今日の一冊「森のおくから: むかし、カナダであった ほんとうのはなし」
今日、ご紹介するのは絵本です。
この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
きっと、ずっとわすれない。人間と動物をへだてていたものがなくなった、あの日のこと──。これは、いまから100年ほど前に、カナダでほんとうにあった話です。
「むかし、カナダであったほんとうの話」とあります。
動物がたくさん出てきそうなので借りてみました 。
絵がとても繊細です。
銅版画に似た感じの絵柄です。
1914年カナダの中の小さな町です。
大正3年。第一次世界大戦まっさかりです。
ゴーガンダ湖というものがあるらしいです。
カナダの五大湖の少し(地球規模でいくと少しじゃないですけど…)上のあたりでした。
開拓時代は少し抜けた頃のようですが、地方の暮らしにはあまり変わりはないでしょう。
映画で見るような、小さなホテルでの昔の様々な暮らしが、繊細な線画によって描かれています。
お料理やお掃除の様子、薪を集めたり、壁の修理をしたり、全てが手作業です。
◇
ホテルの1階は大きな食堂
2階は個室の客室
3階は、二段ベッドがたくさん並んだ、雑魚寝のような場所です。
ホテルのこういう所って、戦争中には野戦病院に使われたりもするんだろうな。
どちらかと言うと、昔の風俗を表したテレビやドラマなどで野戦病院に使われているようなそういう並び方です。
雑魚寝の大部屋では、各々が好きなことをしています。
本を読んだり、何か書き物をしていたり(手紙のようです)、中央のテーブルでは、トランプをやっています。
(ポーカー?ブリッジ?)
ホテルのまわりは、スギやマツ、ポプラやバルサムの木がしげる深い森でした。アントニオが森に入っていくと、オオカミの群れがシカを追う声が聞こえ、キツネがネズミにとびかかったときの足あとも見つかりました。クマやヘラジカ、イタチがいたこともわかりました。
動物は姿は見せません。
人と交わることはないのです。
◇
ある日大変な山火事が起きました。
今も時々ニュースで、大陸のあちこちで起きる、大規模な山火事のニュースを見ることがあります。
火は怪物のようにほえたて、パチパチ火花をまきちらし、あたりはものすごいあつさになりました。
全ての人が湖に入り、膝から肩あたりまでを水に浸しながら、火事がおさまるのを待ちます。
待つことしかできません。
そのとき、森の方から次々に動物たちがやってきましした。
ありとあらゆる動物たちが、人間と同じように湖に入ってきたのです。
オオカミがシカのとなりに、ウサギがキツネのそばにいます。人間とヘラジカも、からだがふれるほど近くに立っています。
一瞬だけ、敵も味方もなく、種類もなく、全ての垣根が取り払われる。
生きて動いている動物はみな、ひとつになって、静かに湖の中に立っている。
作者のおじいさんが実際に遭遇した、不思議な体験を描いています。
繊細な絵とともに、とても不思議なその体験がまるで実際に見てきたかのようにすっと入ってきて、静かな感動を呼び起こしました。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
強くかしこいオオカミ王ロボ。ちょっとマヌケだけど、ご主人さま大好きな犬のビンゴ。お母さんも兄弟も死んで、ひとりぼっちで生きるクマのワーブ。ウサギの親子、モリーとギザの冒険の日々…… 感動の名作4編。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
愛するめすオオカミのブランカを助けようとして、ついに、わなにかかったおおかみ王「ロボ」、あわれなみなしごから、たくましい森の王者に成長する『ハイイログマの一生』など、大自然にくりひろげられる、動物たちの愛と戦い、かなしみを、生き生きとえがく動物文学の傑作4編をおさめました。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
シートン動物記 全8巻+別巻 9冊セット
アーネスト・T・シートン (著), 増井 光子 (著), 藤原 英司 (翻訳), 木村 しゅうじ (イラスト)
きびしい自然の中でたくましく生きる動物たちをやさしく見守った、野生動物保護の父シートン。少年少女向けの珠玉の名作46編と別巻の『シートン伝記』をおさめた決定版のセットです。進級進学のプレゼントにピッタリ!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
新訳 赤毛のアン
ルーシー・モード・モンゴメリ (著), 羽海野 チカ (著),
木村 由利子 (翻訳), おの ともえ (イラスト)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
美しいプリンス・エドワード島で愛されて成長していく少女アン。幸福感あふれる名作の日本初の全文訳。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
大きな眼にソバカスだらけの顔、おしゃべりが大好きな赤毛のアンが、夢のように美しいグリン・ゲイブルスで過した少女時代の物語。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
2014年朝の連続ドラマ主人公村岡花子さんが児童に向けた抄訳版の赤毛のアン。日本で広く知られている『赤毛のアン』というタイトルを思いついたのは、翻訳者である村岡花子です。第二次世界大戦中、防空壕に原稿を持ち込むなど苦労を重ねながら『アン・オブ・グリン・ゲイブルス』の翻訳をすすめ、戦後、1952年(昭和27年)、日本の読者にようやく紹介することができました。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
10歳までに読みたい世界名作1 赤毛のアン
ルーシー・M・モンゴメリ (著), 村岡 花子 (翻訳),
横山洋子 (その他), 村岡 恵理 (その他)
孤児院から、男の子を引き取ろうとしていたマシュウとマリラのもとに、間違えて連れてこられたやせっぽちの女の子アン。赤毛といわれるのが大嫌いで、想像力がとても豊かな女の子。そんなアンが、はらはらするような出来事を経て、成長していく物語。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
レッド・フォックス
チャールズ・G・D・ロバーツ (著),
チャールズ・リビングストン・ブル (イラスト), 桂 宥子 (翻訳)
家族を守るために猟犬と闘い、その牙にかかって息絶えた勇敢な父ギツネ。その命と引き替えに救われた巣穴の子ギツネたちの中で体力、知力ともにもっとも優れていたのが、雄の赤ギツネ“レッド・フォックス"でした。やがてレッド・フォックスも父となり、家族を守るためさまざまな困難に立ち向かいます。カナダ東部の未開の荒野を舞台に、そこに暮らす野生動物たちの営みをダイナミックに描いた作品です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
自分以外のすべてに、彼は激しく牙をむいた。強さ、狡猾さ、無情さ……彼は生き延びるため、本能の声に従い、野性の血を研ぎ澄ましてゆく。自分の奥底にいまはまだ眠る四分の一のイヌの血に気づかぬままに――ホワイト・ファング(白い牙)と呼ばれた一頭の孤独な灰色オオカミの数奇な生涯を、ゴールドラッシュ時代の北の原野を舞台に感動的に描きあげた、動物文学の世界的傑作。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ゴールドラッシュに沸くカナダ・アラスカ国境地帯。ここでは犬橇が開拓者の唯一の通信手段だった。大型犬バックは、数奇な運命のもと、この地で橇犬となる。大雪原を駆け抜け、力が支配する世界で闘い、生きのびていくうちに、やがてその血に眠っていたものが目覚めはじめるのだった。苛酷な大自然を力のかぎり生きぬく犬たちの誇り高き生命の物語。20世紀初頭、アメリカで国民的な人気を博したジャック・ロンドンの出世作
赤毛のアンシリーズは、原文がグーテンベルクで無料公開されています。
「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492
◆プロジェクト・グーテンベルクについて
☞Wikiの説明ページ
プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリカ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館。
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しろねこしろちゃん | ジャリおじさん (日本傑作絵本シリーズ) (日本語) 大型本 - 1994/11/20 大竹 伸朗 (著, イラスト) | ガンバとカワウソの冒険 |
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児童書のお料理 「点子ちゃんとアントン」のベーコンの脂
児童書のお料理つながりのお話です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
お金持ちの両親の目を盗んで夜おそく街角でマッチ売りをするおちゃめな点子ちゃんと、貧しいアントン少年―つぎつぎと思いがけない展開で、ケストナーがすべての人たちをあたたかく描きながらユーモラスに人生を語る物語。
お料理をしている時に、ときどき好きだった児童書のことを思い出します。
私は料理が得意でも何でもないので、
この児童書に出ているこのお菓子を再現♡
なんてことは壊滅的に無理です。
なので雑談ついでに、ゆるゆると中身を紹介してみたいと思います。
◇
さぼりがちな朝ごはん。
作らないといけないけど、イヤだな。
テンションを上げる「何か」が欲しい。
わたし「よーし、今日は悪いことしちゃうぞ!」
妹子・兄助「ダメだよ!何!?」
わたし「(普通に使ったらあと2回は料理に流用できそうな)ベーコンを全部焼く!」
子供ら、興味を失ってしまった…。
残念。
フライパンでこれでもかというほどベーコンを並べて全部焼いていると、油の量が尋常ではないです。
脂がよく出るベーコンと、あまりないベーコンの違いはいったい何だろう?
ふき取らないといけないほど出たベーコンの油を見ると、いつも「点子ちゃんとアントン」のことを思い出します。
◇
もう何度も引用してはご紹介してるのですが、もういちどあらすじをお話しますと…。
点子ちゃんは豪邸に住んでいる、いわばお金持ちの子供です。
お父さんは銀行の支配人(?)らしいです。
支店長なのか、頭取なのか。
子どもに注意を払わない親のため、ろくでもない家庭教師に当たってしまった点子ちゃん。
家庭教師が小銭を稼ぐための、「路上でものを売る人の子ども役」として、夜にこっそり外出するという、半ば不良に半分足を突っ込んだ毎日を送っています。
その路上で点子ちゃんはアントン少年と知り合いになります。
◇
点子ちゃん、アントンの家に遊びに行きます。
そこで、アントンがお料理をしているのを見ます。
(点子ちゃんもお手伝いします)
やっと料理の話にたどりついた。
お母さんが病気なので、アントンが家事手伝いをやっているのです。
アントンはシチューなべを取り、マーガリンを入れて、もう一つのガスの火の上にかけました。それから、かきまわした卵をそのなべに流しこんだので、シュッと音がしました。「塩を忘れまいぞ、アントン!」と、かれはじぶんに命令して、塩を一つまみとり、なべの中に浮いている黄いろいしるの上にまきました。それがこげつきだすと、アントンはさじでかきまわしました。パチパチと、たのもしい音がしました。
「だから、かき卵っていうのね。」と、少女がいいました。
「もうすこし、かきまわしておくれ。」と、少年はたのみ、さじを少女ににぎらせました。少女はかわってかきまわしました。アントンはラシャのふきん二まいで、なべの柄をつかみ、煮たっている湯を流しにあけました。それから、ジャガイモを二つのおさらにわけました。「ジャガイモをゆでるときは、よっぽど気をつけないと、ぐちゃぐちゃにしちゃうよ。」と、アントンはいいました。点字はしかし、きいていませんでした。かの女は腕が痛くなるほどかきまぜました。ピーフケはそのあいだ、卵のからでフットボールをしていました。
◇
しかし、生活苦とお母さんの病気は、アントンの上には暗い影を落とします。
夜、外に出ては、くつひもなどを打って小銭を稼ぐアントン。
学校では居眠りをしてしまいますし、生活費のことで頭を痛めています。
ヤングケアラーという名前で分類されると、どこか遠くの国の人、不憫な境遇の人、という風に感じるかもしれません。
この物語を通じて、アントンのことは自分の友達、またはまるで自分のことのように感じます。
点子とあの親切な紳士とがいなかったら、四十五ペニヒにしかならなかっただろうと 考えながら、夜の収入を手帳に書きこみました。
えのぐ箱にないしょでしまってある残金と合わせると、五マーク六十ペニヒになりました。
五マークは、間代として家主がひとりじめにしようとしていました。そうすると、食事には六十ペニヒしかのこりません。アントンは小さい食物入れの戸だなをのぞきました。ジャガイモはまだありました。まないたにはベーコンの皮がのっていました。あしたシチューなべにその皮をこすりつけたら、ジャガイモをあげることができるでしょう。だが、買うつもりでいた四分の一ポンドほどの肝臓ソーセージはどうにもなりませんでした。
悲壮感はなくて この後アントンは ちょっとお母さんの様子を伺いますが ちょっといびきをかいたりするのでにっこりしたりもするのです。
書いてるうちになんだかだんだんシリアスになってきましたが、この話は決してアントンのヤングケアラーの辛い生活というのがメインではないです。
こんなことを言っては身も蓋もありませんが、点子ちゃんのトンデモ行動にゲラゲラ笑うのがもっとも正しい読み方だと思います。
そして、この記事を書いた、理由はここ!
まないたにはベーコンの皮がのっていました。あしたシチューなべにその皮をこすりつけたら、ジャガイモをあげることができるでしょう。
これです!
この記事冒頭の、「ベーコンから脂がいっぱい出てきた」というところにつながるわけです。
ベーコンの脂でポテトが揚げられる!?と思っていましたけど、長年の家事からして言えます。
結論から、揚げるのが可能なぐらい脂が出てくるベーコンは、あります!
そのままにしていると、あっという間に固まって白いべとべとになってしまいますが。
おそらく、これを綺麗に精製できれば、ラードとして活用できるのでしょうけど。
私も、ベーコンを焼いた後の脂でほうれん草とたまごをいためる、ぐらいのことはするようになりました。
正直、たまごがあまりきれいな色にはなりません。
ちょっと茶色っぽいおこげな色がついてしまいます。
色にこだわらなければ、ベーコンの味がしみて、とても美味しいです。
塩もほとんどいりませんし。
◇
この「点子ちゃんとアントン」が、子供の時からも、そしてこうして大人になって料理しながらも、ずっとわたしの中に一緒にいるような感覚があります。
それは、この本だけではなくて、たくさんの名作児童書も同じです。
こんな風な気持ちは、一生ものなので、子供のときに読んだ本に寄り添われる感覚を、子供たちにも味わってほしいなあ、と思うわけです。
「お母さんいつもベーコンを焼いて油がいっぱい出た時、点子ちゃんとアントンのことを思い出すの」
そんな話をしながら、皆でベーコンを食べました。
はっきりいって、あんなに焼いたのに、なくなるのは一瞬でした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
おばあちゃんをたずねる途中の列車で,大切なお金を盗られてしまったエーミール.ベルリンの街を舞台に,少年たちが知恵をあわせて犯人をつかまえる大騒動がくりひろげられます.
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
おたがいを知らずに別々の町で育った、ふたごの姉妹ルイーゼとロッテ。ある夏、スイスの林間学校で、ふたりは偶然に出会います。ふたりは、大胆な計画をたてるのですが…。
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なやみをうちあけられる人はいますか?絵60点、世界中がわらい泣いた名作。子どもの涙がおとなの涙より小さいなんてことはない。寄宿学校でくらす優等生マーティン、すて子のジョニー、けんかの強いマチアス、弱虫ウリー、皮肉なセバスチャンらの友情をえがく、クリスマスの名作。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ボクサー志望のマッツ、貧しくも秀才のマルティン、おくびょうなウーリ、詩人ジョニー、クールなゼバスティアーン。個性ゆたかな少年たちそれぞれの悩み、悲しみ、そしてあこがれ。寄宿学校に涙と笑いのクリスマスがやってきます。(「BOOK」データベースより)
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今日の一冊「天からふってきたお金」 2 さまざまな文化を子どもたちに伝えるために。
今日、ご紹介するのは児童書です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
天からふってきたお金―トルコのホジャのたのしいお話
アリス・ケルジー (著), 和田 誠 (イラスト), 岡村 和子 (翻訳)
むかし、トルコにナスレッディン・ホジャという名前のとんちのうまいおじいさんがいました。このナスレッディン・ホジャの出てくる短いお話を600ほど集めたものが"ナスレッディン・ホジャ物語"で、トルコでは何回も出版されています。
このお話と、ナスレッディン・ホジャという名前に、わたしは何となく既視感がありました。
「ナスレッディン」
よくある名前なのかもしれませんが、山室静さんの昔話集で読んだ気がします。
本棚をかき回して探してみたら、ありました!
ナスレッディン!
山室静さんが編集された膨大な数の世界むかし話集の中の、「インド・中近東編」です。
「ナスル・エド・ディンの晴れ着」
この「天からふってきたお金」の中に収録されている一遍と、内容も同じです。
ビンゴ。
名前が「ナスル・エド・ディン」となっています。
ちぢめると、ナスルッディンになるのでしょうか。
ここで、不思議な符号がありました。
この昔話集の、「ロシア・西スラヴ(上)」にも、ナスルッディンの話があります。
「いたずら者のナスルッディン」
キルギスは、トルコの文化圏に近いです。
別ルートで伝わっていてもおかしくありませんし、話の内容的にも、たしかに同じナスルッディンっぽいです。
そもそも、わたしはこの「ナスルッディン」という響きが頭に残っていたのであって、どうやら覚えていたのはこちらの「ロシア・西スラヴ編」のようでした。
最初に、トルコの話だと書かれていたので調べてみると、「ナスル・エド・ディン」が出てきたというわけです。
昔話の中に、地域は別で二つ入っていたんだ。
山室静さんの訳された方のナスレッディンはこんな感じです。
むかし、ナスル・エド・ディンという人がいました。彼は貧しかったけれど、村では教師として、またお祈りの導師として、みなに尊敬されていました。でも、ときどき妙なことをやるので、笑われることもありました。それでも彼は気のいい男で、そんなことは気にかけず、お説教をしたり、子供たちを教えたり、お祈りの音頭をとる時のほかは、この世に何の悩みもないかのように、自分の小さなブドウ園で幸福そうに働いていました。
ムーミンの訳者で有名な山室静さんは、昔話といえど細部まで正確に、忠実に伝えようという意図を感じます。
かつてはローマ帝国の時代から有数の都市だったイスタンブールのあるトルコという土地を紹介するのに、こうしてナスレッディン・ホジャの話を読むことができるのが幸せと思います。
◇
ここに描かれるトルコの人々の姿は、生き生きしています。
いたずらが大好きで、明るくゆかいな人々です。
山室静さんの昔話集で、まったく違うアラビア圏のお話のなかで(トルコではないですが)
「あまりにもダメなだんなさんを奥さんがぶんなぐって捨て、別の男を見つけて結婚する」
という話があります。
でもその別の男がさらにダメ男だったので、またその男を捨てて元サヤに戻るという話です。
このような昔話を、アラビア圏の子どもたちも聞いて育っているんだなあと思います。
男尊女卑のかけらもないです。
また、アラビア地方を渡り歩くかたのブログで、アラビア圏はおそろしく女性が強いと書かれているのもありました。
大陸特有の思考回路の違いや、政治情勢による変化はもちろんあるとは思いますが、アラビア圏のムスリムたちは、文化が違うだけのまったく同じ人間だと、むかしばなしからわかってもらえればなと思います。
◇
アラビアン・ナイトをはじめ、このような昔話や神話から彩られる世界の歴史は、生き生きとしています。
このような物語を、子どもたちが知ることができる道筋を決して失ってはならないと思います。
つまり、
翻訳者さん・出版業社さん・本屋さん
の文化的担い手としての意義はとても大きいですし
そして、こどもの大多数は「字の多い本」を勝手に手に取り、ひとりでに読むようにはなりませんから、
「まとまった文字を追う訓練」とともに、
その業界と、現場(子ども)とをつなぐ「⇔」
つまり、
親、先生、わたしたち読み聞かせボランティアなど、
子どもを取り巻くおとなの責任はとても大きいです。
翻訳者さん、出版業界さん、本屋さんだけが頑張ってもどうしようもありませんし。
こどもを取り巻くおとなであるわたしたちが、こんなよい本があるんだよと、広めるしかありません。
それは、こどもにふれあう人だけではなくて、ネットを通じてなら、どんな人にだって、こどもとふれあう環境がない人でも、どんなアプローチだって、できるはずなんです。
最近はどの本屋でも、目にみえて児童書の棚が激減していて、危機感を覚えています。
本屋さんも、以前見ましたが、おとなの棚に井伏鱒二のドリトル先生を置いているのは本当によい試みだと思いました。
「児童書」と枠をつけず、大人の棚に混ぜて並べてもらえたらよいのにな、と思います。
こどもの手に渡るには、まず大人の手を経由しなければならないのが、この種類の本「児童書」ですから。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
世界宗教といわれるものはすべてこの地域で発生し、砂漠あり氷河あり、人類の往きかよう十字路。おびただしくある説話から昔話のインド起源論が風靡したことさえあった。ともあれ、この地域が昔話の宝庫であることは間違いない。
<インド> 青い山犬 / 三人のいたずら者 / 他十二編
<イラン> お百姓と三人のいたずら者 / アリ・ムハメッドのお母さん / 他五編
<アラビア> ダマスクスの商人カシムの話 / 二人のごろつき / 他四編
<トルコ> 笑いリンゴ泣きリンゴ / どろぼうの名人 / 他六編
<イスラエル> 巡礼と彼のロバ / なまけ者の国 / 他五編
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ロシアはヨーロッパから別扱いされ、なおざりにされ続けてきた。しかし、ロシアの昔話によく出てくるばかのイワンが、利口者の兄をさしおいて美しいお姫様と結婚、王国を継承したように、近代に至ってロシアは、文学の巨人を輩出させて世界文学の王座をしめ始めた。
<ロシア> 火の鳥 / カマスの命令 / 他15編
<トルキスタン・シベリア> スイカの種 / 底ぬけに気前のいい男 / 他6編
<コーカサス・アルメニア> 処女王 / 漁師の息子 / 他5編
<ポーランド> ヘビの王さまの冠 / オンドリと風 / 他6編
<チェコ> 十二の月 / 塩は黄金よりも尊し / 他6編
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小さな小さな魔女ピッキ | デイビッド・マックチーバーと29ひきの犬 | きつねのホイティ |
今日の一冊「天からふってきたお金」 1
今日、ご紹介するのは児童書です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
天からふってきたお金―トルコのホジャのたのしいお話
アリス・ケルジー (著), 和田 誠 (イラスト), 岡村 和子 (翻訳)
むかし、トルコにナスレッディン・ホジャという名前のとんちのうまいおじいさんがいました。このナスレッディン・ホジャの出てくる短いお話を600ほど集めたものが"ナスレッディン・ホジャ物語"で、トルコでは何回も出版されています。
これは、勝手に私が選んで借りてきたものですが、妹子はちょっとしぶって手に取ろうとしませんでした。
妹子「だって アラーの神って書いてあるよ。これってイスラム教の話なの?イスラム教って何か怖い。ムハンマドの絵をかいたってだけで殺されちゃうんでしょ」
わたし「だからこそ、こういうの読んでほしいんだよ。こういうの読んでるとね、そういうのが偏見だってわかるんだよ」
著者のアリス・ケルジーさんは、「トルコに住んでいたことのあるアメリカの女優作家」さんだそうです。
アメリカの子供達の為に書いたと書かれています。
この本、一度英語を介しているということですね。
妹子「絵がしゃぼんだまの人だね」
わたし「そうだね、ぼくは王さまの和田誠さん」
妹子「『しゃぼんだま』でよくわかったね!」
わたし「すごいだろう」
妹子「ドヤってんじゃないYO!」
うちにある「ぼくは王さま」の本は和田誠さんの挿し絵の本です。
フォア文庫からは、和歌山静子さんの絵で出版されていて、こちらの方がなじみ深い方も多いのではないでしょうか。
どちらも、イメージを壊さずに、お互いにしっくり来ているところがすごいなと思います。
おっと、これは「天からふってきたお金」の話だった。
◇
妹子「すごく面白かった。とっても頭のいい人だなって思った」
わたし「確かに、とんち系の話だよね。吉四六さん系」
最初、妹子の言葉を信じて
「空からふってきたお金」
と検索してみると、たくさん怪しげな検索結果が出てきました。
正確には、「天からふってきたお金」
ナスレッディン・ホジャは、日本語に訳すと、「ナスレッディン坊さん」となります。 ホジャは、むかしは、学校に住みこんで宗 教 教育にあたった人のことで、頭にはターバンをまき、そでもすそも長いきものをきていました。のちに、ホジャは、ただ「学校の先生」といういみになりましたが、このいみではいまも使っています。ナスレッディンは、日本でいえば「助左衛門」というような名まえです。
内容は よくあるとんち系のおもしろ昔話です。
ホジャは、王さまだからといって、ペコペコもしません。ひゃくしょうだからといって、いばるわけでもありません。そこで、王さまは、 ホジャといっしょにいると、気もちがせいせいして、ゆかいになるのでした。
豊臣秀吉も、曽呂利新左衛門と話している時は、そういう気持ちになったことでしょう。
しかしこのナスレッディン・ホジャ、割と失敗ばかりしています。
それを、超ポジティブシンキング、もはや屁理屈レベルと言えるほどのゴリ押しポジティブで、なんとかうまく切り抜ける、また運良くうまいこと言った、そういう系統のお話です。
なるほど~!と言うようなとんちは、それほどないです。
どちらかといえば、ノリの良いおちゃめさん。
そんな中でも印象に残った話をちょっと紹介してみようと思います。
◇
「三つの金曜日」
ホジャというのがお坊さんのことだというとおり、モスクの壇の上に乗って、皆の前でアラーの神様の話をしなければならりません。
「金曜日は回教寺院に、信心深いモハメット教徒が行くので」
これは、「ムスリムがモスクに行く」と書かれてるのとは、随分イメージが違います。
言葉のイメージは大事ですね。
ずっとむかし、ホジャは僧院でべんきょうをしたことがあったので、金曜日になると、きまった時間に説教壇にのぼって、アラーの神さまの話をしなければならなかったのです。それも、なにか話すことがあるときは、へいきです。でも、ときには、ホジャの頭のなかも、ホジャのねずみ色の口パの頭のように、からっぽのことだって、あるのです。
「しなければならなかった」という言い方からして、
したくない・できない
何も思い付かない感が満載です。
ホジャはうまいことを思いつきました。
観衆に「何を話そうとしてるか分かりますか」と聞いて、「分かりません」という答えが返ったら、「では話しても無駄ですね」と言って帰ってしまいます。
2回目の時は、「何の話をするかわかりますか」と聞いて、この前わかりませんと答えたらホジャに帰られてしまった人々は、「わかります」と答えました。
「わかってるんだったら話さなくてもいいですね」と言って帰りました。
そろそろ観衆も気づけよという感じです。
3回目。
絶体絶命です。
これ、一週間に1回の話なので、3回サボったということは、およそひと月はほぼ、何も話さなかったということですね。
今度は何を考えているか、「分かる」という人と、「分からない」という人の、2通りに分かれました。
そこでホジャはこうです。
「わからない人は、わかっている人から聞いて下さい」
うまいな~。
空は、はれわたって、あたたかい日でした。鳥はさえずり、あたりにはサンザシのかおりがただよっていました。
ホジャはうきうきしていました。──なにしろ、来週の金曜日までは、なんのしんぱいもないのです。
花金に幸あれ!
どこかで、読んだ話だなと思って昔話集を引っ張り出してきましたので、つづきます。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
王さまはたまごやきが大好き。朝も昼も夜も、いつもたまごやきを食べます。ある日、王さまはとびきり大きなたまごやきを作るために「ぞうのたまご」をとってこいと命令を出しますが…。ロングセラー児童文学のリニューアル版。(「MARC」データベースより)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
世界宗教といわれるものはすべてこの地域で発生し、砂漠あり氷河あり、人類の往きかよう十字路。おびただしくある説話から昔話のインド起源論が風靡したことさえあった。ともあれ、この地域が昔話の宝庫であることは間違いない。
<インド> 青い山犬 / 三人のいたずら者 / 他十二編
<イラン> お百姓と三人のいたずら者 / アリ・ムハメッドのお母さん / 他五編
<アラビア> ダマスクスの商人カシムの話 / 二人のごろつき / 他四編
<トルコ> 笑いリンゴ泣きリンゴ / どろぼうの名人 / 他六編
<イスラエル> 巡礼と彼のロバ / なまけ者の国 / 他五編
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今日の一冊「もりのおくのおちゃかいへ」
今日、ご紹介するのは絵本です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
おつかいに行くキッコちゃんが見つけた不思議な館。そっとのぞいてみると、おめかしした動物たちがすてきなお茶会を開いていました。
なんだか不思議な感じがする絵本です。
内容はほのぼのなのですが、夢の中に入っていくようなところの境目があいまいです。
おばあちゃんの家に雪かきをしにお父さんが出かけました。
お土産のケーキを忘れていったので、キッコちゃんはお父さんを追いかけて、雪の中の林を抜けて追いかけていきます。
雪国のお話です。
しんと静かな林をサクサク足跡つけながら歩いて行くキッコちゃん。
途中で転んでケーキが潰れてしまいました。
これはショック…。
しかも、お父さんの足跡だと思ってついていき、やっと追いついた人影は、おばあちゃんの家ではなくて、見知らぬ洋館に入ってきます。
何だか不思議な大きな洋館です。
林を抜けていくあたりから、ふっと夢に入っていくようなのですが、この洋館の窓をのぞいたとき、非日常に入り込んでしまったことがはっきりとわかります。
窓からのぞいてみると、人影は、何とお父さんではありませんでした。
クマ!
それも、洋服を着たクマです。
◇
ひつじのこに招かれて、家の中に入っていたキッコちゃん。
この時、見開いた時のページが、恐ろしいほど怖いです。
モノクロ基調に目だけが大きく開いてこちらを見つめるたくさんの動物たち。
見知らぬ他人、それもたくさんの他人に注目を浴びて、一斉に見つめられた時の違和感をこの見開きのページで見事に表現しています。
妹子「ビビって顔が少しひきつっちゃってるよ」
※客観的に見て、別にキッコちゃんが怖がっているような風は絵からは見えませんけど、こどもの心情としてそんな風に受け取っているのでしょうね。
(本人に言えないのでここに書いてみました)
ページをめくり直してみますと、このお話の中で色が付いているのはキッコちゃんだけなのです。
髪と服と帽子、そして手袋だけに鮮やかな色がついています。
他はモノクロ。
雪に覆われた白黒の世界の中で、その色だけが鮮やかです。
そして、夢の中に迷い込んだような不思議さが、いっそう際立ちます。
◇
しかしこの動物たち、とくに怖いことをするわけでもなんでもなく、それどころかキッコちゃんをお茶会に招いてくれました。
大きな洋館、大きなテーブル、所せましと置かれたポットやお皿、たくさんのお菓子、果物……。
モノクロなのですが、そのテーブルの上に並ぶお茶会のテーブルがすごく豪華です。
洋風の、あこがれの景色です。
きっこちゃんはどうぶつたちにケーキの箱が潰れてしまったことも話します。
動物たちがケーキを分けてくれました。
この次の見開きのところで、とても美味しそうなタルトやケーキやパイにさっと色がつきます。
このページの「美しさ=美味しそう」は抜群です。
夢の中を抜けるようにして、キッコちゃんはおばあちゃんとお父さんの所にたどりつくことができました。
◇
不思議な絵本です。
読みきかせの人に教えてもらいました。
やはり印象に残っていたのでもう一度借りてみました。
途中の強さもあって、ちょっと一度読むと忘れられないです。
少し怖いところがあった方が、記憶に残るのではないかと思いました。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
雪が凍って大理石よりも堅くなった日、四郎とかん子は野原できつねの子に出会い、幻燈会の切符をもらいます。美しい文章と絵がこだまする空想物語の傑作。
キック、キック、キック、トントン
のリズムが美しい、宮沢賢治の物語です。
雪の日に、非日常に迷いこむ所も、同じです。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
映画「ティファニーで朝食を」で一躍有名になった、ニューヨークのティファニー宝石店が作ったテーブルマナーの本。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
華麗なティーテーブルデザインを、女性の憧れ「プリンセス」テーマで表現。美しい実例写真を見せながら、英国王室とも交流のある著者が、本格的なマナーも指南する。スイーツレシピつき。
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閑話 スマートメディアがやってきた 2
閑話です。
今日はまったく、児童書とは関係のない記事です!
こちらで書きましたが、その後のGoogleネスト君の様子です。
使ってみてわかりましたが、検索は、かなりクセがあります。
Googleくんに合わせてあげないといけません。
アレクサの方が賢いと書かれている方もいました。
そうかもしれない…。
ですが、小学生の単語調べや、画像検索「〇〇の画像を見せて」は、かなり重宝します。
◇
いちいち「OK」と言うのが面倒だなと思っていると、「ねえ」でもよいことがわかり、それからは「ねえGoogle」でいけるようになりました。
もっともありがたかったこと。
テレビのチャンネルを探さなくても良くなった!
これは、本当にストレスフリーです!!
私はテレビ、特にバラエティ系の番組があまり好きではないので、放置されていると自分でチャンネルを探してとめなければなりませんが、死ぬほどイライラしていました。
「ねぇGoogle、テレビを消して」
「ねぇGoogle、チャンネルを〇〇に変えて」
「ねぇGoogle、テレビをつけて」
洗い物をしながらでもいけます。
◇
一通り、翻訳も使ってみました。
日本語を英語に直すのはもちろんすごく役立ちます。
ただ、「英語を日本語に直す」のはこちらの発音がまずいからうまくいきません。
英語っぽく頑張って気取って言ってみると成功する(こともある)ので、これはこれで練習になるのかな?
「ねえGoogle、今日のお天気は?」
ベタですが、お天気をすぐ教えてくれるのが、地味に助かります。
「ねえGoogle、今日(明日)の予定は?」
カレンダーの予定を、携帯をいじったり、見に行かなくても読み上げてくれます。
もともとGoogleカレンダーを使っているので助かりました。
(家族はみんなそれぞれのGoogleアカウントでカレンダーを使っており、それら全員の予定が同期されています)
そんなこと、という感じではあるのですが、テレビを消したり、お天気、予定を知りたいというのは毎日のことなので、とても助かります。
Bluetooth をペアリングして音声を出す。
これ、地味にありがたいです。
スマートフォンのスピーカーは本当に小さいので、つけていてもテレビや子どもの声にすぐかき消されてしまっていました。
かといって、ずっとイヤフォンをしているのも耳が痛いです。
テレビとは別に自分が家事をしながら映画を見たいとき、画面をGoogleネストの画面にキャストして見ています。
やっぱりYouTubeが手元で、しかも命令だけで付けられる。
妹子には使えないことをアピールしたあと、自分がこっそり使っています。
例えば、戦国・小和田チャンネルという歴史学者さんのYouTubeチャンネルがあるのですが、これを延々と流しています。
洗い物がめちゃくちゃはかどります…。
音量も、声で上げたり下げたり命令できるので、ストレスがありません。
◇
変わり種。
ラジオが聞けました。
「TOKYO FM を開いて」とか、面白かったです。
「おみくじを引いて」
みんな何度かおみくじを引いてみましたけど、毎日大吉でした。
「兄弟はいますか」
Google「いいえ。でも、えんじにあやあなたがたがいるので。さみしくありませんよ」
とか言われて、ちょっとキュンときてしまいました。
◇
妹子「ねえGoogle!『みりん』って10回言って!」
小学生でないと思いつかない発想だわ。
Google君はさすがにまじめで、しかもよどみなく答えます。
Googleネスト君「みりんみりんみりん………(略)。このあとあなたは、はなのながい動物は?と聞くのではないでしょうか」
兄助「それはぞうさんやないかーーーい!」
妹子「ねえGoogle!『みりん』って10回言って!」
めげないな。
Googleネスト君「みりんみりんみりん………(略)。このクイズはよく聞かれるんでうしょね。答えは、『ぞう』ではないでしょうか」
兄助「いやそこは、くびのながいどうぶつは、やないかーーーい!」
兄妹が、Google と絶妙なコント。
不思議なものを見てしまった。
この姉妹、妹子が何かを聞こうとすると兄が全力で邪魔したり、「Google、音量下げて!上げて!」と大騒ぎで楽しんでいるので、けっこう、子守もしてくれるな。ありがとう、と思いました。
◇
何としてもYouTubeを阻止したい場合のメモ。
Googleネストハブの、YouTube対策!
これだけはメモっておこうと思います。
Googleネストハブは、携帯アプリから制御します。
「Google Home アプリ」
>設定(歯車アイコン)
>Digital Wellbeing
適応先:すべてのユーザー
動画:←ここだ!ここで選択します。
「すべての動画を許可」
「YouTube 制限付きモードと YouTube Kids の動画のみを再生」
「すべての動画をブロック」
かを選ぶことが出来ます。
実はテレビをつければ、こちらもWi-FiにつながっているのでYouTube は見れるのですが、テレビはおそろしく回線を圧迫するのか(この言い方が正しいのかどうかもわからない)、頻繁に落ちてしまいます。
グッジョブテレビ。
パソコンはそもそもが時間制限を設けていますが、加えてChrome に ブロックをかけています。
chromeの拡張機能で、SiteBlockというものです。(提供先:Costa)
ブロックしたいURLを入れておくと、再生することができません。
しかしこれも、ブラウザを変えてマイクロソフトのedgeなどを使えば見れてしまいます。
こちらの対策としては、初期設定の言語とコンテンツ」をアラビア語にしています。
厳密にいうと、検索すればできちゃいますが、開いたときにびっくりして閉じるのであの手この手で封印しています。
兄助くんには、この手は通じません。
拡張機能も一瞬でバレてしまいました。
もう、あきらめの境地です。
Googleの声アクティブアシスタントを体験! Google アシスタントに知りたいことを尋ねて、レシピ、地元の企業、スポーツなどに関する視覚的な答えを得ることができます。 また、ビデオで回答する質問もありますので、7インチ画面で役立つ動画を求めることができます。 ボイス マッチで、パーソナライズされたイベント、通勤、リマインダーなどを見ることができます。
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今日の一冊「まゆとおに」 幼女の持つ爆発的パワー
今日、ご紹介するのは絵本です。
この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
山姥の娘まゆは、ある日鬼に会います。鬼はまゆを煮て食べようとお湯を沸かしはじめます。まゆはそうとは知らず、薪の山を作ったり、かまどの石を積んだり、手伝います。その怪力に驚いた鬼も、鍋のお湯が沸くころには、もうすぐまゆを食べられるとにんまり。ところがお湯が沸くと、風呂を沸かしているとばかり思っているまゆは、「お先にどうぞ」と言うなり、鬼を鍋に放り込んでしまいます……。
読み聞かせの定番です。
定番中の定番です。
やまんばのむすめ、まゆのおはなしです。
この挿絵を描いている降矢ななさんは、とても迫力がある 上に、愛嬌のある素晴らしい絵を書かれる方です。
過去の読み聞かせノートには、「降矢なな」の名前があちこちに出てきます。
さて、この「まゆとおに」は…。
まぁ言ってしまえば、「アラレちゃん」です。
なんていうと、身も蓋もないのですが、要は元気で明るく力持ちの女の子!
ド迫力のパワーを持つ破天荒な幼女。
そういう感じです。
女の子とは、口が達者でませていて、力は弱くつんとして、集団になってキャーキャー言う。
そんなテンプレイメージを根底から覆すお話です。
やまんばのむすめまゆは「ぞうきばやしのおく」 で、おにに出会います。
鬼はお腹が空いていたので まゆを食べようと企みます。
まゆは鬼を見たことがありませんでした。
鬼は優しい声で「うちに遊びに来ないかね」と誘います。
「うん、いく!」
この口調を、すごく何も考えていない、おバカな子供っぽい声で読んで聞かせると、子供たちは大合唱です。
だめだめだめだめ!
嘘だろバカ行くなよ。
行っちゃだめでしょ。ダメだって。
こっちはもう楽しくてなりません。
けい、かく、どおり!
まゆはものすごい力持ちなのです。
何しろやまんばの娘なので、だとしたら、子供一人で放置していたことも、
やまんばの娘だから☆
の一言で全てが片付きます。
鬼は、まゆを煮て食おうとするためにたきぎや石など準備するのですが、まゆはお手伝いしましょうかと申し出ます。
そしてこの幼女(言い方…)、爆発的くそぢからで、
・松の木を根っこから引っこ抜き
・岩屋の壁を けり崩し
もうむちゃくちゃです。
鬼もこのあたりでおかしいと気づけよという感じです。
まあ最終的にはアラレちゃん展開で、めちゃくちゃにやられたおにをまゆはあくまで イノセントに心配して、担いでお母さんのところにつれ帰ります。
◇
このお母さん、やまんばにしては非常に清潔で綺麗で若く、色っぽくてちゃきちゃきした…とにかく素敵です。
たくさんの山菜おにぎりとほかほかのだいこん汁をご馳走してくれました。
この、色とりどりのおにぎりが、ページ一面にふわ~っと並ぶ見開きの シーンがたまりません。
モラル面から言えば、色々と、最初から突っ込みどころが満載です。
親として、特に女の子に対しては、心配からリスクを回避する方法ばかりを教え込みがちです。
ですが、それが、露出をしないだとか、暗い夜道を一人で歩かないかとか、もちろんそれは全て正しいのですが、行き過ぎてしまうと、結局は古代から続く行き過ぎた保守的な古い法律(何か被らねば外に出てはならないとか、基本はいっさい男性の目に触れてはならないとか)がもっとも正しいことになってしまいます。
ファンタジーの中ででも、「力強く立ち向かう破天荒な子どもらしい奔放さ」というものを、イメージとして伝えてあげる意味でも、このお話は貴重なのではないでしょうか。
自分で何とかする力。
やってみること。
秘めたパワーを無邪気に開放して、子どもらしく、生き生きと遊ぶ楽しさを伝えています。
アラレちゃんのモチーフはやはり大人気とみえ、シリーズも沢山出て、今でも版を重ねています。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
山姥母さんと、まゆが、龍の背中に乗って、春一番の雨をふらせます。激しい雨で、雪が溶け、雪解け水が川になるーーそのダイナミックな季節の変わり目に、山姥母さんとまゆが、大きな龍と、子どもの龍を迎え、大活躍をします。一面の雪景色が初春の空気に変わる、その様を、降矢ななさんが、生き生きと描きます。「まゆとおに」ですっかり子どもたちの人気者になったまゆのおはなしの2冊目です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
いつも元気で力持ちのまゆが活躍する人気シリーズ。今回のお話では、まゆがかっぱとすもうの勝負をします。ある日、沼のほとりでこがっぱのミドリマルと出会ったまゆ。二人ですもうの練習を始めますが、岩をも軽々と投げ飛ばすまゆにミドリマルはびっくりぎょうてん。他のかっぱたちも「なんだ?」「なんだ?」と集まってきます。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ある日、山姥の娘まゆは、林の中で迷子になったうりんこに出会いました。そこで、まゆはうりんこのお母さんが見つかるまでお母さん代わりになってあげることにします。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【ページ数が多いビッグボリューム版!】天才科学者(?)の則巻千兵衛が作った人間型ロボット・アラレちゃんが暴れまくるパワフルGAGワールド! ペンギン村を舞台に、個性あふれるキャラクター達が続々登場!
「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492
◆プロジェクト・グーテンベルクについて
☞Wikiの説明ページ
プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリカ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館。
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大人が読む児童書「がんばれヘンリーくん」読了 5 一兆分の一の一億分の一センチ。
大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。
この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
ヘンリーくんは小学三年生。どこにでもいる、ごくふつうの男の子です。ある日、街角でやせこけた犬を拾い、こっそりバスに乗せて家までつれて帰ろうとしましたが、とちゅうで犬があばれだして大さわぎに…。それいらい、ヘンリーくんのまわりでは、次つぎにゆかいな事件がおこります。小学校中学年から。(「BOOK」データベースより)
「がんばれヘンリーくん」 2 アニメでもありそうなドタバタ大騒ぎ、カオスを文字で現す
「がんばれヘンリーくん」 3 グリーン・クリスマスのドタバタ 劇よりも劇らしい
「がんばれヘンリーくん」 4 やりたくない劇の主役・不可避の地獄
皆がペンキを持ってあちこち歩きまわり、設営をしている中で、いつもは外で待っているアバラーが飛び込んできました。
あちこち、愛らしくたわむれている間に、アバラーは、みどりのペンキをひっくり返してしまいます!
「ヘンリー、あぶないっ!」と、ループ先生が、かなきり声をあげました。
かんはひっくりかえり、ヘンリーは、頭から、みどりのペンキをかぶりました。
「グワァッ!」と、ヘンリーはさけびました。 ループ先生が、舞台にかけあがってくる音がしました。音は聞こえましたが、すがたは見えません。目があけられなかったからです。つめたい、ぬるぬるしたペンキが、観にも、首すじにも、ダラダラ流れていました。耳のさきからボタボタ落ちているのるわかりました。
みどりのペンキを頭からかぶったおかげで、取れるのは何日もかかるということになり、代役が用意されることとなりました。
ヘンリーくんは、解放されたのです。
しあわせなヘンリーくんは、アバラーと一緒になかよく、ゆきのなかを帰っていくのでした。
頭から服まで全部みどり色のままで。
だから「みどりのクリスマス」なのかー!!
グリーン・クリスマス☆彡とでもいうような、ホンワカしたイメージでは全然なかった。
妹子「これね、『グワァッ!』だからいいんだよ。新訳とかにしたらね、『うわー!』とかになっちゃうんじゃない?」
う~ん。
さりげなく後の人のハードル上げるようなこというのはやめてあげて。
妹子も、この翻訳が好きすぎて、新訳には否定的です。
◇
5.うすもも色の犬
この章も妹子が大好きです。
というか、ぜんぶの章が好きなのですけど…。
アバラーがドッグショーに参加することになります。
よく洗ったにもかかわらず、アバラーがどろんこ遊びをしてしまったので、ヘンリーはベビーパウダーで隠すことを思いつきました。
しかし、そのパウダーは、何と白ではなく、ピンク色だったのです!
ピンク色を、「うすもも色」と書いてるのがとても好きです。
「ピンク」だと、どぎつい色もありますから、何となく原色のピンクっぽいのを想像してしまいますが、「うすもも色」だとみやびな印象です。
ことばの使い方が実にたくみだなと思います。
◇
6.ひろったものはその人のもの
何と、アバラーのもと飼い主が現れて、ヘンリーくんと所有権を争うことになってしまいました。
大変な事態が発生です。
ドッグショーに出たことで、新聞に載って、もと飼い主の男の子にまで届いてしまったのです。
これまで、どの章でもいらつかせていた五年生のイヤミくん、スク―ターが、はじめてかばうようなことを言いました。
子どもたちも口々に、ヘンリーの味方をします。
この男の子も気の毒です。
どれだけ以前のアバラーを大事にしていたか、子犬の頃から親しくしていたかが切々と語られます。
ああ、いったどうなっちゃうのー!?
という感じで、このヘンリーくんシリーズ1作目は終わります。
◇
妹子「いかにも男子が言いそう!小学校三年生ぐらいの男子、言うわこういうこと。アメリカの男子も日本の男子も変わんないね」
見て見ると、ちょうど綱渡りを試してみようとしている女子たちを、男子(ヘンリーと友達)がからかうシーンのことを言っているのでした。
ヘンリーは、ますますゲラゲラ笑いました。
「歩道から一兆分の一センチはなれていても、歩けないんだからな」
さらっと見たので、いったい何が何なのかちょっと把握できませんが、この「一兆分の一」とかやたらと、習いたての細かい単位をできる限り使いたがるのは確かにお年頃の子供の特徴です。
「一兆分の一の一億分の一センチはなれていても、歩けないんだからな!」
わたし「言う言う、こういうこと」
妹子「どこを開いてもおもしろいよね」
今度のぞいてみたら、また別のページを開いていて、例の無茶苦茶なタイピングの所を開いていました。
面白いからまた手に取ってしまう。
良いスパイラルです。
自分が読んでも楽しいのでストレス解消になります。
楽しくて愉快な気持ちにさせてくれる本が、そこの本棚にあるというだけで 存在だけで心なごむ気持ちがします。
◇
さてこのヘンリーくんシリーズはたいへん長くて、第一期と第二期に分かれており
第一期は8巻
第二期は6巻
けっこうな量があります。
しかも、一冊ずつが割とお高いので、まずは図書館で借りて読まれるのが妥当かと思います。
とにかく面白いので、少し長い文章、絵本から抜けて「本型の本」に慣れてもらいたいというお子さんにぴったりです。
ヘンリーくんのお隣さんは、ムカつくスクーターだけではなく、ビーザスという女の子がいます。
そして、このビーザスにはラモーナちゃんという妹がいるのですが…。
妹子「ラモーナだけはむり。ラモーナきらい!」
まあ、私が見るところ、ラモーナはまったくもって、妹子そのものです。
似すぎていて怖いぐらいです。
本人も、きっとラモーナと同じ、豆台風だった頃をすっかり忘れてしまっているのでしょう。
このラモーナちゃんがまた、本当に色々やらかして面白いのです!
ヘンリーくんの場合は、やらかすのはアバラーなのですが
ビーザスの場合にやらかすのはラモーナです。
まさに捧腹絶倒、笑い転げることができるのは町がなしなので、ぜひこのシリーズ、図書館には絶対においてありますので、一冊借りて読んでみていただければと思います。
◇
最後に、蛇足なのですが…。
この、慣れ親しんだ表紙のヘンリーくんとアバラー。
持ち方が無理すぎると思いませんか!?
すぐに足が付き出ちゃうよ!
どうやってその横長を支えてるの!?
こちらが、最近発見した、英語版の原本のヘンリーくんとアバラー。
ヘンリーくん、小柄だし、段ボールも無理がないです。
イメージを壊さず、適度にかわいく、とてもよい表紙だなと思いました。
しかし...。
このインパクトの強さが大好きだッ!
見ているだけで笑えてきます。
本棚に立っているのを見るだけで楽しい気分になれる。
そんな、とても貴重な本です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ヘンリーくんの飼い犬アバラーは、近所のネコを追いかけたり、パトカーの中から警官のおべんとうを失敬したり、行くさきざきでめんどうなさわぎをおこして、ヘンリーくんをうんざりさせます。念願のサケつりにつれていってもらったヘンリーくんは、アバラーのおかげで…ときにはよいことも!小学校中学年から。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
近所の友だちがかっこよく新品の自転車を乗りまわすのを見て、ヘンリーくんは自転車がほしくてたまらなくなりました。なんとかしてお金をためようと、なかよしのビーザスの協力をえて、いろいろ知恵をしぼります。でも、次つぎとおかしなことにまきこまれるばかり…。さて、ヘンリーくんは、どうやって自転車を手に入れるのでしょうか。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ビーザスのなやみのたねは、妹のラモーナです。まったくラモーナときたら、どうして、こう次から次へといたずらばかり思いつくのでしょう。すっかり、ゆううつになったビーザスでしたが…。やんちゃでききわけのない妹を持った、お姉さんのなやみをユーモラスに描いたゆかいな物語。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
Henry Huggins (English Edition) Kindle版
英語版 Beverly Cleary (著), Tracy Dockray (イラスト)
This timeless classic now features a foreword written by New York Times bestselling author Judy Blume, as well as an exclusive interview with Beverly Cleary herself!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
一度読み始めたらやめられない、おかしなおかしなクマのパディントンのお話の第1冊目。ブラウン夫妻がパディントン駅で見つけた子ぐまが、夫妻にひきとられ縦横無尽に活躍します。
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閑話 ガラスの仮面からたけくらべへ
閑話です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
亜弓の劇団オンディーヌと劇団つきかげは共に「たけくらべ」でぶつかりあい、競い合うことに。全国大会では新たなライバル劇団一角獣が現れ、益々白熱していく。そこでマヤと劇団つきかげに仕掛けられた罠とは。
わたし「妹子、ガラスの仮面が、最初の5巻ぐらい無料で出てるよ。読む?面白いよ?あなた昭和のまんが好きでしょ」
妹子「読む読むー!」
妹子、食いついてきました。
妹子「あの黒い人がなんであんなにえらそうなのか知りたい」
そんな理由なのか。
たぶん、黒い人というのは、月影先生のことだと思います。
めくりながら(といってもタブレットです)
妹子「ほほー、ガラスの仮面てそういうことだったの」
そして叫んでいました。
妹子「あれ、黒いひと、男じゃなかったのか!」
月影先生のことを、男だと思ってたんかーい!
わたし「それでね、北島マヤが劇をするでしょ。劇中劇って言うんだけどね。お話の中の劇ね。その題材に、なかなかの名作を使ってるんだよ。だからガラスの仮面を読んで、本に興味を持ちました!って人が結構いるんだよ」
メモしませんでしたが、そんな風に紹介しているニュースを見たことがあるような気がします。
ちなみに、その時のニュースのコメントは、
早く続きを書け
の大合唱でした。
◇
妹子「たけくらべ読んでみたいわ」
わたし(けい、かく、どおり!)
わたし「でも、いきなりたけくらべなんだ。『若草物語』とかじゃないんだ」
妹子「うんたけくらべが気に入った」
わたし「そこにあるよ、おばあちゃんの日本文学全集です」
明治文学を代表する小説家、歌人である樋口一葉の長篇小説。初出は「文學界」[1895(明治28)年]。全十六章から成り、吉原遊廓に接する大音寺前を舞台に、千束神社の夏祭りから、大鳥神社の酉の市までの季節の推移を共に展開していく少年少女の、いわば初恋の物語である。
読む気満々で開いている妹子。
まあちょっと明日で、という気配もありません。
わたし「あの~~。ちょっと忠告しておくけど、きっと思ってるのと違うと思うよ。びっくりするかもしれない」
妹子「大丈夫大丈夫。内容わかってるから(ドヤッ)」
10分後
妹子「なんじゃこりゃ!!!!」
叫び声が聞こえてきました。
妹子「思ってるのと違うって、ちがいすぎるわ!なにこれむり、ぜったいむり」
わたし「ははは」
妹子「おかしいでしょ難しすぎ。だって『まる』がないよ?文章どこできれてるの?」
わたし「ははは」
妹子「はははじゃないから!15ページか。あー楽勝だわ、って思ったらなに!1ぺーじたっても一文が終わんないよ!」
まあ、たけくらべといえばこうです。
廻れば大門の見返り柳いと長けれど、お歯ぐろ溝に燈火うつる三階の騒ぎも手に取る如く、明けくれなしの車の行来にはかり知られぬ全盛をうらなひて、大音寺前と名は仏くさけれど、さりとは陽気の町と住みたる人の申き、三嶋神社の角をまがりてより是れぞと見ゆるいへもなく、かたぶく軒端の十軒長屋二十軒長や、商ひはかつふつ利かぬ処とて半さしたる雨戸の外に、あやしき形に紙を切りなして、胡粉ぬりくり彩色のある田楽みるやう、裏にはりたる串のさまもをかし、一軒ならず二軒ならず、朝日に干して夕日に仕舞ふ手当ことごとしく、一家内これにかかりて夫れは何ぞと問ふに、知らず霜月酉の日例の神社に欲深様のかつぎ給ふ是れぞ熊手の下ごしらへといふ、正月門松とりすつるよりかかりて、一年うち通しの夫れは誠の商売人、片手わざにも…………………
まだ切れない。
一行がこの×5ぐらい。
妹子「蓮如は出てるんだ」
わたし「そこ確認したんだ」
妹子「いやありえないわ!源氏物語のほうがわかりやすいよ!ああ、だいたいこういうことかなっ?てわかるもん!源氏物語のほうが千年ふるいのに、現代に近いほうが難しいってどゆこと!いちぎょうもりかいできない!」
わたし「でもさ、源氏物語は読みやすいように改行されてるし、説明がちゃんと書いてるから……」
妹子「いやいやいや、絶対源氏物語のほうがわかりやすい!!!」
◇
1時間後。
あれっ。
妹子、また、たけくらべを開いて見てる。
奇妙なことですが、魅力的なパズルや知恵の輪のように、難易度が高い、解けないほうにどんどんひきつけられていく。
こ難しくて、まったく理解できないと思った本を、思い出しては開き、閉じては開き、を繰り返しているうちに、成長とともにいつの間にか読める部分が増えていく…。
最終的にはどっぷりはまる、ということがあります。
◇
この日本文学全集には、私の大好きな泉鏡花の「湯島詣」も入っているので、特に好きで、倉庫からもひきとって持っている一冊でした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
樋口一葉 たけくらべ/夏目漱石/森鴎外 池澤夏樹=個人編集 日本文学全集
夏目漱石 (著), 森鴎外 (著), 川上未映子 (翻訳)
吉原の廓の隣町を舞台に、快活な十四歳の美少女・美登利と、内向的な少年・信如の淡い想いが交錯する、一葉「たけくらべ」(新訳・川上未映子)。
川上未映子さんが現代訳をした「たけくらべ」という、とても貴重な一冊です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
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大人が読む児童書「がんばれヘンリーくん」 4 やりたくない劇の主役・不可避の地獄
大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。
この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
ヘンリーくんは小学三年生。どこにでもいる、ごくふつうの男の子です。ある日、街角でやせこけた犬を拾い、こっそりバスに乗せて家までつれて帰ろうとしましたが、とちゅうで犬があばれだして大さわぎに…。それいらい、ヘンリーくんのまわりでは、次つぎにゆかいな事件がおこります。小学校中学年から。(「BOOK」データベースより)
「がんばれヘンリーくん」 2 アニメでもありそうなドタバタ大騒ぎ、カオスを文字で現す
「がんばれヘンリーくん」 3 グリーン・クリスマスのドタバタ 劇よりも劇らしい
さて、やりたくもない 主役に大抜擢されてしまった ヘンリーくん。
本当に大迷惑です。
これを再読していて思うのですが、気が付きませんでしたが、どうやらヘンリー君は 体がかなり小さめのようです。
馬鹿にされるのを嫌がる小三男子の気持ち。
よくわかります。
さっそく、「ティミーちゃん!」とか、「おい、小さなぼうや!」なんて言ってからかわれています。
最悪です。
もし毎朝一時間ずつからだをのばす運動をしたら、ひょっとしたら、からだがぐんぐん大きくなって、この役にあわなくなるかもしれません。いや、それはだめだ。時間がない。
切実な悩み。
例の五年生のお隣さん、イヤミなスクーターが、「パジャマを着たらさぞおかわいらしいことでしょうね」なんて言ってからかっています。
ヘンリーはターゲットをそらせようと、ダンス人形の役をする女子メリージェーンに自ら矛先を向けてみるのですが、うまくいきません。
なぜなら、メリージェーンはドレスを着て、バレーシューズを履くのを心方楽しみにしているからです。
ほかの子たちは、それを聞いてひょうしぬけがしました。もしメリージェーンが、ダンス人形になってよろこんでいるのなら、からかってもしょうがありません。
つまり、嫌がっているから、からかいが成立するのですね。
だからといって小三男子に「平気な顔をしろ」「無視しろ」というのは無理な話です。まだ感情の制御は出来ません。
作者は子どもたちの生態をよくおわかりです。
◇
ヘンリーくん、この地獄から抜け出す手立てを、力いっぱい考えはじめます。
アバラーを何とか連れ帰ろうとするときも、おこづかいがないのに、フットボールのボールが欲しかったときももそうでしたが、ヘンリーくん、一生懸命考えて、自分の力で事態を何とかしようと考えます。
そういう所が、いいなあ!
頑張り屋さんだなあ!と思ってとても好感がもてます。
◇
!
おやつの記述だっ!
メモメモ
「クラッカーの上に、バターとジャムときざんだピックルスをぬったもの」
です!
クラッカーにピーナッツバターをぬったものを、アバラーにあげました。
英語版kindleのレビューを見ていると、800近くある評価がほぼ★5である中で、超数少ない「読ませたくない」とししていた理由が、「いぬに生肉や塩分のあるものを与えている記述があるから」でした。
それでも★は3で、★1の人はほとんどおらず、あっても「言語が違った」とか、「届いた本の状態がよくなかった」などという理由でした。
言語が違った、はさすがに無茶苦茶です。
次の章でも出てきますけど、どうやらペットショップで、「犬用の生の馬肉」など売っていたようです。そういう時代だったんですね。
◇
話がそれましたが、ヘンリーくんがまず、劇の主役を回避するためにやったこと
その1:お母さんのふりをして先生に手紙をかき、やめさせてもらうようにお願いをする。
字だと、バレてしまうので タイプライターで書くことにしました。 今ならさしずめパソコンで印刷です。
考えたな、ヘンリー!
まだ小さいのでタイピングがうまくいきません。
トン……トン……トン、という感じで苦労して打ちます。
やっとできたのがこれです。
妹子「だからなんでスペースキー押すの~!」
自分がちょっと最近、タイピングが出来るようになってきたからって…。
めげないヘンリー、再挑戦して二枚目も出来上がりますが、まさるとも劣らない笑える出来です。
◇
回避する手段その2:ヘンリー、劇の練習で、ぐずぐずして、だらしなくして、台本はくしゃくしゃにして、読めないふりをする。
どんだけやりたくないんだ~!!
気の毒すぎて、先生にやめてあげて、と直接言ってあげたいぐらいです。
(クレーマー保護者思考)
詩も覚えて、暗唱しなければならなくなりました。
それは、ヘンリーがいままでに聞いたことのある歌のなかで、いちばんばかみたいな歌でした。サンタのおじさんばんばんざいだって!あほらしいにもほどがあります。でも、ロバートが「ワンワンワン、ぼくは茶色の大きな犬だ」という、もっとばかみたいな歌をうたわせられるとわかって、ちょっとむねがすっとしました。
お父さんもお母さんも、喜んでいる様子で、ちっともわかってくれません。
それどころか、目の前で練習すらさせられました。
◇
回避する手段その3:毎朝、ごはんをめちゃくちゃにのみこむ。
これはどうやら、喉を傷めさせようとしたらしいです。
ただ健康になるだけな気がします。
◇
雪が降ってきました!
みどりのクリスマスにはならなさそうです。
しかし、劇の準備は着々と整っています。
気の毒に、劇の主役、かわいいティミーちゃん役はどうやら不可避です。
ヘンリーくんの飼い犬アバラーは、近所のネコを追いかけたり、パトカーの中から警官のおべんとうを失敬したり、行くさきざきでめんどうなさわぎをおこして、ヘンリーくんをうんざりさせます。念願のサケつりにつれていってもらったヘンリーくんは、アバラーのおかげで…ときにはよいことも!小学校中学年から。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
近所の友だちがかっこよく新品の自転車を乗りまわすのを見て、ヘンリーくんは自転車がほしくてたまらなくなりました。なんとかしてお金をためようと、なかよしのビーザスの協力をえて、いろいろ知恵をしぼります。でも、次つぎとおかしなことにまきこまれるばかり…。さて、ヘンリーくんは、どうやって自転車を手に入れるのでしょうか。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ビーザスのなやみのたねは、妹のラモーナです。まったくラモーナときたら、どうして、こう次から次へといたずらばかり思いつくのでしょう。すっかり、ゆううつになったビーザスでしたが…。やんちゃでききわけのない妹を持った、お姉さんのなやみをユーモラスに描いたゆかいな物語。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
Henry Huggins (English Edition) Kindle版
英語版 Beverly Cleary (著), Tracy Dockray (イラスト)
This timeless classic now features a foreword written by New York Times bestselling author Judy Blume, as well as an exclusive interview with Beverly Cleary herself!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
一度読み始めたらやめられない、おかしなおかしなクマのパディントンのお話の第1冊目。ブラウン夫妻がパディントン駅で見つけた子ぐまが、夫妻にひきとられ縦横無尽に活躍します。
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大人が読む児童書「がんばれヘンリーくん」 3 グリーン・クリスマスのドタバタ 劇よりも劇らしい
大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。
この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
ヘンリーくんは小学三年生。どこにでもいる、ごくふつうの男の子です。ある日、街角でやせこけた犬を拾い、こっそりバスに乗せて家までつれて帰ろうとしましたが、とちゅうで犬があばれだして大さわぎに…。それいらい、ヘンリーくんのまわりでは、次つぎにゆかいな事件がおこります。小学校中学年から。(「BOOK」データベースより)
大人が読む児童書「がんばれヘンリーくん」 1 面白すぎるのに、説明が難しい
大人が読む児童書「がんばれヘンリーくん」 2 アニメでもありそうなドタバタ大騒ぎ、カオスを文字で現す
バスから降ろされてしまうことになったヘンリーくんとアバラー。
乗客も取りなしてくれるのですが、規則を盾にぴしゃっとはねつけられてしまいます。
そこになぜか、サイレンの音がして…。
なぜ…。
なぜ今ここで、警察が…。
事態はどんどん悪くなっているようです。
このバスには、五年生のイヤミなご近所さんが乗っています。
スクーター=マッカーシー。
しつこく絡んでくるめんどくさい男子。
バスの入り口に、警官のすがたがあらわれました。
「このバスに、ヘンリー=ハギンズという男の子は乗っとらんかね?」と、警官はききました。
「やあい、やあい。おまえ、バスに大乗せたから、たいほされるんだぞ!きっと刑務所へいれられるぞ!」と、スクーターが、小気味よさそうにいいました。
妹子「は?うるさいし(怒)お前にかんけいナイフにハサミ!」
おまえにかんけいナイフにハサミ。
これは、ヘンリーくんの決めぜりふ?です。
スクーター=マッカーシーは、ご近所だから遊ぶけど、年齢も上だし、すぐにマウント取ってくるし、実際に近所にいたら本当にイヤでストレスになるタイプです。
三年生にとって五年生というのは、すごくイヤな存在だと思います。
しかし、警察はそもそも、ヘンリーを探していたようです。
これはどういうことなのか。
「ぼくは、そうです。」 ヘンリーは、かのなくような声でいいました。
「ぼくが 、そうです。」と、リンゴをもったおばさんがなおしました。
この人は、ながいこと学校の先生をしていたので、子どもがまちがったいいかたをすると、なおさずにはいられなかったのです。
「わしといっしょにきなさい。」と、警官がいいました。
「わあーい。おまえ、ぜったいつかまるぞ。」と、スクーターがいいました。
「ぜったいに つかまるぞ。」と、リンゴのおばさんがなおしました。
このリンゴのおばさん。
何なんおまえ。
細かい所まですべて訂正してくる!
確かに、いる。そういう人いるけど!
いるけど、でもそのスキルを今こんな緊急事態に発動しなくてもいいのでは!?
◇
ヘンリーくんは、警察の車に乗りましたが、どうも警察も面白がっているようです。
そして、からかいながら、もう時間も遅いしね、この子のお母さんも心配してるだろうしね、警察に電話してくるぐらいだものね…☜あれ?これは…。
あまりにもヘンリーの帰りが遅いので、警察に頼んだのは、ヘンリーのお母さんだったのでした。
というわけで、最後の最後に、ようし、行くぞ!という勢いで、パトカーはサイレンを鳴らし、猛スピードでうちに連れて帰ってくれるのでした。
爽快で、楽しい終わり方で終了です。
◇
わたし「説明しようとすると、ここが面白かったですって、全部引用しないといけなくなるのがつらいね」
妹子「アニメ製作者も製作しようとして読みながら、読みいってしまうと思う」
妹子のヘンリーくんに対する信頼度がすごい。
私の持っている版は松岡恭子さんの訳ですが、本当に素晴らしいです。
全部この調子で紹介していくわけにもいかないので、あとはさっくりと紹介していってみたいと思います。
◇
2.百万びきのグッピー
ヘンリーくんがちいさなのグッピーをひとつがい飼います。
最初は貴重に思われたこのグッピー、ヘンリーくんの丹精込めた世話によってネズミ算式に増えていき、あれよあれよという間に、家の中がグッピーだらけになってしまいます。
もちろん、アバラーも絶妙にいい感じにやらかします。
◇
3.ヘンリーと夜のお客さま
妹子の大好きな回です。
わたしはこれを読んだとき、いかにもアメリカらしいなと思いました。
ドラマなどでよく、子どもたちがバイトをしてお金を稼いでいる姿を見ます。
教育の一環でもあるのだと思いますが、シッターをしたり、郵便配達をしたりという姿です。
ヘンリーくん、フットボールのボールが欲しいと思っているのです、おこづかいでは足りないので、どうにかできないかと考え始めます。
それが、どうしてあんな展開になるのか。
おとなりのスクーターが持っているボールを見せてもらい、ちょっと遊んでいると…。
ボールが、通りかかった車にスポッとはまりこみ、そのまま持っていかれてしまいました…。
タイミングが…。
ボールが欲しいのに、借金?賠償金?まで背負ってしまったヘンリー。
自分の力でお金という問題に向き合いつつ、サポートしてくれるお父さんとお母さんとが素敵です。
ヘンリーくんには申し訳ないのですが、ボールが連れていかれてしまった所は、滅茶苦茶笑えます。
◇
4.みどりのクリスマス
「みどりのクリスマス」というのは、雪が降らないクリスマスのことをいうらしいです。
ホワイト・クリスマスの逆なのですかね。グリーン・クリスマス?
このお話は面白いので、少し詳細に紹介してみようかと思います。
学校でクリスマスの劇(オペレッタ)をすることになっています。
この学校イベントにからんで、クリスマスのプレゼントが気になっていたり、雪が本当に降らないのか、気にしたりしているのですが、とりあえずヘンリーくんは、劇はばかばかしいと思っていて、あまり好きではない様子です。
これまでやった役にもいい思い出がない様子。
そして今回の劇。
さて、ループ先生は、こんどのクリスマス・オペレッタは、『サンタクロース訪問』というのだと話していました。それは、おとうさんとおかあさんとふたりの子どもが、クリスマスイブに、北極ヘサンタクロースをたずねていく話でした。なんてくだらない劇だろうと、ヘンリーは思いました。いちばんおしまいに、それはぜんぶ小さな男の子のゆめだったことがわかるのです。ヘンリーは、それはだれかのゆめだったということでおわる話は、だいきらいでした。
ヘンリーくんは夢オチは大嫌いのようです。
なのに!
主役の男の子に抜擢されてしまいました。
パジャマを着て、(たぶん上級生のお母さん役の女子に)おやすみなさいのキスをされるという役です。
これが、胸の大きな女子がたくさん出てくるハーレム系の少年漫画だったら(表現がひどいですが悪意はないです)、おやすみなさいの役をしながら、何かそういういい展開になるのかもしれませんが、現実はちがいます。
学校中の人から、からかわれるのは間違いないです。
ヘンリーくんの飼い犬アバラーは、近所のネコを追いかけたり、パトカーの中から警官のおべんとうを失敬したり、行くさきざきでめんどうなさわぎをおこして、ヘンリーくんをうんざりさせます。念願のサケつりにつれていってもらったヘンリーくんは、アバラーのおかげで…ときにはよいことも!小学校中学年から。
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近所の友だちがかっこよく新品の自転車を乗りまわすのを見て、ヘンリーくんは自転車がほしくてたまらなくなりました。なんとかしてお金をためようと、なかよしのビーザスの協力をえて、いろいろ知恵をしぼります。でも、次つぎとおかしなことにまきこまれるばかり…。さて、ヘンリーくんは、どうやって自転車を手に入れるのでしょうか。
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ビーザスのなやみのたねは、妹のラモーナです。まったくラモーナときたら、どうして、こう次から次へといたずらばかり思いつくのでしょう。すっかり、ゆううつになったビーザスでしたが…。やんちゃでききわけのない妹を持った、お姉さんのなやみをユーモラスに描いたゆかいな物語。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
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◇ ◇ ◇ ◇ ◇
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時の旅人 | メリサンド姫: むてきの算数! | マンガでわかる能・狂言 |
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閑話 「みつばちマーヤの冒険」のレビューで連呼していた「マミる」とは?
閑話です。
本ずきの友達「この前のみつばちマーヤの記事、面白かったよ!」
わたし「あ、ありがとう…すごく…恥ずかしい…(/ω\;)」
本ずきの友達「でも、マミるとか、マミられるって何?」
わたし「エッ……」
本ずきの友達「ときどき、わからない単語が出てくるのよね。マミるって何なのか、読んでいてわからない人も出てくると思う。子供もわからないって言ってたし、旦那は教えないっていって、教えてくれないのよね」
わたし「…………………………」
本ずきの友達「ねえ、マミるってなに?(笑顔)」
そこ、説明しないとダメかな!?
ダメ?ダメなの?
検索してもらうんじゃダメーーー!?
ほらぁ!Yahoo!検索一発で出てくるじゃーん!
という話をしたので、しぶしぶ閑話として掲載することにしました。
本ずきの友達「しぶしぶって言うな~(笑顔)」
この、「言葉の手帳」というサイトが比較的もっともわかりやすかったような気がするので、リンクを置いておきます(涙)
他サイトに頼るのは卑怯なので自分で説明すると
(しかし、ある意味ネタバレなので字は小さくしました)
「魔法少女まどか☆マギカ」という、ダークサイドプリキュア的な深夜アニメで、第三話、とても頼もしく素敵なプリキュア...魔法少女の先輩が、頭から敵にガッツリと食べられてしまうという衝撃的な展開のことを言います。(はやくち)
この魔法少女の先輩が、巴マミさんという名前だったので、頭から食べられてしまうことを「マミる」というわけです!
どうだ説明したぞー!!
「魔法少女まどか☆マギカ」は、2011年、ちょうど10年前のアニメですが、今でも根強いファンがいます。
◇
せっかくなので、言わんでもいい、もう一言を付け加えてみます。
この深夜アニメは、口コミでそのストーリーの刺激的かつ面白いという評判が広がったわけですが、やはり世間様としても
・幼児たちは夢のあるプリキュア☆
・ちょうど中二病ぐらいの年代のアニメ鑑賞層~中二病にずっとかかってる大人向け!
という位置づけをされてきたと思います。
しかし、「みつばちマーヤ」は、格式高い児童書という扱いではありますが、「マミる」をしっかり、ガッツリと表現しちゃっています。
字とアニメ絵であるという違いはありますが、表現していることは同じなわけです。
「宝島」のジム少年は、思いっきり本人がひとご〇しをしていますし(やむにやまれぬ理由です)、映倫の出番です!というようなすごい展開もよく起こります。
児童書というジャンルをナメないでいただきたいです!!(鼻息)
そして、アニメ大好きな子どもたち、自分でもあれこれ書いてみたり、ネットであさって読んでみたりする子どもたち。
創作に飢えている子供たちが、これらの本にハマる余地は絶対にあるはずなのです!
ただ、その子たちまで届いていない。
存在を知らないだけなのですッ!(力説)
というわけで、何とか子どもたちに届けられないかなあと、日々模索する毎日です。
◇
変な閑話が入ってしまいましたが、明日からまた「がんばれヘンリーくん」の続きを更新したいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ヘンリーくんは小学三年生。どこにでもいる、ごくふつうの男の子です。ある日、街角でやせこけた犬を拾い、こっそりバスに乗せて家までつれて帰ろうとしましたが、とちゅうで犬があばれだして大さわぎに…。それいらい、ヘンリーくんのまわりでは、次つぎにゆかいな事件がおこります。小学校中学年から。(「BOOK」データベースより)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
宝島 (10歳までに読みたい世界名作)
ロバート・ルイス スティーヴンソン (著), 横山 洋子 (監修), 館尾 冽 (イラスト), 吉上 恭太 (翻訳)
宝のうまった島の地図を手に入れた少年・ジムは、船乗りたちと宝探しの航海に出発します。しかし、海賊との戦いが待ち受けていて…。勇気と夢のつまった、心おどる冒険物語。さくさく読める世界名作シリーズ第14弾。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
港の宿屋「ベンボウ提督亭」を手助けしていたジム少年は、泊まり客の老水夫から宝の地図を手に入れる。大地主のトリローニ、医者のリヴジーたちとともに、宝の眠る島への航海へ出発するジム。だが、船のコックとして乗り込んだジョン・シルヴァーは、悪名高き海賊だった……。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
先生が慎重にその封をはがしてゆくと、ひとつの島の地図が現われた――。取り戻せ、冒険心。大人たちの胸を熱くさせてきた不朽の名作、待望の新訳。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
港の宿屋、ベンボー提督亭のジム少年は、海賊の泊まり客から宝の地図を手に入れる。信頼のおける仲間たちと船を仕立てて宝島へと向かう一行。その船を追う、悪名高き海賊の船長、一本足のシルバー。イギリス少年冒険文学決定版を完訳で。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
埋もれた宝、片足の海賊ジョン・シルバーの反乱、少年ジムの大活躍――冒険物語の永遠のテーマを見事に表現した、忘れようとしても忘れられない、児童文学の最高傑作です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
入り江を見下ろす宿屋「ベンボー亭」に現れた老海賊。残された一枚の地図が少年ジムを思いもよらない冒険へ誘いだす。一本足の海賊ジョン・シルバー、隠された宝……。冒険小説の名作中の名作。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
19世紀後半に活躍したイギリスの小説家ロバート・ルイス・スティーヴンソンの海洋冒険小説。1881年から1882年にかけて連載。原題は「海のコック、あるいは宝島」だったが、後に「宝島」と改題。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ジム少年は,トレローニさんや医者のリブシー先生と,海賊フリント船長がうめた宝を探しにいく.ぶきみな1本足の海賊シルバーの陰謀と,はげしい戦い.手に汗にぎる冒険小説の名作.
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ジム少年の両親が営む宿屋に、ある日、奇妙な客があらわれた。ほおに刀傷のある船乗りで、彼は船長と呼ばれるようになる。船長の突然の死――そして、のこされた荷物の中から宝島の地図が!ジムはリブシー医師や地主のトリローニさんとともに、宝さがしの航海に出発する。イギリスの作家スチーブンソンが描く冒険小説の傑作!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
宝島―Treasure island
R.L.スティーブンソン (著), Robert Louis Stevenson (著)
ジム少年はふとしたことから、海賊の宝のありかを示す1枚の地図を手に入れた。医者のリブシー先生と地主のトリローニさんとすぐさま旅にでるものの…。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
《宝島》へ向かうジムのスリリングな航海!宝島の地図を手に入れたジムたちの宝探しの旅は、海賊たちとのはげしい戦いのはてに、どのような結末を迎えるのか イギリス少年文学不朽の名作。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そして
大好きな家族がいて、親友がいて、時には笑い、時には泣く、そんなどこにでもある日常。市立見滝原中学校に通う、普通の中学二年生・鹿目まどかも、そんな日常の中で暮らす一人。ある日、彼女に不思議な出会いが訪れる。この出会いは偶然なのか、必然なのか、彼女はまだ知らない。それは、彼女の運命を変えてしまうような出会い--それは、新たなる魔法少女物語の始まり-- ©Magica Quartet/Aniplex・Madoka Partners・MBS
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はらぺこおなべ | ウエズレーの国 | 小さなローラー |
バムとケロのにちようび | すえっ子のルーファス | 小さなスプーンおばさん |
おかあさんは魔女 | チョコレート工場の秘密 | くまのコールテンくん |
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大人が読む児童書「がんばれヘンリーくん」 2 アニメでもありそうなドタバタ大騒ぎ、カオスを文字で現す
大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。
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◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
ヘンリーくんは小学三年生。どこにでもいる、ごくふつうの男の子です。ある日、街角でやせこけた犬を拾い、こっそりバスに乗せて家までつれて帰ろうとしましたが、とちゅうで犬があばれだして大さわぎに…。それいらい、ヘンリーくんのまわりでは、次つぎにゆかいな事件がおこります。小学校中学年から。(「BOOK」データベースより)
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妹子「ヘンリー君を解説するってすげー難しいやん。説明できないでしょ」
わたし「う~ん」
妹子「とりあえず読んでくれって思う。読んでるうちに、書こうとしても内容しか頭に入ってこない。あは、おもしろ!みたいな感じでテレビ見てる感覚で次々に読んでしまうから」
やってみようじゃあないか。
ヘンリーが、アイスクリームをなめなめ、マンガを見ていると、ゴシゴシゴシという音がしました。
いぬが体を掻いていたのです。どうやら野良のようです。
ヘンリーくんは、いぬにアイスクリームをやり、交流しているうちに、いぬを飼いたい、という気持ちになってきます。
人なつこいいぬです。
このヘンリーくんといぬとの様子が、とても写実的に描かれていますが、読んでいてとてもユーモラスです。
いぬが体をこすりつけて掻く、「ゴシゴシという音」とか、「ブルッブルッ、ブルッブル。しっぽが、いっそうはげしくゆれました。」だとか、この字で読んでいる様子が楽しいのです。
親しみ深げないぬの様子が、「かわいい」「おとなしい」「無邪気」などというような形容詞を使わずに表現されています。
いぬが好きな人、いぬを飼ったことのある人なら、すごくよくわかる仕草です。
この親しげな様子、人懐っこさ…。
ヘンリーくんは、このいぬを飼えないかと考え始めました。
まずは、お母さんに了解を取ります。
電話ボックスに入って電話をかけるのですが、もう公衆電話という存在を知っている子が何人いることか…。
でも、災害のときは今でも役立ちますから、公衆電話とは何かという説明をしてあげるのも良いかもしれません☆
◇
この表紙の絵からすると、ヘンリーはだいぶ大きいように見えるのですが、この電話ボックスの中で「ゆかに電話帳をおき、その上に立ってせのびをして、やっと届いた」という記述があるので、まだかなり子どもであると推察されます。
設定は、小学校三年生です。
三年生!いちばんおもしろい年代です。
ヘンリーがボックスの中でお母さんと話していると、不自然な音がしてきます。
アバラーが、からだをかきはじめました。ゴシゴシゴシ。電話ボックスの中では、音が大きくうつろに聞こえます。
「まあ、ヘンリー、いったいなあに、その音?」と、おかあさんはききました。
アバラーは、イェーン、イェーンと鼻をならしてなき、ついでワオーンと、ながく尾をひいてほえました。
「ヘンリー!」おかあさんは大声でさけびました。「おまえどうかしたんじゃないの?」
ここだけ引用ではイマイチつかめないのですが、読んでいると、いつもタイミングが絶妙です。
いま!?
というときに、アバラーが無邪気にやらかします。
◇
ヘンリーは、このいぬにアバラーという名前をつけました。
あばらが出るほど痩せているのでアバラー。
英語では、「RIBSY」です。
RIBSYを、そのままリブシーとせず、アバラーと訳した素晴らしさ!
◇
さてヘンリーくんは、おかあさんに「バスで連れて帰って来れたら飼ってあげる」と言われました。
この理由も、今日はおとうさんが車を使っているから、おかあさんが車で迎えに行けない、というちゃんとしたいかにもありそうな理由があって、納得です。
このバスに乗せるのが、また一苦労でした。
バス会社の規則で、犬は「はこ」に入れてなければ乗せられないということを聞かされます。
この「はこ」は、今でいうならすっかり「ケージ」という言い方が定着してますが、「ケージ」ではこの面白味は出なかったと思います。
というのも、ヘンリーくん、悪戦苦闘して「はこ」を探すのですが、段ボールの箱を店の人からもらったからです。
段ボールのはこ!
たしかにはこです。ケージではないです。
次のバスの運転手さんが、たぶん私たちが一般的に動物を入れる「ケージ」について説明してくれます。
「はこっていうのは、きちんとふたのしまるおおきなやつで、犬がいきができるようにあながあけてある、そういうはこのことをいうんだ。」
ヘンリーは雑誌を買うお金も持っていなかったので立ち読みしたぐらいですし、おかあさんが遅くならないようにと言ったのに、すっかり遅くなってしまいました。
次に思いついたのは、紙のショッピングバッグに入れることでした。
店員さんが、興味しんしんでヘンリーがいぬをショッピングバッグにいれ、ゆるくひもで包むのを見ています。
じょうずにラッピングされたアバラー、首尾よく、気づかれずにバスに乗れました!
まあ、ろくなことになる展開ではなさそうです。
そういう予感が楽しいです。
でもアバラーはしばらくおりこうです。
しかし…。
まわりにいた乗客が、みんな、ヘンリーとふくろをじろじろ見ていました。ガサガサガサ。ヘンリーは、紙の上から、アバラーの頭をなでてやろうとしました。ふくろは、まえよりもずっと大きな音をたてました。それから、あっちこっちとゆれはじめました。
周囲に責められあれこれ言われているうちに、ついに、アバラーは飛び出してしまいます。
アバラーは、すっかりおびえてしまい、にげようとして、頭からリンゴのふくろにつっこみました。ふくろはひっくりかえり、中のリンゴは、ごろごろごろごろ、バスのうしろのがへころがりはじめました。ちょうど、パスが、きゅうなさかを、ぎいぎいきしりながらのぼっていくところだったからです。
大騒ぎになります!
りんごが乗客の足を滑らせ
↓
JKが本を落とす
↓
おばさんが紙ぶくろを落として、おなべやフライパンがころがり出る。
↓
水まきようのホースを落とす。
↓
ホースはくねくねと伸びはじめ、乗客の足にからまる。
最後のが特にまずいです。
この大騒ぎ、とても面白い描写でいかにもアニメにありそうです。
トムとジェリーっぽい感じもします。
たぶんアニメにしたら短い尺です。
それか、テンポよくおもしろくスローモーションにするかです。
でもこれは
「おなべやフライパンがころがり出る」
「ホースがくねくねとのびはじめ」
「ひっくり返って、両足をちゅうにあげたままの人もいる」
一連の動作を、ことばで読んでいるからおもしろいのです。
乗客はみんな、大笑いの渦に巻き込まれるのですが、ヘンリーくん、バスの運転手さんに大目玉をくらってしまいました。
そして、バスをおろされてしまいます。
雨が降っていて、かなり暗くなっていました。
ヘンリーくんの飼い犬アバラーは、近所のネコを追いかけたり、パトカーの中から警官のおべんとうを失敬したり、行くさきざきでめんどうなさわぎをおこして、ヘンリーくんをうんざりさせます。念願のサケつりにつれていってもらったヘンリーくんは、アバラーのおかげで…ときにはよいことも!小学校中学年から。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
Henry Huggins (English Edition) Kindle版
英語版 Beverly Cleary (著), Tracy Dockray (イラスト)
This timeless classic now features a foreword written by New York Times bestselling author Judy Blume, as well as an exclusive interview with Beverly Cleary herself!
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大人が読む児童書「がんばれヘンリーくん」 1 面白すぎるのに、説明が難しい
大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。
この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
ヘンリーくんは小学三年生。どこにでもいる、ごくふつうの男の子です。ある日、街角でやせこけた犬を拾い、こっそりバスに乗せて家までつれて帰ろうとしましたが、とちゅうで犬があばれだして大さわぎに…。それいらい、ヘンリーくんのまわりでは、次つぎにゆかいな事件がおこります。小学校中学年から。(「BOOK」データベースより)
妹子が読書感想文に悩んでいます。
(正確には、いました。夏休みは終わってしまったので…)
妹子、LINEで会話しています。
久々登場の、とても本が好きな妹子のお友達です。
年齢層も上がり、コロナの中で遊びに来ることも少なくなってしまいましたが……。
妹子「LINEで聞いてみたら、推薦図書に読みたいのがないから、ヘンリーくんにするって言ってた」
わたし「へぇ~」
ヘンリーくん、感想を書くには難しくないかな…。
と、ちらっと思いました。
妹子「ヘンリーくんは難しい。わたしむり。書けない」
わたし「!」
妹子「読んでると、もう感想とかない。ただひたすら面白いだけで、ただ次々に先を読んでいくだけだからむり」
読んでいると、笑ったり、騒いだり…。
本当に面白い本です。
よし、頑張ってヘンリーくんを紹介してみよう!
いつか絶対にしようとは思っていたので、今がそのときです。
今しかない。
◇
さてこの本なのですが、以前も書いたと思いますが、見た目が何とも…手に取りにくいというか、アメコミ調のこの絵を、今のお子さんで手を取ってくれる人はなかなかいないかもしれません。
しかし、この絵でなければだめなんです!
読み始めてもらえばわかるはずです!
まずは、
・本を手にとってもらうこと。
・ページを開いて、最初の一行を読んでもらうこと。
ハードカバーの「字の多い」本は、それこそが、ハードルです。
これだけは、おとなが誘導しないとなかなか読んではもらえません。
やる気と集中力の話のニュースでも、見たことがあります。
やる気など、出そうとしても出るものではない!
まず、机につき、ペンとノートを出して、最初の一文字を書くこと。それが大事。
やる気とはやっている間にあとから出てくるもので最初からあるものではないっ。
というやつです。
◇
目次はこんな感じです。
1 ヘンリーとアバラー
2 百万びきのグッピー
3 ヘンリーと夜のお客さま
4 みどりのクリスマス
5 うすもも色の犬
6 ひろったものはその人のもの
一話完結の、いわば「日常系」です。
ヘンリーくんという少年と、アバラーという犬のお話です。
何気ない日常のはずなのに、どうしてこんなに面白いのか。
◇
めくったら、著者の紹介がありました。
読んでみたら興味深かったので、ここはおとなとしては外せません。
著者のクリアリーさんは、図書館員だったようです。
ながいあいだ子どもの本を扱ううち、クリアリーは、子どもの本について一つの不満を持つようになった。それは、子どもの本といえば、ふだんの子どもたちの生活からは程遠い世界を描いたものが多く、ふつうの子どもたちのことを描いた愉快な物語が少ないということだった。そこで、現実の子どもの生活をありのままに描いた物語の必要を痛感し、児童図書館員として子どもに接した豊富な経験を生かして、子どもの本の創作の道にはいった。
第一作が、一九五〇年発表の「がんばれヘンリーくん」で、たちまち子どもたちのあいだでひっぱりだこで読まれ、つづいて、「ヘンリーくんとアバラー」「ヘンリーくんと秘密クラブ」など、一連のヘンリーものを書き続けた。
◇
翻訳は松岡 享子さん。
大好きな松岡 享子さん!
「とこちゃんはどこ」は大好きでした。
有名どころでは、「なぞなぞのすきな女の子」を書かれているかたです。
「くまのパディントン」も訳されていますが、こちらも最高に面白いです。
くまのパディントンについて、おもしろさをちょこっとだけ紹介した記事です。
面白い本を面白く描く。
それもいたずらです。
子どもあるあるの困ったいたずらを、これほど無邪気に愛をこめて面白く描くことにかけては、随一といってもいいでしょう。
(言い切った!)
冒頭はこんな感じで始まります。
ヘンリーくんことヘンリー=ハギンズは、三年生です。かみの
毛 は、たわしみたいにつったっていて、前歯は、ほとんどはえかわっていました。
声に出して読んできかせるとき、「かみの毛」「たわし」「突っ立って」という言葉を強調して読むと笑ってくれます。
なにか面白いことが起きないかなあ、と思っているヘンリーくん。
「毎週水曜日の放課後、バスに乗って、町のYMCAへ、およぎにいくことにしていました。
スイミングスクールのようなもののようです。
YMCA…。
懐かしいです。
検索してみたら、EXILEのカバーが出てきました。
Village Peopleのオリジナルはこちらです。
この水曜日、ヘンリーくんは
「YMCAを出て、道でポスターをはがす人をながめ、ポケットに小銭があるか確かめて、ドラッグストアにチョコレートアイスクリームを食べに行った」のです。
ヘンリーくんは、アイスを買うと雑誌を少し立ち読みしました。(今の時代はだめです)これもすごくよくわかる話なのですが、
バス代をのけると、五セント玉がふたつしかのこらないので、買うわけにはいかなかったのです。
アイスクリームを食べてからバスに乗り、うちに帰る。
まさに日常です。
日本の子どもとも、何ら変わりありません。
お母さんに送ってもらうか、歩いて帰るか、自転車を使うかの違いです。
ところが、そうはいかなかったのです。
つづきます。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ヘンリーくんの飼い犬アバラーは、近所のネコを追いかけたり、パトカーの中から警官のおべんとうを失敬したり、行くさきざきでめんどうなさわぎをおこして、ヘンリーくんをうんざりさせます。念願のサケつりにつれていってもらったヘンリーくんは、アバラーのおかげで…ときにはよいことも!小学校中学年から。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
なぞなぞあそびの大好きな女の子とはらぺこのオオカミが、森でばったり出会いました。うまそうな女の子だぞと舌なめずりしたとたん、女の子になぞなぞを出されて、オオカミは大弱り。さあ、どんななぞなぞかな?なぞなぞがいっぱい出てくる楽しい幼年童話。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
一度読み始めたらやめられない、おかしなおかしなクマのパディントンのお話の第1冊目。ブラウン夫妻がパディントン駅で見つけた子ぐまが、夫妻にひきとられ縦横無尽に活躍します。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492
◆プロジェクト・グーテンベルクについて
☞Wikiの説明ページ
プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリカ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館。
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今日の一冊「いわさきちひろ名作絵本 はくちょうのみずうみ」
今日、ご紹介するのは絵本です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
2018年に生誕100年を迎えた、いわさきちひろ。生涯、「子ども」をテーマに描き続け、様々な絵本や挿絵、画集が残されています。そのなかでも時代を超えて愛され続けてきた名作絵本シリーズのなかから、『おやゆびひめ』『あおいとり』『しらゆきひめ』『はくちょうのみずうみ』の4話を装い新たに刊行。ちひろが描く世界の名作を、手軽に楽しめるシリーズです。一部漢字使用、総ルビ。
ちなみに文章は立原えりかさんです。
とても詩的で美しい描写です。
単純な文章というのはとても難しいので、これが詩的で美しいというのは貴重です。
いわさきちひろさんの絵にぴったりマッチしています。
作者の名前があるべき所が、「チャイコフスキー音楽より」ということになっているのが面白いです。
◇
和風の柄をよく書かれているイメージがあるいわさきちひろさんですが、洋風の絵を書くとこれがまたとても素晴らしいので大好きです。
結構レアです。
この本での白鳥の名前は、オデットではなく「オデッタ」
「オデッタは どこ?」
ジークフリートは、ゆうべの おうじょをさがします。が、
つきの ひかりよりも うつくしい
あの おうじょは、まだ きて いません。
オディールの顔が、ものすごい悪女になっています。
まさに魔女。でも、すごく美しいです。
ていうか冷静になって考えたら、これをオデッタと間違えるなんてありえなくないですか。
まるで別人です。
妹子「それはいわさきちひろに言ってください」
◇
王子の名前はジークフリート。
さまざまなバージョンがあるようですが、この絵本では、悪魔は割とあっさり殺されますが、殺しても魔法は解けないっていうことになってます。
妹子「えっマジか。じゃあどうすりゃいいんだよ。そんなんむりじゃん」
「誓いを破った」という罪は、悪心が消え、改心しても残るということなんでしょうか。
罪は消えないというのは、なかなかにハードな展開です。
オデッタは湖に身を投げ、ジークフリートは後を追いました。
最終的にはふわっとした結末になっています。
ふたりの愛が悪い魔法を打ち破ったのでした。
これを、
「天国で結ばれた」
とみるべきなのか、
「物理的に助かり、呪いも解けた」
とみるべきなのか、読んだ人にゆだねる形です。
バレエの物語は、古今東西の名作がたくさん入っていて、その物語を追うことで、多くの古典への手がかりになります。
積極的におススメ☆していきたいです。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
三大バレエ『白鳥のみずうみ』『眠れる森の美女』『くるみ割り人形』から、謎めいたお話『コッペリア』、コミカルなお話『ドン・キ・ホーテ』、ファンタジックなお話『ラ・シルフィード』、古典バレエの『リーズのけっこん』まで、7つの有名なバレエ作品の物語がつまっています。うっとりするようなバレエの世界へ連れていってくれます。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
舞台の上のロマンチックなおどりの世界が、物語になりました。お姫さまや王子さま、美しい乙女や奇妙な生きものたちが、恋をしたり、変身したり、幽霊になったり、ふしぎな魔法のお話をくりひろげます。「ジゼル」「コッペリア」「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」「火の鳥」の6話を収録。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
12のバレエストーリー
スザンナ デイヴィッドソン ケイティ デインズ ミーガン カリス サラ コートールド イボンヌ・ギルバート ナノス (イラスト), 西本 かおる (翻訳)
名作ばかりを集めた読むバレエ物語12選。ホロ箔があしらわれたキラキラのカバーと、ステンドグラスのような美しい挿絵が、ときめくバレエの世界へいざないます。物語は、まるでバレエの舞台を見ているかのような心地になる描写でつづられ、各ストーリーの簡単なバレエ解説もついています。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
はなやかで美しいバレエの世界をこの1冊に――。人気バレエ作品「ドン・キホーテ」「ジゼル」「コッペリア」を物語化しました。★「ドン・キホーテ」…結婚を反対され、父のもとを逃げ出したキトリとバジル。ドキドキの恋の行方は!? ★「ジゼル」…恋人のロイスと結婚の約束をして幸せいっぱいのジゼル。しかし、ロイスの正体は実は…。 ★「コッペリア」…お茶目な少女と恋人のフランツがくり広げる、ちょっとこわくて不思議な世界。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
優れた観察眼と実行力を備えた少女・奏。絢爛たるバレエの世界に魅了された少女は、踊ることの楽しさに目覚め、やがては世界のグランドセーヌ<大舞台>へと駆けあがっていく。 実力派の大人気作家が描く本格クラシックバレエロマン!!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
クリスマス・イヴのパーティで、名づけ親のドロッセルマイヤーさんから、くるみ割り人形を送られた少女クララは、その夜、不思議な体験をする…「くるみ割り人形」。悪魔に呪いをかけられ、白鳥の姿に変えられてしまったオデット姫。夜の湖で出会ったジークフリート王子と恋に落ちるが…「白鳥の湖」。世界中で上演されている、チャイコフスキーの人気バレエ2作品が、ロマンチックなファンタジー小説に!【もくじ】はじめに/くるみ割り人形/白鳥の湖/解説 少女の夢のつまった世界(深沢美潮)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ラ・マンチャの郷士ケハーナは騎士道物語を読みふけった末に、自分が遍歴の騎士ドン・キホーテだと思い込むようになった。そしてドゥルシネア姫という空想上の姫の面影を胸にいだき、サンチョ・パンサという農民を従士として、悪を懲らしめ困っている者を助ける旅に出た。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
アンデルセン童話の「赤い靴」を基にバレエダンサーの悲劇を描いたバレエ映画の傑作といわれる作品。敏腕プロデューサー、ボリス・レルモントフ(アントン・ウォルブルック)率いるバレエ団に新作『赤い靴』の主役としてヴィクトリア(モイラ・シアラー)が大抜擢される。
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