今日の一冊「こうさぎのクリスマス」 相手に見せない思いやり。うさぎの兄妹のクリスマスにふさわしいお話
今日、ご紹介するのは絵本です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
両親がキツネに追われたまま帰ってこないので、兄ウサギのラビーと妹ウサギのルビーは、二人だけで暮らしていました。森で薪をひろいながら、他の家にはどこもクリスマスツリーが飾ってあるのを見て、ラビーはルビーに「うちにはサンタクロースなんかこないよ」といいます。でも二人はそっとお互いのためにクリスマスの贈り物を……。心にしみいるお話が柔らかなタッチで描かれます。(福音館書店サイト)
クリスマス前にかわいいお話を紹介しようと思って、「こうさぎのクリスマス」を引っ張り出して来たら、残念ながら今は古本でしか出回っていないようです。
こどものとものうさぎが出てきてクリスマスが出るというこの3点をクリアするなら、思い出すのは、佐々木たづさんの「子うさぎましろのお話」です。
いちど記事に書きました。
「こうさぎましろ」の方は若干、宗教色が強いですが、こちらの「こうさぎのクリスマス」に関しては、これは、お兄ちゃんうさぎと妹うさぎの、それはそれは可愛らしい兄妹愛のお話です。
そして若干、「賢者の贈り物」っぽい感じのお話でもあります。
つまりお互いに内緒でプレゼントを贈り合います。
絵本(というか本全般)には、
「先にそれを言っちゃったら面白くない」
という本と、
「たとえそれを知ったからといって、たのしみが減じるわけではない」
という本と、二種類あると思っていますが、この本は後者です。
◇
お兄ちゃんうさぎの名前はラビー。
妹うさぎはルビーです。
もうすぐクリスマスが来るという時期に、2ひきは森に薪を取りに行きました。
ご近所(くま、りす、のねずみなどです)のおうちには、どこにもすでにクリスマスツリーが飾られていて、ごちそうを作るいい匂いが漂っています。
実はこの兄妹、子どもどうし、たった2匹で暮らしています。
お父さんとお母さんがきつねに追いかけられて、行方不明になってしまっているのです。
いわば、みなしごの二人……。
◇
それでもルビーは、無邪気にサンタクロースの贈り物の話をします。
しかし現実的になっているお兄ちゃん、冷たいです。
「うちにはサンタクロースなんて来ない。お母さんもお父さんも帰ってこない。うちにはクリスマスツリーだって飾ってないし、サンタクロースだって気づかない」
頭ごなしに否定します。
このお兄ちゃんと妹のやり取りがいかにもありそうで、しっかりしなきゃと思い、気を張っている頑張り屋のお兄ちゃんと、まだまだ子供で無邪気な妹の対比がとても良いです。
◇
妹ちゃん、夜にベッドの中で、一生懸命考えます。
(割と大きな一軒家のおうちで、子うさぎたちはそれぞれ自分の部屋を持ってますので、あこがれてました)
自分はいい子にしてるし、サンタクロースはいい子のところに来るんだから絶対に来る!
でもその後にちょっと思いつきました。
兄さんは、サンタが来ないなんて言ったから、サンタも怒って兄さんの所には来てくれないかもしれない。それはかわいそうだなあ。
お兄ちゃんも、ベッドの中で一生懸命考えます。
冷たい言い方をしてしまったことを後悔しています。
あんなに楽しみにしてるのに、クリスマスに贈り物がなかったら、いもうとがかわいそうだなあ。
2匹とも「そうだ!そうしよう。そうすればいい。」
何かいいことを思いついて、2匹とも眠りにつきます。
お兄ちゃんはサンタを…(もにょもにょ…自粛により削除…)…なのですが、妹は自分の所には必ずくる!と信じてるのがとてもかわいいです。
◇
2匹は森で薪を拾うとき、お互いがお互いに知られないように、何かをこっそりとポケットに入れています。
ここを読んだおかげで私、どんぐりや松かさはともかく、やたらと「かわいたコケとくさ」などを家に持って帰るようになってしまって、よく怒られました。
◇
いもうとのルビーが作ったのは、乾いたコケと草を詰めたクッション。
ハンカチを二枚、縫い合わせてつくるのです。
針で指をさしながらも、知られないように静かに頑張ります。
お兄ちゃんのラビーが作ったのは、どんぐりと松かさで作ったお人形。
とんかちで指をたたきながらも、知られないように頑張ります。
◇
ずいぶん夜が更けてからお互いがお互いのお部屋のドアに何かをそっとぶら下げます。
この時、自分のドアは開いているので、何かがぶら下がっているのは見えません。
うまい!
この絵本全体が、クレヨン書きのような(ような、というかクレヨン?)絵で、とても優しい色合いです。
うさぎの顔も結構うさぎっぽくて、ピーターラビットほどリアルではなく、服を着て可愛い兄妹です。
お互いを思いやる気持ちが暖かいです。
◇
クリスマスの日、二匹ともびっくりしながら喜ぶのですが、このとき、サンタは来ないと信じてるお兄ちゃんがいったい何をどう解釈するのか……なんて考える暇もなく、ドアが開いて、お父さんとお母さんが帰ってきました!
絶妙のタイミング。
お兄ちゃんだって、これはお父さんとお母さんだったんだと思えば思えるし、いもうとはサンタがくれたんだと思えば思えるし、このいい子たちへ、お父さんとお母さんこそ、サンタのプレゼント!と考えることもできるし、最高です。
抱きつくこうさぎたちの、顔の可愛らしいこと。
最後のページでお母さんのお膝の上で甘えながらお人形で遊ぶ妹と、お父さんといっしょに薪をくべながらクッションに座っているお兄ちゃん。
最後のページも見開きで、真っ白なクリスマスの美しい情景です。
◇
「子うさぎましろのお話」も大事にしている本なのですが、宗教色がなくても、クリスマスの喜びと、相手に知られないように行う思いやりの尊さを、さりげなく描いていて、大好きな作品です。
◇
せっかくなので賢者のおくりもの英語テキストと音声ファイル無料で読んだり聞いたりすることができますので、ご紹介しておきます。
(いずれも、グーテンベルクのリンクです)
「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492
◆プロジェクト・グーテンベルクについて
☞Wikiの説明ページ
プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリカ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
サンタクロースからもらったおかしを食べてしまった子うさぎのましろは、またほしくなってもらいにいくのですが……。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
いちばん賢くないかたちでプレゼントを選んでしまった2人の幸せを描く「賢者の贈り物」。ツタの最後の一葉が落ちたら、自分は死ぬんだと信じてしまった若い女性に起こった奇跡の物語、「最後の一葉」……。100年もの間、世界中で読まれてきたO・ヘンリーの作品から、えりすぐりの10編を収録。くすっと笑って本を閉じ、また読み返したくなる、そんな宝物のような短編集です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
新訳 賢者の贈り物・最後のひと葉 (角川つばさ文庫)
オー・ヘンリー (原著), 越前 敏弥 (翻訳), 武富 博子 (翻訳), 田中 亜希子 (翻訳), 宮坂 宏美 (翻訳), 吉澤 康子 (翻訳), 椎名 優 (イラスト)
小学生のうちに読みたい、短編の名手、O・ヘンリーの傑作集!100年もの間世界中で読みつがれてきた、短編の名手O・ヘンリーの名作集。国語の教科書にも採用された「賢者の贈りもの」「最後の一葉」を表題とし、「警官と聖歌」など、よりすぐりの10編を収録。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
1900年代初頭のニューヨークに生きる人々の姿を描いた、珠玉の短編集!1ドル87セント。クリスマスを翌日に控え、若妻デラが夫へのプレゼントに費やせるのは、たったそれだけだった。しかし、愛する夫にどうしても世界一の贈り物をしたい。デラは唯一の自慢である髪を売る決心をするが……(「賢者の贈り物」より)。世界中でもっとも愛読されているこの一編をはじめ、「警官と讃美歌」「金のかかる恋人」「春の献立表」など、短編の名手オー・ヘンリーが、1900年代初頭のニューヨークに暮らす庶民の姿を独特のユーモアとペーソスを交えて描きだした短編16話を収録。
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めまぐるしいオフィス風景をユーモラスに描く「多忙な株式仲買人のロマンス」、若く貧しい芸術家たちの姿を描いた「最後の一葉」、表題作の「1ドルの価値」。O・ヘンリーはアメリカの原風景とも呼べるかつての南部から、開拓期の荒々しさが残る西部、大都会ニューヨークなど、さまざまに舞台を移しながら多彩な作品を生み出した。世界各国で読み継がれる代表作のほか、知られざる作品も新訳で登場。心に染み入る珠玉の23編。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
The classic holiday tale of love, devotion, and the art of giving—written by one of the world's best-known short-story authors—will delight those both new to and familiar with this timeless narrative.
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今日の一冊「としょかんライオン」 来てほしい、図書館へ。そんな心のこもった一冊
今日、ご紹介するのは絵本です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
■図書館というところは決まりを守りさえすれば誰でも入れるところです。・・・例えそれがライオンでも?そんな事ってあるのでしょうか。■いつも静かな図書館に、大きなライオンがやってきて、みんな大あわて。でもお行儀のいいライオンは、すぐにみんなと仲良しに。ところがある日、ライオンはある事件を起こしてしまって…。もちろん決まりは守らなくてはいけないけれど、時には特別なことだってあるんだよ、と静かに語りかけてくれます。2回目にお話を読むときは、カバーをはずして、表紙の裏の絵から読んでみてください。裏表紙のところまで物語が続いています。
読み聞かせの人たちに大人気の絵本です。
子供達に人気というより、読み聞かせの人に人気のような気がします。
でも確かにこれはちょっと、子供たちに聞いてほしいし、読んで聞かせたいなと思う本です。
この本を読んで、図書館に興味を持ってほしい。
足を踏み入れてほしいなあという気持ちです。
そういう気持ちがそのまま表れたのが、このとしょかんライオンという本です。
「静かにしていなければならないんでしょ?」と身構えないで、開かれた場所へいつでもどうぞという気持ちです。
◇
表紙の裏、カラー見開きで、頭を上げて道をずんずん歩いているライオンが描かれています。
(本の説明の引用にも書かれています)
「としょかんライオン」と銘打った中扉では、ライオンの石像があるアメリカの(多分NYですね。作者がニューヨーク在住の作家と書いてます)図書館であろうと思われます。
図書館の石像のライオンを眺めているうちに、
「このライオンが動き出して、図書館の中に入ってきたらどうなるだろう…?」
という空想のもとに描かれた本であるような気がします。
◇
まあとりあえず、ライオンはずんずん中に唐突に入ってきます。
唐突です。いきなりです。
あるひ、としょかんに ライオンが はいってきました。
かしだしカウンターのよこをとおり、ずんずんあるいていきます。
図書館員のマクビーさんは、慌てて「としょかんちょう」(年配の女性です)の所に行って報告するのですが、このメリーウェザーかんちょうは、慌てず騒がず、走ってはいけないとか注意したあとで
「で、そのライオンは としょかんのきまりを まもらないんですか?」
と聞きます。
ライオンであるかどうかよりも、規則を守っているかどうかの方が優先される図書館。
別に決まりを破っているわけではないので追い出す理由もないというわけです。
◇
まるで初めて入ってきた何もわからない子供のように、ライオンはあれこれと物色した挙句、絵本のスペースで気持ち良さそうに寝てしまいました。
絵本のスペースなのでよみきかせのお話の時間が始まります。
ライオンも一緒に聞いています。
読み聞かせでこの「としょかんライオン」を読んでいると、聞いてくれている子供たちがライオンと同一化する状態となるわけです。
読み聞かせは面白かったらしく、終わりだとわかるとライオンくん、大きな大きな声でほえ始めました。
終わったのが不満だったのだろうか。
言葉はしゃべらないのでわかりません。
出たよメリーウェザーさん。
すごい威厳で、ライオンも小さくなっちゃってます。
決まり優先。決まりが全て。
ライオンかどうかは関係ない。
しずかにできないのなら としょかんから でていってていただきます。
◇
ライオンは次の日もやってきました。
それからというものライオンは毎日図書館にやってきて、尻尾をダスター代わりに使ったり、背中に子供たちを乗せて高いところの本が届くようにしてやったり、良くお手伝いをして人気者になりました。
しかしある日、ライオンの目の前で、メリーウェザーさんが本を取ろうとして背伸びをした時。腰掛から落っこちて骨を折ってしまいます。
ライオンは決まりを破って走りに走り、おそろしいほどの大声で叫んで人に知らせました。
◇
次の日からライオンは図書館に姿を見せなくなってしまいました。
みんな物足りなくて何かを気にしています。
メリーウェザーさんもさみしそうです。
どうやらライオンくん、決まりを破ったのでもうここに来る資格はないと考えたらしいのでした。
◇
最後は大円団という感じで、とても可愛いハートフルな物語です。
そして読み聞かせボランティアの皆さんは、これを読み終えたあとで
「図書館に来ない?図書館っていいことがあるよ?図書館に行こうね?」
という感じで皆さん一生懸命、子供達を釣ろうとしています。
もちろん私も同じです。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
世々と海くんの図書館デート
恋するきつねは、さくらのバレエシューズをはいて、
絵本をめくるのです。 (講談社青い鳥文庫)
野村 美月 (著), U35 (著)
世々はきつねの女の子。大好きなお姉さん3人と、森の中で暮らしています。そんな世々は毎日、セーラー服を着た女の子に変身し、図書館に行きます。世々が一目ぼれした男の子海くんに、会いにいくためです。今日もいつものように、絵本の端から海くんをちらちら見ていたら、突然海くんがそばにやってきて、折りたたんだ紙を世々に差し出し……!?
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大人が読む児童書「トムは真夜中の庭で」読了 4 時空を超えて
今日、ご紹介するのは児童書です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
知り合いの家にあずけられて,友だちもなく退屈しきっていたトムは,真夜中に古時計が13も時を打つのをきき,昼間はなかったはずの庭園に誘い出されて,ヴィクトリア時代のふしぎな少女ハティと友だちになります.「時間」という抽象的な問題と取り組みながら,理屈っぽさを全く感じさせない,カーネギー賞受賞の傑作です.
大人が読む児童書「トムは真夜中の庭で」 1 名作児童文学の中に必ず名前が上がる、名作中の名作
「薄くなって消えて行ってしまったメイドさん」
読んでいる誰もが、幽霊だああああー!!
……と思うところなのですが、これが明確にいったい何であるのかは、明かされないままに話はすすみます。
それに、メイドさんが幽霊であるのならば、大広間、庭まで変化していることに説明がつきません。
トムは、この「メイドさんの幽霊!?」の出現よりも、もっと
庭がある!!=遊べそうな所がこんな身近にある!!
ということの方がはるかに気になっている様子。
どう考えても、おじさんたちが自分を遊ばせないために隠してたんだと思い込んでいます。
◇
朝になったトム、おじさんとおばさんに
「知っちゃってんだよね~~ぼく。アレのこと。アレだよ、アレ」
という感じで、あの手この手でひっかけて、庭のことを何とか聞き出そうとします。
子どもなので、次々に考えつくへたな誘導です。
さっぱりわからないおじさんたちのとんちんかんな答え。
このやりとりはかなり笑えます。
しかし結局、おじさんなんて特にわからんちんなので、結局怒り出す始末!
「わけのわからない会話」というのが苦手なようなのです。
ホントにさあ、こいつ何なの!
遊び心とか、想像力などということばとは無縁な人のようです。
そこまでならまだ、おじさんがアホということで終わるのですが、トムはおばさんと会話をするうちに、重大なことを聞いてしまいました。
今の時期、どこにもヒヤシンスは咲いていない。
では、あの庭に咲き乱れていたヒヤシンスはいったい……?
◇
トムにとっては、あの不思議なメイドさんより何よりも、
「あれは夢だったのか?」
と考える方がずっと、からだが冷えるようなショックです。
トムは、裏口の扉にかけつけます。
ですが、そこに見たのは無情な風景。
コンクリートで舗装されたゴミ置場!
新聞紙がぐるぐるまわって風に飛ばされるという、すばらしいテンプレの効果つきです。
呆然とするトムですが、そのとき、大家のバーソロミューおばあさんがゆっくりと現れました。
年を取っているので緩慢にですが、しっかりゆっくりと時計のねじをまいていきます。
このねじを巻いて行く動作の描写が非常に細かくて美しく、それもそのはず、意味があるのです。
この大時計は、ただ13回という時を打って、トムと私たちをお話に引き入れるだけの小道具なのではなくて、ひとつの大きなキーであり、一つのキャラクターとも言える重要な役割を果たしています。
◇
大時計のねじがゆっくりとまかれたことで、ショックだったトムも少し落ち着いて考える余裕が出てきました。
ここで、わりとさらっと書いているのですが、重要なところがいくつも出てきます。
・トムは時計を詳細に調べました。あとで重要なフラグとなる、いくつもの発見がありました。
・トムは弟のピーターに、すべてを書き送りました。これもあとでとても重要になってきます。
トムが書いたことが、知っていたこと、知らなかったことが、つくりごとではないことおは、弟のピーターが知っているのです。
(ピーターはこのお話を読んでいる人たちと同じように、どんどんこの不思議な出来事に引き込まれていきます)
・ふたたび大時計が13回を打ったとき、トムはまた大広間に降りて行きます。
・何と、このとき、アランおじさんも13回の鐘を知っていたことが描かれています。
「ありもしない時を打ちやがって!バーソロミューおばあさんの目もさましてやればいいのに」
ばかなおとなは、わからないのです!
・おばあさんは、目をさますどころか、やすらかな夢を見ています。
◇
こんな風にして、冒頭から、次第に不思議な出来事に引き込まれ、トムと一緒に読み手は「真夜中の庭」にさまよい出て行くことになります。
27章あるうちの、ここまでが4章。
5章「露のなかの足あと」の冒頭がそれはそれは美しいです。
妹子「ああ、そことてもきれいだよね」
わたし「あなた読んだの?」
妹子「途中まで。おじさんたちがマジさいていだったわ。トムがひたすら気の毒。ほんとにかわいそうね」
わたし「ハティには会った?女の子」
妹子「いやまだ。そこまで読んでない」
とすると、妹子は
ここからはじまるよ!
というところで、止まっているのだな。
ですがまあ、人にはそれぞれペースがあることなので、言わないようにしておこうと思います。
◇
と、ここまで冒頭を詳細に紹介してきましたが、このお話はまさに
ここからはじまるよ!です。
ここまで丁寧に描かれてきたことにも、もちろん意味があります。
この本のすべてが、美しい物語です。
さらに、「不思議」というだけではすみません。
閉塞に苦しんだ子どもの夢と言うには、説明がつかない不思議な出来事がいくつもでてきます。
例えば実際に入れておいたスケートが時空を超えて床下から発見されたり、木に彫った猫と帽子のマークが木に刻まれていたりなどです。
これは、夢を越えて本当にあったことなのです。
とても美しい、その5章の冒頭を引用してみようと思います。
夜とひるとのあいだには、自然が眠っている時間がある。その時間を見ることができるのは、早おきの人たちか、夜どおし旅をつづける人たちだけだ。夜汽車で旅する人が、じぶんの車室のブラインドをあげて、そとを眺めていると、シーンとしずまりかえった風景があとへあとへと流れさっていくのを見るだろう。木々も茂みも草もみな眠りにつつまれ、息をとめて微動さえせずに立っている。そのときの自然は、眠りにつつまれているのだ。ちょうど、旅人がゆうべ寝るまえに、じぶんのからだを外套やひざかけ毛布でつつんだように。
おとな、子どもの区別なく、この文章に流れる詩の心を感じることができるはず。
ここからはじまるトムの物語を、共にすることができた人は幸せです。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ロンドンに暮らすベンの夢は犬を飼うこと.誕生日に,約束していた犬のかわりに刺繍の犬の絵をもらって失望したベンは,想像の犬を飼いはじめる.やがて引っ越しを機に念願の犬を手に入れるが,それは想像の犬とあまりにも違っていた…….少年の心の渇望と,葛藤を乗りこえる姿をくっきりと写した傑作.[解説・小川洋子]
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
子どもの日常生活におきる,小さいけれど忘れがたい不思議なできごとの数々.『トムは真夜中の庭で』の作者による,夢と現実の世界を行き来する印象的な短篇8編をおさめる.
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ハヤ号セイ川をいく (講談社青い鳥文庫)
フィリパ=ピアス (著), エドワード・アーディゾーニ (イラスト), 足沢 良子 (翻訳)
セイ川を流れてきたカヌーを見つけたデビットは、その持ち主のアダムと友だちになり、カヌーにハヤ号と名まえをつけた。2人は、アダムの家に伝わるなぞの詩から、かくされた宝を探し出そうとする。――カヌーで結ばれた2人の少年の、夏休みのすばらしい冒険と友情をえがいたイギリス児童文学の名作。カーネギー賞受賞作家、フィリパ・ピアスのデビュー作をエドワード・アーディゾーニの絵で。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
養い親のもとを離れ、転地のため海辺の村の老夫婦にあずけられた少女アンナ。孤独なアンナは、同い年の不思議な少女マーニーと友だちになり、毎日二人で遊びます。ところが、村人はだれもマーニーのことを知らないのでした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
アンナは海辺でマーニーという不思議な女の子に出会う。仲良しなのは二人の秘密。けれど嵐の日マーニーが消えてしまい……。愛と友情、成長を描く感動の物語。越前敏弥、ないとうふみこによる新訳で登場!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
大人気シリーズ、ドリトル先生の少年文庫版・全13冊セット。世界一の名医ドリトル先生が主人公の、ベスト&ロングセラーです。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
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オズのまほうつかい | あおくんときいろちゃん | 新編 世界むかし話集(3)北欧・バルト編 |
太陽の東 月の西 | 三銃士 | とっときのとっかえっこ |
いちごばたけの ちいさなおばあさん | 100万回生きたねこ | 白いりゅう黒いりゅう |
大人が読む児童書「トムは真夜中の庭で」 3 真夜中に13回、大時計が鐘を打つとき。夜の世界の不思議
今日、ご紹介するのは児童書です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
知り合いの家にあずけられて,友だちもなく退屈しきっていたトムは,真夜中に古時計が13も時を打つのをきき,昼間はなかったはずの庭園に誘い出されて,ヴィクトリア時代のふしぎな少女ハティと友だちになります.「時間」という抽象的な問題と取り組みながら,理屈っぽさを全く感じさせない,カーネギー賞受賞の傑作です.
大人が読む児童書「トムは真夜中の庭で」 1 名作児童文学の中に必ず名前が上がる、名作中の名作
大時計が13時を打つ。
これ、最近、何かほかの本でもあったような気がします。
そうだ!トンデモネズミだ!
ポール・ギャリコです。
これも、やっぱり時計が13回打ったとき、トンデモネズミはいのちが宿って動き出したのでした。
考えてみれば、12時=0時というのも不思議です。
ゼロ時間とは何でしょうか?
12=0という式は成り立ちません。
でも確かにそこにある、不思議なすきまに、ありえない1時間が忍び込んできました。
何か不思議なことが起きる予感がします。
◇
「あなたにとってファンタジーというものは何ですか」
という質問に回答したことがありました。
そのとき、「苦しみだけが開ける扉」と書いたことがあります。
その頃は説明ができず、分かってもらなかったけれど、ファンタージエンの世界に行くには、そして命の水を持って無事に戻ってくるには、何か資格のようなものがある。
それは、その苦しんでいる理由を打ち明けたとき、誰かと比べられて、「もっとつらい人がいる。相対的に見たら大したことがない」とか、「こういう解決法があるのだから、そうすればいい」とか、何の役にも立たない薄っぺらい言葉では到底どうにもならない、本人にとっては耐え難い苦痛であるということです。
どうしようもない苦しみを耐えている。
そういう時に訪れる、この世のものではない扉──。
大時計は、鐘を13回鳴らすことで、その扉が開かれたことを教えてくれます。
◇
長々と、この気の毒なトムの境遇、地獄のような時間について説明してきたわけですが、これがとても重要なのでそこを分かってもらわないと次の展開に行けませんでした。
「こんなつまらないところにほうりこまれたのは、これがはじめてだ」とトムはピーターあての手紙をくらやみの中で考えていった。「ピーター、ぼくはここから出ていくためだったら--どこでもいい、ここよりほかのどこかへいくためだったら、どんなことでもするよ。」トムは、自由になりたいというじぶんのあこがれが胸のなかでふくれあがり、部屋のなかで大きくふくれあがり、しまいには爆発して壁をつき破り、自分をほんとうに自由にしてくれるのではあるまいかと思った。
という、そのときに起きた不思議な出来事。
トムは、眠れないのでちゃんと大時計の鐘の音を数えていました。
12時の鐘はすでに打ちました。
次は1時のはず。
ギリギリまでトムは一晩に2回、時計は12時を鳴らすのだろうと思っています。
そして鐘の音は13回。
◇
トムは、真夜中に起き出して、玄関ホールになっている入り口の大広間に降りて行き、手探りで大時計を確認しようとします。
このあたり、息詰まるようなスリリングさです。
しかし真っ暗で何も見えません。
この大時計には、バーソロミューさんがいつも、しっかりと鍵をかけていました。
あかりだ、明かりを灯せ!
何かが起きていて、夜の静けさ、暗闇が彼を呼んでいます。
月があるのは屋敷の裏口。
ならば裏口の戸を開ければ、月の光が差し込んでくるかもしれない。
時計の針が確認できるぐらいには……。
◇
トムは、その裏口の向こうには、つまらないがらくたしか置いてないし、行ってもがっかりするだけだと、アランおじさんに聞かされていました。
しかし、開いた裏口の扉の向こうには、月に照らされた素晴らしい庭が広がっていました。
コンクリートで固められていて、遊べそうなところなんてないと、聞かされていたトムは驚いてしまいます。
おじさんは、嘘をついていたんだ!
遊べる場所があるのに、わざと遊ばせないように、存在を隠していたんだ!
……と、トムは信じ込みます。
これまでのおじさんの四角四面の所業を見ている限り、そう考えるのはすごく納得できます。
時計のことも忘れ、庭園の中を歩き回るトム。
花が咲き乱れる様子を、月の光が照らし出します。
夜であるだけに、いっそう神秘的です。
◇
いそぎなさいよ!とささやく邸宅と、時計の針の音。
真っ暗闇の中から、光いっぱいに挿し込める月。
家と同じくらいの大きさの温室がある、広々とした花が咲き乱れる庭。
これまでのムカつくおとなたちの所業と、何もできない閉塞感、どうしようもできない非力さなど、ストレスフルでどうにかなりそうだった中に、唐突に眼前に開けた美しさは、読んでいる方としても、心打たれます。
トムは、ひととおり、少しだけ庭を確かめてから、おじさんたちへの義憤にかられつつ、もう一度家の中へ向かいました。
お昼にもう一度来て、ちゃんと確かめようと思ったのです。
大広間に入ると、表玄関の方の扉が開くのが見えました。
誰かが入ってきたのです。
トムは固まります。
入ってきたのは、メイドさんでした。
(訳では、女中さんとなってます)
白いエプロン、帽子や袖口、黒いくつした。
英国について、かなり情報がいきわたった今となっては、わたしが読んでいた頃よりも、はっきりとメイドさんの格好はリアルに目に浮かぶと思われます。
(よきにつけ、あしきにつけ)
その人は、まったくトムには気が付きません。
咳払いをしても、呼びかけてみてもこちらを見ようともしませんでした。
そればかりか、すぐ横を通り過ぎて行ってしまいました。
ホールの様子もおかしいです。これまでとはまるで違います。
雑然と置いてあった共用物はまったく見えなくなり、かわりに重々しい「邸宅を飾るような」置き物がたくさん、置かれていました。
ただ前と変わらないのは大時計だけです。
メイドさんがまた現れましたが、ここで不思議なことが起こります。
まあ、とっくに不思議なことばかり起きてはいるのですが。
この人は、扉に近づいていくにすれ、「うすくなって」……消えてしまいました!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ロンドンに暮らすベンの夢は犬を飼うこと.誕生日に,約束していた犬のかわりに刺繍の犬の絵をもらって失望したベンは,想像の犬を飼いはじめる.やがて引っ越しを機に念願の犬を手に入れるが,それは想像の犬とあまりにも違っていた…….少年の心の渇望と,葛藤を乗りこえる姿をくっきりと写した傑作.[解説・小川洋子]
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
子どもの日常生活におきる,小さいけれど忘れがたい不思議なできごとの数々.『トムは真夜中の庭で』の作者による,夢と現実の世界を行き来する印象的な短篇8編をおさめる.
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ハヤ号セイ川をいく (講談社青い鳥文庫)
フィリパ=ピアス (著), エドワード・アーディゾーニ (イラスト), 足沢 良子 (翻訳)
セイ川を流れてきたカヌーを見つけたデビットは、その持ち主のアダムと友だちになり、カヌーにハヤ号と名まえをつけた。2人は、アダムの家に伝わるなぞの詩から、かくされた宝を探し出そうとする。――カヌーで結ばれた2人の少年の、夏休みのすばらしい冒険と友情をえがいたイギリス児童文学の名作。カーネギー賞受賞作家、フィリパ・ピアスのデビュー作をエドワード・アーディゾーニの絵で。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
養い親のもとを離れ、転地のため海辺の村の老夫婦にあずけられた少女アンナ。孤独なアンナは、同い年の不思議な少女マーニーと友だちになり、毎日二人で遊びます。ところが、村人はだれもマーニーのことを知らないのでした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
アンナは海辺でマーニーという不思議な女の子に出会う。仲良しなのは二人の秘密。けれど嵐の日マーニーが消えてしまい……。愛と友情、成長を描く感動の物語。越前敏弥、ないとうふみこによる新訳で登場!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
大人気シリーズ、ドリトル先生の少年文庫版・全13冊セット。世界一の名医ドリトル先生が主人公の、ベスト&ロングセラーです。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
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どんぐりむらのほんやさん | 地底旅行 | かもさんおとおり |
たべたのだあれ | アラビアン・ナイト | スパゲッティがたべたいよう |
今日の一冊「もりのなか」 豊かに広がる想像の森の中で
今日、ご紹介するのは絵本です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
ラッパをもって森に散歩にでかけた男の子は、ライオン、ゾウ、クマと、いろいろな動物たちに出会います。男の子はラッパをふきながら、みんなと行列をつくって森を散歩をします。そして森の中で、かくれんぼうをはじめますが、男の子が鬼をしているうちに、動物たちは姿を消していました。かわりに現れたのは、男の子を探しにきたお父さんでした。「またこんどまでまっててくれるよ」、お父さんはそういうと男の子を肩車にのせて、おうちに帰っていきました。
以前ご紹介した「借り続けられている本特集」の中の一冊で、紹介し忘れていた本です。
これは紹介しなければなるまい!
と、フェアが終わる最後に借りてきました。
◇
奇妙なパレードの表紙です。
先頭に立つのは小さな子供、ぼうやです。
最初のページを開くことでわかりますが、紙のぼうしをかぶり、あたらしいラッパ(おもちゃのらっぱですね)を持っています。
最初はライオン、次はぞうのこ(二匹)、それからくま。
いろんな動物たちに会っては、連れだって、まるで楽隊のパレードのように歩いていくのですが、加わる前に、みんなひと動作入ります。
というのも、行列に入る前、出会うたびごとに、動物たちはみんな、髪をとかしたり、顔を洗って身づくろいをしたり……これは子供の分身です。
じーっと何も言わないコウノトリさんというのがちょっと不思議な存在です。
小さなおくびょうなうさぎは、「来たければ来ればいいよ」と言われて、これまでの動物たちのように行列のおしりではなくて、主人公のすぐそばにくっついて歩いています。
◇
みんなで仲良く、ピクニックのようなお食事をして、さまざまな遊びをします。
最後に、かくれんぼをして目を開けてみたら……。
そこには動物たちの姿はいなくなっていて、代わりに「ぼく」を探しに来たお父さんがいました。
動物たちの姿はないけれど、ぼうやは「また今度来るからね!君たちを探すからね」と見えないお友達たちに宣言して、おうちに帰りました。
お父さんの肩車で。
◇
これは、構造的にはくまのプーさんと同じなのですけど、子供の世界、子供の想像の果てしなさ、豊かさを描いています。
明確にくまのプーさんほど、メインのキャラクターがあるわけではありませんが、例えば、このコウノトリなどは、気難しい哲学者のイーヨーの立ち位置に似ています。
でもこれを空想世界と言ってしまうのは違うような気がします。
紛れもなく現実にある世界、クリストファーロビンといっぴきのクマが、いつまでも遊んでいる場所。
それは現実に確かに存在しているもので、誰も否定はできないからです。
◇
それにしても、くまのプーさんといい森の中といい、その世界に入るきっかけになり、また夢から覚めるように呼び戻すのが、いつもおとうさんなのはなぜだろう。
お母さんじゃないような気がします。
その子の、理性としてのお父さんが呼ぶかな?
そろそろ、戻っておいでって。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
リゼットおばあさんの家に住んでいる子ねこのぴっちは、ほかのきょうだいたちとはちがうことをして遊びたいと思いました。ところが、アヒルのまねをして池で泳ごうとして、おぼれてしまいます。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
かもの一家が、川から公園へ引越しです。かもたちは1列になって町の中を歩き出しました。さあ、たいへん! おまわりさんは自動車をとめて交通整理。パトカーまで出動です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
風に吹かれて巣からころがり落ちた、まいごの卵が、お母さんをさがしています。あたりにいた恐竜たちも心配して、たまごの親さがしに協力します。やがて、夕方になったとき、奇跡がおこり、たまごの親がだれなのかがわかりました!ようやくお母さんと再会できた、まいごのたまごは、翌朝、ぶじに孵ることができました。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
日本のなつかしい昔ばなしの中から,「ふしぎなたいこ」「かえるのえんそく」「にげたにおうさん」の3つのお話をえらびました.たっぷりとした墨の線を使った,清水崑氏の大らかな絵が楽しい絵本.
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
語りつがれた日本の民話の中から《なぜ》のおはなし3つ.「おそばのくきはなぜあかい」「おししのくびはなぜあかい」「うみのみずはなぜからい」.初山滋氏の美しい幻想的な画面が子どもの夢を広げます
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大人が読む児童書「トムは真夜中の庭で」 2 もしかして、コロナの時代に最高にマッチした作品
今日、ご紹介するのは児童書です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
知り合いの家にあずけられて,友だちもなく退屈しきっていたトムは,真夜中に古時計が13も時を打つのをきき,昼間はなかったはずの庭園に誘い出されて,ヴィクトリア時代のふしぎな少女ハティと友だちになります.「時間」という抽象的な問題と取り組みながら,理屈っぽさを全く感じさせない,カーネギー賞受賞の傑作です.
大人が読む児童書「トムは真夜中の庭で」 1 名作児童文学の中に必ず名前が上がる、名作中の名作
おとなで「トムは真夜中の庭で」が有名なので読んでみよう、というかたもかなりいるはずです。
それぐらい、あちこちでおススメされている本です。
今、ドリトル先生は、可愛らしい絵柄と分かりやすい新訳で子供の棚に並んでいますが、それとは別に、大人の小説の棚のところに本屋さんが旧訳の井伏鱒二版ドリトル先生を置いてありました。
これは本当にいいことだな!と思ったことがあります。
ちょっと本が好きな人ならどこかで「トムは真夜中の庭で」の名前は必ず聞いたことがあると思います。
ですから、大人の人で、読んでみようかな?子供の時は読まなかったけど、と思う人もいるはず!
そういう、
「いったい、そこまで言う『トムは真夜中の庭で』ってどんなものなのか」
と思う人のために、本屋さんも、大人の小説のところに並べて欲しいです。
◇
さて、トムはまるで牢獄に来たようなイメージで、おじさんの狭いアパートに隔離されてしまいました。
2章で、その生活の様子が描写されるのですが、アランおじさんのあまりのひどさに、私でもぶん殴りたくなるぐらいイライラします。
トムはよく我慢していると思います。
何しろ外に出たらいけないって言うんです。
はしかに罹患しているかもしれないから。
熱もないのに!
おじさんやおばさんはいいんです。
おとなですから、買い物にも出かけるし、仕事にも行くでしょう。
しかし、育ち盛りの子供がずっと家に閉じ込められている状態というのは、かなりつらいです……。
ひとりぼっちで、よその家で。
つまらなすぎて死にたくなる。
◇
まずいことに、おばさんのお料理がとても美味しいし、たっぷりあります。
なぜまずいのかというと、たくさん食べてエネルギーをチャージしているのに、発散することができません。
外に出たらいけないから!
遊んでもいないのに子供が体を動かさずに、たっぷり食べさせられて部屋に閉じ込められている。
…………これもしかしてコロナ生活では?
あれ?
「トムは真夜中の庭で」って、実はコロナの時代にすごくマッチした作品なのでは!?
この閉塞感、イライラ。
わからずやの大人。
ダメになった夏休みの楽しみ。
こうしたいと思う気持ちがあるのにそうはさせない状況。
⇒それが伝染病から来ている
結論:「トムは真夜中の庭で」はコロナ禍の中でぜひよむべき作品だった!
◇
序盤が、この「いかに生活がつまらないか」なので、読んでいる方も、だんだん憂鬱になってくるところではないかと思います。
トムがピーターに手紙を書いているのですが、このふたり、ほんとうに仲良しの兄弟です。
夜に眠れないので、トムは、おばさんが用意してくれたおばさんが少女の頃に読んだ少女小説を読んでみました。
「おばさんが少女の頃に読んだ少女小説」って、何だかパワーワードでちょっと心のどこかにグサッと刺さってくるような気もしますが、ここは落ち着いてスルーします。
小公女とかでしょうか?ひみつの花園とか?
その少女小説は眠気をもよおすほどには退屈させてくれないので、がまんしながら読みつづけていた。
夜の11時半になってもまだ本を読んでいると、アランおじさんに見つかってしまいました!
本を読んでいるのをとがめるアランおじさん。
なんで、子どもが、本を、よんでるのを、とがめるの!?
いまの、読んでもらいたい~となってる心情的に、この所業は許せませんでした。
意味が分からない。
夜の11時なんてまだ、私の世界はこれからだぐらいの夜活時間帯なのに。
眠れなくても電気もつけちゃいけなくてただ暗闇の中で目を開いてじっとしていろということ?
新手の拷問ですか?
スマホだってないのに!
このおじさん、すごく融通の利かない几帳面で四角四面の付き合いづらいタイプです。
さらにムカつくことに、自分たちは起きていて、本を読んだりおしゃべりしたりしてるのです。
◇
高級な週刊新聞を声に出して音読するアランおじさん。
うん、大嫌いだな。
また別の日、あまりにも退屈になったトムは、こっそり起きだしてそっと台所から食料品貯蔵室へ……。
別に何か盗み食いをしようと思ったわけじゃなくて、入ってみただけです。
運の悪いことに見つかってしまい、おじさん、大騒ぎ!!
男の子というものは、おなかがすいていてもいなくても、食料品貯蔵室へはいっていきたがるものだが、トムはどうしてもそのあたりまえなことをおじさんとおばさんにわからせることができなかった。
なんでわからないの!?
バカなの!?
トム「ぼくは眠れないよ」
おじさん(キツく)「子どもはみんな眠るもんだ。」
おばさん(優しく)「それは、あんたの気のせいよ、トム」
妹子「ふたりともぶん殴りたい」
おじさんがムカつくのはデフォルトだとして、若干やさしいし子供ずきだしで、唯一の希望ともいえるこのおばさんが、おじさんに迎合するのを見るは、そうとうキツいです。
そしてまたベッドの中へ。
明かりも強制的に消されます。
これは本当に拷問だー!
そしてこんな地獄の生活の中で、広間の大時計が13回鐘を鳴らすのでした。
12回ではなく、13回。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「沼のほとりのパドルビー」に住む名医ドリトル先生は,オウムのポリネシアから動物語を習い,世界中の動物たちから敬愛されています.ある日アフリカのサルの国から,ひどい疫病が流行しているから救ってほしいという訴えを受けた先生は,犬のジップたちをひきつれて冒険の航海に出発します.ドリトル先生物語の第1作目.
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
新訳 ドリトル先生アフリカへ行く (角川つばさ文庫)
ヒュー・ロフティング (著), 河合 祥一郎 (翻訳), patty (イラスト)
ドリトル先生は動物のことばが話せる、世界でただひとりのお医者さん。でも患者は動物ばかりで人はよりつかず、いつもびんぼう。ある日、ジャングルのサルの間で広がる、おそろしい伝染病の話を聞き、友だちのオウム、子ブタ、アヒル、犬、ワニたちと、船でアフリカへとむかいます。海ぞくとの対決、世にもめずらしい生き物との出会い…。世界中の子どもと動物に愛されるお医者さんの冒険を、42点の楽しい絵と新訳でどうぞ!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
大人気シリーズ、ドリトル先生の少年文庫版・全13冊セット。世界一の名医ドリトル先生が主人公の、ベスト&ロングセラーです。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ロンドンに暮らすベンの夢は犬を飼うこと.誕生日に,約束していた犬のかわりに刺繍の犬の絵をもらって失望したベンは,想像の犬を飼いはじめる.やがて引っ越しを機に念願の犬を手に入れるが,それは想像の犬とあまりにも違っていた…….少年の心の渇望と,葛藤を乗りこえる姿をくっきりと写した傑作.[解説・小川洋子]
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
子どもの日常生活におきる,小さいけれど忘れがたい不思議なできごとの数々.『トムは真夜中の庭で』の作者による,夢と現実の世界を行き来する印象的な短篇8編をおさめる.
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ハヤ号セイ川をいく (講談社青い鳥文庫)
フィリパ=ピアス (著), エドワード・アーディゾーニ (イラスト), 足沢 良子 (翻訳)
セイ川を流れてきたカヌーを見つけたデビットは、その持ち主のアダムと友だちになり、カヌーにハヤ号と名まえをつけた。2人は、アダムの家に伝わるなぞの詩から、かくされた宝を探し出そうとする。――カヌーで結ばれた2人の少年の、夏休みのすばらしい冒険と友情をえがいたイギリス児童文学の名作。カーネギー賞受賞作家、フィリパ・ピアスのデビュー作をエドワード・アーディゾーニの絵で。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
養い親のもとを離れ、転地のため海辺の村の老夫婦にあずけられた少女アンナ。孤独なアンナは、同い年の不思議な少女マーニーと友だちになり、毎日二人で遊びます。ところが、村人はだれもマーニーのことを知らないのでした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
アンナは海辺でマーニーという不思議な女の子に出会う。仲良しなのは二人の秘密。けれど嵐の日マーニーが消えてしまい……。愛と友情、成長を描く感動の物語。越前敏弥、ないとうふみこによる新訳で登場!
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大人が読む児童書「トムは真夜中の庭で」 1 名作児童文学の中に必ず名前が上がる、名作中の名作
今日、ご紹介するのは児童書です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
知り合いの家にあずけられて,友だちもなく退屈しきっていたトムは,真夜中に古時計が13も時を打つのをきき,昼間はなかったはずの庭園に誘い出されて,ヴィクトリア時代のふしぎな少女ハティと友だちになります.「時間」という抽象的な問題と取り組みながら,理屈っぽさを全く感じさせない,カーネギー賞受賞の傑作です.
「トムは真夜中の庭で」は、どんな児童書のおすすめにも、必ず入ってくる、名作中の名作です。
二十七章もあり、文庫でかなりの厚みがあります。
開いてみるとわかりますが、文字もかなりギュッと詰まっていて、訳も硬派です。
いまの軽い会話の多い文に慣れた子供たちには、一見して難易度が高いのではないか?と思われる大長編です。
ですが、この本を勧めた子が、まるで吸い込まれるように夢中になってしまうのが、ほんとうに不思議です。
◇
もう何度も読み返していますが、レビューを書こうと思ったのは初めてです。
今回初めて、紹介することを目的として開いてみたところ、今まで気づかなかったことに、1番最初のページに、イギリスロンドン近郊の地図がついているではありませんか~!
あんなに読んでいたのに、どうしてスルーしていたんだろう。
ハティとトムが遊んだ場所やスケートした場所など、こんなふうにちゃんと地理に基づいたものだったんだ。
なんとなくこの「トムは真夜中の庭で」という作品は、自分自身の夢と目で見た景色が一緒になったように、肉体と心の一部分に属しているような、そんな感じがあります。
トムとハティは現実のイギリスのどこかの地区にいるのではなくて、その「特別な場所」に居るという感覚です。
だからたぶん、無意識のうちに見ないようにしていたんだと思います。
◇
今回は、これまでとは違って、序盤だけをレビューしていこうと思います。
本をあれこれ読んで来た中で、自分にとっても、子どもにとっても、本というものの「導入部分」「読みはじめの部分」がいかに大事なのか、身に染みてわかっています。
よい本は、書き出しから違ってる、おもしろい……とよく言われているのを見ますが、そんなことありません!
そもそも良い本というのがあるのかどうかもわかりません。
ただ、長く読み継がれているか、そうでないかはあります。
そして、長く読み継がれている本の多くが、序盤はわりと退屈です。
読むのに多大なる努力とエネルギーを必要とします。
◇
名作と呼ばれているから読んでみてやったけど、これ一体何なんだよ~、どこまでこれに付き合わされるんだろう
と思いながら、しぶしぶ読み始めたり、よっぽどヒマでもないとこんなの、読まないわ……と思ってページをめくりはじめる。
それが、ある特定の位置を過ぎた時から、ぴりっと、電気が走るように、何かが変わった!と感じる。
どんどん吸い込まれるように夢中になっていき、ついにはご飯も眠ることも忘れ、(わたしが妹子にやいやい言っているような)人の手、親の手なんてかりる必要もないほど、わきめもふらずに読み進めたくなる。
そういうものであることを、読んだ人たちは知っているので、冒頭が退屈でも、読め読め読め!と言い続けるのです。
名作とはそういうもの。
本とは、新しい街に行って、新しい景色を見て、知らない人に出会い、深く知り合うのに似ています。
◇
冒頭が入り込みにくいというのは、これです。
主人公トムが、とにかく最初から、ひどく不機嫌なのです。
ブスッとして、膨れてて、とげとげしくて、とにかくイライラしています。
しかし、これは理由がありました。
トムとピーターはなかよしの兄弟、夏休みになんと弟のピーターがはしかになってしまいました。
隔離のために、トムはおじさんのうちに預けられることになったのです。
夏休みのために立ててていた計画も全部パーになってしまい、トムはブーたれています。
この預けられる先の、「グウェンおばさんとアランおじさん」
多分、トムとピーターのお母さんの妹、アランおじさんはその夫という認識でいいのかな?
トムはこのアランおじさんが好きじゃないし、と書いてるのですが、読んだ私も何度よんでもこのアランおじさん嫌いです。
悪い人じゃないですけど、絶対付き合いたくないタイプです。
このアランおじさんは、この「トムは真夜中の庭で」に出てくる数々のイヤなおとなの中でも、二番目にイヤな奴です。
おばさんはいい人なのですが、おじさんの前ではまったく役に立ちません。
◇
一章めでわかることを、順番に箇条書きにしてみます。
・トムとピーターは仲良しの兄弟。
・弟のピーターがはしかになったので、トムはおじさんの家に隔離されることになった。
・庭で遊ぶ計画を立てていたのにパーになった。
・おじさんとおばさんの家はアパートの一室で、遊べそうな場所がない。(庭もない)
おじさんの車で、トムは隔離場所のアパートへ向かうのですが、とにかく不機嫌です。
しかし、トムも感じ悪いけど、おじさんもつまんない人なので、イヤだろうなという気持ちがひしひしと伝わってきます。
アパートにつきました。
・アパートは、昔の大邸宅を無理やりに改造しているので、ちぐはぐな感じがする。
・アパートのロビーの役割をしている入り口のホールには大きな振り子時計がかかっている。
・この時計は3階に住んでいる大屋のバーソロミューおばあさんのもの。
・グウェンおばさんの料理は美味しい。
・窓には赤ちゃんのような子供が落っこちないように横木が渡してあり、トムはすねる。
ここで重要なのは、文字からイメージを浮かび上がらせることです。
大邸宅を改造したアパート。
これ重要です。
昔は、大きな一つの家だったのです。
しかし、いまは集合住宅になってしまっているので、一般的なマンションをご存じの方ならわかると思うのですが、郵便受けがあり、荷物もそれぞれに届きますし、なんらかの共用物がおいてあったりします。
うちではよく、頼んだあとの洗った寿司桶が置いてありますが、ここでも、牛乳びんの回収ボックスが置いてあったりします。
そういうのが、イギリスの大邸宅、マナーハウスという感じではないですが、大きかった「おやしき」の雰囲気をすべてぶち壊し、雑然とごみごみとした印象になってしまっているようです。
しかも、周囲は住宅地。
どこもかしこも、コンクリートジャングルです。
まったく遊べるような緑のある場所がありません。
前から何度も読んでいて思ったことですが本当に牢獄に来たような気分です。
二章で、話が静かにですが、大きく動きはじめます。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ロンドンに暮らすベンの夢は犬を飼うこと.誕生日に,約束していた犬のかわりに刺繍の犬の絵をもらって失望したベンは,想像の犬を飼いはじめる.やがて引っ越しを機に念願の犬を手に入れるが,それは想像の犬とあまりにも違っていた…….少年の心の渇望と,葛藤を乗りこえる姿をくっきりと写した傑作.[解説・小川洋子]
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
子どもの日常生活におきる,小さいけれど忘れがたい不思議なできごとの数々.『トムは真夜中の庭で』の作者による,夢と現実の世界を行き来する印象的な短篇8編をおさめる.
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ハヤ号セイ川をいく (講談社青い鳥文庫)
フィリパ=ピアス (著), エドワード・アーディゾーニ (イラスト), 足沢 良子 (翻訳)
セイ川を流れてきたカヌーを見つけたデビットは、その持ち主のアダムと友だちになり、カヌーにハヤ号と名まえをつけた。2人は、アダムの家に伝わるなぞの詩から、かくされた宝を探し出そうとする。――カヌーで結ばれた2人の少年の、夏休みのすばらしい冒険と友情をえがいたイギリス児童文学の名作。カーネギー賞受賞作家、フィリパ・ピアスのデビュー作をエドワード・アーディゾーニの絵で。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
養い親のもとを離れ、転地のため海辺の村の老夫婦にあずけられた少女アンナ。孤独なアンナは、同い年の不思議な少女マーニーと友だちになり、毎日二人で遊びます。ところが、村人はだれもマーニーのことを知らないのでした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
アンナは海辺でマーニーという不思議な女の子に出会う。仲良しなのは二人の秘密。けれど嵐の日マーニーが消えてしまい……。愛と友情、成長を描く感動の物語。越前敏弥、ないとうふみこによる新訳で登場!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
この世には目に見えない魔法の輪がある。海辺の村の誰も住んでいない湿っ地(しめっち)屋敷。心を閉ざした少女・杏奈の前に現れたのは、青い窓に閉じ込められた金髪の少女・マーニーだった。
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そんなとき どうする? (日本語) 単行本 - 2016/8/5 セシル・ジョスリン (著), モーリス・センダック (イラスト), こみや ゆう (翻訳) | おやつがほーいどっさりほい | 赤毛のアン |
新版 宿題ひきうけ株式会社 | だいふくもち | カイウスはばかだ |
マチルダばあやといたずらきょうだい | 月曜日に来たふしぎな子 | よるくま |
今日の一冊「おによりつよいおれまーい(サトワヌ島民話)」 マウイ伝説に似た、超自然的な子供のパワーを感じさせる絵本
今日、ご紹介するのは絵本です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
おによりつよいおれまーい(サトワヌ島民話)
(「こどものとも」人気作家のかくれた名作10選)
土方 久功 (著, イラスト)
サトワヌ島は南太平洋のミクロネシア諸島の中の小さい島です。おれまーいは島の男の子。ものすごく強い子で、誰もかないません。あんまり乱暴なので、こらしめに他の島へやってしまいますが……。
絶版本ですので、紹介もちょっとどうしようかな、と思いましたが、1993年にいちど復刊もされているようです。
古本もけっこう出回っているようですし、紹介しちゃいます。
かなり強烈なインパクトを残す絵本です。
わたしの持っている本、ヤケ、シミはたくさんありますが、これでも状態がいい方です。
他のはすごいことになってます。
表紙が外れて、バラバラになっても、しつこく捨てずに持っています。
やはりここまでしても生き残っている本というのは、何か縁があるものなのですよね。
そんな中でも、紹介したい!と強く思う本です。
復刊時には、「かくれた名本」という副題もついていたようです。
まさにかくれた名本です。
パプアニューギニアのお話をもとにした再話。
説明には、ミクロネシア諸島のサトワヌ島と書かれています。
表紙に
「サトワヌ島民話 土方久功 再話/画」
と書かれています。
お話としては、怪力の小さな男の子という、南洋に見かけるモチーフのお話です。
ハワイのマウイ伝説をご存じでしょうか?
最近、「モアナと伝説の海」で、マウイが出て来たので、名前に聞き覚えのある方も多いと思われます。
モアナで、若干ふくよか(婉曲表現)なデザインになっていましたが、マウイはもともと、赤ちゃんのように小さい頃から異常な怪力という伝説でした。
よく宣伝している、山室静さん(ムーミンの訳で有名な方です)の、「新編 世界むかし話集(10)アメリカ・オセアニア編」に収録されていますが、わりと長く、詳細に紹介しています。
マウイはポリネシア神話からハワイ神話まで、ずいぶん遠いのに、これらの南洋の島々にひろく分布しているお話です。
おれまーいも、どことなくマウイを思わせるお話です。
「まーい」、の部分がマウイと似ているな、と思ったことがあります。
話がズレてしまいましたが、本当に力強い絵と、お話です。
◇
さとわぬ島に、ひとりの男の子が生まれます。
うまれるとすぐにはいはい、四日たつともう歩き、8日たつと、「やしのはで あんだ とを やぶりちらすようになりました」
クソガキに育つのが早すぎる。
海の絵がすごくきれいです。
魅せられて、ずっと絵を眺めて過ごしました。
兄助がやってきたので、「覚えてる?」と聞くと、「覚えてる。強いこども」と、記憶に残っているようでした。
幼年期に読ませた本なんて忘れちゃってるんじゃないだろうかと思っていましたが、消えない記憶もあるのだなと思いました。
なんて、しみじみとしたことを言ってる場合ではなく、おれまーいはとんでもないことをやらかします。
「いちばん小さい魚を食べるから、とっておいて」
→そばにいた人たちは、うっかり食べてしまった。
→「さかなは?」と聞かれたので、大きい魚を出してやった
→怒り出して、「うちをひっくりかえしてしまった」
うーん。
・怪力だけど、小さいさかながいい。(謙虚?食欲は普通?)
・間違えて食べてしまった人は不注意だけど、大きい魚を上げようとして、一応反省の色は見える。
・でも、おれまーいは許さない。
ドラゴンボールで、小さい頃の悟空がよくマッパになってましたが、このうちをひっくりかえすおれまーいも、相撲におけるどすこいポーズで、まる出しのまっぱだかです。
それで家をひっくり返してしまうという、おそろしい怪力のおかしみと、おそろしさが同居しています。
◇
すっかり恐怖を覚えた村の人たちは、集まってあれこれと、おれまーいを殺す相談するのですが、この絵がまたすごくシュールです。
「海で」「山で」「困ったな」「だから俺は」
まるで国会のようにグダグダしてます。
そして、何とかしておれまーいを殺そうとするのですが、殺伐とした話なのに、あまりにもおれまーいがつよいので、恐怖を感じるヒマがありません。
純真なので、その殺そうとした手段のもの、大木や丈夫なあみなどを、みなさんに役立つものだと思って、無邪気に持って帰ります。
ニコニコした笑顔に恐れをなす島民にも、おれまーいにも、サイコパスを感じます。
◇
この次が不思議で、(昔話にはよくあることですが)、その不思議さに何度も読み返したところです。
さて こんどは、みんなで ぴーくしままで かめを とりにいって、おれまーいを おいてきてしまおうと そうだんしました。
かめ。
かめって、亀のかめなんでしょうか?
一晩中こいで行くほどの遠いしまに、かめを獲りに行く。
かめって、さとわぬ島には来ないのだろうか?
たまご?かめ本体も、おいしいのかな?
とりあえず、そこにはおそろしいおにがいるので、そのおにに、おれまーいを片付けてもらおうという魂胆です。
このおにの名前も不思議で、「やにゅう」と言います。
やにゅう。
なんだか日本にもありそうな語感です。
このやにゅうが、表紙にいる、頭から赤と青の羽が突き出ているこれです。
いかにも恐ろしげな外見!
でもちょっとユーモラスです。
◇
やにゅう、おれまーいを見つけて、いろいろとたずねます。
ちっともこわがらないおれまーいに、やにゅうはこんなふうに言います。
「そうか そうか いいこだね。だけど おれは こどもの にくが だいすきでね。たべたくなってくるのだよ。たべてやるよね」
今まで、たくさんの童話やおとぎ話を読んできましたが、
「たべたくなってくるのだよ。たべてやるよね」
と、脅しなのか、お願いなのか、確認なのか、そのどれでもない、この微妙な宣言のパターンは、はじめて見ました。
(ここは、読んできかせるときに、薄気味悪い声で言うとすごくウケる箇所です)
おれまーいは、びくともせずに、ならば力比べをしようと自分から申し出て、やにゅうと勝負をすることになるわけですが…。
まあまあ、このあとはお約束の展開ではあるのですが、積み上げられたヤシの実、パパイヤ、バナナのおいしそうなこと!
爆発的な力を秘める、子どものパワーを、エキゾチックな絵と共に、十分に堪能できる絵本です。
◇
作者の土方久功さん、「ミクロネシア研究の民族誌家」とのことで、なるほどとの思いです。
昭和4年にパラオに渡られたとのことで、これは世界恐慌の年で、まだ第二次世界大戦が始まるよりも10年も前です。
昭和17年帰国…大戦の只中に、疎開する形で日本に帰られたんですね。
地図で見て、ミクロネシア諸島の中に「サタワル島」というのがあり、これが「さとわぬ島」かな?と思いました。
Wikipediaに「1931年(昭和6年)、ヤップ諸島の最東端・サテワヌ島(現在のサタワル島)に渡り、7年間を同島で過ごす[2]。」と記述があるので、おそらく「さとわぬ島」はこのサタワル島で間違いないのでしょう。
ずっと、漠然とどこの島だろう…と空想していたので、場所を知ることができたのがとても嬉しいです。
ストリートビューもない、本当に小さな島です。
写真で見る限り、緑ゆたかな美しい海です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
彫刻家であり詩人でもある土方久功は、ミクロネシア研究の民族誌家としても評価が高い。しかし久功の最も貴重な遺産は関東大震災の前年から死の5日前まで55年に渡って書き続けられた日記であろう。残された膨大な日記を一字一句翻刻し、久功の喜び、苦しみ、悲しみを共にする中から立ち上がってくるのは、自己に忠実に生きようとした男の清々しさであり、読む者の知的好奇心を刺激してやまないその生き方である。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
命の女神テ・フィティの<心>が盗まれた時、この世に暗黒の闇が生まれた。だが、闇がすべてを覆い尽くす前に、サンゴ礁を越えて旅する者が女神に<心>を返し、世界を救うだろう---。伝説が息づく南の楽園モトゥヌイを治める村長の娘、モアナ。闇に飲み込まれる危機に瀕した島を救うために、彼女は村の掟を破って、禁じられた海へ漕ぎ出す決意をする。身勝手で自信満々な伝説の英雄マウイを道連れに、自分の心の声を信じて進む少女モアナの冒険に思わず心が熱くなる。圧巻の歌と映像で贈る感動のファンタジーアドベンチャー。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
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大人が読む児童書「カイウスはばかだ」 3 読了 日本でもこの面白さを参考に、「戦国武将の小姓ミステリ」を希望!
今日、ご紹介するのは児童書です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
古代ローマの小さな学校に通う、七人のやんちゃな少年たち。ある日の授業中に、いたずらで書いた「カイウスはばかだ」という落書きが、思わぬ事件に発展して……。無実の罪でつかまった友だちを助けるため、少年たちは一生けんめい、なぞにいどみます。ユーモアたっぷり、元気いっぱいの、ドイツ児童文学の名作。
大人が読む児童書「カイウスはばかだ」 1 積ん読ナンバーワンを決めろ
2 力作の導入サポート。「カイウスはばかだ」の運用マニュアル
これまでの話の展開、またルーフスのキャラからして、ねたんだり、さかうらみをして書いたりするはずがない、というイメージです。
自分は退学になったのに、カイウスは書き取りですんだ!とか、そんな感じではぜんぜんないです。
しかも、皇帝の神殿に……?
先生が襲われた事件と重なって、何とも不気味な予感がします。
みな、とりあえず落書きを見て、カイウスのもとへ行きましたが、ここでカイウスの妹、クラウディアが出てきました。
可愛い。
美少女かどうかは書いてないからわかりませんけど、みんなこの子が好きだし、感じがよくてすてきな少女です。
へーカイウスの妹がねえ……。
あんぽんたんの妹は、あんぽんたんではなかった!
クラウディアの口から、カイウスのうちにはすでに落書きのことが知れ渡っていること。
カイウスが、「あれを書いたのはルーフスのしわざです」とお父さんに云い付けたことが語られます。
みんな、怒り出しました。
最悪です。
やっぱりカイウスは嫌われもの、ルーフスは人気者っぽい雰囲気です。
みんな、ルーフスの方が好きで、そっちの肩ばかり持って心配しています。
でも、人気、不人気と、そこまではっきりと書いていません。
実際の教室の中ではよくあることですが、人気不人気は、はっきり分けて言えるほど別れていないものです。
それが別れるような事態になったときには、ちょっとこれは大変な事態だと考えてもいいでしょう。
うっすらと傾向の色のようなものがあるだけで、境界線は曖昧で、どちらにしてもずっと一緒にいた仲間であり、友達であることは間違いない。
それが本来の生徒たちの姿ではないでしょうか。
◇
ルーフスの危機です。
カイウスは、こんなとんでもない不思議なことが起きてる(先生が襲れたり、「カイウスはばかだ」と書いた書字板がなくなっていたり)というのを知らなかったとはいえ、ここで友達の名前を安易に出したのは最悪でした。
神聖な神殿に落書きという、罪に問われるかもしれないようなことなのに。
しかも、絶対そんなことするタイプじゃないと、わかっていそうなものなのに!
◇
カイウス、あまり頭よくなく、単純なタイプのようです。
でもお父さんはカイウスにはきびしいんですって。
カイウス君には、親の期待が負担なのだろうか。ストレスなのかな。
政治家の息子なんて、楽じゃないだろうな。
それも、それほどキレるタイプでもなく、基本があんぽんたんならなおさらです。
クラウディアも、どうやらお兄さんのカイウスの所業に怒っていて、ルーフスの肩をもっているようです。
ムキウスたちに、あれこれと家の中のことや、起きたことをすべて細かく教えてくれました。
頼りになるし、かわいい。
いったい、神殿の落書きで罪に問われたらどうなるのか。
何しろ古代ローマの時代ですから、子供だって罪に問われたら処刑されることもある。
まさか、そんなことが……。
不安げなクラウディアに、これまたおしゃべりのアントニウスが、ぺらぺらとしゃべってしまいました。
子どもだって処刑されることあるよ!見たことがあるよ。それはこうでこうで、こんな感じで……。
クラウディア、顔色が変わってしまいました。
ん?
これは……?
私の思いこみ?それともフラグ?
泣き出して逃げていってしまったクラウディア。
いくら本当でも、女の子にあんな話はするもんじゃない、なんてたしなめられていますが…。
これって?
クラウディア、ルーフスのこと……?
◇
みな、そろってルーフスの所に行きました。
ルーフスのおかあさん、すごくすてきな人です。
美しい奴隷、ロンプスも少女です。
気のせいかもしれませんが、読んでいてこの子もなんとなく、ルーフスが好きっぽいです。
モテやがるな、ルーフス!たぶんイケメンなんだろうな!(妄想)
ルーフスは、家にいましたが様子が変です。
絶対に自分じゃない!!と言い張っていますし、嘘をついている様子もないです。
※追加情報:
・皇帝は、ルーフスのお父さんの将軍の人気を妬んでいる。
・ルーフスは、先生が襲われた日の夜、何かお金を集めてこっそり出て行き、そしてびしょ濡れで帰ってきた。
・ルーフスが逮捕された(!)。
・告訴したのはカイウスでもカイウスのお父さんでもないらしい(!!?????)
謎は、深まるばかりです!
これは、ミステリなので、これ以上説明するとまったく面白くなくなっちゃうし、やめられなくて温泉も早く上がってしまったほどなので、ぜひぜひ、読んでみてもらいたいです!
◇
しかし、古代ローマの子供達のミステリーを書くって、その発想じたいが凄いなと思いました。
やはりヨーロッパでは、歴史を学ぶ上で古代ローマは自分たちのルーツでもあるわけですし、割と身近なものなのかもしれません。
ユーチューブのTED-edでも、やたらと古代ローマが多いです。エジプトやギリシャもありますが。
これを読んだ新進気鋭の誰かが、
「江戸時代の寺子屋ミステリ」
とか、
「平安時代の稚児ミステリ」
「戦国武将の小姓ミステリ」
とか書いてもらえないものだろうか。
(特に最後の奴、激しく希望!)
漫画とかではありそうな気がするんですがそこをあえて児童文学で。
ああ、でも…古田足日さんが、書いてた気がするな。さすがだな。
忍者ネタであった気がします。
すっごく面白くて夢中になって読んだっけ。
確か太田道灌が悪役だったような……。
よし、探してみよう!
そういうの、現代の子どもたちにもぜひ!
新しいのをplease!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
第二次大戦直後のイギリスで、戦争ごっこにあけくれる少年たちの物語。ある日、みんなでかせいだお金が消えてしまいます。犯人を見つけ、お金をとりもどそうとするうちに、いつのまにか、悪党一味の大犯罪があきらかに…。小学5・6年以上。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
おばあちゃんをたずねる途中の列車で,大切なお金を盗られてしまったエーミール.ベルリンの街を舞台に,少年たちが知恵をあわせて犯人をつかまえる大騒動がくりひろげられます.
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
お金持ちの両親の目を盗んで夜おそく街角でマッチ売りをするおちゃめな点子ちゃんと、貧しいアントン少年―つぎつぎと思いがけない展開で、ケストナーがすべての人たちをあたたかく描きながらユーモラスに人生を語る物語。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
おたがいを知らずに別々の町で育った、ふたごの姉妹ルイーゼとロッテ。ある夏、スイスの林間学校で、ふたりは偶然に出会います。ふたりは、大胆な計画をたてるのですが…。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
どろぼうを追跡してみごとにつかまえた,少年たちの大活躍から2年.お母さんの再婚という大きな悩みをかかえたエーミールは,ちょうど〈教授〉の誘いもあってふたたびベルリンのおばあさんのもとへ.そこで仲間たちといっしょに巻きこまれることになった今度の事件とは? 「エーミールと探偵たち」の続編
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ゆうじが模型飛行機を飛ばしていると、きつねがやってきて「そらいろのたね」と模型飛行機を交換することになりました。そらいろのたねを植えて水をやると、なんと空色の家が生えてきたではありませんか! 空色の家はみるみるうちに大きくなり、たくさんの動物や鳥や子どもたちの楽しい遊び場になります。しかし再びやってきたきつねが、みんなを追い出して空色の家を独り占めしてしまいます。きつねが家にはいると、空色の家はさらに大きくなって……。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
星からきた少女
ヘンリー・ウィンターフェルト (著), レギーネ・オフルス=アッカーマン (イラスト), 関 楠生 (翻訳)
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大人が読む児童書「カイウスはばかだ」 2 力作の導入サポート。「カイウスはばかだ」運用マニュアル
今日、ご紹介するのは児童書です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
古代ローマの小さな学校に通う、七人のやんちゃな少年たち。ある日の授業中に、いたずらで書いた「カイウスはばかだ」という落書きが、思わぬ事件に発展して……。無実の罪でつかまった友だちを助けるため、少年たちは一生けんめい、なぞにいどみます。ユーモアたっぷり、元気いっぱいの、ドイツ児童文学の名作。
大人が読む児童書「カイウスはばかだ」 1 積ん読ナンバーワンを決めろ
妹子「ミステリなんでしょ?」
わたし「そう。ミステリは人間関係をきっちり把握して、いつどこにフラグがあるかわからないから、すごく慎重に読んでる。とくに最初の方」
最初のページにこんな添え書きがあります。
「作者は」と書かれてるので、訳者のかたの添え書きだと思います。
ポンペイでおこなわれている最近の発掘にさいして、「カイウスはばかだ。」と、子どもの手でらくがきされた神殿の壁が出土した。すでに古代口ーマにおいても、子どもたちがこういうやりかたで気ばらしをしていたのかと考えて、作者はこの本を書くインスピレーションをえた。
これを日本の子どもたちが読むとき、古代ローマの子供たちだということをどうやって知るのかな?そもそも、古代ローマをわかっているかな?と思いました。
だが、そんなこと気にせずにガンガン読んでいける面白さもあります。
「何かちょっと古っぽい時代だけど子どもなことはたしか」程度の認識でかまわないと思います。
◇
物語のはじまり、第一章「ルーフスがカンテラをまちがえた」はこんな感じです。
ムキウスはびっくりして目をあげた。クラスじゅうがいきなりわっとばかりにわらいころげたのに、なんでわらったのやらさっぱりわけがわからないのだ。いっしょうけんめい勉強していたために、あたりのようすにぜんぜん気をつけていなかったのである。
見れば、ルーフスが自分の席にいない。クサンチッブス先生のうしろにまわって、壁の前に立っているのだ。きっと、こっそり先生の横をすりぬけたにちがいない。いや、まったく、みごとというほかはない。
だが、みんながわらったのは、そのことではなかった。カイウスがまんまとしてやられたのをおもしろがっているのだ。
壁のくぎに、ローマ帝国の地図がかかっているが、ルーフスはそのくぎに、蝋をぬった自分の書字板をぶらさげて、大きな字でたどたどしく、
「カイウスはばかだ」
と、書きつけたのである。
カイウスはばかって書かれているので、一番わかりやすいのですが、最初に動きがあるのはルーフスです。
というわけで、昨日UPした画像、こんな感じになりました。
それが関係してくるのかわかりませんが、カイウスは政治家の息子で金持ち、ルーフスは有名な将軍の息子だけど授業料を払うのが、おうちの負担になっている、というのが気になりました。
貧乏とまではいきませんが、軍人の息子くんルーフスは、少なくともカイウスよりはお金持ちじゃないのです。
しかも、カイウスはあまり出来もよくなく、言うこともきかないっぽいです。
わがままちんの甘やかされっ子かぁ?
ルーフスに先にちょっかいをだして怒らせたのはカイウスの方です。結果、ルーフスは落書きをすることになった。
優等生のムキウス君も、ルーフスの方に味方してるっぽいです。
で、当然、こうなりました。
クサンチップス先生というのが、教師兼校長です。
ひとりの先生に、7人の生徒。
でもこのせんせい、高名な人で、ローマの良家の子息が通うのにふさわしい学校ということになってます。
(普通の学校は屋根のない路地で習う、など、サラッと書いてあります)
先生!キッツいよそれは!
退学だと言われたこと、ルーフスは相当にショックです。
他の生徒たちもショックです。
ん?カンテラを落としていった?
これはかなり重要なフラグっぽいことが書いてあります。意味深な感じです。
「思いもかけない所で見つけることになるのだが」
この三歩歩けば忘れる、痴呆予備軍の頭のために、きちんと書いておこう。
(これは、書いておいてよかったです)
翌日です。
学校の様子がどうもおかしい。
ここで、よく妄想を働かせて、べらべらとよくしゃべるアントニウス君が、「ルーコスに殺された」とか言うのですが、ここでメモっておいて良かったです。
ものすごい重要人物でした。
どうでもいことまでメモっとこうと思った私、えらいぞ。(ルーフスとルーコスがわかりにくいのでメモったのです)
(モチベーションUPのため、自分で自分をほめる)
いくら待っても姿形も現れない、先生を含めた三人。
皆、物音がする、「先生の私室になっている部屋」へと踏み込みます。
いまさらですが、ということはここは先生のおうちに通って習っていたんだな。
先生のおうちが学校だったんだ。
今でいう私設の塾みたいな形ですね。
これは妹子の落書きだ!
◇
先生、泥棒に踏み込まれ、ぐるぐるまきにされて戸棚の中に突っ込まれていました!
なんてこったぁ~!
生徒たち、総出で助けます。
そして、騒ぎの中心であった、ルーフスもカイウスも結局現れない……。
なくなっているのは、
・数学の教科書が数冊(ピタゴラスの本、ユークリッドの数学著作集、先生の鈍角三角形の鋭角についての大論文)
・くだらない絵が二、三枚
このあたりで、もうメモはほぼやめました。
ここまでで十分です。
じゅうぶんに頭に入りましたし、すごく先が気になります。
◇
※他にメモっておいたこと。
・古代ローマ時代でも、警察はおっそろしくばか
・オデュッセウスの仲間が美しい魔女キルケに豚に替えられた話への言及(ギリシャ神話だ~)
・先生は、ルーフスをおどかしただけで、本気で退学にするつもりなんてなかった。
・カイウスの金持ち元老院議員のパパの名前はウィキニウス
・みなは、ルーフスには先生の意図を教えてやろうとしてるが、カイウスの家は素通りする。(あまり好かれてない?)
皆、首をひねりながら、とりあえずルーフスを安心させてやろうと、家に行こうとするのですが、その途中でとんでもないものを発見して立ち止まりました。
とても大切にされている、皇帝につらなる神聖な神殿、その真っ白な壁に、真っ赤な文字で…
「カイウスはばかだ」の落書きがされているのを。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
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◇ ◇ ◇ ◇ ◇
おばあちゃんをたずねる途中の列車で,大切なお金を盗られてしまったエーミール.ベルリンの街を舞台に,少年たちが知恵をあわせて犯人をつかまえる大騒動がくりひろげられます.
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
お金持ちの両親の目を盗んで夜おそく街角でマッチ売りをするおちゃめな点子ちゃんと、貧しいアントン少年―つぎつぎと思いがけない展開で、ケストナーがすべての人たちをあたたかく描きながらユーモラスに人生を語る物語。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
おたがいを知らずに別々の町で育った、ふたごの姉妹ルイーゼとロッテ。ある夏、スイスの林間学校で、ふたりは偶然に出会います。ふたりは、大胆な計画をたてるのですが…。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
どろぼうを追跡してみごとにつかまえた,少年たちの大活躍から2年.お母さんの再婚という大きな悩みをかかえたエーミールは,ちょうど〈教授〉の誘いもあってふたたびベルリンのおばあさんのもとへ.そこで仲間たちといっしょに巻きこまれることになった今度の事件とは? 「エーミールと探偵たち」の続編
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ゆうじが模型飛行機を飛ばしていると、きつねがやってきて「そらいろのたね」と模型飛行機を交換することになりました。そらいろのたねを植えて水をやると、なんと空色の家が生えてきたではありませんか! 空色の家はみるみるうちに大きくなり、たくさんの動物や鳥や子どもたちの楽しい遊び場になります。しかし再びやってきたきつねが、みんなを追い出して空色の家を独り占めしてしまいます。きつねが家にはいると、空色の家はさらに大きくなって……。
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大人が読む児童書「カイウスはばかだ」 1 積ん読ナンバーワンを決めろ!読むまでがながい
今日、ご紹介するのは児童書です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
古代ローマの小さな学校に通う、七人のやんちゃな少年たち。ある日の授業中に、いたずらで書いた「カイウスはばかだ」という落書きが、思わぬ事件に発展して……。無実の罪でつかまった友だちを助けるため、少年たちは一生けんめい、なぞにいどみます。ユーモアたっぷり、元気いっぱいの、ドイツ児童文学の名作。
昨日の「そらいろのたね」のような悪役の存在はだいじです。
あのきつねのような、ずるくて、自分に利のあるように動こうとするスレスレの悪さをする傾向は、だれの中にも、どんな子ども(とおとな)の中にもあると思います。
(まったくない、おっとりさんももちろんいるのですが)
自分のことだ!とは誰も思いはしないものなので、第三者目線から「自分じゃないイヤな人」という風に読むはずですが、気付きのようなものはやはりあるはずです。
文字にされ、映像化されたイヤな行動、ずるさ、を目の前に見せられると、やっぱりどこかで、「いけないな」と、そのような行動を自重、また忌避する気持ちが生まれるのではないでしょうか。
なので、悪役というのは、とても児童書や絵本にとって主人公以上に、たいせつで貴重な存在だと思います。
◇
……と、昨日書き忘れたので書いてみましたが、今日は先日読み終えた「カイウスはばかだ」にすることにしました。
このお話も、悪役はもちろん、子どもたちの行動も絶妙におもしろいので、紹介したいと思います。
だが、しかし。
ずーっと、ずーっと、積読になっていた二冊の本。
ずーっと、ずーっと、読みたい、読まなければ、読もう、と思い続けて本棚の中にそのままになっていた本。
この二冊が、その筆頭です。
どうしても読まねばなるまいと心に決めて、1ページも読まないうちから図書館で借りてみもせず購入です。
決めては三点。
①こいつは面白そうだぞと思った
②読んだことがない本
③復刊されている
こんなやり方で、読んでないのにめくりもせずに購入する本というのは、それほど多くはありません。
◇
さてどちらにしよう。
なぜか、二冊あると思うと、「どちらにしよう」という葛藤も加わって手が止まってしまう不思議。
これで積読ナンバーワンが決まる。
妹子にくじをひいてもらいました。
「カイウスはばかだ」だ!
栄えある積読トップは、「オタバリの少年探偵たち」になってしまった~。
でも、こういうときに片方をクリアしたら、次はなぜか楽々クリアできるはず☆
よ、よし。いくぞ……。
◇
表紙の絵で、古代ローマの子どもたちの話であるというのは分かっていました。
説明文からミステリ仕立てのようだというのを推測しました。
これ、すごいと思います。
古代ローマの子どもたちのミステリって、すごくないですか?
よく思いつくな。
何だか頭に入ってこないー!
導入が難しいです。
お話が難しいのではなく、面白いです。
でも難しい。
これは名前が原因です。
ローマ人(あと、ロシア人)の名前は鬼門です!
覚えられません。
しかもミステリ。
人間関係とキャラをしっかり頭に入れていなければならないです。
やはり、そのあたり岩波文庫もきっちり配慮がしてあって、顔つきの人物紹介が書いてあります。
生徒たちの顔を眺めてみました。
さっぱり区別がつきません。
カイウス、ルーフス、ムキウス、アントニウス。
「ス」が付きすぎなんだよおおお。しかも四文字多ッ!
◇
これはもう、アレをやるしかない。アレを。
ここまでするのは、読んでないけど絶対に面白いという、絶大な信頼あってのことです。
これが児童書のすごい所で、「名作」と名前を冠された本、また復刊された本で子どもの本は、好き嫌いが出てくる余地がほとんどありません。
ほんとうに、万人におもしろいです。
合う合わないは、それなりにはあるのですが、「面白い」「すごい」「感動した」をクリアするハードルがすごく低いです。
なので絶対信頼してます。
絶対面白いはず。
やるぞ、アレを!
最初に作ったのがこれです。
いつもはもっと、雑なメモです。
今回は、ブログ用のためと、この本を読んでみたいと思う人のために頑張りました。
(WindowsのWhiteboardを使ってます)
どこまでやるかは、読み進めながら、状況次第です。
面白い本や名作と折り紙付きの本は、これをずっと頭から最後までやる必要はなく、大体序盤が終わる頃に、キャラもつかめてスッと頭に入るようになります。
◇
岩波文庫が親切に描いてくれている人物紹介、顔と名前しか書いてないので、属性までわかりません。自分なりに特徴を書きくわえながら作ってみます。
効果はてきめんでした。
「カイウスはばかだ」のもくじは、22章まであるのですが(けっこうガッツリとしたミステリーです。
1章と、2章の半分ぐらいまでで、もう作るのをやめました。
それからは、面白くてめくる手がとまりません。
ちょうどだんなが「おんせん!おんせんに行きたい!おんせんに行こうよ!」とわめき散らかしていたので、温泉のおともに連れて行きました。
マナー的にどうなのかはわかりませんが、箱根の温泉に行ったとき、金髪の欧米人っぽい人が入っていて、おもいっきり露天風呂のおやすみどころ(上がってから休む場所ではなく、おふろ本体の横に置いてあるのぼせを冷ます場所)で寝ころんで文庫本を読んでたのを見たことがあります。
あれは衝撃だった。
(でもイヤな気持ちにはなりませんでした☜読書家にはとことん甘い)
さすがにそんな場所で読んだりはしませんが、上がってから待ち合わせ場所で読もうと思って持って行きました。
酔ってしまうのに車の中でページをめくる手が止まらな~い!!
妹子「おもしろい?」
わたし「めっちゃおもしろい」
かなり車に酔うタイプなので、本当に無理なんですが、ちょっと少しはマシな方法を編み出しました。
ちょうどガラスの所まで本を持ち上げて、景色を背景にして同化させて読みます。
わたし「最初が入りにくいからこれまで敬遠してたけど、すっ…ごい面白い。これだから本を読むのって、やめられないんだよね~~!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
第二次大戦直後のイギリスで、戦争ごっこにあけくれる少年たちの物語。ある日、みんなでかせいだお金が消えてしまいます。犯人を見つけ、お金をとりもどそうとするうちに、いつのまにか、悪党一味の大犯罪があきらかに…。小学5・6年以上。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
おばあちゃんをたずねる途中の列車で,大切なお金を盗られてしまったエーミール.ベルリンの街を舞台に,少年たちが知恵をあわせて犯人をつかまえる大騒動がくりひろげられます.
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
お金持ちの両親の目を盗んで夜おそく街角でマッチ売りをするおちゃめな点子ちゃんと、貧しいアントン少年―つぎつぎと思いがけない展開で、ケストナーがすべての人たちをあたたかく描きながらユーモラスに人生を語る物語。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
おたがいを知らずに別々の町で育った、ふたごの姉妹ルイーゼとロッテ。ある夏、スイスの林間学校で、ふたりは偶然に出会います。ふたりは、大胆な計画をたてるのですが…。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
どろぼうを追跡してみごとにつかまえた,少年たちの大活躍から2年.お母さんの再婚という大きな悩みをかかえたエーミールは,ちょうど〈教授〉の誘いもあってふたたびベルリンのおばあさんのもとへ.そこで仲間たちといっしょに巻きこまれることになった今度の事件とは? 「エーミールと探偵たち」の続編
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ゆうじが模型飛行機を飛ばしていると、きつねがやってきて「そらいろのたね」と模型飛行機を交換することになりました。そらいろのたねを植えて水をやると、なんと空色の家が生えてきたではありませんか! 空色の家はみるみるうちに大きくなり、たくさんの動物や鳥や子どもたちの楽しい遊び場になります。しかし再びやってきたきつねが、みんなを追い出して空色の家を独り占めしてしまいます。きつねが家にはいると、空色の家はさらに大きくなって……。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
星からきた少女
ヘンリー・ウィンターフェルト (著), レギーネ・オフルス=アッカーマン (イラスト), 関 楠生 (翻訳)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
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今日の一冊「そらいろのたね」 もっと復活、活躍してほしい それはクソガキ中のクソガキ 悪役の存在
今日、ご紹介するのは絵本です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
ゆうじが模型飛行機を飛ばしていると、きつねがやってきて「そらいろのたね」と模型飛行機を交換することになりました。そらいろのたねを植えて水をやると、なんと空色の家が生えてきたではありませんか! 空色の家はみるみるうちに大きくなり、たくさんの動物や鳥や子どもたちの楽しい遊び場になります。しかし再びやってきたきつねが、みんなを追い出して空色の家を独り占めしてしまいます。きつねが家にはいると、空色の家はさらに大きくなって……。
子どもにとって、絵本や児童書などで、「悪役」は欠かせません。
イヤな奴であればあるほど、盛り上がります。
絵本や児童書の中で、もイヤな感じを与えた悪役は何だったかなと考えていました。
児童書の中でも超有名な悪役と言えば「ホッツェンプロッツ」ですが、違うんです。
ユーモラスで嫌いという対象ではありません。
むしろ好きです。
「ガンバの冒険」のノロイも、悪役という意味ではトップクラスですが、違うんです。
もうノロイは、悪役と言う存在を越えた脅威。
神の域にまで達しているような気がします。
恐ろしいけど、憎いとか嫌いというイメージではないです。
「小公女」のミンチン先生は近いー!だがおとなです。
そうじゃなくてもっと身近で、もっともっと、生身に肉薄するようなイヤな感じをもっているもの。
妹子「ツネタ」
わたし「妹子、ツネタ嫌いだよね」
妹子「もう本当に嫌い。大嫌い。えりまきにもしたくない」
いきなりえりまきを持ち出す、おまえの発想が怖いわ。
妹子が言っているのは、「くまの子ウーフ」のウーフの友達?のきつね、ツネタです。「きんいろきつねのきんたちゃん」の影響で、きつねは捕まるとえりまきにされると思っているのです……。
妹子「ツネタ、『そらいろのたね』にも出てたし、もうほんとうにきらい!」
❓
「くまの子ウーフ」は神沢利子さん、「そらいろのたね」は中川李枝子さんだと思うが…。
◇
「そらいろのたね」を持ち出してきました。
うん、ツネタだな。
これはツネタだわ。
何か誤認したのもわかる気がする。
そして、すっごい、すっごい、ムカつきます!
インパクトを持って記憶に刻みつけるのは悪役です。
小公女だって、ミンチン先生がいなければここまで人気になることはなかったような気がします。
もっと悪役を!悪役の活躍が欲しい!
◇
「そらいろのたね」のあらすじはこんな感じです。
ゆうじは、のはらで もけいひこうきを とばしていました。
幼保~小学校のぼうやですが、野原で飛行機遊びを飛ばしています。
するとそこに「もりのきつね」がやってきて、自分の宝物との交換条件を申し出ます。
そのもけいひこうき(プラモ?)が、まあ幼保~小学校低学年ならば、すごい騒ぎになるような、自慢になるような、なかなかカッコいい、すごいやつです。
この飛行機がすごいので、それをただの種と取り替えるというゆうじの行動が際立ちます。
子供としては読んでいて
「それ、たねととりかえちゃうんだ……!?だって、タネだよ!?」
という気分になるところです。
そしてゆうじくんは種を丹精込めて育てるのですが、びっくりして成り行きを見守る子供達の前に、その後のそらいろのたねの凄さがまた、際立ちます。
◇
庭にそらいろのたねを埋め、たっぷり水をあげたゆうじくん。翌日に「もう芽が出たかな」と見に行くとなんと
つちの なかから、おまめぐらいの そらいろの いえが でてきました。
家が生えてきたーーー!!
この絵本、実に巧妙にできていて、表表紙、裏表紙開いてみての挿し絵、この「そらいろのおうち」が生えてくるまで、一切家の柄を載せていません。
なので、予想外のものが生えてきた!とびっくりします。
もう当たり前のように知っているはずなのに今回読み返していて、わたしまで「マジかよ」とびっくりしました。
◇
その後もゆうじくんは水やりを欠かさず丹精込めて育て続け、そこに様々な動物がやって来ます。
最初はひよこ、次はねこ。
(この二匹が並んでいる所、考えてみればちょっとシュールです)
大きくなっていって、次々に大きな動物が入れるようになりますが、だからといって最初に入ったひよこや猫が追い出されることもなく、みんなで仲良く暮らして?います、
ゆうじくんも入れるようになりました。
そうなるとお友達がたくさんやってきて、そこに加わります。
(この中にかの有名な「いやいやえん」の「しげるちゃん」もいます)
なかがわりえこさんのお話に登場する動物たちもたくさん加わっています。
そのうち二階ができ、三階ができ…そらいろのたねから生えてきたそらいろのおうちは、大豪邸へと変貌します。
◇
出たよ。きつね。
豪邸を見て、それがあのそらいろのたねだったと聞いておどろいたきつね、ここで案外冷静に言うには
「ゆうじちゃん、ひこうきはかえすよ。だからこのうちもかえしておくれ(・∀・)」
このシレッとした顔で、もけいひこうきをつきだしているきつねの顔。
別に嫌な表情なんて何も浮かべてないのに、「おもちゃとりかえっこしたけど、やっぱり返すね」みたいな、子ども同士ならよくあるごく普通のことを提案してるだけなのに。
そらいろのいえが、すさまじい大豪邸だけに、読んでる方にはなんとも言えない居心地の悪い雰囲気が漂います。
きつね、大豪邸の中に入ると、中にいた全ての人を追い出してしまいました。
後からやってきて、丹精込めて育ててていたのはゆうじくんなのにみんなで仲良く遊んでたのにそれらを一瞬でぶちこわすきつね。
このあたりで、何となく、最初にそらいろのたねを交感条件に出したときにも、「ぼくのたからもの」なんて言ってましたけど、うまいこといって飛行機を巻き上げただけだったんだなという意図が知れます。
ツネタもですけど、あくまで友達の範疇を出ないけどイヤな奴。
あからさまに法に反してるわけでもない、責められないスレスレの線をいく何ともいえない、ずるさ、卑怯さ……。
そして、「友達」のひとりとして付き合っていかねばならない距離感………。
わかってもらえるでしょうかー!!
◇
まあもちろんこのままで済むわけがないのですが……。
妹子「は?は?はぁあああ!?おまえ、後から来て何言っちゃってんの?」
頭に血がのぼってしまって、まあまあとか、まあ最後まで読もうよとか、何も聞こえない感じです。
わたし「まあまあ、最後まで読…………」
妹子「お兄ちゃんちょっと聞いて!」
お兄ちゃんのところにまで持って行った…!?
妹子「聞いてお兄ちゃんこれひどくない!?だってゆうじが育てたんだよ!?おまえだって何もしてないじゃん!なのに後からやってきてかえせって、ひどくない!?」
兄助も、妹子に負けず劣らず怒り狂っていたことをわたしは覚えていますが、本人はどうだろうか。
もうすごい小さい頃のことだし、覚えてないかな?
最後まで読めよって冷静に言うのかな。
兄助、ニッコリ笑ってやさしく答えてました。
兄助「そのきつねは、マジでクソ」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「くまの子ウーフ」の物語は、1969年の刊行以来、小学校の教科書をはじめ、さまざまな形で読み継がれてきたロングセラーです。卵を割ると、必ず卵が出てくることに感心し、自分が何でできているか真剣に考えるウーフ。子どもたちはウーフとともに考え、発見の喜びに目を輝かせてきました。また、命のふしぎと生きることの本質をあざやかに描いた物語は、幅広い層の読者の共感を集めてきました。時代を経てますます輝きを増すウーフの世界をたっぷり味わえる「くまの子ウーフの童話集」を、コンパクトなサイズにリニューアルしてお届けします。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
きんいろきつねのきんたには、お父さんもお母さんもいませんでしたが、たくさんの仲間たちと楽しく暮らしていました。しかしある時、きんたは人間につかまってしまいます。そして、パーティーで出会ったのは…。(「MARC」データベースより)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「大どろぼうホッツェンプロッツ」「大どろぼうホッツェンプロッツふたたびあらわる」「大どろぼうホッツェンプロッツ三たびあらわる」の全3巻完結セットです。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ガンバの冒険シリーズ 冒険者たち/グリックの冒険/ガンバとカワウソの冒険 全3冊
斎藤 惇夫 (著), 薮内 正幸 (イラスト)
ガンバの冒険シリーズ 冒険者たち/グリックの冒険/ガンバとカワウソの冒険の三冊セットのなります。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
永遠の名作がつばさ文庫に登場!大金持ちの娘で、ミンチン女子学院の特別寄宿生の少女セーラ。ところが父が破産・急死したことで、突然学院の使用人として働かされることに…。元級友たちから嫌がらせされても、ほこりをわすれないセーラだが!?
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
カンタのひろったおもちゃのカエルは、雨をあびるとほんとのカエルになって、カンタをカエルのお城のある「うたえみどりのしま」へつれていきます。幼年向きファンタジーの傑作。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
元気だけど、わがままできかんぼうの保育園児のしげるが主人公の童話集。しげるたちが積み木でつくった船でクジラをとりにでかけるお話や、山のぼりで山の果物を食べすぎてしまうお話、赤いバケツをもって保育園にやってきた小ぐまの話など、全部で7つのお話がはいっています。表題作『いやいやえん』では、なんでもいやだ、いやだと駄々をこねるしげるが、「いやいやえん」に連れてこられます。「いやいやえん」とはいったどんな園なのでしょうか?
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大人が読む児童書「ぼくは王さま」 2 読了 王さま?子ども?どこのおうちにもひとり……それは、あれ?わたし?
今日、ご紹介するのは児童書です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
王さまはたまごやきが大好き。朝も昼も夜も、いつもたまごやきを食べます。ある日、王さまはとびきり大きなたまごやきを作るために「ぞうのたまご」をとってこいと命令を出しますが…。ロングセラー児童文学のリニューアル版。(「MARC」データベースより)
大人が読む児童書「ぼくは王さま」 1 そこの君。君のことだよ、君。
第2話 しゃぼんだまのくびかざり
王さまは、あそぶのが、だいすきでした。あそんで、おかしをたべて、あそんで、べんきょうして、あそんで、ひるねして、あそんで、ごはんをたべて……それで、一日がおしまいになりました。
子どもだ!!
しかし、読んでいるたちばの子供たちは、けっしてあー自分だとは思わないもので、
「王さまっていいご身分だね」
「王さまになりたい」
とか言いやがります。
◇
大臣がしゃぼんだまをもってきました。
「王さま、これから、わたくしが、おもしろいあそびを、ごらんにいれましょう。しゃぼんだまというあそびです。ごらんください。」
しゃぼんだまが飛び、また散って行く音がとてもすてきです。(寺村さんは、擬音を多様されるかたです)
ぷ────ぷるるぷるる るるるるる
ぱっ ちっ ぱ ち ち ち
さまざまな色に光りながら、景色や顔も映すきれいなしゃぼんだまに、すっかり魅了された王さま。
つぶれないしゃぼんだまを作り、くびかざりにしたいと思いつきました。
研究者に命じて、あれこれとわけのわからん薬剤(でも読んでいてとてもよくわかる薬剤)を混ぜ込んだ、風船ガムっぽいやつができました。
ですが、針を刺すとつぶれてしまいます。
研究者(はかせ)「鉄を混ぜれば大丈夫っ☆」
んなわけあるかーい!
なのですが、鉄の粉をたくさんまぜたやつができました。
今度はどうか?しゃぼんだまの様子が変です。
予測できそうな展開には決してなりません。
◇
今度のしゃぼんだまは、まるで魔法をかけられたかのように大きく、大きくふくらんで、ゆかに落ち………中から、子どもが出てきました。
この子どもに兵隊たちがとびかかりますが、にこにこ笑いながらちょっと兵隊をさわると、みんな一つにくっついてしまい、ピストルからはたまのかわりにしゃぼんだまが飛び出します。
くっついてしまったのは磁力の現象でしょうけど、理科に出てくる教科書的な説明はついていません。
「がっちんと吸い寄せられ、くっついてしまいました」のです。
不思議な子どもです。
第一話の「たまごやき」で、ぞうはたまごうまないよ、と指摘した子に似ていて、冷静で、にこにこしていて、どこか不思議な力を持つ妖精のようです。
子どもの方が冷静で、万能で、おとなの王さまの方がわがままで、出来ないことばっかり云い付けて、感情のままに走り出す。
という、姿かたちと立場の逆転現象がおもしろいです。
◇
不思議な子どもは、王さまにこわれないしゃぼんだまの作り方を教えてくれます。
畑で、王さまみずからの手で土をたがやし、種をまくこと。
最初は何事もうまくいかないもので、王さまは文句ばっかり言いながら、ふうふう言ってやっとちょこっとだけ(テーブルの広さぐらい)の畑を耕しました。
そうすると、今度はごはんが美味しいです!
もりもり、ぱくぱく、食が進むこと、進むこと!
「王さまは、あそんで、べんきょうして、ひるねをしていれば、いいのですよ。」
「いや、はたらいたほうが、おもしろいさ」
労働の魅力に取りつかれた王様、ごはんも美味しいし、毎日もりもり働きます。
このしゃぼんだまの実が出来るまで、実に丁寧に、水をやって、世話をして、肥料をやって、害虫を取って(ちゃんと農薬を撒いてます)…と、実に丁寧にやっています。
不思議な子どもが種をまいてくれるのですが、「不思議なストロー」をふくと、小さなごまのような種が飛び出してきて、地面に着地するので、それに土をかぶせるというわけです。
◇
結果、リンゴ箱に百杯も出来たとのことなので、これは希少価値としては若干、値が下がるような気がしますが、こんなこと考えてしまう汚い大人はほっといて先に進みます。
王さまは、国中の人に分けてあげることを考えつきました。
ひとりずつ、丁寧に直接手渡して(いい王さまだな)あげていると、何と数が足りなくなってしまいました!
最後に並んでいるのは、子どもです。
あのふしぎな、しゃぼんだまの子どもにそっくり……。
子どもは、王さまがいま首から下げているしゃぼんだまの首飾りと引き換えに、これをあげましょうといって、ストローを差し出します。
あの、しゃぼんだまの種が出るストローです。
究極の取り換えっこ!
王様、自分のしゃぼんだまのくびかざりが欲しかったら、もう一度はたけを作るところからはじめなければならなくなってしまいました。
ナンセンスで摩訶不思議な、夢の中の出来事のようなことが次々に起き、子供を飽きさせない。
誰が読んでも面白い、ハードカバーの「本」です。
子どもによっては、あいうえおを覚えた頃からいけますから、こうしてどんどん「本」に慣れて行ってもらいたいです。
◇
「第3話 ウソとホントの宝石ばこ」は大作です。長編です。
どちらかというと、大人向きなのではないでしょうか。
この本に入っている4つのお話、1は明らかに幼保~低学年でも十分にいける話、2はバランスが取れた面白い話(ちょっと長い)、3は少しひねっていて皮肉がきいていて、人間の本質にまで迫る話……と、少し違っていてさまざまです。
こういう風に、あらゆる年齢層から大人まで対象であるお話が、一つの本に入っているというのがこのハードカバー版「ぼくは王さま」の魅力です。
いつ読んでも、どれかにはひっかかってくるということです。
大人で読んでいても、「たまごやき」の話が純粋でかわいくて面白いなあ!と思うことがありますし、子どもがちょっと無理をして「嘘と本当」について真剣に話を追って行くのも面白いものです。
ウソとホントの宝石ばこは、嘘をつくと「ジジージジジジ」と鳴ります。
こっそり捨てようとした王さまに、川の中から宝箱は歌います。
『ウソつき王さま ウソつきやめた
ウソつきやめたの ホントでしょうか
ウソつきやめたの ホントでしょうか』
大臣、はかせ、武力で攻め込んできた隣の王さままで巻き込んでの大騒動。
ぜひ読んでみてもらいたいです!
これは本当に、一見の価値あり、皮肉と風刺もたくさん含んで、なおかつ面白いというお話です。
◇
ここまで書いて、最初にもどってきました。
どこの おうちにも
こんな 王さまが
ひとり
いるんですって
いる。
いるな。
たとえ、一人暮らしであっても、王さまはいる。
うちの王さまは……。
わがままでゴネてひっくり返って、単純で……すぐ乗せられて…。
もしかして………。
わたし (゜.゜)
かもしれないし、だ〇〇かもしれない。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
王さまのお城で王子さまが生まれました。王さまはお城に国中の人を呼んでお祝いをするといいます。ごちそうはたまごやき。たくさんたまごやきを作るために、王さまはゾウのたまごを持ってこいと言いますが…。新編集版。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
たまごやきが大好きな王さまがいました。ある日、王さまは散歩の途中で鶏小屋からにわとりを逃がしてしまいます。もちろんお城は大騒ぎ! にわとりを逃がした犯人さがしがはじまりますが、見つかるわけがありません。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
<ファンタジーの世界で楽しいおかし作り> ゆかいなお話とおいしいお菓子の作り方が一冊で楽しめる好評シリーズ。 クリーニング屋さんのわかったさんが、配達の途中でまきこまれる不思議な世界。 お話のなかに、お菓子作りのカギがあり、巻末には、作り方の実際をわかりやすく解説しています。 全10巻 (1)わかったさんのクッキー (2)わかったさんのシュークリーム (3)わかったさんのドーナツ (4)わかったさんのアップルパイ (5)わかったさんのホットケーキ (6)わかったさんのプリン (7)わかったさんのアイスクリーム (8)わかったさんのショートケーキ (9)わかったさんのクレープ (10)わかったさんのマドレーヌ
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
<お話を楽しみながら料理のコツがわかる> お話と料理、2つの要素を一冊にまとめた本。 かわいい花屋の奥さん、こまったさんが、 いろいろな出来事に出会いながら、おいしい料理作りに挑戦します。 楽しいお話とゆかいな絵にくわえて、実際の料理のコツがよくわかると評判のシリーズです。 (1)こまったさんのスパゲティ (2)こまったさんのカレーライス (3)こまったさんのハンバーグ (4)こまったさんのオムレツ (5)こまったさんのサラダ (6)こまったさんのグラタン (7)こまったさんのサンドイッチ (8)こまったさんのコロッケ (9)こまったさんのラーメン (10)こまったさんのシチュー
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ファンタジーの世界で、おかし作りのレッスン!きょうはクリスマス・イヴ。わかったさんは、白ひげのおじいさんをてつだって、ショートケーキを作ることになりました。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
寺村 輝夫。1928年東京生まれ。早稲田大学卒業。『ぼくは王さま』で第15回毎日出版文化賞受賞。1984年「独特のナンセンステールズで、子どもの文学の世界を広げた」功績により第17回巌谷小波文芸賞を受賞。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
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大人が読む児童書「ぼくは王さま」 1 そこの君。君のことだよ、君。
今日、ご紹介するのは児童書です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
王さまはたまごやきが大好き。朝も昼も夜も、いつもたまごやきを食べます。ある日、王さまはとびきり大きなたまごやきを作るために「ぞうのたまご」をとってこいと命令を出しますが…。ロングセラー児童文学のリニューアル版。(「MARC」データベースより)
寺村輝夫さんの もう宣伝するまでもないほど有名な本です。
久しぶりに開いてみたら、まえがきがありました。
どこの おうちにも
こんな 王さまが
ひとり
いるんですって
「ん」だけ小さいです。
そこの君!
君のことだよ、きみ!
この話は、子どもにとっては本当にどこかの国に王様がいて、こんなにもすさまじくわがままで、どうしようもないことばかりしでかしている、と思った方が楽しいだろうなと思います。
匂わせはやめておこう。
…って、 匂わせているんですけどね~まえがきで作者が!
◇
私の持っているバージョン、すごく分厚いしっかりしたハードカバーです。
すごい丈夫さです。
「ハードカバーの分厚い本を子供に読ませよう」運動を起こしたいです。
明らかに大人向けのハードカバーよりも装丁がしっかりしています。
私が子供の頃の本なのですが、もちろん日焼けしてますし、シミはありますが(古本だと日焼け、シミあり、と書かれるやつ)、あんなにあんなに何百回も読んだのに、1ページも破れてないです。
そしてこの本、兄助も妹子も大好きなので、およそ半世紀近くのあいだ、相当に酷使され続けています。
それでも、こうしてつらっとした顔つきで(本って、それぞれの顔つきがありますよね)すまして本棚に鎮座しています。
装丁に詳しい人に、なぜ丈夫なのか教えて欲しいです。
紹介しているのは、新・愛蔵版です。
まさに愛蔵版!
超・愛蔵していますし、超・現役です。
◇
第1話 ぞうのたまごの たまごやき
第2話 しゃぼんだまの くびかざり
第3話 ウソとホントの 宝石ばこ
第4話 サーカスにはいった 王さま
割と長いのに、四話!
一話一話が、それなりに長いです。
このページ数だと、子どものガマンできる時間に配慮して、8話~10話入っているものが多いです。
寺村輝夫さんは、擬音も多くて読みやすいので出来ることなんだと思います。
シリーズがたくさん出ていますが、やっぱりこの一回目は すごく出来がいいです。
まったく無駄がないし どの話も面白いです。
◇
第1話 ぞうのたまごの たまごやき
この王さま、たまごやきが大好物です。
「たまごやきが一ばんうまいよ。あまくって、ふーわりした、あったかいのがいいね」
朝も昼も夜もたまごやきです。
病気になるだろ。
子どもか!子どもだろ!となった所ですが、しかし、王さまは王さまです。
王さまのうちに、あかちゃんが、うまれました。
王子さまです。
実はこれを久しぶりに読み返して、いきなり軽く衝撃を受けました。
あまりにも「王さま=子ども」と頭から思い込んでいて、いきなり序盤で覆された気分です。
そうだこれ、王さまだったよ。おとななんだよな。王さまなら子どもだって出来るよね。そ、そうか……。
王さまはよろこんでごちそうの計画を立て、国の人々を招待するのですが、ごちそうはぜんぶ、ぜったいにたまごやきだと言い張るので、そんなにたまごはないと大臣たちは困ってしまいます。
ワン大臣、ツウ大臣、ホウ大臣(スリー大臣じゃないんだ)
王さまのわがままに振り回される大臣たちはともかく、王子さまが生まれたのですから、女王さまもいるはずなのですが、いっさい姿がありません。
言及もされないし、この生まれた王子さまも今後いっさい出てこないので、お話として不思議といえば不思議なのですが、王さまを子どもとして書いてる視点からすれば、存在が消えてるのは不思議?でもない?のかな?
あれ?どっちがどっち?混乱してきました。
寺村輝夫さんに、煙に巻かれています。
さすがナンセンスの王様、寺村輝夫さん。
子どもの視点による世界と、物語の世界を絶妙に折り合わせています。
◇
ぜったいに、たまごやきがいい。
王様の命は至上命令。
たまごやき以外は認めない。たまごやきが正義。
たまごがないなら、ぞうのたまごを持ってこいと命令されて、大臣たちは用意にとりかかりました。
頑張ってトンカンやって、ぞうのたまごやきに相応しいぐらい大きなフライパンも作り、かまども作りました。
……………。
最後は、し、しまったあああ!!なんでそれに気が付かなかったのかあああ!
という展開になりますが、真面目な様子で、ばかなことをおとなたちが右往左往してやっているのが、とてもおもしろいです。
そして読んだあとは、たまごやきを食べたくなります。
あまくって、ふーわりした、あったかいのを。
◇
第2話 しゃぼんだまのくびかざり
次はしゃぼんだま。
しゃぼんだまに本気ではしゃぐ王さま。
子どもが好きなポイントポイントを、絶妙に突いてきます。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
王さまのお城で王子さまが生まれました。王さまはお城に国中の人を呼んでお祝いをするといいます。ごちそうはたまごやき。たくさんたまごやきを作るために、王さまはゾウのたまごを持ってこいと言いますが…。新編集版。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
たまごやきが大好きな王さまがいました。ある日、王さまは散歩の途中で鶏小屋からにわとりを逃がしてしまいます。もちろんお城は大騒ぎ! にわとりを逃がした犯人さがしがはじまりますが、見つかるわけがありません。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
<ファンタジーの世界で楽しいおかし作り> ゆかいなお話とおいしいお菓子の作り方が一冊で楽しめる好評シリーズ。 クリーニング屋さんのわかったさんが、配達の途中でまきこまれる不思議な世界。 お話のなかに、お菓子作りのカギがあり、巻末には、作り方の実際をわかりやすく解説しています。 全10巻 (1)わかったさんのクッキー (2)わかったさんのシュークリーム (3)わかったさんのドーナツ (4)わかったさんのアップルパイ (5)わかったさんのホットケーキ (6)わかったさんのプリン (7)わかったさんのアイスクリーム (8)わかったさんのショートケーキ (9)わかったさんのクレープ (10)わかったさんのマドレーヌ
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<お話を楽しみながら料理のコツがわかる> お話と料理、2つの要素を一冊にまとめた本。 かわいい花屋の奥さん、こまったさんが、 いろいろな出来事に出会いながら、おいしい料理作りに挑戦します。 楽しいお話とゆかいな絵にくわえて、実際の料理のコツがよくわかると評判のシリーズです。 (1)こまったさんのスパゲティ (2)こまったさんのカレーライス (3)こまったさんのハンバーグ (4)こまったさんのオムレツ (5)こまったさんのサラダ (6)こまったさんのグラタン (7)こまったさんのサンドイッチ (8)こまったさんのコロッケ (9)こまったさんのラーメン (10)こまったさんのシチュー
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ファンタジーの世界で、おかし作りのレッスン!きょうはクリスマス・イヴ。わかったさんは、白ひげのおじいさんをてつだって、ショートケーキを作ることになりました。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
寺村 輝夫。1928年東京生まれ。早稲田大学卒業。『ぼくは王さま』で第15回毎日出版文化賞受賞。1984年「独特のナンセンステールズで、子どもの文学の世界を広げた」功績により第17回巌谷小波文芸賞を受賞。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
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今日の一冊「ふくろのなかにはなにがある?」
今日、ご紹介するのは絵本です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
ぜったいにふくろのなかをのぞくなよ!絵本の名手、ポール・ガルドンのあざやかで表情豊かな絵とむかしばなしの語り口がたのしい、読み聞かせにぴったりの絵本。
ポール・ガルドンの絵、この表紙からではわかりにくいかもしれませんが、とても素晴らしいです。
開くと、のどかな風景の中、小川に石橋がかかっていて、生垣には花が咲き、葉の多い樹々の中にしっかりと立つ、下生えに囲まれた小さな農家があります。
そこに赤ぎつねが、大きな袋を背負って杖をついてやってきています。
しっぽはふっさふさで、赤い毛皮がしだいに黒くなっていて、一番先っちょは白いです。
かわいい。
これは中扉の絵です。
「ふくろのなかにはなにがある?」と題名がついています。
非常に興味をそそられました。
◇
この袋に入っていたのはどうやら丸々と太った蜂でした。
キツネが木の根っこを掘っているときに捕まえたのです。
(土をたくさん、蹴上げています)
さきほどの樹々に囲まれた家にやってきたきつね、お掃除をしている「ちっちゃなおばさん」に袋を預かってもらいます。
すごく唐突な展開です。
が、この流れは、どこかのむかしばなしで見たことがあります。
あわてない、あわてない。
ちょっと用事があるんで~すいませんけど~と言って、袋を置いていったきつね。
キツネがいなくなった途端に、おばさんは袋を開けました。
まあ、そうするわな。
中から飛び出した、ふとったハチを、ニワトリがぱっくり食べてしまいました。
戻ってきたきつねは、原状回復は無理なので損害賠償を要求し、代わりにニワトリを袋に入れて立ち去ります。
◇
これは、後々でわかってくることですが、キツネは何らかのよくない意図があって、わざとやっています。
好奇心をくすぐって、たいしたことがないものを、何かもっと有用なものとすりかえようという手段です。
自作自演・わらしべ長者とでも言いますか。
ちょっと違うか。
送り付け商法で、封を切ったらリコールがきかないとかそういう感じの思考回路と似ています。
ということは、このきつねのやり方を子供のうちに学ぶということは非常にリスクマネジメントの観点からも有益ではないでしょうかっ!
◇
この送り付け商法がたちが悪いのは、「預けただけ」なのに、その信頼に背いて「勝手に開けた」という所で、預かった者も悪いので、文句を言うことができないというところです。
このやり方できつねは、ニワトリ→ブタ
ブタ→男の子
という風にして、ついに男の子をゲットしてしまいました!
最後の家では、おばさんが男の子のかわりにブルドックを入れました。
◇
このそれぞれの家の中の描写が、見ていてとても美しく、楽しいです。
壁に掛けるタイプの棚、つまりウォールシェルフがあり、そこに果実酒なのかジャムなのかわかりませんが、果物のつまった瓶がたくさん並んでいます。
その隣には、ねこが長々と寝そべっています。
狐は尻尾がピンと立って、しかも悪そうな顔をしているのですけど、どこかユーモラスです。
森の中の赤いキノコ、樹々のみどり。
最終的には、なるようになったのですが、何と、ジンジャーケーキで終わります!
なんて素敵なんだ。
むかしばなしを元にしているのは明らかな、とてもよい絵本でした。
◇
ポール・ガルドン。
たくさんの、昔話を下敷きにしたよい絵本をかいていますが、表紙だけだと、いつもどうぶつたちがどーん!と載っているだけで、この絵の素敵さが伝わらないのは残念です。
ぜひ手にとってみて頂きたいです。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ガルドンのながぐつをはいたねこ
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
もうすっかりおなじみの「3びきのくま」のお話を、ガルドンが新しい感覚の絵本に仕立てあげました。クマや女の子の性格を生き生きととらえたユニークな絵が魅力的です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ある日わにが、一匹のさるに目をつけて、捕まえて食べてやろうと決心しました。ところが、さるは…。インドの寓話集ジャータカ物語のお話を、ポール・ガルドンが絵本化。1976年刊の改訂新版。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
むかしむかし、ねこと犬とねずみとおとなしいあかいめんどりが、小さな家に住んでいた。ねこも犬もねずみも一日中寝てばかり。ごはんを作り、そうじをするのは、おとなしい赤めんどり。ある日小麦の種が見つかって…。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ある日、めんどりペニーが落ち葉をひっかいていると、木からどんぐりが落ちてきて頭に当たった。「まあ大変、空が落っこってくる!」めんどりペニーの大さわぎが、仲間たちに広まっていって…。
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