~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

今日の一冊「かるいお姫さま」(「ふんわり王女」)

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

かるいお姫さま

ジョージ・マクドナルド (著), アーサー・ヒューズ (イラスト), 脇 明子 (翻訳)

魔女にのろいをかけられて、ふわふわ浮いてしまうお姫さま。〈重さ〉をとりもどせるただひとつの場所、湖も魔女のたくらみでしだいに干上がってゆきます。表題作のほか,幻想的な「昼の少年と夜の少女」を収録しました。

 

 

最初に読んだのはアール・ヌーヴォー風の挿絵がついたとても美しいものでした。
題名も違っていて、「ふんわり王女」というものです。
設定にもとてもひかれました。

 

 

ふんわり王女

ジョージ・マクドナルド (著), D.P.ラスロップ (イラスト),

本庄 久子 (イラスト),  蘿原 富美枝 (翻訳)

 

こちらはとにかく、D.P.ラスロップ氏の絵が本当に幻想的で美しいです。
(今は中古品で5000円超のお値段がついています…)

 

訳自体にそれほど違いはありません。
どちらかというと、訳するのがなかなか難しい本だと思います。
「ふんわり王女」の方のすぐれている点はとにかく挿絵です。

 

さて内容はというと…。

 

王女誕生のお祝いに呼ばれなかった魔女の呪いによって、お姫さまは重さがなくなってしまいます。

 

単純に体重が軽くなってしまったというだけではなく、精神も軽くなり…。
要は「軽佻浮薄」という感じの人間になってしまいます。

 

ふわふわと風船のようにとぶ赤ちゃんのお姫さまを侍女たちがボールのように投げて遊んだりと、なかなかその「軽くなってしまった」特徴に対し、周囲も柔軟に対応していて面白いです。

 

しかし、大きくなってからも地に足のついていないおひめさま。

 

王子様が犠牲をもって姫を救うわけですが、命をかけなければなりません。
このお話、「問題解決出来たら結婚できる」わけではないのです。

 

ひと一人の命の重さ、その意味を王女が身をもって知るとき…。
その悲劇の重さが、王女を地に戻します。

 

このような、言葉遊びながらも象徴的な意味も色々と含めつつ、おとぎ話の大円団にもっていく。
マクドナルドの中でもとても好きな一作です。

 

 

kawaiiehon.com

こちらでも、D.P.ラスロップ氏の絵が見られますね!
右から二番目の、浮き上がった王女に王子が手を伸ばしている絵がすごく好きでした。

 

f:id:WhichBook:20200630004942j:plain

 

 

「かるいお姫さま」の原書は、グーテンベルクで読めます。
これはまだほとんど中学英語もあやしいくらいな状態の時に頑張って四苦八苦してよみ進めた、思い出深いテキストです。

www.gutenberg.org

「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492

 

プロジェクト・グーテンベルクについて
Wikiの説明ページ

プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館

 

 


マクドナルドの代表作と言えば、この「王女とゴブリン」です!
表紙は竹宮恵子さん!!

しかし中身はアーサー・ヒューズ氏の昔ながらのイラストです。
 

お姫さまとゴブリンの物語

ジョージ・マクドナルド (著),

アーサー・ヒューズ (イラスト), 脇 明子 (翻訳)

恐ろしいゴブリンの小人たちが,人里離れた館に住む愛らしいお姫さまを誘拐しようとたくらむ.お姫さまを救うのはだれ? イギリスの名作.(改版)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

新訳 星を知らないアイリーン おひめさまとゴブリンの物語

ジョージ・マクドナルド (著), okama (イラスト), 河合 祥一郎 (その他)

アイリーンひめはひみつの部屋で自分と同じ名の若く美しいひいひいおばあちゃまと出会います。その日からゴブリンにねらわれたり、鉱山の少年と冒険したりと危険な毎日。やがて屋敷にせめこまれ…。

 

つばさ文庫の改訳はとても可愛いです!

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

くまのパディントン もこ もこもこ 世界むかし話集6ロシア・西スラブ編上
ふらいぱんじいさん オンネリとアンネリのふゆ 火の鳥と魔法のじゅうたん
ごろごろにゃーん ビロードのうさぎ はるかな国の兄弟

 

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今日の一冊「おおきな木」

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

おおきな木

シェル・シルヴァスタイン (著), 村上春樹 (翻訳)

幼い男の子が成長し、老人になるまで、温かく見守り続ける1本の木。木は自分の全てを彼に与えてしまいます。それでも木は幸せでした。無償の愛が心にしみる村上春樹訳の世界的名作絵本。

 

求められるがままに与え続ける大きな木の話です。

 

・子どもの頃は自分のためのりんご
・大人になってからは収益としてのりんご
・年を取ってからは、背中を預けられる幹としてのりんごの木

 

木はどんなときにも、いつまでも、与え続けます。

 

この求められるがままに与え続ける「木の愛」に母性を見る人が多いようですが、私個人としては、母性というよりも、西洋の感覚にある、「キリスト教的な神の愛」であるように感じました。

 

いつまでも、どこまでも見守っている。そばにいる。
どんなときにも、罪を犯しても間違った道に行っても、何をしてもあたたかく受け入れる。神の愛はひとしなみに注ぐ。

 

というメッセージです。


これも、どちらかというと子どもよりも大人向けのメッセージ性が強い本です。

 

そして、視点が与えられる方ではなくて、与える方にあります。

 

与える喜びを教える本です。
愛することとは、を考えさせられます。

 

子どもの時にこのような絵本に触れることで、どこか記憶に残り(忘れ去られることもあるでしょうけど)、大人になった時に、疲れた時に、ああ、あのことだったのか、と思い出すような存在になるかもしれません。

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

鹿よ おれの兄弟よ さっちゃんのまほうのて みどりのゆび
はじめてのおつかい 火の鳥と魔法のじゅうたん おしいれのぼうけん
人間になりたがった猫 (てのり文庫 (566B003)) (日本語) 新書 - 1988/7/1 ロイド・アリグザンダー (著), 神宮 輝夫 (翻訳) クマのプーさん 闇の左手

 

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大人が読む児童書「チベットのものいう鳥」4 読了です。

大人が読む児童書。
積ん読・解消計画★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

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>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

チベットのものいう鳥

田 海燕 (編集), 太田 大八 (イラスト), 君島 久子 (翻訳)

 

 

大人が読む児童書「チベットのものいう鳥」1

大人が読む児童書「チベットのものいう鳥」2

大人が読む児童書「チベットのものいう鳥」3

 

 

13.如意宝

如意と言えば如意棒のイメージしかなかったですが、はたと気づきました。
如意とは、思った通りに、とか、のぞみをかなえる、という意味なのでした。

 

昔話ではよく、げすな男たちが美しい女性にHなことをたくらむのですが、編者が子ども向けに配慮して、「いかにぼんやりと柔らかくするか」に心を砕いている様を見るのは面白いです。

 

えっ?と思うようなことを、わからないままにさらっと事実をありのままに描いていたりします。
おとなの読み方のたのしみの一つです。

 

今回のこの「チベットのものいう鳥」はなかなかに女性が気高く、美しさのせいで他の男にさらわれたり言い寄られたりしても、とにかく最後まできっぱりと拒否します。

 

これが(私が超おススメの)山室静氏編の昔話集などですと、女性もたださらわれただけではなくて、すっかりなびいた挙句、元夫を殺そうとしたりするお話なども割と入っています。

 

編者の配慮に寄るところは大きいだろうなと思うと同時に、実母犯人を継母にしたグリムなどのように、原作改編にもつながっていき、こうして形を変えていくのだろうな…、と思いました。


14.金玉を吐きだす物語

これはほんとにひどいです。
何がひどいとは、ものいう鳥がひどいです。
いいところで終わりすぎです。王子がかわいそう…。

 

15.竹娘

竹取物語だー!!
びっくりするほど同じでした。

 

この本のあとがきでは、類似性に驚いたと訳者のかたが書かれていましたが、Wikiなどを調べてみると、研究がすすんで、むしろ竹取物語の方がこちらに影響を与えたか、子どものために編をあまれた田海燕さんが、さまざまな物語を独自に編みこんだ可能性もあるとのことでした。

 

なるほど。ならばアモールとプシュケやミダス王などとの類似もうなずけます。
どこからどこまで、と言うことは出来ないでしょうが…。
こうして、昔話は形を変えながら世界に広がって行くのかな、と思わせる一遍でした。

 

16.チャアルカンのさばき

まんまイソップや一休さんのようなお話でした。

 

17.幽霊とおくびょう者

 

18.三人のラマの本心

 

19.国王と同名の人

男の娘だ~~!
(すみません)
意味がわからないかたは調べなくて良いです…💦


20.六人の友と大きな金の鳥

 

21.双頭の鳥

 

22.軍馬が石臼をひく

すごく短くて、要は備えあれば憂いなし、という話なのですが、今、時流にもあっていて普通になるほどと思わせる内容でした。

 

立派な軍馬を戦争が終わった後に、無駄なのでと石臼をひかせることに使った所、使える軍馬はいなくなり戦争にも負けてしまった…という内容です。
中国の故事にいかにもありそうな感じです。

 

23.ジャーマの機転

最初の絵から最初に連想したのは、旧約聖書のユディト伝でした。
アルキメデスの原理を使って象の重さをはかったり、どこからどこまでが作者の改変で、どこまでがチベットの民話そのままなのかな、と思います。

 

24.もどった銀貨

 

25.しっぽと頭のあらそい

超短話です。

 

26.白蛇をたすける

 

27.結末


娘「あれだけ大変だったのに、結末が2ページだよ、2ページ!!」

 

アラビアンナイトも結局、千夜話しつくしたあとは、千夜の産んだ子供を出してきて2ページぐらいで終わります。

 

読み終えて思ったのが、このお話はそもそもの趣旨が「愚かな王子を賢くしたい」という所から始まっていたわけです。
そこで、最後に「ものいう鳥を話を聞くこと」が「愚か者を賢くする手段であった」
とされている所がなるほど、と思いました。

 

実際に話を聞いていたのは賢い王子の方なのですが、為政者として大切なことはすべてこれらの昔語りの中にはいっていましたでしょ、というような趣旨のことを鳥は言います。

 

「読書」「物語を読む」「読みきかせ」「本を読みなさい…」

 

欲の醜さ、気高い心の大切さ、人のさが、運命への抗い方、出来心のおそろしさ。
物語の中に、あらゆる教訓が入っていました。
しかし、あまり教訓くさくもなく、単なるお話として面白く、バランスが取れていてとても良い本でした。

 

特に「5.金沙江の女軍」はこれ一つが入っているだけでも、購入したい、購入する価値があると思うようなお話でした。

特にラストは例を見ないもので大変感銘を受けました。

 

チベットのものいう鳥」昔話を昨今のファンタジーブームで翻案するにもとても参考になるところあり、なおかつとてもすばらしいのが、子供用にと噛み砕きすぎず、中国の香りをうつす硬派な訳本にしていることです。

 

漢文を習った時にこの雰囲気がわかるだろう、と思うような流麗さです。(若干もってまわったところがあるにはありますが)

 

 

もとは漢文である詩がたくさんちりばめられてあり、リズムを壊さないようにしてあります。
これまでずっと残っているのがよくわかる、実にすばらしい名著でした。

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

王への手紙 (上) ムギと王さま ふしぎなオルガン
たのしい川べ 小さなスプーンおばさん しろいうさぎとくろいうさぎ
ひとすじの道 とぶ船〈上〉 (岩波少年文庫) (日本語) 単行本 - 2006/1/17 魔法のカクテル

 

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閑話 ハードカバーのすばらしさ

閑話です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

あまりにもガンバの冒険シリーズが面白かったので、ハードカバーで購入してしまいました。

 

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この厚み…。

 

この「本です!!!」という圧。

 

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これぞハードカバー、という感じがします。

 

ガンバの冒険シリーズ

冒険者たち/グリックの冒険/ガンバとカワウソの冒険 全3冊

斎藤 惇夫 (著), 薮内 正幸 (イラスト)

 

 

こちら、三冊セット中古で15,400円(吐血)


とりあえず、私が買った時には10,280円で、ハードカバーで三冊セットならば、ちょっとお高めになっているだけの妥当なお値段でした。

 

しかし、高い値段がついているというのはそれだけの価値があるということなので…。
どれだけ面白いかということなんです…。(血涙)

 

 

しかし、見事なハードカバーで、ガンバ3冊シリーズがそろいました。

ふと、気がついて娘に聞きました。

 

「そういえば、グリックの冒険のほうがどちらかというと展開も地味で文字を追うのがつらい内容だったと思うけど、ガンバよりも早くに読み終わったね?」

 

ガンバの冒険」を文庫で購入し読んだのですが、読み終わるのに1週間もかかりました。

内容は面白い面白いというのに、なかなかすすみません。
アニメがとても気に入っていて、キャラも頭に入っているのにです。

 

ハードカバーのグリックは2日でした。

 

すると娘が「あのね、読みやすいの!!」と言います。

 

「ガンバ(文庫)はね、本が小さくて、字がつまっていて、すごく集中しても目が飛ぶの。あれどこを読んでたかな…って、文字に指をあててよんだり、もどったりさがしたり、すごく時間がかかった」


「でもグリック(ハードカバー)の方は、字と字の間があいていて(行間のことのようです)、字も大きくて、すごく読みやすかった。ガンバもこっちの大きな本の方だったら、もっと早く読めると思う!」

 

見た目としても、子どもが大きな分厚い本に鼻を突っ込んで読んでいるのを見るのはとても嬉しいことでした。

 

ハードカバーの大きなしっかりした装丁の本のよさを思い知らされました。

 

出版社さん、ハードカバーの受注生産を出来ることなら、もっともっと、してもらいたいです!!

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

グリックの冒険

斎藤 惇夫 (著), 薮内 正幸 (イラスト)

飼いリスのグリックは、野生のリスの住む北の森にあこがれ、カゴから脱走します。町でドブネズミのガンバと親しくなり、動物園で知りあった雌リスののんのんといっしょに、北の森をめざします。

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

レ・ミゼラブル そらいろのたね 完訳 ファーブル昆虫記
ゴインキョとチーズどろぼう スーホの白い馬 メリサンド姫: むてきの算数!
クリスマス・キャロル 火曜日のごちそうはヒキガエル アラビアンナイト シンドバッドの冒険

 

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大人が読む児童書「チベットのものいう鳥」3 金沙江(=長江)、河の女神の物語

大人が読む児童書。
積ん読・解消計画★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

チベットのものいう鳥

田 海燕 (編集), 太田 大八 (イラスト), 君島 久子 (翻訳)

 

 

大人が読む児童書「チベットのものいう鳥」1

大人が読む児童書「チベットのものいう鳥」2

 

 

 「5.金沙江の女軍」
すばらしいです。

 

通しで読んだ後にも言えますが、これが筆頭で一番個性的で素敵な物語です。この一篇のためだけにでも、買いたいと思いました。

 

原始の大河の擬人化です。
金沙江(=長江)のお話です。

 

大河の擬人化も面白いですが、その擬人化具合が、実際の「河」としての性質とひとりの神格を兼ね備えた女性としての性質とが実に見事にとけあっていて感動的でした。

 

大河の神たちを産んだ母はパエンカラ山脈。
四人の子供がいます。

 

長男が黄河(ホワンホオ)
長女が怒江(ヌーチアン・サルウィン川上流)
次女が瀾滄江(ランツァンチアン・メコン川上流)
三女が金沙江(チンシャチアン・長江)

 

主人公は金沙江、チンシャチアン。かわいい響きです。
いちばん末の女の子です。

 

河たちは、母のもとを離れ、旅をしながら大陸を巡り、支流を従えながら下っていきます。
それを軍隊の進軍にたとえていて、金沙江は女軍です。

 

怒江(ヌーチアン・サルウィン川上流)と瀾滄江(ランツァンチアン・メコン川上流)は、こらえ性が無くて軽はずみ、ということになっていますが、これは黄河と長江に比べて短いからのようです。

 

まあ…確かに…。
黄河と長江、この二つに比べればね…。

 

河の流れのさざめきが女性の笑い声のようで、山や城壁に何度もぶつかっては打ち壊して先にすすみます。

 

母パエンカラが命じた一大事業、金色の種を岸辺にまきながら進み、「大地を緑玉黄金のような世界に変える」ために。

 

金沙江が山や谷にぶつかって壊しながら進むたびに、その周囲を支配している原始の神々が怒り、何者だと呼びかけます。
すると水しぶきと女性の笑い声の中からぱっと(大河の擬人化した)美しい女将軍が姿を現すところなど、とても素敵でした。

 

チベットに留まらず、中国全体の神話とも言えそうでスケールの大きさを感じさせます。

 

パエンカラとは、崑崙山脈のひとつ、バヤンカラ山脈のことのようです。

バヤンカラ山脈 - Wikipedia

 

 

 

6.金花と銀花
九尾の狐っぽいターマという悪役が登場します。
いかにも中国の狐狸精こりせい(フーリーチン)という感じです。

 

7.慈善家とカメ
とんち系です。

 

8.白鳥になった王子
昔話によくある、毎日山羊がいなくなる話と、ギリシャ神話のアモールとプシュケを足したようなお話です

 

9.竜の目をかく
画竜点睛だ!しかし、画竜点睛の熟語のもと、故事になったお話とはまた違うようです。

 

10.九色鹿
くしきじかと読みます。人間の欲の深さと醜さを説いています。
しかし、九色の鹿とは、とてもファンタジックで素敵だなと思いました。
ファンタジーを書く人たちにも、とても示唆に富み参考になるなと思います。
昔話はこうして、現代にあわせた形で再話、再話と語られていき、語り継がれていくものですから…。

 

11.一本の手

 

12.黄金の夢
これは完全にギリシャ神話の「ミダス王」です。そのまんまです。
「アモールとプシュケ」っぽかった「8.白鳥になった王子」といい、チベットにもギリシャのお話が伝わっていたのだろうか。
それとも、類話と呼ばれるものは世界各地で見られるので、どれが最初だと言うことは出来ないのかもしれません。

 

 

 

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王への手紙 (上) ムギと王さま ふしぎなオルガン
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大人が読む児童書「チベットのものいう鳥」2 沼地、毒龍、ムカデ、そして黙ってしまう

大人が読む児童書。
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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

チベットのものいう鳥

田 海燕 (編集), 太田 大八 (イラスト), 君島 久子 (翻訳)

 

 

大人が読む児童書「チベットのものいう鳥」1

 

 


ちらっと調べてみると、中国北京のチベット民話研究者のかたがまとめた子供用の物語のようです。
原題は「金玉鳳凰

 

チベットのものいう鳥」はすばらしい訳だと思いました。

 

今、チベットウイグルについてわたしの知るところは、文化の破壊に苦しんでいるという事ぐらいでした。
調べてみると、チベット族の人は広く四川のあたりにも分布しており、中国とチベットの深い歴史的な関わりを感じさせました。

 

読み進めます。

目次の1と2

1.ふたごの王子と魔術師
2.ものいう鳥をたずねて

が導入の部分にあたるようです。
アラビアンナイトで言うなら、王様がシェハラザードに会うまで一体何が起きたのか、というところです)


賢い王子と愚かな王子が登場します。
弟の愚かな王子を何とかして教育したいと思う両親の王様とお妃さま。
そこに七人の魔術師が…。

 

ロシアの物語などでは、「イワンのばか」のように「愚かだと思っていた方が賢かった~!どんでん返し~!」という感じのお話がありますが、こちらは愚かな王子は愚かなままです。

 

賢い王子はよい人なのですが、賢さをちょっと鼻にかけている所があります。
でも、賢い王子と愚かな王子は仲良しです。
魔術師やら二人の王子やらで、てんやわんやの大騒ぎになります。

 

とりあえず、「ものいう鳥」を賢い王子が捕まえ、連れて帰ることが出来たら万事OK。
すべてが丸くおさまる。
ここまでが割と長い一つの話です。

 

賢い王子はものすごい苦労をしてものいう鳥の所までたどり着きました。
妖怪はいるしヒルはいる。
72日間歩き続けて沼地にたどり着き、毒龍がいてさらに108日間歩き通してムカデが出て…。

 

昔話だし、中国ものなので、「三日三晩」の大袈裟な表現なのだ、とわかるのですが、72日+108日で180日です。
一年が365日ですから、これはもうおよそ半年かかっている計算です!


それほどまで苦労してやっとたどりついた金玉鳳凰、これがものいう鳥のようです
(しかし硬派な文体です!)


ものいう鳥「金玉鳳凰」を連れて行く道中で、王子は口をきいたらいけないことになっています。

ここで、長いお話から短いお話まで、実にさまざまなお話をものいう鳥は語ります。

 

最初に鳥が語ったのは目次の3からでした。
ここから目次は27まであって27の最後が結末なので鳥は24話の物語を語ったことになります。

 

まずは、「3.不思議な紙切り老人」です。
紙を切って色々なものを見せる、まるで式神を操る道士のようなお話です。

 

王子がすっかり話に引き込まれ、夢中になったところで、ものいう鳥は、すごくいいところで突然黙ってしまいます。
我慢できずに王子は「それからどうなった」と聞きます。

 

鳥は、親切にも結末は一応話してくれるのですが、王子の手から逃げて、飛んで帰ってしまいましたー!!

 

「まて。これもしかして、お話するそのたびに、鳥は帰るの?」
「そう。最悪でしょ」
「あんなに苦労したのに!?」
「そうなのー!」

 

はー、なるほど。そういうことだったか…。

 

「でも読んだんだよね」
「読んだよ!あっ、そのお話はすごく良かったよ」

 

「4.生きた人形」ではなくて、そのあとの「5.金沙江の女軍」です。

これはすごくいいお話でした。

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

真夜中のパーティー コッペパンはきつねいろ 名探偵カッレくん
グレイ・ラビットのおはなし ビロードのうさぎ 闇の左手
レ・ミゼラブル 銀のいす 旅人タラン

 

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大人が読む児童書「チベットのものいう鳥」1 読んだけど最悪だった?

大人が読む児童書。
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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

チベットのものいう鳥

田 海燕 (編集), 太田 大八 (イラスト), 君島 久子 (翻訳)

 


自粛明けに図書館が開いたので、本を借りに行きました。
「グリックの冒険」など選んで、カウンターで聞きました。
「残っている本はありませんか?」
「こちらが一冊、残っています」

 

あれっ!?

 

以前、娘が借りていたのです!

 

怖い顔をして横目でにらんで、返却期限を延ばしていただきました。
帰ってから、本棚の中に混じってしまっているこの本を取り出しました。

 

チベットのものいう鳥」を、まさか、借りていたなんて。

 

ずっとずっと、何度も何度も借りよう借りよう、読もう読もうと思っていた本です。
何と子どもの頃からです!!
これだけの年月が過ぎ去ってしまいました。

 

これは返す前に私が読まねばなるまい。
ついに、本懐を遂げるときがきたのだー!

 

「それ読むの?」
と娘に聞かれました。
「最悪だったよ」

 

ええっ!?

 

「え、最悪なの?面白くなかったの?」
「面白くないというより、最悪だった」
「でも読んだんだよね!?最悪なのに読んだの!?」
「読んだよ。読めばわかるよ」

 

なんだかすごく気になります。
「鳥が話すんだよ。たくさんのお話をするの」
それは、一応調べたので知っています。
昔話だとよくある形式です。
アラビアンナイトと同じ、と書かれていました。

 

アラビアンナイトと同じ感じなのだ。そもそもアラビアンナイトとは」と説明しようとすると「知ってるし!」と遮られてしまいました。
「お姫様が殺されないために、王様に毎晩違う話をするんでしょ?」


…というわけで、読みはじめてみました。

 

まず、「ものいう鳥がたくさんのお話をする」「チベットの話」という以外はほとんど予備知識なく読み始めたので、その硬質な文体にびっくりします。 

 

かまびすしい声は、一時に梁を振るわせ、殿上のほこりがふっとび、玉座の王の耳にまでひびきわたった。国王ははっと顔色を変え、ほこりの中でぬかずいているそれら烏雀どもを、怒りのまなざしで、にらみわたしてから、警備の兵に叫んだ。
「はやく、うたっている者を、呼んでまいれ」
うたっていたものは飄然と入ってきた。一人また一人と、七人の魔術師が、すうっと入ってきたのだ。彼らは歩くにも地面に足がついていなかった。 

 

かまびすしい声は、一時に梁を振るわせ…
ぬかずいているそれら烏雀ども…

 

すごいです。

 

 

これは、チベットの昔話というよりは、中国の作品の翻訳だな?
伊藤貴麿氏の訳された「西遊記」を読んだ時と同じ感じがします。

 

 

西遊記〈上〉

呉 承恩 (著), 伊藤 貴麿 (翻訳), 吉岡 堅二 (イラスト)

花果山の石から生まれた孫悟空は,72通りの変化の術を使って,縦横無尽の大活躍.インドへ経典を取りに行く三蔵法師を助け,数かずの妖魔を退治しながら冒険の旅を続ける.〈改版〉

 

 

中国のお話は、修辞が独特で漢詩をそこかしこに盛り込み、歌うような流れがあります。
その雰囲気を壊さないよう、割と忠実に訳しているな!という印象です。

 

しかし、フラットに読み進められる感じではありません。
娘、難しかったから「最悪」と言っているのだろうか?

 

魔法使いなどが出てくる昔話のいい所は、たとえ文章が難しくても続きが気になるところです!
どうなるのか、と思って続きを探すうちに、だんだん文を読むことになれていく。
これはとてもありがたいことです。

 

「地面に足がついていないまま宮殿に入ってきた七人の魔術師」
これはすごく気になります。

 

大人の自分が面白いです。
(ちょっとキョンシー映画っぽいです)

 

 

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子どもの本だな【広告】

ちいさいロッタちゃん オンネリとアンネリのふゆ はるかな国の兄弟
シートン動物記(青い鳥文庫) ジュニア版ファーブル昆虫記 全8巻セット 北極のムーシカミーシカ
ぜったいがっこうにはいかないからね もこ もこもこ ひみつの花園

 

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今日の一冊「チロヌップのきつね」

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

チロヌップのきつね

たかはし ひろゆき (著)

北海の孤島で平和に暮らすきつね親子にも戦争の余波が…詩情豊かなロングセラー絵本。

 

 

チロヌップの狐の話は、ごんぎつねと同じかそれ以上に号泣してしまうお話です。

 

全体的には、何となく筋立てのないまま、散漫といえば散漫にお話は進みます。
ちいさな子ぎつねを捕まえた老夫妻は、ちびこと名前をつけ、赤いリボンをつけてやってかわいがります。

しかし、島にも兵隊がやってきました。まずお兄ちゃんぎつねが撃たれ、それからちびこは罠にかかります…。

 

最後まで読んでみて、一体おじいさんとおばあさんは何だったんだろう?というような、一見つながらないし何の影響も及ぼさないように見えるストーリーでもあります。

 

このような、淡々とした事実だけを述べていくようなつくりの物語が、不思議な感動をもたらすことがあります。

 

都合よく上手に話にからんできたり、伏線回収したりしないからこそ、真実味が増すとでもいいますか…。
物語は綺麗に静かにひそやかに終焉を迎えます。

 

小さな赤い花は、そこにちびこが確かにいたこと、人とのかかわりがあったことを示唆しています。

 

大きな歴史の流れは変えられない。
ただ、北方の島々がかつてはアイヌの人々のすみかだったこと。
それが普通だったこと。人々のいとなみがあり、動物たちのいとなみもまた、あったこと。


そういう歴史を知らせる意味でもこのチロヌップの狐はとても 何度でも 読んでもらいたいお話だと思います。

 

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

てぶくろ モモ 星の林に月の船 声で楽しむ和歌・俳句
ヒナギク野のマーティン・ピピン いいおかお あなたのおへそ
もう ぬげない しろいうさぎとくろいうさぎ クローディアの秘密

 

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今日の一冊「森は生きている」

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

森は生きている

サムイル マルシャーク (著), 湯浅 芳子 (翻訳)

気まぐれな女王が真冬に4月の花マツユキソウをほしいといいだし、国じゅう大さわぎ。継母の言いつけで吹雪の森に分け入った少女は12の月の精たちに出会います。有名な児童劇。

 

「今どこを読んでるの?」

せかされてしぶしぶ読み始めたうちの子、気が乗らない様子なので聞いてみました。

「え?リスくんウサギくんのおにごっこそんなところはいいの!サーッとななめ読みでいいの!女王様だよ。第二(第一幕第二場です)の所に女王様が出て来るから、そこを読んで欲しいの!とっとと先にすすめ!」

 

ものすごくひどい読ませ方です。
間違いなく、教育的によくないです。

 

「ちゃちゃっと飛ばして!」
「女王様ぁ~?」
「女王様といっても、女の子なんだよ。14歳の女王様だよ。お父さんもお母さんも死んじゃったから、14歳で女王様になったの。もうこれは絶対読んでみてって思った。最悪だから読んでみて!」

 

もう、娘の方も慣れていますので、言われたとおりそのリスくんウサギくんのあとの、主人公と老兵士の会話などななめ読みして、第二場の女王様の所を読み始めました…。

 

少し読んだだけで言いました。

「うん最悪だな。何だこいつ」

えらい勢いで読み始めました。そして言います。

「『しゃくほう』と『しけい』だと死刑の方が書くのが楽だから死刑にするって何こいつ!こんな奴を女王なんかにしちゃいけないって法律を作った方がいいと思う!
「そうでしょ、でもそれでね…」

こいつかけざんもできないの!?14さいでしょ!?小学生の私でもできるわ!6×6=36だよ!36だよね?」

「うんそれでね…」

「マツユキソウ!こんなやつにマツユキソウとか渡しちゃだめだわ!こんな奴がマツユキソウをもらえたら、あるじゃん。じゃあいいんだ。次はリンゴ、次はクルミ、次は…って何でもかんでも要求するよ!?渡しちゃダメ!」

「するどいね…」

 

 

サムエル・マルシャークの超有名な戯曲です。

 

子どもを演劇の魅力の世界に運ぶには、実にぴったりの一冊です。
(いや、別にアンパンマンショーでもぜんぜん、良いんですけども)

 

読めば間違いなく、面白くてどうなる、どうなる、と次々に読んでしまえること、間違いなしです。

 

冬のさなかに、マツユキソウが欲しいという若い女王のわがままなおふれ。
まま母さんとまま姉さんのいじわるから、冬の森に迷いこんだむすめ。
薪の炎を囲む、擬人化された12の月が彼女を迎えます。

 

悪役がとても魅力的、といいますか…。

とにかく憎たらしいです。

 そこが面白いので、次々に読めてしまいます。

 

いじわるな継母と義姉はテンプレとしてともかく、この騒ぎを引き起こした元凶の、わがままな14歳の女王さま。
これがまた、ものすごく最悪で、まさに14歳の生意気でわがままでもののわかってない女の子、という感じです。
少しだけ、可愛げはあります。

 

 

「そのあとに継母の老婆とその娘、義理のお姉さんが出て来るけど、まあお母さんとしては、まだ女王様の方がいいかな」
「ふーーーーん」

気乗りのしない返事です。
さて継母と義姉の所にさしかかりました…。

「何こいつら、最悪!」
「最悪でしょ」
「うん、どちらかといえば女王のほうがまだいいかな」
「さっきふーんとか言ってたくせに…」
「なめてたわ。こいつらほんと最悪だわ」

 

 

こいつらが一体どうなるのか?
物語は本当に、悪役が大事だなと思います。

 

シンデレラ物語の主人公や悪役たちは、とても良い子ちゃんだったり、ものすごく悪い子ちゃんだったりするので、どれも自分たちとはかけ離れた存在です。

このお話でやっぱり、いちばん身近で、いちばん自分たちに近くて、いちばんあるある!なのは、間違いなく、この女王様です。

 

 

また素晴らしいのが「森は生きている」という題名です。
「12の月」という題名を、この題にしたすばらしさはこれはもう、これ以上はないだろうと思われるすばらしさです。

 

またこの「戯曲を文字を読む」というのが実に良いものです!

 

ほぼ会話でだけ成り立っているので読みやすいし、劇を実際に見たときの自分の想像との違いに衝撃を受けるのもいい刺激になります。 

 

このすばらしい「森は生きている」という題名で訳された湯浅芳子さんのあとがきを引用したいと思います。
これもまた、「あとがきの教科書」とも言うべきすばらしいあとがきです。

 

この作品は、ふるくから伝わるスラヴの伝説、すなわち新年を控えた大みそかの晩に1月から12月までの月の精がのこらず森の中で出逢うという伝説をもとにして書かれたもので、境遇の不幸に負けることなく、いつも明るさと他人への思いやりとを失わず、雄々しく勤勉に働く少女が思いもよらぬ幸福を得たという、いわば、ソビエトのシンデレラ物語です。
いわゆる継子いじめがあったり、娘と同じ年頃の両親のいない女王のわがままがあったりして、物語は面白く展開しますけれど、しかしこの作品のねうちは、そうした筋の面白さばかりにあるのではありません。作品の底に流れている高いヒューマニズム、人間なり、人間の生活なり、また社会なりへ向けた、作者の目の鋭さ、深さ、視野の広さなどによって、この作品は普通ありきたりの童話劇でないものになっています、また、その内容を表している形式の美しさによって、高い芸術作品にもなっています。ですからこれがメーテルリンクの有名な「青い鳥」に肩を並べる優れた童話劇と言われているのも、もっともです。 

 

 

マルシャークはどうぶつたちを描くのが本当に上手です。
お気に入りのマルシャークの絵本を二冊、上げておきます。

 

しずかなおはなし

サムイル・マルシャーク (著), ウラジミル・レーベデフ (イラスト), うちだ りさこ (翻訳)

はりねずみの父さんと母さんとぼうやが、真夜中に散歩にでかけました。森の動物たちはみんな眠っていますが、2匹のおおかみだけは目を覚ましていました。おおかみははりねずみをつかまえようとしますが…。真夜中の森でおこった静かな静かなお話です。

 

 

どうぶつのこどもたち

サムイル・ヤーコヴレヴィチ マルシャーク (著), 石井 桃子 (編集, 翻訳),

チャルーシン (イラスト), レーベデフ (イラスト)

動物園で生まれたライオンやキリンの赤ちゃんたちを愛らしく描いた「おりのなかのこども」、いさましいメンドリの話「めんどりと十ぱのあひるのこ」、わがままな子ネズミの話「ばかなこねずみ」など。

 

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

かこさとし からだの本 全10巻 こわれた腕環 おかあさんは魔女
ながいながいペンギンの話 王への手紙 (上) 長い長いお医者さんの話
スーホの白い馬 はらぺこのえんそく はははのはなし

 

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今日の一冊「どんなにきみがすきだかあててごらん」

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

どんなにきみがすきだかあててごらん

サム マクブラットニィ (著), アニタ ジェラーム (イラスト), 小川 仁央 (翻訳)

チビウサギとデカウサギは大の仲良し。「ぼくはきみのことこーんなに好きだよ」二匹は腕を広げたり、背伸びしたり、飛び上がったり、どんなに相手を好きか言い合うのです。絵もお話の進行も終わり方もほのぼのした本。(「MARC」データベースより)

 

やさしい、やさしい、絵本です。
だいすきな気持ちがいっぱな本です。

 

二匹のうさぎは、競い合うように、「相手のことがどれだけすきか」を言い合っているうちに、ちいさなうさぎは眠くなってしまいます。


この本の面白いところは、おたがいに大好きだと言い合う二匹のうさぎ。
その関係性を示す記述がまったくないことです。

 

チビウサギとデカウサギは親と子なのか、友達なのか、兄弟なのか、お父さんなのかお母さんなのか、全然わかりません。
ここで訳をどれともとれる「きみぼく」にしたのはほんとにすばらしいなと思います。
日本語は一人称の使い方で漠然と関係性が決まってしまいますから。

 

ただひたすら、デカウサギとチビウサギは、お互いが大・大・大好きなのです。

 

そこにある
「すき、という気持ちを表現すること」
というただそれだけの描写が、ただひたすらあたたかく、幸せな気持ちになる絵本です。

 

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

名前を見てちょうだい 火曜日のごちそうはヒキガエル クラバート
ちいさいモモちゃん シートン動物記(つばさ文庫) おおきな木
チョコレート・アンダーグラウンド ライオンと魔女と洋服だんす エーミールと探偵たち

 

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今日の一冊「ちいちゃんのかげおくり」

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

ちいちゃんのかげおくり

あまん きみこ (著), 上野 紀子 (イラスト)

なつの夜の くうしゅうで かぞくと はなれ、 ひとりぼっちで まちを さまよう ちいちゃん。 悲惨な戦争のかげに小さないのちをとじた 女の子のすがたを、静かに描いた絵本。

 

8月を迎える前、夏休みを前にした時には、読みがたりボランティアさんがたは、みんな一冊か二冊、戦争のお話を入れることが多いです。

 

まだ6月で8月まで来てませんが、紹介しちゃいます。


暑くなってきて、日差しもつよくなり、かげおくりがうまく出来るようになる季節です。

 

冒頭は、ちいちゃんを囲む幸せな家族が「かげおくり」という遊びをする所からはじまります。
足元の影をみんなで数秒、目を離すことなくしっかりと見つめ、目をふっと上げると、細孔に残った影の残像がふわっと空に浮き上がるように見える遊びです。

 

このお話の悲しさは悲しさ、意味は意味として、とても面白い遊びですのでぜひやってみてください。

 

「ちいちゃんのかげおくり」は戦時中のお話ですが、ちいちゃんという小さな女の子の目線を追いながら語られます。

 

ちいちゃんは、いったい何が起きてるのか全く分かりません。
体が弱いお父さんがどうして「いくさ」に行かなければならないのかもわからないし、確かに何かが起きて、皆あわてふためき、周囲も火に包まれているのですが、よくわかりません。

 

だから誰を責めるわけでも何を責めるわけでもなく、ただひたすらちいちゃんの目線で、何か恐ろしいことが周囲に起こり、誰もかれもが死んでいき、最終的にちいちゃんも天に召される(と言うと聞こえはいいのですが戦争で死んでしまう)わけです。

 

そんなちいちゃんを受け止めたのは、空に向かうかげおくりの影たち。
おとうさんの影、おかあさんの影…。
懐かしいあたたかい記憶に包まれてちいちゃんは一緒にかげとなって空へ一歩一歩足を踏み出して行きます。

 

なんとなくアンデルセンのマッチ売りの少女を思わせるような描写です。
せめて、あたたかく楽しい家族の遊びの思い出と共に空に迎えられてもらおうという作者の願いがこめられています。

 

切ないという言葉では語りきれないお話です。

 

ここにはなぜ、という理由など一切なく、誰を恨みに思うわけでもないので、ただただひたすら悲しいです。
身も蓋もない言い方をすれば、何の罪もない一人の幼い女の子がただ死んでいくというお話です。

 

ただ、このちいちゃんのかげおくりのお話は、かつてほんとうにあったことだし、今も確かにどこかであることであり、将来、起こるべきことである、ということだけは教えてあげなければならないと思っています。

 

かげおくりという題名、どことなくさびしい響きです。
ですがちいちゃんにとっては楽しかった日々の思い出とつながる家族の絆でした。

 

この本を選ぶ方は多いのですが、やはり涙を抑えるのがとても大変だと言っていて、「どうやって泣かないようにするか?」というのを皆で相談しあったりしていました。
かわいそうなぞう」「チヌロップのきつね」
無理無理無理、です。

 

慣れた方は
「ただひたすら淡々と読む!」
「もう何も考えずに読む!」
「言葉だけを追いかける、意味を考えてはだめ」
と仰っていました。

 

しかし私はどうしても自信がないので、残念ながらこの本をまだ読みきかせに使ったことはないのです💦
なんてこった。

 

しかしブログだと、別に泣かなくても紹介できるので、これはよい取り組みだ!と思いました。

 

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

影との戦い ウルスリのすず 海のおばけオーリー
こんとあき めっきらもっきら どおんどん ちいさいモモちゃん ルウのおうち
あめの ひの ピクニック ももいろのきりん 床下の小人たち

 

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大人が読む児童書「グリックの冒険」2 読了。君は、君自身の戦いを戦え

大人が読む児童書。
積ん読・解消計画★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

大人が読む児童書

 

グリックの冒険

斎藤 惇夫 (著), 薮内 正幸 (イラスト)

飼いリスのグリックは、野生のリスの住む北の森にあこがれ、カゴから脱走します。町でドブネズミのガンバと親しくなり、動物園で知りあった雌リスののんのんといっしょに、北の森をめざします。

 

 

大人が読む児童書「グリックの冒険」1

 

 

 今回読むにあたっては、まずは図書館から借りてきたのですが、このハードカバー...💖

f:id:WhichBook:20200616222311j:plain

 

すごく読みやすいです。

 

本屋さんに置く場所もないし、つくるのにもお金がかかり、高いので買い手もないのかもしれません。

でも、この

「本」を読んだぞ~!感はすごいです。

f:id:WhichBook:20200616223227j:plain


大人でさえ思いますから、子どもがこうしたしっかりとした装丁の分厚い本を開いて夢中になって読む感覚は、特別なものではないかと思います。

経験です。

字が小さくて、分厚くて、地味そうな(一見つまらなさそうな)重たい物体の中に、素晴らしい世界が広がっているという...。

改めて、このようなしっかりした物語をハードカバーで子どもに与えることの意味の大きさを考えさせられました。

 

 

さてグリックは、クマネズミとドブネズミ(ガンバ側)の争いに巻き込まれます。

 

この戦いをガンバと一緒にこなし、しばらく一緒に過ごしたことで、グリックは胆力もつき、長い旅をこなすだけのスキルを身に付けます。

ガンバは、彼の知っているリスの仲間たちの所に案内するまで、じっとグリックに付き添います。
えさの面倒もみてやり、危険も教えます。
かっこいいです…ガンバ…💖

私情が入りまくりです。

 

作者が「冒険者たち」のあとがきで、急にグリックのお話に飛び込んできて、動き出したと言っていたのもわかる気がします。

 

そして、ガンバ、ずっと一緒にいるわけではありません。
どこか、グリックを自分の戦いに巻き込んだことを後悔している様子もあります。
ガンバはグリックを見届け、シマリスたちの群れの手前で別れを告げます…。

 

ガンバはグリックに何度か、大切なことを伝えます。

「あれは君の戦いではなかったんだよ。あれは、おれたちの戦いだったのさ。いいかい、君の戦いはあれじゃなくて、これからだ。君は、君自身の戦いを戦えばいいんだ。」

 

上野の公園にはリスがいて、カメラを向けると完璧なキメポーズもしてくれると書いてあるのを、最近ツイッターで見たことがあります。
「グリックの冒険」のwikiページをみていると、これは井の頭公園ではないかとのことでした。

 

しかし、グリックがきたのは、「北の森」ではなくて、動物園のシマリスのおりの中でした!
グリックはおどろき、ここはぼくのうちじゃない!と叫びます。

たくさんの動物園のリスたちは驚きながらも、グリックを受け入れてくれます。
グリックは次第に、動物園の生活に慣れていきそうになっていきますが…。

 

グリックがシマリスたちに、ネズミたちの戦いの話を聞かせていると、突然、声が響きます。

 

「それはもうわかったわ!いつまでも同じことをくりかえしているの!ネズミじゃなくて、あなたの戦いの話がききたいのよ!あなた自身の戦いの話が!いつになったらあなたは...」


あなたの話を聞きたいのよ!
という叫び。
それは、ガンバの「君は、君自身の戦いを戦え」ということばにつながるものでした。

 

その叫びに突き動かされ、グリックがガンバが教えてくれた入り口をたどって外の世界に出ようとすると、足の悪いのんのんというめすのシマリスがこっそり、ついてきていました…。

二匹は連れ立ってハトのピッポーが言及した「シマリスのいる北の森」目指します。


…というお話です!!

 

大変読み応えがあり、かつ長編で文章も読みやすく、ワクワクドキドキ、まさに「冒険者たち(ガンバの冒険)」を読み終わるのが待ちきれなかったあの感覚をふたたび味わえます。

 

ああ、こんな風にして、これが面白かったからこれも…これも、という風に、「本を読むこと」に引き込まれて行ったなあ…と記憶がよみがえりました。

 

「読書」に対して格段にハードルを低くしたのはこれらの楽しみでしたし、叙述がしっかりしていて見事なため、大人の名作本にもすんなりと入っていける土壌を育てます。

 

グリックは元気なのでひとりでどんどん行ってしまおうと思えばできたはずでした。
しかし、のんのんの存在にどれだけ助けられたか知れません。

お互いに励ましあい、助け合いながら、北の森を目指し、二匹でなければたどりつけなかったのです。

(そして、のんのんがなぜ、足が悪くなってしまったのか、という理由を知った時には本当にぞっとしました)

 

グリックは、ガンバの戦いを目にすることで、「生きるための戦い」それも「他人のものではない、自分自身の戦い」を意識するようになります。
とてもとても大事なことだと思いました。

 

いつまでも語り継いでいきたい一冊です。

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

冒険者たち ガンバと15ひきの仲間
斎藤 惇夫 (著), 薮内 正幸 (イラスト)

イタチと戦う島ネズミを助けに,ガンバと15ひきの仲間は、船で夢見が島に向いました。しかし、白毛ノロイがひきいる、どうもうなイタチの群れに追いつめられ、海岸の岩山で最後の決戦の時をむかえます。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ガンバとカワウソの冒険

斎藤 惇夫 (著), 薮内 正幸 (イラスト)

ガンバと15ひきの仲間は、ゆくえ不明のネズミをたずねて、四の島に渡ります。探しあてたネズミのそばにいたのは、死に絶えたはずの2ひきのカワウソでした。凶暴な野犬と戦いながら、カワウソの仲間が生き残っているかもしれない伝説の河「豊かな流れ」をめざして冒険がはじまります。そこには、想像をこえる体験が….

 

 

 

 

ガンバの冒険(1975TV版.Amazonプライム)

頑張り者のネズミ・ガンバは、相棒のボーボと一緒に、海を一目見ようと港町までやってくる。そこで出会った子ネズミの忠太が、自分たちの島の仲間を助けて欲しいと求めてきた。力自慢のヨイショや博学のガクシャといったネズミ仲間とともに、大海原へ乗り出すことを決意する。だが、目的の島には脅威の白イタチ・ノロイが待ち構える。小さなネズミ7匹が繰り広げる波乱に満ちた大冒険。他に類を見ない表現にドキドキハラハラの連続だ。(C)斎藤惇夫岩波書店・TMS

 

 

 

 

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つみきのいえ まぼろしの小さい犬 完訳 ファーブル昆虫記
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大人が読む児童書「グリックの冒険」1 アニメのガンバ、りすのクリークのモデル?

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

大人が読む児童書

 

グリックの冒険

斎藤 惇夫 (著), 薮内 正幸 (イラスト)

飼いリスのグリックは、野生のリスの住む北の森にあこがれ、カゴから脱走します。町でドブネズミのガンバと親しくなり、動物園で知りあった雌リスののんのんといっしょに、北の森をめざします。

 

 

冒険者たち~ガンバと15匹の仲間たち」を読んで、「ガンバの冒険」のアニメシリーズを見て、大変・大変感銘を受けたので、斎藤 惇夫さんの他の作品も読んでみることにしました。

 

斎藤 惇夫さんの作品は

1、グリックの冒険
 ここにガンバがサブの登場人物として登場。

2.冒険者たち ガンバと15ひきの仲間
 ノロイとの闘い。
 ガンバがグリックに会ったり、15ひきの仲間と出会う以前の物語。

3.ガンバとカワウソの冒険

 

とのことだったので、まずは最初の「グリックの冒険」を読んでみました。

 

さてどんな感じだろう…と、意気揚々とページを開き、シマリスのねえさんとグリックが現れたとき、なんとなく、感じました。

 

アニメに登場したリスのクリークは、多分このグリックがモデルなのだろうと思います。

 

アニメのガンバに登場したリスのクリークはものすごく印象的なキャラクターで、ものすごく強く心に残りました。

 

原作者の物語を、アニメはさまざま、あちこちに投影させていたのだなあ、と感慨深く思いながら読み進めます。

 

アニメのクリークはにいさんで、妹がイエナでしたが、こちらの主人公グリックにはねえさんがいて、フラックという名まえです。

 

 

子どものときにペットショップからひとのうちに飼われてきたリスのグリックとフラックの姉弟は、人間の家でそれなりに幸せに暮らしていました。

しかしある日グリックは、窓の外のハト、ピッポ―から、自分が「シマリス」であること、北の森にたくさんの仲間たちがいて、自由に暮らしていることを聞いてしまいます。

「こんなところにいるなんておかしい」というピッポ―。

 

その日から、どうにもグリックは落ち着かなくなってしまいました。
フラックは、そんな弟をみて、外の世界に行くように強くすすめます。
グリックがためらうと、ねえさんは激しく歯を剥き、外の世界へと後押しするのでした…。

 

シートン動物記などを読んでいると、野生動物の親が子ばなれの時期、子供を外の世界に出すために、殺しかねないような争いをして別れを促す、というシーンがよく出てきます。

 

子どもはいつか親ばなれしなければなりませんし、そのために親とは戦いを経験しなければならない…。

ねえさんのフラックは、グリックにそれをやっているように思えました。

 

斎藤 惇夫さんの作品に出てくる女性(女性??)は、「冒険者たち」の潮路もそうでしたし、このあとに出てくるのんのんもそうですが、みんな芯がつよく、きりっとしていてすごくかっこいいです!

めちゃくちゃ良いです。素敵です。

 

 

 

 

外に出たグリックは右も左もわかりません。
しかし、ひょんなことから道路を渡ろうとして車に轢かれそうになたドブネズミの危うい所を助けます。

そのドブネズミの名前はガンバ。(ガンバだー!)

 

彼は、リスの群れがいる場所を知っているかもしれないと言います。
命の恩人であるグリックを連れていってあげると約束しますが、ちょうどねずみたちはクマネズミと縄張り争いで戦っているところでした...。

 

 

 

ガンバが、原作もアニメもすばらしく面白かったので、間違いなしだと思って読み始めましたが、これもまたまた、すっごく良いです!!

 

これまで、この作品を棚に置き続けてきてくれた本屋さん本当にありがとう!という気持ちでいっぱいです。

 

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

冒険者たち ガンバと15ひきの仲間
斎藤 惇夫 (著), 薮内 正幸 (イラスト)

イタチと戦う島ネズミを助けに,ガンバと15ひきの仲間は、船で夢見が島に向いました。しかし、白毛ノロイがひきいる、どうもうなイタチの群れに追いつめられ、海岸の岩山で最後の決戦の時をむかえます。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ガンバとカワウソの冒険

斎藤 惇夫 (著), 薮内 正幸 (イラスト)

ガンバと15ひきの仲間は、ゆくえ不明のネズミをたずねて、四の島に渡ります。探しあてたネズミのそばにいたのは、死に絶えたはずの2ひきのカワウソでした。凶暴な野犬と戦いながら、カワウソの仲間が生き残っているかもしれない伝説の河「豊かな流れ」をめざして冒険がはじまります。そこには、想像をこえる体験が….

 

 

 

 

ガンバの冒険(1975TV版.Amazonプライム)

頑張り者のネズミ・ガンバは、相棒のボーボと一緒に、海を一目見ようと港町までやってくる。そこで出会った子ネズミの忠太が、自分たちの島の仲間を助けて欲しいと求めてきた。力自慢のヨイショや博学のガクシャといったネズミ仲間とともに、大海原へ乗り出すことを決意する。だが、目的の島には脅威の白イタチ・ノロイが待ち構える。小さなネズミ7匹が繰り広げる波乱に満ちた大冒険。他に類を見ない表現にドキドキハラハラの連続だ。(C)斎藤惇夫岩波書店・TMS

 

 

 

 

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こんとあき たべたのだあれ とこちゃんはどこ

 

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今日の一冊「おんがくかいのよる 5ひきのすてきなねずみ」

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

おんがくかいのよる―5ひきのすてきなねずみ

たしろ ちさと (著)

あるまんげつのばん、どこからかきこえてくるおんがくにさそわれて、あるきだした5ひきのねずみたち。つきあかりのしたでうたうかえるたちのみごとなうたごえにかんどうした5ひきは、ねずみのおんがくかいをけいかくしますが…。

 

 

読み聞かせの中では定番です。

「ああ、『おんがくかいのよる』ね!」
とよく言われます。

 

わたしも、読み聞かせをする中で知りました。
とてもいい本です。

 

だいたいにおいて、学校の音楽会のイベント前に読まれる方が多いです。

 

5ひきのねずみたちは、どこからともなくすてきな音楽が流れてくるのに気がつきました。

カエルの音楽会です。

 

ねずみたちはこっそりと影で聞いていましたが、おんがくのすばらしさに感動してしまいました...!
しかし、この音楽界はカエル以外はおことわりです。
ねずみたちは入れてもらえませんでした。

 

でもねずみたちはあのすばらしい音楽のねいろが忘れられません…。
ねずみたちは自分であれこれ工夫して楽器をつくり、演奏を練習はじめました。

 

じゃあ自分で何とかしよう!という前向きさがあり、工夫があります。
かわいいです。

 

さて、ねずみたちでいっぱいのホールで、5ひきのねずみのコンサートが開かれようとしています。
中に、こっそりかえるたちが隠れていました。

「さあ、どうぞ、どうぞかえるさん!」

 

音楽はすべての人に開かれるもの。
すべての人に降り注ぐもの。
言葉でなくても伝わるもの。

 

いま、コンサートホールであれ、ライブハウスであれ、コロナでたくさんの講演が休演をやむなくされています。
まったく元通りにすることは難しいのかもしれませんが、何らかの工夫を重ねて開演できる日が早く来ますよう祈ります。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

Amazonには「海外秀作絵本」と書かれてるのですが…??
これは間違いです。日本語の日本の絵本です。

 

輸出しても何ら遜色ないと思う、よい絵本です。
絵も良いですし、中身も良いです。

 

「5ひきのすてきなねずみ」シリーズは三冊出ているのですが、どれもとてもすばらしいです。

 

 

5ひきのすてきなねずみ まちのじどうしゃレース

たしろ ちさと (著)

あきかんをりようしたてづくりのじどうしゃで、レースにでることにした5ひきのねずみたち。ゆうしょうしょうひんはなんと、「みたこともないくらいおおきなチーズ」です!さあ、いよいよスタートのあいずがなりますよ!

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ひっこしだいさくせん―5ひきのすてきなねずみ

たしろ ちさと (著)

おとなりさんがねこをかいはじめて、おちついてくらせなくなった5ひきのねずみたち。あたらしいすみかをさがしますが、ねずみにぴったりのすてきないえはなかなかみつかりません。それならばたててしまおうと、アイディアとくふうがいっぱいのいえづくりにとりかかります…。

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

森は生きている 銀のいす かいじゅうたちのいるところ
11ぴきのねこ シンデレラ ミステリー びりっかすの子ねこ
じめんのうえと じめんのした あさになったのでまどをあけますよ ものいうなべ

 

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今日の一冊「ウミネコとヤマネコ」

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

ヤマネコとウミネコ

野中柊 (著), 姫野はやみ (イラスト)

父さんにつれられ、はじめて海へ行ったヤマネコの兄妹ヤンとネネ。友だちになったウミネコからもらった青い扉。カギがかかってしまったふしぎな扉の前で兄妹が毎日遊んでいると……。山と海のいのちが響き合う、奇跡の物語。

 

2016年発売なので、かなり最近の作品といっても良いです。
きちんと文字で表現したハードカバーの物語、本として発売してくれた児童書。
とても嬉しく読みました。

 

この本、わたしは大好きです。心に残りました。
包み込まれるようにあたたかく、優しい世界です。

 

ただ、子どもにはどうか?

大人だから読んでとても好きだと思った本かもしれない…という気はちょっとだけ、しました。

 

子どもはフーンという感じで1度読んで手に取ろうとせず…。
すすめた子もフーンという感じで…。

 

しかし、それでもいいじゃないですかねえ!?
大人が読んでいいと思った、おとなのためのやさしい児童文学、それでいいと思います。
そういう枠があっても良いです。
幅があるべきです!

 

精神性が高く、すべてがやさしい夢の中の出来事のようです。

なので子どもには難しいのかもしれません。

 

面白くワクワクする、子どもたちを「読書の世界」へと導いてくれる児童書が欲しい...というのにしては、ストーリー性が確かにちょっと足りないのかもしれません。

 

しかし、そのやさしいふわっとした世界感がわたしはとてもとても好きでしたので自信をもっておとなの方におすすめします!

 

そして、この美しい海と文章にたゆたう、まるで羊水に漂う子どもたちが見ている夢のような世界を、いいな、と思ってくれるお子さんもきっといるのではないか、と思いました。

 

 

 

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ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち 大きな森の小さな家 小さいおばけ
ふしぎなたいこ ちいさなあなたへ おとうさんの庭
ミオよわたしのミオ おしっこちょっぴりもれたろう 十二支のはじまり

 

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