~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

今日の一冊「かにむかし」

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

かにむかし

木下 順二 (著), 清水 崑 (イラスト)

有名な日本民話「さるかに合戦」が木下順二氏の新解釈により、ユニークな絵本になりました。方言の味わいを生かしたリズミカルな再話に、清水崑氏ののびやかな墨の絵がぴったりです。

 

 

軽い気持ちで読み聞かせに使おうとすると、大変な目にあいます。
相当に長いお話です。

 

昔話の基本中の基本、さるかに合戦のお話なのですが、CMの三太郎にも入ってませんし、割とすたれすたれかけているものの一つではないでしょうか。
知らない子がかなり多いです。

 

木下順二さんのしっかりとしたストーリー仕立てがありますが、有名な「夕鶴」ほどアレンジがなくて、本当に昔話、という感じです。

 

方言を交えていますけど、読みにくくはありません。
歌うような、なめらかでリズムを取った、まさに夜に古い物語を聞かせるのに最適な文章です。
読んでいる方も気持ちがいいです。

 

かにはせっかく丹精こめて育てた柿を取ることが出来ません。
はよう、めをだせ、かきのたね──
本当に懐かしい響きです。

 

さるに取ってくれるように頼むのですが、さるはするする登って行って、自分が好きなだけ食うだけで知らん顔しています。

 

このとき、かにが怒って「よこさんか、おおい」といったとき、猿は上から青い柿を投げつけてかには死んでしまうわけですが、この時のさるの無愛想な憎たらしさといったらありません。

 

それまで聞えないような顔をしておきながら、返事と言えば、「なんだ、よし、ほれ」とだけ。
無愛想に、無神経に、適当に、しかも青い重たいかきを投げつける。

 

何とも言えない底意地の悪さと不親切を感じます。
木に登ることができるさるは、できる者の持つ、上から目線の意地悪な感じ、能動的にバカにしているというよりも、無視、相手にしない。
挙句の果てにぞんざいに扱うという、最悪さです。

 

絵が何とも牧歌的で可愛いので、この憎たらしさが非常にむかつきます。

 

このむかつきがあってこそ、結局は散々な目にあって最期は石臼につぶされてしまうという所にもすっきり感が出るわけです。
さるがまったく可哀想と思わないところが良いです。

 

それにしても、あだうちのためにかにの子どもたちがわしゃわしゃ歩いていくところ、きびだんごを腰につけているのですが、みんな小さなお口があるみたいで可愛いです。
そして参加していくに従ってきびだんごが減っていくところも、絵として芸が細かいです。

 

仇討ちに参加するメンバーで、特筆すべきはやっぱり
うしのふん
です。

 

絵も、いわゆるうんこ巻きのうんこではなく(汚くてすみません)
べちゃっとした黒いしみのような…まさに、もうどうにもこうにも、うしのふんとしか呼びようのないしろものです。

 

リアルなうんこがあだ討ちに参加するという、なかなかない設定です。
強烈に記憶に残ります。

 

何だか匂ってきそうな紹介の終わりになってしまいました。

 

 

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サリーのこけももつみ 青い月の石 やかまし村はいつもにぎやか
種をまく人 ロボット・カミイ 小公女セーラ
魔女モティ すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ おしゃべりなたまごやき

 

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大人が読む児童書「名探偵カッレくん」4 読了 エーヴァ・ロッタへのあこがれはいつまでも…

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

名探偵カッレくん

アストリッド・リンドグレーン (著), 尾崎 義 (翻訳)

名探偵を夢見るカッレくんは、ある日エイナルおじさんの怪しい行動に第六巻を働かせ、捜査を始めます。宝石窃盗団に迫ったカッレくんは、仲良しのアンデス、エーヴァ・ロッタとともにお城の地下室に閉じこめられてしまいますが…。

 

 

大人が読む児童書「名探偵カッレくん」1 -

大人が読む児童書「名探偵カッレくん」2 -

大人が読む児童書「名探偵カッレくん」3 - 

 

 

日常生活と探偵ごっこが同時進行しながらお話はすすんでいき、やはりピークで盛り上がるのはちょうど中盤で、カッレがエイナルおじさんの指紋を取ろうとするところです。
ここは、中盤では最高潮の盛り上がりです。
(ぜひその目でお確かめください)

 

 

探偵の方は、新たな不審人物が現れていよいよ事件らしくなって来るのですが、

・不審人物の乗っている車が黒いボルボ
・カッレ、お母さんに頼まれた買い物の新聞に穴を開けて観察

などなどと、面白いこと満載で続きます。

 

カッレは人さし指で新聞に穴を二つあけたが、同時にママの晩の読み物にこんなみょうな穴をあけたことを、なんといって弁解したものか、と思案した。

 

カッレはふたりをじっとみつめていた。目玉が新聞の穴から抜けて飛びださなかったのがふしぎなくらいだった。カッレはもちろん、耳をそばだてていた。ふたりの男は話に夢中だったが、残念ながら、カッレにはその大部分がききとれなかった。

 

これ以上は書きたくないので探偵の話は読んでいただくとして…。

 

バラ戦争が始まります!

 

カッレたちのライバル、郵便局長の息子、シックステンの登場です。

 

この「シックステン」の名前とワクワクは、エーヴァ・ロッタについで強く覚えていたので、読んでいて名前が出てきた時にはどきっとしました。

 

「よしっ。」と、アンデスは仰々しくいった。「白バラと赤バラの戦争だ。いく千いく万の人命は死と死の暗夜に落ち行くであろう。」
この文句も、アンデスは歴史から借りたもので、『大平原』に夕闇がたれこめるとき、闘いが終わったあと、口からはきだす文句としては、ことさら美しい響きをもっている、と思ったのだ。

 

多分、カッレくん好きにはあまりにも有名なこのバラ戦争、あまりにも面白いので、記憶に深く焼きつきます。
今回、再読するにあたって、エイナルおじさんの事件のことは大部分忘れていましたが(それでなお、面白く読めたのですが)、このバラ戦争の所ははっきりと覚えていました。

 

これは何度読んでもやっぱり面白いです。

 

このバラ戦争、一体何なんだ?と言われるとなかなか説明が難しいです。
まあ、チーム戦の鬼ごっこのようなものではあるのですが、そんなことを言ったら身も蓋もな…

 

妹子「ちがうよ!?」
わたし「はっ!?」
妹子「鬼ごっこじゃないよ!?」
わたし「はい」
妹子「あれは鬼ごっこみたいな💢遊び💢じゃないから!!💢💢」
わたし「すみません」
妹子「もっと本格的な戦闘なの!」

 

こりゃあ下手なことは言えないな。
妹子が白熱するぐらい、やはりバラ戦争はちょっと、普通の遊びとは一味も二味も違っていて、本格的です。

 

てきとうな説明をしようとして妹子に怒られましたが、このバラ戦争のシステム、原作にちゃんと記述がありました。

 

赤バラ軍と白バラ軍とのあいだには、何年もつづいて戦争が行われてきた。両軍の子どもたちは、けっしてほんとうの意味での仲の悪い同志ではなかったのだ。むしろ逆に、みんな仲良しの友達だったので、この戦争というのも、じつはおもしろい遊びにすぎなかったのだ。
戦争の方法については、別段これといった規則はなかった。ただ一つの目的──それは敵軍をできるだけおこらせてくやしがらせることだった。
そのためには、親や関係のない者などを引っ張り込むことは当然のことながらいけないとして、そのほかはたいていどんなことをしても、いいことになっていた。
敵の司令部を占領すること、スパイしたり奇襲したりすること、人質をとったり、脅迫的な文句をぶつけたり、悪口の手紙を書いたりすること、敵の『秘密書類』を盗んだり、敵の頭を悩ませるような秘密書類をばらまいたりすること、敵陣地をくぐって重要書類をこっそりもちだしたりすること、こんなことはみんな、白赤バラ戦争のおもなやりかたなのであった。

 

というわけで、鬼ごっこや陣地取りとは違う、かなり本格的な戦闘を開始するのですが、このバラ戦争が開始されたのは、町はずれの空き地です。

 

『大平原』というのは、町はずれにある広い公有地であった。よく茂った灌木が生えていた。 この『大平原』は、町の子どもたちのものだった。ここで、アラスカのゴールド・ラッシュ式に金鉱掘り遊びをやったり、銃士の猛烈な一騎打ちが行なわれたりした。

 

この野っぱらで、その「本格的な戦闘」は開始されます。

 

岩山では、キャンプ・ファイヤーをたき、アフリカ・ジャングルのライオン狩りをやり、高貴な騎士が誇り高き名馬にまたがって殺到し、ぶっそうなシカゴのギャングが容赦なく自動拳銃をふりまわしたものだ。それは、そのときどきに町の映画館でやっている映画によって、どうにでも変わるものであった。もちろん、夏場は町の映画館はしまってはいたが、だからといって、子どもたちまで休業してはいなかった。だいたいいつも、けんかがあったし、おとなしい遊戲でも、この『大平原』でめるのが、喜ばれていた。

 

昔はこのような場所があったからといって今、子供達の遊び場が失われてしまったかと言うとそんなことはなく、やっぱり同じようなことが繰り広げられてます。

 

舞台は教室であったり(鬼滅ごっことか)、switch越しであったり、どうぶつの森の中だったりします。
(兄助はPCで友達とSteamのゲームをあれこれやりながら、Discordという携帯アプリで会話してます。チーム戦するときにはすごく役立つみたいです)

 

探偵事件もTwitter上やインスタ上でおきてるかもしれません。

 

 

さて、アンデス・カッレ・エーヴァ・ロッタは、白バラなのでランカスター側です。
(原作には赤バラ白バラとあるだけで、ランカスターだヨークだの記述はないです)

 

赤バラ軍を率いるのは、前述した郵便局長の息子シックステ、配下にベンカとユンテがいます。

 

赤バラ白バラ軍は、『大平原』だけではなく、そこらじゅうを走り回って、戦闘を繰り広げるのですが、途中でアンデスは捕まってしまいます!

 

屋外トイレ(絵によれば仮設トイレに似ています)にとじこめられてしまったのですが、エーヴァ・ロッタは屋根裏部屋からどうにかしてそのトイレによじ登り、白バラ司令官をを救出します。

 

改めて読んでいると、この娘、ほんとうによくあちこちによじ登ります。

 

サーカスの時も、屋根裏部屋から綱をすべりおりて馬にとび乗ろうとしていたし…。(出し物の一環です)

 

アンデスは助けたものの、エーヴァ・ロッタは代わりに自分が捕まってしまいます。
ここでただ捕まるエーヴァ・ロッタではなく、「めすライオンのように」応戦します。
川で大乱闘になりますが、ベンカとユンテ、二人がかりで掴まれて、抵抗するなと脅されるとエーヴァ・ロッタはますます暴れ出し、二人を水のなかに突っ込みます。

 

いや、こうして書いていると、この娘はそうとうに手の負えないお子さんです。
この破天荒さ、このエネルギー。

 

中学生ぐらいでこれほど力いっぱい、男子女子の垣根なく暴れまわるのは、読んでいるだけで壮快です。

 

もうとうに忘れていましたが、小学生ぐらいでこのバラ戦争にあこがれて友達にシステムを説明し、他人の庭やら裏山やらに本部の陣地を作って走り回ったことを思い出しました。

 

エーヴァ・ロッタへのあこがれは、いついかなるときも心の片隅にあって、あるべき○○像なんて頭っから吹き飛ばしてくれていた気がします。

 

ツバメ号とアマゾン号」のナンシイもそうでしたが、もはやジェンダーなんてまったく意味をなさないほどの暴れっぷりです。

 

あこがれでもあり、理想でもあり、魅力的あり、大好きだったなあ…。

 

こういう、枠なんて超えるどころか爆発させてしまっているエネルギーを秘めた女の子たちを、また新しい児童文学の中でも見たいなあ、と思います。

 

 

なんだか今回は、本当に好きな本、よい本だと思う名作の紹介がいかに難しいかというのを思い知らされたような再読でした。

 

実際に読んでしまったのはもう一時間ぐらい、それほど薄い本でもないのですが、面白くて面白くて目が止まらないのです。

 

引き込まれるのもあっという間です。
目が引きずられるというような感覚とでも言いますか…。
この感覚を、子どもたちに味わって欲しい。

 

カッレくんは、もうたくさんの子どもたちにすすめてきましたけど、もっともっと、たくさんの子どもたちに、またかつて子どもだったかたがたにも、読んで面白さを実感してもらいたいなあ、と思います。

 

何より、まさに「筆舌に尽くしがたい」とはこのことだ、というエーヴァ・ロッタの魅力をなまで知って欲しいです。

 

 

ツイッター上でカッレたちがポケットに突っ込んでいる「甘パン」はシナモンロールだったのだと教えていただきました♡

 

ずっと甘食を想像していました!!
新訳ももちろん持っているのですが、今回は図書館で旧訳のハードカバーを借りていたので、そちらばかりを読んでいました。

 

まだシナモンロールが上陸していなかった時代だったからかもしれませんが、夢のある「甘パン」という単語で訳してくれた古い翻訳に敬意を表したいです。

 

 

 

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ドリトル先生ものがたり Mad about Madeline: The Complete Tales (英語) Winnie-the-Pooh(講談社英語文庫)
あのころはフリードリヒがいた たつのこたろう エルシー・ピドック、ゆめでなわとびをする
ふしぎなたいこ ちいさいモモちゃん やかまし村の春・夏・秋・冬

 

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大人が読む児童書「名探偵カッレくん」3

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

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>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

名探偵カッレくん

アストリッド・リンドグレーン (著), 尾崎 義 (翻訳)

名探偵を夢見るカッレくんは、ある日エイナルおじさんの怪しい行動に第六巻を働かせ、捜査を始めます。宝石窃盗団に迫ったカッレくんは、仲良しのアンデス、エーヴァ・ロッタとともにお城の地下室に閉じこめられてしまいますが…。

 

 

大人が読む児童書「名探偵カッレくん」1 -

大人が読む児童書「名探偵カッレくん」2 -

 

 

カッレもアンデスも、 年頃の子供にありがちで、女子に遊ぼうと家に直接言いに行ったり、そもそも女子と遊ぶこと自体「 どうにもかんばしくない」とは 思っているようです。

 

でも、エーヴァ・ロッタと遊ぶのがあまりにも面白いので、やめられないのです。
ここは、下心だけじゃないのです!(強調)
いなければお話にならない、なくてはならない人物です。

 

最初にご披露されるのは、水道調節塔の改築のとき木の足場をよじ登った過去のエピソードです。

 

おとななら、壁に字をかいたり、工事現場の足場をよじ登ったりと、眉をひそめるような行動ばかりですが、これは子どもにはたまりません!

 

いけないことをやれちゃうのが読書の楽しさです。

 

エーヴァ・ロッタは男まさりというかやんちゃというか、トンデモクソガキ少女のロッタちゃんが大きくなったらこんな感じなのかなあ、と思うぐらい行動的で、また発想が実に多彩です。

 

あの暗い秋の城、いつもじぶんの飼い犬をいじめる気姫かの銀行員の家の窓に、糸を縛びっけ、マツやにでヴァイオリンのようにキーキーこすってやかましい音をたてたことがある。そのとき、ェーヴァ・ロッタは、銀行員がとびだしてきて、もうすんでのことで現行犯でっかまるところだったが、そのまぎわまで、窓の下にたちどまったまま、マツやにで糸をこすりつづけていたのだ。それから、すばやく棚をとびこえて、アンデスとカッレがまっているボートマン横丁へ逃げてきたのだ。
まったくェーヴァ・ロッダは申し分のない子だ、ということでは、アンデスもカッレも同じ意見だった。

 

私でもエーヴァ・ロッタと遊びたいです。

 

 

ここからは、カッレはエイナルおじさんをそれとなく見張りながら日常生活を送るわけですけれども、序盤の展開はこんな感じです。

 

・城跡に行こうと提案される。
・地下室には鍵がかかっているのにエイナルおじさんは合鍵(万能鍵のようなものかと思います)を持っている。
・壁に名前を書くのを止められる。(子どもがよくやりがちないたずらです)
・新聞に異常に注目している。(どの記事かはわからず)
金物屋で懐中電灯を購入しているのを目撃

 

懐中電灯??

 

カッレは、頭が破れんばかりに考えこんだ。

 

忘れずにイチゴにはちゃんと水をまきます。
えらいです。

 

ここから、カッレたち仲良し三人組は、サーカスをする計画を立てるのですがこのサーカスがかなり本格的で、ちゃんとポスターも作ります。
(エーヴァ・ロッタが投げキッスをすると二人とも釘付けです。面白いです)

 

実際のサーカスでは、これがまた抱腹絶倒のめちゃくちゃになるのですがこのサーカスの準備やら練習やらはかなり長く続きます。

 

この間、カッレが自分から行くまでもなく、三人組に自分の方から何のかんのとかまってくるエイナルおじさんは、ヒマをもてあますだけの理由があるのですが...。

 

それにしても、ろくなことをせず、あまりよい性質でなさそうなこと、合鍵や懐中電灯のような不審な行動が一つ一つ、サーカスの準備の合間に知れてきます。

 

 

一般的に探偵小説、それも子どもが活躍する探偵小説ですと、まず事件が起こって、それに対処するために探偵団を結成…という流れだと思います。

 

このお話は事件があってそれを解決するのではなく 日常生活の中に不審な出来事があってそれを買ってが日常の生活の中で丹念にひとつひとつ集めていった結果、
………!!!!
というお話なのです。

 

なので、 うわぁ、さつじんだ!
うわぁ、泥棒だ!

さて、関係者の相関図は?

 

ということでもなく、探偵ごっこをやっているのはカッレたった一人なので、いかにも事件は日常の中にこそ潜んでいる…!という感じがします。

 

子どもたちが夢中になってしまうのも、そのあたりの運びのたくみさにあるのではないでしょうか。
(たまには紹介ぽいことを言ってみる)

 

普通に面白く遊びながらもエイナルおじさんをじーっと見守るカッレの秘密を見守るドキドキがスリル満点です。

 

さらに私立探偵ごっこと同じくらい、この日常の大騒ぎ、サーカスやまた、 後半で現れるバラ戦争などの子供の遊びがめちゃんこ面白いので、もう夢中になれること請け合いです。

 

特にこのバラ戦争!
これが本当に面白くて...。

 

事件の内容は忘れちゃいましたが(探偵小説にありがちです)、このバラ戦争は、エーヴァ・ロッタのお父さん(パンやさん)がくれる甘パンと一緒に、ものすごく強烈に記憶に焼き付いて残っています。

 

(次で終わりです)

 

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みどりのゆび ひとすじの道 ラチとらいおん
英語でもよめるはらぺこあおむし 朝びらき丸東の海へ おかあさんだいすき
オンネリとアンネリのふゆ ジェインのもうふ クリスマス・キャロル

 

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大人が読む児童書「名探偵カッレくん」2

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

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今日の一冊

 

名探偵カッレくん

アストリッド・リンドグレーン (著), 尾崎 義 (翻訳)

名探偵を夢見るカッレくんは、ある日エイナルおじさんの怪しい行動に第六巻を働かせ、捜査を始めます。宝石窃盗団に迫ったカッレくんは、仲良しのアンデス、エーヴァ・ロッタとともにお城の地下室に閉じこめられてしまいますが…。

 

大人が読む児童書「名探偵カッレくん」1 -

 

誰もがとりこになるので、今更この本の魅力を伝えるのはとても難しいです。

しかも、探偵ものなので、詳細にご紹介することもはばかられます。

 

というわけで、独断と偏見で序盤あたりから面白いな!と思った所を書いていきたいと思います。

 

カッレくんが尊敬しているのは、
シャーロック・ホームズ
・アスビョーン・クラーグ
・エルキュール・ポワロ
・ピーター・ウィムジィ卿
だそうです。

 

江戸川コナンの名前のコナンはシャーロック・ホームズの作者なので、やはりここはまあ、当然と言えば当然です。

アスビョーン・クラーグ は北欧で有名な探偵小説の主人公だそうです!

ポワロは言わずと知れたアガサ・クリスティーです。

ウィムジィ卿は、ドロシー・L・セイヤーズのだそうですが、同時期にエラリー・クイーンがいるそうで、私もエラリー・クイーンならば知っています。

 

www.tsogen.co.jp

 

カッレが自分の血で妄想を繰り広げていると、そこにアンデスがやってくるのですが、カッレはパイプをこっそり隠します。

 

妹子「えっ?こいつタバコ吸うの?いけないんじゃない?中学生でしょ?」
わたし「まあ、その先を読んでごらんよ」

 

内緒で煙草をすっているのを、アンデスに見つかるといけないからではなかった。じつはパイプにタバコがはいっていなかったからだ。だが、探偵は、事件と取り組んでいるときは、パイプが必要なんだ。たとえ、一時、タバコをきらしていてもだ。

 

このような感じの、ちょっとひねった感じの面白さが随所に出てきます。

 

少し成長してきたお子さんならば、ほぼ小学生でもわかってもらえます。
紹介も、ものによっては中学生以上なんて書いていますがどうでしょうか?

 

さてカッレくん、アンデスが遊びに誘うので探偵活動は自分の頭の中で展開するだけにして(人はそれを妄想と呼びます)、出かけます。

 

出かける時にカッレくんのお母さんが「イチゴに水やって」と頼むのですが、まあ本当にどうでもいいわたくしごとですが、私はここにめちゃめちゃ共感しました。
いつも兄助(妹子の兄)に、バジル&しそに「水をやって」と頼むからです..。

 

カッレくんも、「悪事をたくらむあやしい人物がひとりも忍び歩いていないことを確かめてから」とか言わないでくれよ...。

頼むよ...。枯れちゃうんだよ。

 

さてエーヴァ・ロッタと合流し、カッレのやりたい「探偵式の考え方」 を笑われたりしながら、三人は最初のいたずらに入ります。

 

この話、探偵物語だけで展開するのではありません。
ほぼ同時進行で、この三人(後でバラ戦争ごっこでさらに三人合流)、ありとあらゆるトンデモな遊びといたずらとやらかしを行います。

 

これがまた、とてもとても、現代の子どもたちがやったら間違いなく怒られること間違いなしの、かなりきわどいいたずらなので、ここがまた子どもたちに面白い!と感じてもらえるところです。

 

最初にやらかすのは、いかにもスタイリッシュなかっこいい小包を作って、紐をつけておき、物陰に隠れて拾おうとした人をおどかす、というものです。

 

このいたずらは、「みつばちマーヤ」を書いたボンゼルスが似たような小話を書いているので、たぶんこの頃の子どもたちには相当にポピュラーな遊びかいたずらだったんだと思います。

(東京創元社「少年少女文学全集」に入っているものだけのようです)

そのお話では、その小包に気付いた人が拾わずにが静かに笑ったので子どもたちはびっくりした。そして、小包に何かを入れて「さあ、ひっぱって!」と言う。その人はお小遣いを入れていてくれた...という話でした。(その人も子どもの頃同じような遊びをしたことがあるんだろうな、という感じ)

 

こちらはよいお話でしたが、まあカッレ、アンデス、エーヴァ・ロッタがやった場合には、思いっきりふんづけられてしまいます。

 

この楽しみを台無しにしやがったのが、カッレの標的、「エイナルおじさん」です。

 

このおじさん、エーヴァ・ロッタのおじさんと書きましたが、正確にはかなり遠い親戚です。

エーヴァ・ロッタのお母さんのいとこ、とのことなので、これはもうエーヴァ・ロッタとは赤の他人と言ってもよさそうなぐらいです。

 

こいつは、登場した当初からとにかく、妙にエーヴァ・ロッタに馴れ馴れしいです。

それもあまりいい感じの馴れ馴れしさではありません。

エーヴァ・ロッタも嫌がってますけど、カッレもアンデスもイヤな感じを受けます。

 

まあ、大人なので、ふわっとした表現で書きますが、二人も彼氏がいるんだねーとか、大きくなったら自分と結婚する?とか、…何というか、なんとなく、イヤな感じです!!
それに、すぐにエーヴァ・ロッタに触ります。

ボディタッチがすごく多いです。
すぐ髪の毛を触ったり、何かと理由をつけてつねったりします。

 

とてもイヤな感じです!!💢

 

 

 (つづきます)

 

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チョコレート・アンダーグラウンド 魔法のカクテル しずかなおはなし
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大人が読む児童書「名探偵カッレくん」1

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

名探偵カッレくん

アストリッド・リンドグレーン (著), 尾崎 義 (翻訳)

名探偵を夢見るカッレくんは、ある日エイナルおじさんの怪しい行動に第六巻を働かせ、捜査を始めます。宝石窃盗団に迫ったカッレくんは、仲良しのアンデス、エーヴァ・ロッタとともにお城の地下室に閉じこめられてしまいますが…。

 

 冒頭の一文です。

「血液!疑問の余地なし!」
彼は虫めがねをとおして、赤い斑点をじっとみつめた。そして、パイプを反対がわの口もとへ移して、ため息をついた。もちろん、それは血だった。おや指を切ったときに、血でなくて、何がでるだろう?あの斑点は、いかなる探偵もかって捜査の運命にめぐりあったこともないような、もっとも残忍な殺人によって、ヘンリー卿がじぶんの夫人をなきものとした、その決定的な証拠であるべきはずだった。ところが残念ながら──話はそうではなかったのだ!鉛筆をとがらせようとして、ナイフがすべったのだ。それが悲しい真実なのだった。それも、ヘンリー卿のせいではなかった。悪人ヘンリー卿が実在さえもしなかったのだから、なおさらのことである。まったくこれは、情けないことだ!

 

改行なしでこの立て続けの文章が続きます。字の圧がすごいです。 
これで、読んだ子どもの誰も彼もが夢中になってしまうというのがまたすごいです。

 

リンドグレーンの「名探偵カッレくん」シリーズの一冊目です。
説明するのも今更だなーと思う人気作品なのですが、ある筋からの強い要望により自分も読み返してみました。

 

安定の面白さ。
何もかも面白いです。

やはりこれは、向かうところ敵なしの一冊で、おすすめした子どもたちの誰もが、面白い、面白いー!!と言ってくれます。

 

登場人物のご紹介。
まず主人公は、名探偵を夢見るカッレくん 13歳。
コナン君と工藤新一のちょうど間ぐらいです。

 

元々高校生だった工藤新一が黒い組織の手によって薬を飲まされ子供になってしまう、などということもなく。

 

一日一回どころか一日十回ぐらい殺人に遭遇してそうな頻度で、実はお前が全ての犯人なんじゃねーかと疑われても仕方が無いほどの恐るべき偶然で事件にぶつかることもなく。

 

つまりはそういう生活に心から憧れているひとりのふつうの少年です。

 

食料雑貨店の息子です。
お父さんはあとを継いで欲しいのですが、カッレくんは名探偵になることを夢見て、冒頭で引用したような空想を常に繰り広げています。

 

カッレくんは、いつも友達三人でつるんで遊んでいます。
くつなおしの家のアンデス、そしてパン屋の娘エーヴァ・ロッタです。

 

カッレもアンデスもこのヒロイン、エーヴァ・ロッタに夢中なのですが、この子は本当に魅力的な女の子です!

 

立ち位置としては、蘭姉ちゃんと灰原哀と吉田歩美を全部足して3で割ったようなと言いたい所なのですが、確かに立ち居地はそうなんですけど、蘭姉ちゃんと灰原哀と吉田歩美を全部かけて3倍したぐらい強烈に記憶に残るキャラクターです。

(ツノは生えてないけど、金髪のおさげがあります)


やはりカッレくんと言えばエーヴァ・ロッタ。
本当に魅力的なヒロインです。

 

冒頭でエーヴァ・ロッタがぶらんこに乗って歌を歌っているのですが、めちゃんこかわいいです!!
このときに歌っている

ヨセ、ヨセ、ヨセフィン
ミシ、ミシ、ミシン

のフレーズが、耳に(というか目に)ついて離れません。

 

アンデスもカッレも、うっとりとして眺めます。

 

ふたりともエーヴァ・ロッタが「たまらなく好き」「結婚したい」のですが、しかしエーヴァ・ロッタをめぐる恋のさや当てなんてものが始まるわけでもなく、この子は恋愛にはまったく無頓着で(そこがまた可愛いです)、おてんばという言葉をはるかに超えて、相当の縦横無尽に暴れまわります。(すごく可愛いです)

 

重要頻出人物、ビョルク巡査。
出たよ。いつもちょっとヌケてる警察の代表人物。
…という扱いを、この本の中でも受けてます。
とてもいい人です。

 

そしてもっとも特筆すべきことは、アンデスもエーヴァ・ロッタもビョルク巡査も、カッレくんの探偵ずきをあまり...というか、全然相手にしてません。

 

カッレくんは探偵の力を必要とする事件が起きて欲しくてしょうがないですけど、現実は厳しくてまったく何も起きません!

 

起きないので、ありとあらゆる普通の現象(冒頭のように、指を切ったなど)を、探偵としての視点から観察します。

 

それが実にユーモラスで、
そうだよね。
なかなか事件なんておこりっこないよねー。
というところでカッレの好奇心と探偵趣味の格好のえじきになるのが、あやしげな人物、エイナルおじさんです。

 

このエイナルおじさんは、本の紹介にもよく「エイナルおじさんは…」と書かれてますので、なんとなくカッレのおじさんなのかな?と思いますけど違います。
エーヴァ・ロッタのおじさんです!

 

カッレの家はエーヴァ・ロッタの家と近く、ほとんど隣接しているので、アンデスはやきもちを焼いてるのですが(設定が細かい)、探偵ごっこにはこれが実に役立ちます。

 

 

(続きます)

 

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子どもの本だな【広告】

Winnie-the-Pooh(講談社英語文庫) さっちゃんのまほうのて リラとわたし
チョコレート・アンダーグラウンド 魔法のカクテル しずかなおはなし
小川未明童話集 スプーンおばさんのぼうけん 小さな小さな魔女ピッキ

 

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今日の一冊「やまなし」

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

やまなし
宮沢 賢治 (著), 川上 和生 (イラスト)

クラムボンはわらったよ』『クラムボンはかぷかぷわらったよ』二匹の蟹の子供がかわす会話の、その不思議な響き…。小さな谷川の底でくりひろげられる、生命の巡り。生と死はつながり、やがて豊かな実りがもたらされる。賢治童話を代表する、珠玉の短編。(「BOOK」データベースより)

 

 

台風のあとの残暑がこれがまた厳しくて、気分が悪くなりそうだったので、少しでも涼しくなりたくて借りてきました。

 

もちろん、家にも「宮沢賢治集」などあるのですが

 

絵本の装丁が好きで借りてきます。
実にさまざまな種類がありますけど
今回は、2006年初版のミキハウスの絵本です。グ

 

紹介をしていて気づいたのですが、2006年ごろに、とてもよい本がたくさん再販されています。
およそ15年前なので、そろそろ古びてくる頃です。
出版不況と言われてはいますけど、これからも残っていってほしいなあ、と思います。

 

そのためには、子供に本を読む習慣を...云々(略)

 

 

この本は、川上和生さんの絵が宮沢賢治の世界にベストマッチです。

 

最初と最後に、
「二枚の幻燈です」
「幻燈はこれでおしまいであります」
とあるので、幻燈風にしたもの、ふわっとした抽象画にしたもの、色々ありますしどれも良いですが、これは割とリアルに水の中を描いています。

 

カニさんたちも、お魚、かわせみもリアルです。

 

色彩、特に青の色が、日本画風でとても美しいです。

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

チム・ラビットのおともだち いないいないばあや りんごかもしれない
かいじゅうたちのいるところ ドリトル先生アフリカゆき ぞうのたまごのたまごやき
らいおんみどりの日ようび 世界むかし話集6ロシア・西スラブ編上 飛ぶ教室

 

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今日の一冊「4こうねんのぼく」

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

4こうねんのぼく
ひぐち ともこ (著)

父子家庭の子どもが母への想いをつづるだれもが心を洗われる、愛の絵本。(「BOOK」データベースより)

 

読み聞かせの記録を見直していると、この本を読んでいたのでご紹介します。
確か、4年生のクラスでした。

 

4年生は星の観察をやるから、この本はちょうどいいんだよね、とベテランのボラさんに教えてもらったのです。

 

コラボさせて一緒に読んだのは、鳥の鳴き声の絵本でした。
Youtubeで聞いて練習してみましたー、と言ったら、笑いが出ました。
「へー、帰ったら見てみよ」
と言った子もいました。

 

コジュケイの「コッチャコイ」より、ホトトギスの「キョキャキョク!」の方が受けました。
この頃からもう、Youtubeは大人気でした...。

  

 

「4光年のぼく」は、父子家庭のお子さんのお話です。
先生にお話するようなスタイルで描かれます。

 

絵は明るく、二人兄弟は常に笑顔で、お父さんも毎日元気に過ごしているようです。

 

この本の話し言葉は関西弁なので、腹に力を入れ、抑揚をつけてお笑い芸人風に大げさに読みました。

  

「おとうさんの給料日」「理科の宿題で、星の観察がある」というある一夜の日常です。

 

星の観察があるなら、夜のピクニックしよか、というわけで、コンビニであれこれ買い込んで、「おかのうえこうえん」に向かいます。

 

高台にある公園で星を見上げるシーンは、絵本の醍醐味、下から大空を見上げるのではなくて、「大空を見上げている三人を上から見る」という絵で、これがまた、わあっと世界が広がる星の世界を見事に描いています。

 

読んでいると、シーンとなってきて、子どもたちが引き込まれていくのがわかりました。

 

主人公が、先生に授業で習ったこんな話をします。

 

・一光年は光が一年かかって地球に届く距離
・一光年離れた星から地球を見ると、一年前の地球が見える。

 

空想は空を走り、三人はロケットに乗って宇宙旅行へ…。

 

ものすごーく、めちゃめちゃはやい
こうそくしゅんかんいどうがたロケットでな、
とうちゃんものせたるけどな、
そのロケットで、6せん5ひゃくまんこうねん
はなれたほしにいくねん

 

そうすると、そこから「めちゃめちゃようみえる」ぼうけんきょうでのぞけば、6千5百万年前の地球が見え、恐竜がみえるというわけです!

 

ほほー、なるほど!

 

となったところで、こんな話になります。

 

4こうねん離れたところからだと、おかあちゃんがみえるな。

 

かあちゃんのところ、洗濯ものを干していたり、おにぎりをにぎっていたり…。
とてもなごやかな空気になって…じゃあ、帰るか!
この本、唐突に終わります。

 

読み終わってから、
「なぜ4光年なんだろう。なぜ、4年前なんだろうか?」
と言ってみました。

 

父子家庭であるとどこにも書いてないので、どうしてお父さんとだけごはんを食べているのか、どうしてお母さんが見えるのか説明がないです。

 

ここは余韻が大切に違いない。
自分たちであとでなんでだったんだろう?と思ってもらえたらいいし、気付かなくてもそれはそれで…。

 

なぜ?だけで終わらせるつもりで問いかけて、じゃあね~と立とうと思ってましたが、

 

「わたしわかった」
と女の子の声が。

 

「4年前でなければ、もう会えない、そういうことだったのかな、って」

 

するどいね!

 

「なぜ、って考えるのは大事な事だよね~」
でしめて、席を立とうと思ったら…。

 

「お母さん死んじゃったの?」
「そ、それは...」
「死んじゃった?死んじゃったの!!??しんじゃったの!!??」

 

最前列の男の子がすごい大声で何度も聞きます。
見たら涙目です。目のふちが赤くなってます。

 

ええ~…(動揺)

 

全員の目がじーーっとこっちを見てます…。
とてもこのままで帰れなさそうな雰囲気です。

 

「そ、そうだね、これは、4年前なら、死んじゃったお母さんが見えるということだったんだね…」

 

ああ~。
朝から泣かしてしまった~。

 

しかし、暗さはなくて、終始とても明るい前向きな、とてもいい絵本です。

  

 

この日のメモの終わりには

 

小手先技はいらない。
本そのものの力を引き出すこと。

 

なんて書いてありました。

 

余韻を持たせてとかいらなかったのです。
じょうずな関西弁で読むことよりも何よりも、この本のメッセージや心は、子どもたち自身がすぐに気が付いてくれました。

 

 

 

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ちいさいモモちゃん ルウのおうち いやいやえん くいしんぼうのあおむしくん
かいじゅうたちのいるところ 世界むかし話集8中国・東アジア編 たつのこたろう
ドリトル先生ものがたり アラビアンナイト シンドバッドの冒険 銀のシギ

 

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閑話 のめりこみすぎて...

閑話です。

 

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とにかく、ニワトリ号にのめりこみすぎて、読了した今、ちょっと呆けたようになってしまいました。
確かに読むのに力がいる本ではありましたけど、だからこそ入ってしまうととりこになるというか...。

ああ...。
欲しい...。

 

うちに欲しい。
買いたい。

ぽちっ(Amazonをクリックする音)

 

昔の児童書で、埋もれそうになっているけれど良い本を開拓しようと思って、いくつか手にとってみたわけですけども。

 

どいつもこいつも、開いてみると、あまりの面白さに到底止めることができないばかりか、これほしい!と思ってしまい、かなりの額を払っても古本で入手してしまう、ということを続けています。 

 

この分厚さ、ものすごくしっかりした装丁、それで何十年ももつし、何回でも読み直したいと思う内容の濃さ。

f:id:WhichBook:20200909033634j:plain

読書の醍醐味です。

 


いったい、これからどうしたらいいのかわからないのですがとりあえず、お友達の言ってたカッレくんホッツェンプロッツあたりにしてみようかと思いたちました。

 

妹子の勉強の見張りをしながら、久しぶりにまずはカッレくんをちょろと1ページだけのつもりで開いてみました。

 

残念ながらと言うべきか。
当然と言うべきか。

 

面白すぎてあれよあれよという間に夢中になり、勉強の質問にも生返事。
うるさいなーという顔をしたり、かと思えば突然、ぎゃははは!と笑い出したり。

 

するするする~
と読み終わってしまいました。

 

 

こ...これを紹介するのは…難しい。
探偵ものなので、あまり筋を説明するのはしたくないような気がするし、もうとにかく

 

読め!
面白いから!!

 

だけで他に言うべき言葉が見つかりません。

 

ためになることもなく、ひたすら面白い。
呆けていたはずなのに…。おかしいな~??

 

さすがはリンドグレーンです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

名探偵カッレくん
アストリッド・リンドグレーン (著), 尾崎 義 (翻訳)

名探偵を夢見るカッレくんは、ある日エイナルおじさんの怪しい行動に第六巻を働かせ、捜査を始めます。宝石窃盗団に迫ったカッレくんは、仲良しのアンデス、エーヴァ・ロッタとともにお城の地下室に閉じこめられてしまいますが…。

 

 

 

妹子がおばあちゃんからの お小遣いを貯金してくれと言って渡しに来ました。
横で見ていた旦那が
「お母さんに渡すと全部本に変わっちまうよ」
なんて言っています。

 

失礼な!
ちゃんと貯金するわ!
娘の小遣いまで突っ込むなんて、本をどんなギャンブルだと思ってるんだ。

 

 

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子どもの本だな【広告】

ねこのごんごん ぼくは王さま かにむかし
きかんしゃやえもん 子どもはみんな問題児 ミス・ビアンカ ダイヤの館の冒険
11ぴきのねこ チポリーノの冒険 おんがくかいのよる

 

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大人が読む児童書「ニワトリ号一番のり」6 読了 ~ヒーローがそこにいた

 

大人が読む児童書。
積ん読・解消計画★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

ニワトリ号一番のり
J・メイスフィールド (著), 寺島 龍一 (イラスト), 木島 平治郎 (翻訳)

19世紀後半、中国からロンドンまでの広大な大洋上を、先着をきそってシナ茶を運ぶ帆船の物語。潮のかおり、帆船の美しさ、海の男たちの魂を見事に描き切った作品です。

 

大人が読む児童書「ニワトリ号一番のり」1 ~読み始めるまでのハードル -

大人が読む児童書「ニワトリ号一番のり」2 ~序盤を切り抜ける - 

大人が読む児童書「ニワトリ号一番のり」3 ~どんどん引き込まれる -

大人が読む児童書「ニワトリ号一番のり」4 ~もうやめることが出来ないぐらい恐ろしい -

大人が読む児童書「ニワトリ号一番のり」5 ~理想的なリーダーシップ -

 

かつてなく長くネタバレ込みでご紹介してきました。
というのも、この本、今になって手に取って読む人はそうはいないのではないか…と思ったのです。

 

手に取るとすれば、かつて読んだ人で感銘を受けたかたなのでしょうけど、やはりわたしとしては、ご新規さまを開拓したいです!
こんなすごい本があるんだ、ともっと知ってほしいです。

 

 

難破中は、あまりの切羽詰った状況に、「海水 ろ過装置」なんて検索しちゃいました。

 

ちょっと意外に思ったのは、このあたりは「どこの海より交通が多い航路」らしく、割と何度か、帆船とも汽船ともすれ違うのです。
でも、案外、気付いてもらえないー!!

 

車で事故るのとは訳が違うのはわかっているのですが、予備のタイヤ、ジョッキ、発煙筒などがどれだけ大事なのか、ものすごくよくわかりました。

 

本当にすごい、と思った所がありました。
少し遠めの位置に帆船が現れたとき、クルーザーはそちらを追いかけず、アゾレス諸島へこのまま向かう決断をしました。

 

「気付いてくれるかわからない船を追いかけまわして、大きく時間や水・食料をロスする」よりも、「いま、追い風を受けて調子よく走っている航路のまま、真っすぐに一番助かりそうな方に向かう」という判断をしたのです。

 

ものすごい英断です。
こんな判断、普通できる!?

 

難破して、皆飲み食いもろくにしてないのに。
船が現れたら、力の限りおいかけまわして、助けてくれー!!!ってするはず。もちろん、船員のほとんどが反対です。
クルーザーの意思の力でねじ伏せます。

 

本当に只者ではないです。


 

ひとそれぞれのキャラの表現も、とてもたくみです。
イヤミ船長やヤバい奴のストラトンのほかにもいます。

 

訳ありで船に乗り込んで 決して過去を語らない医者だったらしいネイルズワス。
(これは私のお気に入りです)

 

「長くたれさがったひげのせいでアシカにみえる」エジワス、今の政治家の中にいそうです。

大胆な古つわもので、今でこそとてもたよりになったが、どうかするとずいぶん自分だけの利益をはかって、手におえないこともありそうな男だった。

 

チェジロウという船のボーイもいます。

愛くるしい顔をしている少年で、いかにもか弱そうだったので、ものをいたわる心を持った者にはそういう気持ちを起こさせ、そういう心のないものにはいっそぶち壊したいような気持ちにさせる

か弱くて愛くるしい者を、いたわりない者がどういう風に扱うかは、普段からよく目にすることです。

 

 

この難破しているギリギリの状態で、乗組員のいない不思議な船(ニワトリ号)を発見した時の喜びといったらそれはそれは...すごいものです。
特に食料貯蔵室を覗く時のシーンの感動といったら...。

クルーザーのリーダーとしての行動、社会生活を営む上でも大事なことが様々、書かれているかもしれませんが、主婦目線で考えた時に、私は自分の冷蔵庫の中身をきちんと把握しているだろうか?
それが非常時にどれほど大切なことなのだろうなどと考えていました。

 

今日は塩サバが二切れあり、それは本当はお弁当に入れるつもりでしたが、今日の夕食に使えるでしょう。(うちの冷蔵庫の話です)
後はかぼちゃが一切れ、こんにゃくが使っていないまま眠っておりまだぎりぎり賞味期限は切れていないはずです…。
まるで成り切っちゃってます。

 

きちんとした規則正しい生活、物資の確認という当たり前のように見えること、規律を守るということ、上下関係、人間関係の把握、大局的なものの見方、というのが非常時にどれほど大事かということを確認できます。


それこそまさに危機において命を救うための基礎となるものなのでした。

 

 

打ち捨てられたニワトリ号に乗り込んで、命が助かったクルーザーたちですが…。

なぜ、打ち捨てられたのか?

というところに秘密があって、これまた推理小説のように謎が深いです。

それを、クルーザーたちはまたあのお得意の細かな検証によって、明らかにしていきます。

 

ここで、クルーザー、慎重に船に仕掛けられた謎と罠を解きながら...。
ニワトリ号が普通に動けるの確認したそのとき、さいごの決断を下します。

まだ、チャイナ・クリッパーの競争に勝てる見込みがある、との判断です。

 

ここで、造反しそうになる反対派の騒動などもあるのですが、クルーザー、もう本当に持てる限りの力を振り絞って、(でも冷静さは失いません!)船を飛ばしに飛ばして、とにかくぶっ飛ばします!!

 

いままでこれだけ慎重を重ねていたクルーザーくんが、熟練水夫たちが心配するほど向こう見ずになって、休むことなく船を走らせます。

 

我慢に我慢をかさねた最後に、引き絞った弓が放たれるように、すごい速度で突っ走るのです!!

 

危機的な状況においてリーダーシップがどれほど大切なのかはわかりました。
リーダーであればあるほど冷静でいなければならないのですが、逆に、いけると思った時には、ベテランの味方の諌めも振り切って、力の限りを出し尽くす!

 

取り付かれたように競争をはじめるクルーザーは、まるで死んだイヤミ船長の執念が乗り移ったかのようです。

 

皆、クルーザーに従います。
それもこれも、今までのクルーザーの行動すべてに対する、絶大な信頼があってのことです。

 

 

最後に三艘の船が並んで、イギリス海峡を突っ走るところはもう、やめようとしてもやめられない面白さです!

岸にぎっしり並んで歓声を上げている見物人たちの声が聞こえてきそうです。
 

ラストスパートです。
フーキェン号にニワトリ号は追い抜かれてしまいます。
手に汗握る競争です。

 

フーキェン号が勝利に歓声を上げ、気を抜いた瞬間!(お酒の栓なんて抜いてます)
強い風が横から激しく拭きつけます。

あまりの強さに、この船はマストがぽっきり折れてしまうという大惨事に見舞われます。
もう岸は近いし、たくさん見ている人がいるから安全かと言うとそんなことはないのです!

 

この風を見逃さなかったクルーザーによって、ニワトリ号はふたたび抜き返し、ついに一番乗りに名乗りをあげます…。

 

序盤~中盤の鬱々とした展開が嘘のようです。
あれほどのつらい難破を経験した後だからこそ、この大逆転がどれほどの奇跡なのかが、ものすごく強調されます。

 

イヤミ船長もきっと、喜んでることでしょう。(海の底で)

 

最後の最後まで気を抜かないクルーザーは、引き船の手配だの、弁護士の手配だのもぬかりありません。

 

 

上陸したそのときに、皆がクルーザーに愛をこめて挨拶して別れていくのですが、最後にためらっていた、あれほどトラブルを引き起こしてたやくざ者のストラトンも、思い切ったように握手を求めました。

 

このシーンは、もう大変、胸が熱くなります。

 

・チャイナ・クリッパーの賞金入手。
・船の持主から礼金入手。
・ぶつかった汽船からの賠償金入手。
・恋人からプロポーズOKもらう。
ヴィクトリア女王に呼ばれる。

 

もう、理想的なリーダーを越えて、ここにヒーローがひとり誕生したという感じです。

伝説となる、心にいつまでも残る、ヒーローです...。
(物語に入り込み過ぎて、ひとりでめちゃめちゃ感動してます...。)

 

 

最後に、ニワトリ号の船長が船を突然にも、あんなに不思議にも捨てて行ったのか。
この理由も、ブラックゴーントレットのイヤミ船長を押しつぶしていた精神的圧迫によるヒステリーと通じるものでした。

 

海という四方を囲まれた場所で、しかも競争というピリピリした状況下です。
また、リーダーはひどく孤独です。
命令を下す立場の者は、部下と仲良しの親友やお友達にはなれないのです。

 

精神的な緊張のためにおかしくなってしまうのは無理もないのでした。
そこで理性を保ち、強靭な精神力を持ったひとにぎりの者だけが、真のリーダーとなれるのでしょう。

 

この本を読んだ子どもたち(若者たち)は、理想的なリーダーというものに対して、ひとつの指標のようなものを得ることができると思います。

 

自分がリーダーにならないまでも、どういう人がふさわしく、ついていくべきで、自分はそのときに、どう行動すべきなのか、というヒントをも、得られます。

 

 

長い紹介になりましたが、最後まで読んでくださったかた、本当にありがとうございました!!

(ほとんどネタバレしちゃいましたが...)

 もし機会があれば、この感動をぜひ、手に取って読んでいただいて感じていただきたいです。

 

 

この時分のあたりの光景はとても美しいものだった。波は青くきらきら光りながら立ったが、もうボートの上にくずれかかってくるようなことはなかった。目のとどくかぎり、海は全体に青く、くぼんだ所はスミレ色をし、くずれない波がしらは強い、まじりっけのない緑色をして、上がったり下がったりして大海原は光っていた。


高く上の方では空は光にみちて、その青さは青白くさえ見えた。ひくく下の方の空ではその青さの上に、貿易風帯でよく見る、小さく愛らしい雲が点々と浮かんでいた。この中をまっすぐ横切って、ぐんぐん進んでいくうちに、クルーザーはそのすべての美しさの中に、自分たちのほかには命あるものは何も見えないことに気づいた。その中を舵を取っていくクルーザーには、自分がこの広く大きなものの主人であるというよろこびがわき起こってきた。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

The Bird of Dawning or The Fortune of the Sea
John Masefield (著), Philip W. Errington (序論)

  

 

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ぼくは王さま いたずらラッコのロッコ ものいうなべ
あおい目のこねこ ゆめくい小人 思い出のマーニー〈上〉
時の旅人 こまったさんのスパゲティ 不思議の国のアリス

 

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大人が読む児童書「ニワトリ号一番のり」5 ~理想的なリーダーシップ

 

大人が読む児童書。
積ん読・解消計画★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

ニワトリ号一番のり
J・メイスフィールド (著), 寺島 龍一 (イラスト), 木島 平治郎 (翻訳)

19世紀後半、中国からロンドンまでの広大な大洋上を、先着をきそってシナ茶を運ぶ帆船の物語。潮のかおり、帆船の美しさ、海の男たちの魂を見事に描き切った作品です。

 

 

大人が読む児童書「ニワトリ号一番のり」1 ~読み始めるまでのハードル -

大人が読む児童書「ニワトリ号一番のり」2 ~序盤を切り抜ける - 

大人が読む児童書「ニワトリ号一番のり」3 ~どんどん引き込まれる -

大人が読む児童書「ニワトリ号一番のり」4 ~もうやめることが出来ないぐらい恐ろしい -

 

 

あのイヤミな船長は、この超・序盤のタイミングで物語からご退場してしまいました。

 

かつてなく長い紹介になってしまったのですが、長くなってでも紹介したいと強く思う素晴らしい本でした!!
子供時代に読めた人は、幸せ者だと思います。

 

ここから、右舷組の漂流生活が始まるわけなのですが、ここでページを確かめました。

 

この「ニワトリ号一番乗り」は約400ページあって、
100ページで遭難がはじまり
260ページでニワトリ号を見つけます。

 

いわば、現在は「第一部:イヤミな船長編」が終了し、「第二部:遭難編」がはじまった所でしょうか。
「第三部:ニワトリ号編」はもう、遭難からは助かってますのでこれは命の危険はないので安心です。

 

 

クルーザー(22歳)は自分よりはるかに年下の水夫たちをまとめて、自らが船長となり、導いていくのですが...。

このクルーザーの行動、判断、すべて、大学生ぐらいの若者たちが読んだり、新入社員が読んだりするのも、ものすごく役に立つのではないかと思います。

 

何らかの部活にしろ、社会生活を営むにしろ、やはりなあなあの精神ではいけません!

 

強いリーダーシップ、統率者として動くことを考えたときの思考回路を、ひとりのクルーザーという若者の行動を通して書いています。

本当にこれは、「理想的なリーダー論」を本当は描きたかっただろうか?と思うほどです。

 

 

クルーザーの行動です。

・沈んでしまった左舷ボート の生き残りを探す。(一人救出)
・同時に、使えそうな物資を出来る限り回収。
・水・食料・物品を点検、数と量を正確に洗い出し記録。

 

ここで、トラブルです!

とんでもない事態になりました。
積んだはずの水がなーい!!

 

全部ではないですが、頼りにしていた大部分がありません。
これは大ごとです。
とりあえず、犯人はクルーザーが命じたストラトンをはじめとする三人が確定です。
(ここはひとまず水はおいて、救い上げたけれど死んでしまった左舷ボートの水夫を一人、水葬します)

 

 

・船の位置を確認、一番近い港を確認、キロ数、航程、規則を確認、当直員を割り当てなおす。これらをすべて、全員にキッチリ確認、周知させる。

・食料、水量を再度、洗い出し。航程は本来なら一週間だが、二十日かかるものと計算、水、食料を割り当てる。これも全員に通知する。

 

水の不足は、雨水を採る方法を模索します。
かつて、難破も経験してきた老水夫たちがクルーザーの肩をもち、過去の経験を若い水夫たちに教えて口添えをします。

 

 

・海の水は絶対に飲まないこと!!を繰り返し周知徹底。
・どの位置にいるのか、航程は都度、周知。
・風を見て帆を張る。補強をして強度を高める(材木活躍)
・ボートの水のもれをなおす(大工道具活躍)
・雨水を採取。飲めるかどうか都度チェック。(海水のしぶきが混じるため)
・休息をきびしく取らせる。
・配給をきびしく取り締まる。
・天体観測は、ほかの者にもやらせ、教える(自分に万が一のことがあった場合の備えのため)
・沈没について詳しく調査する。
・水が何故つみこまれなかったかについて詳しく調査する。

 

 

この「調査」ですが、じつに詳細に検証します。

水を積み込むように命じられながらやらなかった三人は、水の代わりに酒を隠し持っていました。
クルーザーは、この三人に罰も与えますけれど、「積み込む所を目視で確認しなかったからだ」という自分のミスもきっちり認め、これからに生かすこととします。

 

最早、クルーザーの顔がイケメン♡かどうかなど既にどうでもよく、たとえブサメンであっても、その行動があまりにもイケメン♡すぎて、崇拝しそうになりました。

 

 

難破のお話というと、苦しさや極限状態の人間関係を描くことが多いと思いますが、このお話は一味も二味も違います。

この難破の160ページほどのほとんどが、このような詳細な検証、物資の確認、トラブルの対処法の描写に費やされます。

 

なので、怖いという気持ちがあまり起きませんでした。
むしろ、これは陸で生きていく上でも、すごく参考になる!という気持ちで読み進められました。

 

ここには、リーダーとしてあるべき行動の、すべてのお手本がありました。

 

「ミスの詳細な検証」ですが、検証によって、もちろん責任の所在をはっきりさせ、犯人たちを責めてもいますけど、どちらかというと更なるミスを防ぐため、という側面が大きいのです。

 

訴訟を思わせるほど、証人尋問のようにキッチリ詰めていきます。
さぁ、さぁ、さぁ!!
細かな嘘も、確実に明るみにさらします。

 

すごいな…。
(なあなあ文化の日本では苦手なことかもしれませんがとても大切だと感じました)

 

「難破の検証」は、のちのち、陸に上がってから海難審判という裁判があるのでした。
そのために、記録と記憶の焼き付けをかねて、こうして詳細にしているらしいのです。

 

 

こんなの、つまんないのでは?と思いそうなものですけど、逆にめちゃくちゃ面白かったです!!

 

難破の検証によって明らかになったことですが、やはり死んだイヤミ船長は、船が沈むのを受け入れられず、船とともに全員死んでもいいと思っていたようでした。

 

いつまでもぐずぐずしていて大型ボートの致命傷になったのは、最後まで動きもせず命令もしなかった船長だとはっきりわかりました。

愚かなリーダーに率いられた末路です。

 

ただひとり助かった、まかない役(コック)が語る、木材につかまり波を漂いながら交わす最後の会話は、口のなかが乾いてくるほどリアルでおそろしいです。
(危機的状況なので、奮い立つために明るい冗談ばかり言い合うのですが、逆に総毛立つほど怖い…)

 

 

人間描写が実にたくみです!!

水を積み込まなかったやっかい者でならず者のストラトン。

生まれつき、人にも従わず、また人を指揮することもできないが、指揮者に対しても、従ってくる者に対しても、同じようにたちのわるい人間だった。鉄炮でウサギを撃つことと、自分の父親のあごをなぐること以外に、おそらくこの世にたいしてしたいと思うことはないらしかったが、この二つのことだけは両方ともやった。

クルーザーは、右舷ボートが助かった理由のひとつが、このような「言うことをきかない人間の行動力」であることも、それはそれでしっかり認めています。

 

左舷ボートは、船長の命令があるまで動かなかったのですが、右舷ボートはクルーザーが指示しなくても、ストラトンがとっとと海に降ろしていました。

 

このあらゆる側面からの冷静な視点が、ほんとうにすごいです。
失敗した奴=ダメ、言うこときかない奴=ダメ、とすぐ決めちゃいそうなものです。

 

 

途中で何度もページをめくって確認しましたが(怖いので)、そうこうしている間に、ついに、船の影が見えてきました...!

た...助かったー!!

 

しかしそれは、打ち捨てられた幽霊船のような無人の船でした。
しかも、チャイナ・クリッパーに参加していたニワトリ号です。

 

 

(つづきます。次で終わりです。ここまで読んでくださってるかたは、本当にありがとうございます)

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

The Bird of Dawning or The Fortune of the Sea
John Masefield (著), Philip W. Errington (序論)

 

 

 

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大人が読む児童書「ニワトリ号一番のり」4 ~もうやめることが出来ないぐらい恐ろしい

 

大人が読む児童書。
積ん読・解消計画★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

ニワトリ号一番のり
J・メイスフィールド (著), 寺島 龍一 (イラスト), 木島 平治郎 (翻訳)

19世紀後半、中国からロンドンまでの広大な大洋上を、先着をきそってシナ茶を運ぶ帆船の物語。潮のかおり、帆船の美しさ、海の男たちの魂を見事に描き切った作品です。

 

 

大人が読む児童書「ニワトリ号一番のり」1 ~読み始めるまでのハードル -

大人が読む児童書「ニワトリ号一番のり」2 ~序盤を切り抜ける - 

大人が読む児童書「ニワトリ号一番のり」3 ~どんどん引き込まれる -

 

 

序盤を紹介するためだけに長くなっちゃいますが、読み終わった今、おすすめしたい気持ちがもうそれはそれは高まっています。

 

 

気圧が下がっています。

 

クルーザーは、へやへおりるとちゅうで、ざっと航海日誌をつけこみ、気圧計をちょっ 見たが、当直の間にだいぶん下がっていた。それで、つぎにまた測るときのため、手動の針を合わしておいた。船長の船室の前を通りすぎたとき、戸が広くあいたまま、留め金でとめてあった。かべから突き出しになっていて、水平にたもつための装置であるジンバルの上にのっている安全灯に灯がともっていた。

 

すげえな。
誰がこんなん興味あんねん。

 

と思いながらも、その詳細さが逆にリアルを増して、わからないなりに世界に入り込んでる自分を感じます。


(アニメでも誰が気付くんだろうというような細かいリアルさをピックアップして絶賛してる人がいることだし…そういうのに通じる何かを感じる…)

 

長すぎるので割愛しますが、ここで船は突然、大嵐の闇の中から現れた汽船に衝突をくらって難破してしまいます。
船長が先ほど、機関と比較してほめたたえていた帆船、大事なブラックゴーントレット号は、あれほどわるくちを言ってた汽船にやられてしまったのです。
しかも嵐なので、汽船は気付かないか無視したか、去ってしまいます。

 

致命的なきずをおった帆船には水がどんどん流れ込んでいて、船長は我を失っている様子です。

 

非常の際には、決して一秒の時間もむだにするなというのが、クルーザーのたいせつにしている金言だったので、クルーザーはすぐ船尾楼から上甲板へ飛び降りていた。(略)
ふと、「何かしてほしかったら自分でせよ。」という、昔からの金言が心に浮かんだ。

 

名言連発です。

 

みなで大型ボートを吊り出し、点呼をとりました。
この非常時に若輩のはずのクルーザー、ものすごく冷静てきぱきしていて、めちゃくちゃに頼りになります。

 

ボートと、そして水!いくらでも必要な水を出来る限り多く積み込むこと。
あらゆる水いれ、水槽、雨水のバケツを指示します。

 

クルーザーはかねてから、海員という職業につきものの、突発的なできごとをいくつか、よく心の中で考えてみて、「どうしょう、というなら、 どうすべきだろう、そし万一…」というようなふうに、くり返しくり返し考えていた。
多くの突発的なできごと、たとえはマストや帆桁をなくしたとか、何かで船が突然方向を変え、船首を風上に向けて止まったとか、急に風が変わって帆が裏帆を打ったとか、険悪な天候の風下にはいるとか、舵をなくしたとか、停泊地で錨綱が切れたとか、また、暴風雨、霧などの中の衝突、船着き場、港での衝突、航海ちゅうの衝突など、さまざまな変事に対するやり方を、いつも自分ひとりで工夫していた。

だからクルーザーにしてみると、こんな大衝突のこともちゃんと考えてあった。なんと!ほんの二晚、三晚前にも、貿易風帯の中の夜半直に、まさにこのとおりのこと、急いで各ボートを出すことを、考えたばかりだった。クルーザーは、いつも、自分のあずかっているボートがすぐにおろせるようになっているのを、自慢にしていた。

 

こんな22歳、いる!?

 

クルーザーはいつも「海員という職業につきもの」の、あらゆるリスクに対してイメトレをしてた様子です。
船長試験を受けようとしていただけのことはあります。

 

この本のクルーザーの模範的行動で、本が書けそうです。
「『ニワトリ号一番のり』に学ぶ、マインドを高めるリスク管理と緊急時の切り抜け方」

 

 

このあたりでヤバいなと思って、人の名前をつけはじめました。

 

水夫長フランプトン
見習航海士アボット
英語とドイツ語ごたまぜのバウア
老水夫ジェイムズ・フェアファッド
クラタバック
ネイルズワス
エジワス

 

右舷当直員ストラトン、エファンズ、ジェコブスン

 

割と古典と呼ばれる本で登場人物が多くまずいなと思うとき、私はこれをやります。
序盤にメモっても頭に物語が入ってくるに連れていらなくなりますが、メモらないよりも格段に理解度が違います。

 

でもガンバはやらなかったです。名前とキャラがリンクしてましたしわかりやすかったなあ。

 

最後の三人、ストラトン、エファンズ、ジェコブスンは重要人物でした。
いい意味でも悪い意味でも。

 

 

水、水、水!
茶色くなっている雨水でも無駄にできません。

 

水と食料、そしてクロノメーターと六分儀!これが大事なのは私もわかるぞ。
くわえてクルーザー、大工道具、折れた材木まで回収です。

 

ここでちょっとほお!と思ったのが、波が荒すぎてボートが降ろしにくいため、油を流して波を沈める、という描写でした。

 

ん~???
エリナー・ファージョンの超名作「町かどのジム」も、年とった船乗りが少年に語り聞かせる物語、というでしたが…。
ここにも似たような記述があったぞ?

 

確か、あらしのときに助けたタラの肝ぞうの油を流して波を沈めるというような…。
あれは、おまじないかと思ってたけど船乗りたちには根拠のないことではなかったのか~!!

 

児童書って勉強になります。

 

 

なんて言ってる場合ではなくて…。

 

このてきぱきとした緊急事態の模範行動に対して、船長はじっとして動きません。

 

ものすごく緊張した場面を、緊張した感情描写をするのではなくて、クルーザーの細かい行動ひとつひとつを記述することによって表現、動かない船長を対比させる。
これがいっそう緊張感を高めるという…。
これはすばらしいです。
もう取り込まれちゃって戻ってこれません。

 

考えられる限りのあらゆる荷物を積み込み、クルーザーは右舷当直員と右のボートに乗り込む手はずになりました。
船長が乗るのは左舷の大型ボート、最初に名前書いたフランプトンやアボットもこちらです。

 

右側ボートはもう降りて、クルーザーを待っています。
もう時間がありません。やむを得ず乗り込んだクルーザー、船と左舷ボートを見守ります。
めちゃくちゃハラハラします。
ど、ど、どうなるの~!!

 

左舷ボート、この大嵐と沈んでいく船の中、いつまでもぐずぐずしています。
ブランクゴーントレット号の船尾に書かれた「ロンドンー必勝」の文字が切ないです。

 

あー!!!

 

とにかく、クルーザーは力かぎり、「おーい、大型ボートのつり綱を下げろ。」とさけんだ。

ちょうどそのとき、大型ボートのしりが少し下がった。そしてひとりの男が命綱をつたってボートの中へすべりおりた。そのとき、突然本船が、波に持ち上げられたように、前かがみになった。船が波に頭をつっこむにつれて、しぶきが手すりにそって高く上がった。船は、いったん船首を一メートルばかり上げて、またゆっくりと頭からつっこんでいった。それから、急におそろしい速さで、おりかけている大型ボートの上へたおれかかった。赤い照明灯は消えた。

 右紙のボートの者には、組み立てたいろいろの円材が、急にかたむいたり、がらがらいう音をたて、はねを飛ばしながら、索具類がたおれたり、飛んだりして、かたむいていくのが見えた。マストや帆桁が水にぶつかったとき、はげしく水面をたたく音がした。
それらが水面に平手打ちを食わすように当たったとき、すでに沈んだ船体はちょっと立ち直った。しかし、ふたたび垂直にそれらを、水の中へ引っ張りこんだ。それから、ごぼごぼいうような、聞いたことのないうめき声をあげて、やみの中に、石のように沈んでいった。

 

 

も...もう…。
読むしかない…。

 

(ひとつだけ言えることは、船長だけでなく、メモった一番上の二人、フランプトンもアボットもここで死んでしまいました)

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

The Bird of Dawning or The Fortune of the Sea
John Masefield (著), Philip W. Errington (序論)

 

  

 

 

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大人が読む児童書「ニワトリ号一番のり」3 ~どんどん引き込まれる

 

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ニワトリ号一番のり
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大人が読む児童書「ニワトリ号一番のり」1 ~読み始めるまでのハードル -

大人が読む児童書「ニワトリ号一番のり」2 ~序盤を切り抜ける - 

 

 

 

このイヤな人っぽい船長、話をしてるとなおイヤな感じです。

 

経歴について会話をすると見せかけて、変な侮辱をしてきます。
(しかしクルーザーの人となり、船長のダメさ、船の状況をこの会話一つですべて説明してしまう…上手いです!)

 

これまでどの船に乗っていたのか→「機関を扱ってたんでしょ」という侮辱をするのですが、これがどうして侮辱とわかったかというと、ランサムを読んでたからでした。

 

帆船から蒸気船へちょうど変化していく時代です。


それまで帆船というのは風を読み、帆を操る、それはもう紀元前からコツコツと人類が積み上げてきた特殊スキルであったはずで、蒸気船の動力(機関)というのは、その前提を打ち壊しました。

風だけに頼らずに船を動かせるようになったので、格段に安全性は向上し、機動力も増したはずですが、操帆技術に誇りを持っている海の男たちは、この機関に対して心理的抵抗はかなりのものだったようです。

 

このイヤミな船長(27歳エリート)は、そこをひっかけて「君は今までどこにいたの?機関なんかやってる船で石炭でもいじってたんじゃないの?あんなきたならしい」的な感じを、この5倍ぐらいの長さでやらかします。
主人公のクルーザー(22歳好青年)は、公平で現実的な視点を持った人のようです。

 

「若い者は汽船のほうがすきですよ、船長。汽船は新しいものです。そして新しい人間は、そのほうへひかれます」

 

何か、現代のいろいろにも、刺さるものがあるな~~。
こういう、エジプトの壁画にも「最近の若い者は」と書かれていたというエピソードのように、ひと昔まえの本を読んでいても、現代に通じるひとことを見つけたときにすごく嬉しくなります。

 

 

船長、機関への偏見の次は、中国の福州に対する偏見を出してきました。


クルーザーは、中国の福州で大企業を営んでいるスラッド氏の推薦でこの「ブラックガントレット号」に乗ったらしいのです。(経営者なのか重役なのかはちょっとわかりません)

 

なんでそんな偉い人に推薦されてんの?
何か便宜でもはかったか秘密でも握ったんじゃないの?
とかなんとか、ほのめかしたいらしいのですが…。

 

クルーザー、何を言いたいのかわからないので、
「推薦状書いてくれたんだから理由も説明も書いてあったでしょう」
「書いてなかった」
「説明するように頼まなかったんですか」
と、しごく真っ当な質問返しをするのですが、これが船長にグサッと突き刺さります。

 

なぜなら、この偉そうなエリート船長も、スラッドさんには頭が上がらなくて自尊心が傷付いてるという事実を思い知らせたからです。
いいカウンターパンチでした。

クルーザーにそんなつもりはなかったのですが。

 

そばで水夫たちが聞き耳立ててますが、こっちも聞き耳立ててこっそり聞いてる気分です。

 

会社で、こういうイヤミの応酬、やりあいが始まり、それを下を向いてキーボード打ってるふりしながら聞き耳を立てるシチュエーションというのは非常によくあって…めっちゃわかる!!とこぶしを握ってしまいます。

 

あれ…?
これ…児童書だよね??

 

しかし、この船長との会話バトルで、がぜん面白くなったのは確かです。

 

船長「(意訳)中国の福州みたいな所、最悪で汚くて退屈だろうね~。何もすることないだろうね。男女のつつしみのない交際とか以外はね~。イギリスから来た若い女性二人が~。めいとか言ってるけど~」

 

こっ…これは…???

 

これは…スラッド氏は本国(イギリス)から愛人?を連れて行ってるし、クルーザーがそれを知ってるし、何か関係してるだろ?とほのめかしてるのかな!?

 

ゲスい!!
性格悪い上にゲス!!何こいつ!
最悪!!

 

これはクルーザー(22歳イケメン)が気の毒です。
この女性は、本当にスラッド氏の姪ごさんとそのお友達だったらしく、クルーザーも知り合いだったようです。

 

船長、ゲスい上にしかもしつっこい!
まだ言うか!!

 

クルーザーはまだ船尾楼の手すりの所に立って、帆の下のすみを風上へ引っ張っておく滑車が一つ船長の頭の上へ落ちてきたら、じゅうぶんに首の根をへし折るくらいの重さはあるだろうにと、考えたりしていた。今度は、船長はすっかりおだやかに、人ざわりがよくなっていた。

 

うっかり笑ってしまいました。

 

別に罵倒されるわけじゃなく普通の会話に見えるけど、皮肉と侮辱を交えてあることないこと当り散らされる。


こちらはすっかり気分が悪くなってストレスのやり場がないのに、向こうはもうすっきりして人当たりがよくなってる。
それがさらにムカつく。

 

職場あるあるです。

 

これは…児童書…?

 

 

ここで、突然のゲリラ豪雨(スコール)に助けられました。

 

すごいのが、クルーザー、22歳の若輩者でありながら、30年ぐらキャリアのある者でも出来ないような、冷静な分析をしているところです。

 

いったい何にとりつかれて、あの人はあんなもののいい方をしたのだろう。だが、心の底では、クルーザーはこんないざこざの原因を、ちゃんと知っていた。

船長は二か月このかた、適当に休んだことがなくて、過度の緊張や、引き続く無風カームの昼や、夜の押さえつけられるような感じのために、気ちがいのようになっているのだ。

しかし、感情を害した人が気ちがいなんだといってみても、害されたほうの者には、まるでなぐさめにはならない。

少なくともう一月この気ちがいとつきあっていかなければならないだろうし、風があいかわらず吹かなかったり、逆風を受けたりすると、気ちがいはいよいよひどくなるばかりだろう。

 

(多少、最近は使わない単語が使われていますが、古い訳本だしとてもよい文章なのでお許しください)

 

つまり船長、チャイナクリッパーの競争に勝ちたいあまり、最近まともに寝ていないのです。


睡眠をきちんと取り、休息をすることの大切さを守らずに、風一つ、天候一つ、ほかの船の影ひとつにピリピリするという生活のずっと続けているので、神経がまいってしまっている。

 

…と、クルーザーは分析しています。

 

結果、八つ当たりをしているのですが、これは会社勤めの人間全員にささるのではないでしょうか。
(八つ当たりする方もされる方も)

 

これはすごいわ。

 

上司にムカついたとき、いわれのない侮辱をされた時は、(まあ多くの人は)直接反論したりガチンコで喧嘩なんてできません。


何らかの方法で自分のストレスに折り合いをつけるしかなく、そういう時にこの大きな視点からの冷静な分析は、役に立つかもしれない。
これ、どんな自己啓発本を読むより、働く上で役に立つのではないだろうか。

 

「会社での人間関係にイライラしないために」
「神経質な上司との付き合い方」
「会社づとめのための人間観察と分析力」

 

しかし、感情を害した人が気ちがいなんだといってみても、害されたほうの者には、まるでなぐさめにはならない。

 

わかる~~~!!!

 

ところで、このクルーザーが詰められた経歴の中に、ニワトリ号のマイザドン船長のことが出てくるのですが、あとで序盤のこの二人のやり取りはかなり重要なものであったことが分かりました。
それに、この頭のおかしい船長の「航海と競争とで頭がおかしくなりそうな状況」も実に重要なフラグでした。

 

 

ここからはすごいです。
右肩上がりで面白くなっていき、もう面白さしかないです。

 

 f:id:WhichBook:20200905085041j:plain

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

The Bird of Dawning or The Fortune of the Sea
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大人が読む児童書「ニワトリ号一番のり」2 ~序盤を切り抜ける

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大人が読む児童書「ニワトリ号一番のり」1 ~読み始めるまでのハードル -

 

 一大決心をして、やっと読み始めました。
ここまでに、相当の人が脱落してるに違いありません。

それとも、最初からこれを手に取る人はこういうのを読める人なので問題ないのかも。

 

決心してからも、まだまだ高いハードルが待っていました。

 

序盤、めちゃくちゃ情報が入り組んでいます。
わかりやすく、すらすらいける感じでは全くないです。

 

そもそも、題名がニワトリ号なのに、主人公たちはニワトリ号に乗ってないです。
しかも、ニワトリ号もニワトリ号ではないです。
何を言ってるかわからねーと思うが…(略)

 

大前提として、これは
中国から最初の新茶をつみとってロンドンに運ぶ船の競争「チャイナ・クリッパー」
のお話です。

 

二等航海士のクルーザーさん、これが主人公なのかな?
これは大変、期待できそうないい感じの人っぽいです。
二十二歳の好青年です
イケメンの予感♡♡(気分を盛り上げるための脳内補正)

 

ニワトリ号は本当の名前を「バード・オブ・ドーニング号」というらしいです。
序盤では、「ニワトリ号=バード・オブ・ドーニング号」は、主人公たちの競争相手の船の中の一つにすぎません。

 

主人公クルーザーさんたちが乗っているのは、「ブラックゴーントレット号」です。
(これが難破したわけだな。ふむふむ…)

 

ブラックゴーントレットに乗ってる

難破する

ニワトリ号一番のり

 

というわけなんだと思います。
(禁じ手の「ラストをちらっと見る」をやったので間違いないです) 

 

 

チャイナクリッパーと言う競争ですが、中国からイギリスへ、これは大変な航海です。
地図がのってますが、まだスエズ運河ができない時代なので 中国からイギリスへ帰るには南アフリカ喜望峰を回っていかねばなりません。

 

この競争に、主人公たちが乗っている「ブラックゴーントレット号」のダンチスバーン船長はめちゃくちゃ勝ちたがっています。
27歳。若いです。しかも航海の知識や腕前には自信があるという…事故が起こりそうな気配満々です。

 

 

開始3ページめぐらいにして、海図があります。

 

この地図には、はっきりとバツ×)がしてあって、「ブラックゴーントレット号が沈んだところ」と書いてあります。
この記事がネタバレどころの騒ぎじゃありません。
肝心の本が開始3ページめでもう、すでにネタバレしてます。

 

そして、このバツの難破した位置なんですが、もうはっきり言ってゴールの目の前です。
中国からイギリスへの全行程を考えれば、めちゃめちゃイギリスに近いです。

 

船が沈んだのがアゾレス諸島というところなのですが、これはポルトガル領になってます。
中国や南アフリカを回ってきたことを考えれば、もうヨーロッパはすぐそこなのですから、残りラストスパートというところだと思います。

 

(なんだ、中国~イギリスの真ん中ぐらいで難破したのかと思ったら違うのか…)

 

中国の福州という港で茶を積みとり、シナ海から、インド洋を横切って、アフリカの南を回り、大西洋を北に上って、すでに赤道をすぎ、あの辺に吹く北東貿易風帯の北のはずれを航海していた九月のある夜のことだった。

 

だそうです。

 

 

行ったり戻ったりしながら、なんとか情報をまとめました。
思ったより読みにくくないですが、(海洋小説を読んできたカンみたいなものがちょっと戻り始めました)
こういうのは、序盤に自分で整理しておくのが一番です。

 

競争している船は5そう。現在の段階で


1位:カー・オクブラン号
2位:ブラックゴーントレット号(主人公たちの船。遭難する)
3位:ミン・アンド・ウィン号
4位:ニワトリ号(=バード・オブ・ドーニング号)
5位:ナツナ号

 

(これは、あとで書き留めておいて良かったと思いました!)

 

このあたりから思ったのは、人間描写がとてもたくみで読ませるし、面白い!ということでした。
この27歳の競争に勝ちたがっている船長は、できる人っぽい感じですけど、こんな感じです

 

この人は、いつ、どこででも、自分が主人となり、支配者となり、権力者になろうとする、落ち着かない、あくことを知らぬ野心家だという印象を多くの者に与えた。
そして何ごとでも、何人でも自分の出世の手段とならなければ、じゃまになるのだといわんばかりのようすだった。
(略)
この船長には、多くの者に、がまんのできない腹立たしさを感じさせるところがあった。

 

いるいる!いるわ~こういう奴。
自分のこと出来るエリート社員と思っててすごい感じ悪くて上から目線で退職間近の社員さんをいじめてる奴。

 

このイヤな船長とクルーザー君の緩衝材になってくれたかもしれない一等航海士だった人は 「 メン・トップ・マストのスタンスルを下へ張り下げる綱の滑車が飛んできて頭を打って、死んでしまった」

く…詳しすぎる…。
死因まで帆船用語です。

 

全部こんな感じの専門用語で話が進むので、最初に腰が引けてしまったわけです。
この一等航海士さんが死んでしまったエピソードからして、この船長のキャラというのは、なんとなく不安がよぎります。
海の上にユラユラ浮かんでいる船のような危険な場所で、慢心が一番いけないというのは私でも分かります。
(船といえばフェリーにしか乗ったことないですけれども)

 

クルーザーは、あとひと月のことだし船長試験にパスしたら船員として最後の航海になる、という風に言ってます。
船長になるのって船長試験ってのがあるんだ~!

 

なんだか遠くから嵐がやってくるような気配がして、クルーザーは目ざとく気付きます。
こっちは難破したの知ってますからハラハラしてますが、船長とクルーザーくんはお話し合いに入りました。

 

(続きます) 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

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「砂の妖精」の次に、この福音館シリーズで借りてみたのは、「ニワトリ号一番乗り」という本です。

 

ぱらっとめくった感じ、海洋小説であるというのは理解しました。
第一印象は、「ランサムシリーズに出てくる子どもたちは、この本をすみからすみまで読み込んでいそうだな」というものでした。

 

しかし…そうとうに硬派です!
だってこんな感じです!!

 

ミズン・マストのいちばん上のスカイスルとその下のロイヤルが取りこまれ、メン・マストの上のスカイスルも取りこまれた。これらの帆がしばられて、ばたばたしている音や、船が速力をましてきたことからすると、風が強くなってくるように思えた。

それから、「フランプトン君、フオア・トップ・マストにかかっている補助帆(スタンスル)をしまいたまえ。」という船長の声と、これに応ずる、「フォア・トップ・マスト補助帆(スタンスル)、しまいます、船長。」という水夫長の声が聞こえてきた。

 

帆船用語が満載です。
アーサー・ランサムは面白かったけど、これは…キツいかも…。

 

、というジャンルがあるではありませんか。
鉄道ファンをさす言葉ですけど、鉄道オタク→鉄オタ→鉄で、すでに「鉄」で伝わります
鉄な子どもは小さい頃から鉄です。
お母さんがたも、「うちの子、鉄だから」「鉄なのね?」という会話を交わすぐらいメジャーです。

 

「鉄」が鉄ヲタなら、こっちは「船」です。

 

しかし、艦これのような戦艦ではなく、こちらは帆船です。
(個人的に、戦艦の吹雪、綾波などの名前にはときめきがあります)

 

マストに帆を張って進む帆船は本当に美しいですし、海賊もときめきます。

 

この帆船、海のロマン、海賊のイメージは、イギリスの海洋小説を読むことで刷り込まれたような気がします。
ランサムシリーズや宝島、イギリスの大航海時代の名残です。

 

 

しかし、しかしです。

f:id:WhichBook:20200902235417j:plain

さし絵ひとつとってもこうです!!

バントリン、タック、ブレイス、すべて頻出単語です。
羅針儀箱、気圧計、綱の結び目にいたるまで、図鑑かというほど詳細な絵がついてます。

f:id:WhichBook:20200903002254j:plain

1~20までの帆の名前も頻出です。

(この写真のねこのおしりは妹子の髪どめです)

 

読もうかな~、どうしようかな~、と気が乗り切らないときにやる、「ぱらぱらとめくっていく」読み方をしていると…。
主人公の乗った船、明らかに難破しています。
難破の様子を、専門用語満載のままで描写しています。 

 

難破もの(?)は、危機と苦難のスタイルに、どっぷりはまりきらないといけません。
ロビンソン・クルーソー十五少年漂流記はとても面白かったです。
しかし、読むだけで時間も気力も体力も使います。

 

今、家の中が難破しようとしているときなのに…。

 

クルーソーも漂流記も、ここまで専門用語満載ではなかったと記憶してます。
これは本当に、本当に子ども向けなのか!?
いったい、どの子が読むんだこんなの~!!

 

 

これはもう、なかったことにしてそっと戻そう、と思いました。

 

この、「難易度が高そうで面白くなさそうで趣味でもなさそうな本」に対面するとき、やはり読書が趣味である、という自負のようなものが、最後の悪あがきをします。

 

あれだけ、古典的名作だといわれてるけどめちゃ面白くなさそうだな、という本を読んで、やっぱり読んでよかった!!面白かった!面白すぎる!嘘みたいにすごい!!
と思ってきたじゃないか…。

 

まして、児童書です。
何か、負けたような気がする…。
このあたりの葛藤がすごかったです。

 

やはりいったん、戻しちゃおうか?
と思った所で図書館に向かい、最後に、悪あがきで車の中で検索をしてみました。

 

このいかにもキツそうな「船」向けっぽい、硬派すぎる、大人でも読む人がいるのか怪しいと思う本に対して、どういう感想があるのか興味がありました。

 

すると…。
絶賛の嵐ではありませんかー!!

 

最高に面白かった。
子どものとき夢中になって読んだ。
子どものとき読めてよかった。

  

ええーー…。
みんなすごい…。

 

これ、読んだんだ…。
尊敬するわ…。

 

これは認識を改めなければならない!

 

やる気になってきました。
やっぱり読んでみよう。海洋小説に頭からきちんと取り組もう!
そもそも海洋小説、好きは好きなのです。
アーサー・ランサムを読んで、六分儀を買いたくて検索したりしたぐらいです!

そのまま、貸出期限を延長して持って帰りました。
さてもう少し、感想を読み込んでみようとします。

 

アマゾンの評価、読書メーターなどチェックです。

 

「3分の2は難破の話」
そうでしょう。そんな感じを受けました。

 

しかし、題名は「ニワトリ号一番乗り」だし、どうなるかわかりません。

 

 

読む前に仕入れた知識

 

・ハードな海洋小説。帆船系「船」。
・中国からイギリスまで、その年の最初の新茶を届ける競争がある(チャイナ・クリッパー)
・難破する。
・一番乗りする。

 

とりあえず、序盤は慎重に読み進めます。

 

The Bird of Dawning or The Fortune of the Sea
John Masefield (著), Philip W. Errington (序論)

 

 

(つづきます) 

 

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閑話 たくさんあるのに…

 

閑話です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

  

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

大雨も暑さも次第に過ぎていきました。
コロナもだんだん収束(?)の様相を見せ始め、学校も始まってお友達もまた遊びに来るようになりました。

 

子どもたち、すごくえらそうな顔でやってきました。
妹子「お母さん、なんでそんな微妙な本ばっかり選ぶの!?」

 

ええ~。ショック…。

 

「いや、いいよ?別にいいんだけど!もっと良い本があるでしょお!?
「すみません」
「プーさんとか、長くつしたのピッピとかさあ、マッドパワー超人(プッ←自分で笑う)て自分で書いてたじゃん!とぶ船も入れてないよね?かえるのエルタもないじゃん!」

 

お前は自分の好きなのばかり言ってるような気がするけど…。
でも確かに、超一流のいい本ばかりです。

 

(妹子の言ってる「微妙な本」てのは、多分ピッキのことを言ってる気がします)

 

この子、長くつしたのピッピのことをマッドパワー超人と言ったのがツボにはまってしまったらしくて、いつも一人でときどき笑ってます。
ちょろっと思いついて冗談で言ったのにそんなにウケるとは…。

 

お友達「ホッツェンプロッツとカッレくんを入れてほしいです」
「は、はい。すみません」

 

君たち、大変なんだよ!
いい本ほど紹介が難しいの。
すごい力を入れて、もうマジになって取り組まないといけないから。
このすばらしさをとても伝えきれない…。
けど、なんとかして面白く伝えたい!

 

って、あれこれ考えないといけないの!

 

それで、さらっと紹介しようかと思って図書館に通うと、以外と面白くてガツガツと紹介してしまいます。

 

しかし、リンドグレーンはさすがに強いです。
なにしろ冊数がたくさんです。
方向性もさまざま、探偵、ファンタジー、トンデモ、ほのぼの日常、おもしろ系と、実に自在です。
不世出の人だなあと思います。

 

妹子とお友達には大変申し訳ないのですが、明日からはとても感銘を受けた「ニワトリ号一番のり」にしようかと思ってます。


ごめんなさい。

 

 

クマのプーさん
A.A.ミルン (著), E.H.シェパード (イラスト),石井 桃子(訳)

イギリスの詩人が幼い息子のために書いた楽しいファンタジークリストファー・ロビンが、クマのプーさんやコブタなど、大好きなおもちゃの動物たちとくり広げるゆかいなお話。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

長くつ下のピッピ
アストリッド・リンドグレーン (著), 桜井 誠 (イラスト), 大塚 勇三 (翻訳)

世界一強い女の子ピッピのとびきりゆかいな物語。となりの家に住むトミーとアンニカは、ごたごた荘でサルと一緒に自由気ままに暮らしているピッピがうらやましくてなりません。(「MARC」データベースより)

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

とぶ船〈上〉
ヒルダ・ルイス (著), ノーラ・ラヴリン (イラスト),  石井 桃子 (翻訳)

ピーターがある日、うす暗い小さな店で手に入れた古い小船は、なんと魔法の「とぶ船」でした。ピーターたち4人きょうだいはこの船で、エジプトやウィリアム征服王時代のイギリス、北欧神話の世界にまで冒険旅行をします。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

かえるのエルタ
中川 李枝子 (著), 大村 百合子 (イラスト)

カンタのひろったおもちゃのカエルは、雨をあびるとほんとのカエルになって、カンタをカエルのお城のある「うたえみどりのしま」へつれていきます。幼年向きファンタジーの傑作。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

大どろぼうホッツェンプロッツ
オトフリート=プロイスラー (著), トリップ (イラスト), 中村 浩三 (翻訳)

おばあさんの大切なコーヒーひきが、大どろぼうホッツェンプロッツに盗まれてしまいました。大魔法使いツワッケルマンや妖精も登場して、少年カスパールとゼッペルの大活躍がはじまります。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

名探偵カッレくん
アストリッド・リンドグレーン (著), エーヴァ・ラウレル (イラスト), 尾崎 義 (翻訳)

名探偵を夢見るカッレくんは、ある日エイナルおじさんの怪しい行動に第六巻を働かせ、捜査を始めます。宝石窃盗団に迫ったカッレくんは、仲良しのアンデス、エーヴァ・ロッタとともにお城の地下室に閉じこめられてしまいますが…。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

ニワトリ号一番のり
J・メイスフィールド (著), 寺島 龍一 (イラスト), 木島 平治郎 (翻訳)

19世紀後半、中国からロンドンまでの広大な大洋上を、先着をきそってシナ茶を運ぶ帆船の物語。潮のかおり、帆船の美しさ、海の男たちの魂を見事に描き切った作品です。

 

 

 

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