~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

大人が読む児童書「宝島」 4 読了 冒険小説の神髄

日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

宝島
R.L.スティーヴンスン (著), 海保 眞夫 (翻訳)

ジム少年は,トレローニさんや医者のリヴィシー先生とともに,海賊フリント船長がうめた莫大な財宝を探しに出帆する.ぶきみな1本足の海賊シルヴァーの陰謀にまきこまれ,はげしい戦いが始まる….手に汗にぎる海洋冒険小説の名作.

 

 

大人が読む児童書「宝島」1 やはり「船」は面白い

大人が読む児童書「宝島」2 本当に怖いのは、愛想がよくて感じのよい人

大人が読む児童書「宝島」3 生きるか死ぬかに子どもかどうかは関係ない

 

 

 
紹介はまだまだ、ここからという所なのですが、読了したのでこのあたりにしておきます(悪い顔)。

 

 

もう、はっきりいって、ここまで読んでしまったら、続きを読まずには終われないです。

 

とりあえず、小屋の海賊は六人!で、自分の計算があってたので嬉しいです。
きっと作者の綿密な計算の上、きっちり書いていることと思います。

 

・小屋にいた先生たちの命運は?

・シルヴァーが殺されそうなジム少年をかばいます。

・ベン・ガンの命運は?

 

正直、これは少年少女と言えども、ぜんぜん普通に翻訳で読んじゃってもいいのではないでしょうか?

 

最初にちらっと書いたのですけど、冒頭に作者が

「買うのをためらう人に」

という詩を載せてます。

 

もしも船乗り調子の船乗り物語や、
 あらしや冒険、暑さ寒さが、
もしもスクーナー船や、島々や、おきざり人や、
 海賊やうずめられた黄金や、
さてはまた、むかしふうに、ふたたびかたられた、
 あらゆる古いロマンスが、
かって、わたしをよろこばせたように、もっとかしこい
 こん日の少年たちを、よろこばせることができれば、

──よろしい、すぐ始めたまえ!もしそうでなく、
 もし勉強ずきな青年たちが
むかしの嗜好をわすれてしまって
 キングストンや、勇士バランタインや、
森と波とのクーバーを、もはやほしくないのなら、
 それも、またよろしい!それなら、わたしと
わたしの海賊どもは、これらのひとびとやその創造者の横たわる
 墳墓(ふんぼ)の中にくわわらんことを!

 

  (翻訳 西村孝次) 

 

 

TO THE HESITATING PURCHASER

If sailor tales to sailor tunes,
Storm and adventure, heat and cold,
If schooners, islands, and maroons,
And buccaneers, and buried gold,
And all the old romance, retold
Exactly in the ancient way,
Can please, as me they pleased of old,
The wiser youngsters of today:

--So be it, and fall on! If not,
If studious youth no longer crave,
His ancient appetites forgot,
Kingston, or Ballantyne the brave,
Or Cooper of the wood and wave:
So be it, also! And may I
And all my pirates share the grave
Where these and their creations lie!

 

読まないんなら読まないでいいよ的な感じなのですが、この姿勢は素敵だなあと思います。

結果的に、これほどまで読みつがれているわけですし。

 

何より、文句なしにストーリーが面白いです。
冒険小説の神髄です。

 

 ◇

 

この本の魅力は、シルヴァーとジムの奇妙な関係です。 

シルヴァーは最初からジム少年には特に親切で、ほめ殺しのおべっかも使いますけど、それ以上に何となく、やっぱり、個人的にこの子に一目おいて、気に入っているのは確かです。

 

「宝島」で一番好きなシーンは、つかまったジム少年が海賊たちの前で一歩も引かずに大演説をする所です。

 

「それからね、シルヴァーさん。」と、わたしは言った。
「あんたは、ここにいる中で、いちばんえらい人だと思うんだが、もし、ぼくがころされるようなことになったら、どうかぼくの死にかたを、先生につたえてくれたまえ」
「おぼえておこう」と、シルヴァーは言ったが、その口調がひどく奇妙だったので、わたしのたのみをせせら笑っているのか、それとも、わたしの勇気に感心しているのか、わたしには、どうしてもわからなかった。

 

この、奇妙な口調で「おぼえておこう」とジム少年に言うシルヴァーが、ピンポイントですんごく大好きです。

 

シルヴァーが親切にするのや、ジム少年を助けたりするのは基本、情勢を見極めてのことです。

いざというときの自分の切り札とするためであって、親切にしておいて損はないだけ、と考えているだけという風にもとれるでしょう。

 

あくまで自分のための欲得ずくなのか、それとも、本当にちょっとだけ、敵と味方、正義と悪の垣根を越えて、触れ合った心があるのか、ないのか...?

 

一般的なストーリーでは、敵が少し寝返りかかったら、反省したり悪に染まったのも理由があることが知られたりなどして、ほぼ味方がわにきちゃうものです。

 

しかしシルヴァーは、一筋縄ではいきません。

 

ギリギリの微妙なところ、「やっぱりおなかはまっくろの悪人だ~!」というのと、「もしかして、シルヴァーも少しは…?」という絶妙なラインを、すれすれでいったりきたりさせる、スティーブンソンの筆の冴えです。

 

また、小学生にしてもすごすぎるだろというスーパー少年、ジム。
海賊を前にして恐怖を圧し殺し、一歩もひかない大演説をぶちかます所など、すごいです。
こいつはたいした度胸です。

 

シルヴァーでも、確かにこれは一目置くよな、という説得力です。

 

 

有名な

「死人の箱にゃあ、十五人──
よいこらさあ、おまけにラム酒が一びんだ!」

という、アーサー・ランサムでもよく歌われている(ランサムの本では、「宝島」をすみずみまで読み込んで覚えていることは大前提であるように思います)海賊の歌は、こんな感じでした。

 

"Fifteen men on the dead man's chest--
Yo-ho-ho, and a bottle of rum!
Drink and the devil had done for the rest--
Yo-ho-ho, and a bottle of rum!"

 

この本、ジム少年はだれの言うこともきかないし、逃げ出したりさまよったり、海に漂ったり、挙句の果てに殺人まで仕出かしますので、相当に教育的には悪そうな内容です。

 

もう一度、落ちてきたふろくの紙に書かれてた文句を引用したいと思います。

※両作品とも、大体小学校六年生程度向きのものです。勇気と強いからだをきたえる冒険心をむやみに危険がって、のびて行く少年を、つみとることのないようにしたいと思います。

 

 

グーテンベルクで出ています。

www.gutenberg.org

 

 青空文庫でも出ていますので、フリーテキストふたつ(英語版と翻訳版)をかさねて読んでみるのも、また面白いかもしれません。

www.aozora.gr.jp

 

 

 

わたしは、挫折しましたけど...。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島 (10歳までに読みたい世界名作)
ロバート・ルイス スティーヴンソン (著), 横山 洋子 (監修), 館尾 冽 (イラスト), 吉上 恭太 (翻訳)

宝のうまった島の地図を手に入れた少年・ジムは、船乗りたちと宝探しの航海に出発します。しかし、海賊との戦いが待ち受けていて…。勇気と夢のつまった、心おどる冒険物語。さくさく読める世界名作シリーズ第14弾。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
スティーヴンスン (著), 村上 博基 (翻訳)

港の宿屋「ベンボウ提督亭」を手助けしていたジム少年は、泊まり客の老水夫から宝の地図を手に入れる。大地主のトリローニ、医者のリヴジーたちとともに、宝の眠る島への航海へ出発するジム。だが、船のコックとして乗り込んだジョン・シルヴァーは、悪名高き海賊だった……。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート・L. スティーヴンソン (著), 鈴木 恵 (翻訳)

先生が慎重にその封をはがしてゆくと、ひとつの島の地図が現われた――。取り戻せ、冒険心。大人たちの胸を熱くさせてきた不朽の名作、待望の新訳。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート・ルイス スティーブンソン (著), 佐竹 美保 (イラスト), 金原 瑞人 (翻訳)

港の宿屋、ベンボー提督亭のジム少年は、海賊の泊まり客から宝の地図を手に入れる。信頼のおける仲間たちと船を仕立てて宝島へと向かう一行。その船を追う、悪名高き海賊の船長、一本足のシルバー。イギリス少年冒険文学決定版を完訳で。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート・L・スティーブンソン (著), 寺島 龍一 (イラスト),  坂井 晴彦 (翻訳)

埋もれた宝、片足の海賊ジョン・シルバーの反乱、少年ジムの大活躍――冒険物語の永遠のテーマを見事に表現した、忘れようとしても忘れられない、児童文学の最高傑作です。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート L スティーブンソン (著), 寺島 龍一 (イラスト), 坂井 晴彦 (翻訳)

入り江を見下ろす宿屋「ベンボー亭」に現れた老海賊。残された一枚の地図が少年ジムを思いもよらない冒険へ誘いだす。一本足の海賊ジョン・シルバー、隠された宝……。冒険小説の名作中の名作。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島 Kindle版
ロバート・ルイス スティーブンソン (著), 佐々木 直次郎 (翻訳)

19世紀後半に活躍したイギリスの小説家ロバート・ルイス・スティーヴンソンの海洋冒険小説1881年から1882年にかけて連載。原題は「海のコック、あるいは宝島」だったが、後に「宝島」と改題。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート・ルイズ・スティーブンソン (著), 寺島 竜一 (イラスト), 阿部 知二 (翻訳)

ジム少年は,トレローニさんや医者のリブシー先生と,海賊フリント船長がうめた宝を探しにいく.ぶきみな1本足の海賊シルバーの陰謀と,はげしい戦い.手に汗にぎる冒険小説の名作.

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート・ルイス スチーブンソン (著), 井江 栄 (イラスト), 飯島 淳秀 (翻訳)

ジム少年の両親が営む宿屋に、ある日、奇妙な客があらわれた。ほおに刀傷のある船乗りで、彼は船長と呼ばれるようになる。船長の突然の死――そして、のこされた荷物の中から宝島の地図が!ジムはリブシー医師や地主のトリローニさんとともに、宝さがしの航海に出発する。イギリスの作家スチーブンソンが描く冒険小説の傑作!

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島―Treasure island
R.L.スティーブンソン (著), Robert Louis Stevenson (著)

ジム少年はふとしたことから、海賊の宝のありかを示す1枚の地図を手に入れた。医者のリブシー先生と地主のトリローニさんとすぐさま旅にでるものの…。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島 痛快世界の冒険文学 (6)
宗田 理 (著), ロバート・ルイス スティーブンソン (著)

《宝島》へ向かうジムのスリリングな航海!宝島の地図を手に入れたジムたちの宝探しの旅は、海賊たちとのはげしい戦いのはてに、どのような結末を迎えるのか イギリス少年文学不朽の名作。

  

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

  

「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492

 

プロジェクト・グーテンベルクについて
Wikiの説明ページ

プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館

 

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ムギと王さま―本の小べや 長い長いお医者さんの話) ちいさなねこ
ながいながいペンギンの話 ひみつの花園 パパ、お月さまとって!

 

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大人が読む児童書「宝島」 3 生きるか死ぬかに子どもかどうかは関係ない

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

宝島
R.L.スティーヴンスン (著), 海保 眞夫 (翻訳)

ジム少年は,トレローニさんや医者のリヴィシー先生とともに,海賊フリント船長がうめた莫大な財宝を探しに出帆する.ぶきみな1本足の海賊シルヴァーの陰謀にまきこまれ,はげしい戦いが始まる….手に汗にぎる海洋冒険小説の名作.

 

 

大人が読む児童書「宝島」1 やはり「船」は面白い

大人が読む児童書「宝島」2 本当に怖いのは、愛想がよくて感じのよい人

 

 


二枚舌の魅力的なシルヴァー船長。

 

ここからどんどん、悪人の顔を見せてくれます。

 

しかし、ジム少年…。
地図は横から取るわ、悪人どもの話は立ち聞きするわ、縦横無尽の活躍です。

 

はっきりいって、ジムがいなかったら全員、序盤で殺されて終わりです。
主人公の面目躍如!

 

そして、シルヴァー、最初からジム少年にはとても親切でフレンドリーです。
恐ろしいことに。

 

 

第三編 海洋の冒険(My Shore Adventure)

 

13 どうして、海岸の冒険を始めたか

ついに宝島に停泊。
海賊どもはもう隠しきれないです。
シルヴァーが抑えています。
先生たちは緊張緩和の目的で自分たちは船にこもり、海賊どもの上陸を許します。
ジムは残っても足手まといなので、ならばいっそと、ボートに隠れて一緒に島に上陸!

シルヴァーだけは、ジム少年の行動を目ざとく見つけています。
上陸したジム少年、海賊どもを吹っ切って逃げ出す(!)

 

14 第一撃

島で見たただの蛇だと思っていたのが、実はがらがら蛇だったりと、割と危ないです。
シルヴァー、海賊じゃなかった船員を仲間に引き入れようと説得するも失敗、殺害。
この一部始終を、草の影からジム目撃。

敵19 対 味方7 だったのが、実は正直者だったらしき船員がここで二人殺された。
海賊17 対 味方7


15 島の男

逃げ出したジム少年、島に置き去りにされた男ベン・ガンと会う。
フリント船長が宝を埋めた時の乗組員だった。
別の船にいたときに宝さがしをしようと誘ったが、宝が見つからなかったので仲間に置き去りにされた。

やぎいちごかき貝でいのちをつないできた。

これ、言い換えてみると、ラム肉といちごとオイスターですよね。
割といいもん食べてるような…。
ベン・ガンを計算に入れて、
海賊17 対 味方8

 


第四編 とりでのさく(The Stockade)

 

16 どうして船を見捨てたか(リヴジー先生の話)

昔、フリントたちが作ったらしき小屋に立てこもる。
スモレット船長がシルヴァーの口車に乗って海賊になったひとりを説得。

海賊16 対 味方9

 


17 小型ボートのさいごの航行(医者のつづけた話)

海賊が船の大砲を使って小屋を攻撃。
さすがフリント、あたらない位置に作ってある。
今までいいとこなかったトリロニー氏、射撃の名手なので、ひとり倒す。(生死は不明)
なんとか全員、無事小屋へたてこもる。

 

18 一日めのたたかいのおわり(医者のつづけた話)

海賊一人が死に、こちらも味方の一人が死ぬ

海賊15 対 味方8

船長は航海日誌を克明につけ、ジム合流。

 

19 さくの守備隊(ふたたびジム・ホーキンズの始めた話)

ベン・ガンはまだ小屋には来ていない。
ベン・ガンにやるチーズの用意をする。
医者のリヴジー先生は、「沼地に夜営してる海賊は熱病か赤痢になるはず」と計算。
シルヴァーが休戦旗をあげる。

 

20 シルヴァーの使命

海賊はひとり死んでたので、海賊14 対 味方8

船長は人を怒らせるのがうまい。
話し合いは決裂。
シルヴァー、悪態をつき、馬脚をあらわす。

 

21攻撃

海賊との大乱闘。ここはすごく盛り上がるところです。
味方がひとり死亡。海賊は五人死亡。
船長負傷。

海賊9 対 味方7
(海賊は、船の負傷者者がひとり死亡、8 対 7

 

 

こうして、一人ひとり死んでいくのが恐ろしいです。
戦いの描写が、その場にいたんかい!というほどリアルです。

弾が飛んでくる音まで聞こえそうなほどです。
特に、トリロニーさんに仕えていた忠実な老人、トム・レッドルースの死は胸がいたみます。

こんな所に連れてこられなければ、今でもイギリスの田舎のマナーハウスで、のんきに猟場の番人をしていただろうに…。

 

最初、19対9などと言っていたのが、あっという間に海賊9とかに減ってしまいました。

これを読みながら思いましたが、荒くれ者はとにかく無秩序なので、ほぼ仲間割れと自業自得で死んでしまうのです。

 

 

大五編 海の冒険(My Sea Adventure)

 

22 どうして、海の冒険が始まったか。

海賊と味方がひとりずつ死亡。
海賊8 対 味方6

ジム少年、味方にも内緒で基地にしていた小屋を抜け出す。
ベンガンの小舟を使い、海賊にとられた船のいかりづなを切って海賊を邪魔することを思い付く。

 

23 ひき潮

ぴんとはったつなをきれば反動でふっとばされるなど、ジム少年賢いです。
ゆるんだときに切って、船は漂いはじめます。
船には二名、残りは沼地で酒盛りなので、海賊2-6に分かれています。
船の二名は喧嘩中。
疲れでジム、小舟のなかで眠る。

 

24 ただようかわ舟

あしかが怖いシーンが可愛かったです。

巨大なぬるぬるした怪物──いわば、とほうもなく大きなかたつむりのようなやわらかいもの──が、岩石のひらたくなった上を、むらがってはいまわったり、ざぶんと高い水音をたてて、海中へとびこんだりしているのが見えた。──それは、五、六十もあろうか、ほえたてる声は、岩々にこだましていた。

(翻訳 西村孝次) 

たしかに、今わたしたちは辞典を見たり、水族館やメディアであしかを知っていますが、いきなり見たらとんでもなく恐ろしい生物ですね。

のどがかわき、船に近付くジム少年。
扱いにくい船でのその努力と観察眼、決断力、行動力、思考能力がなみのものではないです。
第一斜しょうにとっつかまって船へ。

 

25 海賊旗をおろす

喧嘩してた一人が死んでるので、海賊7 対 味方6。
固パン、果物漬け、干しぶどう、チーズのごはんを食べる。(メニューは必ずチェック)
舵手の悪者、ハンズが残ってるが具合悪そう。
ジム少年、海賊旗をおろす。
ハンズの手当をして、船を島の北側へ。

 

26イズレール・ハンズ

ブランデーよりもワインの方がいいから取ってきてくれと言う海賊ハンズの言い分がおかしいというのが面白いです。
海賊はお行儀よくワインなんて飲まないものなんですね。

海賊ハンズとジム少年の一騎打ち。
これもすごい盛り上がりです!

隠れて見ていると、ハンズ、こっそりとナイフをゲット!
舵手ハンズの悪巧みをしらぬふりをして色々算段する、空恐ろしいこども、ジム少年。

船を停泊させてからが勝負。
岸に乗り上げたときに後ろを見ると、海賊が迫る!
ピストルがしめっていて打てず、ピンチの瞬間、船が揺れて二人とも転ぶ。

すごい緊迫感です。

マストにのぼり弾ごめをするジム少年。
海賊がナイフを投げて、肩を貫かれました。はずみでピストル発射!
事故で正当防衛とは言え、はじめての人殺しです。

海賊6 対 味方6。

 

 

ついにタイとなりました。

この、怒涛の追い上げの決定的な一人をやっつけたのが、ジム少年本人であったことの意味は大きいです。

 

 

27 八銀貨

船を海賊から取り返したジム少年、月をたよりに小屋へ戻る。
夜だったのでみな、ねています。
こっそり寝床へ戻ろうとしますが、おうむの「はちぎんか!」がひびきわたります。

小屋を占拠していたのは、なんと海賊でした。

 

ジム、海賊に捕まってしまいます。

 

 

 

つづきます。

 

 

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グーテンベルクで出ています。

www.gutenberg.org

グーテンベルクの「宝島」原書の絵ですが、ジムが割とでかいです。

http://www.gutenberg.org/files/120/120-h/images/0219m.jpg

 

f:id:WhichBook:20201220130225j:plain

こちらは、「世界少年少女文学全集」の方の挿し絵です。

どなたが描いたのか、書かれていないんですよね。
すごい臨場感で、上手いです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島 (10歳までに読みたい世界名作)
ロバート・ルイス スティーヴンソン (著), 横山 洋子 (監修), 館尾 冽 (イラスト), 吉上 恭太 (翻訳)

宝のうまった島の地図を手に入れた少年・ジムは、船乗りたちと宝探しの航海に出発します。しかし、海賊との戦いが待ち受けていて…。勇気と夢のつまった、心おどる冒険物語。さくさく読める世界名作シリーズ第14弾。

 

 

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宝島
スティーヴンスン (著), 村上 博基 (翻訳)

港の宿屋「ベンボウ提督亭」を手助けしていたジム少年は、泊まり客の老水夫から宝の地図を手に入れる。大地主のトリローニ、医者のリヴジーたちとともに、宝の眠る島への航海へ出発するジム。だが、船のコックとして乗り込んだジョン・シルヴァーは、悪名高き海賊だった……。

 

 

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宝島
ロバート・L. スティーヴンソン (著), 鈴木 恵 (翻訳)

先生が慎重にその封をはがしてゆくと、ひとつの島の地図が現われた――。取り戻せ、冒険心。大人たちの胸を熱くさせてきた不朽の名作、待望の新訳。

 

 

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宝島
ロバート・ルイス スティーブンソン (著), 佐竹 美保 (イラスト), 金原 瑞人 (翻訳)

港の宿屋、ベンボー提督亭のジム少年は、海賊の泊まり客から宝の地図を手に入れる。信頼のおける仲間たちと船を仕立てて宝島へと向かう一行。その船を追う、悪名高き海賊の船長、一本足のシルバー。イギリス少年冒険文学決定版を完訳で。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート・L・スティーブンソン (著), 寺島 龍一 (イラスト),  坂井 晴彦 (翻訳)

埋もれた宝、片足の海賊ジョン・シルバーの反乱、少年ジムの大活躍――冒険物語の永遠のテーマを見事に表現した、忘れようとしても忘れられない、児童文学の最高傑作です。

 

 

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宝島
ロバート L スティーブンソン (著), 寺島 龍一 (イラスト), 坂井 晴彦 (翻訳)

入り江を見下ろす宿屋「ベンボー亭」に現れた老海賊。残された一枚の地図が少年ジムを思いもよらない冒険へ誘いだす。一本足の海賊ジョン・シルバー、隠された宝……。冒険小説の名作中の名作。

 

 

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宝島 Kindle版
ロバート・ルイス スティーブンソン (著), 佐々木 直次郎 (翻訳)

19世紀後半に活躍したイギリスの小説家ロバート・ルイス・スティーヴンソンの海洋冒険小説1881年から1882年にかけて連載。原題は「海のコック、あるいは宝島」だったが、後に「宝島」と改題。

 

 

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宝島
ロバート・ルイズ・スティーブンソン (著), 寺島 竜一 (イラスト), 阿部 知二 (翻訳)

ジム少年は,トレローニさんや医者のリブシー先生と,海賊フリント船長がうめた宝を探しにいく.ぶきみな1本足の海賊シルバーの陰謀と,はげしい戦い.手に汗にぎる冒険小説の名作.

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート・ルイス スチーブンソン (著), 井江 栄 (イラスト), 飯島 淳秀 (翻訳)

ジム少年の両親が営む宿屋に、ある日、奇妙な客があらわれた。ほおに刀傷のある船乗りで、彼は船長と呼ばれるようになる。船長の突然の死――そして、のこされた荷物の中から宝島の地図が!ジムはリブシー医師や地主のトリローニさんとともに、宝さがしの航海に出発する。イギリスの作家スチーブンソンが描く冒険小説の傑作!

 

 

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宝島―Treasure island
R.L.スティーブンソン (著), Robert Louis Stevenson (著)

ジム少年はふとしたことから、海賊の宝のありかを示す1枚の地図を手に入れた。医者のリブシー先生と地主のトリローニさんとすぐさま旅にでるものの…。

 

 

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宝島 痛快世界の冒険文学 (6)
宗田 理 (著), ロバート・ルイス スティーブンソン (著)

《宝島》へ向かうジムのスリリングな航海!宝島の地図を手に入れたジムたちの宝探しの旅は、海賊たちとのはげしい戦いのはてに、どのような結末を迎えるのか イギリス少年文学不朽の名作。

  

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

  

「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492

 

プロジェクト・グーテンベルクについて
Wikiの説明ページ

プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館

 

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子どもの本だな【広告】

ウィロビー・チェースのオオカミ ライラはごきげんななめ めのまどあけろ
かにむかし エルマーとりゅう いちごばたけの ちいさなおばあさん
ムーミン谷の冬 小さなスプーンおばさん 十二支のはじまり

 

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大人が読む児童書「宝島」 2 本当に怖いのは、愛想がよくて感じのよい人

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

宝島
R.L.スティーヴンスン (著), 海保 眞夫 (翻訳)

ジム少年は,トレローニさんや医者のリヴィシー先生とともに,海賊フリント船長がうめた莫大な財宝を探しに出帆する.ぶきみな1本足の海賊シルヴァーの陰謀にまきこまれ,はげしい戦いが始まる….手に汗にぎる海洋冒険小説の名作.

 

 

大人が読む児童書「宝島」1 やはり「船」は面白い

 

 

ウィルス蔓延の冬は、読書むきだと思って、普段なかなか手に取れない本をぜひ手にとってほしいです。
 

「宝島」
改めて読むとやっぱり、面白い!!です。

 

これは原文でも読んでみたい…!

 

とりあえず、やっぱり古い訳ではあるので、たぶん海賊たちの口調が、昔の港町で働いていた、べらんめえの船乗りさんたちっぽいんだと思います。
(翻訳は西村孝次さんです)

新訳でもぜひ読んでみたいです。

 

 

もう一度登場人物のおさらいです。

 

・主人公のぼく、ジム・ホーキンズ。地図を海賊からかっさらう。
・医者で治安判事のリヴジー先生。かっこいい。主人公の後ろ盾。
・トリロニーさん。宝さがしの船の資金提供者。金持ち、人がよい。射撃の名手。
・スモレット船長。雇われ船長。厳しくて真っ正直な人。
・ジョン・シルヴァー。「一本足の男」。極悪海賊。
・その他の海賊とその他の数少ない味方

 

http://www.gutenberg.org/files/120/120-h/images/0028m.jpg

これは、グーテンベルクの「宝島」原書の中の地図です。
やっぱり、こうして地図を見るとかなりドキドキします…!

 

 

第二編 船の料理番(The Old Buccaneer)

 

7 ブリストル

二百トンのスクーナー船、ヒスパニオーラ号を、おかねもちのトリロニー氏が調達。
一本足のジョン・シルヴァーが、トリロニー氏に取り入って料理番に。
トリロニー氏、シルヴァーがめちゃくちゃ気に入る(ダメじゃん)。
水夫はシルヴァーが集める(ダメじゃん)。
シルヴァーは、ブリストルの波止場で料理屋をやっていて、奥さんはアフリカ系。

 

8 「遠めがねや」で

ジム少年、「一本足」ということで警戒していたが、シルヴァーをすっかり信用してしまう。
シルヴァーの料理屋「遠めがねや」に、「黒犬」がいて逃げ出す。
シルヴァーは、「底が知れない、気のきいた、りこうな男」
愛想がよくて頭も口も回るので、リヴジー先生までシルヴァーのとりこになる。

 

9 火薬と武器

雇われ船長のスモレットさんは、厳格でものすごくしっかりした人。
「乗組員と馴れ馴れしすぎるのは立派な高等船員ではない」と言い放つ。
(上下関係をはっきりさせておかないと、非常時に言うこときかなくて大変なのでしょう。船の生活は厳しいです)

宝の話、地図の話を船員がみな知っている?
トリロニー氏の口が軽い以上に、知りすぎている。
逃げた海賊たちが乗り込もうと狙っているので、知れ渡っているようです。
スモレット船長、武器と火薬を信用できる者の近くに移し、寝床もまとめるべきと進言。
それでもシルヴァーは疑われていない。

 

10 航海

副船長が行方不明に。
(ラムを飲まされ、海に突き落とされて殺された?シルヴァーの仕業?最後まで不明)
水夫長のアンダースン(海賊)が副船長に繰り上げ。
舵手イズレール・ハンズ(海賊)は腕ききでシルヴァーと仲良し。

シルヴァーは若い頃はよい教育も受けてる。
肝っ玉も太くけんかもつよい。気配りもすごい。
おうむの名前はフリント船長
おうむ「はちぎんか!」

 

 

シルヴァーの魅力がすごいです。
全員がとりこです。
とにかく、愛想がよくて面白いし、気配りもすごい。

ぎりぎりの状態で、海賊から地図をひっさらい、目端のきくジム少年もすごいですが、「宝島」は間違いなくシルヴァーの不思議な悪党としての魅力で成り立っています。

 

シルヴァーがその魅力を余すところなく発揮するのはここからです。

良いところなどまったくなく、本当にすごい極悪人です。

この話の中だけでも何人殺してるか、数えきれないぐらいです。

 

 

11 りんごだるの中で聞いた話

ジム少年、りんごだるにもぐりこみ、眠ってしまう。
たるの中で、シルヴァーの悪巧みをみんな聞いてしまう。
・口がうまく愛想がいいのは、人を丸め込む常套手段。
とにかくほめる。相手を褒めていい気分にさせ、自分はたいした奴なんだと思わせる。
・シルヴァーはかなりのお金を銀行にためてる。
・フリント船長、地図を持ってた男、黒犬、盲人ピューみな知ってる。
・殺してから宝を手に入れるより、宝を手に入れてから殺す腹。

 

12 戦争会議

次の日になっても、何くわぬ顔のシルヴァーに戦慄するジム少年。
先生、地主さん、スモレット船長に一部始終を伝える。

 

 

シルヴァーの恐ろしさが身に染みるのは、どちらかというと大人になって読んでいる今の方です。


本当に怖いのは、愛想がよくて感じのよい、とてもいい人っぽい人なんだ!
…と思いました。

 

シルヴァー、すごく魅力的です。

 

正直な船員を、口車に乗せて悪事に引きずり込むやり方がすごいです。
仲良くなってすっかり信用させ、お友達になってから、
「こんな話をするのはお前だから」
とかなんとか、ずるずると悪事に引きずり込んでいきます。

 

最初から脅されるよりも怖いです。
こわーい!!

 

「三十年も、」と、かれは言った。「ほうぼうの海をわたりまわって、そのあいだにゃあ、いいめにも、悪いめにもあえば、もっといいめにも、もっと悪いめにもあったし、なぎもあれば、しけもあり、食べるものがなくなったこともあれば、きりあいをやったこともあり、そのほか、いろんなことにあったのだ。ところでだ、いまこそ言うが、いいことをして、いいめにあったってこたあ、一度だってねえんだ。さきにうってかかるやつが、おらあすきさ。死人はかみつかねえ。おれの考えは、ざっとそんなものさ──アーメン。まあ、それでいいやな。」

 

"For thirty years," he said, "I've sailed the seas and seen good and bad, better and worse, fair weather and foul, provisions running out, knives going, and what not. Well, now I tell you, I never seen good come o' goodness yet. Him as strikes first is my fancy; dead men don't bite; them's my views--amen, so be it.

 

 

つづきます。

 

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グーテンベルクで出ています。

www.gutenberg.org

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島 (10歳までに読みたい世界名作)
ロバート・ルイス スティーヴンソン (著), 横山 洋子 (監修), 館尾 冽 (イラスト), 吉上 恭太 (翻訳)

宝のうまった島の地図を手に入れた少年・ジムは、船乗りたちと宝探しの航海に出発します。しかし、海賊との戦いが待ち受けていて…。勇気と夢のつまった、心おどる冒険物語。さくさく読める世界名作シリーズ第14弾。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
スティーヴンスン (著), 村上 博基 (翻訳)

港の宿屋「ベンボウ提督亭」を手助けしていたジム少年は、泊まり客の老水夫から宝の地図を手に入れる。大地主のトリローニ、医者のリヴジーたちとともに、宝の眠る島への航海へ出発するジム。だが、船のコックとして乗り込んだジョン・シルヴァーは、悪名高き海賊だった……。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート・L. スティーヴンソン (著), 鈴木 恵 (翻訳)

先生が慎重にその封をはがしてゆくと、ひとつの島の地図が現われた――。取り戻せ、冒険心。大人たちの胸を熱くさせてきた不朽の名作、待望の新訳。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート・ルイス スティーブンソン (著), 佐竹 美保 (イラスト), 金原 瑞人 (翻訳)

港の宿屋、ベンボー提督亭のジム少年は、海賊の泊まり客から宝の地図を手に入れる。信頼のおける仲間たちと船を仕立てて宝島へと向かう一行。その船を追う、悪名高き海賊の船長、一本足のシルバー。イギリス少年冒険文学決定版を完訳で。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート・L・スティーブンソン (著), 寺島 龍一 (イラスト),  坂井 晴彦 (翻訳)

埋もれた宝、片足の海賊ジョン・シルバーの反乱、少年ジムの大活躍――冒険物語の永遠のテーマを見事に表現した、忘れようとしても忘れられない、児童文学の最高傑作です。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート L スティーブンソン (著), 寺島 龍一 (イラスト), 坂井 晴彦 (翻訳)

入り江を見下ろす宿屋「ベンボー亭」に現れた老海賊。残された一枚の地図が少年ジムを思いもよらない冒険へ誘いだす。一本足の海賊ジョン・シルバー、隠された宝……。冒険小説の名作中の名作。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島 Kindle版
ロバート・ルイス スティーブンソン (著), 佐々木 直次郎 (翻訳)

19世紀後半に活躍したイギリスの小説家ロバート・ルイス・スティーヴンソンの海洋冒険小説1881年から1882年にかけて連載。原題は「海のコック、あるいは宝島」だったが、後に「宝島」と改題。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート・ルイズ・スティーブンソン (著), 寺島 竜一 (イラスト), 阿部 知二 (翻訳)

ジム少年は,トレローニさんや医者のリブシー先生と,海賊フリント船長がうめた宝を探しにいく.ぶきみな1本足の海賊シルバーの陰謀と,はげしい戦い.手に汗にぎる冒険小説の名作.

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート・ルイス スチーブンソン (著), 井江 栄 (イラスト), 飯島 淳秀 (翻訳)

ジム少年の両親が営む宿屋に、ある日、奇妙な客があらわれた。ほおに刀傷のある船乗りで、彼は船長と呼ばれるようになる。船長の突然の死――そして、のこされた荷物の中から宝島の地図が!ジムはリブシー医師や地主のトリローニさんとともに、宝さがしの航海に出発する。イギリスの作家スチーブンソンが描く冒険小説の傑作!

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島―Treasure island
R.L.スティーブンソン (著), Robert Louis Stevenson (著)

ジム少年はふとしたことから、海賊の宝のありかを示す1枚の地図を手に入れた。医者のリブシー先生と地主のトリローニさんとすぐさま旅にでるものの…。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島 痛快世界の冒険文学 (6)
宗田 理 (著), ロバート・ルイス スティーブンソン (著)

《宝島》へ向かうジムのスリリングな航海!宝島の地図を手に入れたジムたちの宝探しの旅は、海賊たちとのはげしい戦いのはてに、どのような結末を迎えるのか イギリス少年文学不朽の名作。

  

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

  

「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492

 

プロジェクト・グーテンベルクについて
Wikiの説明ページ

プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館

 

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大人が読む児童書「宝島」 1 やはり「船」は面白い

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

宝島
R.L.スティーヴンスン (著),
海保 眞夫 (翻訳)

ジム少年は,トレローニさんや医者のリヴィシー先生とともに,海賊フリント船長がうめた莫大な財宝を探しに出帆する.ぶきみな1本足の海賊シルヴァーの陰謀にまきこまれ,はげしい戦いが始まる….手に汗にぎる海洋冒険小説の名作.

 

久しぶりだな~と思って、ちらっと開いてみたら、すっかりハマってしまいました。
「宝島」

 

今更の宝島です。でも、本当にしっかり最初から最後まで、再読したことがあっただろうか?

 

グーテンベルクで出ています。

www.gutenberg.org

 

原文をテキストファイルでダウンロードまではしたのですが、そのままにしていました。

 

というのも、「船」系のお話は、なかなか、単語が難しいのです!
フォア・マストだとか、ミズン・マストだとか、そんなのは序の口です。
「海洋単語辞典」なるものも用意したのですが、ほうりだしてそのままでした。

 

今回、英語版で読むのはやはり時間がかかりそうなので、いつも言及している「世界少年少女文学全集」の赤本を取り出してきました。

 

f:id:WhichBook:20201218232138j:plain

翻訳は西村孝次さんです。

開いてみると、ふろくの説明が落ちてきました。
もう古くなって、しかも中古で購入したので、半分ありませんけどこれは仕方ありません。

※両作品とも、大体小学校六年生程度向きのものです。勇気と強いからだをきたえる冒険心をむやみに危険がって、のびて行く少年を、つみとることのないようにしたいと思います。

 

さすがいいこと書いてあるな~!

 

しかし、内容はどうだろう…。
もう、ほぼ忘れています。

 

・宝の地図を手に入れる。
・海賊と戦う。
・主人公が勝つ

 

そんなことならだれでも知ってるわ!
というようなことしか覚えていません。

 

というわけで、読んでみました。

 

ざっくりですが、登場人物です。

 

・主人公のぼく、ジム・ホーキンズ。ベンボー提督屋のむすこ。やんちゃ以上。
・医者で治安判事のリヴジー先生。かっこいい。スーパーマン
・トリロニーさん。地元の金持ち。資金提供者。おしゃべりでだまされやすい。
・スモレット船長。厳しくて真っ正直な人。
・シルヴァー船長。「一本足の男」魅力的な極悪人。
・その他(おいっ!)

 

http://www.gutenberg.org/files/120/120-h/images/0028m.jpg

これは、グーテンベルクの原書の中の地図です。
やっぱり、こうして地図を見るとかなりドキドキします…!

f:id:WhichBook:20201218233235j:plain

「世界少年少女文学全集」の方の地図です。

 

 

第一篇 老海賊(The Old Buccaneer)

 

1「ベンボー提督や」へきた老船員

 

右ほおに刀きずがある年より(ビル船長)がやってきて宿屋に住みつく。
ラム酒とたまごつきのベーコンさえあればいい。
宿賃も踏み倒し、いつまでもいるので主人公のおとうさんの心労のもとになる。
「一本足の男に気を付けろ」と言う。

 

2「黒犬」あらわれて、さる

 

黒犬、左手の指が二本ない。
船長と こそこそ話の結果 斬り合いになって、船長は脳卒中を起こす。(まだ死なない)

 

3「黒まる」

 

ビル船長がフリント船長の一等運転手だったことが語られる。
仲間は彼の、古い衣類箱を狙ってる(地図が入ってるんですねわかります☜ネタバレ)
宿屋の主人(主人公のお父さん)死去。
盲人ピューが「黒まる」を持ってくる。ビル船長、ショック死。残り時間六時間。

 

※「黒まる」とは、船長のリコール制度&死刑宣告状みたいなものらしいです。

 

4船員の衣類箱

 

ジムとお母さんは助けを求めるが、フリント船長の名前はおそれられてるので、隣村の人は誰も来てくれない。
お母さんガッチリ屋なので宿賃だけは絶対もらう。
ジムと二人、死んだ老海賊の首の鍵を取って 箱を開ける。
「あぶらぬののこづつみ」をとって、霧のなかを逃走。

 

5めくらのさいご

 

ジムとお母さんは橋の下で身をひそめる。
海賊どもは仲間割れのけんか、盲人ピューは取り残され、自警団の馬の下にまちがってとびこみ死ぬ。
海賊船らしき帆船が逃げていく。

 

6船長の書類

 

ジム、トリロニーさんとリヴジー先生に事情を話す。
つつみの中身は帳簿と封をした紙。
海賊の帳簿、地図…!!!
フリント船長は字がきれい。

 

 

 

 

つづきます。

 

すごくどうでもいい話なのですが「新宝島
私はずっと「丁寧丁寧」のところを「ベイベ・ベイベー」と言ってるんだと思ってました。

 

 

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島 (10歳までに読みたい世界名作)
ロバート・ルイス スティーヴンソン (著), 横山 洋子 (監修), 館尾 冽 (イラスト), 吉上 恭太 (翻訳)

宝のうまった島の地図を手に入れた少年・ジムは、船乗りたちと宝探しの航海に出発します。しかし、海賊との戦いが待ち受けていて…。勇気と夢のつまった、心おどる冒険物語。さくさく読める世界名作シリーズ第14弾。

 

 

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スティーヴンスン (著), 村上 博基 (翻訳)

港の宿屋「ベンボウ提督亭」を手助けしていたジム少年は、泊まり客の老水夫から宝の地図を手に入れる。大地主のトリローニ、医者のリヴジーたちとともに、宝の眠る島への航海へ出発するジム。だが、船のコックとして乗り込んだジョン・シルヴァーは、悪名高き海賊だった……。

 

 

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ロバート・L. スティーヴンソン (著), 鈴木 恵 (翻訳)

先生が慎重にその封をはがしてゆくと、ひとつの島の地図が現われた――。取り戻せ、冒険心。大人たちの胸を熱くさせてきた不朽の名作、待望の新訳。

 

 

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ロバート・ルイス スティーブンソン (著), 佐竹 美保 (イラスト), 金原 瑞人 (翻訳)

港の宿屋、ベンボー提督亭のジム少年は、海賊の泊まり客から宝の地図を手に入れる。信頼のおける仲間たちと船を仕立てて宝島へと向かう一行。その船を追う、悪名高き海賊の船長、一本足のシルバー。イギリス少年冒険文学決定版を完訳で。

 

 

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ロバート・L・スティーブンソン (著), 寺島 龍一 (イラスト),  坂井 晴彦 (翻訳)

埋もれた宝、片足の海賊ジョン・シルバーの反乱、少年ジムの大活躍――冒険物語の永遠のテーマを見事に表現した、忘れようとしても忘れられない、児童文学の最高傑作です。

 

 

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宝島
ロバート L スティーブンソン (著), 寺島 龍一 (イラスト), 坂井 晴彦 (翻訳)

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宝島 Kindle版
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19世紀後半に活躍したイギリスの小説家ロバート・ルイス・スティーヴンソンの海洋冒険小説1881年から1882年にかけて連載。原題は「海のコック、あるいは宝島」だったが、後に「宝島」と改題。

 

 

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宝島
ロバート・ルイズ・スティーブンソン (著), 寺島 竜一 (イラスト), 阿部 知二 (翻訳)

ジム少年は,トレローニさんや医者のリブシー先生と,海賊フリント船長がうめた宝を探しにいく.ぶきみな1本足の海賊シルバーの陰謀と,はげしい戦い.手に汗にぎる冒険小説の名作.

 

 

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宝島
ロバート・ルイス スチーブンソン (著), 井江 栄 (イラスト), 飯島 淳秀 (翻訳)

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宝島―Treasure island
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ジム少年はふとしたことから、海賊の宝のありかを示す1枚の地図を手に入れた。医者のリブシー先生と地主のトリローニさんとすぐさま旅にでるものの…。

 

 

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今日の一冊「クリスマス キャロル」

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

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>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

クリスマス キャロル
ディケンズ (著), 杉田 比呂美 (イラスト), こだま ともこ (翻訳)

クリスマスイブだというのに、ケチで心の冷えきった孤独なスクルージには、まったくおめでたいとは思えない。その夜、7年前に亡くなった仕事仲間の霊がやってきて、スクルージを助けるために3人の霊をよこすという。過去、現在、未来の霊が彼に見せたものとは? ――100年をこえて世界中の人々に愛されてきた、心あたたまるクリスマスの物語を、読みやすく美しい日本語で。

 

クリスマスの時期なので、「クリスマス・キャロル」です。

 

くるみ割り人形」か、「クリスマス・キャロル」か考えたのですけど、短い方にしました。
そんな理由かよ…。

 

紹介するのにどの本にしようかと迷ったのですが、すごく、たくさん、訳本が出ています。
あしながおじさん」と同じです。

 

スクルージさんはけちん坊の守銭奴
クリスマスであろうとなかろうと関係なく、働いています。

 

事務員がひとりいるのですが、暖房をケチっているので凍えそうです。

 

どうでもいいのですが、私の会社も今、コロナで換気が必要とかで、冬なのに窓を開けっぱなしているので、すごくよく気持ちがわかります。

 

コロナ感染を防ぐために、真冬の窓を開けっぱなし。
風邪をひくじゃないですかねえ!!

 

はっ、つい、日ごろのうらみがこんな所に…。

スクルージさんのけちんぼうぶりはこうです。 

ところで、このスクルージときたら、なさけ知らずのひどいけちんぼうでした。しぼり屋で、ひねり屋で、にぎり屋で、かき集め屋で、ひったくり屋で、ほんとうにこまった欲ばりじいさんでした。はがねでたたいても、気持よくぱっと火の出たためしのない火打ち石のように、かたくとがっていました。そして、つきあいもせず、口もきかず、かきの貝がらのようにひとりぽっちでいるのでした。

 

やっぱり、ディケンズのこの表現のうまさです。
どんどん、話に引き込まれていきます。

 

原島 善衛さんの訳です。(少年少女文学全集より)

 

からだの中のつめたさは、おいぼれた顔をとおらせ、とがった鼻のさきをしぼませ、ほおをしなびさせ、歩きぶりまでこわばらせていました。目は赤く血ばしり、うすいくちびるは紫色でした。そのうえ、しゃがれ声で、がみがみものを言うのです。髪の毛、まゆ毛も、とんがったあごも、霜をおいたようにまっ白でした。

 

暖房をケチっているのでこわばりそうな事務員さんには同情してしまうのですが、スクルージさんはケチでやっているのであって、暖房をつけながら窓を開けっぱなしておくという愚劣の極みな行動をとっているわけじゃないですよね?
(個人的な恨みは忘れろよ…)

 

元気でゆかいな明るい甥っ子さんがやってきて、クリスマスに一緒に過ごしませんかと誘うのですが、スクルージさんはきっぱりことわります。

 

ほとんどろくな返事もせず、途中から「さようなら」しか言わないのですが、この甥っこさんは負けません

 

「じゃ、さようなら!」
「ねえ、おじさん、だって、あなたはぼくが結婚するまえでも、一度もうちへいらしてくださらなかったじゃないですか。だから、結婚したからおいでにならないという理由にはならないでしょ?」
「さようなら。」と、スクルージは言いました。
「ぼくは、おじさんから何もいただこうとは思っていませんし、何もおねがいしたりすることもありませんよ。それにしても、なぜ、おたがいに、なかよくなれないのでしょう?」
「さようなら。」と、スクルージは言いました。
「おじさんが、こんなに、がっちりしているところをみると、ぼくはほんとになさけなくなりますよ。ぼくは、一度だって、おじさんをあいてにけんかなどしたことはないけれど、今クリスマスに敬意を表して、あなたとなかよくなれるかどうか、ためしてみたのです。」

数えてみたら、総計6回、スクルージさんは「さようなら」を言ってます。
甥っ子さんめげないです。

 

何かこれ、デジャヴあるな…。
そうかわかった。

カナヲだ!
(一緒にするなと思われたかた、ごめんなさい)

 

このあとに、チャリティを頼みに来る紳士たちもいるのですが、これまた結構粘ります!
皮肉をまじえたおことわりにまったく気づかないふりをしてガンガン話を進めるあたり、読んでいて、「頑張るな~」と感心してしまいました。

 

こんなごりごりのけちん坊で、どうにもならないようなスクルージさんですが、共同経営者のマーレイの幽霊が現れてから、だいぶ考えが変わります。
というのも、このマーレイさんの現れ方がものすごく恐ろしいです。

 

そもそも、スクルージさんの住んでいる家がまた恐ろしいです。 

それは、 中庭の奥の 黒ずんだ 建物の中にある、 一並びの部屋でした。 この建物は、 こんなところにあったのではほとんど役にたたないので、 きっとこのうちがまだ子どものころ、 ほかのうちとかくれんぼうをして、 走りこんだまま 出口を忘れてしまったものとしか思われませんでした。

 

この家の、ドアノッカーについている小さな顔がマーレイの顔に見え始めます。

 

一瞬だけで、そして消えます。
扉を閉めると、すごい反響が響き渡ります。
何かの引き金になっているようです。

 

そして、突然呼び鈴のひもが触ってもいないのに揺れて…。
使ってもないのに鳴り始めて…。
家の下から、何かが…重い鎖を引きずりながら上がってくる音が……。

 

これはマジで怖いです。

 

思い返せば、「くるみ割り人形」も軽くホラーだったし、クリスマスのお話はホラーなのが定番なんでしょうか?

 

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現れてからも、スクルージさん、信じないぞ!とかなり頑張るのですが…。
途中で鎖をガチャガチャされ、さけび声を上げて「ぞっとするほど気味のわるい音」をたてられ、腰を抜かすほど驚いて信じるようになりました。

 

マーレイさんは、三人の幽霊が訪れるだろう、と予言をしていなくなります。

この三人の幽霊が「過去のクリスマス」「現在のクリスマス」「未来のクリスマス」なので、幽霊は総計、4名、現れたことになります。 

 

最初にマーレイさんにひどくおどかされたのですけど、いちばん幽霊らしい幽霊はマーレイさんで、他の三名は「クリスマスの霊」なので、それほど怖くはないです。

 

ディケンズのたくみな筆による、とても楽しい、クリスマスの風景が繰り広げられます。

 

 

私も久しぶりに読んだのですが、カナヲだと思うと、スクルージさんのこともなんだか可愛く思えてきました。(ごめんなさい)

 

欲深な心をいましめる作品ともいえますが、私のような心の汚れた人間は逆にチャリティを疑いを持って見てしまう所があります。

 

スクルージさんとしては、「そもそも税金払ってるし、そのための施設だってちゃんとあるよね」というのが言い分で、確かにそれはごもっともです。

 

「一銭だってあげる義理はない、だって自分のお金だもん」て言われたら、確かに反論する余地はないです。

 

それに何より悪いことに、チャリティーに熱心なお金持ってる人というのが、何となくあまりいい印象がないのはなぜなのでしょう。

 

施しというのは、正直いい気持ちがしません。
何となく上から目線がムカつくというのもありますが、借りを作らせることによってそこに上下関係ができてしまうのがまたなんか不愉快な気持ちがします。

 

する方にもされるほうにも あまりいいことはない、それがチャリティ。

 

そういう風に意地悪な心で思ってしまうので、こういう時は思い出すことにしています。「しない善よりする偽善」

 

しかし、スクルージさんのような人は大歓迎です。

なぜなら、生まれ変わったスクルージさんは、自分のためにやってるからです。

 

何となくチャリティにいい気がしない、そういう所に、スクルージさんなら大歓迎!と思わせる、それがディケンズの力であり、物語の力なんだと思います。

 

 

原文が、グーテンベルクで出ています。
人の声による朗読もあるのが、嬉しいところです。

www.gutenberg.org

 

 

 

 

クリスマス・キャロル
ディケンズ (著), 村岡 花子 (翻訳)

ケチで冷酷で人間嫌いのがりがり亡者スクルージ老人は、クリスマス・イブの夜、相棒だった老マーレイの亡霊と対面し、翌日からは彼の予言どおりに第一、第二、第三の幽霊に伴われて知人の家を訪問する。炉辺でクリスマスを祝う、貧しいけれど心暖かい人々や、自分の将来の姿を見せられて、さすがのスクルージも心を入れかえた……。文豪が贈る愛と感動のクリスマス・プレゼント。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

クリスマス・キャロル
チャールズ ディケンズ (著), ジョン・リーチ (イラスト), 脇 明子 (翻訳)

クリスマス前夜、けちで気むずかしいスクルージの前に現れた3人の幽霊たちは、過去・現在・未来を見せてくれたのですが…。19世紀イギリスのクリスマスをいきいきと伝える物語。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

クリスマス・キャロル
ディケンズ (著), 越前 敏弥 (翻訳)

世界中でもっとも愛されているクリスマス・ストーリーの名作!文豪としてのチャールズ・ディケンズの名を世界的なものにならしめた不朽の名作。クリスマスの物語として毎年一篇ずつ書かれたクリスマス・ブックの第一作で、発表後まもなく驚異的な大ベストセラーとなった。クリスマスの前夜、老守銭奴スクルージのもとに、「過去」、「現在」、「未来」の三幽霊と、昔の相棒マーリーの幽霊が現れ、これまでスクルージが行ってきた冷血非道な行いの数々を見せる。それでも最初は気丈にふるまうスクルージだったが、やがて自分の人生の空虚さに気づき、改心して真人間の生活に立ちかえることを決意する。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

クリスマス・キャロル
ディケンズ (著), 池 央耿 (翻訳)

並はずれた守銭奴で知られるスクルージは、クリスマス・イヴにかつての盟友で亡きマーリーの亡霊と対面する。マーリーの予言通りに3人の精霊に導かれて、自らの辛い過去と対面し、クリスマスを祝う、貧しく心清らかな人々の姿を見せられる。そして最後に自分の未来を知ることに。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

クリスマス・キャロル
チャールズ ディケンズ (著), ブレット ヘルキスト (イラスト), 三辺 律子 (翻訳)

その日、よりにもよって一年の中でいちばんすてきなクリスマス・イブに、スクルージは事務所で仕事をしていた。そこへ、おいのフレッドがやってきた。「クリスマスおめでとう、おじさん!」「ふん、ばかばかしい」スクルージは、やさしい心のかけらもない、がんこな老人だった。「わたしの好きなようにできるなら、『クリスマスおめでとう』などと言ってまわるような愚か者は、グツグツにこんで、ヒイラギの枝をブスリとさして、土の下にうめてやるところだ!」ところがその夜から、スクルージの前に、三人の幽霊があらわれて―小学生のうちに読みたい名作。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

クリスマス・キャロル
チャールズ・ディケンズ (著), 井原 慶一郎 (翻訳)

一年で一番楽しい日、クリスマス・イブ。欲深い老人スクルージのもとに幽霊があらわれて……文豪ディケンズの名作を炉端での幽霊話を念頭においた読みやすい語り口調で翻訳。時代背景がよくわかる詳注と解説、日本初紹介となるディケンズ公認のアメリカ版挿絵25点を加えた、大人の読者のための新訳決定版!

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

クリスマス・キャロル―A Christmas carol
英語版 チャールズ・ディケンズ (著), Charles Dickens (著)

TOEICレベル 470点以上

 

 

 

 

「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492

 

プロジェクト・グーテンベルクについて
Wikiの説明ページ

プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館

 

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子どもの本だな【広告】

はじめてのおつかい ウォーターシップ・ダウンのウサギたち ぼくは王さま
ピーターラビット全おはなし集 木かげの家の小人たち うみぼうやと月うさぎ
こわれた腕環 ねずみくんのチョッキ プー横丁にたった家

 

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妹子が読む「写楽暗殺」

 

ここのところ毎日、「写楽暗殺」にかかりきりになっていたので、妹子が「それ、面白いの?」と聞いてきました。

 

妹子は割と怖がりで、わたしのイチオシの「クラバート」も、怖い怖いと言ってなかなか読んでくれませんでした。

 

どうかな~と思いましたけど、渡してみました。

 

この本は絶版になっていますので、とても大事にしています。
誰かに貸したりすることをしていませんし、 超オススメしたいのに本当にもったいないです。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

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f:id:WhichBook:20201215030917j:plain

 

 

序盤。モンキー・センター。
妹子、猿にあまり興味が持てないようです。
「猿か…猿だしな…」という感じです。

 

主人公の夕子が、狂言を観劇するあたりで、こんなこと言い出しました。
「わかった!この子、 狂言がやりたくなって、自分が習うっていう話なんじゃな~い?」

 

甘いわ!

 

そこで閉じようとします。
いやいやいやいや。

 

まだ序の口のじょの「じ」の所にすら行ってないです。
「せめて一章は読んでみて!」と押し戻しました。

 

夕子、現代から江戸時代の狂言師に。

 

妹子「えっ!?」

夕子、夕一郎という男の子に。

妹子「えええっ!?」

 

二章に行ったな。
計・画・通・り。

 

 

さて次です。
記憶を失うときに、無礼討ちを見てしまう、ここはキツいのかも…。

 

妹子「さいとうじゅうろべえ、だれ?聞いたことあるような気がする」

 

スルーかよ!!!!!

 

妹子が聞いたことがあるのは明智十兵衛であって、「さいとうじゅうろべえ」ではないと思います。
夕子が 記憶を完全に失い、夕一郎となって 家に帰り着いた辺り、ここで妹子、さかんにねだります。

 

YouTube 見せて。YouTube 見たい。」
「何を見るの」
「うつぼざるが見たい。見せて!!」
「いいけど、思ってるのと違うと思うよ」
「違うの?」
「これかよって思うかもよ。わりと退屈だよ?」

 

せっかく興味を持ったのに、水をさす親。

この本では、とにかく今江祥智さんの狂言の内容の説明が、すごく面白いのです。
正直、本編の狂言より面白いぐらいです。(暴言)

 

こんな序盤で舞台を見て、がっかりしちゃわないかなあ。

 

「見せて!!!!!」
「はい」

 

10分経過。

 

妹子「さるじゃない」
わたし「最近の子、スタイルいいからね~」

 

昔ならもっと小さくて猿っぽかったかもしれません。

 

妹子「ぬいぐるみってあるから、もっとモフモフふわふわしてるかと思った」

 

猿色(?)の布なので、「子供が茶色の布を着ているな」という感じではあります。
しかし今思えば、着ぐるみの猿、これはまさにゆるキャラみたいなキャラクターです。

 

狂言、浮世絵、鳥獣戯画、絵巻物。
江戸時代の文化のすべてが、いまの日本の漫画文化の土台になっていると思います。

  

わたし「ここまでしとく?」
妹子「いや、見る」

 

動きにも、「カタ」があるようで、子猿は①ひっかき、②転がり、③食べるまね、の繰り返しです。

 

妹子「…………」

 

ここで、さる、キャキャキャ、と言って、大名をひっかくまねをしました。
妹子、めちゃくちゃウケてます。

 

ウケてる…。
狂言はやはりすごいなあ。
YouTubeなので、邪道ですけど1.7倍速にすると、かえって言葉もよく聞き取れました。

猿まわしが、さるを殺されると勘違いして、おさるに覆い被さってかばうところが、すっごく可愛いです。

 

夕子が魅せられるもととなった、「猿舞い」とやらはどうだろう?

 

歩いてる感じです。

 

妹子「…………」
わたし「思ってたのと違うでしょ。おかあさんも見たときえーって思った」
妹子「とんでない。はねてない。もっと、こう、さあ!!!」

 

妹子、とんだりはねたりしはじめました。

 

ドスドスバタン。 

 

 わたし「やめて~~!!」

 

 

 

 

 

 

復刊、全力で希望です。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

写楽暗殺
今江 祥智 (著)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

東洲斎写楽: 役者絵85図+プチ解説
Kindle版 東洲斎写楽 (著), 浮世絵ライブラリー編集部 (編集)

江戸を代表する浮世絵師の1人、東洲斎写楽の役者絵を集めたコレクションです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

写楽の謎の「一解決」
Kindle版 松本清張 (著)

役者絵で名高い浮世絵師・写楽は、その生涯がまったく謎につつまれ、今日まで多種多様の人物像が描かれてきたが、その決着はついていない。本書は、美術に造詣の深い、日本文学界の巨匠である著者が、その鋭い分析と大胆な推理に基づいて、日本美術の点と線を明かす、興味深いひとつの試論である。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

マンガでわかる能・狂言
マンガでわかる能狂言編集部 (編集), 小田 幸子 (監修), スペースオフィス

なぜ「能」と「狂言」はセットになることが多いの?初心者はどこに注目すれば楽しめる?難しそうだけど理解できる?眠くなったらどうしよう…。名曲「野宮」を一曲丸ごと解説しながら、能の番組の見どころや衣装、作り物の鑑賞ポイントを紹介します。

 

 

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

北風のわすれたハンカチ 名探偵カッレくん からすのパンやさん
チムとうだいをまもる まりーちゃんとおまつり 少年キム
船乗りクプクプの冒険 3びきのかわいいオオカミ あしながおじさん

 

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今日の一冊「魔法の庭ものがたり9 フェアリーたちの魔法の夜」

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

魔法の庭ものがたり9 フェアリーたちの魔法の夜
あんびるやすこ (著)

魔女の遺産を相続した人間の女の子、ジャレットの物語。相続したのは、ハーブ魔女トパーズの屋敷、「トパーズ荘」と、そのハーブガーデン、「魔法の庭」。そして、もうひとつ……。トパーズが書いた薬草の本、「レシピブック」でした。ジャレットはトパーズのあとつぎとして、「ハーブの薬屋さん」になり、村の人や、動物たちなど、さまざまなおきゃくさまに、毎日、お薬をつくっています。妖精たちのために「夏至祭りのキャンドル」を作ることになったジャレット。けれど、「先代の魔女ならどうするか?」ばかり考えて、自信が持てません。

 

 

図書館でこのシリーズがあるからそこに行くという本がありますよね。

 

シリーズもので、すごくたくさんあって、読んでないものなどないので、選び放題。
昔ならばゾロリ。ズッコケ。

今でも小学生たちにはゾロリは大人気です。
「図書館にはゾロリがある」
この安心感と、楽しみで図書館に来てくれます。

 

またおしりたんてい。ちょっと大きくなった子で、今ならば銭天堂。

 

銭天堂シリーズは、子供たちが日々触れる漫画やアニメととても親和性が高く、すんなりと物語に入れますし、ちょい怖ホラー要素もある、倫理も教えると言う、三方よしの作品です。

 

 

偏見かもしれませんが、女子向けの方が割とこの「シリーズもの」は充実している気がします。
子どもによりますけど、やっぱり、女の子の方が本に向かってくれますね。

 

中でもとてもお気に入りなのがあんびるやすこさん。

 

児童文学では、きったはったの大騒動やら、トンデモな冒険をしてほしいと願う私ですが、あんびるやすこさんのお話はそんなすごいことはおきないのですけど、安定していてとてもこころやすくあたたかです。

そして描写が美しく、また面白いです。

 

ジャレットはとてもお嬢さんでお行儀がいい、いわゆる「良い子」なのですけど、元気がありあまっているこねこたちがやんちゃなので、そこはバランスが取れています。

 

あまり考えずにピックアップしたのですが。

 

 

夏至のお祭り、ミッドサマーナイトに向けてのお話です。
(これは、紹介する時期が悪かった!)

 

・友達のエイプリルとスーとの、将来の相手に会える夢を見る方法の話
・人間のおとなの依頼者、リジーの、お友達とのトラブルの話
・妖精のキャンドルの依頼のお話

 

この三つの出来事が、主人公のジャレットを軸にして展開します。

 

 

主人公ジャレットは、あれこれの問題に悩みながら手探りで解決を試みていくわけですが、とんちをきかせて「よしわかった!!」と問題解決するわけではなくて、その悩み方が実に人間的です。

 

頼みに来た人々、特に今回は若い女性のリジーは、友達と喧嘩をしてイライラしたあまり、怒りにまかせて「友達を忘れる薬」を作って欲しいとジャレットに頼みに来ます。

 

ジャレットは勢いに押されて、わかったと答えてしまうのですが、本当にそれがリジーの望んでいることなのか。

 

今リジーはどんな風であるのか、ジャレットは慎重に、とてもよく観察し、悩み考えます。
何が最善なのか。
それぞれの気持ちや状況をじっくりと考えながら少しずつさぐります。

 

それは私たちの生活そのものの中にもよくあることで、普通の女の子でありながら、魔法の力の一端を手にすることになった普通の女の子、というのがとても共感を得ることができ、よい感じに子どもたち(女の子たち)を夢中にさせます。

 

すんなり本の世界に入ってくれるのに、とてもよいシリーズです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

魔法の庭ものがたり(既20巻セット)
あんびるやすこ (著)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ふしぎ駄菓子屋銭天堂
廣嶋玲子 (著), jyajya (イラスト)

一軒の駄菓子屋。この店にくる客は、その駄菓子に魅せられ、とりこになり、彼らの運命は、大きく変わることになる。さまざまな欲望をすくいとり、駄菓子に翻弄される人たちを描いて、子どもだけでなく、大人も夢中にさせるシリーズ全12巻セット。

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

かえるのエルタ イヌと友だちのバイオリン こわれた腕環
エルマーのぼうけんセット シートン動物記 オオカミ王ロボ他 大雪
シャーロットのおくりもの オンネリとアンネリのふゆ おんがくねずみジェラルディン―はじめておんがくをきいたねずみのはなし

 

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大人が読む児童書「写楽暗殺」4 めくるめく伝統芸能の世界2

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

写楽暗殺
今江 祥智 (著)

 

 

大人が読む児童書「写楽暗殺」1 幻想めくるめく狂言の世界へ

大人が読む児童書「写楽暗殺」2 あれ、私たち入れ替わっちゃったぁ~?

大人が読む児童書「写楽暗殺」3 めくるめく伝統芸能の世界

 

 

伝統芸能への興味は、なかなか難しいです。

 

ワンピース歌舞伎や、ナウシカ歌舞伎など、歌舞伎業界も頑張ってはいますけど…。
歌舞伎はともかく、お能はなかなか…。

 

狂言はゆかいでわかりやすくて、実によい切り口です。
 古文の入り口として、もっと注目されて欲しいです。

 

この写楽暗殺にハマったあと、狂言を読んで、それからお正月にやっている「髭櫓」を見つけてテレビで見て見ました。
皆で押さえつけ、人間ほどもある大きな毛抜きを使って、威張る男性の立派な髭を引っこ抜きます。

  

まんが日本偉人伝→源氏物語
日本むかしばなし集→宇治拾遺
写楽暗殺」→狂言集・浮世絵

 

と言う風に興味をもちました。

 

復刊、全力で希望です。

 

 

言及さてれいる伝統芸能関係(食べ物も入ってますけど…)の続きです。

 

🎀北斎写楽が顔を合わせ、お互いの似顔絵を描き合うシーンはとても胸熱です。夢のようなシチュエーションです。描いた絵は、それぞれ夕一郎とお栄ちゃんがもっていってしまいます。

 

🎀北斎がいずれ「富嶽三十六景」に挑むこと、狂言「釣狐」をいずれ夕一郎が踊ることのへ夢予知のような示唆があります。「釣狐」は、狂言は猿にはじまり狐に終わる、と言われるように、一人前の狂言師として認められるための儀式のような作品だとのこと。

 

🎀新しく夕一郎が世話されることになった、江戸の寺のお坊さまのご馳走。大皿いっぱいに花のように広げられた薄い刺身、ふぐです。(自分でさばいてるみたいです)、ふぐと白菜の鍋物、白子。

 

🎀蔦谷とのお抱え絵師の契約が成った写楽、数々の錦絵が頭をめぐります。勝川春章の役者似顔絵、春好の焼き物の役者絵、春英の相撲絵、北尾政美の武者絵、そして歌麿の美人大首絵。

 

🎀お栄ちゃんをもう一度描かせてもらう写楽歌麿の「高名三美人」への言及。おひさ(薬研堀の煎餅やの娘)、おきた(浅草の水茶や、難波屋の娘)、豊雛(新道の女師匠)

 

🎀鉄の分銅で(忍者か!)襲われる写楽ですが、全身の当て身で返り討ちにします。二世坂東三津五郎の石井源蔵を描きあげ、蔦谷重三郎を驚嘆させます。

 

🎀写楽となった十郎兵衛都は、五月五日の夏興行に合わせて大首絵を次々に描く。座の「花菖蒲文禄曽我」から十一枚、桐座の「佐々木岸柳──志賀大七敵討乗合話」から六枚、「花菖蒲思弁」から一枚、河原崎座の「恋女房染分手綱」から九枚、「義経千本桜」から一枚。

 

🎀疲れた写楽の脳裏に浮かぶ「竹生島」小段キリの一節。光も輝く金銀珠玉を─。「海人(あま)」小段玉ノ段の一節。人々喜び引揚たりけり──

 

このあと大変だ大変だと「一心太助みたいな言い方をした」報告が来て、写楽の絵が大評判となったことが知れるのですが、一番盛り上がるところです。

この「てぇへんだてへぇんだ~」という時代劇特有の呼びかけも漫画に今もみられますが、誰ももう「一心太助」がわからなくても、生活に根付いて、どこかで息づいて残っているのを感じます。

 

🎀写楽がお栄ちゃんにあげた、「松本米三郎のけわい坂の少将」「三代目市川八百蔵の田辺文蔵」

 

🎀写楽が夕一郎にあげた、「三代目坂田半五郎の藤川水右衛門」

 

写楽の絵が大評判になった章のもくじは、「イッツ・ア・ビューティフル・デイ

 

次第にわかってくるのは、このお話は写楽のお話だったということです。

 

「夕子がいれかわっちゃった夕一郎」と、「明らかに夕子そのものであるお栄ちゃん」
二人して、写楽という人物の歴史の生き証人として、その短い栄枯盛衰を見届けるのです!

 

名もない絵師だった男が蔦谷に見出され、大成功をおさめる写楽…!

 

なのに、謎の組織とともに、死の影がちらちらとつきまとっています。
写楽のその売れ方や生き方もどこか、花火のようにぱっと打ち上げて華々しく消える、太く短い生き方、運命のようなものを感じさせます。

 

北斎がその対極に位置していて、自分は百まで生きて蔵いっぱいの絵を描き残したいと言いながらも、写楽のことを心配すします。

ほんとうに写楽という人、北斎という人はこうであったかもしれないという生き生きとした描写になっています。

 

🎀写楽の次の作品都座「けいせい三本傘」、河原崎座「二本松陸奥生長(みちのくそだち)」、気晴らしで能を舞う「鞍馬天狗」、狂言「花子」、描いているのは三代目市川八百蔵八幡太郎義家(源吾成重)

 

🎀曽我兄弟の仇討のストーリー解説。

 

🎀写楽の死を目の当たりにして、気を失う夕一郎の脳裏に、狂言「福の神」の小謡がよぎる

 

写楽は、夕一郎のお父さんがらみの敵が放った刺客(若い女)に、心臓に一突きを浴びて崩れ落ちてしまいます。

 

謎は謎のまま、写楽の命が切れると同時に物語も終焉を迎え、夕一郎は、夕子となって我に返ります。

 

目が覚めた夕子は、すべてを忘れてしまっていました。
でも、狂言師に挨拶に行き、狂言師のおじさんは「こ太りのおじさん」にそっくりでした。
そして、靭猿を演じていた少年、栄一郎。

 

栄一郎=お栄ちゃん

 

ここで、見事に一つの輪が完成してました。

 

お栄ちゃんと夕一郎の、男女逆になってもう一度めぐり逢う逆転現象!
 

写楽の死という悲劇的な終わり方をしていますが、冒頭の夕子から始まった物語が、栄一郎との出会いで、今後の明るい展望を示して終わる。

 

江戸時代の夕一郎がいずれ狂言師として大成し、「釣狐」を踊ることが出来るようになるのは、作中で暗示されているので、そこはあまり不安な思いは抱きません。

 

読後もすっきりとして、ちっともいやな感じではありません。

 

この本を読むと、男の子は女の子になり、女の子は男の子になれます。

 

 

復刊、全力で希望です。

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

東洲斎写楽: 役者絵85図+プチ解説
Kindle版 東洲斎写楽 (著), 浮世絵ライブラリー編集部 (編集)

江戸を代表する浮世絵師の1人、東洲斎写楽の役者絵を集めたコレクションです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

写楽の謎の「一解決」
Kindle版 松本清張 (著)

役者絵で名高い浮世絵師・写楽は、その生涯がまったく謎につつまれ、今日まで多種多様の人物像が描かれてきたが、その決着はついていない。本書は、美術に造詣の深い、日本文学界の巨匠である著者が、その鋭い分析と大胆な推理に基づいて、日本美術の点と線を明かす、興味深いひとつの試論である。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

マンガでわかる能・狂言
マンガでわかる能狂言編集部 (編集), 小田 幸子 (監修), スペースオフィス

なぜ「能」と「狂言」はセットになることが多いの?初心者はどこに注目すれば楽しめる?難しそうだけど理解できる?眠くなったらどうしよう…。名曲「野宮」を一曲丸ごと解説しながら、能の番組の見どころや衣装、作り物の鑑賞ポイントを紹介します。

 

 

 

 

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木の実のけんか
岩城範枝 (著), 片山健 (イラスト)

隣の山に、どこより早く見事に桜が咲いているのを見つけたタチバナは、一族を引き連れ花見の宴を始めます。それを見た山の住人、栗は面白くありません。文句を言いに押しかける栗とタチバナ一族の駆け引きが笑いを誘います。しかし多勢に無勢、栗はやり込められ逃げ帰ります。が、今度は栗が山の木の実仲間をひきつれ乗り込み、桜の下での合戦の大団円。さて、その勝敗やいかに?果物を主人公とする珍しいこの物語は、狂言「木の実争い」を下敷きにして、華やかでチャーミングな絵を得て、見事な絵本になりました。

 

 

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ちいさいおうち おんがくかいのよる―5ひきのすてきなねずみ 月曜日に来たふしぎな子
カッレくんの冒険 こまったさんのスパゲティ 英語でもよめるはらぺこあおむし
種をまく人 こひつじまある ぼくは王さま

 

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大人が読む児童書「写楽暗殺」3 めくるめく伝統芸能の世界

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

写楽暗殺
今江 祥智 (著)

 

 

 

大人が読む児童書「写楽暗殺」1 幻想めくるめく狂言の世界へ

大人が読む児童書「写楽暗殺」2 あれ、私たち入れ替わっちゃったぁ~?

 

 

小5女子が男子になって江戸時代へ行って写楽と知り合って狂言ミステリーに巻き込まれる。

 

こんな荒唐無稽な物語をよく思いついたな!と思うほど、あれこれ入り混じっていますが、まったく違和感がありません。

 

あとがきで今江祥智さん、カニズバーグの来日の際、お会いしてちょうど「レオナルドダヴィンチ」について書いているという言葉に刺激を受けてのことだと書かれています。

石井桃子さんもファージョンにお会いしているそうですし、有名な児童文学者のかたたちは、国境を越えて親交があったのだなと思います。

 

「クローディアの秘密」では、ミケランジェロの彫像を生かしていた。
ならばこちらは日本だ、写楽を!ということのようです。

 

文化芸術と児童文学が密接に関わっている所がすごいです。


このお話、英訳にしてもすごーくウケると思うのですけど、どうして消えてしまってるいるのか…。

 

やっぱり、小5の女子にきったはったの流血沙汰はキツいからでしょうか?
今ならむしろ逆にいけると思うんですが。

 

漫画化もめっちゃ行けると思います。

 

ストーリーは夕一郎の狂言の稽古・写楽の絵の修行・お栄ちゃんをからめて、夕一郎のお父さんが巻き込まれた事件の謎と、写楽写楽として躍進していく過程を描いています。

 

ちょっと別の面から、このお話に出て来る伝統芸能の一覧みたいなのを、リストアップしてみたいと思います。

 

 

🎀夕一郎がお栄ちゃんに来て欲しいという心をこめて声を張り上げた狂言の演目「居杭」

 

🎀師匠に斎藤十郎兵衛のことを聞きたくてがんばる演目、狂言「金津」

 

🎀斎藤十郎兵衛は、お栄ちゃんと夕一郎が動いている姿を描いてみたいという。ただ動いているのではつまらないと、夕一郎はお栄ちゃんにも簡単な稽古をつける。狂言「くさびら」

 

ここの、「くさびら」できのこの精となった二人を描く写楽の絵の描写がすごいです。

機会があればぜひ読んでみて欲しいです。

 

🎀「くさびら」を描いた絵から、斎藤十郎兵衛はじめての絵の注文を受ける。切能「雷電」、脇能「賀茂」、鳥羽僧正の絵(鳥獣戯画)、狂言「神鳴」

 

🎀お栄ちゃんを呼び出したくて(またか)声を張り上げる。狂言「髭櫓」

 

この「髭櫓(ひげやぐら)」、わたしが「附子」以外ではじめて見た狂言なのですが、すごく面白くてとても印象に残っています。
でっかい毛抜きで男性の髭を引っ張ります。

 

🎀斎藤十郎兵衛、夕一郎、お栄ちゃん三人で会食。(伝統芸能ではないですが)山芋のたたき、汲みあげ湯葉のすまし汁、鮎の背ごし、若竹蒸し、すずきの塩焼き、あなご豆腐。

 

めっちゃ美味しそう。

 

🎀勝川春章、鈴木春信、鳥居清長への言及あり。

 

🎀少しだけお酒をもらって酔ってしまった お栄ちゃんを起こすのに、歌で謎かけする斎藤十郎兵衛、何て風流な…。狂言「水汲み」

 

この後で、夕一郎とお栄ちゃんは、謎の四人組に襲われます。
藤十郎兵衛は絵の修行で江戸へ。

 

🎀絵に悩む斎藤十郎兵衛が、写楽と名乗るようになる。狂言「菓爭(このみあらそい)」を思い出す。

 

🎀襲われた夕一郎は、敵の眼をくらますために寺住まいへ。狂言「花折」

 

🎀お栄ちゃんも危険回避のため江戸へ。寄席で噺家に扇子を貸したのを期に、蔦谷重三郎と知り合い、蔦谷は写楽の絵に目を止める。歌麿の浮世絵をもらう。

 

🎀お栄ちゃんは蔦谷重三郎に舟遊びに招かれる。蜀山人十返舎一九東海道中膝栗毛の作者)が乗っている。

 

🎀江戸で夕一郎を恋しがるお栄ちゃん、狂言「柿山伏」

 

🎀寺で再び襲われた夕一郎(すんごい怖いです)、御高祖頭巾で女装して江戸へ。船の中で北斎に出会う。

 

北斎が、べらんめえなきっぷのいい絵師で、めっちゃカッコいいいです。

 

また、この男子になってしまった女子が女装するという、誰も思いつかなさそうな逆転シチュも見逃せません。

夕一郎、ここでうとうとしたときに、一瞬、夕子であった自分を取り戻しそうになります。

 

🎀十郎兵衛、役者絵を描いて描いて描きまくる。 

三代目市川高麗蔵の志賀大七
中山富三郎の宮城野
市川鰕蔵の竹村定之進
三世大谷鬼次の江戸兵衛(たぶん一番有名なやつです)
谷村虎蔵の鷲塚八平次

どれも最高傑作ばかりです。

 

🎀写楽を探し回る蔦谷の受難。山東京伝「仕懸文庫」 「青楼昼之世界錦之裏」「手段逼物娼妓絹篩」の発禁処分で賭けを張る絵師を探している。

 

この絢爛豪華な文化芸術が、ミステリーな事件と、追われる子供たちの話のところどころにはさまれていて、まるで絵巻物を見ているかのようです。

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

東洲斎写楽: 役者絵85図+プチ解説
Kindle版 東洲斎写楽 (著), 浮世絵ライブラリー編集部 (編集)

江戸を代表する浮世絵師の1人、東洲斎写楽の役者絵を集めたコレクションです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

写楽の謎の「一解決」
Kindle版 松本清張 (著)

役者絵で名高い浮世絵師・写楽は、その生涯がまったく謎につつまれ、今日まで多種多様の人物像が描かれてきたが、その決着はついていない。本書は、美術に造詣の深い、日本文学界の巨匠である著者が、その鋭い分析と大胆な推理に基づいて、日本美術の点と線を明かす、興味深いひとつの試論である。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

マンガでわかる能・狂言
マンガでわかる能狂言編集部 (編集), 小田 幸子 (監修), スペースオフィス

なぜ「能」と「狂言」はセットになることが多いの?初心者はどこに注目すれば楽しめる?難しそうだけど理解できる?眠くなったらどうしよう…。名曲「野宮」を一曲丸ごと解説しながら、能の番組の見どころや衣装、作り物の鑑賞ポイントを紹介します。

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

木の実のけんか
岩城範枝 (著), 片山健 (イラスト)

隣の山に、どこより早く見事に桜が咲いているのを見つけたタチバナは、一族を引き連れ花見の宴を始めます。それを見た山の住人、栗は面白くありません。文句を言いに押しかける栗とタチバナ一族の駆け引きが笑いを誘います。しかし多勢に無勢、栗はやり込められ逃げ帰ります。が、今度は栗が山の木の実仲間をひきつれ乗り込み、桜の下での合戦の大団円。さて、その勝敗やいかに?果物を主人公とする珍しいこの物語は、狂言「木の実争い」を下敷きにして、華やかでチャーミングな絵を得て、見事な絵本になりました。

 

 

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子どもの本だな【広告】

太平のカメ日記 「つるばら村」完結セット全12巻 ねずみのとうさん アナトール
ヒナギク野のマーティン・ピピン カーディとお姫さまの物語 かえるのエルタ
新編 世界むかし話集(10)アメリカ・オセアニア編 ながいながいペンギンの話 長くつしたのピッピ

 

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今日の一冊「子うさぎましろのお話」

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

子うさぎましろのお話
佐々木 たづ (著), 三好 碩也 (イラスト)

サンタクロースからもらったおかしを食べてしまった子うさぎのましろは、またほしくなってもらいにいくのですが……。

 

 

「小うさぎましろ

 

名前も可愛いし、絵も可愛い、とても可愛い絵本です。
長いこと、しずかに売れ続けていて、今も本屋さんの棚に置かれています。

 

クリスマスの時期、子うさぎのましろはまっさきにサンタさんにプレゼントをもらいました。
北の国に住んでいるどうぶつたちは、サンタさんの住んでいる場所に近いので、早くおくりものをもらえるのです。

 

白うさぎのましろはお菓子とかざりをもらったのですが、お菓子はあっというまに食べてしまいました。

 

もっとなにか欲しくなり、もう一度何か頼もうかなと考えます。

 

でも、サンタさんにもらえるのはどの子どもも、一度だけという決まりです。

 

ましろは、かわいらしいずるを考えつきます。
「別の子だって言えばいいんだ」

 

ましろは自分の体にすみをこすりつけて黒くして、サンタさんに会いに行きます。

 

サンタさん、ましろだとすぐにわかるのですけど、ましろ違うと言い張るので、からっぽの袋を探してみます。
うそをついていても、すごく子供らしくてかわいらしいです。

 

ふくろにはもう、小さなたねが一つしか入っていませんでした。
がっかりしたけど、たねをもらい、サンタさんが食べるためのサンドイッチももらいました。

 

サンタのおじいさん、とてもやさしいです。
寒かっただろうといって、そりに入れてくれて、おあがりとサンドイッチをくれます。

 

おなかいっぱい食べて満足した子うさぎはうちに帰る前に、すみを取ろうとしましたが、どんなにこすっても取れなくなっていました…。

 

幼い心で、ずるいことを思いついて、プレゼントをもうひとつもらおうとした罰なのか。
まっしろだった純粋な心が汚れてしまった示唆なのか。

 

子どもたちには、少しだけどきっとするお話かもしれません。

 

ましろは色々考えて、「たねはかみさまにおかえししよう」と、冷たい雪を掘ります。
土にたどりつくまでどんなに手足が冷たくなっても掘って掘って掘りぬいて、たねを埋めます。

 

たねからは、美しいクリスマスの木が生えてきました…。

 

ましろはサンタさんに何もかもお話するのですけど、そうかそうかと優しく受け止めてくれます。

 

こらしめではなくて、大きな愛で許される。
どこまでも優しいお話です。


クリスマスにはぴったりの絵本です。

 

 

昔、ちらっと検索して見つけたブラックサンタの話がおもしろく、興味本位で話してみたら子供たちすっかり信じ込んでしまい、めちゃくちゃ怖がっていました。
(クリスマスでなくても常に欲まみれなので)

 

※ブラックサンタ=なまはげみたいなものです。悪い子はいねがぁ~!

 

ブラックサンタより間違いなくこのましろのお話の方が優しいです。

 

 

 

 

佐々木たづ - Wiki

本になるにあたっての後書きを、作者の佐々木たづさんが書かれているのですが、ボストンの近くに過ごされていたとき、盲導犬ロバータを連れて、お友達のクリスマスに招かれていたときのことを思い出したとのこと。(高校生のときに失明されていたのですね…)

ジッと耳をすませば、はるか彼方からそりの鈴の音(ね)が聞こえてきそうなそんな夜でした。

美しいです。

 

wikiで調べてみると、何とあの「銭形平次」(知らないかたがもう多いかもしれません)の作者に小説の師事を受けたとのことでした!

 

 

 

少年と子だぬき
佐々木 たづ (著), 杉浦 範茂 (イラスト)

女の子にばけて山からおりてきた子だぬきと、じてんしゃにのった少年との心のふれあいを、あたたかく描いた物語。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

よいみみのこうま
佐々木 たづ (著), 中村 有希 (イラスト)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

野村胡堂 作品全集
Kindle版 野村 胡堂 (著)

銭形平次捕物」で有名な野村胡堂の全名作を一冊に!

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

おしいれのぼうけん あなたのおへそ 兎の眼
あしながおじさん ペネロペ こわいゆめを やっつける ふらいぱんじいさん
新編 世界むかし話集(6)ロシア・西スラブ編(下) そらいろのたね ママはかいぞく

 

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大人が読む児童書「写楽暗殺」2 あれ、私たち入れ替わっちゃったぁ~?

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

写楽暗殺
今江 祥智 (著)

 

 

大人が読む児童書「写楽暗殺」1 幻想めくるめく狂言の世界へ

 

 

第一話にして、一瞬で江戸時代へ。

ほら今、そういう漫画あるじゃないですか割と。

信長協奏曲とか信長のシェフとかほかにもあれこれ、あれこれ…)
面白いですよね。

 

まったく、違和感ないと思います!(力説)

 

夕子、いつの間にか江戸時代の狂言師(見習い)となっていました。

きつねにつままれたような夕子が、成り行きのまま部屋に入ると、そこには鏡が…。
映っているのは、同じ年ぐらいの男の子です。

およそ3Pをさいて丁寧に、夕子は鏡相手に奮闘します。
自分が男の子になっているということを受け入れられるまで、かなりの時間を要します。

 

江戸時代に飛ばされたのみならず、性別も入れ替わった。 

南米の猿の魔法にかかったのだろうか?
なんて考えながら、夕子は背後から呼ばれ、狂言師のおじいさんについて座敷へ…。

 

ここで夕子、さまざまな変化に直面することになります。

 

・名前は夕一郎。(夕の字がはいってます)
・砂糖湯をいただく。
・舞台の出来はほめられたけど、いきなり別の演目の稽古をさせられる。
・演目は「いろは」

 

稽古は、口うつしといって、口真似をしていくものです。

にこにこおじいさんは、背筋をのばしてしゃんと坐り直した。すると、いままで、こ太りのやさしいおじいさんと見えていたのが、百年も前からそこにでんと存在しつづけていた大きな黒い岩に見えてきた。

朗々とした声の響きの美しさ、などなど、狂言の魅力をあますことなく伝えてくれます。

ここで、客人がやってきます。
背の高い若侍。

藤十郎兵衛。

 

写楽です!

 

ja.wikipedia.org

 

三章、「カモンナ・マイ・ハウス」では、重要な転機が起きます。
稽古場を離れて歩く夕子、道ゆく人々の姿や景色にとまどいます。

映画かテレビの時代もののセットの中を歩いているのか、登場人物になってしまったのか…。

夕子、つねったり目をつむったり、あれこれしますが、でも「行く場所は知っている」のです。
「いつものように」稽古して、「いつものように」家に帰っている。
自分はいったい、だれなのか。

 

こうして、次第にゆっくりと、現代から江戸時代に、読んでいるこちらもとけこんでいきます。

 

ここで夕子、斬り捨て御免の無礼打ちに遭遇してしまいます。
すごい描写です。もうすっかり、時代小説の世界です。

 

小学5年生の女子にはこれはキツすぎました。
夕子、その場で気を失って、昏倒してしまいます。

助けてくれたのは斉藤十郎兵衛。あの若侍でした。

 

このとき、重大な変化が訪れます。

夕子は、現代人であった記憶をすっかり失ってしまいました!

無礼打ちを見たショックなのか、気絶したからなのか、ここから夕子は、夕一郎となって江戸時代を生きることとなります。

写楽が夕一郎の気持ちを逸らせ、落ち着かせるために話してくれたのは狂言の演目「鬼瓦」

あらゆる所に、伝統芸能の名前が出てきます。

 

 

夕一郎は、狂言師の息子でした。
しかし、お父さんは何らかの事情でおらず、父の師匠である「こ太りのおじさん」に稽古をつけられています。

この「突然消えてしまったお父さん」の謎が、写楽の運命に大きな影響を与えることになる…というお話です。

 

そして、ここで女の子が出てきます。
夕一郎の幼なじみです。

お栄ちゃん。

この子…。何となくなんですが…。
夕一郎の中に消えてしまった、夕子に似ています。

これ、夕子じゃね?という気持ちが消えません。

夕一郎があまりにも、最初から夕一郎であったかのように平然と話が進むので、夕子どうなったん?夕子どうすんの?という気持ちに、何となく答えを与えてくれます。

 

わたしたち、入れ替わっちゃったぁ~?なわけです!

 

お互いに、何となく淡い恋心を抱いています。

 

今江祥智さんは、作風が割とロマンチックで、「何となく淡い恋心を抱いてる男子と女子」をペアにしてくれる(くれる…)のですけど、漫画にしても映画にしても抜群にOKなシチュエーションです。

 

 

ここからお話は、本格的な時代小説となり、主人公は夕一郎(夕子)なのですが、登場人物入り乱れて視点は変わります。

 

いずれ写楽となる斉藤十郎兵衛の視点からもお話は語られます。

 

夕一郎。
藤十郎兵衛。
お栄ちゃん。

 

この三人を軸として、物語は展開していきます。

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

東洲斎写楽: 役者絵85図+プチ解説
Kindle版 東洲斎写楽 (著), 浮世絵ライブラリー編集部 (編集)

江戸を代表する浮世絵師の1人、東洲斎写楽の役者絵を集めたコレクションです。

 

 

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写楽の謎の「一解決」
Kindle版 松本清張 (著)

役者絵で名高い浮世絵師・写楽は、その生涯がまったく謎につつまれ、今日まで多種多様の人物像が描かれてきたが、その決着はついていない。本書は、美術に造詣の深い、日本文学界の巨匠である著者が、その鋭い分析と大胆な推理に基づいて、日本美術の点と線を明かす、興味深いひとつの試論である。

 

 

 

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マンガでわかる能・狂言
マンガでわかる能狂言編集部 (編集), 小田 幸子 (監修), スペースオフィス

なぜ「能」と「狂言」はセットになることが多いの?初心者はどこに注目すれば楽しめる?難しそうだけど理解できる?眠くなったらどうしよう…。名曲「野宮」を一曲丸ごと解説しながら、能の番組の見どころや衣装、作り物の鑑賞ポイントを紹介します。

 

 

 

 

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はてしない物語 魔法使いのチョコレート・ケーキ 「つるばら村」完結セット全12巻
まりーちゃんとひつじ 名探偵カッレとスパイ団 どろんこハリー
リラとわたし ツバメの谷 ヤナギ通りのおばけやしき

 

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大人が読む児童書「写楽暗殺」1 幻想めくるめく狂言の世界へ

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

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今日の一冊

 

写楽暗殺
今江 祥智 (著)

 

 

なんだか、「写楽暗殺」が読みたいなあ~。
という気分になったので、引っ張り出してきました。

 

たまにすごく読みたくなるのです。
これ、児童書を読んでいる、という感覚がありません。

 

主人公は、小5の女の子なのですが、これは完全に大人の小説です。
少なくとも、わたしはそう思って読んでいます。

 

歴史小説で、ミステリー小説で、幻想小説でもあります。
残念ながら絶版なのですが、ぜひ図書館などでも借りて読んでみて欲しいです。

すごく面白いです!

 

これは、浮世絵と狂言という、二大芸術を扱っているのですが、「こういうのですよ!すごいでしょ!」とあからさまに教える感じではありません。

 

狂言師、浮世絵師という主役の人物たちを通して、浮世絵や狂言がごく自然に周囲にある、ある意味、歴史小説であり、幻想小説でもあります。

 

写楽だけではなく、北斎も出てきます。
(べらんめえな感じの江戸っ子で、とてもカッコいいいです)
  

「ぼんぼん」や「山の向こうは青い海だった」も好きですが、それよりも好きです!

これは今江さんの作品の中でも、最高傑作ではないかと思っています。

 

再注目されて欲しいです!! 

 

 

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私の持っている本の装丁、カッコいいいです。

 

そしてもくじ。

 

第一章 モンキー・マジック
第二章 イェスタデイ
第三章 カモンナ・マイ・ハウス
第四章 イミテーション・ゴールド
第五章 マイ・フェア・レディ
第六章 トゥ・ヤング
第七章 ムーン・リバー
第八章 オンリー・ユー
第九章 ストレンジャー
第十章 マイ・ウェイ

 

…と続き、二十七章の「レフト・アローン」で終わっています。

 

古い歌ですが、名曲ばかりです。
Youtubeでセットリスト作ってみようとしたのですけど、時間なく挫折しました。
同じ名前でたくさんあるような曲は、どれなのかもわからず探すのが大変です。
映画音楽が多いようですね。

 

このもくじ名にあわせて登場するのは、小学校5年生の夕子ちゃんです。
あれ、これは歴史小説では?

 

第一章 モンキー・マジック

 

生まれてこのかた、夕子は、猿のことなど気にしたことがなかった。それが、この二日間で、猿のことが気にかかって仕方なくなってしまった。むりもない。
二日の間に、これまで見たこともないおかしな猿と顔つきあわせ、もう一つ、靱猿というかわいいのとであってしまったからなのだ。

小学校5年生の夕子は、二つの猿と出会います。
日本モンキー・センター(実際にあります)のおさるさんたちと、「靭猿」狂言の演目です。

 

夕子はモンキー・センターで、たくさんの猿を見て、頭が猿のことでいっぱいになってしまいます。
特に気に入ったのは南米の、タマリン、マーモセットのような小さな猿たちで、小鳥のように飛び交い、ちちちち…とさえずります。

夕子は夜に眠れず、羊を数えようとするのですが、猿たちに追い散らされてしまうほどです。

このモンキー・センターを訪れた日の描写は重要です。
なぜなら、狂言を見ている時に、あっという間に、えらい展開になります。

 

次に、夕子は、お父さんに半ば無理矢理連れられて 狂言を見に行きます。

テレビで見た歌舞伎もお能もさっぱりだった夕子、不安ながら観劇します。

ふいに、舞台から声が歌うようないい声が流れてきて、夕子はあわててパンフレットを閉じた。

─……これは、このあたりに住いいたす者でござる。天下治まり、めでたい御代でござれば、このあいだのあなたこなたの茶の湯は、おびただしいことでござる。それにつき、それがしも、今日は山一つあなたへ、茶くらべにまいりますが、おりふし、茶のつめたものがござらぬによって、伯父御の方へ借りにつかわそうとぞんずる。まず太郎冠者を呼び出だいて、申しつきよう。ヤイヤイ太郎冠者、あるかやい……。

とても、狂言についての説明が丁寧です。

「止動方角(しどうほうがく)」という演目なのですが、たしかに狂言は、何を言ってるかわからないお能と違い、言葉もはっきりしているし、短いし、ユーモラスでとてもわかりやすいです。

 

 

狂言えほん しどうほうがく
もとした いづみ (著), 青山 友美 (イラスト)

ある日、いばりんぼうの殿様が、太郎冠者(かじゃ)を呼びつけて言いました。「今日、わしはお茶の会に行く。すぐにおじさんのところに行って、お茶と刀と馬をかりてまいれ。」おじさんがかしてくれた馬は、誰かがせきをすると暴れだすくせがあり、「しどうほうがく」という呪文をとなえると静まるという、変わった馬でした。急いで帰った太郎冠者を、殿様は「遅いぞ!」と叱りつけ、馬にまたがります。太郎冠者が腹いせに、「コホン、コホン」とせきをしてみると……。

 

次の演目は「靭猿」
猿です。
ここでは、舞台の様子を描写しながら、仔細に「靭猿」の内容を説明しているのですが、ここ、すごく重要なところです!

 

舞台の表現がすごくすてきです。

 

猿は着物をつけ、花傘をかぶったかわいいのが、キャアキャアキャアと声をあげて、大名をひっかきにいこうとする。そのようすがあんまりかわいかったので夕子はすっかりひかれてしまい。声をひくめながらも、とうさんにきかずにはいられなかった。
──あの猿、だれがやってはンのン?
─…子どもや。
とうさんも低声で教えてくれた。
─ふうん……。わたしくらいの?
─…あの猿やったら、たぶんそうやろ。

 

言い忘れてましたけど、夕子は関西人です。
作者の今江さんが関西のかたなので、とても自然な関西弁を使います。

 

「猿(靭猿の猿役)に始まり狐(釣狐の狐役)に終わる」とも言われ、狂言師をめざす子弟が(猿の役で)幼少時初めて舞台に立つ演目としても知られている。(Wikiより)

 

…だそうですが、当時わたしもこの場面があまりにも面白く、日本古典全集を引っ張りだしてきたのは、「狂言」の巻がはじめてでした。

 

夕子はすっかり夢中になりますが、子猿が猿舞いをやって、舞台で跳ね踊りはじめた所から、気分が乗るあまり、自分が躍っているかのような錯覚に陥ります。

夕子はいつのまにか、猿になっていた。舞台の上にあがり、猿になって踊っていた。女の子猿らしく、ときにはちょいと腰をくねらせたりしながら、舞っていた。
ク子は狂言師にたちまじって舞台にいた。とんとんと足ぶみすると、足の裏に、気もちのいい木の感触がはねかえるのがたのしかった。

 

夕子が「猿の夢」を見た時に、ここにつながる布石は打たれていました。

このあたりの描写があまりにも巧みなので、読んでいる方もすーっと、見ている側から演じる側へ運ばれていきます。

 

舞い終ってひといきつき、観客席を見て、おどろいた。見物客のすべてが、頭にちょんまげをゆっているではないか。いったい、これはどうなっているのだろうか。夢だろうか。ほっぺたをつねりたかったが、舞台でそうはできなかった。とまどっているうちに、猿まわしのおじさんが、夕子をひょいと背にして、退場し始めた。背中に拍手をききながら、夕子はぬいぐるみの中で目をぱちくりさせているしかなかった……。

 

モンキー・マジックだ!


第一話にして、現代の小学生、夕子は、江戸時代の狂言師の世界に、あっという間に運ばれていきます。

 

 

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マンガでわかる能・狂言
マンガでわかる能狂言編集部 (編集), 小田 幸子 (監修), スペースオフィス

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子どもの本だな【広告】

ロボット・カミイ ルドルフとイッパイアッテナ 野尻湖のぞう
新編 世界むかし話集 (全11巻) 山室静 はじめてのおこづかい 魔法のカクテル
チョコレート・アンダーグラウンド さかさ町 ももいろのきりん

 

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今日の一冊「マローンおばさん」

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

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>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

マローンおばさん
エレノア・ファージョン (著), エドワード アーディゾーニ (イラスト), 阿部 公子 (翻訳), 茨木 啓子 (翻訳)

森のそばで、ひとり貧しく暮らしていたマローンおばさんのもとに、すずめや、ねこや、きつねたちが訪れ、おばさんは、貧しい中から彼らに必ず何かを分け与えた。読み継がれる有名な詩を邦訳して紹介する。

 

 

何となく、クリスマスの時期にふさわしいような気がしました。

ファージョンの「マローンおばさん」は、それほど長くはない一篇の詩です。
薄くて文庫サイズなので、読みやすいです。

 

ラストにファージョンの原文がついていますので、エリナー・ファージョンの美しい英語をそのまま見ることができます。

 

森の中に住んでいる貧しいマローンおばさん。
たったひとりぼっちで、誰にも気にかけられることなくその日暮らしをしています。

 

話し相手もなく、誰にも顧みられず、様子を尋ねる人もなく心にかけてくれる人もない。

 

孤独なマローンおばさんのもとに、ある寒い冬の夜、スズメが1羽やってきました。

よわりはて、まぶたは半分 ふさがって
くちばしも こおりついていた。

 

おつぎは、ねこが一匹です。

おなかをすかせ のどもかわき
棒きれのように やせこけて

 

次は母ぎつね。
なんと6匹も こぎつねを連れています

 

どの動物たちも、疲れてすっかりみじめな状態です。
次はロバ、次はなんと…熊!?

 

マローンおばさんは、いつでもすぐにあたたかく動物たちを迎え入れてやります。
暖炉のそばに、熊(割と小さめです)がまるくなって座っている所はとても可愛いです。

 

マローンおばさんはある朝、横たわったままで起きてきませんでした。
動物たちはのぞきこみ、「寝かせておこう」とお互いに言い合います。

 

それから、ロバの背中に乗せて運んでいきます。
野を越え丘をこえ、どこまでもどこまでも進みます。

 

たどり着いたのは天国の門でした。

 

いつでも天国の門番は第一弟子のペテロです。
(世界むかし話でもそうでした)

 

事情を聞く聖ペテロに、動物たちはおばあさんの優しさを口をそろえて訴えました。

 

そのとき、マローンおばさんここで目をさましてびっくり。
(ユーモラスです)
あれっ?ここはどこ?さあみんなうちにかえりましょ!

 

ペテロは門を開きます。

「母よ、入って王座のそばへ おゆきなさい。
あなたの居場所が
ここにはありますよ。マローンおばさん」

 

ずっと見捨てられたように森の中で、ずっとひとりで過ごしてきたマローンおばさんですが、神様のそばに永遠の居場所があると受け入れられたのでした。

 

 

あとがきに書かれています。

 

子どもの本を愛する人たちにとって、ファージョンの名前は特別な意味を持っています。

 

このひとことは、本当にその通りです。
私もまだ「エルシー・ピドック、ゆめでなわとびをする」ぐらいしか紹介できていません。

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ファージョンの世界は、うまく言葉では形容できません。
それは、訳された石井桃子さんの翻訳とあまりにもぴったり一体化して、深く広く、子供の世界と本の記憶に直結しています。

 

尽きない泉のような愛があって、冒険というよりも、ひとのこころがありました。

 

ファージョンも石井桃子さんも、生涯独身を通されました。
また他にたくさんの児童文学作家のかたが独身であったり、子どもがいなかったり、また若くして死別されたりしてしました。

 

あれほどの著作を残し、人々の心にとって、感動以上の体験となって心に刻み付けられている。
その本を愛する人たちによって語り継がれていくのを見るとき、独身、子なし、孤独死、そんなレッテルにいったい何の意味があるのかと思うことがあります。

 

少子化が語られる時、老後、孤独死、介護、年金、色んなことが言われますけど、社会のシステムや歯車の中で、人の心の大切さは忘れられてしまいがちです。

 

としよりを厄介者と断じ、安楽死の権利すら議論されるこの頃に、子供を持ち育てることだけが、本当にそれだけが、社会貢献で意義あることなのだろうか?と考えます。

 

マローンおばさんは薄くて小さな本ですが、 その姿はファージョン自身をうつしとっているようだとも書かれています。

 

わたしも、わたしの言葉を尽くして、ファージョンのすばらしさを必ず伝えていきたい、そう思いを新たにしました。

 

 

 

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名探偵カッレ 城跡の謎 銀のうでのオットー ピーターラビット全おはなし集
おれがあいつであいつがおれで 西遊記 しろいうさぎとくろいうさぎ
新編 世界むかし話集(1)イギリス編 ばばばあちゃんのマフラー わたしのワンピース

 

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今日の一冊「きかんしゃ やえもん」

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

きかんしゃやえもん
阿川 弘之 (著), 岡部 冬彦 (イラスト)

年をとってしまった機関車のやえもん。くず鉄にされる運命が待っていたのですが、ある日、交通博物館の人がゆずってほしいと申しこんできました。

 

乗り物シリーズご紹介さいごの一冊(まだやるかもしれませんけど…)は、訳された阿川弘之さんに敬意を表して、「きかんしゃ やえもん」にしようと思います。

 

この本が並んでいるたびに、ああ、まだ読まれ続けているんだな、愛されているな、と思います。

 

やっぱり、鉄じゃなくても、蒸気機関車というのはちょっと一種特別です。
グレアム・グリーンの「ちいさなきかんしゃ」の「訳者の言葉」に、阿川弘之さんはこんな風に書いていて、おもわずにっこりです。

 

蒸気機関車は、世界じゅうの鉄道からしだいに姿を消していこうとしています。日本ではもちろんのこと、古いものをあんなに大事にする英国でも、もうほとんど見られなくなりました。それにもかかわらず、蒸気機関車は、相変わらず子どもたちの人気者ですね。
黒い煙と白い蒸気をはいて勢いよく走る姿が、電気機関車ディーゼル機関車とちがって、ほんとに生き物のような感じを人にあたえるからでしょう。

 

「きかんしゃ やえもん」の魅力をいくつか挙げてみると…。

 

語り口がとてもおもしろいです。
語りと汽車の擬音がまじりあって、いい味を出しています。

 

「おれだって しゃあ、わかい ころには しゃあ、たくさんの ひとを のせて しゃあ、すごい すぴーどで しゃあ、おおきな とかいから とかいへ しゃあ、はしったものだが しゃあ」

 

あしや せなかが いたいので、えきを でるときは、
「ひゃあ!」と、ひとこえ、ひめいを あげました。それから、
「しゃっ
しゃっ しゃっ
しゃっ しゃっ しゃっ
しゃっ しゃっ しゃっ
しゃっ しゃくだ しゃくだ しゃくだ……」
と おこりながら はしりだします。

 

この出るときの「ひゃあ!」
よくわかります。
映画などでしか見たり聞いたりしたことはありませんが…。

実は読み語りではこの「やえもん」は大得意の一冊で、いつもウケが良いです。

 

「いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう」は息切れがしてきて、本当に汽車の音が出せているか不安で仕方なく、とても苦手なのですが、この「やえもん」は実にバランスにすぐれているのです。

 

☟読み語りする上で「ちゅうちゅう」がいかに息切れ必須でひどいかの記事です。

whichbook.hatenablog.com

 

他の電車もみんな可愛いです。

うしろの客車の
「ちゃんちゃん かたかた けっとん」
れえる・ばす
「けろろん ろんろん けろろん ろん」
も可愛くて大好きです。

 

全編、音楽が流れているようで、しかもそれが電車の音そのままです。

 

とっきゅうの

「ら ら らん らん ぱあん」とさけんで、とまらずに いってしまいました。

これ、めっちゃわかる~!!今でもそうです。
電車が通過するときの音の変化をすごくよくあらわしています。

 

 

以前から疑問だった「れえる・ばす」
レールバス - Wiki

 

私は見たことありませんが、こんな可愛い電車があったんだなあと、珍しく興味深くいつも読みます。

 

子どもたちに「なに?」と聞かれたりするのですが、読んでいる途中は流れを途切れさせないため、なるべく聞こえないふりをして知らんふりをすることにしているのと、ほんとに見たことがないので説明できません。

 

(ここに発射風景がありますが、確かにケロケロケロケロ、と言っているように聞こえます!)

 

この冒頭の、あらゆる発射風景の音楽に満ちた描写に、読んでいるともう子どもたちは釘付けです。
今にいたるまで売られているのもしかりです。
簡潔で優しい文章、ユーモアがあふれています。

 

 

やえもんはもう、年を取って古くなっているので、貨物列車に意地悪を言われました。

 

おべんとうに石炭を食べている(この表現がすごく好きです)ので、「おなかのなかまでまっくろけのびんぼうぎしゃ」と笑われます。

 

うっかり笑ってしまったれえる・ばすのいちろうとはるこ。
このときのやえもんの怒り顔がそれはそれはもう、表情豊かですごいです。

 

怒ったまま走り出したやえもんは、火の粉をはいてそれがいなむらに燃え付いてしまったことに気が付きませんでした。

 

農家の人たちが騒ぎ始めるのですけど、何となくサザエさんの絵を思わせるような、あのタッチのダイナミックな動きと表情がある絵で、怒って集まってくる様子、赤くなって困っているやえもん、必死でなだめている鉄道の人…。

 

見ているだけでこちらの胸に迫ってくるような迫力があります。

 

やえもんも泣いているので、このあたりで、子どもたちはいつもカンカンに腹を立てています。

 

貨物列車が意地悪を言ったぐらいでは、「ひでえ」「最低」とか言うだけなのですが、この農家の人たちに対しては、憤激のあまり逆暴動を起こしかねないぐらいざわつきます。

 

興奮のあまり演説をぶちあげはじめる子供もいるので、先を読むのが大変です。

 

このあと、「たいかくけんさ」を経て、やえもんは「くずてつ」にされることに決まります。
このあたりに来ると、もう子どもたちはシーーンとしています。
鼻をすすって泣いてる子さえいます。

 

あまりにもやえもんが、その声の音楽がゆたかで、表情がゆたかで、生き生きと怒ったり悲しんだりしているので、もう他人事とはとても思えないんです。

 

あわや、というところで、交通博物館の人が現れてゆずってもらえないかと聞いてきます。

 

やえもんを愛する子供たちが、やえもんをおそうじするシーンでは、もう子どもたちの心が絵の中の子供たちと一体となっています。

 

やえもんの満面の笑みのニコニコ顔!

 

 

愛されて来た古いものを、役に立たないからと捨ててしまうのではなくて、大切にし、保存し、存在を伝えていくことの大切さ。

 

それはやっぱり、絵や神社仏閣や、さまざまな有形無形を問わない文化財にもとても大切なことですので、そのような心も子どもたちにさりげなく伝えてくれる本です。

 

このやさしくあたたかく、ユーモラスな物語を、阿川弘之さんが残したことは大きいです。

 

乗り物好きなお子さんたちには、もちろん図鑑を買ってあげるのもいいですけど、このような乗り物を愛してきた作家さんたちの「物語」があることも知って欲しいです。


ぜひ、図鑑とセットで売りだしてもらいたいですね!
(重版出来で見ましたけど、鉄の人用の棚に置くのもいいのかも!?)

 

いま、あちこちを見て回って、本屋さんで今でも平積みで売られている阿川弘之さんの本というのは私の知る限り「きかんしゃやえもん」が一番です。

 

山本五十六」などのいかめしい小説で知られているし、娘さんの影響で、昭和のカミナリ親父・頑固者のイメージがすっかり強くなってしまった阿川弘之さんなのですが、次第に本屋の棚からも、その小説は姿を消しています。

 

その人が子供たちに書いたこの一冊の本が、今でも書店の棚を飾る。

 

もしかすると…ですが、(不吉なこと言って申し訳ないですが)時が過ぎ、阿川佐和子さんのエッセイさえ忘れ去られてしまう時代が来たとしても、この「きかんしゃやえもん」はいつまでも子供たちに愛され、本屋で見られ続けていくのかもしれません。

 

いやきっと長く愛されていくだろう、そういう普遍性を感じさせる一冊です。

 

 

 

 

小さなきかんしゃ
グレアム・グリーン (著), エドワード・アーディゾーニ (イラスト), 阿川 弘之 (翻訳)

『第三の男』などで有名な、イギリスの作家の初めての子どもの本。ちび機関車が冒険の旅に出ます。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

小さなローラー
グレアム・グリーン (著), エドワード・アーディゾーニ (イラスト), 阿川 弘之 (翻訳)

ロンドン空港で働く蒸気ローラーがギャングの一味をつかまえます。文、絵、訳ともにすぐれた絵本。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

小さな乗合い馬車
グレアム・グリーン (著), エドワード・アーディゾーニ (イラスト), 阿川 弘之 (翻訳)

細々と仕事をしてきた乗合い馬車が、悪者をつかまえます。やわらかな色合いのあたたかい絵本です。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

小さなしょうぼうしゃ
グレアム・グリーン (著), エドワード・アーディゾーニ (イラスト), 阿川 弘之 (翻訳)

いかにもイギリスの田舎らしい風物の中で、小馬のトビーがひっぱる小さな消防車が活躍します。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

きかんしゃ1414
フリードリヒ=フェルト (著), 赤坂 三好 (イラスト), 鈴木 武樹 (翻訳)

働き疲れた老機関車がこっそり夜のひとり旅に出かけます。機関車と少年の冒険と友情を描くほのぼのとしたファンタジー

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

いたずらきかんしゃちゅうちゅう
バージニア・リー・バートン (著, イラスト), むらおか はなこ (翻訳)

ちいさな機関車のちゅうちゅうは、いつも客車や貨車を引いて小さな駅と大きな駅の間を走ります。ある日ちゅうちゅうは、みんなの注目を集めたくて、ひとりだけで走り出してしまいます。威勢よく走るちゅうちゅうに、まわりのみんなは驚き、怒り出します。やがて日が暮れて、石炭も水も少なくなり、古い線路に迷い込んでとうとう止まってしまったちゅうちゅう。そこに迎えに来てくれたのは、最新式の汽車にのった機関士でした。

 

 

 

 

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今日の一冊「小さな乗合い馬車」

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

小さな乗合い馬車
グレアム・グリーン (著), エドワード・アーディゾーニ (イラスト), 阿川 弘之 (翻訳)

細々と仕事をしてきた乗合い馬車が、悪者をつかまえます。やわらかな色合いのあたたかい絵本です。

 

 

「小さな乗り合い馬車」
今回借りて来た乗り物シリーズ、最後の一冊です。
 

乗り合い馬車くんが登場するのも遅く、意思を持つのはなんと後半も過ぎてかなりたってからですので、シリーズとして読んでいなければちょっととまどうかもしれません。

 

しかしなんとなくですが、お話として、この本が一番好きでした。

 

 

小さな個人商店で食料品を扱っているポッターおじさん。
とても優しいおじさんで、みんなの悩みを聞いてあげたりと非常な人格者です。
ねこを三匹、またいじめられていた小馬を買い取って、裏庭で子供たちと遊ばせてあげています。

 

しかしある日、近くに大型店舗が出現しました。
あ~あ。

 

3匹の猫も出て行き(えさがないので…)残ったのは微妙な店員一人と、あめを買ってくれる子供たちだけでした。

 

(がっかりしてしっぽを垂らして出て行く猫の絵がえらくかわいいです)

 

小さな個人商店が、大型店に駆逐されるというのは、いつの時代もある話なのですね。

 

この大型店の配達の目玉は、非常に気取った二輪馬車です。
うまも気取っています。

 

舞台はロンドンなのですが、車とパトカー、有名なロンドンの二階建てバス、それと馬車が入り交じった、とても不思議な世界です。

 

さてここで、乗り合い馬車はまだぜんぜん出てきません。

 

 

おじさんはガスの料金を止められるほどの困窮生活に追い込まれていました。

 

夢みたいなことが起きないか…そう考えていたとき、倉庫にひっそりと眠っていた、「乗り合い馬車」を発見します。

 

この乗り合い馬車、出してみたはいいけれど、ペンキもはげてみすぼらしく、子馬もおなかがすいて痩せているということなので、結局周囲の人には見向きもされません。

 

ですが、アーディゾーニの絵があまりにも素敵なので、「みすぼらしい」という設定がいまいち頭に入ってきません。

 

レトロでかわいく、天井にも観覧席のようなものがあります。
めちゃくちゃ素敵です。
こんな「馬で引くバス」みたいな、割と大きめで人がたくさん載れそうな「乗り合い馬車」ごというものがあったんだなあと興味深く見ました。

 

さて、気取ったイヤな大型店は、その頃指名手配の強盗犯ふたりに狙われていました。

 

敵の敵は味方

 

…じゃなくて、まあお約束どおり、大型店、強盗犯に入られるのですが…。 

ここです!

 

ここで、乗り合い馬車が突然目を覚ましました。

 

唐突に乗り合い馬車が話しはじめるので、ちょっと戸惑います。
馬と話し合ってますが、今まで、この馬のブランディすら、まったくしゃべってなかったからです。

 

逃走劇を繰り広げた結果、乗り合い馬車くんの

 

「後ろへ六歩さがれ。そして──、つっこむんだ!と つ げ き ィ !

 

という合図で(訳がすてきです💕)乗合馬車と馬は、悪人のアジトに扉をぶち破って突っ込み(はっきりいって突っ込んだのはほぼ馬です)、おじさんは賞金をもらえて大円団になります。

 

最後がとても良いのです。

おじさんは、前に、
「ゆめみたいなことを考えたって、どうなるもんか。」
と思ったことがありましたね。だけど、ほら、ページを開いてごらんなさい。

 

ここで、ぼやっとした夢のようなページが一枚はあって、ふと不安になります。
まさか、これは貧困にあえぐおじさんの夢オチだったのでは…?
開いてみると、

 

ゆめみたいなことが、ほんとうにおこることだってあるんですよ。

 

とあります。

 

とてもやさしい気持ちになれる絵本です。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

小さなローラー
グレアム・グリーン (著), エドワード・アーディゾーニ (イラスト), 阿川 弘之 (翻訳)

ロンドン空港で働く蒸気ローラーがギャングの一味をつかまえます。文、絵、訳ともにすぐれた絵本。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

小さなきかんしゃ
グレアム・グリーン (著), エドワード・アーディゾーニ (イラスト), 阿川 弘之 (翻訳)

『第三の男』などで有名な、イギリスの作家の初めての子どもの本。ちび機関車が冒険の旅に出ます。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

  

小さなしょうぼうしゃ
グレアム・グリーン (著), エドワード・アーディゾーニ (イラスト), 阿川 弘之 (翻訳)

いかにもイギリスの田舎らしい風物の中で、小馬のトビーがひっぱる小さな消防車が活躍します。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

きかんしゃやえもん
阿川 弘之 (著), 岡部 冬彦 (イラスト)

年をとってしまった機関車のやえもん。くず鉄にされる運命が待っていたのですが、ある日、交通博物館の人がゆずってほしいと申しこんできました。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ムギと王さま―本の小べや〈1〉
エリナー ファージョン (著), エドワード・アーディゾーニ (イラスト), 石井 桃子 (翻訳)

幼い日,本のぎっしりつまった古い小べやでひねもす読みふけった本の思い出―それはエリナー・ファージョンに幻想ゆたかな現代のおとぎ話を生みださせる母胎となりました.みずみずしい感性と空想力で紡ぎだされた,国際アンデルセン賞作家の美しい自選短篇集

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

天国を出ていく―本の小べや〈2〉
エリナー・ファージョン (著), エドワード・アーディゾーニ (イラスト), 石井 桃子 (翻訳)

幼い日,本がぎっしりつまった古い小べやでひねもす読みふけった本の思い出―それはエリナー・ファージョンに幻想ゆたかな現代のおとぎ話を生みださせる母胎となりました.みずみずしい感性と空想力で紡ぎだされた,国際アンデルセン賞作家の美しい自選短編集から,この巻には13編を収めます

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

きかんしゃ1414
フリードリヒ=フェルト (著), 赤坂 三好 (イラスト), 鈴木 武樹 (翻訳)

働き疲れた老機関車がこっそり夜のひとり旅に出かけます。機関車と少年の冒険と友情を描くほのぼのとしたファンタジー

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

いたずらきかんしゃちゅうちゅう
バージニア・リー・バートン (著, イラスト), むらおか はなこ (翻訳)

ちいさな機関車のちゅうちゅうは、いつも客車や貨車を引いて小さな駅と大きな駅の間を走ります。ある日ちゅうちゅうは、みんなの注目を集めたくて、ひとりだけで走り出してしまいます。威勢よく走るちゅうちゅうに、まわりのみんなは驚き、怒り出します。やがて日が暮れて、石炭も水も少なくなり、古い線路に迷い込んでとうとう止まってしまったちゅうちゅう。そこに迎えに来てくれたのは、最新式の汽車にのった機関士でした。

 

 

 

 

 

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