~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

大人が読む児童書「とぶ船」4 ノルマン・コンクエスト時代のイギリス。なじみの薄い歴史を生き生きと

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

とぶ船
ヒルダ・ルイス (著), ノーラ・ラヴリン (イラスト), 石井 桃子 (翻訳)

ピーターがある日、うす暗い小さな店で手に入れた古い小船は、なんと魔法の「とぶ船」でした。ピーターたち4人きょうだいはこの船で、エジプトやウィリアム征服王時代のイギリス、北欧神話の世界にまで冒険旅行をします。

 

 

大人が読む児童書「とぶ船」 児童書は世界へのとびら

2 古い、うすぐらい小道のうすぐらい店に魔法は待っている

3 あのトトロに影響?病気のお母さんのエピソード

 

7章では、ノルマン・コンクエスト時代のイギリスの話となりました。

 

子どもたちのぼうけんについては、読んでもらった方がおもしろいと思うので、詳しくは書かないのですが、ここで、あまりなじみがないのではないかと思われる、ノルマン・コンクエスト時代のイギリスの歴史事情について、ちょっとウィキペディア先生の助けを借りてご説明をしたいと思います。

 

ここは、Google先生およびWikipedia先生の出番です。

 

ノルマン・コンクエスト - Wikipedia

 

 

5世紀頃にブリテン島にドイツの北岸からアングロサクソン人が進入。
ドイツの「ザクセン」と、「サクソン」は重なっている。

つまり、ドイツ系だということでしょうか。
そう簡単には割り切れないのでしょうけど。

 

ノルマン・コンクエスト
アングロ・サクソンVSノルマン
と考えていると、ドイツが起源の一族かフランスが起源の一族かと考えがちです。

 

ですが、Wikipediaこの家系を見る限り、同じ北部ノルマン人と結婚によってつながっています。
かなりノルマン人の影響は強いです。

 

そもそもが北部のドイツやフランスも、北欧のバイキングなどと、密接に関係しているようですので、実際は絡み合った縁戚関係により、そこまで「サクソン人」「ノルマン人」とかっちりとわけられるものでもないようだなと思いました。

 

とにかく歴史上では
ヘイスティングスの戦いにおいてノルマンディー公ウィリアムによってアングロサクソン王朝が倒され、ここからイングランドノルマン朝になる」
ということです。

 

そして有名なのがバイユーのタペストリ

 

バイユーのタペストリー - Wikipedia

 

 

ウィキペディアに詳細なように、以前はノルマンディー公ウィリアムの王妃マチルダが寄進したと考えられていたようです。

 

この「とぶ船」の物語中では、このタペストリは「マチルダ王妃が作らせた」とされる考えによって物語が書かれています。

 

今考えてみると、作者は明らかに、バイユーのタペストリからこのお話を編み出したのだろうな、と思われます。

 

 

土地の人との会話から、この4人の兄弟姉妹は、
「ピーターの鼻が高いところはノルマン人に似ているが、基本はアングロサクソンの顔立ちだ」
ということのようです。

 

なかなかうまいことお話ができています!

 

忘れてしまいそうになりますが、これは児童書です。

 

もし日本人でこのような話を作ったなら、弥生人縄文人かというような話になるのでしょうか。
現在の考古学では、そうはっきりと分けられるものでもなかったことが判明していますが、昔はそれなりにみればわかるぐらいの違いだったとしても、それはそれでおかしくはありません。

 

この土地の奥さんの言葉から出た
「センラックの野でお果てなされたハロルド王さま」
センラックの野というのが、ヘイスティングスのことでしょう。
ハロルドとは(Wikipedia先生のいうところの)ハロルド・ゴドウィンソン。ハロルド2世のことだと考えられます。

 

エドガーさま」というのは、亡くなったことによって跡目争いからこの戦争が起きたという、アングロサクソンエドワード懺悔王の甥の子どもみたいです。
このエドワード懺悔王は、ノルマン人の母を持っているのですが、甥は異母兄とのことで、そうではないようです。

 

 

この複雑かつ、微妙な情勢の中で、マイペースにふるまう四人の子どもたち。
彼らの前に、ノルマン人の貴族の少女、マチルダが登場します。

 

かわいい!大好きです。

 

この子はこの長いお話の中でたったひとり、ぼうけんの中、この四人兄弟姉妹と、心を通わせた人物です。

 

ちょうどノルマンディー公ウィリアムが王と決まったばかりの時代の話ですから、周囲はみなピリピリしています。
そんな中で、征服者側のノルマン人の少女なので、ツンと頭を上げて威張った様子です。

 

この少女に注目したのは次男のハンフリ。
名前が作者の息子と同じですね。

 

「とぶ船」の話の中で、わたしはこのハンフリがいちばんお気に入りでした。
病気のお母さんの所に行くときに、赤いバラを摘み取ったのもこのハンフリです。

 

ノルマン人の少女は、こんな感じです。

 

その子は、 どっしりした、 みどり色の 長い服を着ていて、ひろい 袖には毛皮がぬいつけてあり、 首には金のくさりをかけていました。 十ばかりに見えるその子は、 高慢そうに頭をそらせ、いじわるそうにあたりを 見まわしていました。

 

あとで仲良くなるのですけど、最初はこんな感じで、じつにいじわるそうな感じです。
ハンフリ、「あんなにつんとしてなければ、ずいぶんかわいいのに」なんて考えています!

 

ずいぶんかんしゃくもちの、プライドの高い女の子です。
四人のことを、「サクソンのブタ」なんて呼びますし、最初から喧嘩ごしです。

 

でも、でも、そこが、かわいいんです!

このマチルダの魅力が、このお話の根幹です。

 

実は、ハンフリ以外はほぼ、四人のことはぼんやりとしか覚えていませんでした。
長兄も、ピーターだったかな?またピーターか。長男=ピーター多いな…なんて考えていました。
(ピーターという名前は、キリストの第一弟子、聖ペテロの名前が元なので、長男によく付けられるようです)

 

今に到るまで、マチルダのことを一度も忘れたことはありません。
サブキャラクターのはずが、主人公たち以上に生き生きとした魅力をもって、心に刻み付けられました。

 

 

このお城の殿様が、マチルダの父上です。
海から渡ってきて、アングロ・サクソンを従えたノルマン人なので、きびしい顔立ちの居丈高な男性なのですが、マチルダには若干甘い様子。

 

チルダと話をしているうちに、四人は仲良くなりますが、手を差し伸べたのはハンフリです。
ハンフリ、最初からずっとマチルダに優しいんです!

 

高慢で、威張っていたマチルダも、本当はさびしいことが知られます。
この城で、いつも遊び相手もなく、ひとりぼっちのマチルダ

 

チルダの部屋には、たいそう立派な、ノルマン人とサクソン人との戦いが刺繍されたタペストリが、さしかけの状態でししゅう台に設置されてあります。

バイユーのタペストリーだ~!!!

 

このマチルダは、ノルマンディ公女ウィリアムの妻、女王マチルダから名前をもらったとのことで、そんな少女が、バイユーのタペストリっぽいものを持っているという、この歴史ずきにはたまらないシチュエーション!

 

でも、マチルダはししゅう台をけとばします。
「もうこんなもの、つくづく、あきてしまった!」

 

f:id:WhichBook:20211124191001j:plain

 

子どもの頃に読んでから、今にいたるまで、忘れられない絵、忘れられないシーンです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

The Ship That Flew (English Edition)
Kindle版 英語版 Hilda Lewis (著), Beebliome Books (編集)

The model Viking ship lay in the window of a little old shop in an unfamiliar back street, and Peter, on his way to the dentist, lost his heart to it at once. It cost him all the money in hist pocket, including the fare home. That was how he came to take the way along the beach which led him into grave danger, but also opened his eyes to the magic properties of the little ship in his hand—the ship that flew.

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

砂の妖精
イーディス ネズビット (著), H R ミラー (イラスト), 石井 桃子 (翻訳)

ロンドンから田舎に移り住んだ子どもたち4人。彼らは砂の中に棲んでいるサミアドという不思議な妖精に出会います。その魔法の力で空を飛んだり、巨人になったり…愉快な冒険物語。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

火の鳥と魔法のじゅうたん
イーディス ネズビット (著), H.R.ミラー  (イラスト), 猪熊 葉子 (翻訳)

ロンドンに住む5人の兄妹は子供部屋のじゅたんを焦がしてしまい、新しいじゅうたんを買ってもらったら・・・なかには不死鳥の卵が・・・空飛ぶじゅうたんと不思議な力を持つ不死鳥と数々の冒険をするのですが、願いはかなえられるけど、意外な結果に・・・日常にふとまぎれこんだ「魔法」を楽しく描くネズビットの傑作

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

メリサンド姫: むてきの算数!
E. ネズビット (著), 高桑 幸次 (イラスト), 灰島 かり (翻訳)

むかしむかし、人間と妖精がいっしょにくらしていたころ、ある国にそれはそれはかわいらしいお姫さまが生まれ、メリサンド姫と名づけられました……と、そこまではごく普通のお話だったのですが……。悪い妖精がかけた呪いに、姫と王子が算数マジックで立ち向かう!

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

第九軍団のワシ
ローズマリ サトクリフ (著), C.ウォルター ホッジス (イラスト), 猪熊 葉子 (翻訳)

ローマ軍団の百人隊長マーカスは、ブリトン人との戦いで足を負傷し、軍人生命を絶たれる。マーカスは親友エスカとともに、行方不明になった父の軍団とその象徴である“ワシ”を求めて、危険に満ちた北の辺境へ旅に出る。(「BOOK」データベースより)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ともしびをかかげて
ローズマリ サトクリフ (著), チャールズ・キーピング (イラスト), 猪熊 葉子 (翻訳)

衰退したローマ帝国は、450年にわたるブリテン島支配に終止符をうつ。地方軍団の指揮官アクイラは、悩んだ末に軍を脱走し、故郷のブリテン島にとどまることを決意したが…。意志を貫いて生きることの厳しさ、美しさを描く。中学生以上。(「BOOK」データベースより)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

時の旅人
アリソン アトリー (著), 松野 正子 (翻訳)

病気療養のため、母方の古い農場にやってきたペネロピーは、ふとしたことから16世紀の荘園に迷い込む。王位継承権をめぐる歴史上の大事件にまきこまれた少女の、時をこえた冒険。中学以上。(「BOOK」データベースより)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

「ナルニア国ものがたり」全7冊セット
C.S.ルイス (著), 瀬田 貞二 (翻訳)

押入れやクローゼットを開けたとき、この向こう側に行ってみたいと、ふと思うことがある人。それは『ナルニア国ものがたり』をかつて夢中になって読んだ人にちがいない。第二次世界大戦中のイギリスの片田舎。ロンドンから疎開してきたピーター、スーザン、エドマンド、ルーシィの4人きょうだいが学者先生のお屋敷を探検するところから、この壮大な物語は始まる。

 

 

 

 

【e-hon】 ─ ネットで予約、本屋さんで受け取れる e-hon サービスで本屋さんを応援しよう📚️

 

 

whichbook.hatenablog.com

子どもの本だな【広告】

ちいちゃんのかげおくり どろんこハリー はれときどきぶた
銀のほのおの国 ガリバー旅行記 あさになったのでまどをあけますよ
ロッタちゃんのひっこし あのころはフリードリヒがいた 999ひきのきょうだいのおひっこし

 

 

大人が読む児童書「とぶ船」3 あのトトロに影響?病気のお母さんのエピソード

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

とぶ船
ヒルダ・ルイス (著), ノーラ・ラヴリン (イラスト), 石井 桃子 (翻訳)

ピーターがある日、うす暗い小さな店で手に入れた古い小船は、なんと魔法の「とぶ船」でした。ピーターたち4人きょうだいはこの船で、エジプトやウィリアム征服王時代のイギリス、北欧神話の世界にまで冒険旅行をします。

 

 

大人が読む児童書「とぶ船」 児童書は世界へのとびら

大人が読む児童書「とぶ船」2 古い、うすぐらい小道のうすぐらい店に魔法は待っている

 

ほかの兄弟姉妹たちとピーターが合流してから、この船のことを兄弟たちが信じるようになるまでは、せっかく面白いところなので、ここは省くとして、この船を使っての、この四人兄弟姉妹たちの最初の冒険です。

 

「お母さんのところに行ったエピソード」

 

これについて、わたしは前々から、ちょっと言いたくてたまらなかったこと、誰かに賛同を求めたかったことがあります。

 

というのも、この病気のお母さんに会いに行くエピソード。

 

・お母さんが病気であり、会うことができない
・なんだか難しそうな病気であるらしい
・子供たちはみんな元気に暮らしているのだけれど、どこかでおかあさんのことで影が落ちている。
・みんなお母さんを心配しているし寂しがっている
・魔法の船で夜にこっそりお母さんに会いに行く
・お母さんの寝顔をみんなで見る
・夢かと思われるが、子供たちが持ってきたバラの花が残っている

 

これ、どこかで見たり聞いたりしたような話だと思いませんか?
そうです!
あの「となりのトトロ」にそっくりなのです。

 

「とぶ船」の翻訳は1953年。
「となりのトトロ」は、1988年公開です。そして、昭和30年代(1955年~)が舞台です。
どうです?ぴったりだと思いませんか?

 

ジブリ作品は、児童書をモチーフとした作品が多いです。
魔女の宅急便ハウルアリエッティ、マーニー、ゲド戦記など。
そして千と千尋は、「霧のむこうのふしぎな町」が影響を与えていると言われていますし、ラストシーンにも、名作児童書をオマージュしたと自ら宮崎駿監督が書かれているシーンが存在します。

 

はっきり確認したことではないんですけど、どう考えても絶対この長年愛されてきている超有名な「とぶ船」の児童書の存在、内容を宮崎駿監督が知らないわけはなく、この「お母さんに会いに行く」部分になんとなく感銘を受けて、日本の子供達の話にしてトトロを描いたのではないのかなと、長年思ってきました。

この場合、船は猫バスになったわけです。

 

全く関係がないのじゃないか?と思われる方は是非、この「とぶ船」を読んでみてもらいたいと思います。

あまりにも似ていますので。

 

(ちょっと見つけられなかったのですが、以前、トトロの映画を観た当時からずっと「とぶ船」との類似性を指摘していたと主張されている方のブログもありました。)

 

 

決してパクリであるとか言いたいわけではなくて、例えば、ディズニーのライオンキングが、手塚治虫ジャングル大帝に似ているなどと言われたこともあるわけです。

それにお母さんに会いに行くエピソードは、この長編の「とぶ船」のごく一部分の類似性にすぎません。

 

それでもやっぱり、あの昭和という時代に、いかに優れた作品が、大小さまざまな影響を与えてこんにちの名作が生まれてきたという背景もあるのではないかと思っています。

 

なのでこの「となりのトトロ」「とぶ船」の類似性をもっとアピールして、ぜひたくさんの子供たちに「とぶ船」を逆アピールしたいと私は考えているわけです!

 

 

ここからは様々な国への旅立ちです。

…と言いたいところでしたが、今回読み直し調べてみたところ、ほとんどエジプトであったことが判明しました。

 

ツタンカーメンの大発見があった頃では無理もありません。
この発見の後、しばらく発掘熱がイギリスでは続いたそうですから。

 

最初に子供達が行ったのは4章「ナイルの岸」
現代エジプトのバザールです。
(現代といっても、当時の現代なので、かなり昔ではあります)

 

ピーターがお休みの宿題でエジプトの研究文を書かなくちゃならなかったからなのですが
じゃあ行ってみよう☆
というテンションがまさにドラえもんです。

 

しかしこの場合は、何か起きたときに対応する道具を出してくれるネコ型ロボットはいないので、4人兄弟が自分たちで何とかしなければなりません。

 

 

この船、古代に行くならともかく現代をとぶときは、ちゃんと空中を飛んでくれます。
なので、英仏海峡をすぎフランスの上を飛んで地中海を抜け、シシリー島のエトナ山の煙を見て、海の色がだんだん濃くなってくるという、この上なく素晴らしい旅です。

 

さらに、お世話係のガートルードが作ってくれた素晴らしいお弁当!
バザールの素晴らしいお菓子の数々!

 

マジパン=マルチパンだということを、ここで知りました。

 

マルチパンというのは、「くるみわり人形」にたくさん出てきていました。
その時は、何か特殊なパンなのだろうと思っていましたが、マジパンのドイツ語が、マルチパンだったのです!
衝撃の事実!

 

読み返してみたところ、子どもの頃のわたしは、このとき4人が食べたお菓子の素晴らしさにあまりにも夢中になっていて、その後の大変な展開の内容はすっかり忘れていました。

 

この回の記憶はもう、食べ物しかありません。
イギリスはメシマズだと言われるのですが、いまだに信じられません。
(本場イギリス料理を食べたことのない人)
おいしいイメージしかありません。

 

 

次に行くのは、北欧神話の世界!
これは胸熱です。

オーディンにフリッガ、フレイ、ロキなどが登場します。

 

詳しく書いてしまうと面白くないので、詳細は省きます。

 

これらの神々が子どもたちと会話するのですが、妙に人間臭すぎず、神性を保っていて、言うことも予言めいていてどこか神秘的です。
そこがとても良いのです!!
作者は、やはり神様は神様でいてもらいたいと思う、そこのさじ加減をようくご存じです。

 

これまでの冒険や、神々の助言によって、子どもたちはより、この船を使いこなせるようになりました。

 

何よりもありがたいのは、船首の金色のイノシシの首をなでて願えば、古代に行ったときにも、四人兄弟姉妹の姿もその当時の人々の姿になり、ことばもわかるようになる、ということでした。

 

現代エジプトの時には、言葉が通じなかったのでえらいことになってしまったのです。

 

これで、準備は整いました!

 

七章で、このお話最大の盛り上がり、いちばん面白いところ。
ノルマン・コンクエスト時代のイギリスに出発です。

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

The Ship That Flew (English Edition)
Kindle版 英語版 Hilda Lewis (著), Beebliome Books (編集)

The model Viking ship lay in the window of a little old shop in an unfamiliar back street, and Peter, on his way to the dentist, lost his heart to it at once. It cost him all the money in hist pocket, including the fare home. That was how he came to take the way along the beach which led him into grave danger, but also opened his eyes to the magic properties of the little ship in his hand—the ship that flew.

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

となりのトトロ
宮崎駿 (監督)

大人から子どもまで、幅広い年齢層に支持され続ける宮崎駿監督による代表作のデジタルリマスター版。昭和30年代の田舎を舞台に、仲良し姉妹・さつきとめいと、不思議でチャーミングな生き物・トトロとの心温まるふれあいを描くファンタジーアニメ。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

クラバート
オトフリート=プロイスラー (著), ヘルベルト=ホルツィング (イラスト), 中村 浩三 (翻訳)

ヴェンド人の少年3人組で村から村への浮浪生活をしていたクラバートは、ある時から奇妙な夢を見るようになる。「シュヴァルツコルムの水車場に来い。お前の損にはならぬだろう!」という声と止まり木に止まった11羽のカラスの夢。 その声に従って水車場の見習となったクラバートは、昼は水車場の職人として働き、金曜の夜には12羽目のカラスとなって、親方から魔法を習うことになる。(小山由絵)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

霧のむこうのふしぎな町 (講談社青い鳥文庫)
柏葉 幸子 (著), 杉田 比呂美 (イラスト)

心躍る夏休み。6年生のリナは1人で旅に出た。霧の谷の森を抜け、霧が晴れた後、赤やクリーム色の洋館が立ち並ぶ、きれいでどこか風変わりな町が現れた。リナが出会った、めちゃくちゃ通りに住んでいる、へんてこりんな人々との交流が、みずみずしく描かれる。『千と千尋の神隠し』に影響を与えた、ファンタジー永遠の名作。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

小人の冒険シリーズ 全5冊セット
メアリー・ノートン (著), 猪熊 葉子 (翻訳), 林 容吉 (翻訳)

イギリスの古風な家の床下に住む小人の一家。生活に必要なものはすべて、こっそり人間から借りて暮らしていましたが、ある日、小人の少女アリエッティがその家の男の子に見られたことから、小人たちの運命に大きな変化が……。イギリスファンタジーの傑作「小人の冒険シリーズ」全5作

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

思い出のマーニー
ジョーン ロビンソン (著), ペギー・フォートナム (イラスト), 松野 正子 (翻訳)

養い親のもとを離れ、転地のため海辺の村の老夫婦にあずけられた少女アンナ。孤独なアンナは、同い年の不思議な少女マーニーと友だちになり、毎日二人で遊びます。ところが、村人はだれもマーニーのことを知らないのでした。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ハウルの動く城 (全3巻)
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ (Author) , 西村醇子 (Translator) , 市田泉 (Translator)

魔法が本当に存在する国で暮らす18歳のソフィーは、「荒地の魔女」に呪いをかけられ、老婆に変身してしまった。家を出て、悪名高い魔法使いハウルの動く城に、掃除婦として住み込んだソフィーは、暖炉に住む火の悪魔と仲よくなる。やがて、ハウルもまた「荒地の魔女」に追われていると知ったソフィーは…? 英国のファンタジーの女王ダイアナ・ウィン・ジョーンズの代表作。スタジオジブリのアニメーション映画「ハウルの動く城」原作。【解説】荻原規子

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

くるみわり人形 (ポプラ世界名作童話) (日本語) 単行本 - 2018/11/10 北見 葉胡 (イラスト), E.T.A. ホフマン (著), 村山 早紀 (著)

クリスマスの日、マリーは、おくりものの中に、りっぱな服に身をつつんだ、くるみわり人形を見つけます。すっかり、このお人形が気に入ってしまうマリー。しかし、真夜中になると、家の中で音がきこえ、おどろきの光景を目にすることになります……!世界中で愛され読みつがれてきた名作に、現代の児童文学作家たちが新しい命をふきこんだ、ポプラ世界名作童話シリーズ。

 

 

 

 

【e-hon】 ─ ネットで予約、本屋さんで受け取れる e-hon サービスで本屋さんを応援しよう📚️

 

 

whichbook.hatenablog.com

子どもの本だな【広告】

ツバメ号とアマゾン号 もりのなか やまなし
くもの糸・杜子春 チポリーノの冒険 エルマーのぼうけんセット
西遊記 少女ポリアンナ (10歳までに読みたい世界名作) 小公女セーラ

 

 

今日の一冊「おやすみまえの365話」 …から「雪女」の家庭事情

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

カラー版 ママおはなしよんで 幼子に聞かせたいおやすみまえの365話
千葉 幹夫 (著)

人気の画家たちの挿絵とともに、日本と世界の昔話・名作を、一日一話ずつ366話収録した、オールカラーの豪華絵本です。 定番の「桃太郎」「おむすびころりん」「白雪姫」「おおかみと七ひきのこぶた」といった昔話はもちろん、「やまたのおろち」「じゅげむ」などの神話や落語、「ハイジ」「ロビンフッド」などの名作やギリシア神話も多数収録しています。 主な特長は次になります。 ●504頁、オールカラー、上製本という、他書にはない圧倒的に豪華な体裁と内容。 ●毎日3分程度で読み聞かせできるお話を366話掲載。

 

最近、妹子は、
「短いお話がたくさん入ってるのがいい」
といって、好んで昔話集をたくさん読んでいます。

 

長いストーリーは、 じっくりと読むタイプですし、深く入り込みすぎてしまうらしいので、 短いお話が気軽なようです。

 

昔は、こんなにいっぱい昔話あるんだからそこから読めば~とか思ってましたけど、この「幼子に聞かせたいおやすみまえの365話」は妹子が自ら欲しいと言ったので買いました。

 

 

妹子「なんで雪女はみのきちを殺さないの?おかあさんわかる?」
わたし「!?」

 

妹子、「雪女」を読んでいました。
365日の中でも、2月9日のお話です。

 

この雪女の話、ちゃんと登場人物に名前がついています。
木こりのもさくじいさんみのきちという若者です。
これか、みのきち。

 

寒い冬の日に山小屋で過ごした二人。
真っ白な女の人が、もさくじいさんに白い息をかけて殺し、みのきちには、このことは誰にも言っちゃいけない、話したら殺すからと言って去っていきました。

 

それから、春になって出会ったお雪という娘と結婚……。
見れば見るほど似ている……。

 

いや、気づけよ。

 

 

お話の欄外のひとつひとつに、小さなアドバイス(advice)がついています。
『雪女はどうしてみのきちを殺さなかったのか、親子で考えてみましょう』

 

これか!

 

わたし「わぁー道徳的。教科書みたい(*^-^*)」
妹子「そういうのいらないんだよね~」
わたし「いらないんだよね~とか言いながら、考えたんだ。どれどれ、なら親も考えねばなるまいて」

 

うーん。

 

わたし「これ、こどもがいなかったら雪女、みのきちを殺してるな」

 

(ずっと殺すとか殺さないとか殺伐とした会話が続きます)

 

わたし「殺さなかったのは子供のためだな」
妹子「そうだね、十人もいるもんね」
わたし「十人!?」

 

読みとばしてました。
妹子はほんとに、細部までちゃんと読むなあ。
わたしが注意散漫なだけか。

 

わたし「ほんとだ……。子供が十人いる」
妹子「ぜんぜん冷たくないね。あっつあつだね」
わたし「……ソ、ソウデスネ……」

 

 

やはり子どもにとって自分が選んで買った本というのは特別なようです。
岩波少年文庫の中でも「青い月の石」は特別なんだそうです。
妹子が探してきて欲しいと言って買った本だからです。

 

今もよく引っ張り出して、この365日の本を読んでいるのですが、確かに有名なお話のダイジェストみたいなところもありますけど、作家の生きた時代の年表が載っていたり、それぞれのお話のミニ情報みたいなものも実に多彩です。

 

これは買ってよかったなと思う本です。

 

 

わたし「で、雪女がどうしてみのきちを殺さなかったのか、あなたはどう考えたの?」

妹子「これ、雪女はみのきちが好きで、もさくじいさんがじゃまだったからころしたんじゃないかなっておもった」
わたし「そ、そんな深慮遠謀で最初から嫁になることを狙っていたという!?」
妹子「そう」

 

それで十人も子供を!?
逆に恐ろしい!

 

とんだヤンデレ雪女だ!

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

青い月の石
トンケ・ドラフト (著), 西村 由美 (翻訳)

ヨーストはある暗い夜、家の外にあやしい黒い影を目にする。そして次の日、校庭の地面の下からぶきみな男が現れた。その名は地下世界の王、マホッヘルチェ! ヨーストは足あとを追っていくが……。それは月が青くなったときに始まった、少年と仲間のとくべつな冒険の物語。現実とおとぎ話が入り交じる、人気作家のファンタジー

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ママお話きかせて―春の巻
(小学館のお話シリーズ)

みつばちマーヤ、桃太郎さん、一寸法師など花の季節にふさわしいお話を収録。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ママお話きかせて―夏の巻
(小学館のお話シリーズ)

はだかの王さま、七夕さま、人魚姫など夏の夕べに心なごむお話がせいぞろい。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ママお話きかせて 秋の巻
(小学館のお話シリーズ)

虫の音楽会、かぐや姫、月とうさぎなど静かな秋の夜長に最適なお話を紹介。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ママお話きかせて―冬の巻
(小学館のお話シリーズ)

初版と新版は、表紙デザインが異なります。日本昔話、イソップ童話などが90話収録。毎日ちゃんと読み聞かせても三か月分あり、読み応え十分。挿絵はダイナミックかつ個性的で、家族の話題作りにもいかがでしょうか。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

新編 世界むかし話集(1)イギリス編
山室静 (編集) 形式: Kindle版

ムーミン」やアンデルセン童話など、北欧・児童文学の研究・翻訳に生涯携わり、子供たちには夢を、大人にはやすらぎを与え続けた著者・山室静の世界むかし話集第1弾。
<イングランド>ネコの王さま/カメの遠足/最初のバナナ/三びきのクマ/ロンドン橋の上で/ジャックと豆の木/他8編
<コーンウォール>ベッチィ・ストーグの赤ちゃん/頭から下に向かって/他3編
<スコットランド>ヒース酒の秘密/詩人トマスの話/他5編
<ウェールズ>長すねグウィスの嘆き/他3編
<アイルランド>白いマス/笛吹きとプーカ/他9編

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

新編 世界むかし話集(2)
山室静 (編集) 形式: Kindle版

これまで家庭で語られていただけの昔話が、今日のように文化的宝と認められるようになったのは、グリム兄弟の『家庭と子供のための童話集』の刊行によるところが大きい。
本書は「ヘンゼルとグレーテル」「白雪姫」などのグリム童話を中心に、オーストリア、スイス、オランダ諸国の昔話を多数収める。
<ドイツ> カエルの王子/ヘンゼルとグレーテル/オオカミと七ひきの子ヤギ/いばら姫/他21編
<オーストリア> 永遠の国へ行った花婿/ハシバミの枝/他3編
<スイス> 三つの言葉/ローツェ氷河はどうしてできたか/かわいい小鳥/他5編
<オランダ> スタフォレンの奥方/飛びゆくオランダ人/他3編

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

新編 世界むかし話集(3)北欧・バルト編
山室静 (編集) 形式: Kindle版

他のゲルマン諸国では、神話詩や英雄伝説キリスト教の影響で失われたが、北欧ゲルマン人はすこぶる詩歌を愛し、それが語り伝えられている。北欧の民話が豊かであるのは、そのような伝統を受け継いでいるからである。
<デンマーク> 辛抱づよい奥方/十一羽の白鳥/小さい野ガモ/他8編
<スェーデン> 跳ぶ巨人/水の精(ネック)と少年名/スコールンダ山の巨人/他7編
<ノルウェー> 北風のくれたテーブルかけ/海の水はなぜからい/他8編
<アイスランド> 雌牛のブーコラ/アザラシの皮/他6編
<フィンランド> 七人兄弟/ほうきつくりの老人と王さま/他5編
<バルト諸国> 年越しの晩/欲ばりの王さま/他7編

 

 

 

 

【e-hon】 ─ ネットで予約、本屋さんで受け取れる e-hon サービスで本屋さんを応援しよう📚️

 

 

whichbook.hatenablog.com

子どもの本だな【広告】

カイウスはばかだ 14ひきのあさごはん こども論語
しあわせな いぬに なるには: にんげんには ないしょだよ! アンデルセン童話集 (1) ゆうちゃんのみきさーしゃ
ちいさなねこ なぞなぞのすきな女の子 新訳 長くつ下のピッピ

 

 

大人が読む児童書「とぶ船」2 古い、うすぐらい小道のうすぐらい店に魔法は待っている

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

とぶ船
ヒルダ・ルイス (著), ノーラ・ラヴリン (イラスト), 石井 桃子 (翻訳)

ピーターがある日、うす暗い小さな店で手に入れた古い小船は、なんと魔法の「とぶ船」でした。ピーターたち4人きょうだいはこの船で、エジプトやウィリアム征服王時代のイギリス、北欧神話の世界にまで冒険旅行をします。

 

 

大人が読む児童書「とぶ船」 児童書は世界へのとびら

 

物語は、四人兄弟姉妹の長兄、ピーターの歯いたからはじまります。
訳は石井桃子さん。

 

歯のいたいことから、何かとてもすてきなことがおこるなんて、誰にも考えつけないでしょう。でも、こんどだけは、ほんとにそうなったのです。

 

よく構成の似ているネズビット作品ですと、何となくめちゃくちゃになるぞ臭が強いとでも言いますか、たぶん作者がおもしろい人で、いたずら好きなのでしょう。

もう、笑って笑って涙が止まらなくなるけど、主人公の本人たちは大弱りで困ってしまう、という風があります。

 

ナルニア国の四人姉妹は、作者の敬虔なキリスト教の考え方が投影されていて、正しい事とは、あやまちとは、という雰囲気があります。

アーサー・ランサムは……(笑)
アウトドア!ぼうけん!子供だけでアウトドア!です。

 

それぞれの作品に、それぞれの色があります。
この「とぶ船」は、何かワクワクする、すてきなことが起きるぞ!という予感でいっぱいです。

 

作者がおとな向けの歴史小説を書かれていると読んで、なるほどという思いです。

このとぶ船は、想像力のつばさです。

運んでいって、実際に見せてくれる、いわばドラえもんのタイムマシン。
それが「船」だというところがまたすてきです。

 

 

その「船」がピーターの手に入るようになったいきさつはこうです。

 

・お母さんが病気で入院することになった。
・ピーターが歯痛になった。
・お母さんが連れて行くことができないので、お父さんが責任をもって一人で行くことができるか?とたずね、ピーターはひとりで歯医者に行ってみることになった。

 

この、「お母さんが病気で入院することになった」にご注目です。
あとで関わってきます。

 

ピーターは、この一人で歯医者に行く際に、お父さんからおこづかいを支給されています。
原文では1シリング。
石井桃子さんは、「50円」と訳されています。

 

・バス代50円(25円×2)
・お茶代50円(ペットボトル代金のようなものと考えたらよいでしょうか)
・ごほうび50円
・自前のおこづかい25円(自分で何か買うかもしれないと思って持って行きました)

 

まずピーターは往復切符を買い忘れました。
持っているのは片道切符。

 

お父さんは、往復切符を買えば、「バス代は45円ですむはずだ」と言いました。
なので、5円は返さないといけないです。

訳文の方だとなんとなくふわっとしているので、往復切符を買っても買わなくても大丈夫なんじゃないか、どっちでもいいんじゃないかという感じですが、原文では「distinctly」という一言が入っており、5円は返すものとして明確だということになっています。

 

この5円が非常に重要な役割を果たします。

 

 

ピーターはゆうかんに歯の治療を済ませましたが、さておこづかいをどう使うかです。

ピーターの持っているおかね
バス代残り25円+お茶代50円+ごほうび50円+こづかい25円=150円

 

しかし、「バス代残り25円+お父さんに返す5円=30円」は、とっておかねばなりません。
つまり、ピーターが自由に使っていいお金は120円までです。

 

どうしようかと思って、商店街をぶらついていたピーター。

 

そこで、海岸へいく、さいしょの角を曲がりました。それは、古い家がぎっしりならんだ、せまい、すこしうすぐらい通りでした。

 

いまでも歩いている時、 こう言う通りに出会うとドキドキします。
このうすぐらい通りにある、うすぐらい小さな店。

 

うすぐらい、小さな窓からのぞいた中に、ピーターは「それ」を見つけました。

 

二十センチもないほどの、黒っぽい木で出来た小さな船。
両方の船べりにかかった、丸い盾と、船首飾りは金色に塗ったイノシシの首です。

 

「かたほうの目に黒い眼帯をかけた」、お年寄りが出てきて迎えます。

 

この小さな船の値段は、
「いまもっている金ぜんぶと──それから、もうすこし」
でした。

 

ピーターは、持っているお金、150円をすべて出して、その船を買い取ります。
その150円の中には、お父さんに返さなければいけない5円と、帰るためのバス代25円が含まれていました。

 

5円と言えど、お金はお金。

 

注釈によると、「1953年間の岩波少年文庫初版のままにしてあります」とのことです。
思い入れがある本なので、嬉しいですが、今の金銭価値に変換しても別に構わないような気もします。

 

しかしこのたったの5円が、例え5円であろうとも、自分が持っているべき以上のものであったという、この感覚がすごく大事です。

 

このお金のやりとりと、子供の頃の対価のお話がそれはそれは大好きでした。

なので、岩波さんが変えずにこのままにしておいてくれたことを感謝します。

 

 

ピーターはその5円はほかの兄弟たちに借りることにして、とりあえず海伝いに近道を走って帰ることにしました。

 

この不思議な船はよくよく観察して20~22センチほどはあるのに、それより小さいポケットにスルッと入ってしまいます。

 

気になって測ってみました。
岩波の少年文庫は、四六版と呼ばれる128✕188mmのもののようです。

 

この、心もち大きめな岩波のより、さらに 5センチほども大きいとなると、 これはカバンに入るけれど 確かにポケットには入らないでしょう。

こういう冷静な分析を出来るところが、 大人になってから読む醍醐味です。

 

 

新しいおもちゃに夢中になったピーター、海岸を行く時に忘れてはならないことを忘れていました。
満潮です。
潮が満ちてきて、ピーターめがけて押し寄せてきました。

 

妹子「これほんとにトラウマ。こわい」

 

ピーターが絶望して、うちに帰りたいと口走った時、ポケットの中で何かがもぞもぞ動きました。
あの船が魔法のように大きくなってピーターを乗せ、うちまで飛んで帰ってくれたのです。

 

この不思議なシーンはとても静かに言葉なく、描写だけで推移します。
なのでより一層魔法であるという感覚が強いです。
それも静かで強力な、何かとても不思議なことが起きている。

 

そしてそれは正当な対価、少し無理をして払って手に入れたものである、ということです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

The Ship That Flew (English Edition)
Kindle版 英語版 Hilda Lewis (著), Beebliome Books (編集)

The model Viking ship lay in the window of a little old shop in an unfamiliar back street, and Peter, on his way to the dentist, lost his heart to it at once. It cost him all the money in hist pocket, including the fare home. That was how he came to take the way along the beach which led him into grave danger, but also opened his eyes to the magic properties of the little ship in his hand—the ship that flew.

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

砂の妖精
イーディス ネズビット (著), H R ミラー (イラスト), 石井 桃子 (翻訳)

ロンドンから田舎に移り住んだ子どもたち4人。彼らは砂の中に棲んでいるサミアドという不思議な妖精に出会います。その魔法の力で空を飛んだり、巨人になったり…愉快な冒険物語。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

「ナルニア国ものがたり」全7冊セット
C.S.ルイス (著), 瀬田 貞二 (翻訳)

押入れやクローゼットを開けたとき、この向こう側に行ってみたいと、ふと思うことがある人。それは『ナルニア国ものがたり』をかつて夢中になって読んだ人にちがいない。第二次世界大戦中のイギリスの片田舎。ロンドンから疎開してきたピーター、スーザン、エドマンド、ルーシィの4人きょうだいが学者先生のお屋敷を探検するところから、この壮大な物語は始まる。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51Gedzqvo0L._SY217_BO1,204,203,200_.jpg

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ツタンカーメン (全4巻)
山岸凉子(著)

「我は汝を王と成さしめる者なり」。1903年エジプト。封印されたファラオの墓発掘に挑むハワード・カーターはテントの中で枕元に立つ金のサンダルを履いた男から不思議な言葉をかけられた。彼の人生をかけた挑戦が、始まりを告げる。ツタンカーメンの王墓発掘を描く冒険歴史ミステリー。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

飛ぶ教室
エーリヒ ケストナー (著), ヴァルター・トリアー (イラスト), 池田 香代子 (翻訳)

ボクサー志望のマッツ、貧しくも秀才のマルティン、おくびょうなウーリ、詩人ジョニー、クールなゼバスティアーン。個性ゆたかな少年たちそれぞれの悩み、悲しみ、そしてあこがれ。寄宿学校に涙と笑いのクリスマスがやってきます。(「BOOK」データベースより)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

火の鳥と魔法のじゅうたん
イーディス ネズビット (著), H.R.ミラー  (イラスト), 猪熊 葉子 (翻訳)

ロンドンに住む5人の兄妹は子供部屋のじゅたんを焦がしてしまい、新しいじゅうたんを買ってもらったら・・・なかには不死鳥の卵が・・・空飛ぶじゅうたんと不思議な力を持つ不死鳥と数々の冒険をするのですが、願いはかなえられるけど、意外な結果に・・・日常にふとまぎれこんだ「魔法」を楽しく描くネズビットの傑作

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

火の鳥と魔法のじゅうたん
イーディス ネズビット (著), H.R.ミラー  (イラスト), 猪熊 葉子 (翻訳)

ロンドンに住む5人の兄妹は子供部屋のじゅたんを焦がしてしまい、新しいじゅうたんを買ってもらったら・・・なかには不死鳥の卵が・・・空飛ぶじゅうたんと不思議な力を持つ不死鳥と数々の冒険をするのですが、願いはかなえられるけど、意外な結果に・・・日常にふとまぎれこんだ「魔法」を楽しく描くネズビットの傑作

 

 

 

 

【e-hon】 ─ ネットで予約、本屋さんで受け取れる e-hon サービスで本屋さんを応援しよう📚️

 

 

whichbook.hatenablog.com

子どもの本だな【広告】

時の旅人 ドン・キホーテ くまの子ウーフ
土神と狐 ふくろのなかにはなにがある? なぞなぞのすきな女の子
秘密の花園 少女ポリアンナ 美女と野獣

 

 

大人が読む児童書「とぶ船」1 児童書は世界へのとびら

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

とぶ船
ヒルダ・ルイス (著), ノーラ・ラヴリン (イラスト), 石井 桃子 (翻訳)

ピーターがある日、うす暗い小さな店で手に入れた古い小船は、なんと魔法の「とぶ船」でした。ピーターたち4人きょうだいはこの船で、エジプトやウィリアム征服王時代のイギリス、北欧神話の世界にまで冒険旅行をします。

 

 

子ども時代に大・大・大好きだった、思い入れのある児童書です。

 

一時期絶版になっていて絶望していたのですが、岩波さんが復刊してくれてその時は本当に嬉しかったです。
上・下巻ある大長編ですが、妹子も、兄助も大好きです。

 

イギリスは本当にすばらしい物語の宝庫です。

 

長かったヴィクトリア朝時代。
産業革命によって爆発的に発展したイギリスは、(世界に国々にとって)功罪はあれど、黄金期を迎え、私たちを夢中にさせた王道児童文学の傑作もこの時期に醸成され、数々生み出されています。

 

 

岩波さんの添え書きによると作者のヒルダ・ルイス(1896年~1974)。
ロンドンに生まれノッティンガムに暮らし、大人向けの歴史小説を書きました。
ひとり息子のハンフリのために書いたのだとのこと。

 

「タイムファンタジーの傑作」
ほんとうにそうです。傑作です。

 

ヒルダ・ルイスは、ヴィクトリア朝末期に生まれていますから、もうほぼ次世代の方なのですが、これを読んでいると明らかにイギリスの王道児童文学の形式を踏襲しています。

 

その形式とは何かというと出てくる子供たちが4人。
4人の兄弟姉妹なのです。

 

 

砂の妖精をはじめとするイーディス・ネズビット。1858年から1924年
アーサーランサムは1884年から1967年。
ナルニア国のC・S・ルイスは1898年から1963年。

 

これらはみな主人公が4人の兄弟姉妹です。

 

これは研究したわけでもなんでもない私の想像なので話半分に聞いていただきたいのですが、4人というのは子どもたちのどの立場にあってもどこかにはまってくる子がいるはずです。

 

兄であり姉であり弟であり妹である。
世話焼きタイプであり空想家であり、やんちゃであり、困らせや。

 

つまりどんな子供が読んでも、そのうちの誰かに自分をおいて楽しむことができるという子供に対する心、児童文学を書こうという、子どもに読んでもらおうという、はっきりとした目的を感じます。

 

 

「とぶ船」は、明らかに「ネズビット風」ではあり、不思議なグッズを手に入れた4人の子供たちが、およそ1話完結であちこちを旅をしてしっちゃかめっちゃかの騒動を巻き起こす、というその大筋の骨組みは、ネズビット作品群とほぼ同じです。

 

しかしやはりこの本が私にとって特別であるというのは、その1つ1つの旅先が実に多彩で、歴史的な考証にちゃんと彩られてリアルであることです。

本当に自分がその時代に行ったような気分になれます。

 

とぶ船が好きすぎて、図書館から10回も20回も借りてきたのですが、でもなぜか買ってはもらえませんでした。
大人になってから自分で買い求め、ついでに英語版も買いました。

 

ある時は北欧神話にすっかり魅せられて、そうだ確かうちに北欧神話の本があったはず(赤本の児童文学全集)と思って、詳しく読みふけりました。

 

エジプト、北欧神話の世界、古代のイギリスに興味を持ったのはこの本がきっかけでした。

 

「児童書は世界へのとびらである」という、典型例のような作品です。

 

 

この本、上下2冊なのですが、開いて見ると分かりますが文字がそんなにぎゅっと詰まっていません。
上巻下巻ともに、どちらも八章ずつあり、合計16章です。

 

「トムは真夜中の庭で」が、文字がぎゅうぎゅうに詰まっており、ページ数も多くて一巻で27章あったのに比べると、ずいぶん違います。

 

でも、「トムは真夜中の庭で」は、1巻で完結していたからいいのであって、あれは巻を変えるということはありえません。
切れ目なく1つの物語として完結しているイメージです。

 

「とぶ船」ならそのおもしろさに、上巻を読んで下巻を読まないという選択肢はないので、そこはやっぱりこのもとの物語が持つ力に対する信頼のようなものを感じます。
出版社さんの絶妙な判断です。

 

ここに出てくる4人兄弟は、
ピーター、シーラ、ハンフリ、サンディ・グラント。

 

どちらかと言うと兄弟たちそのものよりはこの話のキーになる「魔法の船」そのものがあまりにも強烈で、どこに行ったか、何をしたかの方がずっと強く心に残っています。

 

 

どちらかというと、この本の紹介は、あらすじよりも「どこへ行ったか」を中心に伝えていきたいと思ったので、最初に並べてみます。

 

・おかあさんの病院
・現代エジプトのバザール
北欧神話アースガルド
ノルマン・コンクエスト時代の中世イギリス
・エジプトの発掘現場
古代エジプト
ロビン・フッド

 

そんなにエジプトにばかり行ってたかな!?

こうして書き並べてみると、ずいぶんエジプトに特化していました。
世界の色んな所に行ってると思ったのですが、主にエジプトと昔のイギリスだった。

 

何となく気になったので調べてみます。

 

1922年、ハワード・カーター、ツタンカーメン王の墓を発掘。
1939年、「とぶ船」出版
1953年、石井桃子、「とぶ船」翻訳、出版

 

と、こういうことでした!

 

やっぱり、考古学の先生とのシーンは、すごくハワード・カーターっぽいなと前から思っていたのです。
そして、ちょうどこの頃、わたしはハワード・カーターにもハマっていましたっけ。

 

山岸凉子さんが、最近、電子書籍解禁しましたが、その中にツタンカーメンがあります。
これは、ツタンカーメンのお話ではなくて、ハワード・カーターのお話なので、連載されたときとても嬉しかったです。
ツタンカーメン (全4巻)
山岸凉子(著)

ハワード・カーターが大好きです。
ちょっと真面目で好青年の、融通のきかない誠実でスマートな、山岸凉子版ハワード・カーターがすごくすごくかっこいいです。

 

ツタンカーメンの発見は世紀の大発見でしたから、ヒルダ・ルイス女史もこのときめきを、興奮を、子どもたちと分かち合いたい!と思ったのかもしれません。

 

何となく、おとなになって読み返してから、こんな所で、自分のハワード・カーター萌え(萌えって言うな)を、とぶ船のヒルダ・ルイス、山岸凉子といった世代の女性と同じところに発見したような気がして、いま、勝手にとても感動しています。

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

The Ship That Flew (English Edition)
Kindle版 英語版 Hilda Lewis (著), Beebliome Books (編集)

The model Viking ship lay in the window of a little old shop in an unfamiliar back street, and Peter, on his way to the dentist, lost his heart to it at once. It cost him all the money in hist pocket, including the fare home. That was how he came to take the way along the beach which led him into grave danger, but also opened his eyes to the magic properties of the little ship in his hand—the ship that flew.

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

砂の妖精
イーディス ネズビット (著), H R ミラー (イラスト), 石井 桃子 (翻訳)

ロンドンから田舎に移り住んだ子どもたち4人。彼らは砂の中に棲んでいるサミアドという不思議な妖精に出会います。その魔法の力で空を飛んだり、巨人になったり…愉快な冒険物語。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ライオンと魔女―ナルニア国ものがたり〈1〉
C.S.ルイス (著), ポーリン・ベインズ (イラスト), 瀬田 貞二 (翻訳)

地方の古い屋敷にやってきた4人きょうだいが、ある日大きな衣裳だんすに入ると、そこは雪の降りつもる別世界、ナルニア国だった。ナルニア国ものがたりシリーズ第1作。1985年刊の新版。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ツバメ号とアマゾン号
アーサー・ランサム (著), 神宮 輝夫 (翻訳)

夏休み、ウォーカー家の4人きょうだいは、小さな帆船「ツバメ号」に乗って、子どもたちだけで、無人島ですごします。湖を探検したり、アマゾン海賊を名乗るナンシイとペギイの姉妹からの挑戦をうけたり、わくわくするできごとがいっぱい!

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

火の鳥と魔法のじゅうたん
イーディス ネズビット (著), H.R.ミラー  (イラスト), 猪熊 葉子 (翻訳)

ロンドンに住む5人の兄妹は子供部屋のじゅたんを焦がしてしまい、新しいじゅうたんを買ってもらったら・・・なかには不死鳥の卵が・・・空飛ぶじゅうたんと不思議な力を持つ不死鳥と数々の冒険をするのですが、願いはかなえられるけど、意外な結果に・・・日常にふとまぎれこんだ「魔法」を楽しく描くネズビットの傑作

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

「ナルニア国ものがたり」全7冊セット
C.S.ルイス (著), 瀬田 貞二 (翻訳)

押入れやクローゼットを開けたとき、この向こう側に行ってみたいと、ふと思うことがある人。それは『ナルニア国ものがたり』をかつて夢中になって読んだ人にちがいない。第二次世界大戦中のイギリスの片田舎。ロンドンから疎開してきたピーター、スーザン、エドマンド、ルーシィの4人きょうだいが学者先生のお屋敷を探検するところから、この壮大な物語は始まる。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51Gedzqvo0L._SY217_BO1,204,203,200_.jpg

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ツタンカーメン (全4巻)
山岸凉子(著)

「我は汝を王と成さしめる者なり」。1903年エジプト。封印されたファラオの墓発掘に挑むハワード・カーターはテントの中で枕元に立つ金のサンダルを履いた男から不思議な言葉をかけられた。彼の人生をかけた挑戦が、始まりを告げる。ツタンカーメンの王墓発掘を描く冒険歴史ミステリー。

 

 

 

 

【e-hon】 ─ ネットで予約、本屋さんで受け取れる e-hon サービスで本屋さんを応援しよう📚️

 

 

whichbook.hatenablog.com

子どもの本だな【広告】

学校では教えてくれない大切なこと 3 お金のこと 火曜日のごちそうはヒキガエル あばれはっちゃく ‐ワンぱく編
ガリヴァー旅行記 マリールイズいえでする シートン動物記セット
幻想の挿絵画家 カイ・ニールセン 赤いろうそくと人魚 小さな小さな魔女ピッキ

 

 

今日の一冊「こうさぎのクリスマス」 相手に見せない思いやり。うさぎの兄妹のクリスマスにふさわしいお話

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

こうさぎのクリスマス
松野正子 (著), 荻 太郎 (イラスト)

両親がキツネに追われたまま帰ってこないので、兄ウサギのラビーと妹ウサギのルビーは、二人だけで暮らしていました。森で薪をひろいながら、他の家にはどこもクリスマスツリーが飾ってあるのを見て、ラビーはルビーに「うちにはサンタクロースなんかこないよ」といいます。でも二人はそっとお互いのためにクリスマスの贈り物を……。心にしみいるお話が柔らかなタッチで描かれます。(福音館書店サイト

 

クリスマス前にかわいいお話を紹介しようと思って、「こうさぎのクリスマス」を引っ張り出して来たら、残念ながら今は古本でしか出回っていないようです。


こどものとものうさぎが出てきてクリスマスが出るというこの3点をクリアするなら、思い出すのは、佐々木たづさんの「子うさぎましろのお話」です。

 

いちど記事に書きました。

whichbook.hatenablog.com

 


こうさぎましろ」の方は若干、宗教色が強いですが、こちらの「こうさぎのクリスマス」に関しては、これは、お兄ちゃんうさぎと妹うさぎの、それはそれは可愛らしい兄妹愛のお話です。


そして若干、「賢者の贈り物」っぽい感じのお話でもあります。

 

つまりお互いに内緒でプレゼントを贈り合います。

 

絵本(というか本全般)には、
「先にそれを言っちゃったら面白くない」
という本と、
「たとえそれを知ったからといって、たのしみが減じるわけではない」
という本と、二種類あると思っていますが、この本は後者です。

 

 

お兄ちゃんうさぎの名前はラビー。
妹うさぎはルビーです。

 

もうすぐクリスマスが来るという時期に、2ひきは森に薪を取りに行きました。

 

ご近所(くま、りす、のねずみなどです)のおうちには、どこにもすでにクリスマスツリーが飾られていて、ごちそうを作るいい匂いが漂っています。

 

実はこの兄妹、子どもどうし、たった2匹で暮らしています。
お父さんとお母さんがきつねに追いかけられて、行方不明になってしまっているのです。

 

いわば、みなしごの二人……。

 

 

それでもルビーは、無邪気にサンタクロースの贈り物の話をします。

しかし現実的になっているお兄ちゃん、冷たいです。

「うちにはサンタクロースなんて来ない。お母さんもお父さんも帰ってこない。うちにはクリスマスツリーだって飾ってないし、サンタクロースだって気づかない」

頭ごなしに否定します。

 

このお兄ちゃんと妹のやり取りがいかにもありそうで、しっかりしなきゃと思い、気を張っている頑張り屋のお兄ちゃんと、まだまだ子供で無邪気な妹の対比がとても良いです。

 

 

妹ちゃん、夜にベッドの中で、一生懸命考えます。

 

(割と大きな一軒家のおうちで、子うさぎたちはそれぞれ自分の部屋を持ってますので、あこがれてました)

 

自分はいい子にしてるし、サンタクロースはいい子のところに来るんだから絶対に来る!

でもその後にちょっと思いつきました。

兄さんは、サンタが来ないなんて言ったから、サンタも怒って兄さんの所には来てくれないかもしれない。それはかわいそうだなあ。

 

お兄ちゃんも、ベッドの中で一生懸命考えます。
冷たい言い方をしてしまったことを後悔しています。

あんなに楽しみにしてるのに、クリスマスに贈り物がなかったら、いもうとがかわいそうだなあ。

 

2匹とも「そうだ!そうしよう。そうすればいい。」

何かいいことを思いついて、2匹とも眠りにつきます。

 

お兄ちゃんはサンタを…(もにょもにょ…自粛により削除…)…なのですが、妹は自分の所には必ずくる!と信じてるのがとてもかわいいです。

 

 

2匹は森で薪を拾うとき、お互いがお互いに知られないように、何かをこっそりとポケットに入れています。

 

ここを読んだおかげで私、どんぐりや松かさはともかく、やたらと「かわいたコケとくさ」などを家に持って帰るようになってしまって、よく怒られました。

 

 

いもうとのルビーが作ったのは、乾いたコケと草を詰めたクッション。
ハンカチを二枚、縫い合わせてつくるのです。
針で指をさしながらも、知られないように静かに頑張ります。

 

お兄ちゃんのラビーが作ったのは、どんぐりと松かさで作ったお人形。
とんかちで指をたたきながらも、知られないように頑張ります。

 

 

ずいぶん夜が更けてからお互いがお互いのお部屋のドアに何かをそっとぶら下げます。
この時、自分のドアは開いているので、何かがぶら下がっているのは見えません。

うまい!

 

この絵本全体が、クレヨン書きのような(ような、というかクレヨン?)絵で、とても優しい色合いです。

 

うさぎの顔も結構うさぎっぽくて、ピーターラビットほどリアルではなく、服を着て可愛い兄妹です。

お互いを思いやる気持ちが暖かいです。

 

 

クリスマスの日、二匹ともびっくりしながら喜ぶのですが、このとき、サンタは来ないと信じてるお兄ちゃんがいったい何をどう解釈するのか……なんて考える暇もなく、ドアが開いて、お父さんとお母さんが帰ってきました!

 

絶妙のタイミング。

お兄ちゃんだって、これはお父さんとお母さんだったんだと思えば思えるし、いもうとはサンタがくれたんだと思えば思えるし、このいい子たちへ、お父さんとお母さんこそ、サンタのプレゼント!と考えることもできるし、最高です。

 

抱きつくこうさぎたちの、顔の可愛らしいこと。

 

最後のページでお母さんのお膝の上で甘えながらお人形で遊ぶ妹と、お父さんといっしょに薪をくべながらクッションに座っているお兄ちゃん。

 

最後のページも見開きで、真っ白なクリスマスの美しい情景です。

 

 

「子うさぎましろのお話」も大事にしている本なのですが、宗教色がなくても、クリスマスの喜びと、相手に知られないように行う思いやりの尊さを、さりげなく描いていて、大好きな作品です。

 

 

せっかくなので賢者のおくりもの英語テキストと音声ファイル無料で読んだり聞いたりすることができますので、ご紹介しておきます。
(いずれも、グーテンベルクのリンクです)


O・ヘンリー「賢者の贈り物」原文

O・ヘンリー「賢者の贈り物」 音声ファイル

 

 

「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492

 

プロジェクト・グーテンベルクについて
Wikiの説明ページ

プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

子うさぎましろのお話
佐々木 たづ (著), 三好 碩也 (イラスト)

サンタクロースからもらったおかしを食べてしまった子うさぎのましろは、またほしくなってもらいにいくのですが……。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

賢者の贈り物(新装版) (講談社青い鳥文庫)
オー・ヘンリー (著), そらめ (著), 飯島 淳秀 (翻訳)

いちばん賢くないかたちでプレゼントを選んでしまった2人の幸せを描く「賢者の贈り物」。ツタの最後の一葉が落ちたら、自分は死ぬんだと信じてしまった若い女性に起こった奇跡の物語、「最後の一葉」……。100年もの間、世界中で読まれてきたO・ヘンリーの作品から、えりすぐりの10編を収録。くすっと笑って本を閉じ、また読み返したくなる、そんな宝物のような短編集です。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

新訳 賢者の贈り物・最後のひと葉 (角川つばさ文庫)
オー・ヘンリー (原著), 越前 敏弥 (翻訳), 武富 博子 (翻訳), 田中 亜希子 (翻訳), 宮坂 宏美 (翻訳), 吉澤 康子 (翻訳), 椎名 優 (イラスト)

小学生のうちに読みたい、短編の名手、O・ヘンリーの傑作集!100年もの間世界中で読みつがれてきた、短編の名手O・ヘンリーの名作集。国語の教科書にも採用された「賢者の贈りもの」「最後の一葉」を表題とし、「警官と聖歌」など、よりすぐりの10編を収録。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

オー・ヘンリー傑作集 1 賢者の贈り物
オー・ヘンリー (著), 越前 敏弥 (翻訳)

1900年代初頭のニューヨークに生きる人々の姿を描いた、珠玉の短編集!1ドル87セント。クリスマスを翌日に控え、若妻デラが夫へのプレゼントに費やせるのは、たったそれだけだった。しかし、愛する夫にどうしても世界一の贈り物をしたい。デラは唯一の自慢である髪を売る決心をするが……(「賢者の贈り物」より)。世界中でもっとも愛読されているこの一編をはじめ、「警官と讃美歌」「金のかかる恋人」「春の献立表」など、短編の名手オー・ヘンリーが、1900年代初頭のニューヨークに暮らす庶民の姿を独特のユーモアとペーソスを交えて描きだした短編16話を収録。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

1ドルの価値/賢者の贈り物 他21編
O・ヘンリー (著), 芹澤 恵 (翻訳)

めまぐるしいオフィス風景をユーモラスに描く「多忙な株式仲買人のロマンス」、若く貧しい芸術家たちの姿を描いた「最後の一葉」、表題作の「1ドルの価値」。O・ヘンリーはアメリカの原風景とも呼べるかつての南部から、開拓期の荒々しさが残る西部、大都会ニューヨークなど、さまざまに舞台を移しながら多彩な作品を生み出した。世界各国で読み継がれる代表作のほか、知られざる作品も新訳で登場。心に染み入る珠玉の23編。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

The Gift of the Magi (English Edition)
英語版 O. Henry (著)

The classic holiday tale of love, devotion, and the art of giving—written by one of the world's best-known short-story authors—will delight those both new to and familiar with this timeless narrative.

 

 

【e-hon】 ─ ネットで予約、本屋さんで受け取れる e-hon サービスで本屋さんを応援しよう📚️

 

whichbook.hatenablog.com

 

子どもの本だな【広告】

新版 宿題ひきうけ株式会社 どんなにきみがすきだかあててごらん それいけズッコケ三人組
歩きだす夏 源義経 平氏追討の戦い 長くつしたのピッピ
おれがあいつであいつがおれで エルマーとりゅう チムひょうりゅうする

 

にほんブログ村 本ブログ 絵本・児童書へ
にほんブログ村


児童文学ランキング

 

今日の一冊「としょかんライオン」 来てほしい、図書館へ。そんな心のこもった一冊

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

としょかんライオン
ミシェル ヌードセン (著), ケビン ホークス (イラスト), 福本 友美子 (翻訳)

■図書館というところは決まりを守りさえすれば誰でも入れるところです。・・・例えそれがライオンでも?そんな事ってあるのでしょうか。■いつも静かな図書館に、大きなライオンがやってきて、みんな大あわて。でもお行儀のいいライオンは、すぐにみんなと仲良しに。ところがある日、ライオンはある事件を起こしてしまって…。もちろん決まりは守らなくてはいけないけれど、時には特別なことだってあるんだよ、と静かに語りかけてくれます。2回目にお話を読むときは、カバーをはずして、表紙の裏の絵から読んでみてください。裏表紙のところまで物語が続いています。

 

 

読み聞かせの人たちに大人気の絵本です。
子供達に人気というより、読み聞かせの人に人気のような気がします。

 

でも確かにこれはちょっと、子供たちに聞いてほしいし、読んで聞かせたいなと思う本です。

 

この本を読んで、図書館に興味を持ってほしい。
足を踏み入れてほしいなあという気持ちです。

 

そういう気持ちがそのまま表れたのが、このとしょかんライオンという本です。

「静かにしていなければならないんでしょ?」と身構えないで、開かれた場所へいつでもどうぞという気持ちです。

 

 

表紙の裏、カラー見開きで、頭を上げて道をずんずん歩いているライオンが描かれています。
(本の説明の引用にも書かれています)

 

「としょかんライオン」と銘打った中扉では、ライオンの石像があるアメリカの(多分NYですね。作者がニューヨーク在住の作家と書いてます)図書館であろうと思われます。

 

図書館の石像のライオンを眺めているうちに、
「このライオンが動き出して、図書館の中に入ってきたらどうなるだろう…?」
という空想のもとに描かれた本であるような気がします。

 

 

まあとりあえず、ライオンはずんずん中に唐突に入ってきます。
唐突です。いきなりです。

 

あるひ、としょかんに ライオンが はいってきました。
かしだしカウンターのよこをとおり、ずんずんあるいていきます。

 

図書館員のマクビーさんは、慌てて「としょかんちょう」(年配の女性です)の所に行って報告するのですが、このメリーウェザーかんちょうは、慌てず騒がず、走ってはいけないとか注意したあとで

 

「で、そのライオンは としょかんのきまりを まもらないんですか?」

と聞きます。

 

ライオンであるかどうかよりも、規則を守っているかどうかの方が優先される図書館。

別に決まりを破っているわけではないので追い出す理由もないというわけです。

 

 

まるで初めて入ってきた何もわからない子供のように、ライオンはあれこれと物色した挙句、絵本のスペースで気持ち良さそうに寝てしまいました。

 

絵本のスペースなのでよみきかせのお話の時間が始まります。
ライオンも一緒に聞いています。

 

読み聞かせでこの「としょかんライオン」を読んでいると、聞いてくれている子供たちがライオンと同一化する状態となるわけです。

 

読み聞かせは面白かったらしく、終わりだとわかるとライオンくん、大きな大きな声でほえ始めました。
終わったのが不満だったのだろうか。
言葉はしゃべらないのでわかりません。

 

出たよメリーウェザーさん。

 

すごい威厳で、ライオンも小さくなっちゃってます。

 

決まり優先。決まりが全て。
ライオンかどうかは関係ない。

 

しずかにできないのなら としょかんから でていってていただきます。

 

 

ライオンは次の日もやってきました。

それからというものライオンは毎日図書館にやってきて、尻尾をダスター代わりに使ったり、背中に子供たちを乗せて高いところの本が届くようにしてやったり、良くお手伝いをして人気者になりました。

 

しかしある日、ライオンの目の前で、メリーウェザーさんが本を取ろうとして背伸びをした時。腰掛から落っこちて骨を折ってしまいます。

 

ライオンは決まりを破って走りに走り、おそろしいほどの大声で叫んで人に知らせました。

 

 

次の日からライオンは図書館に姿を見せなくなってしまいました。

 

みんな物足りなくて何かを気にしています。
メリーウェザーさんもさみしそうです。

 

どうやらライオンくん、決まりを破ったのでもうここに来る資格はないと考えたらしいのでした。

 

 

最後は大円団という感じで、とても可愛いハートフルな物語です。

 

そして読み聞かせボランティアの皆さんは、これを読み終えたあとで
「図書館に来ない?図書館っていいことがあるよ?図書館に行こうね?」
という感じで皆さん一生懸命、子供達を釣ろうとしています。

 

もちろん私も同じです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

世々と海くんの図書館デート  
恋するきつねは、さくらのバレエシューズをはいて、
絵本をめくるのです。 (講談社青い鳥文庫)
野村 美月 (著), U35 (著)

世々はきつねの女の子。大好きなお姉さん3人と、森の中で暮らしています。そんな世々は毎日、セーラー服を着た女の子に変身し、図書館に行きます。世々が一目ぼれした男の子海くんに、会いにいくためです。今日もいつものように、絵本の端から海くんをちらちら見ていたら、突然海くんがそばにやってきて、折りたたんだ紙を世々に差し出し……!?

 

 

【e-hon】 ─ ネットで予約、本屋さんで受け取れる e-hon サービスで本屋さんを応援しよう📚️

 

whichbook.hatenablog.com

 

子どもの本だな【広告】

新訳 飛ぶ教室 アクビちゃんゆめであそびましょ! 三びきのこねこ
大造じいさんとガン 鉢かつぎ姫 しんせつなともだち
カッレくんの冒険 モチモチの木 朝びらき丸東の海へ

 

 

大人が読む児童書「トムは真夜中の庭で」読了 4 時空を超えて

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

トムは真夜中の庭で
フィリパ・ピアス (著), スーザン・アインツィヒ (イラスト), 高杉 一郎 (翻訳)

知り合いの家にあずけられて,友だちもなく退屈しきっていたトムは,真夜中に古時計が13も時を打つのをきき,昼間はなかったはずの庭園に誘い出されて,ヴィクトリア時代のふしぎな少女ハティと友だちになります.「時間」という抽象的な問題と取り組みながら,理屈っぽさを全く感じさせない,カーネギー賞受賞の傑作です.

 

 

大人が読む児童書「トムは真夜中の庭で」 1 名作児童文学の中に必ず名前が上がる、名作中の名作

2 もしかして、コロナの時代に最高にマッチした作品

3 真夜中に13回、大時計が鐘を打つとき。夜の世界の不思議

 

 

「薄くなって消えて行ってしまったメイドさん
読んでいる誰もが、幽霊だああああー!!
……と思うところなのですが、これが明確にいったい何であるのかは、明かされないままに話はすすみます。

 

それに、メイドさんが幽霊であるのならば、大広間、庭まで変化していることに説明がつきません。

 

トムは、この「メイドさんの幽霊!?」の出現よりも、もっと
庭がある!!=遊べそうな所がこんな身近にある!!
ということの方がはるかに気になっている様子。

 

どう考えても、おじさんたちが自分を遊ばせないために隠してたんだと思い込んでいます。

 

 

朝になったトム、おじさんとおばさんに
「知っちゃってんだよね~~ぼく。アレのこと。アレだよ、アレ」
という感じで、あの手この手でひっかけて、庭のことを何とか聞き出そうとします。

 

子どもなので、次々に考えつくへたな誘導です。
さっぱりわからないおじさんたちのとんちんかんな答え。
このやりとりはかなり笑えます。

 

しかし結局、おじさんなんて特にわからんちんなので、結局怒り出す始末!
「わけのわからない会話」というのが苦手なようなのです。
ホントにさあ、こいつ何なの!
遊び心とか、想像力などということばとは無縁な人のようです。

 

そこまでならまだ、おじさんがアホということで終わるのですが、トムはおばさんと会話をするうちに、重大なことを聞いてしまいました。

 

今の時期、どこにもヒヤシンスは咲いていない。

 

では、あの庭に咲き乱れていたヒヤシンスはいったい……?

 

 

トムにとっては、あの不思議なメイドさんより何よりも、
「あれは夢だったのか?」
と考える方がずっと、からだが冷えるようなショックです。

 

トムは、裏口の扉にかけつけます。
ですが、そこに見たのは無情な風景。

 

コンクリートで舗装されたゴミ置場!
新聞紙がぐるぐるまわって風に飛ばされるという、すばらしいテンプレの効果つきです。

 

呆然とするトムですが、そのとき、大家のバーソロミューおばあさんがゆっくりと現れました。
年を取っているので緩慢にですが、しっかりゆっくりと時計のねじをまいていきます。
このねじを巻いて行く動作の描写が非常に細かくて美しく、それもそのはず、意味があるのです。

 

この大時計は、ただ13回という時を打って、トムと私たちをお話に引き入れるだけの小道具なのではなくて、ひとつの大きなキーであり、一つのキャラクターとも言える重要な役割を果たしています。

 

 

大時計のねじがゆっくりとまかれたことで、ショックだったトムも少し落ち着いて考える余裕が出てきました。

 

ここで、わりとさらっと書いているのですが、重要なところがいくつも出てきます。

 

・トムは時計を詳細に調べました。あとで重要なフラグとなる、いくつもの発見がありました。

 

・トムは弟のピーターに、すべてを書き送りました。これもあとでとても重要になってきます。
トムが書いたことが、知っていたこと、知らなかったことが、つくりごとではないことおは、弟のピーターが知っているのです。
(ピーターはこのお話を読んでいる人たちと同じように、どんどんこの不思議な出来事に引き込まれていきます)

 

・ふたたび大時計が13回を打ったとき、トムはまた大広間に降りて行きます。

 

・何と、このとき、アランおじさんも13回の鐘を知っていたことが描かれています。
「ありもしない時を打ちやがって!バーソロミューおばあさんの目もさましてやればいいのに」
ばかなおとなは、わからないのです!

 

・おばあさんは、目をさますどころか、やすらかな夢を見ています。

 

 

こんな風にして、冒頭から、次第に不思議な出来事に引き込まれ、トムと一緒に読み手は「真夜中の庭」にさまよい出て行くことになります。

 

27章あるうちの、ここまでが4章。

 

5章「露のなかの足あと」の冒頭がそれはそれは美しいです。

 

妹子「ああ、そことてもきれいだよね」
わたし「あなた読んだの?」
妹子「途中まで。おじさんたちがマジさいていだったわ。トムがひたすら気の毒。ほんとにかわいそうね」
わたし「ハティには会った?女の子」
妹子「いやまだ。そこまで読んでない」

 

とすると、妹子は
ここからはじまるよ!
というところで、止まっているのだな。

 

ですがまあ、人にはそれぞれペースがあることなので、言わないようにしておこうと思います。

 

 

と、ここまで冒頭を詳細に紹介してきましたが、このお話はまさに
ここからはじまるよ!です。

 

ここまで丁寧に描かれてきたことにも、もちろん意味があります。
この本のすべてが、美しい物語です。

さらに、「不思議」というだけではすみません。
閉塞に苦しんだ子どもの夢と言うには、説明がつかない不思議な出来事がいくつもでてきます。

 

例えば実際に入れておいたスケートが時空を超えて床下から発見されたり、木に彫った猫と帽子のマークが木に刻まれていたりなどです。

 

これは、夢を越えて本当にあったことなのです。

 

とても美しい、その5章の冒頭を引用してみようと思います。

 

夜とひるとのあいだには、自然が眠っている時間がある。その時間を見ることができるのは、早おきの人たちか、夜どおし旅をつづける人たちだけだ。夜汽車で旅する人が、じぶんの車室のブラインドをあげて、そとを眺めていると、シーンとしずまりかえった風景があとへあとへと流れさっていくのを見るだろう。木々も茂みも草もみな眠りにつつまれ、息をとめて微動さえせずに立っている。そのときの自然は、眠りにつつまれているのだ。ちょうど、旅人がゆうべ寝るまえに、じぶんのからだを外套やひざかけ毛布でつつんだように。

 

おとな、子どもの区別なく、この文章に流れる詩の心を感じることができるはず。

 

ここからはじまるトムの物語を、共にすることができた人は幸せです。

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

まぼろしの小さい犬
フィリパ ピアス (著), 猪熊 葉子 (翻訳)

ロンドンに暮らすベンの夢は犬を飼うこと.誕生日に,約束していた犬のかわりに刺繍の犬の絵をもらって失望したベンは,想像の犬を飼いはじめる.やがて引っ越しを機に念願の犬を手に入れるが,それは想像の犬とあまりにも違っていた…….少年の心の渇望と,葛藤を乗りこえる姿をくっきりと写した傑作.[解説・小川洋子]

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

真夜中のパーティー
フィリパ・ピアス (著), 猪熊 葉子 (翻訳)

子どもの日常生活におきる,小さいけれど忘れがたい不思議なできごとの数々.『トムは真夜中の庭で』の作者による,夢と現実の世界を行き来する印象的な短篇8編をおさめる.

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ハヤ号セイ川をいく (講談社青い鳥文庫)
フィリパ=ピアス (著), エドワード・アーディゾーニ (イラスト), 足沢 良子 (翻訳)

セイ川を流れてきたカヌーを見つけたデビットは、その持ち主のアダムと友だちになり、カヌーにハヤ号と名まえをつけた。2人は、アダムの家に伝わるなぞの詩から、かくされた宝を探し出そうとする。――カヌーで結ばれた2人の少年の、夏休みのすばらしい冒険と友情をえがいたイギリス児童文学の名作。カーネギー賞受賞作家、フィリパ・ピアスのデビュー作をエドワード・アーディゾーニの絵で。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

思い出のマーニー
ジョーン ロビンソン (著), ペギー・フォートナム (イラスト), 松野 正子 (翻訳)

養い親のもとを離れ、転地のため海辺の村の老夫婦にあずけられた少女アンナ。孤独なアンナは、同い年の不思議な少女マーニーと友だちになり、毎日二人で遊びます。ところが、村人はだれもマーニーのことを知らないのでした。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

新訳 思い出のマーニー
ジョーン・G・ロビンソン (著), 越前 敏弥 (その他), ないとう ふみこ (その他)

アンナは海辺でマーニーという不思議な女の子に出会う。仲良しなのは二人の秘密。けれど嵐の日マーニーが消えてしまい……。愛と友情、成長を描く感動の物語。越前敏弥、ないとうふみこによる新訳で登場!

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ドリトル先生ものがたり 全13冊セット 美装ケース入り
ヒュー ロフティング (著), 井伏 鱒二 (翻訳)

大人気シリーズ、ドリトル先生の少年文庫版・全13冊セット。世界一の名医ドリトル先生が主人公の、ベスト&ロングセラーです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ドリトル先生ものがたり 全13冊セット 美装ケース入り
ヒュー ロフティング (著), 井伏 鱒二 (翻訳)

大人気シリーズ、ドリトル先生の少年文庫版・全13冊セット。世界一の名医ドリトル先生が主人公の、ベスト&ロングセラーです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【e-hon】 ─ ネットで予約、本屋さんで受け取れる e-hon サービスで本屋さんを応援しよう📚️

 

whichbook.hatenablog.com

 

子どもの本だな【広告】

オズのまほうつかい あおくんときいろちゃん 新編 世界むかし話集(3)北欧・バルト編
太陽の東 月の西 三銃士 とっときのとっかえっこ
いちごばたけの ちいさなおばあさん 100万回生きたねこ 白いりゅう黒いりゅう

 

 

大人が読む児童書「トムは真夜中の庭で」 3 真夜中に13回、大時計が鐘を打つとき。夜の世界の不思議

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

トムは真夜中の庭で
フィリパ・ピアス (著), スーザン・アインツィヒ (イラスト), 高杉 一郎 (翻訳)

知り合いの家にあずけられて,友だちもなく退屈しきっていたトムは,真夜中に古時計が13も時を打つのをきき,昼間はなかったはずの庭園に誘い出されて,ヴィクトリア時代のふしぎな少女ハティと友だちになります.「時間」という抽象的な問題と取り組みながら,理屈っぽさを全く感じさせない,カーネギー賞受賞の傑作です.

 

 

大人が読む児童書「トムは真夜中の庭で」 1 名作児童文学の中に必ず名前が上がる、名作中の名作

2 もしかして、コロナの時代に最高にマッチした作品

 

 

大時計が13時を打つ。

 

これ、最近、何かほかの本でもあったような気がします。
そうだ!トンデモネズミだ!
ポール・ギャリコです。

これも、やっぱり時計が13回打ったとき、トンデモネズミはいのちが宿って動き出したのでした。

 

考えてみれば、12時=0時というのも不思議です。
ゼロ時間とは何でしょうか?
12=0という式は成り立ちません。

 

でも確かにそこにある、不思議なすきまに、ありえない1時間が忍び込んできました。

何か不思議なことが起きる予感がします。

 

 

「あなたにとってファンタジーというものは何ですか」
という質問に回答したことがありました。

そのとき、「苦しみだけが開ける扉」と書いたことがあります。

その頃は説明ができず、分かってもらなかったけれど、ファンタージエンの世界に行くには、そして命の水を持って無事に戻ってくるには、何か資格のようなものがある。

 

それは、その苦しんでいる理由を打ち明けたとき、誰かと比べられて、「もっとつらい人がいる。相対的に見たら大したことがない」とか、「こういう解決法があるのだから、そうすればいい」とか、何の役にも立たない薄っぺらい言葉では到底どうにもならない、本人にとっては耐え難い苦痛であるということです。

 

どうしようもない苦しみを耐えている。
そういう時に訪れる、この世のものではない扉──。

 

大時計は、鐘を13回鳴らすことで、その扉が開かれたことを教えてくれます。

 

 

長々と、この気の毒なトムの境遇、地獄のような時間について説明してきたわけですが、これがとても重要なのでそこを分かってもらわないと次の展開に行けませんでした。

 

「こんなつまらないところにほうりこまれたのは、これがはじめてだ」とトムはピーターあての手紙をくらやみの中で考えていった。「ピーター、ぼくはここから出ていくためだったら--どこでもいい、ここよりほかのどこかへいくためだったら、どんなことでもするよ。」トムは、自由になりたいというじぶんのあこがれが胸のなかでふくれあがり、部屋のなかで大きくふくれあがり、しまいには爆発して壁をつき破り、自分をほんとうに自由にしてくれるのではあるまいかと思った。

 

という、そのときに起きた不思議な出来事。

 

トムは、眠れないのでちゃんと大時計の鐘の音を数えていました。
12時の鐘はすでに打ちました。
次は1時のはず。

ギリギリまでトムは一晩に2回、時計は12時を鳴らすのだろうと思っています。

 

そして鐘の音は13回。

 

 

トムは、真夜中に起き出して、玄関ホールになっている入り口の大広間に降りて行き、手探りで大時計を確認しようとします。

 

このあたり、息詰まるようなスリリングさです。

 

しかし真っ暗で何も見えません。
この大時計には、バーソロミューさんがいつも、しっかりと鍵をかけていました。

 

あかりだ、明かりを灯せ!

 

何かが起きていて、夜の静けさ、暗闇が彼を呼んでいます。

 

月があるのは屋敷の裏口。
ならば裏口の戸を開ければ、月の光が差し込んでくるかもしれない。
時計の針が確認できるぐらいには……。

 

 

トムは、その裏口の向こうには、つまらないがらくたしか置いてないし、行ってもがっかりするだけだと、アランおじさんに聞かされていました。

 

しかし、開いた裏口の扉の向こうには、月に照らされた素晴らしい庭が広がっていました。

 

コンクリートで固められていて、遊べそうなところなんてないと、聞かされていたトムは驚いてしまいます。

 

おじさんは、嘘をついていたんだ!
遊べる場所があるのに、わざと遊ばせないように、存在を隠していたんだ!
……と、トムは信じ込みます。

 

これまでのおじさんの四角四面の所業を見ている限り、そう考えるのはすごく納得できます。

 

時計のことも忘れ、庭園の中を歩き回るトム。
花が咲き乱れる様子を、月の光が照らし出します。
夜であるだけに、いっそう神秘的です。

 

 

いそぎなさいよ!とささやく邸宅と、時計の針の音。
真っ暗闇の中から、光いっぱいに挿し込める月。
家と同じくらいの大きさの温室がある、広々とした花が咲き乱れる庭。

 

これまでのムカつくおとなたちの所業と、何もできない閉塞感、どうしようもできない非力さなど、ストレスフルでどうにかなりそうだった中に、唐突に眼前に開けた美しさは、読んでいる方としても、心打たれます。

 

トムは、ひととおり、少しだけ庭を確かめてから、おじさんたちへの義憤にかられつつ、もう一度家の中へ向かいました。
お昼にもう一度来て、ちゃんと確かめようと思ったのです。

 

大広間に入ると、表玄関の方の扉が開くのが見えました。
誰かが入ってきたのです。

 

トムは固まります。
入ってきたのは、メイドさんでした。
(訳では、女中さんとなってます)

 

メイドさん
アパートの中にメイドさん

 

白いエプロン、帽子や袖口、黒いくつした。
英国について、かなり情報がいきわたった今となっては、わたしが読んでいた頃よりも、はっきりとメイドさんの格好はリアルに目に浮かぶと思われます。
(よきにつけ、あしきにつけ)

 

その人は、まったくトムには気が付きません。
咳払いをしても、呼びかけてみてもこちらを見ようともしませんでした。
そればかりか、すぐ横を通り過ぎて行ってしまいました。

 

ホールの様子もおかしいです。これまでとはまるで違います。
雑然と置いてあった共用物はまったく見えなくなり、かわりに重々しい「邸宅を飾るような」置き物がたくさん、置かれていました。

 

ただ前と変わらないのは大時計だけです。

 

メイドさんがまた現れましたが、ここで不思議なことが起こります。
まあ、とっくに不思議なことばかり起きてはいるのですが。

 

この人は、扉に近づいていくにすれ、「うすくなって」……消えてしまいました!

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

まぼろしの小さい犬
フィリパ ピアス (著), 猪熊 葉子 (翻訳)

ロンドンに暮らすベンの夢は犬を飼うこと.誕生日に,約束していた犬のかわりに刺繍の犬の絵をもらって失望したベンは,想像の犬を飼いはじめる.やがて引っ越しを機に念願の犬を手に入れるが,それは想像の犬とあまりにも違っていた…….少年の心の渇望と,葛藤を乗りこえる姿をくっきりと写した傑作.[解説・小川洋子]

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

真夜中のパーティー
フィリパ・ピアス (著), 猪熊 葉子 (翻訳)

子どもの日常生活におきる,小さいけれど忘れがたい不思議なできごとの数々.『トムは真夜中の庭で』の作者による,夢と現実の世界を行き来する印象的な短篇8編をおさめる.

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ハヤ号セイ川をいく (講談社青い鳥文庫)
フィリパ=ピアス (著), エドワード・アーディゾーニ (イラスト), 足沢 良子 (翻訳)

セイ川を流れてきたカヌーを見つけたデビットは、その持ち主のアダムと友だちになり、カヌーにハヤ号と名まえをつけた。2人は、アダムの家に伝わるなぞの詩から、かくされた宝を探し出そうとする。――カヌーで結ばれた2人の少年の、夏休みのすばらしい冒険と友情をえがいたイギリス児童文学の名作。カーネギー賞受賞作家、フィリパ・ピアスのデビュー作をエドワード・アーディゾーニの絵で。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

思い出のマーニー
ジョーン ロビンソン (著), ペギー・フォートナム (イラスト), 松野 正子 (翻訳)

養い親のもとを離れ、転地のため海辺の村の老夫婦にあずけられた少女アンナ。孤独なアンナは、同い年の不思議な少女マーニーと友だちになり、毎日二人で遊びます。ところが、村人はだれもマーニーのことを知らないのでした。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

新訳 思い出のマーニー
ジョーン・G・ロビンソン (著), 越前 敏弥 (その他), ないとう ふみこ (その他)

アンナは海辺でマーニーという不思議な女の子に出会う。仲良しなのは二人の秘密。けれど嵐の日マーニーが消えてしまい……。愛と友情、成長を描く感動の物語。越前敏弥、ないとうふみこによる新訳で登場!

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ドリトル先生ものがたり 全13冊セット 美装ケース入り
ヒュー ロフティング (著), 井伏 鱒二 (翻訳)

大人気シリーズ、ドリトル先生の少年文庫版・全13冊セット。世界一の名医ドリトル先生が主人公の、ベスト&ロングセラーです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ドリトル先生ものがたり 全13冊セット 美装ケース入り
ヒュー ロフティング (著), 井伏 鱒二 (翻訳)

大人気シリーズ、ドリトル先生の少年文庫版・全13冊セット。世界一の名医ドリトル先生が主人公の、ベスト&ロングセラーです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【e-hon】 ─ ネットで予約、本屋さんで受け取れる e-hon サービスで本屋さんを応援しよう📚️

 

whichbook.hatenablog.com

 

子どもの本だな【広告】

かさどろぼう ぼくがぼくであること ガンバとカワウソの冒険
どんぐりむらのほんやさん 地底旅行 かもさんおとおり
たべたのだあれ アラビアン・ナイト スパゲッティがたべたいよう

 

 

今日の一冊「もりのなか」 豊かに広がる想像の森の中で

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

もりのなか
マリー・ホール・エッツ (著, イラスト), まさき るりこ (翻訳)

ラッパをもって森に散歩にでかけた男の子は、ライオン、ゾウ、クマと、いろいろな動物たちに出会います。男の子はラッパをふきながら、みんなと行列をつくって森を散歩をします。そして森の中で、かくれんぼうをはじめますが、男の子が鬼をしているうちに、動物たちは姿を消していました。かわりに現れたのは、男の子を探しにきたお父さんでした。「またこんどまでまっててくれるよ」、お父さんはそういうと男の子を肩車にのせて、おうちに帰っていきました。

 

 

以前ご紹介した「借り続けられている本特集」の中の一冊で、紹介し忘れていた本です。

 

これは紹介しなければなるまい!
と、フェアが終わる最後に借りてきました。

 

 

奇妙なパレードの表紙です。

 

先頭に立つのは小さな子供、ぼうやです。

 

最初のページを開くことでわかりますが、紙のぼうしをかぶり、あたらしいラッパ(おもちゃのらっぱですね)を持っています。

 

最初はライオン、次はぞうのこ(二匹)、それからくま。

いろんな動物たちに会っては、連れだって、まるで楽隊のパレードのように歩いていくのですが、加わる前に、みんなひと動作入ります。

 

というのも、行列に入る前、出会うたびごとに、動物たちはみんな、髪をとかしたり、顔を洗って身づくろいをしたり……これは子供の分身です。

 

じーっと何も言わないコウノトリさんというのがちょっと不思議な存在です。

小さなおくびょうなうさぎは、「来たければ来ればいいよ」と言われて、これまでの動物たちのように行列のおしりではなくて、主人公のすぐそばにくっついて歩いています。

 

 

みんなで仲良く、ピクニックのようなお食事をして、さまざまな遊びをします。

 

最後に、かくれんぼをして目を開けてみたら……。
そこには動物たちの姿はいなくなっていて、代わりに「ぼく」を探しに来たお父さんがいました。

 

動物たちの姿はないけれど、ぼうやは「また今度来るからね!君たちを探すからね」と見えないお友達たちに宣言して、おうちに帰りました。
お父さんの肩車で。

 

 

これは、構造的にはくまのプーさんと同じなのですけど、子供の世界、子供の想像の果てしなさ、豊かさを描いています。

 

明確にくまのプーさんほど、メインのキャラクターがあるわけではありませんが、例えば、このコウノトリなどは、気難しい哲学者のイーヨーの立ち位置に似ています。

 

でもこれを空想世界と言ってしまうのは違うような気がします。

 

紛れもなく現実にある世界、クリストファーロビンといっぴきのクマが、いつまでも遊んでいる場所。
それは現実に確かに存在しているもので、誰も否定はできないからです。

 

 

それにしても、くまのプーさんといい森の中といい、その世界に入るきっかけになり、また夢から覚めるように呼び戻すのが、いつもおとうさんなのはなぜだろう。
お母さんじゃないような気がします。

 

その子の、理性としてのお父さんが呼ぶかな?
そろそろ、戻っておいでって。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

こねこのぴっち
ハンス・フィッシャー (著), 石井 桃子 (翻訳)

リゼットおばあさんの家に住んでいる子ねこのぴっちは、ほかのきょうだいたちとはちがうことをして遊びたいと思いました。ところが、アヒルのまねをして池で泳ごうとして、おぼれてしまいます。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

かもさんおとおり
ロバート・マックロスキー (著, イラスト), わたなべ しげお (翻訳)

かもの一家が、川から公園へ引越しです。かもたちは1列になって町の中を歩き出しました。さあ、たいへん! おまわりさんは自動車をとめて交通整理。パトカーまで出動です。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

まいごのたまご
アレックス・ラティマー (著), 聞かせ屋。けいたろう (翻訳)

風に吹かれて巣からころがり落ちた、まいごの卵が、お母さんをさがしています。あたりにいた恐竜たちも心配して、たまごの親さがしに協力します。やがて、夕方になったとき、奇跡がおこり、たまごの親がだれなのかがわかりました!ようやくお母さんと再会できた、まいごのたまごは、翌朝、ぶじに孵ることができました。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

巨人の花よめ
菱木晃子 (著), 平澤朋子 (イラスト)

北欧の少数民族サーメ人に伝わる、恐ろしい巨人に、賢く美しい娘が知恵と勇気で大奮闘するお話。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ふしぎなたいこ―にほんむかしばなし
石井 桃子 (著)

日本のなつかしい昔ばなしの中から,「ふしぎなたいこ」「かえるのえんそく」「にげたにおうさん」の3つのお話をえらびました.たっぷりとした墨の線を使った,清水崑氏の大らかな絵が楽しい絵本.

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

おそばのくきはなぜあかい―にほんむかしばなし
石井 桃子 (著), 初山 滋 (イラスト)

語りつがれた日本の民話の中から《なぜ》のおはなし3つ.「おそばのくきはなぜあかい」「おししのくびはなぜあかい」「うみのみずはなぜからい」.初山滋氏の美しい幻想的な画面が子どもの夢を広げます

 

 

 

【e-hon】 ─ ネットで予約、本屋さんで受け取れる e-hon サービスで本屋さんを応援しよう📚️

 

whichbook.hatenablog.com

 

子どもの本だな【広告】

十五少年漂流記 名探偵カッレくん 牛若丸
ものいうなべ―デンマークのたのしいお話 人間になりたがった猫 ガルドンのながぐつをはいたねこ
一寸法師 みどりのゆび けちんぼおおかみ 日本のむかし話

 

 

大人が読む児童書「トムは真夜中の庭で」 2 もしかして、コロナの時代に最高にマッチした作品

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

トムは真夜中の庭で
フィリパ・ピアス (著), スーザン・アインツィヒ (イラスト), 高杉 一郎 (翻訳)

知り合いの家にあずけられて,友だちもなく退屈しきっていたトムは,真夜中に古時計が13も時を打つのをきき,昼間はなかったはずの庭園に誘い出されて,ヴィクトリア時代のふしぎな少女ハティと友だちになります.「時間」という抽象的な問題と取り組みながら,理屈っぽさを全く感じさせない,カーネギー賞受賞の傑作です.

 

大人が読む児童書「トムは真夜中の庭で」 1 名作児童文学の中に必ず名前が上がる、名作中の名作

 

 

おとなで「トムは真夜中の庭で」が有名なので読んでみよう、というかたもかなりいるはずです。

それぐらい、あちこちでおススメされている本です。

 

今、ドリトル先生は、可愛らしい絵柄と分かりやすい新訳で子供の棚に並んでいますが、それとは別に、大人の小説の棚のところに本屋さんが旧訳の井伏鱒二ドリトル先生を置いてありました。
これは本当にいいことだな!と思ったことがあります。


 

ちょっと本が好きな人ならどこかで「トムは真夜中の庭で」の名前は必ず聞いたことがあると思います。
ですから、大人の人で、読んでみようかな?子供の時は読まなかったけど、と思う人もいるはず!

 

そういう、
「いったい、そこまで言う『トムは真夜中の庭で』ってどんなものなのか」
と思う人のために、本屋さんも、大人の小説のところに並べて欲しいです。

 

 

さて、トムはまるで牢獄に来たようなイメージで、おじさんの狭いアパートに隔離されてしまいました。

 

2章で、その生活の様子が描写されるのですが、アランおじさんのあまりのひどさに、私でもぶん殴りたくなるぐらいイライラします。

 

トムはよく我慢していると思います。

 

何しろ外に出たらいけないって言うんです。
はしかに罹患しているかもしれないから。
熱もないのに!

 

おじさんやおばさんはいいんです。
おとなですから、買い物にも出かけるし、仕事にも行くでしょう。

しかし、育ち盛りの子供がずっと家に閉じ込められている状態というのは、かなりつらいです……。

 

ひとりぼっちで、よその家で。

 

つまらなすぎて死にたくなる。

 

 

まずいことに、おばさんのお料理がとても美味しいし、たっぷりあります。

 

なぜまずいのかというと、たくさん食べてエネルギーをチャージしているのに、発散することができません。
外に出たらいけないから!

 

遊んでもいないのに子供が体を動かさずに、たっぷり食べさせられて部屋に閉じ込められている。

 

…………これもしかしてコロナ生活では?

 

あれ?
「トムは真夜中の庭で」って、実はコロナの時代にすごくマッチした作品なのでは!?

 

この閉塞感、イライラ。
わからずやの大人。
ダメになった夏休みの楽しみ。
こうしたいと思う気持ちがあるのにそうはさせない状況。

 

⇒それが伝染病から来ている

 

結論:「トムは真夜中の庭で」はコロナ禍の中でぜひよむべき作品だった!

 

 

序盤が、この「いかに生活がつまらないか」なので、読んでいる方も、だんだん憂鬱になってくるところではないかと思います。

 

トムがピーターに手紙を書いているのですが、このふたり、ほんとうに仲良しの兄弟です。

 

夜に眠れないので、トムは、おばさんが用意してくれたおばさんが少女の頃に読んだ少女小説を読んでみました。

 

「おばさんが少女の頃に読んだ少女小説って、何だかパワーワードでちょっと心のどこかにグサッと刺さってくるような気もしますが、ここは落ち着いてスルーします。

小公女とかでしょうか?ひみつの花園とか?

 

その少女小説は眠気をもよおすほどには退屈させてくれないので、がまんしながら読みつづけていた。

 

夜の11時半になってもまだ本を読んでいると、アランおじさんに見つかってしまいました!
本を読んでいるのをとがめるアランおじさん。
なんで、子どもが、本を、よんでるのを、とがめるの!?
いまの、読んでもらいたい~となってる心情的に、この所業は許せませんでした。

 

意味が分からない。

 

夜の11時なんてまだ、私の世界はこれからだぐらいの夜活時間帯なのに。
眠れなくても電気もつけちゃいけなくてただ暗闇の中で目を開いてじっとしていろということ?
新手の拷問ですか?
スマホだってないのに!

 

このおじさん、すごく融通の利かない几帳面で四角四面の付き合いづらいタイプです。

 

さらにムカつくことに、自分たちは起きていて、本を読んだりおしゃべりしたりしてるのです。

 

 

高級な週刊新聞を声に出して音読するアランおじさん。
うん、大嫌いだな。

 

また別の日、あまりにも退屈になったトムは、こっそり起きだしてそっと台所から食料品貯蔵室へ……。
別に何か盗み食いをしようと思ったわけじゃなくて、入ってみただけです。

 

運の悪いことに見つかってしまい、おじさん、大騒ぎ!!

 

男の子というものは、おなかがすいていてもいなくても、食料品貯蔵室へはいっていきたがるものだが、トムはどうしてもそのあたりまえなことをおじさんとおばさんにわからせることができなかった。

 

なんでわからないの!?
バカなの!?

 

トム「ぼくは眠れないよ」
おじさん(キツく)「子どもはみんな眠るもんだ。」
おばさん(優しく)「それは、あんたの気のせいよ、トム」

 

妹子「ふたりともぶん殴りたい」

 

おじさんがムカつくのはデフォルトだとして、若干やさしいし子供ずきだしで、唯一の希望ともいえるこのおばさんが、おじさんに迎合するのを見るは、そうとうキツいです。

 

そしてまたベッドの中へ。
明かりも強制的に消されます。
これは本当に拷問だー!

 

そしてこんな地獄の生活の中で、広間の大時計が13回鐘を鳴らすのでした。
12回ではなく、13回。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ドリトル先生アフリカゆき
ヒュー・ロフティング (著), 井伏 鱒二 (翻訳)

「沼のほとりのパドルビー」に住む名医ドリトル先生は,オウムのポリネシアから動物語を習い,世界中の動物たちから敬愛されています.ある日アフリカのサルの国から,ひどい疫病が流行しているから救ってほしいという訴えを受けた先生は,犬のジップたちをひきつれて冒険の航海に出発します.ドリトル先生物語の第1作目.

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

新訳 ドリトル先生アフリカへ行く (角川つばさ文庫)
ヒュー・ロフティング (著), 河合 祥一郎 (翻訳), patty (イラスト)

ドリトル先生は動物のことばが話せる、世界でただひとりのお医者さん。でも患者は動物ばかりで人はよりつかず、いつもびんぼう。ある日、ジャングルのサルの間で広がる、おそろしい伝染病の話を聞き、友だちのオウム、子ブタ、アヒル、犬、ワニたちと、船でアフリカへとむかいます。海ぞくとの対決、世にもめずらしい生き物との出会い…。世界中の子どもと動物に愛されるお医者さんの冒険を、42点の楽しい絵と新訳でどうぞ!

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ドリトル先生ものがたり 全13冊セット 美装ケース入り
ヒュー ロフティング (著), 井伏 鱒二 (翻訳)

大人気シリーズ、ドリトル先生の少年文庫版・全13冊セット。世界一の名医ドリトル先生が主人公の、ベスト&ロングセラーです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

まぼろしの小さい犬
フィリパ ピアス (著), 猪熊 葉子 (翻訳)

ロンドンに暮らすベンの夢は犬を飼うこと.誕生日に,約束していた犬のかわりに刺繍の犬の絵をもらって失望したベンは,想像の犬を飼いはじめる.やがて引っ越しを機に念願の犬を手に入れるが,それは想像の犬とあまりにも違っていた…….少年の心の渇望と,葛藤を乗りこえる姿をくっきりと写した傑作.[解説・小川洋子]

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

真夜中のパーティー
フィリパ・ピアス (著), 猪熊 葉子 (翻訳)

子どもの日常生活におきる,小さいけれど忘れがたい不思議なできごとの数々.『トムは真夜中の庭で』の作者による,夢と現実の世界を行き来する印象的な短篇8編をおさめる.

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ハヤ号セイ川をいく (講談社青い鳥文庫)
フィリパ=ピアス (著), エドワード・アーディゾーニ (イラスト), 足沢 良子 (翻訳)

セイ川を流れてきたカヌーを見つけたデビットは、その持ち主のアダムと友だちになり、カヌーにハヤ号と名まえをつけた。2人は、アダムの家に伝わるなぞの詩から、かくされた宝を探し出そうとする。――カヌーで結ばれた2人の少年の、夏休みのすばらしい冒険と友情をえがいたイギリス児童文学の名作。カーネギー賞受賞作家、フィリパ・ピアスのデビュー作をエドワード・アーディゾーニの絵で。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

思い出のマーニー
ジョーン ロビンソン (著), ペギー・フォートナム (イラスト), 松野 正子 (翻訳)

養い親のもとを離れ、転地のため海辺の村の老夫婦にあずけられた少女アンナ。孤独なアンナは、同い年の不思議な少女マーニーと友だちになり、毎日二人で遊びます。ところが、村人はだれもマーニーのことを知らないのでした。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

新訳 思い出のマーニー
ジョーン・G・ロビンソン (著), 越前 敏弥 (その他), ないとう ふみこ (その他)

アンナは海辺でマーニーという不思議な女の子に出会う。仲良しなのは二人の秘密。けれど嵐の日マーニーが消えてしまい……。愛と友情、成長を描く感動の物語。越前敏弥、ないとうふみこによる新訳で登場!

 

 

 

 

【e-hon】 ─ ネットで予約、本屋さんで受け取れる e-hon サービスで本屋さんを応援しよう📚️

 

whichbook.hatenablog.com

 

子どもの本だな【広告】

はじめてのおるすばん ねむいねむいねずみ エラと『眠れる森の美女』
あしながおじさん スザンナのお人形・ビロードうさぎ まりーちゃんのくりすます
西遊記 まゆとおに Pitschi

 

 

大人が読む児童書「トムは真夜中の庭で」 1 名作児童文学の中に必ず名前が上がる、名作中の名作

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

トムは真夜中の庭で
フィリパ・ピアス (著), スーザン・アインツィヒ (イラスト), 高杉 一郎 (翻訳)

知り合いの家にあずけられて,友だちもなく退屈しきっていたトムは,真夜中に古時計が13も時を打つのをきき,昼間はなかったはずの庭園に誘い出されて,ヴィクトリア時代のふしぎな少女ハティと友だちになります.「時間」という抽象的な問題と取り組みながら,理屈っぽさを全く感じさせない,カーネギー賞受賞の傑作です.

 

 

「トムは真夜中の庭で」は、どんな児童書のおすすめにも、必ず入ってくる、名作中の名作です。

二十七章もあり、文庫でかなりの厚みがあります。

開いてみるとわかりますが、文字もかなりギュッと詰まっていて、訳も硬派です。

 

いまの軽い会話の多い文に慣れた子供たちには、一見して難易度が高いのではないか?と思われる大長編です。
ですが、この本を勧めた子が、まるで吸い込まれるように夢中になってしまうのが、ほんとうに不思議です。

 

もう何度も読み返していますが、レビューを書こうと思ったのは初めてです。

今回初めて、紹介することを目的として開いてみたところ、今まで気づかなかったことに、1番最初のページに、イギリスロンドン近郊の地図がついているではありませんか~!
あんなに読んでいたのに、どうしてスルーしていたんだろう。

ハティとトムが遊んだ場所やスケートした場所など、こんなふうにちゃんと地理に基づいたものだったんだ。

 

なんとなくこの「トムは真夜中の庭で」という作品は、自分自身の夢と目で見た景色が一緒になったように、肉体と心の一部分に属しているような、そんな感じがあります。

 

トムとハティは現実のイギリスのどこかの地区にいるのではなくて、その「特別な場所」に居るという感覚です。
だからたぶん、無意識のうちに見ないようにしていたんだと思います。

 

 

今回は、これまでとは違って、序盤だけをレビューしていこうと思います。

 

本をあれこれ読んで来た中で、自分にとっても、子どもにとっても、本というものの「導入部分」「読みはじめの部分」がいかに大事なのか、身に染みてわかっています。

 

よい本は、書き出しから違ってる、おもしろい……とよく言われているのを見ますが、そんなことありません!

 

そもそも良い本というのがあるのかどうかもわかりません。
ただ、長く読み継がれているか、そうでないかはあります。

 

そして、長く読み継がれている本の多くが、序盤はわりと退屈です。

 

読むのに多大なる努力とエネルギーを必要とします。

 

 

名作と呼ばれているから読んでみてやったけど、これ一体何なんだよ~、どこまでこれに付き合わされるんだろう
と思いながら、しぶしぶ読み始めたり、よっぽどヒマでもないとこんなの、読まないわ……と思ってページをめくりはじめる。

 

それが、ある特定の位置を過ぎた時から、ぴりっと、電気が走るように、何かが変わった!と感じる。

 

どんどん吸い込まれるように夢中になっていき、ついにはご飯も眠ることも忘れ、(わたしが妹子にやいやい言っているような)人の手、親の手なんてかりる必要もないほど、わきめもふらずに読み進めたくなる。

 

そういうものであることを、読んだ人たちは知っているので、冒頭が退屈でも、読め読め読め!と言い続けるのです。

 

名作とはそういうもの。

 

本とは、新しい街に行って、新しい景色を見て、知らない人に出会い、深く知り合うのに似ています。

 

 

冒頭が入り込みにくいというのは、これです。

 

主人公トムが、とにかく最初から、ひどく不機嫌なのです。

 

ブスッとして、膨れてて、とげとげしくて、とにかくイライラしています。
しかし、これは理由がありました。

 

トムとピーターはなかよしの兄弟、夏休みになんと弟のピーターがはしかになってしまいました。
隔離のために、トムはおじさんのうちに預けられることになったのです。

 

夏休みのために立ててていた計画も全部パーになってしまい、トムはブーたれています。

 

この預けられる先の、「グウェンおばさんとアランおじさん」
多分、トムとピーターのお母さんの妹、アランおじさんはその夫という認識でいいのかな?

 

トムはこのアランおじさんが好きじゃないし、と書いてるのですが、読んだ私も何度よんでもこのアランおじさん嫌いです。

悪い人じゃないですけど、絶対付き合いたくないタイプです。

 

このアランおじさんは、この「トムは真夜中の庭で」に出てくる数々のイヤなおとなの中でも、二番目にイヤな奴です。
おばさんはいい人なのですが、おじさんの前ではまったく役に立ちません。

 

 

一章めでわかることを、順番に箇条書きにしてみます。

 

・トムとピーターは仲良しの兄弟。
・弟のピーターがはしかになったので、トムはおじさんの家に隔離されることになった。
・庭で遊ぶ計画を立てていたのにパーになった。
・おじさんとおばさんの家はアパートの一室で、遊べそうな場所がない。(庭もない)

 

おじさんの車で、トムは隔離場所のアパートへ向かうのですが、とにかく不機嫌です。
しかし、トムも感じ悪いけど、おじさんもつまんない人なので、イヤだろうなという気持ちがひしひしと伝わってきます。

 

アパートにつきました。

 

・アパートは、昔の大邸宅を無理やりに改造しているので、ちぐはぐな感じがする。
・アパートのロビーの役割をしている入り口のホールには大きな振り子時計がかかっている。
・この時計は3階に住んでいる大屋のバーソロミューおばあさんのもの。
・グウェンおばさんの料理は美味しい。
・窓には赤ちゃんのような子供が落っこちないように横木が渡してあり、トムはすねる。

 

ここで重要なのは、文字からイメージを浮かび上がらせることです。

 

大邸宅を改造したアパート。
これ重要です。

 

昔は、大きな一つの家だったのです。

 

しかし、いまは集合住宅になってしまっているので、一般的なマンションをご存じの方ならわかると思うのですが、郵便受けがあり、荷物もそれぞれに届きますし、なんらかの共用物がおいてあったりします。

 

うちではよく、頼んだあとの洗った寿司桶が置いてありますが、ここでも、牛乳びんの回収ボックスが置いてあったりします。

 

そういうのが、イギリスの大邸宅、マナーハウスという感じではないですが、大きかった「おやしき」の雰囲気をすべてぶち壊し、雑然とごみごみとした印象になってしまっているようです。

 

しかも、周囲は住宅地。
どこもかしこも、コンクリートジャングルです。
まったく遊べるような緑のある場所がありません。

 

前から何度も読んでいて思ったことですが本当に牢獄に来たような気分です。

 

二章で、話が静かにですが、大きく動きはじめます。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

まぼろしの小さい犬
フィリパ ピアス (著), 猪熊 葉子 (翻訳)

ロンドンに暮らすベンの夢は犬を飼うこと.誕生日に,約束していた犬のかわりに刺繍の犬の絵をもらって失望したベンは,想像の犬を飼いはじめる.やがて引っ越しを機に念願の犬を手に入れるが,それは想像の犬とあまりにも違っていた…….少年の心の渇望と,葛藤を乗りこえる姿をくっきりと写した傑作.[解説・小川洋子]

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

真夜中のパーティー
フィリパ・ピアス (著), 猪熊 葉子 (翻訳)

子どもの日常生活におきる,小さいけれど忘れがたい不思議なできごとの数々.『トムは真夜中の庭で』の作者による,夢と現実の世界を行き来する印象的な短篇8編をおさめる.

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ハヤ号セイ川をいく (講談社青い鳥文庫)
フィリパ=ピアス (著), エドワード・アーディゾーニ (イラスト), 足沢 良子 (翻訳)

セイ川を流れてきたカヌーを見つけたデビットは、その持ち主のアダムと友だちになり、カヌーにハヤ号と名まえをつけた。2人は、アダムの家に伝わるなぞの詩から、かくされた宝を探し出そうとする。――カヌーで結ばれた2人の少年の、夏休みのすばらしい冒険と友情をえがいたイギリス児童文学の名作。カーネギー賞受賞作家、フィリパ・ピアスのデビュー作をエドワード・アーディゾーニの絵で。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

思い出のマーニー
ジョーン ロビンソン (著), ペギー・フォートナム (イラスト), 松野 正子 (翻訳)

養い親のもとを離れ、転地のため海辺の村の老夫婦にあずけられた少女アンナ。孤独なアンナは、同い年の不思議な少女マーニーと友だちになり、毎日二人で遊びます。ところが、村人はだれもマーニーのことを知らないのでした。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

新訳 思い出のマーニー
ジョーン・G・ロビンソン (著), 越前 敏弥 (その他), ないとう ふみこ (その他)

アンナは海辺でマーニーという不思議な女の子に出会う。仲良しなのは二人の秘密。けれど嵐の日マーニーが消えてしまい……。愛と友情、成長を描く感動の物語。越前敏弥、ないとうふみこによる新訳で登場!

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

思い出のマーニー
米林宏昌 (監督)

この世には目に見えない魔法の輪がある。海辺の村の誰も住んでいない湿っ地(しめっち)屋敷。心を閉ざした少女・杏奈の前に現れたのは、青い窓に閉じ込められた金髪の少女・マーニーだった。

 

 

 

 

 

 

【e-hon】 ─ ネットで予約、本屋さんで受け取れる e-hon サービスで本屋さんを応援しよう📚️

 

whichbook.hatenablog.com

 

子どもの本だな【広告】

そんなとき どうする? (日本語) 単行本 - 2016/8/5 セシル・ジョスリン (著), モーリス・センダック (イラスト), こみや ゆう (翻訳) おやつがほーいどっさりほい 赤毛のアン
新版 宿題ひきうけ株式会社 だいふくもち カイウスはばかだ
マチルダばあやといたずらきょうだい 月曜日に来たふしぎな子 よるくま

 

 

今日の一冊「おによりつよいおれまーい(サトワヌ島民話)」 マウイ伝説に似た、超自然的な子供のパワーを感じさせる絵本

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

おによりつよいおれまーい(サトワヌ島民話)
(「こどものとも」人気作家のかくれた名作10選)
土方 久功 (著, イラスト)

サトワヌ島は南太平洋のミクロネシア諸島の中の小さい島です。おれまーいは島の男の子。ものすごく強い子で、誰もかないません。あんまり乱暴なので、こらしめに他の島へやってしまいますが……。

 

絶版本ですので、紹介もちょっとどうしようかな、と思いましたが、1993年にいちど復刊もされているようです。
古本もけっこう出回っているようですし、紹介しちゃいます。

 

かなり強烈なインパクトを残す絵本です。

わたしの持っている本、ヤケ、シミはたくさんありますが、これでも状態がいい方です。
他のはすごいことになってます。
表紙が外れて、バラバラになっても、しつこく捨てずに持っています。

 

やはりここまでしても生き残っている本というのは、何か縁があるものなのですよね。
そんな中でも、紹介したい!と強く思う本です。

 

復刊時には、「かくれた名本」という副題もついていたようです。
まさにかくれた名本です。

 

パプアニューギニアのお話をもとにした再話。
説明には、ミクロネシア諸島のサトワヌ島と書かれています。

 

表紙に
「サトワヌ島民話 土方久功 再話/画」
と書かれています。

 

お話としては、怪力の小さな男の子という、南洋に見かけるモチーフのお話です。

 

ハワイのマウイ伝説をご存じでしょうか?
最近、「モアナと伝説の海」で、マウイが出て来たので、名前に聞き覚えのある方も多いと思われます。

 

モアナで、若干ふくよか(婉曲表現)なデザインになっていましたが、マウイはもともと、赤ちゃんのように小さい頃から異常な怪力という伝説でした。
よく宣伝している、山室静さん(ムーミンの訳で有名な方です)の、「新編 世界むかし話集(10)アメリカ・オセアニア編」に収録されていますが、わりと長く、詳細に紹介しています。
マウイはポリネシア神話からハワイ神話まで、ずいぶん遠いのに、これらの南洋の島々にひろく分布しているお話です。

マウイ (ハワイ神話) - Wikipedia

マウイ (ポリネシア神話) - Wikipedia

 

おれまーいも、どことなくマウイを思わせるお話です。
「まーい」、の部分がマウイと似ているな、と思ったことがあります。

 

話がズレてしまいましたが、本当に力強い絵と、お話です。

 

 

さとわぬ島に、ひとりの男の子が生まれます。

うまれるとすぐにはいはい、四日たつともう歩き、8日たつと、「やしのはで あんだ とを やぶりちらすようになりました」
クソガキに育つのが早すぎる。

 

海の絵がすごくきれいです。
魅せられて、ずっと絵を眺めて過ごしました。

 

兄助がやってきたので、「覚えてる?」と聞くと、「覚えてる。強いこども」と、記憶に残っているようでした。

 

幼年期に読ませた本なんて忘れちゃってるんじゃないだろうかと思っていましたが、消えない記憶もあるのだなと思いました。

 

なんて、しみじみとしたことを言ってる場合ではなく、おれまーいはとんでもないことをやらかします。

 

「いちばん小さい魚を食べるから、とっておいて」
→そばにいた人たちは、うっかり食べてしまった。
→「さかなは?」と聞かれたので、大きい魚を出してやった
→怒り出して、「うちをひっくりかえしてしまった」

 

うーん。

・怪力だけど、小さいさかながいい。(謙虚?食欲は普通?)
・間違えて食べてしまった人は不注意だけど、大きい魚を上げようとして、一応反省の色は見える。
・でも、おれまーいは許さない。

 

ドラゴンボールで、小さい頃の悟空がよくマッパになってましたが、このうちをひっくりかえすおれまーいも、相撲におけるどすこいポーズで、まる出しのまっぱだかです。

 

それで家をひっくり返してしまうという、おそろしい怪力のおかしみと、おそろしさが同居しています。

 

 

すっかり恐怖を覚えた村の人たちは、集まってあれこれと、おれまーいを殺す相談するのですが、この絵がまたすごくシュールです。
「海で」「山で」「困ったな」「だから俺は」
まるで国会のようにグダグダしてます。

 

そして、何とかしておれまーいを殺そうとするのですが、殺伐とした話なのに、あまりにもおれまーいがつよいので、恐怖を感じるヒマがありません。

 

純真なので、その殺そうとした手段のもの、大木や丈夫なあみなどを、みなさんに役立つものだと思って、無邪気に持って帰ります。

 

ニコニコした笑顔に恐れをなす島民にも、おれまーいにも、サイコパスを感じます。

 

 

この次が不思議で、(昔話にはよくあることですが)、その不思議さに何度も読み返したところです。

 

さて こんどは、みんなで ぴーくしままで かめを とりにいって、おれまーいを おいてきてしまおうと そうだんしました。

 

かめ。
かめって、亀のかめなんでしょうか?
一晩中こいで行くほどの遠いしまに、かめを獲りに行く。
かめって、さとわぬ島には来ないのだろうか?
たまご?かめ本体も、おいしいのかな?

 

とりあえず、そこにはおそろしいおにがいるので、そのおにに、おれまーいを片付けてもらおうという魂胆です。
このおにの名前も不思議で、「やにゅう」と言います。

 

やにゅう。
なんだか日本にもありそうな語感です。
このやにゅうが、表紙にいる、頭から赤と青の羽が突き出ているこれです。

 

いかにも恐ろしげな外見!
でもちょっとユーモラスです。

 

 

やにゅう、おれまーいを見つけて、いろいろとたずねます。
ちっともこわがらないおれまーいに、やにゅうはこんなふうに言います。

 

「そうか そうか いいこだね。だけど おれは こどもの にくが だいすきでね。たべたくなってくるのだよ。たべてやるよね」

 

今まで、たくさんの童話やおとぎ話を読んできましたが、
「たべたくなってくるのだよ。たべてやるよね」
と、脅しなのか、お願いなのか、確認なのか、そのどれでもない、この微妙な宣言のパターンは、はじめて見ました。

 

(ここは、読んできかせるときに、薄気味悪い声で言うとすごくウケる箇所です)

 

おれまーいは、びくともせずに、ならば力比べをしようと自分から申し出て、やにゅうと勝負をすることになるわけですが…。

 

まあまあ、このあとはお約束の展開ではあるのですが、積み上げられたヤシの実、パパイヤ、バナナのおいしそうなこと!

 

爆発的な力を秘める、子どものパワーを、エキゾチックな絵と共に、十分に堪能できる絵本です。

 

 

作者の土方久功さん、「ミクロネシア研究の民族誌家」とのことで、なるほどとの思いです。

土方久功 - Wikipedia

 

昭和4年にパラオに渡られたとのことで、これは世界恐慌の年で、まだ第二次世界大戦が始まるよりも10年も前です。
昭和17年帰国…大戦の只中に、疎開する形で日本に帰られたんですね。

 

地図で見て、ミクロネシア諸島の中に「サタワル島」というのがあり、これが「さとわぬ島」かな?と思いました。

 

 

Wikipedia「1931年(昭和6年)、ヤップ諸島の最東端・サテワヌ島(現在のサタワル島)に渡り、7年間を同島で過ごす[2]。」と記述があるので、おそらく「さとわぬ島」はこのサタワル島で間違いないのでしょう。

 

ずっと、漠然とどこの島だろう…と空想していたので、場所を知ることができたのがとても嬉しいです。

 

ストリートビューもない、本当に小さな島です。
写真で見る限り、緑ゆたかな美しい海です。

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

土方久功正伝 日本のゴーギャンと呼ばれた男 Kindle版 清水 久夫 (著)

彫刻家であり詩人でもある土方久功は、ミクロネシア研究の民族誌家としても評価が高い。しかし久功の最も貴重な遺産は関東大震災の前年から死の5日前まで55年に渡って書き続けられた日記であろう。残された膨大な日記を一字一句翻刻し、久功の喜び、苦しみ、悲しみを共にする中から立ち上がってくるのは、自己に忠実に生きようとした男の清々しさであり、読む者の知的好奇心を刺激してやまないその生き方である。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

モアナと伝説の海 (字幕版)
Amazonプライム

命の女神テ・フィティの<心>が盗まれた時、この世に暗黒の闇が生まれた。だが、闇がすべてを覆い尽くす前に、サンゴ礁を越えて旅する者が女神に<心>を返し、世界を救うだろう---。伝説が息づく南の楽園モトゥヌイを治める村長の娘、モアナ。闇に飲み込まれる危機に瀕した島を救うために、彼女は村の掟を破って、禁じられた海へ漕ぎ出す決意をする。身勝手で自信満々な伝説の英雄マウイを道連れに、自分の心の声を信じて進む少女モアナの冒険に思わず心が熱くなる。圧巻の歌と映像で贈る感動のファンタジーアドベンチャー

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

新編 世界むかし話集(10)アメリカ・オセアニア編 (現代教養文庫ライブラリー)
Kindle版 山室静 (編集) 形式: Kindle版

アメリカ・インディアンや大洋州原住民の民話。素朴なものが多いが、それだけに従来の昔話を読みなれた人にとっては、思いがけない発想や急展開があり、楽しいおどろきが多い。ヨーロッパ人による蒐集や研究の厚さにもおどろくほかない。
<北アメリカ> インディアン/エスキモー/白人系/黒人系/ハワイ
<南アメリカ> インディオ/ヨーロッパ系
<オーストラリア> 南太平洋諸島/オーストラリア

 

 

 

 

 

【e-hon】 ─ ネットで予約、本屋さんで受け取れる e-hon サービスで本屋さんを応援しよう📚️

 

whichbook.hatenablog.com

 

子どもの本だな【広告】

新編 世界むかし話集 (全11巻) みんなうんち あしながおじさん
100かいだてのいえ ぼくらの七日間戦争 ハヤ号セイ川をいく
ムギと王さま かこさとし からだの本 全10巻 こまったさんシリーズ全10巻

 

にほんブログ村 本ブログ 絵本・児童書へ
にほんブログ村


児童文学ランキング

 

大人が読む児童書「カイウスはばかだ」 3 読了 日本でもこの面白さを参考に、「戦国武将の小姓ミステリ」を希望!

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

カイウスはばかだ
ヘンリー・ウィンターフェルト (著), シャルロッテ・クライネルト (イラスト), 関 楠生 (翻訳)

古代ローマの小さな学校に通う、七人のやんちゃな少年たち。ある日の授業中に、いたずらで書いた「カイウスはばかだ」という落書きが、思わぬ事件に発展して……。無実の罪でつかまった友だちを助けるため、少年たちは一生けんめい、なぞにいどみます。ユーモアたっぷり、元気いっぱいの、ドイツ児童文学の名作。

 

大人が読む児童書「カイウスはばかだ」 1 積ん読ナンバーワンを決めろ

2 力作の導入サポート。「カイウスはばかだ」の運用マニュアル

 

 

これまでの話の展開、またルーフスのキャラからして、ねたんだり、さかうらみをして書いたりするはずがない、というイメージです。


自分は退学になったのに、カイウスは書き取りですんだ!とか、そんな感じではぜんぜんないです。
しかも、皇帝の神殿に……?
先生が襲われた事件と重なって、何とも不気味な予感がします。

 

みな、とりあえず落書きを見て、カイウスのもとへ行きましたが、ここでカイウスの妹、クラウディアが出てきました。

 

可愛い。

美少女かどうかは書いてないからわかりませんけど、みんなこの子が好きだし、感じがよくてすてきな少女です。

 

へーカイウスの妹がねえ……。
あんぽんたんの妹は、あんぽんたんではなかった!

 

クラウディアの口から、カイウスのうちにはすでに落書きのことが知れ渡っていること。
カイウスが、「あれを書いたのはルーフスのしわざです」とお父さんに云い付けたことが語られます。

 

みんな、怒り出しました。
最悪です。

やっぱりカイウスは嫌われもの、ルーフスは人気者っぽい雰囲気です。
みんな、ルーフスの方が好きで、そっちの肩ばかり持って心配しています。

 

でも、人気、不人気と、そこまではっきりと書いていません。
実際の教室の中ではよくあることですが、人気不人気は、はっきり分けて言えるほど別れていないものです。
それが別れるような事態になったときには、ちょっとこれは大変な事態だと考えてもいいでしょう。

 

うっすらと傾向の色のようなものがあるだけで、境界線は曖昧で、どちらにしてもずっと一緒にいた仲間であり、友達であることは間違いない。
それが本来の生徒たちの姿ではないでしょうか。

 

 

ルーフスの危機です。

カイウスは、こんなとんでもない不思議なことが起きてる(先生が襲れたり、「カイウスはばかだ」と書いた書字板がなくなっていたり)というのを知らなかったとはいえ、ここで友達の名前を安易に出したのは最悪でした。

神聖な神殿に落書きという、罪に問われるかもしれないようなことなのに。
しかも、絶対そんなことするタイプじゃないと、わかっていそうなものなのに!

 

 

カイウス、あまり頭よくなく、単純なタイプのようです。
でもお父さんはカイウスにはきびしいんですって。

カイウス君には、親の期待が負担なのだろうか。ストレスなのかな。
政治家の息子なんて、楽じゃないだろうな。
それも、それほどキレるタイプでもなく、基本があんぽんたんならなおさらです。

 

クラウディアも、どうやらお兄さんのカイウスの所業に怒っていて、ルーフスの肩をもっているようです。
ムキウスたちに、あれこれと家の中のことや、起きたことをすべて細かく教えてくれました。
頼りになるし、かわいい。

 

いったい、神殿の落書きで罪に問われたらどうなるのか。
何しろ古代ローマの時代ですから、子供だって罪に問われたら処刑されることもある。

 

まさか、そんなことが……。
不安げなクラウディアに、これまたおしゃべりのアントニウスが、ぺらぺらとしゃべってしまいました。

子どもだって処刑されることあるよ!見たことがあるよ。それはこうでこうで、こんな感じで……。

 

クラウディア、顔色が変わってしまいました。

 

ん?
これは……?
私の思いこみ?それともフラグ?

 

泣き出して逃げていってしまったクラウディア。
いくら本当でも、女の子にあんな話はするもんじゃない、なんてたしなめられていますが…。
これって?
クラウディア、ルーフスのこと……?

 

 

みな、そろってルーフスの所に行きました。

 

ルーフスのおかあさん、すごくすてきな人です。
美しい奴隷、ロンプスも少女です。
気のせいかもしれませんが、読んでいてこの子もなんとなく、ルーフスが好きっぽいです。

モテやがるな、ルーフス!たぶんイケメンなんだろうな!(妄想)

 

ルーフスは、家にいましたが様子が変です。
絶対に自分じゃない!!と言い張っていますし、嘘をついている様子もないです。

 

※追加情報:

 

・皇帝は、ルーフスのお父さんの将軍の人気を妬んでいる。
・ルーフスは、先生が襲われた日の夜、何かお金を集めてこっそり出て行き、そしてびしょ濡れで帰ってきた。
・ルーフスが逮捕された(!)。
・告訴したのはカイウスでもカイウスのお父さんでもないらしい(!!?????)

 

謎は、深まるばかりです!

 

これは、ミステリなので、これ以上説明するとまったく面白くなくなっちゃうし、やめられなくて温泉も早く上がってしまったほどなので、ぜひぜひ、読んでみてもらいたいです!

 

 

しかし、古代ローマの子供達のミステリーを書くって、その発想じたいが凄いなと思いました。

やはりヨーロッパでは、歴史を学ぶ上で古代ローマは自分たちのルーツでもあるわけですし、割と身近なものなのかもしれません。

 

ユーチューブのTED-edでも、やたらと古代ローマが多いです。エジプトやギリシャもありますが。

www.youtube.com

 

これを読んだ新進気鋭の誰かが、
「江戸時代の寺子屋ミステリ」
とか、
平安時代の稚児ミステリ」
「戦国武将の小姓ミステリ」
とか書いてもらえないものだろうか。

(特に最後の奴、激しく希望!)

 

漫画とかではありそうな気がするんですがそこをあえて児童文学で。

 

ああ、でも…古田足日さんが、書いてた気がするな。さすがだな。
忍者ネタであった気がします。
すっごく面白くて夢中になって読んだっけ。
確か太田道灌が悪役だったような……。
よし、探してみよう!

 

そういうの、現代の子どもたちにもぜひ!

新しいのをplease!

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

オタバリの少年探偵たち
セシル・デイ ルイス (著), エドワード・アーディゾーニ (イラスト), 脇 明子 (翻訳)

第二次大戦直後のイギリスで、戦争ごっこにあけくれる少年たちの物語。ある日、みんなでかせいだお金が消えてしまいます。犯人を見つけ、お金をとりもどそうとするうちに、いつのまにか、悪党一味の大犯罪があきらかに…。小学5・6年以上。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

エーミールと探偵たち
エーリヒ・ケストナー (著), ヴァルター・トリアー (イラスト), 池田 香代子 (翻訳)

おばあちゃんをたずねる途中の列車で,大切なお金を盗られてしまったエーミール.ベルリンの街を舞台に,少年たちが知恵をあわせて犯人をつかまえる大騒動がくりひろげられます.

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

点子ちゃんとアントン
エーリヒ ケストナー (著), 池田 香代子 (翻訳)

お金持ちの両親の目を盗んで夜おそく街角でマッチ売りをするおちゃめな点子ちゃんと、貧しいアントン少年―つぎつぎと思いがけない展開で、ケストナーがすべての人たちをあたたかく描きながらユーモラスに人生を語る物語。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ふたりのロッテ
エーリヒ ケストナー (著), ヴァルター・トリアー (イラスト), 池田 香代子 (翻訳)

おたがいを知らずに別々の町で育った、ふたごの姉妹ルイーゼとロッテ。ある夏、スイスの林間学校で、ふたりは偶然に出会います。ふたりは、大胆な計画をたてるのですが…。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

エーミールと三人のふたご
エーリヒ ケストナー (著), ヴァルター・トリアー (イラスト), 池田 香代子 (翻訳)

どろぼうを追跡してみごとにつかまえた,少年たちの大活躍から2年.お母さんの再婚という大きな悩みをかかえたエーミールは,ちょうど〈教授〉の誘いもあってふたたびベルリンのおばあさんのもとへ.そこで仲間たちといっしょに巻きこまれることになった今度の事件とは? 「エーミールと探偵たち」の続編

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

そらいろのたね
なかがわ りえこ (著), おおむら ゆりこ (イラスト)

ゆうじが模型飛行機を飛ばしていると、きつねがやってきて「そらいろのたね」と模型飛行機を交換することになりました。そらいろのたねを植えて水をやると、なんと空色の家が生えてきたではありませんか! 空色の家はみるみるうちに大きくなり、たくさんの動物や鳥や子どもたちの楽しい遊び場になります。しかし再びやってきたきつねが、みんなを追い出して空色の家を独り占めしてしまいます。きつねが家にはいると、空色の家はさらに大きくなって……。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

星からきた少女
ヘンリー・ウィンターフェルト (著), レギーネ・オフルス=アッカーマン (イラスト), 関 楠生 (翻訳)

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

子どもだけの町
ヘンリー ウィンターフェルト (著), 大塚 勇三[訳] (編集), ぬまのまさこ (イラスト)

 

 

 

 

 

【e-hon】 ─ ネットで予約、本屋さんで受け取れる e-hon サービスで本屋さんを応援しよう📚️

 

whichbook.hatenablog.com

 

子どもの本だな【広告】

児童文学論 時の旅人 11ぴきのねこ
マリールイズいえでする 火の鳥と魔法のじゅうたん ニャーンといったのはだーれ
ひとりよみ名作 バレエものがたり 魔女ファミリー もりのおくのおちゃかいへ

 

にほんブログ村 本ブログ 絵本・児童書へ
にほんブログ村


児童文学ランキング

 

大人が読む児童書「カイウスはばかだ」 2 力作の導入サポート。「カイウスはばかだ」運用マニュアル

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

カイウスはばかだ
ヘンリー・ウィンターフェルト (著),
シャルロッテ・クライネルト (イラスト), 関 楠生 (翻訳)

古代ローマの小さな学校に通う、七人のやんちゃな少年たち。ある日の授業中に、いたずらで書いた「カイウスはばかだ」という落書きが、思わぬ事件に発展して……。無実の罪でつかまった友だちを助けるため、少年たちは一生けんめい、なぞにいどみます。ユーモアたっぷり、元気いっぱいの、ドイツ児童文学の名作。

 

 

大人が読む児童書「カイウスはばかだ」 1 積ん読ナンバーワンを決めろ

 

妹子「ミステリなんでしょ?」
わたし「そう。ミステリは人間関係をきっちり把握して、いつどこにフラグがあるかわからないから、すごく慎重に読んでる。とくに最初の方」

 

最初のページにこんな添え書きがあります。
「作者は」と書かれてるので、訳者のかたの添え書きだと思います。

 

ポンペイでおこなわれている最近の発掘にさいして、「カイウスはばかだ。」と、子どもの手でらくがきされた神殿の壁が出土した。すでに古代口ーマにおいても、子どもたちがこういうやりかたで気ばらしをしていたのかと考えて、作者はこの本を書くインスピレーションをえた。

 

これを日本の子どもたちが読むとき、古代ローマの子供たちだということをどうやって知るのかな?そもそも、古代ローマをわかっているかな?と思いました。
だが、そんなこと気にせずにガンガン読んでいける面白さもあります。


「何かちょっと古っぽい時代だけど子どもなことはたしか」程度の認識でかまわないと思います。

 

 

物語のはじまり、第一章「ルーフスがカンテラをまちがえた」はこんな感じです。

 

ムキウスはびっくりして目をあげた。クラスじゅうがいきなりわっとばかりにわらいころげたのに、なんでわらったのやらさっぱりわけがわからないのだ。いっしょうけんめい勉強していたために、あたりのようすにぜんぜん気をつけていなかったのである。
見れば、ルーフスが自分の席にいない。クサンチッブス先生のうしろにまわって、壁の前に立っているのだ。きっと、こっそり先生の横をすりぬけたにちがいない。いや、まったく、みごとというほかはない。
だが、みんながわらったのは、そのことではなかった。カイウスがまんまとしてやられたのをおもしろがっているのだ。
壁のくぎに、ローマ帝国の地図がかかっているが、ルーフスはそのくぎに、蝋をぬった自分の書字板をぶらさげて、大きな字でたどたどしく、
「カイウスはばかだ」
と、書きつけたのである。

 

カイウスはばかって書かれているので、一番わかりやすいのですが、最初に動きがあるのはルーフスです。

 

f:id:WhichBook:20211115144054j:plain
というわけで、昨日UPした画像、こんな感じになりました。

 

それが関係してくるのかわかりませんが、カイウスは政治家の息子で金持ち、ルーフスは有名な将軍の息子だけど授業料を払うのが、おうちの負担になっている、というのが気になりました。
貧乏とまではいきませんが、軍人の息子くんルーフスは、少なくともカイウスよりはお金持ちじゃないのです。

 

しかも、カイウスはあまり出来もよくなく、言うこともきかないっぽいです。
わがままちんの甘やかされっ子かぁ?

ルーフスに先にちょっかいをだして怒らせたのはカイウスの方です。結果、ルーフスは落書きをすることになった。
優等生のムキウス君も、ルーフスの方に味方してるっぽいです。

 

で、当然、こうなりました。

 

f:id:WhichBook:20211115144146j:plain

クサンチップス先生というのが、教師兼校長です。
ひとりの先生に、7人の生徒。
でもこのせんせい、高名な人で、ローマの良家の子息が通うのにふさわしい学校ということになってます。
(普通の学校は屋根のない路地で習う、など、サラッと書いてあります)

 

f:id:WhichBook:20211115144223j:plain

先生!キッツいよそれは!

退学だと言われたこと、ルーフスは相当にショックです。
他の生徒たちもショックです。

 

f:id:WhichBook:20211115144255j:plain

ん?カンテラを落としていった?
これはかなり重要なフラグっぽいことが書いてあります。意味深な感じです。
「思いもかけない所で見つけることになるのだが」
この三歩歩けば忘れる、痴呆予備軍の頭のために、きちんと書いておこう。
(これは、書いておいてよかったです)

 

f:id:WhichBook:20211115144335j:plain

翌日です。

学校の様子がどうもおかしい。

ここで、よく妄想を働かせて、べらべらとよくしゃべるアントニウス君が、「ルーコスに殺された」とか言うのですが、ここでメモっておいて良かったです。

ものすごい重要人物でした。
どうでもいことまでメモっとこうと思った私、えらいぞ。(ルーフスとルーコスがわかりにくいのでメモったのです)
(モチベーションUPのため、自分で自分をほめる)

 

f:id:WhichBook:20211115144408j:plain

いくら待っても姿形も現れない、先生を含めた三人。

 

f:id:WhichBook:20211115144420j:plain

皆、物音がする、「先生の私室になっている部屋」へと踏み込みます。
いまさらですが、ということはここは先生のおうちに通って習っていたんだな。
先生のおうちが学校だったんだ。
今でいう私設の塾みたいな形ですね。

 

f:id:WhichBook:20211115144536j:plain

これは妹子の落書きだ!

 

 

先生、泥棒に踏み込まれ、ぐるぐるまきにされて戸棚の中に突っ込まれていました!
なんてこったぁ~!
生徒たち、総出で助けます。

 

そして、騒ぎの中心であった、ルーフスもカイウスも結局現れない……。

 

なくなっているのは、
・数学の教科書が数冊(ピタゴラスの本、ユークリッドの数学著作集、先生の鈍角三角形の鋭角についての大論文)
・くだらない絵が二、三枚

 

このあたりで、もうメモはほぼやめました。
ここまでで十分です。

じゅうぶんに頭に入りましたし、すごく先が気になります。

 

 

※他にメモっておいたこと。

 

古代ローマ時代でも、警察はおっそろしくばか

オデュッセウスの仲間が美しい魔女キルケに豚に替えられた話への言及(ギリシャ神話だ~)

・先生は、ルーフスをおどかしただけで、本気で退学にするつもりなんてなかった。

・カイウスの金持ち元老院議員のパパの名前はウィキニウス

・みなは、ルーフスには先生の意図を教えてやろうとしてるが、カイウスの家は素通りする。(あまり好かれてない?)

 

皆、首をひねりながら、とりあえずルーフスを安心させてやろうと、家に行こうとするのですが、その途中でとんでもないものを発見して立ち止まりました。

 

とても大切にされている、皇帝につらなる神聖な神殿、その真っ白な壁に、真っ赤な文字で…
「カイウスはばかだ」の落書きがされているのを。

 

whichbook.hatenablog.com

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

オタバリの少年探偵たち
セシル・デイ ルイス (著), エドワード・アーディゾーニ (イラスト), 脇 明子 (翻訳)

第二次大戦直後のイギリスで、戦争ごっこにあけくれる少年たちの物語。ある日、みんなでかせいだお金が消えてしまいます。犯人を見つけ、お金をとりもどそうとするうちに、いつのまにか、悪党一味の大犯罪があきらかに…。小学5・6年以上。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

エーミールと探偵たち
エーリヒ・ケストナー (著), ヴァルター・トリアー (イラスト), 池田 香代子 (翻訳)

おばあちゃんをたずねる途中の列車で,大切なお金を盗られてしまったエーミール.ベルリンの街を舞台に,少年たちが知恵をあわせて犯人をつかまえる大騒動がくりひろげられます.

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

点子ちゃんとアントン
エーリヒ ケストナー (著), 池田 香代子 (翻訳)

お金持ちの両親の目を盗んで夜おそく街角でマッチ売りをするおちゃめな点子ちゃんと、貧しいアントン少年―つぎつぎと思いがけない展開で、ケストナーがすべての人たちをあたたかく描きながらユーモラスに人生を語る物語。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ふたりのロッテ
エーリヒ ケストナー (著), ヴァルター・トリアー (イラスト), 池田 香代子 (翻訳)

おたがいを知らずに別々の町で育った、ふたごの姉妹ルイーゼとロッテ。ある夏、スイスの林間学校で、ふたりは偶然に出会います。ふたりは、大胆な計画をたてるのですが…。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

エーミールと三人のふたご
エーリヒ ケストナー (著), ヴァルター・トリアー (イラスト), 池田 香代子 (翻訳)

どろぼうを追跡してみごとにつかまえた,少年たちの大活躍から2年.お母さんの再婚という大きな悩みをかかえたエーミールは,ちょうど〈教授〉の誘いもあってふたたびベルリンのおばあさんのもとへ.そこで仲間たちといっしょに巻きこまれることになった今度の事件とは? 「エーミールと探偵たち」の続編

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

そらいろのたね
なかがわ りえこ (著), おおむら ゆりこ (イラスト)

ゆうじが模型飛行機を飛ばしていると、きつねがやってきて「そらいろのたね」と模型飛行機を交換することになりました。そらいろのたねを植えて水をやると、なんと空色の家が生えてきたではありませんか! 空色の家はみるみるうちに大きくなり、たくさんの動物や鳥や子どもたちの楽しい遊び場になります。しかし再びやってきたきつねが、みんなを追い出して空色の家を独り占めしてしまいます。きつねが家にはいると、空色の家はさらに大きくなって……。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

星からきた少女
ヘンリー・ウィンターフェルト (著), レギーネ・オフルス=アッカーマン (イラスト), 関 楠生 (翻訳)

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

子どもだけの町
ヘンリー ウィンターフェルト (著), 大塚 勇三[訳] (編集), ぬまのまさこ (イラスト)

 

 

 

 

 

【e-hon】 ─ ネットで予約、本屋さんで受け取れる e-hon サービスで本屋さんを応援しよう📚️

 

whichbook.hatenablog.com

 

子どもの本だな【広告】

ウルド昆虫記 バッタを倒しにアフリカへ ふしぎなオルガン バタシー城の悪者たち
名探偵カッレくん かこさとし からだの本 全10巻 シンデレラ ミステリー
おとなしい めんどり 新編 世界むかし話集 (全11巻) マーシャとくま

 

にほんブログ村 本ブログ 絵本・児童書へ
にほんブログ村


児童文学ランキング