしてくれました。
わたしの本の紹介を最初に受け入れてくれたのは子供たちでした。

 

自分が読んだのは幼稚園のとき、あざやかなおいもの色とはっきりと覚えています。
思えばそれがおさなごころに「本」というものを認識した第一歩だったかもしれません。

 

そして、今でも売られている。すごいことだと思います。

 

単純なリズムをゆっくりと読み聞かせしてあげて欲しいです。
たくさんの子供たちにとって、これからも「最初の一冊」となってくれることをのぞみます。

 

お子さんご誕生の「最初の一冊」としてのプレゼント☆にも最適です。

 

  

 

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子どもの本だな【広告】

朝びらき丸東の海へ 十五少年漂流記 ながい夏休み 秘密の花園〈上〉
若草物語 北極のムーシカミーシカ 西遊記
エルマーのぼうけんセット めっきらもっきら どおんどん おたまじゃくしの 101ちゃん

 

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今日の一冊「メリサンド姫:むてきの算数!」

 

短めの記事で「今日の一冊」を一日一冊、ご紹介することにしました。

 

長めの力のこもった記事はカテゴリのこちらにまとめましたので、よろしかったら御覧になってみてください。

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今日ご紹介するのは、かなりしっかりしたページ数の多い、「本型の絵本」です。 

 

今日の一冊

 

メリサンド姫: むてきの算数!

E. ネズビット (著), 高桑 幸次 (イラスト), 灰島 かり (翻訳)

むかしむかし、人間と妖精がいっしょにくらしていたころ、ある国にそれはそれはかわいらしいお姫さまが生まれ、メリサンド姫と名づけられました……と、そこまではごく普通のお話だったのですが……。悪い妖精がかけた呪いに、姫と王子が算数マジックで立ち向かう!

 

むかし、おねがい!サミアどんというTV番組がありましたが、そちらの原作者であるイーディス・ネスビットさんの作品です。

「本型」になっていますが、絵が豊富でとても美しい!

字も大きくたいへん読みやすく、中身もおもしろいです。

 

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子どもの本だな【広告】

科学と科学者のはなし トムは真夜中の庭で サム、風をつかまえる
ちいさいおうち タランと角の王 ぼくがぼくであること
クラバート チポリーノの冒険 ヤマネコとウミネコ

 

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子供が大激論「若草物語」

これは誰に教えてもらえなくとも有名な「若草物語」

 

女子に人気で、小公女と同じく少し本好きなお子さんならやはり確実に好きな作品です。

 

おねえさんのメグ
活発で男の子みたいなジョー
おとなしいベス
かわいくて絵が好きなエイミー


※この記事は、「続・若草物語」に関する多少のネタバレを含みますので、読んでいないかたはご注意ください。

また、そんなこと知りたくなかった!と思われる情報を含んでいるかもしれませんので、ご注意ください。

😳

 

 

若草物語 (福音館文庫 古典童話)

 

こちらは、絵があのターシャ・テューダーさんが描かれています…!
Amazonでもベストセラーの表記がある、福音館書店のたしかな本です。

 

 


四人姉妹の話ではありますが、明らかに主人公はジョーです。

 

ジョーはアメリカにおける強く新しい女性の先駆けでもありました。
しかし、そんな型にはまった一般論は置いておいて…。

 

次女のジョーは、思い切りがよく活発でボーイッシュです。
小説を書くのが趣味で、いつか小説家になりたいという夢を持っています。

 

長女のメグは妹たちをまとめ、しっかり者のちいさなおかあさんといった風ですが、隠しきれない少女らしさが微笑ましいです。

 

四女のエイミーはキラキラ女子✨です。最も美人で自分でもそのことを知っておりおしゃれには余念がありません。絵を描くのが趣味という一面もあります。

 

三女のベスは優しく穏やか。病気がちなのに自分のことよりもまず他人を気遣う性格です。目立たないようでいて、彼女の存在感はとても大きいです。


四人姉妹の家庭はいま、お父さんが南北戦争に従軍しています。
暮らしは厳しいですが、助け合いながらつつましく暮らしています。

 

ここで親近感が湧くのは、この四人姉妹が割と欲まみれだというところです。

 

決してつつましい生活に耐えることが美徳!なんて思っているおとなしい子供をたちではありません。

そもそも、冒頭からして貧乏に対する不満から始まります。

そこに親近感が湧きます!

 

そんなとき、隣に引っ越してきた大金持ちのお坊ちゃんがローリーです。
四人姉妹は、この感じのよい元気な少年と仲良くなります。

 

が、明らかにジョーがローリーの一番の仲良しです。

というか、ローリーはほかの姉妹は若干、アウトオブ眼中(古い?)です。

 

それほど、ジョーとローリーは仲が良いです。
大親友なのです。
隣に引っ越して来たお金持ちの感じのいい少年と大親友の、かっこいいジョー…。
おさななじみ。
ロマンチックです!

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 


あるとき、私の目の前でお子さんがたが、わたしがうちから持ってきた本をめくりながら、若草物語の話をしていました。

 

そのうちのひとりに、わたしは出来心で、ちょっとだけ「続・若草物語」の話をしたことがありました。
その時は若干、眠くて…どうかしていたのです!
ネタバレ炎上案件です!)

 

そのことを、話しています。

 

「ねえ知ってる?ローリーってさ、誰と結婚したと思う?」
「まって当ててみせる。ジョーでしょ!」
ブブー
「えっ違うの?じゃあ…だれ?」
「それがさ~」
(ゴニョゴニョ…)
うっそ!マジで!えっあの子…?なんで?」

 

そこからお子さん同士で大激論に発展です。
喧嘩ではありません。

 

ローリーdis祭り
エイミーdis祭り
です!

 

火がついてしまった原因は、エイミーがジョーの書いた小説の原稿を燃やしてしまったエピソードです。
それも理由は、「外出に連れて行ってもらえなかったから」

 

確かにこれはいい気持ちがしません。
ジョーは長いことエイミーを許しませんでしたし、しかし物語の中ではすっきりと和解をしています。
しかし、その出来事がここでこの女子トークの火種になってしまったのです。

 

「それが理由で燃やすか、普通!?」
「エイミー最っ低だよね!!!」
「しかも、よりによってそのエイミーと結婚すんだよ、ありえなくない?」
「ローリーもローリーでしょ!結婚すんなよ!」

 

このふたりはよくまんがを書いて見せあっていますし、ひとりは小説も書くので、特に創作物に対する破壊報復が許せないみたいです。


声がどんどん大きくなっていきます。

 

「燃やしたんだよ?もう戻ってこないんだよ?せめて破れよ!びりびりに破るとかにしろ!破ったらまだ張り合わせることもできるじゃん。燃やしたら戻って来ないじゃん!」
「ローリー最低!!エイミーのどこがいいの?顔がかわいいからってさ。チャラチャラして自分のことばっか考えてて」

 

完全にヒートアップで止めることができません。

 

若草物語 (10歳までに読みたい世界名作)

 (低年齢向けならばこちらでしょうか?)

 

 

私も実は、「若草物語・その後」は自分の子供たちには封印しています。


子供向けの若草物語はお父さんが帰って来る所で終了します。
こんな誰と結婚するか、だれと付き合うかなんて大人の事情は入っていません。
とてもきれいな終わり方です。

 

「続・若草物語」は大人になってから読んでみて納得できました。
ローリーの選択も仕方がないと思いました。
これは大人になったからこそ理解できたのだと思います。

 

ローリーが何十回もジョーにふられています。
何度プロポーズしても、どうしてもOKしてもらえませんでした。

 

焼かれた小説は、粗の多い未熟なものでした。
ジョーはまったく根に持っていません。
エイミーも大人になっていました。
ローリーの失恋の傷心を癒せるのは、別の家庭の誰かではどうしても無理だったのです…。

 

ローリーは富裕層です。

大人になり、保守的でお金持ちの紳士となっていく上で、ジョーの先進的女性としての生き方とは相容れない部分が出てきてしまうことを、ジョーは見抜いていました。

 

そのことを、この二人にも自分の目で読んで、いつか知ってもらいたい。

 

これだけ大激論を交わしたら、このこどもたちの心に若草物語はしっかりと残るでしょう。
そして、ほのぼのした四姉妹というだけではなく、不安もあり不和もある、死も含めての家族というものの一つの形を知ることとなるでしょう。

 

大きくなって読んだ時にはさまざまな見えなかったことが見えてくる。


若いときにはあやまちを犯すもの。
エイミーのあやまちは、反省とともに大きく彼女を成長させました。

 

若草物語」が、そんな体験と実感を得る、一つの指標となってくれることを願ってやみません。

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 


うちにある本で女子のお子さんがたが大好きなのは、「女の子のための物語集」です。
絵が今風でかわいく、昔も昔ながらの可愛い絵の物語集があったなあと思いながら見ています。

 

ゆめいっぱい こころときめく おんなのこ かんどうのめいさくえほん

 

 

わたしも子供にせがまれた時には若干、
「…」
と思いましたが、ところがどっこい(古い!?🙄)

 

この本に対する女子たちの食いつきたるや、すごいです!
遊びに来た女の子のお子さんはみな、漫画もおしりたんていも差し置いて、よくこれを手に取ります。


そして、これに書かれている名作に興味を持って、図書館にあるのを読んでみた、というお子さんもおりました。

 

ですので、デフォルメをあまり気にせずに、このような「名作集」はどんどん与えていただきたいところです。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 
ヒートアップしているお子さんがたの会話はまだ続いています。
少し鎮火したみたいです。

 

「ベス可愛いよね。ベス好き」
「一番いい子だよね。おとなしくて優しいんだよ」
「お母さんと同じように、病気の子を看病してうつっちゃったんだよ。たしかそう書いてた」
「なんでベスが死ぬの?エイミーが死ねよ!

 

もうやめてあげて。

 

すごいです。


まるで不倫炎上案件に対するネットの書き込みを見てるみたいです。

 

しかし、高名な物語の架空の人物に対して話しているのは、いかにも罪がなくて微笑ましいものでした。

 

 

…私もいつか、「トム・ソーヤーの冒険」のトムについて、思う存分そのゲスさを記事にして書きたいと思います。

 

いつか読んでもらいたいです。

ゲス不倫・トムについて

 

新たな炎上案件です。

 

 

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子どもの本だな【広告】

クラバート しろくまちゃんのほっとけーき クローディアの秘密
鹿よ おれの兄弟よ チム・ラビットのぼうけん 世界むかし話集2ドイツ・スイス編
ちいさなあなたへ あのころはフリードリヒがいた 名探偵カッレくん

 

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お久しぶりです&「ベアトリクス・ポター パイがふたつあったおはなし 原本が想像以上に難易度高かったおはなし」

もうずいぶん長いこと放置したままで…
しかし、来ていただいている方には本当に申し訳なく、ありがたく思います。

 

こんな記事をUPしていますので、よろしかったらごらんください。

 

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ベアトリクス・ポターのかわいらしい本。
英語教材としては最高の一品です!!

ならばなぜピーターラビットを読まない。

と疑問に思う方もおられることでしょう!

 

しかし
・ピーターのやんちゃぶりが若干、気に入らなかった。
・お父さんがマグレガー奥さんによりパイされたなど、そこはかとなくブラックな印象が漂う。
・あれだけの騒ぎを自分がやらかしたにも関わらず、最後は割とヘタレなピーター

 

などなどの理由により、

パイにされるよりはパイを食うほうがいいだろう

という理由により(もちろんダッチェスのたまらないかわいさも加わって)、「パイがふたつあったおはなし」を選んだのでした。

 

結果はこちらの記事のとおりですが、かなり笑えるお話なのでピーターはもう知っているしちょっと別の方向から英語を攻めてみたいと思うかたにはぴったりです!

 

おすすめです。

 

ピーターラビット全おはなし集 単行本
- 1994/11/30 ビアトリクス・ポター (著, イラスト),
Beatrix Potter (原著), いしい ももこ (翻訳), その他

 

 

↑こちらは紹介ブログの記事で
バァ~ン!!!となっているやつで、私が持っているものになります。

 

検索していたら、ステキな本も見つけましたので、リンクを置いておきます。

 

羊飼いの暮らし──イギリス湖水地方の四季
(ハヤカワ・ノンフィクション文庫) (日本語) 文庫
- 2018/7/19 ジェイムズ リーバンクス (著), 濱野 大道 (翻訳)

 

 

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子どもの本だな【広告】

影との戦い ともしびをかかげて〈上〉 かえりみち
世界むかし話集1イギリス編 森は生きている おしゃべりなたまごやき
サム、風をつかまえる ロッタちゃんのひっこし チョコレート戦争

 

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「きんいろきつねのきんたちゃん」~虚飾の世界への目~

 残念ながら、もう絶版になっているのですが

「きんいろきつねのきんたちゃん」

をご紹介したいと思います。 

きんいろきつねのきんたちゃん
作者: かこさとし
出版社/メーカー: ブッキング
発売日: 2005/12/01
メディア: 単行本

 

去年(2018年5月2日)にお亡くなりになった、加古里子さんの作品です。
からすのパンやさん」「だるまちゃんとてんぐちゃん」で有名です。

 

読み聞かせには、「どろぼうがっこう」が大人気でした。

これらの作品に比べ、埋もれてしまって絶版になっている一冊です。

 

しかしこれは、プレゼントすると大人気の一冊です。

お貸しした時に、ご紹介した時に、子供たちが大好きになって欲しい欲しいと言われると聞いたので、絶版ながらも中古で取り寄せてプレゼントした所、とても喜んでもらえました。

 

お子さんがたが先を争うように読ませろ!!と奪い合うという話や
きんたちゃんが本当に可愛い、大好き

などなど、嬉しい言葉ばかりいただきました。


ラストシーン…

お母さんの毛皮にくるまって泣いているきんたちゃんが

可愛くて可愛くて…
可哀相で可哀相で…

おかあさんの毛皮がすぐそこにあるのに触れることもできず、いっぱい涙をためているきんたちゃん。

号泣です。

 

こにくたらしいクソガキもやっぱり出てきます。

男子と女子どちらも、ダブル出演です。

 

加古里子さんの描くクソガキ。

これがまた、しげるちゃんや、ツネタとはまた違っており、修正できそうもない腹の底からの憎らしさを感じます(笑)

 

きんたちゃんは、序盤ではよくある動物もののように人語を話しているのですが、ある時から全くしゃべらなくなってしまいます。

ケケケケーン

と鳴くばかりです。(かわいいです)

しかし、人語を一切話さなくなってからがきんたちゃんのお話のはじまりです。

 

のきんいろきつねのきんたちゃん
加古里子さんの「虚飾の世界に対する目」を感じます。

 

何か、警鐘のようなものです。

 
女子はわりと、歌って踊る華やかなアイドル、パーティにあこがれたりするものです。

プリキュアだって、必ずラストには振り付けた踊りを入れてありますし。

子供用雑誌にもおしゃれの情報はあふれています。モデル、子役などなど。

まさにインスタ映えの世界です。

 

男子の大好き、YouTubeゲーム実況も根底は同じかと思います。

 

見て見て!という自己顕示欲や、承認欲求…
子供あるあるどころか、大人だってあるあるです。

 

それ自体は悪いことではないと思うのです。
身だしなみに気を遣うこともある程度必要ですし。
男子のゲーム熱だって、そこからシステムに対する興味や、割と人付き合いを学んだりすることもあります。

しかし、それらすべてが目に見える通り、本当にキラキラした魅力的な世界なのだろうか?

 

華やかに見せる世界の根底にある、他人を押しのけ、争う指向。
自然に派生した穏やかな世界を、序盤で出てきたブルドーザーのように、何もかも踏みつぶすもの。
美しさを追及する果てにある、おかあさんの犠牲=毛皮。

(私は別に毛皮否定派ではありませんが…。)

 

美しく、明るく、きらびやかな世界に対して、一歩立ち止まり、距離を置いて見る視線があります。

きんたちゃんのお母さんのような犠牲が存在する事実に対して、無知であることの醜さ。
豪邸は、燃えてしまえば灰しか残りませんでした。

 

私は、絵本を、本を読むときに、子供たちがそこまで考えなくとも良いと思っています。大人も、そこを強調して教えることもないと思います。

 

「物語として、ある経験として」、ただ、すうっと子供に吸収されるだけでいい。

その体験の多さそのものが一番重要だと思っています。

 

大人ならば加古里子さんの表現しようとした、虚飾に対する一歩距離を置いた視線になんとなく気付くはずです。


我が子を、自分をかえりみて、ふっと「ああ、気を付けなければな」と思うその瞬間がほんの少しでもあればいい。

 

そして、月夜の下でお母さんの毛皮にくるまってひとり泣く、可愛らしいきんたちゃんの切ない姿を、この本を読んだ子供たちが皆、心のどこかにそっととどめておいて欲しいと思います。

 

 Amazon(古書)>>「きんいろきつねのきんたちゃん」

 

 

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子どもの本だな【広告】

星の林に月の船 声で楽しむ和歌・俳句 ルドルフとイッパイアッテナ (日本語) 単行本 - 1987/5/20 斉藤 洋 (著), 杉浦 範茂 (イラスト) おひさま はらっぱ
魔女の宅急便 かあちゃん取扱説明書 はははのはなし
さっちゃんのまほうのて 長くつ下のピッピ おしいれのぼうけん

 

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道徳と哲学、読解力の先にあるもの

心をこめて紹介しすぎて、力が尽きてきました。

 

どれもこれもあまりにも名著なために、こんな陳腐な言葉ではとても言い表せない…!と試行錯誤しすぎました。

 

もうちょっと気軽に投稿すべきなのか?

それとも、これは、日々の日常も投稿するべきなのか…?

という気持ちになりました(笑)

 

そして、はてなシステムに慣れていないので
☆を頂いてこれはいったいどーすればいいのか?がさっぱりわかりません。

つけて下さる方、本当にありがとうございます!!

なかなか更新できずすみません。

 

気持ちを新たに頑張ります。

次は加古里子さんの「きんいろきつねのきんたちゃん」にしようと思っています。

 

 

 

とても大切なニュースだと思いましたので、ご紹介します! 

toyokeizai.net

 

この記事は、今学問の場から忘れ去られがちな倫理学や哲学について、語っていました。

 でも倫理って、センター試験の受験科目としてはあるけれど、国公立大学の二次試験でも私大入試でもほとんど入試科目になっていません。だからセンター倫理の受験者数も、日本史や世界史と比べると格段に少ないんですね。

 これはすごくもったいない。高校倫理には、西洋思想のみならず、宗教も東洋思想も入っています。いわば哲学・思想の入門科目なのに、学んだことのある人は日本の成人人口の中でもごく一部。『試験に出る哲学』を書いたのは、もっと多くの人に倫理という科目を知ってもらいたいという動機もありました。

 古川:まったく同感ですね。これも『大人の道徳』に書いたことですが、「近代社会」、とくに「民主主義」というものが成り立つためには、その担い手である市民一人ひとりが、理性に基づいて論理的に考えることの訓練を受けなければなりません。民主主義にはどうしても哲学教育が必要なんですね。

「空気を読まない」哲学が学校や企業を救う理由
3/7(木) 8:00配信 東洋経済オンライン

 

この後に、フランスでは哲学が必修であるというエピソードがご紹介されていますが、 まあ、日産のゴーン社長の騒ぎを見る限り、必ずしも立派な倫理観が育まれるとは考えにくい…とも思います。

しかし、哲学・倫理学を必修とするのには賛成です。

今、あまりにも足りなくて、あまりにも忘れ去られがちだからです。

日本には東洋哲学があるではないですか!

 

哲学は決して、額に皺を寄せたおじいちゃんが「いかに生きるべきか…!?生か死か?それが問題だ!」などと考えるものではなくて、今を生きるためのものです。

 

 というのは、哲学というのは、やはり最終的には「生き方」に関わるものだと思うんです。自分自身の生き方。自分が何を大事にして生きていくのか。家族や友だちや恋人とどういうふうに関わっていくのか。会社や社会や国家に対して、どういうふうなスタンスで生きていくのか。そういうことを考えるのが、僕は哲学をするということだと思うんです。

 例えば、若い人が会社でまったく使い捨てのモノのように扱われて、「俺の人生はいったい何なんだ」と思うようなことがありますよね。そういうときに、まさにそういう問題をこそ、真剣に徹底的に考えた哲学者や思想家が、過去にたくさんいるわけです。そういう哲学や思想を勉強することによって、自分が今どうしてこういう状況に陥っているのか、それはどこがどう間違っているのか、そういうことが論理的に解き明かされていって、それが自分の生き方や社会のあり方の模索へとつながっていく。哲学を学ぶ場を、そういう場へと発展させていければというふうに私は思っています。

「空気を読まない」哲学が学校や企業を救う理由
3/7(木) 8:00配信 東洋経済オンライン

 

このような学問や知識の体験なく、大人になってしまった場合にもっとも危険なことは、満たされない思い「俺の・わたしの・僕の人生は!?」という疑問に、するするっと入り込む宗教の危険性です。哲学、倫理学、心理学、宗教学は実に紙一重であり、ヨガがオウムの入口になってしまったように、あらゆる方面から誘惑の手を伸ばしてきます。

人生に落とし穴はじつにたくさんあります。

 

そんな時に、一歩踏みとどまる健全な思考力を養うのは、読解力をおいてほかにありません。

(何かに傾倒しそうになったとき、またそれが当たり前のように存在することに対し、まずちょっとだけ踏みとどまり、疑問を抱くことを広めたのはデカルトです)

 

何も小難しい哲学書だけに限りません。

語り継がれてきた名著の中には、無数の「生き方」が散りばめられています。

その「経験」を得ること、結果的に自分ならばどうするかと考えることが、「どう生きるか」につながっていきます。

 

また、ある種類の「まっとうさ」「健全さ」 のロールモデルも提供すると同時に、そのモデルからはずれざるを得なかった人の存在と理由までも教えます。

この経験は大変重要なことです。

いつ、その「あるべきモデル」からはずれる落とし穴が訪れるのか、誰一人わかりはしないからです。

 

このような経験を与えてくれる読書は素晴らしいのみならず、必ず後世に伝えていかなければならない大切な財産です。

読解力は、テストを解くためだけに存在するにあらず。

 

そのためにも、読み聞かせによってせっかく培われた読書への芽を、絵本から一歩すすめて「本を読む」所に押し上げる努力を、欠いてはならないと思います。

 

次にご紹介するのは

~虚飾の世界に対する眼差し~「きんいろきつねのきんたちゃん加古里子さん

です。

 

 

さてなかなか更新できないし…ここは、大人の本の紹介も入れよっかな~。

どうしよっかな~。

 

唐突にどうした?という感じでおちなく終わります。

 

 

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子どもの本だな【広告】

マチルダは小さな大天才 ダーシェンカ やかまし村の春・夏・秋・冬
モモ 魔女の宅急便 どろぼう がっこう
イワンのばか 白いりゅう黒いりゅう そらいろのたね

 

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~自立への旅立ちを物語で~「あるきだした小さな木」

 

今日ご紹介するのは、絵が独特で、美しい美術的なタッチの絵本です。 

あるきだした小さな木 

あるきだした小さな木 (世界のカラー童話)
作者: テルマ=ボルクマン,シルビー=セリグ,花輪莞爾
出版社/メーカー: 偕成社
発売日: 1969/12/01
メディア: 単行本

深い森の中に、パパの木とママの木に守られて幸せに過ごしている小さな木。

パパママに外の世界の恐ろしさ、人間の怖さを聞いて育ちますが

ある日、森に迷い込んで来たのは、道に迷った小さな男の子でした。 

「あるきだした小さな木」

さすがおフランスだけあって、絵が独特で芸術的です。

好みは別れるかもしれませんが、訳がユーモラスなので違和感はありません。

 

この少年の可愛らしさに惹かれ、はじめて見た人間への興味を揺り動かされた小さな木は…

大胆なことに、自分の根っこを自ら引っこ抜き、人間界を旅してまわります。

抜き方もかなりの時間を要して、「ものすごくからだをゆすり」、親たちを困惑させながら無理矢理に根っこを自力で抜き取ります。

おっかなびっくりの歩き方がかわいいです。

 「あるきだした小さな木」

冒険を重ね、子供や鳥たちと仲良くなったり、あやうく切られかけたりしながら、あるお金持ちの目に留まり、家に移植されます。

このアラブの石油王並のすごい金持ちは、娘さんが一人おりまして。

いかにもおフランス的な展開、そこには娘さんの望まぬ結婚が...(略)

最後は小さな木はついに根をすえ、枝を広げ青々と茂らせるのですが、全体的に、昔話にもありそうな何気ない素朴な物語です。 

しかし作者には子供たちへ向けた確かなメッセージを感じます。

恒例の、 訳者あとがきをご紹介します。

あまりにも見事なあとがきが多く、このあとがきが子供たちだけでなく、親に向けても書かれているのを感じます。自分が親となった今になって読み返して考えさせられる所があるという、まさに世代を超えて語り掛ける力を持っています。

 

人間にとってもっとも大切な「自由」(中略)この木がであういろいろな冒険や危険が、いつも自由を束縛するものと、それに対する反抗であることを十分考えてください。(中略)

でも、自由は何もしないでやってくるものではありません。個人の自由は、個人の独立とふかいかかわりがあります。(中略)愛情がなくては自由も独立も、なんの意味もありません。

この自由、独立、愛情の三つを求め、その意味を考え、自分のものとすることが、成長することなのです。作者のいいたいことはそこにあると思います。

 訳者 花輪莞爾 「あるきだした小さな木」あとがきより

 

自由を尊び好奇心に満ちて守られた家を飛び出して、冒険を重ねた末に子供たちも大人となります。

いつか、彼らも自分の場所と呼べるありかを見つけ、根を張り、枝を一杯に伸ばして大樹となり一杯に花を咲かせる日が来るように...との愛に満ちた親心を感じます。

 

そして親たちにも、子供たちの自由に伸びやかに広がる好奇心の力を、反抗という形で訪れる自由に対するあこがれを、理解し尊重してあげられるよう、語り掛けているようにも思えます。

 

多分、アラブの石油王並の金持ちの頑固オヤジは、子供のレールを自分で敷いてしまいがちな親の姿への忠告なのだと思います。

 

この本を読んであげたお子さんの一人に、

「じゃあ、ホテイさんはこの娘さんの結婚を許してあげられるんだね!」

と聞かれました。

「ごめんなさい。無理です」

まあご覧ください。

 

このしんしは いつも いっています。

「わしは、むすめが かわいくて ならぬ。

 むすめのために わしが ほしいのは

 せかいで いちばん りっぱな いえと

 せかいで いちばん 大きな にわと

 せかいで いちばん かねもちの むこさんじゃ」

 

でも、かわいそうに!むすめさんの ほうでは

 せかいで いちばん 小さな いえと

 せかいで いちばん せまい にわと

 せかいで いちばん びんぼうな むこさんでも

いいんだと おもっているのです。

 「あるきだした小さな木」

 

「いやちょっと…世界で一番貧乏なむこさんは…ごめんなさい。無理です。現実は厳しいので」

 

世界で一番とはいかなくとも、せめて、中くらいはあって欲しいと思うのが、親心というものですよね!

 

というわけで、今日は名作を台無しにした所で終了したいと思います。

こんな日があってもいいですよね!!

 

Amazon>>あるきだした小さな木

絵本ナビ>>あるきだした小さな木

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

若草物語(上) 鹿よ おれの兄弟よ フェアリーたちの魔法の夜
だるまちゃんとてんぐちゃん みどりのゆび 教室はまちがうところだ
ナルニア国全7冊セット 新訳 赤毛のアン 北極のムーシカミーシカ

 

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Twitterで見つけました。路地裏bookshelf

Twitterで発見しました。

あんまり素敵なのでご紹介。

数日前にバズっていて、お気に入りに入れていたものなのですが…

見れば見るほど、素敵です!!

本棚にこんな路地裏がはさまっていたら、しかもランプが付いていたら、胸熱ですね!!

私もお願いしたいです。

ダイレクトメールを送ることで作って頂けるみたいです。

 

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子どもの本だな【広告】

いたずらラッコのロッコ 読書ノート(羽海野 チカ イラスト) 本へのとびら―宮崎 駿(著)
こいぬとこねこのおかしな話 ふたりのロッテ やかまし村はいつもにぎやか
こども論語 フェアリーたちの魔法の夜 バルバルさん

 

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本の世界への入口「おしいれのぼうけん」

いまさら、あらためてわたしがこんな場所でご紹介するまでもない
大ベストセラー
誰もかなわない、日本児童文学界に輝く金字塔です。

おしいれのぼうけん

おしいれのぼうけん (絵本・ぼくたちこどもだ)
作者: ふるたたるひ,たばたせいいち
出版社/メーカー: 童心社
発売日: 1974/11/01
メディア: 単行本

ありがちなやんちゃな男子同士の小競り合い、追いかけっこの罰から始まり、おしいれの闇の中に蠢く不気味な影と、鳴り響く汽笛の音──。

古田足日さんの作品は、どこか都会の匂いがします。

「ぬすまれた町」という埋もれがちな名作がありますが、安保闘争学生運動の時代を別の側面から密に描きながら、夢と現実が交差するという、実に見事な作品です。

こちらに内容のご紹介がありました。

www.iiclo.or.jp

 

自然を懐かしみ、愛しむ傾向。

子供たちには草原や森や原っぱで、自然に囲まれて、思いっきり遊んで欲しい!

そんな願望を尊ぶ中に、古田さんの作品は若干、異質のように見えながらも、現代に通じるリアルさが存在します。

高速道路に立つねずみたちの絵からは、奇妙な都会のコンクリートの気配が漂います。

現代においては、現実に子供が遊んでいるのはアスファルトの道路の上であり、コンクリートの建物に囲まれた街中であったりするものです。

「ほんとうの子供」

大人が思う、このような子供であってほしい願望、懐古的な子供像ではないのです。

内容は象徴と幻想を使い分けつつ子供の心理を表現しています。

下水の中に鎮座まします不気味なグランドマザー、ねずみばあさんに対峙して真っ向から立ち向かい

「ぼくたちは、あやまらない!」

子供の目線からの、子供としての正しい主張をぶつけるやんちゃ坊主たち。

 

この本は決して、大人の「こうあってほしい」願望から書かれたのではない本です。

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こちらでご紹介しましたが

おしいれのぼうけんは、児童書としてとても大切なことに、完全に合致しています。

・おとなの考えやおしつけでなく、子どもの立場に立って書かれた作品

・子どもの論理に立って、すじが通っているもの

・子どもの現実の生活と、どこかでふれあえるもの

・子どもの集団が生き生きと描かれているもの

・夢や空想を無限に広げることのできるもの

・ユーモアのあるもの

子供のための1000冊の本、どの本、読もうかな? より

 

また、この物語の保育士さんの描写も素晴らしいです。

保育士さんがたも間違いを犯すこともある。悩み、怒り、罰を与え、間違いを認めて謝る。

子供への接し方に悩む親と同じように悩んでいます。

 

今、なんとなく世間の雰囲気として、どこかで「お金を払っているのだからプロ」と決めつけ、親の理想像を投影し、完璧なスーパー保育士像を押し付けるような空気がないでしょうか?

 

子供の主張に対して、保育士さん(親も)は完璧でない対応をすることもある。

そのあやまち、ぶつかり合い、争いが、子供の成長を促すこともある──

 

大人は誰しも、子供に完璧な接し方を常にすることはできない。

それでも、この「おしいれのぼうけん」の中で子供に真剣に向き合い、どうすれば意図が伝わるのか真剣に考えている保育士さんの姿はまた、すべての子供に接する職業の方々の姿でもあります。さらに、わたしたち親そのものの姿でもあります。

 

「親」という区切られた、隔絶された家庭の中の姿に留まらず、すべての子供に接する大人の姿を象徴しています。

 

古田足日さんの子供と教育現場に対する目線は鋭く、確かです。

 

あまりにも、みんな知っていすぎるベストセラーばかりのご紹介でちょっと気が引けますが、絶対に入れなければならない一冊です。

 

私は割とAmazonのレビューは低評価も目を通すことにしています。

なるほどな、という意見もあるので興味深く見ているのですが、「おしいれのぼうけん」の低評価に、読み聞かせに使われた方の意見がありました。

 

結論から言うと、この本は読み聞かせには若干、むいていないと思います。 

この本は、幼稚園や保育園に置かれていることも多いと思いますが(というか、置いていない園はないのではないでしょうか?)、ちょうど絵本と児童書のさかいにあります。

読み聞かせするには少し長すぎ、かといって児童書というには短すぎる、その中間にある作品です。

 

読み聞かせのかたも、親御さんも、先生も、保育士さんもみな、本を読むこに育てたいと思うかたはこの、

絵本→絵の多い児童書→文字の多い児童書→本→文学作品

という、

・文章を読むことを訓練する段階

・それぞれの発達に応じて選ぶべき本

に対する視点を持ち、心がけていただくようにしてもらいたいと思います。

お子さんがたには、もちろん、好みもありますし、読まないと思っていた子が思いもかけない本にさっと食いついて読んだりするものですから、こだわりすぎるのもよろしくないと思うのですが、心のどこかに入れておいていただけるだけでいいのです。

読み聞かせをするのは、何のためなのか?

本を好きになってもらうため!

そのためには、読み聞かせにむき、目も引く派手な絵本のみの段階だけでとどめておいては、せっかくの読書の芽も育たないと思うのです。

 

日本は、わりと読みボラさんは大変組織立っていて連携も強く、親御さんも読み聞かせには熱心で、たいへんよいことだと思います。

しかし、いつまでもそのままではいられない。

絵本だけの段階でとどまっているのは、よろしくないです。

そのためにも、よい児童書というもの。
最高の品質の児童書を、もっともっと、知ってもらいたいと思います。

 

おしいれのぼうけん

ここまで大判で絵も多く、ここまで「絵本」の体裁を保ちながらにして、中身はしっかりとした本としての物語であるという児童書は、なかなか探しても見つかりません。

 

この本は、中国語にも訳されているようです。 

  おしいれのぼうけん 中国語版
古田足日田畑精一作『おしいれのぼうけん』の中国語・簡体字版です。

よい本は、どんどん広めていきたいものです。

 

そして、選ぶ時には、少しだけ

「今の自分は理想的な親、大人としての教育的な視点にとらわれすぎていないか?」

と考え、自分の子供の時の思い、心を思い出して読んでみてはいかがでしょうか。

児童書のすばらしさは、大人も子供に立ち返って再び感動を得ることができる所にもあるのですから──。

 

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子どもの本だな【広告】

西遊記 チムとゆうかんなせんちょうさん 小さい魔女
世界むかし話集6ロシア・西スラブ編 プー横丁にたった家 大きな森の小さな家
ちびっこカムのぼうけん 100かいだてのいえ ちいさなきいろいかさ

 

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