~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

ふりがなについて悩む、川端康成大先生 「世界少年少女文学全集」の≪ふろく≫

 

あけまして、おめでとうございます🎍

 

いつもながらに、通常運転のこのブログ。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

新年第1日目の話題として、ここのところ、続けて話題にしている、「世界少年少女文学全集」の「ふろく」に載っている説明が、とても面白かったのでご紹介します。

 

 

 f:id:WhichBook:20201218232138j:plain

 

少し長いですが、本の本体ではなく、「ふろく」のことでもあり、全文抜粋させていただきました。

 

この「世界少年少女文学全集」の、編集のどなたがこの文を書いたのかはわかりません。
ただ、「編集」としか書かれていないです。

 

しかし、そうそうたるメンバーの中でも、筆頭である川端康成氏が、この編集の文章を読んでいないわけがない、と思います。

 

なので本当は題名は
ふりがなについて悩む、川端康成大先生(をはじめとする編集陣) 「世界少年少女文学全集」の≪ふろく≫
が正しいです。

 

◇ 

こちらからがその説明文です。

 

ふりがなについて
編集部

 

本全集のふりがなについて一言申しあげておきます。

読者のみなさまからいちばん多く要望されたことは、ふりがなをもっと多くしろ、ということでした。漢字にはぜんぶふってくれというかたもございました。これに対して絶対ふりがなはつけぬように、ふりがなをつけないで、わかるように表現すればよいという御意見もありました。特に国立教育研究所の方々(中でも石黒修(よしみ)先生からは直接御意見をいただきました)からはふりがなは反対のおたよりをいただいています。

 

これによると、「ご意見好き」は、昔から変わらずにあったみたいです。

 

ふりがなをふれといったり、ふるなといったり…。
苦労がしのばれます。

 

PTAや子供会でも思いましたけど、「子どものため」という大義名分があると、喧々囂々のものすごい活発な議論になります。
愛は盲目といいますか。

 

こちらの編集部は相当にしっかりとした自分の考えの軸をもち、自信をもってこの全集を編纂していたことが思いやられます。

 

教育漢字は学校の教科書で学年毎に教わるわけですが、特に国語の教科書と密接な編集のできていない社会科の教科書などでは、文字の読みかたをおぼえて、実物の研究調査にあたるというのが現状で、漢字を制限し、略体文字にしても、なお、漢字のふくざつさはへってはいません。たとえば上という字は、ウエとよみます。しかし、ジョウとも、ウワとも、ショウとも、アゲともよみます。

 

確かにこの複雑さは、なかなか難しいです。

 

漢字の読みは、本を読むことでしか経験値として溜まっていきませんから、やっぱり本を読むのは大事ということですよね!(無理矢理感)

 

日本では百の単語をおぼえるのに四時間五〇分かかるのに、イギリスの子どもは三六分でおぼえられる。イタリアでは二年生で新聞がよめる。ソ連では四年生の教科書にツルゲーネフ猟人日記が入っている。つまり、日本では、外国にくらべると、七・八〇倍の文字を習わねばならぬ運命にあるのです。大学を出ても読めぬ字があり、文筆を業とする人でもまちがった字を書くこともあるようです。日本語はじっさいむずかしいのです。

 

個人的には、日本語の複雑さが思考の邪魔になっているとは決して思いませんし、「外国」とひとくちにいってもさまざまあると思いますが、ここで興味を引いたのは、ソ連では」

 

ソ連…! 

確かに、これが編纂されたのは、ソ連の時代でした。
そして、「四年生の教科書にツルゲーネフ猟人日記
すごいなあ。

 

ツルゲーネフの「猟人日記」は決して読みやすい感じではありません。
大人でもちょっと、な感じです。


むしろ「はつ恋」とかの方がいいのでは?
(ちょっと特殊な性癖を刺激してしまうかもしれませんけども…)

 

この全集ではなるべくふりがなをつけずにいきたかったのですが、読者のはばを考え、日本語のふくざつさを思うと、三・四年生でおぼえる漢字にはつけないまでも、その他はぜんぶつけるという方針に従わざるをえませんでした。ただしページのはじめに出た漢字が同ページに出てきた場合はふりません。何はともあれ、これは文学であって教科書ではなく、わからない文字のために感覚を中断されてはまずいこと、また教科書でおぼえない活用と新しい字になれるということ、そしてできるだけひらがなを使い、国語をわかりよい、美しい、リズムのあることばに創造してゆくことなどに注意をひけたいと思います。

 

「文学であって教科書ではなく、わからない文字のために感覚を中断されてはまずい」という所に、子どもに対する真剣な配慮がみられます。

 

読んでいても、本当に美しい文章だなと思います。

「へびのたまごは、おいくらだい?」(ジャングル・ブック
「青いとりさん はよおいで」(青い鳥)

ちょっと笑ってしまうようなユーモラスさと同時に、リズムがあります。

 

江戸時代の文語体を使っていた時代に近い人、そのような文章に触れることが多かった時代の人は、リズムをすごく大事にされてるなと思います。

 

さらに子供の本には割と「、」が多いです。

 

多い「、」を嫌う人、いますよね。
「、」が多くて読みにくい!というご意見は、Amazonの書評などでもよく見かけます。

 

しかしこれは、こどもが文字をどこで区切ればいいのか?と思うことに配慮してのことだと思います。

 

元来、少年少女文学という特別の分野があるのもおかしいので、これはおとなも子どもも読む本当の文学なのです。アンデルセンは子どもの時読んでも、おとなになって読んでも感激します。その理解力の質と感銘の深浅(しんせん)はあっても。これがほんとうのメールヘン・童話です。外国のすぐれた童話は人間の本質・真実を書いているので、永遠に伴侶になりえます。また、ことばも特に子どものことばなどで書いていません。おとなも子どもと同じことばだからです。日本だけが、ことばの混乱のために学級別童話などというふしぎなことをしているのです。

 

元来、少年少女文学という特別の分野があるのもおかしいので、これはおとなも子どもも読む本当の文学なのです。

 

というのが、この全集を編纂したかたがた(川端康成氏含む)のご意見です。

(実際には、GutenbergやアメリカのWikipediaにも、Children's literatureというジャンルはちゃんとありますので…そう言い切れるかどうかは…?どうかな…?ではあります。)

 

子どももおとなも同じに通用することばで、真理を美しく、新しく表現した文学──それがわれわれのメールヘンの課題です。
ふりがな問題には大きな意味がふくまれているようです。

 

メルヘンという言葉が、現代では頭お花畑というイメージになってしまっているのは、悲しむべきだなと思います。

かといって、ヤングアダルトという言葉も、どうしても微妙に感じてしまいますし。
難しいです。

 

このブログではよく、「大人が読む児童書」を冠してはいますけど、「児童書」とは何なのか。
子供のためのものなのか、子供も大人も越えた文学作品なのか。

 

レ・ミゼラブルクリスマス・キャロル、三銃士、小公女、小公子は、果たして「児童書」なのか。

 

議論もあり、さまざまな考え方があるところではあると思います。

 

しかしやっぱり、子どもに本を与えるのはおとなです。
本を読むことを教えるのもおとなです。

 

そういう立場からして、「こどもに」というはっきりした目的と視線があるのが、児童書なのだと思うのです。

 

 

  

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

このふろくが挟まっていたのは、「宝島」「ジャングル・ブック」が入っていた巻でした。

 

宝島
R.L.スティーヴンスン (著), 海保 眞夫 (翻訳)

ジム少年は,トレローニさんや医者のリヴィシー先生とともに,海賊フリント船長がうめた莫大な財宝を探しに出帆する.ぶきみな1本足の海賊シルヴァーの陰謀にまきこまれ,はげしい戦いが始まる….手に汗にぎる海洋冒険小説の名作.

 

 

グーテンベルクで出ています。

www.gutenberg.org

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

ジャングル・ブック
ラドヤード・キプリング (著), 五十嵐 大介 (イラスト), 三辺 律子 (翻訳)

オオカミに育てられた少年、モウグリは、ヒグマのバルーや黒ヒョウのバギーラに見守られ、ジャングルのおきてを学びながら、すくすくと成長していく。宿敵のトラ、シア・カーンとの対決など、さまざまな冒険を切りぬけ、ジャングルの主になったモウグリだったが、やがて春がおとずれ……。キプリングによる古典的名作。新訳。

 

  

 

こちらは無料の原作(英語版)です。

www.gutenberg.org

 

 

 

「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492

 

プロジェクト・グーテンベルクについて
Wikiの説明ページ

プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館

 

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子どもの本だな【広告】

スパゲッティがたべたいよう ひとすじの道 デイビッド・マックチーバーと29ひきの犬
おかあさんだいすき 百まいのドレス あしながおじさん
小さな小さな魔女ピッキ ねずみくんのチョッキ みどりのゆび

 

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オーノワ夫人「青い鳥」1 バレエ「ブルー・バード」の元ネタ

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 バレエの観劇をする機会があったので見に行ってきました。

 

やはりコロナが猛威を振るっている中とあって、すごく気を使っていて、席も離していましたし、おしゃべりは禁止、スタッフの数も減らしたらしく、とても大変そうでした。

 

その中に、「ブルーバード」がありました。
私はバレエの漫画が大好きなのですが、その中で必ずと言っていいほど出てくる、超定番のバレエの演目です。

 

もう正直、またブルーバードかよ、と思うほど有名です。

 

きっと、バレエ漫画読まれたり、バレエにちらっと関わったりする方はみんな、ブルーバードはご存知のことと思います。
衣装も定番、男性は上から下まで青く、青いターバンを巻いて、額の所に鳥の羽が一枚、ついています。

 

search.yahoo.co.jp

 

けれど、このお話は何から来ているのか、ちゃんと調べたことがありませんでした。

 

漠然と、チルチルミチルの青い鳥かな?と思っていました。
パンフレットにはフロリナ王女と書いてあります。
チルチルミチルにそんな名前の王女さま出てきただろうか?

 

はじめてちゃんともとになっているお話を検索してみようとしました。

 

しかも、と言うのも何ですが、この一幕は、チャイコフスキーの大作バレエ音楽「眠りの森の美女」の中の一部にすぎないのです。
一部なので、あまり注目していませんでした。

 

そこでやっと分かりました。
オーノワ夫人の童話から取られていたのです!

 

しかも子供の頃、特別に大好きで、何十回となく読み返した記憶のある、一番思い入れのある話ではありませんか。

 

まさか、バレエの「ブルーバード」がこのオーノワ夫人のお話の「青い鳥」だったなんて…。

 

衝撃でした。

 

今までバレエ漫画を読みながら、ブルーバードと書いてあるのを見ながら、日産かよなんて思っていた自分を殴りたいです。

 

というわけで、今日はオーノワ夫人の「青い鳥」をご紹介したいと思います。

 

このお話も、常日頃から推している、世界少年少女文学全集の中の一編です。

 

これほどまでにバレエ界において、「ブルーバード」は有名なのに、バレエ物語などのお話に編纂されたりはしないものなのでしょうか?

 

f:id:WhichBook:20201222035831j:plain

 

この一冊は、この全集の中でも、特に思い入れが深い一冊です。

すごく面白い、ガルガンチュワが入っているのです。
ものすごくエッチな、「きつね物語」も入っています。
(こちらの子供版はエッチな所は削除されています。大人になって、完訳を読んでみて衝撃を受けました)
かつ、フォンテーヌの童話集も面白く、最後の方に乗っているそこそこ長い一編が「青い鳥」です。

 

この一冊は、ヘビロテでした。

 

この「青い鳥」のお話が大好きだったのはなぜか。
童話の中でもかなり、描写が詳細なのです。

その描写も、宝石やら宝物やら、服装やら髪型についてです。 

 

オーノワ夫人の時代はルイ14世太陽王のどまんなかです、
すごくロココなイメージなんだと思います。
フランソワ・ブーシェの絵とか、「ぶらんこ」とか、そういうイメージです。

 

ウィキによれば、オーノワ夫人の童話が書かれたのは、グリム兄弟がまとめるよりも135年も前。

 

語り聞かせる形式だと書かれているので、まさに口頭で話してきかせる、むかしがたりの世界により近いのだと思います。

 

 

しかしこの本の悪役は実に強烈です。

基本は、シンデレラとあまり代わりがない、継母と継姉にいじめられるお話なのですけど、ライバル枠の継姉の名前がまた強烈です。

 

トリュイトンヌというのがその名前です。

 

フロリナ王女、というのは定着しているようですが、こちらの「少年少女文学全集」の 氏の訳では、フロリーヌになっていました。
フランス読みですね。

 

フロリーヌVSトリュイトンヌ。

 

そして、いかにこのトリュイトンヌがきもちわるいほど不細工か、という描写も、美しい宝石や服などの描写と同じぐらい詳細です。

 

このわかりやすいひきたて役は、子どもにはとても面白いです。

 

これほど有名な「ブルーバード」なのに、どうしてこんなに流通していないのか不思議に思っていましたが、読み返してみたところ、わからなくもないな、と思いました。

 

この「トリュイトンヌがいかに不細工か」というのを延々とあげつらっているのはちょっと親たちには微妙なのかもしれません。

 

容貌というのは、先天的な要素なわけですし…。

 

逆に、サムエル・マルシャークの「森は生きている」のままむすめなどは、すごく底意地が悪いだけで、容貌についてはそれほど書かれていません。

 

一応、擁護してみると、たぶん、昔話の中で不細工だというのは実際にお顔の問題とは意味が違うのではないでしょうか。

 

心の醜さと外見も醜さが直結するのが、昔話の世界なのだと思います。

 

この「青い鳥」が入っている本ですが、図書館にまだ残っている所もあると思いますので、探したい方のために、念のために書いておくと

創元社「世界少年少女文学全集」11巻 フランス編 1
です。

 

 

冒頭は、愛する王妃さまを失って悲しみにくれている王さまからはじまります。

 

あまりにも嘆き悲しんでいるので、誰もなぐさめることができません。
その悲しみ方がすごいです。

 

まる一週間、部屋にとじこもったきり、悲しさのあまり身もだえしては、壁に頭をぶっつけかねないありさまなので、家来たちは、いのちをたつおつもりなのではないかと心配して、壁と壁かけのあいだに毛ぶとんをあて、ぶつかってもけがのないようにしました。

 

どんだけやねん。

 

しかし、愛が深いということなので、ここはおとなしく感動していたのですが、こういう愛の深い感動的な夫婦の話ではじまったにもかかわらず、妙な方向に話は展開していきます。

 

誰もなぐさめることができない王さまの前に、「黒のヴェールにすその長い喪服をつけ、黒のマントを着たひとりの女」が現れて、王さまの前でわっと泣き出しました。

 

王様「 ( ゚д゚ )!?」

 

その女の人の言い分「私はおなぐさめするために着たのではない。もっとお悲しみになるようにしてさしあげようと思った」

 

この女性の夫も死んだばかりなので、王さまの気持ちがよくわかるということなのです。
この二人は、お互いの亡き配偶者について、昼も夜もあけずに語り合うこととになりますが、その結果、この女性は誰よりも王さまの心をとらえることとなってしまいました。

 

この女性、「なかなかりこうもの」で、頃合いを見計らってヴェールを持ち上げます。
王さまも、いったいどんな顔なのだろうと気になっていました。

 

色つやのよい顔の、目のふちが黒くくぼんだ奥に、青い大きなひとみが、生き生きとかがやいているのを見て、心の晴れる思いがしました。

 

何やらあやしい雰囲気です。

 

王さまはだんだん亡くなった妻の話をすることが少なくなり、結果として、この女性と結婚することになりました。

 

この女性こそ、トリュイトンヌの母であり、フロリーヌ姫(フロリナ王女)をいじめまくることになる、継母の女王なのでした。

 

何とも不気味なはじまりです。この最初のエピソードは、がっちりと読み手の心をつかみます。

 

悲しみに対して悲しみという共感をもって接することで、相手を思うままにしてしまう。

 

共感が大事、とよく言われていますよね。
「論理的に解決法を探すのが、相手の求めていることじゃない」と。
まずは話を聞いてあげること。同じ経験をした人がいるんだ!と語り合うことが癒しになる。

 

寄り添うこの上なく優しい心の働きのようでありながら、すべてが演技であり、たくらまれたものであった(らしき)ことがなんとなく推測されます。
オーノワ夫人、強烈なひとことを、するっと差し挟んでいます。

 

たいていの場合、ひとの弱点を知るだけで、人の心をつかみ、その人を思いどおりにすることができるものです。

 

ところどころに、このような、世慣れた人の人生訓のようなものが入っているのが、このお話の魅力です。

 

ただのおとぎ話というよりも、よりいっそう一つの「創作」であり、「物語」であるという様相を呈しています。

 

 

つづきます。

 

…続くんかーい!!

 

 

 

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さてこんな、中途半端な所ではありますが、
いつも読んで下さっている皆さまに感謝申し上げます。

コロナで大変な時ではありますが、
来年こそは落ち着くことを願って、
どうぞよい新年をお迎えください。

 

(年賀状みたいになっちゃいまいました)

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

  

「 青い鳥」はないのですが、オーノワ夫人の「美女と野獣」です。

 

美女と野獣 (ワンス・アポンナ・タイム・シリーズ)
ドーノワ夫人 (著), エティエンヌ・ドレセール (イラスト), 石川 康弘 (翻訳)

そまつな服を着て、このうえなくみじめなくらしをつづけながら、娘たちはいつも、むかしのぜいたくで楽しかった生活をなつかしんでいました。ただ末娘だけは、明るく、強く、生きようとしていました。彼女は、父親がはじめて不幸に見舞われたとき、だれよりもなぎけ悲しみました。けれども、もちまえの快活さを取りもどすと、つらい生活にたえて、仕事に取りかかって、父親や兄さんたちをできるだけなぐさめようとしたり、姉さんたちの気持ちが、歌やダンスでまぎれるようにつとめるのでした。ボローニャ・ブックフェア特別賞受賞のシリーズ。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

白いねこ
オーノワ夫人 (著), こみね ゆら (著)

「1年後のこの時刻にこの世でいちばんかわいい犬を探して来た者にこの国を与える」 王の言葉に3人の王子は旅に出ます。17世紀フランスの、話ができる白い猫の繰り広げる、不思議で華麗な世界をのぞいてみて下さい。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

こちらのオーノワ夫人の「青い鳥」とはまったく関係のないメーテルリンクの「青い鳥」ですが、せっかくなのでリンクを置いておくことにしました。

 

青い鳥
モーリス メーテルリンク (著), 大社 玲子 (イラスト), 末松 氷海子 (翻訳)

貧しいきこりの子どもチルチルとミチルは、「幸福」の象徴である「青い鳥」をさがして、思い出の国や夜の御殿、未来の国などを旅します.ノーベル賞作家による、有名な戯曲.新訳.

 

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人間になりたがった猫 (てのり文庫 (566B003)) (日本語) 新書 - 1988/7/1 ロイド・アリグザンダー (著), 神宮 輝夫 (翻訳) かにむかし いやいやえん
おかあさんだいすき チム・ラビットのおともだち 五月三十五日
森は生きている にんじんばたけの パピプペポ 山んばあさんとむじな

 

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刃牙顔負けのバトルと煽り キプリング「リッキ・チッキ・ターヴィー」2

年越しが近付いているこんな時に、リッキ・チッキのマングースVSコブラのお話してるのが、ふさわしいのかどうなのか…。

 

しかし、リッキ・チッキは「ジャングル・ブック」の中でも独立していますし、短編ですし、子どもたちに読んであげて盛り上がるのに最高にむいている一冊であることは確かです。

 

たまにはゲームの手をとめて、耳をかたむけるのも良いと思います。

 

 

コブラとマングース キプリング「リッキ・チッキ・ターヴィー」1

 

 

 

さて、コブラの夫婦、ナッグとナガイナは、イギリス人家族を噛み殺して、住んでいる家を取ろうと画策しています。

 

これは、主に妻のナガイナの計略です。

 

「バンガローが、あきやであるかぎり、わたしたちは、この庭の王さまと女王さまなんですよ。そして、メロン畑にある、わたしたちのたまごがかえれば、すぐに(それは、あす、かえるはずだけれど)、うちの子どもは、しずかな広い場所がいるようになるってことを、わすれちゃいけませんよ。」
「そいつあ、気がつかなかった」と、ナッグが言った。

 

女の方が悪賢いのです。

 

これを立ち聞きしていたリッキ・チッキは、ナッグを待ち伏せします。
そして、コブラを相手に全力で戦います。

 

このバトルシーンは、最高の盛り上がりです。

 

本当に、息を飲みながら、目の前で見ているような臨場感です。
ナッグの頭にかみついて、暴れるナッグによってあちこちに叩きつけられ、それでも目を真っ赤に燃え立たせて、決して離そうとしない、マングースの子ども。

 

正直、確かにこれは見世物を思いついてしまうはずだよな、と思うほどのすごさです。

 

http://www.gutenberg.org/files/35997/35997-h/images/gs20.png

www.gutenberg.org

グーテンベルクの原書の挿し絵です。)

 

 

兄助も妹子も読んだのですけど、やはり「ジャングル・ブック」の中では強烈にリッキ・チッキのことは覚えているみたいです。

読み聞かせをしてあげたお子さんも、つばをのみこむようにして聞いていました。

 

現実の見世物よりも、読み聞かせした方が盛り上がるんじゃないか?と思うほどの、すさまじいバトルです。

 

 

死にそうになったリッキ・チッキですが、人間が起きてきて、銃でナッグを殺したので、何とか生き延びることができました。

 

それでも、リッキ・チッキはナガイナがまだいることを忘れていません。

 

「さあ、こんどは、ナガイナをかたづけなくちゃならないが、あいつは、ナッグ五匹あわせたよりも、もっとわるがしこいだろう」

 

夫のナッグ、微妙にばかにされてます。

 

リッキ・チッキは、子どもをコブラに食べられたサイホウチョウの助けをかりて、たまごの位置をさぐり出します。

 

しかし、リッキ・チッキがたまごをくだいている間に、ナガイナはまっすぐに人間の方に向かっていました。

人間を殺せば、マングースもいなくなる、そういう算段です。

 

狙われているのは、イギリス人夫婦の子ども、テディです。
もう、飛び掛かればすぐそこという位置で、大ピンチです。

 

そこに、一つだけ残ったたまごを抱えて、リッキ・チッキは駆け付けました。

ナガイナが人間の子どもを人質に取っているとすれば、リッキ・チッキはたまごを人質に取っている。

すごい状況です。

 

さらに、リッキ・チッキ、ここでさらに、すごい煽り方で煽りまくります。

 

リッキ・チッキは、両手でたまごをかかえた。その目は、血のようにまっかだった。
「さあ、へびのたまごは、おいくらだい?コブラの子どもは、おいくらだい?王さまコブラはおいくらだい?血をわけた子どものうちで、さいごに残った──さいごに残ったいっぴきのおだいは、おいくらだい?ありが、向こうのメロン畑のそばで、ほかのをみんな、食べてらあ」

 

何かもう、ちょっと良識あるおとなであったら眉をひそめるぐらいの、すさまじさです。

 

リッキ・チッキとナガイナは、お互いにたまごと子どもを忘れるほどの、せめぎ合いに入るのですが、飛んだり跳ねたりの間合いをつめるつばぜりあいです。

 

(イメージがあってるのかわからないんですけど、私はここでグラップラー刃牙を思い出しました)

 

リッキ・チッキがちょっとたまごのことを忘れた瞬間にナガイナはたまごをさらって、矢のように逃げ出します。

 

ここで逃がせば、ナガイナは生まれたコブラと一緒に再び復讐にやってくる。
リッキ・チッキも矢のように追います───。

 

というところで、やめておきますが、とにかく最後の最後まで、手に汗握る、すごいバトルなのです!

 

このお話、短編なのですが手に汗握る展開で、すごく面白くて、本当に大好きでした。 

子どもの頃からマングースコブラは宿命の敵だと思い込んでいました。

 

なので、ハブとマングースの見世物というのも、無理もないなあと思います。
見たら大人げなく喜んでしまいそうです。

 

このTwitterの映像はすごく盛り上がりました💖

 

キプリングの 「ジャングル・ブック」の面白さはやはり、この「むきだしの野生の強さ」とでも言うべきものを、非常にうまく表現できている所だと思います。

 

この文明の生活の中で、忘れてしまったもの。
でも、心のどこかに残っているもの。

 

厳しいジャングルを生き抜くために必要な強さは、きっと今の時代も変わらず必要なことではないかと思います。

 

ぜひ、読んであげて欲しいです。

 

 

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この本のふろくに、こんな風に書かれていました。
(どなたの説明なのかは書かれていませんでした)

キップリングは、インドで見聞したおもしろい動物のははなしを集めて、ジャングル・ブックと名づけました。
これらのはなしは、まったく珍らしいものばかりで、たいへん評判になりました。それはだんだんデカダン(たいはい的)になった世紀末のヨーロッパの人々にとって、未開の原始的な、強い、素朴な、そして人間的な作品が珍らしさと同時に、健康な精神を吹きこんだからです。

 

きっといつか、「宝島」につづいて、「ジャングル・ブック」も詳しく紹介をしたいと思います。

  

 

こちらは無料の原作(英語版)です。

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ジャングル・ブック
ラドヤード・キプリング (著), 五十嵐 大介 (イラスト), 三辺 律子 (翻訳)

オオカミに育てられた少年、モウグリは、ヒグマのバルーや黒ヒョウのバギーラに見守られ、ジャングルのおきてを学びながら、すくすくと成長していく。宿敵のトラ、シア・カーンとの対決など、さまざまな冒険を切りぬけ、ジャングルの主になったモウグリだったが、やがて春がおとずれ……。キプリングによる古典的名作。新訳。

 

  

「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492

 

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まったくなんの脈絡もなく、唐突にスペースコブラ」をご紹介。

コブラと聞いて、これを思い浮かべる昭和な人もいるのではないかな~
と思って…。

 

私は、つい最近見たのですけど、「三枚目ハードボイルド」の最高峰だと思います。

ルパンよりもお色気要素が強いかもしれません。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

スペースコブラ

超強力なビーム銃”サイコガン”を左腕に仕込んだダンディな宇宙海賊・コブラは、悪には強いが美女には弱い”おたずね者”。財宝の地図の秘密を解くカギを持つ三人の美女を海賊ギルドの魔の手から守るため、相棒のアーマノイド・レディとともに愛機タートル号で宇宙を駆け巡る!寺沢武一の大人気コミックをベースに、壮大なストーリーをハードボイルド・タッチで描かれたスペースアドベンチャー出崎統竹内啓雄のスタイリッシュな演出や、ジャズ・テイスト溢れる羽田健太郎の音楽など、大人の魅力を数多く持った大ヒットSFアクションだ。

 

 

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たつのこたろう パパ、お月さまとって! ちびっこカムのぼうけん
おめでたこぶた 「ナルニア国ものがたり」全7冊 ねずみくんのチョッキ
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コブラとマングース キプリング「リッキ・チッキ・ターヴィー」1

閑話です。

ニュースで見つけて、おお~!となりました。

 

switch-news.com

 

元になっているのは、こちらのTwitterのようです。 

 

コブラマングース

 

これは、私にとっても、すごい憧れです。
ジャングル・ブック」の中に入っている、マングースのお話を読んでからのことでした。

 

「宝島」と一緒に入っている「ジャングル・ブック」のお話。

 

f:id:WhichBook:20201218232138j:plain

(翻訳は、「宝島」とおなじく西村孝次さんです。)

 

実は、私は「宝島」よりも「ジャングル・ブック」の方がツボにはいって、以前からずっと「ジャングル・ブック」ばかり読んでいました。

 

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もう一度、かならずまた詳しく紹介したいなあと思っていますが、この中に「リッキ・チッキ・ターヴィー」という、マングースVSコブラの短編が入っています。

 

これがまた、本当に面白くて、胸熱なのです…! 

 

しかし、このお話、あまりにも面白いあまり、功罪があったようで、マングースは今や沖縄では害獣。

ハブ駆除のために輸入されたのがもととなって、環境破壊の原因となってしまったりしています。

ハブVSマングースで、見世物にもなっていたようですが、「このお話がもとだったナショナル・ジオグラフィックに書かれていた」と、さきほど紹介した記事にありました。

 

いやあ、そうだろうなあ。
私も、強烈な印象が残っていて、忘れられないです。

 

沖縄で害獣というのは、よく理解しているのですが、このお話のロマンはそれとは別で、本当によくできています。

 

 

このお話では、マングースのことを「ねこいたち」と書いていて、可愛いです。 

 

洪水でお父さんとお母さんにはぐれてしまった、小さな子どもマングースの「リッキ・チッキ」 

 

インドに住んでいるイギリス人家族に拾われるのですが、目を覚ましてもぜんぜん動じません。

 

モングースをこわがらせるというのは、世界じゅうで、いちばんむずかしいことだった。というのは、モングースは、鼻のさきからしっぽのさきまで、好奇心でこりかたまっているからだ。あらゆるモングース種族のモットー(あいことば)は、「かけていって、見つけろ」というのだった。

 

しっぽが「びんあらいのブラシのようにさか立つ」と書かれているのですけど、わかりすぎるほどよくわかります。

すごくリアルに想像できます。

 

かれは、綿を見ると、これは食べられないものだときめ、テーブルの上をかけまわり、すわって毛なみをととのえ、からだをかき、それから、少年の肩にとび乗った。

 

親と離れ離れになっても平気の平左です。 

強いです。

 

この、インドに駐在しているイギリス人家族は、夫婦と小さな息子です。

 

リッキ・チッキはこの家に飼われることになります。
 

可愛い子どもマングースなので、たいそう可愛がられるのですけど、そこに黒コブラの夫婦、ナッグとナガイナが現れます。

 

「はぬい鳥」のダージーが、巣から落ちた子どもがひとり、ナッグに食べられてしまったと泣いています。

(「はぬい鳥?」と調べてみると、 tailor-birdというもので、サイホウチョウ属だそうです)

 

「ふむ!」とリッキ・チッキが言った。「それは、たいそうお気の毒だね──でも、ぼくは、まだここをよく知らないんでね。ナッグってだれ?」

 

強いです。

 

このリッキ・チッキ、何というか、あらゆる面でとにかく強いです。

 

ジャングル・ブックの主人公、モーグリも強いですが、全編をとおして、野生の魅力にみちみちています。

 

可愛くても、野生は野生。
怒ると真っ赤な目になる(という設定の)マングース

 

小さくてもコブラと戦う本能は体に流れています。

 

コブラの夫婦、ナッグとナガイナとにらみあった後に、茶色のちいさな毒蛇をやっつけるのですが、この小さな毒蛇は、「コブラに噛まれるのとおなじぐらい危険」だそうで、イギリス人家族は大いにリッキ・チッキに感謝します。

 

 つづきます。

 

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こちらは無料の原作(英語版)です。

www.gutenberg.org

 

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

ジャングル・ブック
ラドヤード・キプリング (著), 五十嵐 大介 (イラスト), 三辺 律子 (翻訳)

オオカミに育てられた少年、モウグリは、ヒグマのバルーや黒ヒョウのバギーラに見守られ、ジャングルのおきてを学びながら、すくすくと成長していく。宿敵のトラ、シア・カーンとの対決など、さまざまな冒険を切りぬけ、ジャングルの主になったモウグリだったが、やがて春がおとずれ……。キプリングによる古典的名作。新訳。

 

  

「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492

 

プロジェクト・グーテンベルクについて
Wikiの説明ページ

プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館

 

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子どもの本だな【広告】

ウェールズのクリスマスの想い出 おそばのくきはなぜあかい エルマーと16ぴきのりゅう
てぶくろ あおくんときいろちゃん ふしぎなオルガン
しずかなおはなし 新訳 十五少年漂流記 イワンのばか

 

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大人が読む児童書「宝島」 4 読了 冒険小説の神髄

日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

宝島
R.L.スティーヴンスン (著), 海保 眞夫 (翻訳)

ジム少年は,トレローニさんや医者のリヴィシー先生とともに,海賊フリント船長がうめた莫大な財宝を探しに出帆する.ぶきみな1本足の海賊シルヴァーの陰謀にまきこまれ,はげしい戦いが始まる….手に汗にぎる海洋冒険小説の名作.

 

 

大人が読む児童書「宝島」1 やはり「船」は面白い

大人が読む児童書「宝島」2 本当に怖いのは、愛想がよくて感じのよい人

大人が読む児童書「宝島」3 生きるか死ぬかに子どもかどうかは関係ない

 

 

 
紹介はまだまだ、ここからという所なのですが、読了したのでこのあたりにしておきます(悪い顔)。

 

 

もう、はっきりいって、ここまで読んでしまったら、続きを読まずには終われないです。

 

とりあえず、小屋の海賊は六人!で、自分の計算があってたので嬉しいです。
きっと作者の綿密な計算の上、きっちり書いていることと思います。

 

・小屋にいた先生たちの命運は?

・シルヴァーが殺されそうなジム少年をかばいます。

・ベン・ガンの命運は?

 

正直、これは少年少女と言えども、ぜんぜん普通に翻訳で読んじゃってもいいのではないでしょうか?

 

最初にちらっと書いたのですけど、冒頭に作者が

「買うのをためらう人に」

という詩を載せてます。

 

もしも船乗り調子の船乗り物語や、
 あらしや冒険、暑さ寒さが、
もしもスクーナー船や、島々や、おきざり人や、
 海賊やうずめられた黄金や、
さてはまた、むかしふうに、ふたたびかたられた、
 あらゆる古いロマンスが、
かって、わたしをよろこばせたように、もっとかしこい
 こん日の少年たちを、よろこばせることができれば、

──よろしい、すぐ始めたまえ!もしそうでなく、
 もし勉強ずきな青年たちが
むかしの嗜好をわすれてしまって
 キングストンや、勇士バランタインや、
森と波とのクーバーを、もはやほしくないのなら、
 それも、またよろしい!それなら、わたしと
わたしの海賊どもは、これらのひとびとやその創造者の横たわる
 墳墓(ふんぼ)の中にくわわらんことを!

 

  (翻訳 西村孝次) 

 

 

TO THE HESITATING PURCHASER

If sailor tales to sailor tunes,
Storm and adventure, heat and cold,
If schooners, islands, and maroons,
And buccaneers, and buried gold,
And all the old romance, retold
Exactly in the ancient way,
Can please, as me they pleased of old,
The wiser youngsters of today:

--So be it, and fall on! If not,
If studious youth no longer crave,
His ancient appetites forgot,
Kingston, or Ballantyne the brave,
Or Cooper of the wood and wave:
So be it, also! And may I
And all my pirates share the grave
Where these and their creations lie!

 

読まないんなら読まないでいいよ的な感じなのですが、この姿勢は素敵だなあと思います。

結果的に、これほどまで読みつがれているわけですし。

 

何より、文句なしにストーリーが面白いです。
冒険小説の神髄です。

 

 ◇

 

この本の魅力は、シルヴァーとジムの奇妙な関係です。 

シルヴァーは最初からジム少年には特に親切で、ほめ殺しのおべっかも使いますけど、それ以上に何となく、やっぱり、個人的にこの子に一目おいて、気に入っているのは確かです。

 

「宝島」で一番好きなシーンは、つかまったジム少年が海賊たちの前で一歩も引かずに大演説をする所です。

 

「それからね、シルヴァーさん。」と、わたしは言った。
「あんたは、ここにいる中で、いちばんえらい人だと思うんだが、もし、ぼくがころされるようなことになったら、どうかぼくの死にかたを、先生につたえてくれたまえ」
「おぼえておこう」と、シルヴァーは言ったが、その口調がひどく奇妙だったので、わたしのたのみをせせら笑っているのか、それとも、わたしの勇気に感心しているのか、わたしには、どうしてもわからなかった。

 

この、奇妙な口調で「おぼえておこう」とジム少年に言うシルヴァーが、ピンポイントですんごく大好きです。

 

シルヴァーが親切にするのや、ジム少年を助けたりするのは基本、情勢を見極めてのことです。

いざというときの自分の切り札とするためであって、親切にしておいて損はないだけ、と考えているだけという風にもとれるでしょう。

 

あくまで自分のための欲得ずくなのか、それとも、本当にちょっとだけ、敵と味方、正義と悪の垣根を越えて、触れ合った心があるのか、ないのか...?

 

一般的なストーリーでは、敵が少し寝返りかかったら、反省したり悪に染まったのも理由があることが知られたりなどして、ほぼ味方がわにきちゃうものです。

 

しかしシルヴァーは、一筋縄ではいきません。

 

ギリギリの微妙なところ、「やっぱりおなかはまっくろの悪人だ~!」というのと、「もしかして、シルヴァーも少しは…?」という絶妙なラインを、すれすれでいったりきたりさせる、スティーブンソンの筆の冴えです。

 

また、小学生にしてもすごすぎるだろというスーパー少年、ジム。
海賊を前にして恐怖を圧し殺し、一歩もひかない大演説をぶちかます所など、すごいです。
こいつはたいした度胸です。

 

シルヴァーでも、確かにこれは一目置くよな、という説得力です。

 

 

有名な

「死人の箱にゃあ、十五人──
よいこらさあ、おまけにラム酒が一びんだ!」

という、アーサー・ランサムでもよく歌われている(ランサムの本では、「宝島」をすみずみまで読み込んで覚えていることは大前提であるように思います)海賊の歌は、こんな感じでした。

 

"Fifteen men on the dead man's chest--
Yo-ho-ho, and a bottle of rum!
Drink and the devil had done for the rest--
Yo-ho-ho, and a bottle of rum!"

 

この本、ジム少年はだれの言うこともきかないし、逃げ出したりさまよったり、海に漂ったり、挙句の果てに殺人まで仕出かしますので、相当に教育的には悪そうな内容です。

 

もう一度、落ちてきたふろくの紙に書かれてた文句を引用したいと思います。

※両作品とも、大体小学校六年生程度向きのものです。勇気と強いからだをきたえる冒険心をむやみに危険がって、のびて行く少年を、つみとることのないようにしたいと思います。

 

 

グーテンベルクで出ています。

www.gutenberg.org

 

 青空文庫でも出ていますので、フリーテキストふたつ(英語版と翻訳版)をかさねて読んでみるのも、また面白いかもしれません。

www.aozora.gr.jp

 

 

 

わたしは、挫折しましたけど...。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島 (10歳までに読みたい世界名作)
ロバート・ルイス スティーヴンソン (著), 横山 洋子 (監修), 館尾 冽 (イラスト), 吉上 恭太 (翻訳)

宝のうまった島の地図を手に入れた少年・ジムは、船乗りたちと宝探しの航海に出発します。しかし、海賊との戦いが待ち受けていて…。勇気と夢のつまった、心おどる冒険物語。さくさく読める世界名作シリーズ第14弾。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
スティーヴンスン (著), 村上 博基 (翻訳)

港の宿屋「ベンボウ提督亭」を手助けしていたジム少年は、泊まり客の老水夫から宝の地図を手に入れる。大地主のトリローニ、医者のリヴジーたちとともに、宝の眠る島への航海へ出発するジム。だが、船のコックとして乗り込んだジョン・シルヴァーは、悪名高き海賊だった……。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート・L. スティーヴンソン (著), 鈴木 恵 (翻訳)

先生が慎重にその封をはがしてゆくと、ひとつの島の地図が現われた――。取り戻せ、冒険心。大人たちの胸を熱くさせてきた不朽の名作、待望の新訳。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート・ルイス スティーブンソン (著), 佐竹 美保 (イラスト), 金原 瑞人 (翻訳)

港の宿屋、ベンボー提督亭のジム少年は、海賊の泊まり客から宝の地図を手に入れる。信頼のおける仲間たちと船を仕立てて宝島へと向かう一行。その船を追う、悪名高き海賊の船長、一本足のシルバー。イギリス少年冒険文学決定版を完訳で。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート・L・スティーブンソン (著), 寺島 龍一 (イラスト),  坂井 晴彦 (翻訳)

埋もれた宝、片足の海賊ジョン・シルバーの反乱、少年ジムの大活躍――冒険物語の永遠のテーマを見事に表現した、忘れようとしても忘れられない、児童文学の最高傑作です。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート L スティーブンソン (著), 寺島 龍一 (イラスト), 坂井 晴彦 (翻訳)

入り江を見下ろす宿屋「ベンボー亭」に現れた老海賊。残された一枚の地図が少年ジムを思いもよらない冒険へ誘いだす。一本足の海賊ジョン・シルバー、隠された宝……。冒険小説の名作中の名作。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島 Kindle版
ロバート・ルイス スティーブンソン (著), 佐々木 直次郎 (翻訳)

19世紀後半に活躍したイギリスの小説家ロバート・ルイス・スティーヴンソンの海洋冒険小説1881年から1882年にかけて連載。原題は「海のコック、あるいは宝島」だったが、後に「宝島」と改題。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート・ルイズ・スティーブンソン (著), 寺島 竜一 (イラスト), 阿部 知二 (翻訳)

ジム少年は,トレローニさんや医者のリブシー先生と,海賊フリント船長がうめた宝を探しにいく.ぶきみな1本足の海賊シルバーの陰謀と,はげしい戦い.手に汗にぎる冒険小説の名作.

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート・ルイス スチーブンソン (著), 井江 栄 (イラスト), 飯島 淳秀 (翻訳)

ジム少年の両親が営む宿屋に、ある日、奇妙な客があらわれた。ほおに刀傷のある船乗りで、彼は船長と呼ばれるようになる。船長の突然の死――そして、のこされた荷物の中から宝島の地図が!ジムはリブシー医師や地主のトリローニさんとともに、宝さがしの航海に出発する。イギリスの作家スチーブンソンが描く冒険小説の傑作!

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島―Treasure island
R.L.スティーブンソン (著), Robert Louis Stevenson (著)

ジム少年はふとしたことから、海賊の宝のありかを示す1枚の地図を手に入れた。医者のリブシー先生と地主のトリローニさんとすぐさま旅にでるものの…。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島 痛快世界の冒険文学 (6)
宗田 理 (著), ロバート・ルイス スティーブンソン (著)

《宝島》へ向かうジムのスリリングな航海!宝島の地図を手に入れたジムたちの宝探しの旅は、海賊たちとのはげしい戦いのはてに、どのような結末を迎えるのか イギリス少年文学不朽の名作。

  

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

  

「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492

 

プロジェクト・グーテンベルクについて
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プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館

 

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くらやみの谷の小人たち Mad about Madeline シートン動物記 オオカミ王ロボ他
ムギと王さま―本の小べや 長い長いお医者さんの話) ちいさなねこ
ながいながいペンギンの話 ひみつの花園 パパ、お月さまとって!

 

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大人が読む児童書「宝島」 3 生きるか死ぬかに子どもかどうかは関係ない

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

宝島
R.L.スティーヴンスン (著), 海保 眞夫 (翻訳)

ジム少年は,トレローニさんや医者のリヴィシー先生とともに,海賊フリント船長がうめた莫大な財宝を探しに出帆する.ぶきみな1本足の海賊シルヴァーの陰謀にまきこまれ,はげしい戦いが始まる….手に汗にぎる海洋冒険小説の名作.

 

 

大人が読む児童書「宝島」1 やはり「船」は面白い

大人が読む児童書「宝島」2 本当に怖いのは、愛想がよくて感じのよい人

 

 


二枚舌の魅力的なシルヴァー船長。

 

ここからどんどん、悪人の顔を見せてくれます。

 

しかし、ジム少年…。
地図は横から取るわ、悪人どもの話は立ち聞きするわ、縦横無尽の活躍です。

 

はっきりいって、ジムがいなかったら全員、序盤で殺されて終わりです。
主人公の面目躍如!

 

そして、シルヴァー、最初からジム少年にはとても親切でフレンドリーです。
恐ろしいことに。

 

 

第三編 海洋の冒険(My Shore Adventure)

 

13 どうして、海岸の冒険を始めたか

ついに宝島に停泊。
海賊どもはもう隠しきれないです。
シルヴァーが抑えています。
先生たちは緊張緩和の目的で自分たちは船にこもり、海賊どもの上陸を許します。
ジムは残っても足手まといなので、ならばいっそと、ボートに隠れて一緒に島に上陸!

シルヴァーだけは、ジム少年の行動を目ざとく見つけています。
上陸したジム少年、海賊どもを吹っ切って逃げ出す(!)

 

14 第一撃

島で見たただの蛇だと思っていたのが、実はがらがら蛇だったりと、割と危ないです。
シルヴァー、海賊じゃなかった船員を仲間に引き入れようと説得するも失敗、殺害。
この一部始終を、草の影からジム目撃。

敵19 対 味方7 だったのが、実は正直者だったらしき船員がここで二人殺された。
海賊17 対 味方7


15 島の男

逃げ出したジム少年、島に置き去りにされた男ベン・ガンと会う。
フリント船長が宝を埋めた時の乗組員だった。
別の船にいたときに宝さがしをしようと誘ったが、宝が見つからなかったので仲間に置き去りにされた。

やぎいちごかき貝でいのちをつないできた。

これ、言い換えてみると、ラム肉といちごとオイスターですよね。
割といいもん食べてるような…。
ベン・ガンを計算に入れて、
海賊17 対 味方8

 


第四編 とりでのさく(The Stockade)

 

16 どうして船を見捨てたか(リヴジー先生の話)

昔、フリントたちが作ったらしき小屋に立てこもる。
スモレット船長がシルヴァーの口車に乗って海賊になったひとりを説得。

海賊16 対 味方9

 


17 小型ボートのさいごの航行(医者のつづけた話)

海賊が船の大砲を使って小屋を攻撃。
さすがフリント、あたらない位置に作ってある。
今までいいとこなかったトリロニー氏、射撃の名手なので、ひとり倒す。(生死は不明)
なんとか全員、無事小屋へたてこもる。

 

18 一日めのたたかいのおわり(医者のつづけた話)

海賊一人が死に、こちらも味方の一人が死ぬ

海賊15 対 味方8

船長は航海日誌を克明につけ、ジム合流。

 

19 さくの守備隊(ふたたびジム・ホーキンズの始めた話)

ベン・ガンはまだ小屋には来ていない。
ベン・ガンにやるチーズの用意をする。
医者のリヴジー先生は、「沼地に夜営してる海賊は熱病か赤痢になるはず」と計算。
シルヴァーが休戦旗をあげる。

 

20 シルヴァーの使命

海賊はひとり死んでたので、海賊14 対 味方8

船長は人を怒らせるのがうまい。
話し合いは決裂。
シルヴァー、悪態をつき、馬脚をあらわす。

 

21攻撃

海賊との大乱闘。ここはすごく盛り上がるところです。
味方がひとり死亡。海賊は五人死亡。
船長負傷。

海賊9 対 味方7
(海賊は、船の負傷者者がひとり死亡、8 対 7

 

 

こうして、一人ひとり死んでいくのが恐ろしいです。
戦いの描写が、その場にいたんかい!というほどリアルです。

弾が飛んでくる音まで聞こえそうなほどです。
特に、トリロニーさんに仕えていた忠実な老人、トム・レッドルースの死は胸がいたみます。

こんな所に連れてこられなければ、今でもイギリスの田舎のマナーハウスで、のんきに猟場の番人をしていただろうに…。

 

最初、19対9などと言っていたのが、あっという間に海賊9とかに減ってしまいました。

これを読みながら思いましたが、荒くれ者はとにかく無秩序なので、ほぼ仲間割れと自業自得で死んでしまうのです。

 

 

大五編 海の冒険(My Sea Adventure)

 

22 どうして、海の冒険が始まったか。

海賊と味方がひとりずつ死亡。
海賊8 対 味方6

ジム少年、味方にも内緒で基地にしていた小屋を抜け出す。
ベンガンの小舟を使い、海賊にとられた船のいかりづなを切って海賊を邪魔することを思い付く。

 

23 ひき潮

ぴんとはったつなをきれば反動でふっとばされるなど、ジム少年賢いです。
ゆるんだときに切って、船は漂いはじめます。
船には二名、残りは沼地で酒盛りなので、海賊2-6に分かれています。
船の二名は喧嘩中。
疲れでジム、小舟のなかで眠る。

 

24 ただようかわ舟

あしかが怖いシーンが可愛かったです。

巨大なぬるぬるした怪物──いわば、とほうもなく大きなかたつむりのようなやわらかいもの──が、岩石のひらたくなった上を、むらがってはいまわったり、ざぶんと高い水音をたてて、海中へとびこんだりしているのが見えた。──それは、五、六十もあろうか、ほえたてる声は、岩々にこだましていた。

(翻訳 西村孝次) 

たしかに、今わたしたちは辞典を見たり、水族館やメディアであしかを知っていますが、いきなり見たらとんでもなく恐ろしい生物ですね。

のどがかわき、船に近付くジム少年。
扱いにくい船でのその努力と観察眼、決断力、行動力、思考能力がなみのものではないです。
第一斜しょうにとっつかまって船へ。

 

25 海賊旗をおろす

喧嘩してた一人が死んでるので、海賊7 対 味方6。
固パン、果物漬け、干しぶどう、チーズのごはんを食べる。(メニューは必ずチェック)
舵手の悪者、ハンズが残ってるが具合悪そう。
ジム少年、海賊旗をおろす。
ハンズの手当をして、船を島の北側へ。

 

26イズレール・ハンズ

ブランデーよりもワインの方がいいから取ってきてくれと言う海賊ハンズの言い分がおかしいというのが面白いです。
海賊はお行儀よくワインなんて飲まないものなんですね。

海賊ハンズとジム少年の一騎打ち。
これもすごい盛り上がりです!

隠れて見ていると、ハンズ、こっそりとナイフをゲット!
舵手ハンズの悪巧みをしらぬふりをして色々算段する、空恐ろしいこども、ジム少年。

船を停泊させてからが勝負。
岸に乗り上げたときに後ろを見ると、海賊が迫る!
ピストルがしめっていて打てず、ピンチの瞬間、船が揺れて二人とも転ぶ。

すごい緊迫感です。

マストにのぼり弾ごめをするジム少年。
海賊がナイフを投げて、肩を貫かれました。はずみでピストル発射!
事故で正当防衛とは言え、はじめての人殺しです。

海賊6 対 味方6。

 

 

ついにタイとなりました。

この、怒涛の追い上げの決定的な一人をやっつけたのが、ジム少年本人であったことの意味は大きいです。

 

 

27 八銀貨

船を海賊から取り返したジム少年、月をたよりに小屋へ戻る。
夜だったのでみな、ねています。
こっそり寝床へ戻ろうとしますが、おうむの「はちぎんか!」がひびきわたります。

小屋を占拠していたのは、なんと海賊でした。

 

ジム、海賊に捕まってしまいます。

 

 

 

つづきます。

 

 

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グーテンベルクで出ています。

www.gutenberg.org

グーテンベルクの「宝島」原書の絵ですが、ジムが割とでかいです。

http://www.gutenberg.org/files/120/120-h/images/0219m.jpg

 

f:id:WhichBook:20201220130225j:plain

こちらは、「世界少年少女文学全集」の方の挿し絵です。

どなたが描いたのか、書かれていないんですよね。
すごい臨場感で、上手いです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島 (10歳までに読みたい世界名作)
ロバート・ルイス スティーヴンソン (著), 横山 洋子 (監修), 館尾 冽 (イラスト), 吉上 恭太 (翻訳)

宝のうまった島の地図を手に入れた少年・ジムは、船乗りたちと宝探しの航海に出発します。しかし、海賊との戦いが待ち受けていて…。勇気と夢のつまった、心おどる冒険物語。さくさく読める世界名作シリーズ第14弾。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
スティーヴンスン (著), 村上 博基 (翻訳)

港の宿屋「ベンボウ提督亭」を手助けしていたジム少年は、泊まり客の老水夫から宝の地図を手に入れる。大地主のトリローニ、医者のリヴジーたちとともに、宝の眠る島への航海へ出発するジム。だが、船のコックとして乗り込んだジョン・シルヴァーは、悪名高き海賊だった……。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート・L. スティーヴンソン (著), 鈴木 恵 (翻訳)

先生が慎重にその封をはがしてゆくと、ひとつの島の地図が現われた――。取り戻せ、冒険心。大人たちの胸を熱くさせてきた不朽の名作、待望の新訳。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート・ルイス スティーブンソン (著), 佐竹 美保 (イラスト), 金原 瑞人 (翻訳)

港の宿屋、ベンボー提督亭のジム少年は、海賊の泊まり客から宝の地図を手に入れる。信頼のおける仲間たちと船を仕立てて宝島へと向かう一行。その船を追う、悪名高き海賊の船長、一本足のシルバー。イギリス少年冒険文学決定版を完訳で。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート・L・スティーブンソン (著), 寺島 龍一 (イラスト),  坂井 晴彦 (翻訳)

埋もれた宝、片足の海賊ジョン・シルバーの反乱、少年ジムの大活躍――冒険物語の永遠のテーマを見事に表現した、忘れようとしても忘れられない、児童文学の最高傑作です。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート L スティーブンソン (著), 寺島 龍一 (イラスト), 坂井 晴彦 (翻訳)

入り江を見下ろす宿屋「ベンボー亭」に現れた老海賊。残された一枚の地図が少年ジムを思いもよらない冒険へ誘いだす。一本足の海賊ジョン・シルバー、隠された宝……。冒険小説の名作中の名作。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島 Kindle版
ロバート・ルイス スティーブンソン (著), 佐々木 直次郎 (翻訳)

19世紀後半に活躍したイギリスの小説家ロバート・ルイス・スティーヴンソンの海洋冒険小説1881年から1882年にかけて連載。原題は「海のコック、あるいは宝島」だったが、後に「宝島」と改題。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート・ルイズ・スティーブンソン (著), 寺島 竜一 (イラスト), 阿部 知二 (翻訳)

ジム少年は,トレローニさんや医者のリブシー先生と,海賊フリント船長がうめた宝を探しにいく.ぶきみな1本足の海賊シルバーの陰謀と,はげしい戦い.手に汗にぎる冒険小説の名作.

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート・ルイス スチーブンソン (著), 井江 栄 (イラスト), 飯島 淳秀 (翻訳)

ジム少年の両親が営む宿屋に、ある日、奇妙な客があらわれた。ほおに刀傷のある船乗りで、彼は船長と呼ばれるようになる。船長の突然の死――そして、のこされた荷物の中から宝島の地図が!ジムはリブシー医師や地主のトリローニさんとともに、宝さがしの航海に出発する。イギリスの作家スチーブンソンが描く冒険小説の傑作!

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島―Treasure island
R.L.スティーブンソン (著), Robert Louis Stevenson (著)

ジム少年はふとしたことから、海賊の宝のありかを示す1枚の地図を手に入れた。医者のリブシー先生と地主のトリローニさんとすぐさま旅にでるものの…。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島 痛快世界の冒険文学 (6)
宗田 理 (著), ロバート・ルイス スティーブンソン (著)

《宝島》へ向かうジムのスリリングな航海!宝島の地図を手に入れたジムたちの宝探しの旅は、海賊たちとのはげしい戦いのはてに、どのような結末を迎えるのか イギリス少年文学不朽の名作。

  

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

  

「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492

 

プロジェクト・グーテンベルクについて
Wikiの説明ページ

プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館

 

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ウィロビー・チェースのオオカミ ライラはごきげんななめ めのまどあけろ
かにむかし エルマーとりゅう いちごばたけの ちいさなおばあさん
ムーミン谷の冬 小さなスプーンおばさん 十二支のはじまり

 

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大人が読む児童書「宝島」 2 本当に怖いのは、愛想がよくて感じのよい人

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

宝島
R.L.スティーヴンスン (著), 海保 眞夫 (翻訳)

ジム少年は,トレローニさんや医者のリヴィシー先生とともに,海賊フリント船長がうめた莫大な財宝を探しに出帆する.ぶきみな1本足の海賊シルヴァーの陰謀にまきこまれ,はげしい戦いが始まる….手に汗にぎる海洋冒険小説の名作.

 

 

大人が読む児童書「宝島」1 やはり「船」は面白い

 

 

ウィルス蔓延の冬は、読書むきだと思って、普段なかなか手に取れない本をぜひ手にとってほしいです。
 

「宝島」
改めて読むとやっぱり、面白い!!です。

 

これは原文でも読んでみたい…!

 

とりあえず、やっぱり古い訳ではあるので、たぶん海賊たちの口調が、昔の港町で働いていた、べらんめえの船乗りさんたちっぽいんだと思います。
(翻訳は西村孝次さんです)

新訳でもぜひ読んでみたいです。

 

 

もう一度登場人物のおさらいです。

 

・主人公のぼく、ジム・ホーキンズ。地図を海賊からかっさらう。
・医者で治安判事のリヴジー先生。かっこいい。主人公の後ろ盾。
・トリロニーさん。宝さがしの船の資金提供者。金持ち、人がよい。射撃の名手。
・スモレット船長。雇われ船長。厳しくて真っ正直な人。
・ジョン・シルヴァー。「一本足の男」。極悪海賊。
・その他の海賊とその他の数少ない味方

 

http://www.gutenberg.org/files/120/120-h/images/0028m.jpg

これは、グーテンベルクの「宝島」原書の中の地図です。
やっぱり、こうして地図を見るとかなりドキドキします…!

 

 

第二編 船の料理番(The Old Buccaneer)

 

7 ブリストル

二百トンのスクーナー船、ヒスパニオーラ号を、おかねもちのトリロニー氏が調達。
一本足のジョン・シルヴァーが、トリロニー氏に取り入って料理番に。
トリロニー氏、シルヴァーがめちゃくちゃ気に入る(ダメじゃん)。
水夫はシルヴァーが集める(ダメじゃん)。
シルヴァーは、ブリストルの波止場で料理屋をやっていて、奥さんはアフリカ系。

 

8 「遠めがねや」で

ジム少年、「一本足」ということで警戒していたが、シルヴァーをすっかり信用してしまう。
シルヴァーの料理屋「遠めがねや」に、「黒犬」がいて逃げ出す。
シルヴァーは、「底が知れない、気のきいた、りこうな男」
愛想がよくて頭も口も回るので、リヴジー先生までシルヴァーのとりこになる。

 

9 火薬と武器

雇われ船長のスモレットさんは、厳格でものすごくしっかりした人。
「乗組員と馴れ馴れしすぎるのは立派な高等船員ではない」と言い放つ。
(上下関係をはっきりさせておかないと、非常時に言うこときかなくて大変なのでしょう。船の生活は厳しいです)

宝の話、地図の話を船員がみな知っている?
トリロニー氏の口が軽い以上に、知りすぎている。
逃げた海賊たちが乗り込もうと狙っているので、知れ渡っているようです。
スモレット船長、武器と火薬を信用できる者の近くに移し、寝床もまとめるべきと進言。
それでもシルヴァーは疑われていない。

 

10 航海

副船長が行方不明に。
(ラムを飲まされ、海に突き落とされて殺された?シルヴァーの仕業?最後まで不明)
水夫長のアンダースン(海賊)が副船長に繰り上げ。
舵手イズレール・ハンズ(海賊)は腕ききでシルヴァーと仲良し。

シルヴァーは若い頃はよい教育も受けてる。
肝っ玉も太くけんかもつよい。気配りもすごい。
おうむの名前はフリント船長
おうむ「はちぎんか!」

 

 

シルヴァーの魅力がすごいです。
全員がとりこです。
とにかく、愛想がよくて面白いし、気配りもすごい。

ぎりぎりの状態で、海賊から地図をひっさらい、目端のきくジム少年もすごいですが、「宝島」は間違いなくシルヴァーの不思議な悪党としての魅力で成り立っています。

 

シルヴァーがその魅力を余すところなく発揮するのはここからです。

良いところなどまったくなく、本当にすごい極悪人です。

この話の中だけでも何人殺してるか、数えきれないぐらいです。

 

 

11 りんごだるの中で聞いた話

ジム少年、りんごだるにもぐりこみ、眠ってしまう。
たるの中で、シルヴァーの悪巧みをみんな聞いてしまう。
・口がうまく愛想がいいのは、人を丸め込む常套手段。
とにかくほめる。相手を褒めていい気分にさせ、自分はたいした奴なんだと思わせる。
・シルヴァーはかなりのお金を銀行にためてる。
・フリント船長、地図を持ってた男、黒犬、盲人ピューみな知ってる。
・殺してから宝を手に入れるより、宝を手に入れてから殺す腹。

 

12 戦争会議

次の日になっても、何くわぬ顔のシルヴァーに戦慄するジム少年。
先生、地主さん、スモレット船長に一部始終を伝える。

 

 

シルヴァーの恐ろしさが身に染みるのは、どちらかというと大人になって読んでいる今の方です。


本当に怖いのは、愛想がよくて感じのよい、とてもいい人っぽい人なんだ!
…と思いました。

 

シルヴァー、すごく魅力的です。

 

正直な船員を、口車に乗せて悪事に引きずり込むやり方がすごいです。
仲良くなってすっかり信用させ、お友達になってから、
「こんな話をするのはお前だから」
とかなんとか、ずるずると悪事に引きずり込んでいきます。

 

最初から脅されるよりも怖いです。
こわーい!!

 

「三十年も、」と、かれは言った。「ほうぼうの海をわたりまわって、そのあいだにゃあ、いいめにも、悪いめにもあえば、もっといいめにも、もっと悪いめにもあったし、なぎもあれば、しけもあり、食べるものがなくなったこともあれば、きりあいをやったこともあり、そのほか、いろんなことにあったのだ。ところでだ、いまこそ言うが、いいことをして、いいめにあったってこたあ、一度だってねえんだ。さきにうってかかるやつが、おらあすきさ。死人はかみつかねえ。おれの考えは、ざっとそんなものさ──アーメン。まあ、それでいいやな。」

 

"For thirty years," he said, "I've sailed the seas and seen good and bad, better and worse, fair weather and foul, provisions running out, knives going, and what not. Well, now I tell you, I never seen good come o' goodness yet. Him as strikes first is my fancy; dead men don't bite; them's my views--amen, so be it.

 

 

つづきます。

 

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グーテンベルクで出ています。

www.gutenberg.org

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島 (10歳までに読みたい世界名作)
ロバート・ルイス スティーヴンソン (著), 横山 洋子 (監修), 館尾 冽 (イラスト), 吉上 恭太 (翻訳)

宝のうまった島の地図を手に入れた少年・ジムは、船乗りたちと宝探しの航海に出発します。しかし、海賊との戦いが待ち受けていて…。勇気と夢のつまった、心おどる冒険物語。さくさく読める世界名作シリーズ第14弾。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
スティーヴンスン (著), 村上 博基 (翻訳)

港の宿屋「ベンボウ提督亭」を手助けしていたジム少年は、泊まり客の老水夫から宝の地図を手に入れる。大地主のトリローニ、医者のリヴジーたちとともに、宝の眠る島への航海へ出発するジム。だが、船のコックとして乗り込んだジョン・シルヴァーは、悪名高き海賊だった……。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート・L. スティーヴンソン (著), 鈴木 恵 (翻訳)

先生が慎重にその封をはがしてゆくと、ひとつの島の地図が現われた――。取り戻せ、冒険心。大人たちの胸を熱くさせてきた不朽の名作、待望の新訳。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート・ルイス スティーブンソン (著), 佐竹 美保 (イラスト), 金原 瑞人 (翻訳)

港の宿屋、ベンボー提督亭のジム少年は、海賊の泊まり客から宝の地図を手に入れる。信頼のおける仲間たちと船を仕立てて宝島へと向かう一行。その船を追う、悪名高き海賊の船長、一本足のシルバー。イギリス少年冒険文学決定版を完訳で。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート・L・スティーブンソン (著), 寺島 龍一 (イラスト),  坂井 晴彦 (翻訳)

埋もれた宝、片足の海賊ジョン・シルバーの反乱、少年ジムの大活躍――冒険物語の永遠のテーマを見事に表現した、忘れようとしても忘れられない、児童文学の最高傑作です。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート L スティーブンソン (著), 寺島 龍一 (イラスト), 坂井 晴彦 (翻訳)

入り江を見下ろす宿屋「ベンボー亭」に現れた老海賊。残された一枚の地図が少年ジムを思いもよらない冒険へ誘いだす。一本足の海賊ジョン・シルバー、隠された宝……。冒険小説の名作中の名作。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島 Kindle版
ロバート・ルイス スティーブンソン (著), 佐々木 直次郎 (翻訳)

19世紀後半に活躍したイギリスの小説家ロバート・ルイス・スティーヴンソンの海洋冒険小説1881年から1882年にかけて連載。原題は「海のコック、あるいは宝島」だったが、後に「宝島」と改題。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート・ルイズ・スティーブンソン (著), 寺島 竜一 (イラスト), 阿部 知二 (翻訳)

ジム少年は,トレローニさんや医者のリブシー先生と,海賊フリント船長がうめた宝を探しにいく.ぶきみな1本足の海賊シルバーの陰謀と,はげしい戦い.手に汗にぎる冒険小説の名作.

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
ロバート・ルイス スチーブンソン (著), 井江 栄 (イラスト), 飯島 淳秀 (翻訳)

ジム少年の両親が営む宿屋に、ある日、奇妙な客があらわれた。ほおに刀傷のある船乗りで、彼は船長と呼ばれるようになる。船長の突然の死――そして、のこされた荷物の中から宝島の地図が!ジムはリブシー医師や地主のトリローニさんとともに、宝さがしの航海に出発する。イギリスの作家スチーブンソンが描く冒険小説の傑作!

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島―Treasure island
R.L.スティーブンソン (著), Robert Louis Stevenson (著)

ジム少年はふとしたことから、海賊の宝のありかを示す1枚の地図を手に入れた。医者のリブシー先生と地主のトリローニさんとすぐさま旅にでるものの…。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島 痛快世界の冒険文学 (6)
宗田 理 (著), ロバート・ルイス スティーブンソン (著)

《宝島》へ向かうジムのスリリングな航海!宝島の地図を手に入れたジムたちの宝探しの旅は、海賊たちとのはげしい戦いのはてに、どのような結末を迎えるのか イギリス少年文学不朽の名作。

  

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

  

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教室はまちがうところだ せいめいのれきし ちいさいロッタちゃん
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大人が読む児童書「宝島」 1 やはり「船」は面白い

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

宝島
R.L.スティーヴンスン (著),
海保 眞夫 (翻訳)

ジム少年は,トレローニさんや医者のリヴィシー先生とともに,海賊フリント船長がうめた莫大な財宝を探しに出帆する.ぶきみな1本足の海賊シルヴァーの陰謀にまきこまれ,はげしい戦いが始まる….手に汗にぎる海洋冒険小説の名作.

 

久しぶりだな~と思って、ちらっと開いてみたら、すっかりハマってしまいました。
「宝島」

 

今更の宝島です。でも、本当にしっかり最初から最後まで、再読したことがあっただろうか?

 

グーテンベルクで出ています。

www.gutenberg.org

 

原文をテキストファイルでダウンロードまではしたのですが、そのままにしていました。

 

というのも、「船」系のお話は、なかなか、単語が難しいのです!
フォア・マストだとか、ミズン・マストだとか、そんなのは序の口です。
「海洋単語辞典」なるものも用意したのですが、ほうりだしてそのままでした。

 

今回、英語版で読むのはやはり時間がかかりそうなので、いつも言及している「世界少年少女文学全集」の赤本を取り出してきました。

 

f:id:WhichBook:20201218232138j:plain

翻訳は西村孝次さんです。

開いてみると、ふろくの説明が落ちてきました。
もう古くなって、しかも中古で購入したので、半分ありませんけどこれは仕方ありません。

※両作品とも、大体小学校六年生程度向きのものです。勇気と強いからだをきたえる冒険心をむやみに危険がって、のびて行く少年を、つみとることのないようにしたいと思います。

 

さすがいいこと書いてあるな~!

 

しかし、内容はどうだろう…。
もう、ほぼ忘れています。

 

・宝の地図を手に入れる。
・海賊と戦う。
・主人公が勝つ

 

そんなことならだれでも知ってるわ!
というようなことしか覚えていません。

 

というわけで、読んでみました。

 

ざっくりですが、登場人物です。

 

・主人公のぼく、ジム・ホーキンズ。ベンボー提督屋のむすこ。やんちゃ以上。
・医者で治安判事のリヴジー先生。かっこいい。スーパーマン
・トリロニーさん。地元の金持ち。資金提供者。おしゃべりでだまされやすい。
・スモレット船長。厳しくて真っ正直な人。
・シルヴァー船長。「一本足の男」魅力的な極悪人。
・その他(おいっ!)

 

http://www.gutenberg.org/files/120/120-h/images/0028m.jpg

これは、グーテンベルクの原書の中の地図です。
やっぱり、こうして地図を見るとかなりドキドキします…!

f:id:WhichBook:20201218233235j:plain

「世界少年少女文学全集」の方の地図です。

 

 

第一篇 老海賊(The Old Buccaneer)

 

1「ベンボー提督や」へきた老船員

 

右ほおに刀きずがある年より(ビル船長)がやってきて宿屋に住みつく。
ラム酒とたまごつきのベーコンさえあればいい。
宿賃も踏み倒し、いつまでもいるので主人公のおとうさんの心労のもとになる。
「一本足の男に気を付けろ」と言う。

 

2「黒犬」あらわれて、さる

 

黒犬、左手の指が二本ない。
船長と こそこそ話の結果 斬り合いになって、船長は脳卒中を起こす。(まだ死なない)

 

3「黒まる」

 

ビル船長がフリント船長の一等運転手だったことが語られる。
仲間は彼の、古い衣類箱を狙ってる(地図が入ってるんですねわかります☜ネタバレ)
宿屋の主人(主人公のお父さん)死去。
盲人ピューが「黒まる」を持ってくる。ビル船長、ショック死。残り時間六時間。

 

※「黒まる」とは、船長のリコール制度&死刑宣告状みたいなものらしいです。

 

4船員の衣類箱

 

ジムとお母さんは助けを求めるが、フリント船長の名前はおそれられてるので、隣村の人は誰も来てくれない。
お母さんガッチリ屋なので宿賃だけは絶対もらう。
ジムと二人、死んだ老海賊の首の鍵を取って 箱を開ける。
「あぶらぬののこづつみ」をとって、霧のなかを逃走。

 

5めくらのさいご

 

ジムとお母さんは橋の下で身をひそめる。
海賊どもは仲間割れのけんか、盲人ピューは取り残され、自警団の馬の下にまちがってとびこみ死ぬ。
海賊船らしき帆船が逃げていく。

 

6船長の書類

 

ジム、トリロニーさんとリヴジー先生に事情を話す。
つつみの中身は帳簿と封をした紙。
海賊の帳簿、地図…!!!
フリント船長は字がきれい。

 

 

 

 

つづきます。

 

すごくどうでもいい話なのですが「新宝島
私はずっと「丁寧丁寧」のところを「ベイベ・ベイベー」と言ってるんだと思ってました。

 

 

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島 (10歳までに読みたい世界名作)
ロバート・ルイス スティーヴンソン (著), 横山 洋子 (監修), 館尾 冽 (イラスト), 吉上 恭太 (翻訳)

宝のうまった島の地図を手に入れた少年・ジムは、船乗りたちと宝探しの航海に出発します。しかし、海賊との戦いが待ち受けていて…。勇気と夢のつまった、心おどる冒険物語。さくさく読める世界名作シリーズ第14弾。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

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港の宿屋「ベンボウ提督亭」を手助けしていたジム少年は、泊まり客の老水夫から宝の地図を手に入れる。大地主のトリローニ、医者のリヴジーたちとともに、宝の眠る島への航海へ出発するジム。だが、船のコックとして乗り込んだジョン・シルヴァーは、悪名高き海賊だった……。

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島
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港の宿屋、ベンボー提督亭のジム少年は、海賊の泊まり客から宝の地図を手に入れる。信頼のおける仲間たちと船を仕立てて宝島へと向かう一行。その船を追う、悪名高き海賊の船長、一本足のシルバー。イギリス少年冒険文学決定版を完訳で。

 

 

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ロバート・L・スティーブンソン (著), 寺島 龍一 (イラスト),  坂井 晴彦 (翻訳)

埋もれた宝、片足の海賊ジョン・シルバーの反乱、少年ジムの大活躍――冒険物語の永遠のテーマを見事に表現した、忘れようとしても忘れられない、児童文学の最高傑作です。

 

 

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19世紀後半に活躍したイギリスの小説家ロバート・ルイス・スティーヴンソンの海洋冒険小説1881年から1882年にかけて連載。原題は「海のコック、あるいは宝島」だったが、後に「宝島」と改題。

 

 

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宝島
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宝島
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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島―Treasure island
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ジム少年はふとしたことから、海賊の宝のありかを示す1枚の地図を手に入れた。医者のリブシー先生と地主のトリローニさんとすぐさま旅にでるものの…。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

宝島 痛快世界の冒険文学 (6)
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《宝島》へ向かうジムのスリリングな航海!宝島の地図を手に入れたジムたちの宝探しの旅は、海賊たちとのはげしい戦いのはてに、どのような結末を迎えるのか イギリス少年文学不朽の名作。

  

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

  

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今日の一冊「クリスマス キャロル」

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

クリスマス キャロル
ディケンズ (著), 杉田 比呂美 (イラスト), こだま ともこ (翻訳)

クリスマスイブだというのに、ケチで心の冷えきった孤独なスクルージには、まったくおめでたいとは思えない。その夜、7年前に亡くなった仕事仲間の霊がやってきて、スクルージを助けるために3人の霊をよこすという。過去、現在、未来の霊が彼に見せたものとは? ――100年をこえて世界中の人々に愛されてきた、心あたたまるクリスマスの物語を、読みやすく美しい日本語で。

 

クリスマスの時期なので、「クリスマス・キャロル」です。

 

くるみ割り人形」か、「クリスマス・キャロル」か考えたのですけど、短い方にしました。
そんな理由かよ…。

 

紹介するのにどの本にしようかと迷ったのですが、すごく、たくさん、訳本が出ています。
あしながおじさん」と同じです。

 

スクルージさんはけちん坊の守銭奴
クリスマスであろうとなかろうと関係なく、働いています。

 

事務員がひとりいるのですが、暖房をケチっているので凍えそうです。

 

どうでもいいのですが、私の会社も今、コロナで換気が必要とかで、冬なのに窓を開けっぱなしているので、すごくよく気持ちがわかります。

 

コロナ感染を防ぐために、真冬の窓を開けっぱなし。
風邪をひくじゃないですかねえ!!

 

はっ、つい、日ごろのうらみがこんな所に…。

スクルージさんのけちんぼうぶりはこうです。 

ところで、このスクルージときたら、なさけ知らずのひどいけちんぼうでした。しぼり屋で、ひねり屋で、にぎり屋で、かき集め屋で、ひったくり屋で、ほんとうにこまった欲ばりじいさんでした。はがねでたたいても、気持よくぱっと火の出たためしのない火打ち石のように、かたくとがっていました。そして、つきあいもせず、口もきかず、かきの貝がらのようにひとりぽっちでいるのでした。

 

やっぱり、ディケンズのこの表現のうまさです。
どんどん、話に引き込まれていきます。

 

原島 善衛さんの訳です。(少年少女文学全集より)

 

からだの中のつめたさは、おいぼれた顔をとおらせ、とがった鼻のさきをしぼませ、ほおをしなびさせ、歩きぶりまでこわばらせていました。目は赤く血ばしり、うすいくちびるは紫色でした。そのうえ、しゃがれ声で、がみがみものを言うのです。髪の毛、まゆ毛も、とんがったあごも、霜をおいたようにまっ白でした。

 

暖房をケチっているのでこわばりそうな事務員さんには同情してしまうのですが、スクルージさんはケチでやっているのであって、暖房をつけながら窓を開けっぱなしておくという愚劣の極みな行動をとっているわけじゃないですよね?
(個人的な恨みは忘れろよ…)

 

元気でゆかいな明るい甥っ子さんがやってきて、クリスマスに一緒に過ごしませんかと誘うのですが、スクルージさんはきっぱりことわります。

 

ほとんどろくな返事もせず、途中から「さようなら」しか言わないのですが、この甥っこさんは負けません

 

「じゃ、さようなら!」
「ねえ、おじさん、だって、あなたはぼくが結婚するまえでも、一度もうちへいらしてくださらなかったじゃないですか。だから、結婚したからおいでにならないという理由にはならないでしょ?」
「さようなら。」と、スクルージは言いました。
「ぼくは、おじさんから何もいただこうとは思っていませんし、何もおねがいしたりすることもありませんよ。それにしても、なぜ、おたがいに、なかよくなれないのでしょう?」
「さようなら。」と、スクルージは言いました。
「おじさんが、こんなに、がっちりしているところをみると、ぼくはほんとになさけなくなりますよ。ぼくは、一度だって、おじさんをあいてにけんかなどしたことはないけれど、今クリスマスに敬意を表して、あなたとなかよくなれるかどうか、ためしてみたのです。」

数えてみたら、総計6回、スクルージさんは「さようなら」を言ってます。
甥っ子さんめげないです。

 

何かこれ、デジャヴあるな…。
そうかわかった。

カナヲだ!
(一緒にするなと思われたかた、ごめんなさい)

 

このあとに、チャリティを頼みに来る紳士たちもいるのですが、これまた結構粘ります!
皮肉をまじえたおことわりにまったく気づかないふりをしてガンガン話を進めるあたり、読んでいて、「頑張るな~」と感心してしまいました。

 

こんなごりごりのけちん坊で、どうにもならないようなスクルージさんですが、共同経営者のマーレイの幽霊が現れてから、だいぶ考えが変わります。
というのも、このマーレイさんの現れ方がものすごく恐ろしいです。

 

そもそも、スクルージさんの住んでいる家がまた恐ろしいです。 

それは、 中庭の奥の 黒ずんだ 建物の中にある、 一並びの部屋でした。 この建物は、 こんなところにあったのではほとんど役にたたないので、 きっとこのうちがまだ子どものころ、 ほかのうちとかくれんぼうをして、 走りこんだまま 出口を忘れてしまったものとしか思われませんでした。

 

この家の、ドアノッカーについている小さな顔がマーレイの顔に見え始めます。

 

一瞬だけで、そして消えます。
扉を閉めると、すごい反響が響き渡ります。
何かの引き金になっているようです。

 

そして、突然呼び鈴のひもが触ってもいないのに揺れて…。
使ってもないのに鳴り始めて…。
家の下から、何かが…重い鎖を引きずりながら上がってくる音が……。

 

これはマジで怖いです。

 

思い返せば、「くるみ割り人形」も軽くホラーだったし、クリスマスのお話はホラーなのが定番なんでしょうか?

 

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現れてからも、スクルージさん、信じないぞ!とかなり頑張るのですが…。
途中で鎖をガチャガチャされ、さけび声を上げて「ぞっとするほど気味のわるい音」をたてられ、腰を抜かすほど驚いて信じるようになりました。

 

マーレイさんは、三人の幽霊が訪れるだろう、と予言をしていなくなります。

この三人の幽霊が「過去のクリスマス」「現在のクリスマス」「未来のクリスマス」なので、幽霊は総計、4名、現れたことになります。 

 

最初にマーレイさんにひどくおどかされたのですけど、いちばん幽霊らしい幽霊はマーレイさんで、他の三名は「クリスマスの霊」なので、それほど怖くはないです。

 

ディケンズのたくみな筆による、とても楽しい、クリスマスの風景が繰り広げられます。

 

 

私も久しぶりに読んだのですが、カナヲだと思うと、スクルージさんのこともなんだか可愛く思えてきました。(ごめんなさい)

 

欲深な心をいましめる作品ともいえますが、私のような心の汚れた人間は逆にチャリティを疑いを持って見てしまう所があります。

 

スクルージさんとしては、「そもそも税金払ってるし、そのための施設だってちゃんとあるよね」というのが言い分で、確かにそれはごもっともです。

 

「一銭だってあげる義理はない、だって自分のお金だもん」て言われたら、確かに反論する余地はないです。

 

それに何より悪いことに、チャリティーに熱心なお金持ってる人というのが、何となくあまりいい印象がないのはなぜなのでしょう。

 

施しというのは、正直いい気持ちがしません。
何となく上から目線がムカつくというのもありますが、借りを作らせることによってそこに上下関係ができてしまうのがまたなんか不愉快な気持ちがします。

 

する方にもされるほうにも あまりいいことはない、それがチャリティ。

 

そういう風に意地悪な心で思ってしまうので、こういう時は思い出すことにしています。「しない善よりする偽善」

 

しかし、スクルージさんのような人は大歓迎です。

なぜなら、生まれ変わったスクルージさんは、自分のためにやってるからです。

 

何となくチャリティにいい気がしない、そういう所に、スクルージさんなら大歓迎!と思わせる、それがディケンズの力であり、物語の力なんだと思います。

 

 

原文が、グーテンベルクで出ています。
人の声による朗読もあるのが、嬉しいところです。

www.gutenberg.org

 

 

 

 

クリスマス・キャロル
ディケンズ (著), 村岡 花子 (翻訳)

ケチで冷酷で人間嫌いのがりがり亡者スクルージ老人は、クリスマス・イブの夜、相棒だった老マーレイの亡霊と対面し、翌日からは彼の予言どおりに第一、第二、第三の幽霊に伴われて知人の家を訪問する。炉辺でクリスマスを祝う、貧しいけれど心暖かい人々や、自分の将来の姿を見せられて、さすがのスクルージも心を入れかえた……。文豪が贈る愛と感動のクリスマス・プレゼント。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

クリスマス・キャロル
チャールズ ディケンズ (著), ジョン・リーチ (イラスト), 脇 明子 (翻訳)

クリスマス前夜、けちで気むずかしいスクルージの前に現れた3人の幽霊たちは、過去・現在・未来を見せてくれたのですが…。19世紀イギリスのクリスマスをいきいきと伝える物語。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

クリスマス・キャロル
ディケンズ (著), 越前 敏弥 (翻訳)

世界中でもっとも愛されているクリスマス・ストーリーの名作!文豪としてのチャールズ・ディケンズの名を世界的なものにならしめた不朽の名作。クリスマスの物語として毎年一篇ずつ書かれたクリスマス・ブックの第一作で、発表後まもなく驚異的な大ベストセラーとなった。クリスマスの前夜、老守銭奴スクルージのもとに、「過去」、「現在」、「未来」の三幽霊と、昔の相棒マーリーの幽霊が現れ、これまでスクルージが行ってきた冷血非道な行いの数々を見せる。それでも最初は気丈にふるまうスクルージだったが、やがて自分の人生の空虚さに気づき、改心して真人間の生活に立ちかえることを決意する。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

クリスマス・キャロル
ディケンズ (著), 池 央耿 (翻訳)

並はずれた守銭奴で知られるスクルージは、クリスマス・イヴにかつての盟友で亡きマーリーの亡霊と対面する。マーリーの予言通りに3人の精霊に導かれて、自らの辛い過去と対面し、クリスマスを祝う、貧しく心清らかな人々の姿を見せられる。そして最後に自分の未来を知ることに。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

クリスマス・キャロル
チャールズ ディケンズ (著), ブレット ヘルキスト (イラスト), 三辺 律子 (翻訳)

その日、よりにもよって一年の中でいちばんすてきなクリスマス・イブに、スクルージは事務所で仕事をしていた。そこへ、おいのフレッドがやってきた。「クリスマスおめでとう、おじさん!」「ふん、ばかばかしい」スクルージは、やさしい心のかけらもない、がんこな老人だった。「わたしの好きなようにできるなら、『クリスマスおめでとう』などと言ってまわるような愚か者は、グツグツにこんで、ヒイラギの枝をブスリとさして、土の下にうめてやるところだ!」ところがその夜から、スクルージの前に、三人の幽霊があらわれて―小学生のうちに読みたい名作。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

クリスマス・キャロル
チャールズ・ディケンズ (著), 井原 慶一郎 (翻訳)

一年で一番楽しい日、クリスマス・イブ。欲深い老人スクルージのもとに幽霊があらわれて……文豪ディケンズの名作を炉端での幽霊話を念頭においた読みやすい語り口調で翻訳。時代背景がよくわかる詳注と解説、日本初紹介となるディケンズ公認のアメリカ版挿絵25点を加えた、大人の読者のための新訳決定版!

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

クリスマス・キャロル―A Christmas carol
英語版 チャールズ・ディケンズ (著), Charles Dickens (著)

TOEICレベル 470点以上

 

 

 

 

「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492

 

プロジェクト・グーテンベルクについて
Wikiの説明ページ

プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館

 

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子どもの本だな【広告】

はじめてのおつかい ウォーターシップ・ダウンのウサギたち ぼくは王さま
ピーターラビット全おはなし集 木かげの家の小人たち うみぼうやと月うさぎ
こわれた腕環 ねずみくんのチョッキ プー横丁にたった家

 

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妹子が読む「写楽暗殺」

 

ここのところ毎日、「写楽暗殺」にかかりきりになっていたので、妹子が「それ、面白いの?」と聞いてきました。

 

妹子は割と怖がりで、わたしのイチオシの「クラバート」も、怖い怖いと言ってなかなか読んでくれませんでした。

 

どうかな~と思いましたけど、渡してみました。

 

この本は絶版になっていますので、とても大事にしています。
誰かに貸したりすることをしていませんし、 超オススメしたいのに本当にもったいないです。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

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f:id:WhichBook:20201215030917j:plain

 

 

序盤。モンキー・センター。
妹子、猿にあまり興味が持てないようです。
「猿か…猿だしな…」という感じです。

 

主人公の夕子が、狂言を観劇するあたりで、こんなこと言い出しました。
「わかった!この子、 狂言がやりたくなって、自分が習うっていう話なんじゃな~い?」

 

甘いわ!

 

そこで閉じようとします。
いやいやいやいや。

 

まだ序の口のじょの「じ」の所にすら行ってないです。
「せめて一章は読んでみて!」と押し戻しました。

 

夕子、現代から江戸時代の狂言師に。

 

妹子「えっ!?」

夕子、夕一郎という男の子に。

妹子「えええっ!?」

 

二章に行ったな。
計・画・通・り。

 

 

さて次です。
記憶を失うときに、無礼討ちを見てしまう、ここはキツいのかも…。

 

妹子「さいとうじゅうろべえ、だれ?聞いたことあるような気がする」

 

スルーかよ!!!!!

 

妹子が聞いたことがあるのは明智十兵衛であって、「さいとうじゅうろべえ」ではないと思います。
夕子が 記憶を完全に失い、夕一郎となって 家に帰り着いた辺り、ここで妹子、さかんにねだります。

 

YouTube 見せて。YouTube 見たい。」
「何を見るの」
「うつぼざるが見たい。見せて!!」
「いいけど、思ってるのと違うと思うよ」
「違うの?」
「これかよって思うかもよ。わりと退屈だよ?」

 

せっかく興味を持ったのに、水をさす親。

この本では、とにかく今江祥智さんの狂言の内容の説明が、すごく面白いのです。
正直、本編の狂言より面白いぐらいです。(暴言)

 

こんな序盤で舞台を見て、がっかりしちゃわないかなあ。

 

「見せて!!!!!」
「はい」

 

10分経過。

 

妹子「さるじゃない」
わたし「最近の子、スタイルいいからね~」

 

昔ならもっと小さくて猿っぽかったかもしれません。

 

妹子「ぬいぐるみってあるから、もっとモフモフふわふわしてるかと思った」

 

猿色(?)の布なので、「子供が茶色の布を着ているな」という感じではあります。
しかし今思えば、着ぐるみの猿、これはまさにゆるキャラみたいなキャラクターです。

 

狂言、浮世絵、鳥獣戯画、絵巻物。
江戸時代の文化のすべてが、いまの日本の漫画文化の土台になっていると思います。

  

わたし「ここまでしとく?」
妹子「いや、見る」

 

動きにも、「カタ」があるようで、子猿は①ひっかき、②転がり、③食べるまね、の繰り返しです。

 

妹子「…………」

 

ここで、さる、キャキャキャ、と言って、大名をひっかくまねをしました。
妹子、めちゃくちゃウケてます。

 

ウケてる…。
狂言はやはりすごいなあ。
YouTubeなので、邪道ですけど1.7倍速にすると、かえって言葉もよく聞き取れました。

猿まわしが、さるを殺されると勘違いして、おさるに覆い被さってかばうところが、すっごく可愛いです。

 

夕子が魅せられるもととなった、「猿舞い」とやらはどうだろう?

 

歩いてる感じです。

 

妹子「…………」
わたし「思ってたのと違うでしょ。おかあさんも見たときえーって思った」
妹子「とんでない。はねてない。もっと、こう、さあ!!!」

 

妹子、とんだりはねたりしはじめました。

 

ドスドスバタン。 

 

 わたし「やめて~~!!」

 

 

 

 

 

 

復刊、全力で希望です。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

写楽暗殺
今江 祥智 (著)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

東洲斎写楽: 役者絵85図+プチ解説
Kindle版 東洲斎写楽 (著), 浮世絵ライブラリー編集部 (編集)

江戸を代表する浮世絵師の1人、東洲斎写楽の役者絵を集めたコレクションです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

写楽の謎の「一解決」
Kindle版 松本清張 (著)

役者絵で名高い浮世絵師・写楽は、その生涯がまったく謎につつまれ、今日まで多種多様の人物像が描かれてきたが、その決着はついていない。本書は、美術に造詣の深い、日本文学界の巨匠である著者が、その鋭い分析と大胆な推理に基づいて、日本美術の点と線を明かす、興味深いひとつの試論である。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

マンガでわかる能・狂言
マンガでわかる能狂言編集部 (編集), 小田 幸子 (監修), スペースオフィス

なぜ「能」と「狂言」はセットになることが多いの?初心者はどこに注目すれば楽しめる?難しそうだけど理解できる?眠くなったらどうしよう…。名曲「野宮」を一曲丸ごと解説しながら、能の番組の見どころや衣装、作り物の鑑賞ポイントを紹介します。

 

 

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

北風のわすれたハンカチ 名探偵カッレくん からすのパンやさん
チムとうだいをまもる まりーちゃんとおまつり 少年キム
船乗りクプクプの冒険 3びきのかわいいオオカミ あしながおじさん

 

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今日の一冊「魔法の庭ものがたり9 フェアリーたちの魔法の夜」

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

魔法の庭ものがたり9 フェアリーたちの魔法の夜
あんびるやすこ (著)

魔女の遺産を相続した人間の女の子、ジャレットの物語。相続したのは、ハーブ魔女トパーズの屋敷、「トパーズ荘」と、そのハーブガーデン、「魔法の庭」。そして、もうひとつ……。トパーズが書いた薬草の本、「レシピブック」でした。ジャレットはトパーズのあとつぎとして、「ハーブの薬屋さん」になり、村の人や、動物たちなど、さまざまなおきゃくさまに、毎日、お薬をつくっています。妖精たちのために「夏至祭りのキャンドル」を作ることになったジャレット。けれど、「先代の魔女ならどうするか?」ばかり考えて、自信が持てません。

 

 

図書館でこのシリーズがあるからそこに行くという本がありますよね。

 

シリーズもので、すごくたくさんあって、読んでないものなどないので、選び放題。
昔ならばゾロリ。ズッコケ。

今でも小学生たちにはゾロリは大人気です。
「図書館にはゾロリがある」
この安心感と、楽しみで図書館に来てくれます。

 

またおしりたんてい。ちょっと大きくなった子で、今ならば銭天堂。

 

銭天堂シリーズは、子供たちが日々触れる漫画やアニメととても親和性が高く、すんなりと物語に入れますし、ちょい怖ホラー要素もある、倫理も教えると言う、三方よしの作品です。

 

 

偏見かもしれませんが、女子向けの方が割とこの「シリーズもの」は充実している気がします。
子どもによりますけど、やっぱり、女の子の方が本に向かってくれますね。

 

中でもとてもお気に入りなのがあんびるやすこさん。

 

児童文学では、きったはったの大騒動やら、トンデモな冒険をしてほしいと願う私ですが、あんびるやすこさんのお話はそんなすごいことはおきないのですけど、安定していてとてもこころやすくあたたかです。

そして描写が美しく、また面白いです。

 

ジャレットはとてもお嬢さんでお行儀がいい、いわゆる「良い子」なのですけど、元気がありあまっているこねこたちがやんちゃなので、そこはバランスが取れています。

 

あまり考えずにピックアップしたのですが。

 

 

夏至のお祭り、ミッドサマーナイトに向けてのお話です。
(これは、紹介する時期が悪かった!)

 

・友達のエイプリルとスーとの、将来の相手に会える夢を見る方法の話
・人間のおとなの依頼者、リジーの、お友達とのトラブルの話
・妖精のキャンドルの依頼のお話

 

この三つの出来事が、主人公のジャレットを軸にして展開します。

 

 

主人公ジャレットは、あれこれの問題に悩みながら手探りで解決を試みていくわけですが、とんちをきかせて「よしわかった!!」と問題解決するわけではなくて、その悩み方が実に人間的です。

 

頼みに来た人々、特に今回は若い女性のリジーは、友達と喧嘩をしてイライラしたあまり、怒りにまかせて「友達を忘れる薬」を作って欲しいとジャレットに頼みに来ます。

 

ジャレットは勢いに押されて、わかったと答えてしまうのですが、本当にそれがリジーの望んでいることなのか。

 

今リジーはどんな風であるのか、ジャレットは慎重に、とてもよく観察し、悩み考えます。
何が最善なのか。
それぞれの気持ちや状況をじっくりと考えながら少しずつさぐります。

 

それは私たちの生活そのものの中にもよくあることで、普通の女の子でありながら、魔法の力の一端を手にすることになった普通の女の子、というのがとても共感を得ることができ、よい感じに子どもたち(女の子たち)を夢中にさせます。

 

すんなり本の世界に入ってくれるのに、とてもよいシリーズです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

魔法の庭ものがたり(既20巻セット)
あんびるやすこ (著)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ふしぎ駄菓子屋銭天堂
廣嶋玲子 (著), jyajya (イラスト)

一軒の駄菓子屋。この店にくる客は、その駄菓子に魅せられ、とりこになり、彼らの運命は、大きく変わることになる。さまざまな欲望をすくいとり、駄菓子に翻弄される人たちを描いて、子どもだけでなく、大人も夢中にさせるシリーズ全12巻セット。

 

 

 

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かえるのエルタ イヌと友だちのバイオリン こわれた腕環
エルマーのぼうけんセット シートン動物記 オオカミ王ロボ他 大雪
シャーロットのおくりもの オンネリとアンネリのふゆ おんがくねずみジェラルディン―はじめておんがくをきいたねずみのはなし

 

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大人が読む児童書「写楽暗殺」4 めくるめく伝統芸能の世界2

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

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>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

写楽暗殺
今江 祥智 (著)

 

 

大人が読む児童書「写楽暗殺」1 幻想めくるめく狂言の世界へ

大人が読む児童書「写楽暗殺」2 あれ、私たち入れ替わっちゃったぁ~?

大人が読む児童書「写楽暗殺」3 めくるめく伝統芸能の世界

 

 

伝統芸能への興味は、なかなか難しいです。

 

ワンピース歌舞伎や、ナウシカ歌舞伎など、歌舞伎業界も頑張ってはいますけど…。
歌舞伎はともかく、お能はなかなか…。

 

狂言はゆかいでわかりやすくて、実によい切り口です。
 古文の入り口として、もっと注目されて欲しいです。

 

この写楽暗殺にハマったあと、狂言を読んで、それからお正月にやっている「髭櫓」を見つけてテレビで見て見ました。
皆で押さえつけ、人間ほどもある大きな毛抜きを使って、威張る男性の立派な髭を引っこ抜きます。

  

まんが日本偉人伝→源氏物語
日本むかしばなし集→宇治拾遺
写楽暗殺」→狂言集・浮世絵

 

と言う風に興味をもちました。

 

復刊、全力で希望です。

 

 

言及さてれいる伝統芸能関係(食べ物も入ってますけど…)の続きです。

 

🎀北斎写楽が顔を合わせ、お互いの似顔絵を描き合うシーンはとても胸熱です。夢のようなシチュエーションです。描いた絵は、それぞれ夕一郎とお栄ちゃんがもっていってしまいます。

 

🎀北斎がいずれ「富嶽三十六景」に挑むこと、狂言「釣狐」をいずれ夕一郎が踊ることのへ夢予知のような示唆があります。「釣狐」は、狂言は猿にはじまり狐に終わる、と言われるように、一人前の狂言師として認められるための儀式のような作品だとのこと。

 

🎀新しく夕一郎が世話されることになった、江戸の寺のお坊さまのご馳走。大皿いっぱいに花のように広げられた薄い刺身、ふぐです。(自分でさばいてるみたいです)、ふぐと白菜の鍋物、白子。

 

🎀蔦谷とのお抱え絵師の契約が成った写楽、数々の錦絵が頭をめぐります。勝川春章の役者似顔絵、春好の焼き物の役者絵、春英の相撲絵、北尾政美の武者絵、そして歌麿の美人大首絵。

 

🎀お栄ちゃんをもう一度描かせてもらう写楽歌麿の「高名三美人」への言及。おひさ(薬研堀の煎餅やの娘)、おきた(浅草の水茶や、難波屋の娘)、豊雛(新道の女師匠)

 

🎀鉄の分銅で(忍者か!)襲われる写楽ですが、全身の当て身で返り討ちにします。二世坂東三津五郎の石井源蔵を描きあげ、蔦谷重三郎を驚嘆させます。

 

🎀写楽となった十郎兵衛都は、五月五日の夏興行に合わせて大首絵を次々に描く。座の「花菖蒲文禄曽我」から十一枚、桐座の「佐々木岸柳──志賀大七敵討乗合話」から六枚、「花菖蒲思弁」から一枚、河原崎座の「恋女房染分手綱」から九枚、「義経千本桜」から一枚。

 

🎀疲れた写楽の脳裏に浮かぶ「竹生島」小段キリの一節。光も輝く金銀珠玉を─。「海人(あま)」小段玉ノ段の一節。人々喜び引揚たりけり──

 

このあと大変だ大変だと「一心太助みたいな言い方をした」報告が来て、写楽の絵が大評判となったことが知れるのですが、一番盛り上がるところです。

この「てぇへんだてへぇんだ~」という時代劇特有の呼びかけも漫画に今もみられますが、誰ももう「一心太助」がわからなくても、生活に根付いて、どこかで息づいて残っているのを感じます。

 

🎀写楽がお栄ちゃんにあげた、「松本米三郎のけわい坂の少将」「三代目市川八百蔵の田辺文蔵」

 

🎀写楽が夕一郎にあげた、「三代目坂田半五郎の藤川水右衛門」

 

写楽の絵が大評判になった章のもくじは、「イッツ・ア・ビューティフル・デイ

 

次第にわかってくるのは、このお話は写楽のお話だったということです。

 

「夕子がいれかわっちゃった夕一郎」と、「明らかに夕子そのものであるお栄ちゃん」
二人して、写楽という人物の歴史の生き証人として、その短い栄枯盛衰を見届けるのです!

 

名もない絵師だった男が蔦谷に見出され、大成功をおさめる写楽…!

 

なのに、謎の組織とともに、死の影がちらちらとつきまとっています。
写楽のその売れ方や生き方もどこか、花火のようにぱっと打ち上げて華々しく消える、太く短い生き方、運命のようなものを感じさせます。

 

北斎がその対極に位置していて、自分は百まで生きて蔵いっぱいの絵を描き残したいと言いながらも、写楽のことを心配すします。

ほんとうに写楽という人、北斎という人はこうであったかもしれないという生き生きとした描写になっています。

 

🎀写楽の次の作品都座「けいせい三本傘」、河原崎座「二本松陸奥生長(みちのくそだち)」、気晴らしで能を舞う「鞍馬天狗」、狂言「花子」、描いているのは三代目市川八百蔵八幡太郎義家(源吾成重)

 

🎀曽我兄弟の仇討のストーリー解説。

 

🎀写楽の死を目の当たりにして、気を失う夕一郎の脳裏に、狂言「福の神」の小謡がよぎる

 

写楽は、夕一郎のお父さんがらみの敵が放った刺客(若い女)に、心臓に一突きを浴びて崩れ落ちてしまいます。

 

謎は謎のまま、写楽の命が切れると同時に物語も終焉を迎え、夕一郎は、夕子となって我に返ります。

 

目が覚めた夕子は、すべてを忘れてしまっていました。
でも、狂言師に挨拶に行き、狂言師のおじさんは「こ太りのおじさん」にそっくりでした。
そして、靭猿を演じていた少年、栄一郎。

 

栄一郎=お栄ちゃん

 

ここで、見事に一つの輪が完成してました。

 

お栄ちゃんと夕一郎の、男女逆になってもう一度めぐり逢う逆転現象!
 

写楽の死という悲劇的な終わり方をしていますが、冒頭の夕子から始まった物語が、栄一郎との出会いで、今後の明るい展望を示して終わる。

 

江戸時代の夕一郎がいずれ狂言師として大成し、「釣狐」を踊ることが出来るようになるのは、作中で暗示されているので、そこはあまり不安な思いは抱きません。

 

読後もすっきりとして、ちっともいやな感じではありません。

 

この本を読むと、男の子は女の子になり、女の子は男の子になれます。

 

 

復刊、全力で希望です。

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

東洲斎写楽: 役者絵85図+プチ解説
Kindle版 東洲斎写楽 (著), 浮世絵ライブラリー編集部 (編集)

江戸を代表する浮世絵師の1人、東洲斎写楽の役者絵を集めたコレクションです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

写楽の謎の「一解決」
Kindle版 松本清張 (著)

役者絵で名高い浮世絵師・写楽は、その生涯がまったく謎につつまれ、今日まで多種多様の人物像が描かれてきたが、その決着はついていない。本書は、美術に造詣の深い、日本文学界の巨匠である著者が、その鋭い分析と大胆な推理に基づいて、日本美術の点と線を明かす、興味深いひとつの試論である。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

マンガでわかる能・狂言
マンガでわかる能狂言編集部 (編集), 小田 幸子 (監修), スペースオフィス

なぜ「能」と「狂言」はセットになることが多いの?初心者はどこに注目すれば楽しめる?難しそうだけど理解できる?眠くなったらどうしよう…。名曲「野宮」を一曲丸ごと解説しながら、能の番組の見どころや衣装、作り物の鑑賞ポイントを紹介します。

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

木の実のけんか
岩城範枝 (著), 片山健 (イラスト)

隣の山に、どこより早く見事に桜が咲いているのを見つけたタチバナは、一族を引き連れ花見の宴を始めます。それを見た山の住人、栗は面白くありません。文句を言いに押しかける栗とタチバナ一族の駆け引きが笑いを誘います。しかし多勢に無勢、栗はやり込められ逃げ帰ります。が、今度は栗が山の木の実仲間をひきつれ乗り込み、桜の下での合戦の大団円。さて、その勝敗やいかに?果物を主人公とする珍しいこの物語は、狂言「木の実争い」を下敷きにして、華やかでチャーミングな絵を得て、見事な絵本になりました。

 

 

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子どもの本だな【広告】

ちいさいおうち おんがくかいのよる―5ひきのすてきなねずみ 月曜日に来たふしぎな子
カッレくんの冒険 こまったさんのスパゲティ 英語でもよめるはらぺこあおむし
種をまく人 こひつじまある ぼくは王さま

 

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大人が読む児童書「写楽暗殺」3 めくるめく伝統芸能の世界

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

写楽暗殺
今江 祥智 (著)

 

 

 

大人が読む児童書「写楽暗殺」1 幻想めくるめく狂言の世界へ

大人が読む児童書「写楽暗殺」2 あれ、私たち入れ替わっちゃったぁ~?

 

 

小5女子が男子になって江戸時代へ行って写楽と知り合って狂言ミステリーに巻き込まれる。

 

こんな荒唐無稽な物語をよく思いついたな!と思うほど、あれこれ入り混じっていますが、まったく違和感がありません。

 

あとがきで今江祥智さん、カニズバーグの来日の際、お会いしてちょうど「レオナルドダヴィンチ」について書いているという言葉に刺激を受けてのことだと書かれています。

石井桃子さんもファージョンにお会いしているそうですし、有名な児童文学者のかたたちは、国境を越えて親交があったのだなと思います。

 

「クローディアの秘密」では、ミケランジェロの彫像を生かしていた。
ならばこちらは日本だ、写楽を!ということのようです。

 

文化芸術と児童文学が密接に関わっている所がすごいです。


このお話、英訳にしてもすごーくウケると思うのですけど、どうして消えてしまってるいるのか…。

 

やっぱり、小5の女子にきったはったの流血沙汰はキツいからでしょうか?
今ならむしろ逆にいけると思うんですが。

 

漫画化もめっちゃ行けると思います。

 

ストーリーは夕一郎の狂言の稽古・写楽の絵の修行・お栄ちゃんをからめて、夕一郎のお父さんが巻き込まれた事件の謎と、写楽写楽として躍進していく過程を描いています。

 

ちょっと別の面から、このお話に出て来る伝統芸能の一覧みたいなのを、リストアップしてみたいと思います。

 

 

🎀夕一郎がお栄ちゃんに来て欲しいという心をこめて声を張り上げた狂言の演目「居杭」

 

🎀師匠に斎藤十郎兵衛のことを聞きたくてがんばる演目、狂言「金津」

 

🎀斎藤十郎兵衛は、お栄ちゃんと夕一郎が動いている姿を描いてみたいという。ただ動いているのではつまらないと、夕一郎はお栄ちゃんにも簡単な稽古をつける。狂言「くさびら」

 

ここの、「くさびら」できのこの精となった二人を描く写楽の絵の描写がすごいです。

機会があればぜひ読んでみて欲しいです。

 

🎀「くさびら」を描いた絵から、斎藤十郎兵衛はじめての絵の注文を受ける。切能「雷電」、脇能「賀茂」、鳥羽僧正の絵(鳥獣戯画)、狂言「神鳴」

 

🎀お栄ちゃんを呼び出したくて(またか)声を張り上げる。狂言「髭櫓」

 

この「髭櫓(ひげやぐら)」、わたしが「附子」以外ではじめて見た狂言なのですが、すごく面白くてとても印象に残っています。
でっかい毛抜きで男性の髭を引っ張ります。

 

🎀斎藤十郎兵衛、夕一郎、お栄ちゃん三人で会食。(伝統芸能ではないですが)山芋のたたき、汲みあげ湯葉のすまし汁、鮎の背ごし、若竹蒸し、すずきの塩焼き、あなご豆腐。

 

めっちゃ美味しそう。

 

🎀勝川春章、鈴木春信、鳥居清長への言及あり。

 

🎀少しだけお酒をもらって酔ってしまった お栄ちゃんを起こすのに、歌で謎かけする斎藤十郎兵衛、何て風流な…。狂言「水汲み」

 

この後で、夕一郎とお栄ちゃんは、謎の四人組に襲われます。
藤十郎兵衛は絵の修行で江戸へ。

 

🎀絵に悩む斎藤十郎兵衛が、写楽と名乗るようになる。狂言「菓爭(このみあらそい)」を思い出す。

 

🎀襲われた夕一郎は、敵の眼をくらますために寺住まいへ。狂言「花折」

 

🎀お栄ちゃんも危険回避のため江戸へ。寄席で噺家に扇子を貸したのを期に、蔦谷重三郎と知り合い、蔦谷は写楽の絵に目を止める。歌麿の浮世絵をもらう。

 

🎀お栄ちゃんは蔦谷重三郎に舟遊びに招かれる。蜀山人十返舎一九東海道中膝栗毛の作者)が乗っている。

 

🎀江戸で夕一郎を恋しがるお栄ちゃん、狂言「柿山伏」

 

🎀寺で再び襲われた夕一郎(すんごい怖いです)、御高祖頭巾で女装して江戸へ。船の中で北斎に出会う。

 

北斎が、べらんめえなきっぷのいい絵師で、めっちゃカッコいいいです。

 

また、この男子になってしまった女子が女装するという、誰も思いつかなさそうな逆転シチュも見逃せません。

夕一郎、ここでうとうとしたときに、一瞬、夕子であった自分を取り戻しそうになります。

 

🎀十郎兵衛、役者絵を描いて描いて描きまくる。 

三代目市川高麗蔵の志賀大七
中山富三郎の宮城野
市川鰕蔵の竹村定之進
三世大谷鬼次の江戸兵衛(たぶん一番有名なやつです)
谷村虎蔵の鷲塚八平次

どれも最高傑作ばかりです。

 

🎀写楽を探し回る蔦谷の受難。山東京伝「仕懸文庫」 「青楼昼之世界錦之裏」「手段逼物娼妓絹篩」の発禁処分で賭けを張る絵師を探している。

 

この絢爛豪華な文化芸術が、ミステリーな事件と、追われる子供たちの話のところどころにはさまれていて、まるで絵巻物を見ているかのようです。

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

東洲斎写楽: 役者絵85図+プチ解説
Kindle版 東洲斎写楽 (著), 浮世絵ライブラリー編集部 (編集)

江戸を代表する浮世絵師の1人、東洲斎写楽の役者絵を集めたコレクションです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

写楽の謎の「一解決」
Kindle版 松本清張 (著)

役者絵で名高い浮世絵師・写楽は、その生涯がまったく謎につつまれ、今日まで多種多様の人物像が描かれてきたが、その決着はついていない。本書は、美術に造詣の深い、日本文学界の巨匠である著者が、その鋭い分析と大胆な推理に基づいて、日本美術の点と線を明かす、興味深いひとつの試論である。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

マンガでわかる能・狂言
マンガでわかる能狂言編集部 (編集), 小田 幸子 (監修), スペースオフィス

なぜ「能」と「狂言」はセットになることが多いの?初心者はどこに注目すれば楽しめる?難しそうだけど理解できる?眠くなったらどうしよう…。名曲「野宮」を一曲丸ごと解説しながら、能の番組の見どころや衣装、作り物の鑑賞ポイントを紹介します。

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

木の実のけんか
岩城範枝 (著), 片山健 (イラスト)

隣の山に、どこより早く見事に桜が咲いているのを見つけたタチバナは、一族を引き連れ花見の宴を始めます。それを見た山の住人、栗は面白くありません。文句を言いに押しかける栗とタチバナ一族の駆け引きが笑いを誘います。しかし多勢に無勢、栗はやり込められ逃げ帰ります。が、今度は栗が山の木の実仲間をひきつれ乗り込み、桜の下での合戦の大団円。さて、その勝敗やいかに?果物を主人公とする珍しいこの物語は、狂言「木の実争い」を下敷きにして、華やかでチャーミングな絵を得て、見事な絵本になりました。

 

 

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子どもの本だな【広告】

太平のカメ日記 「つるばら村」完結セット全12巻 ねずみのとうさん アナトール
ヒナギク野のマーティン・ピピン カーディとお姫さまの物語 かえるのエルタ
新編 世界むかし話集(10)アメリカ・オセアニア編 ながいながいペンギンの話 長くつしたのピッピ

 

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今日の一冊「子うさぎましろのお話」

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

子うさぎましろのお話
佐々木 たづ (著), 三好 碩也 (イラスト)

サンタクロースからもらったおかしを食べてしまった子うさぎのましろは、またほしくなってもらいにいくのですが……。

 

 

「小うさぎましろ

 

名前も可愛いし、絵も可愛い、とても可愛い絵本です。
長いこと、しずかに売れ続けていて、今も本屋さんの棚に置かれています。

 

クリスマスの時期、子うさぎのましろはまっさきにサンタさんにプレゼントをもらいました。
北の国に住んでいるどうぶつたちは、サンタさんの住んでいる場所に近いので、早くおくりものをもらえるのです。

 

白うさぎのましろはお菓子とかざりをもらったのですが、お菓子はあっというまに食べてしまいました。

 

もっとなにか欲しくなり、もう一度何か頼もうかなと考えます。

 

でも、サンタさんにもらえるのはどの子どもも、一度だけという決まりです。

 

ましろは、かわいらしいずるを考えつきます。
「別の子だって言えばいいんだ」

 

ましろは自分の体にすみをこすりつけて黒くして、サンタさんに会いに行きます。

 

サンタさん、ましろだとすぐにわかるのですけど、ましろ違うと言い張るので、からっぽの袋を探してみます。
うそをついていても、すごく子供らしくてかわいらしいです。

 

ふくろにはもう、小さなたねが一つしか入っていませんでした。
がっかりしたけど、たねをもらい、サンタさんが食べるためのサンドイッチももらいました。

 

サンタのおじいさん、とてもやさしいです。
寒かっただろうといって、そりに入れてくれて、おあがりとサンドイッチをくれます。

 

おなかいっぱい食べて満足した子うさぎはうちに帰る前に、すみを取ろうとしましたが、どんなにこすっても取れなくなっていました…。

 

幼い心で、ずるいことを思いついて、プレゼントをもうひとつもらおうとした罰なのか。
まっしろだった純粋な心が汚れてしまった示唆なのか。

 

子どもたちには、少しだけどきっとするお話かもしれません。

 

ましろは色々考えて、「たねはかみさまにおかえししよう」と、冷たい雪を掘ります。
土にたどりつくまでどんなに手足が冷たくなっても掘って掘って掘りぬいて、たねを埋めます。

 

たねからは、美しいクリスマスの木が生えてきました…。

 

ましろはサンタさんに何もかもお話するのですけど、そうかそうかと優しく受け止めてくれます。

 

こらしめではなくて、大きな愛で許される。
どこまでも優しいお話です。


クリスマスにはぴったりの絵本です。

 

 

昔、ちらっと検索して見つけたブラックサンタの話がおもしろく、興味本位で話してみたら子供たちすっかり信じ込んでしまい、めちゃくちゃ怖がっていました。
(クリスマスでなくても常に欲まみれなので)

 

※ブラックサンタ=なまはげみたいなものです。悪い子はいねがぁ~!

 

ブラックサンタより間違いなくこのましろのお話の方が優しいです。

 

 

 

 

佐々木たづ - Wiki

本になるにあたっての後書きを、作者の佐々木たづさんが書かれているのですが、ボストンの近くに過ごされていたとき、盲導犬ロバータを連れて、お友達のクリスマスに招かれていたときのことを思い出したとのこと。(高校生のときに失明されていたのですね…)

ジッと耳をすませば、はるか彼方からそりの鈴の音(ね)が聞こえてきそうなそんな夜でした。

美しいです。

 

wikiで調べてみると、何とあの「銭形平次」(知らないかたがもう多いかもしれません)の作者に小説の師事を受けたとのことでした!

 

 

 

少年と子だぬき
佐々木 たづ (著), 杉浦 範茂 (イラスト)

女の子にばけて山からおりてきた子だぬきと、じてんしゃにのった少年との心のふれあいを、あたたかく描いた物語。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

よいみみのこうま
佐々木 たづ (著), 中村 有希 (イラスト)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

野村胡堂 作品全集
Kindle版 野村 胡堂 (著)

銭形平次捕物」で有名な野村胡堂の全名作を一冊に!

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

おしいれのぼうけん あなたのおへそ 兎の眼
あしながおじさん ペネロペ こわいゆめを やっつける ふらいぱんじいさん
新編 世界むかし話集(6)ロシア・西スラブ編(下) そらいろのたね ママはかいぞく

 

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大人が読む児童書「写楽暗殺」2 あれ、私たち入れ替わっちゃったぁ~?

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

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>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

写楽暗殺
今江 祥智 (著)

 

 

大人が読む児童書「写楽暗殺」1 幻想めくるめく狂言の世界へ

 

 

第一話にして、一瞬で江戸時代へ。

ほら今、そういう漫画あるじゃないですか割と。

信長協奏曲とか信長のシェフとかほかにもあれこれ、あれこれ…)
面白いですよね。

 

まったく、違和感ないと思います!(力説)

 

夕子、いつの間にか江戸時代の狂言師(見習い)となっていました。

きつねにつままれたような夕子が、成り行きのまま部屋に入ると、そこには鏡が…。
映っているのは、同じ年ぐらいの男の子です。

およそ3Pをさいて丁寧に、夕子は鏡相手に奮闘します。
自分が男の子になっているということを受け入れられるまで、かなりの時間を要します。

 

江戸時代に飛ばされたのみならず、性別も入れ替わった。 

南米の猿の魔法にかかったのだろうか?
なんて考えながら、夕子は背後から呼ばれ、狂言師のおじいさんについて座敷へ…。

 

ここで夕子、さまざまな変化に直面することになります。

 

・名前は夕一郎。(夕の字がはいってます)
・砂糖湯をいただく。
・舞台の出来はほめられたけど、いきなり別の演目の稽古をさせられる。
・演目は「いろは」

 

稽古は、口うつしといって、口真似をしていくものです。

にこにこおじいさんは、背筋をのばしてしゃんと坐り直した。すると、いままで、こ太りのやさしいおじいさんと見えていたのが、百年も前からそこにでんと存在しつづけていた大きな黒い岩に見えてきた。

朗々とした声の響きの美しさ、などなど、狂言の魅力をあますことなく伝えてくれます。

ここで、客人がやってきます。
背の高い若侍。

藤十郎兵衛。

 

写楽です!

 

ja.wikipedia.org

 

三章、「カモンナ・マイ・ハウス」では、重要な転機が起きます。
稽古場を離れて歩く夕子、道ゆく人々の姿や景色にとまどいます。

映画かテレビの時代もののセットの中を歩いているのか、登場人物になってしまったのか…。

夕子、つねったり目をつむったり、あれこれしますが、でも「行く場所は知っている」のです。
「いつものように」稽古して、「いつものように」家に帰っている。
自分はいったい、だれなのか。

 

こうして、次第にゆっくりと、現代から江戸時代に、読んでいるこちらもとけこんでいきます。

 

ここで夕子、斬り捨て御免の無礼打ちに遭遇してしまいます。
すごい描写です。もうすっかり、時代小説の世界です。

 

小学5年生の女子にはこれはキツすぎました。
夕子、その場で気を失って、昏倒してしまいます。

助けてくれたのは斉藤十郎兵衛。あの若侍でした。

 

このとき、重大な変化が訪れます。

夕子は、現代人であった記憶をすっかり失ってしまいました!

無礼打ちを見たショックなのか、気絶したからなのか、ここから夕子は、夕一郎となって江戸時代を生きることとなります。

写楽が夕一郎の気持ちを逸らせ、落ち着かせるために話してくれたのは狂言の演目「鬼瓦」

あらゆる所に、伝統芸能の名前が出てきます。

 

 

夕一郎は、狂言師の息子でした。
しかし、お父さんは何らかの事情でおらず、父の師匠である「こ太りのおじさん」に稽古をつけられています。

この「突然消えてしまったお父さん」の謎が、写楽の運命に大きな影響を与えることになる…というお話です。

 

そして、ここで女の子が出てきます。
夕一郎の幼なじみです。

お栄ちゃん。

この子…。何となくなんですが…。
夕一郎の中に消えてしまった、夕子に似ています。

これ、夕子じゃね?という気持ちが消えません。

夕一郎があまりにも、最初から夕一郎であったかのように平然と話が進むので、夕子どうなったん?夕子どうすんの?という気持ちに、何となく答えを与えてくれます。

 

わたしたち、入れ替わっちゃったぁ~?なわけです!

 

お互いに、何となく淡い恋心を抱いています。

 

今江祥智さんは、作風が割とロマンチックで、「何となく淡い恋心を抱いてる男子と女子」をペアにしてくれる(くれる…)のですけど、漫画にしても映画にしても抜群にOKなシチュエーションです。

 

 

ここからお話は、本格的な時代小説となり、主人公は夕一郎(夕子)なのですが、登場人物入り乱れて視点は変わります。

 

いずれ写楽となる斉藤十郎兵衛の視点からもお話は語られます。

 

夕一郎。
藤十郎兵衛。
お栄ちゃん。

 

この三人を軸として、物語は展開していきます。

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

東洲斎写楽: 役者絵85図+プチ解説
Kindle版 東洲斎写楽 (著), 浮世絵ライブラリー編集部 (編集)

江戸を代表する浮世絵師の1人、東洲斎写楽の役者絵を集めたコレクションです。

 

 

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写楽の謎の「一解決」
Kindle版 松本清張 (著)

役者絵で名高い浮世絵師・写楽は、その生涯がまったく謎につつまれ、今日まで多種多様の人物像が描かれてきたが、その決着はついていない。本書は、美術に造詣の深い、日本文学界の巨匠である著者が、その鋭い分析と大胆な推理に基づいて、日本美術の点と線を明かす、興味深いひとつの試論である。

 

 

 

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マンガでわかる能・狂言
マンガでわかる能狂言編集部 (編集), 小田 幸子 (監修), スペースオフィス

なぜ「能」と「狂言」はセットになることが多いの?初心者はどこに注目すれば楽しめる?難しそうだけど理解できる?眠くなったらどうしよう…。名曲「野宮」を一曲丸ごと解説しながら、能の番組の見どころや衣装、作り物の鑑賞ポイントを紹介します。

 

 

 

 

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はてしない物語 魔法使いのチョコレート・ケーキ 「つるばら村」完結セット全12巻
まりーちゃんとひつじ 名探偵カッレとスパイ団 どろんこハリー
リラとわたし ツバメの谷 ヤナギ通りのおばけやしき

 

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