~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

大人が読む児童書「みつばちマーヤの冒険」 8 読了&妹子のお絵描き

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

みつばちマーヤの冒険
ワルデマル・ボンゼルス (著), ホーマー・ボス (イラスト), 毛利孝夫 (翻訳)

ワルデマル・ボンゼルス原作の「みつばちマーヤの冒険」の完訳&新訳です。生まれたばかりのミツバチのマーヤは、最初に巣を飛び立つと、そのままこの美しい世界の冒険に出ます。そしていろいろな虫たちに出会い、さまざまな経験を重ねてゆきます。

 

「昆虫すごいぜ」から、「みつばちマーヤ」

1 エーミールを訳された高橋健二さん

2 マミられてしまったきんばえ。世界の美しさと残酷さ。

3 とんぼのシュヌックの魅力

4 人の恋路に口出すな ~こおろぎと甲虫の痴情のもつれ~

5 死のねむりからさめる所が、いつも花のなかだとはかぎらない。

6 魔法のように美しい文章&感情移入しすぎる

7 敵同士の恋。やっと戻ってきた「昆虫すごいぜ」

 

 

 

やっと、読み終わった…。

 

妹子もわたしもぐったりです。
しかし、楽しい疲労感ではありました。
ラソンを走り切ったような、そして山あり谷ありハプニングありで楽しかったような、そんな感覚です。

 

読書はッ!それはスポーツ!

 

家で読書会、それも気の置けない、何でも言い合える相手と読書会しているような感じです。
それを、ブログでご披露して、聞いてもらえているという…本当に楽しいです。

 

 

本当は、こんなにも壮大なネタバレをしないまま、そのままに子どもたちにも、大人のみなさんたちにも、
ネタバレなしで読んでみてくださぁ~い!
とおすすめしたいところです。

 

何も知らないままで読んで、純粋に感動したひと、また子供は本当に幸せだと思います。

 

でも、もう、今これほど児童書というジャンルが消え去りつつある今となっては、知られなければ、読まれることもない!

 

こんなすばらしいものがあったことも、何がすばらしくて、どうすごいのか、そこを伝えなければ、知られることもない!

 

というわけで、壮大にネタバレをぶちかましつつも、思いっきりよいところを紹介してみることにしました。

 

私も、昔はネタバレしたらつまらない、ぜったいに避けるべき、と思っていました。

 

このすばらしさは、はじめて読んでみてこそ、と思ってはいたのですが、もうそれだと、この現在進行形で消え去る時代のスピードには間に合わない!!

 

というわけで、もし、かつて児童書を好きだったとか、面白かったと思う人、興味があると思ったかたは、積極的にご自分でも紹介、おすすめしてもらうようにお願いしたいと思います。

 

お行儀よく、しとやかで謙虚でいては、消え去ってしまいます。

 

切実なお願いです。

 

 

さて、ラストの壮大なみつばちVSすずめばち大戦争をサックリとはぶいてしまいましたが(さすがにそこまでは…)それはそれはすごい、大河ドラマ真っ青の戦闘シーン続出ですので、どんな方にも楽しんでいただけると思います。

 

このお話のすばらしい所は(どんな名作にも言えることなのですが)、キャラクターがけっして単一ではなく、矛盾もはらむ複雑な存在であることです。

 

容赦なくはえの頭をマミる(もうその言い方はやめろ)シュヌックと、隙あらばマーヤも食ってしまおうかと思っている獰猛さを垣間見せるシュヌック。
自信いっぱいで、うぬぼれやで、愛する弟のことを思って涙する。
美しい容姿で自由に優雅に飛び回り歌うシュヌック。

 

すべてが何の矛盾もなく、このとんぼ(かなり美人)の中に存在しています。

 

妹子「ああぁ、これは擬人化した~い!絵に描きた~~い!」
わたし「してよ」

 

あたまのなかで妹子なりの擬人化アニメのみつばちマーヤ、見て見たい。

 

ほんとに持ってきた!

 

妹子「これがね、マーヤ」
わたし「ふーん、上品な感じ」

 

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だがハチではないな。
いかんいかん。いきなりダメ出しはやめておこう。

 

妹子「これがね、シュヌック!」
わたし「悪い顔してる」

 

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個人的にはもうちょっと、色っぽいおねえさんを想像してたんだけど、これはこれでアリなのかもしれない。
カラコンオッドアイにして入れてるJKって言ってたし)

 

こころなしか、絵にマーヤよりもずっと力が入っているような…。
気のせいだろうか。

 

こういうマーヤで、今風のキャラで新アニメにされて、甲虫とこおろぎの痴情のもつれや、シュヌックとすずめばちとの悲恋などもちゃんと入れてくれたら、すっごい、すっごい、面白いだろうなあ!

 

ん…?

あとで描き足されていた、このごちゃっとしたのは何だ?

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わたし「これは何をしてるの?」
妹子「ハエを食べた所をインスタに投稿してるシュヌック」

 

な…な…斜め上の発想ッ!

 

インスタを使いこなすシュヌック!

 

もしかして、Twitterとか使っちゃってる甲虫のクルトくん!
「未亡人にフラれた死のう」とか書いちゃってたりして!
フェイスブックフェイクニュースを流して、状勢攪乱を狙うすずめばちとか!

 

そんな擬人化アニメ「みつばちマーヤ」

 

でもハエを頭からぼりぼり食べてしまうあたりで、映倫が入ってしまいそうです。
しかも、このメモ帳のかわいいハリネズミのイラストがまた、サイコパスっぽさを加速させている。

 

ハエも別枠で描いていました。
食べられるキャラをあえてキャラクターデザインするという、本人のサイコパスさ。

 

食べられるほうのハンス・クリストフ

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自分で自分の頭をちぎりとろうとした方のハエ、プック。

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おこがましいですが、数々の日本が誇る過去の名作のアニメもこういう気持ち(擬人化した~い!)から生まれたのではないだろうか?と思いました。

 

 

 

妹子、いつもより数割増しでうるさく、読んでるよりしゃべってる方が長いし、途中で怖いとか言い出して、かつてなく苦労したけど、とても面白かったし、すごくハマってくれたのでよかったです。

 

一つだけ弊害があるとすれば…。

 

妹子「あのね、4コマも描いた」
わたし「いや、だってこれ、羽ないし!とんぼですらないし!ただのJKだし!ただの女の子が巨大なハエ食べてたらホラーだし!何かもうすでに違う何か!」
妹子「あはは」
わたし「もしかして、シュヌック動かしやすいとか思ってんじゃないだろうな」
妹子「思ってる」

 

この年からして、よりによって児童文学で二次創作てきな何かを描こうとするその二次元オタク思考がほんとうにこわい。。。

 

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さいごは、大戦争も感動の大円団もすっとばしてしまいましたが、これにて「みつばちマーヤ」は終了です。
ありがとうございました。

 

ぜひ、ぜひ、図書館などで手にとってみて下さい。
そして買って損はない本なので、書店さんで注文してあげてくださーい!

 

 

 

原文がグーテンベルクで公開されていますので、載せておきます。
英語版、ドイツ語版で挑戦してみたいというかたはぜひ、読んでみてください。

 

ドイツ語版 「みつばちマーヤ」原文(挿絵なし)
 

英語版「みつばちマーヤ」
こちらは、割とリアルな挿絵つきです。

https://www.gutenberg.org/cache/epub/22354/pg22354.cover.medium.jpg     https://www.gutenberg.org/files/22354/22354-h/images/frontis.jpg

 

 

ワルデマル・ボンゼルスの著作で、フリーで読めるもの

 

 

「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492

 

プロジェクト・グーテンベルクについて
Wikiの説明ページ

プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館

 

 

 

次は、捧腹絶倒、前からちらほらご紹介している、「ヘンリーくん」にしようかと思っています。

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

がんばれヘンリーくん
ベバリイ クリアリー (著), ルイス ダーリング (イラスト),  松岡 享子 (翻訳)

ヘンリーくんは小学三年生。どこにでもいる、ごくふつうの男の子です。ある日、街角でやせこけた犬を拾い、こっそりバスに乗せて家までつれて帰ろうとしましたが、とちゅうで犬があばれだして大さわぎに…。それいらい、ヘンリーくんのまわりでは、次つぎにゆかいな事件がおこります。小学校中学年から。(「BOOK」データベースより)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ヘンリーくんとアバラー
ベバリイ クリアリー (著), ルイス ダーリング (イラスト), 松岡 享子 (翻訳)

ヘンリーくんの飼い犬アバラーは、近所のネコを追いかけたり、パトカーの中から警官のおべんとうを失敬したり、行くさきざきでめんどうなさわぎをおこして、ヘンリーくんをうんざりさせます。念願のサケつりにつれていってもらったヘンリーくんは、アバラーのおかげで…ときにはよいことも!小学校中学年から。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ジュニア版ファーブル昆虫記 全8巻セット
ジャン・アンリ・ファーブル (著), 奥本 大三郎 (著), 見山 博 (著)

大自然の調和と不思議を描いた永遠の名作を生き生きとした文章と豊富な図版で子どもから大人まで楽しめるシリーズです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

完訳 ファーブル昆虫記
ジャン=アンリ・ファーブル (著), 奥本 大三郎 (翻訳)

読み継がれる昆虫の叙事詩、待望の完訳版!虫の詩人・ファーブルが著した昆虫自然科学の古典がファーブルの第一人者・奥本大三郎の解りやすい翻訳でよみがえる。詳細な脚注、訳注、細密な昆虫イラスト、美しい写真口絵が充実。

 

 

 

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

ライオンと魔女と洋服だんす はじめてのおつかい クマのプーさん
エルマーのぼうけん 学校では教えてくれない大切なこと 3 お金のこと 白いねこ
魔女モティ 落窪物語 マリールイズいえでする

 

 

今日の一冊「ミリーのすてきなぼうし」

今日、ご紹介するのは絵本です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

ミリーのすてきなぼうし
きたむら さとし (著)

おきにいりのぼうしがほしいミリーですが、おかねをもっていません。でも、ミリーはとびきりすてきなぼうしをてにいれました。ミリーだけのとくべつなぼうし!そのぼうしとは…。

 

ミリーは帽子屋さんに来ましたが、お金がありません。
欲しいと思った帽子のお値段。

 

「きゅうまんきゅうせんきゅうひゃくきゅうじゅうきゅうえん」。

 

買えないので、帽子屋の店員さんはちょっと考えて、「透明な帽子」を売ってくれました。

 

わたし「この帽子屋の店員さん、ちょっと顔が意地悪そうだから、あまりいいことしてる感じじゃないんだけど、あなたはどう思った」
妹子「よく噛まないなって」
わたし「何を」
妹子「きゅうまんきゅうせんきゅうひゃくきゅうじゅうきゅう」

 

 

しかしミリーは、ニッコニコのご機嫌で外に出ます。

この透明な帽子、ミリーがなにかものを見て、なにか考えるたびに、変化します。

 

孔雀のぼうし、ケーキのぼうし、お花屋さんを見たらお花の帽子、ケーキ屋さんの前を通ったらケーキの帽子!

 

それも、うずたかく積みあがったケーキです。
(おいしそうです)

 

公園では噴水の帽子。

 

そのうちに、道行く人もみんな、奇妙な帽子かぶっていることに気づきます。

 

これは想像力の帽子です。

 

妹子「透明な帽子を被りたいと思ったら透明になる。高級な帽子を被りたいと思ったら高級になる、ものじゃないものすら、帽子にできるのがいいかなと思いました(棒)」

 

無限にどこまでも変化するぼうし。

 

妹子「帽子に雲が浮かんで雨降らしてくれるかもしれないよ。植物が育つかも。想像すればそうなるから自由だよね」

 

2010年の1・2年生の課題図書だったようです。
シールがまだ貼られていました。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

とてもすてきなわたしの学校
ドクター・スース (著), J・プレラツキー (著),
レイン・スミス (著), 神宮 輝夫 (著), Dr. Seuss (著)

学校のなまえはなんでもスクール。どこにでもある学校にみえる。ところが、それがちがっている。わたしたちはみんなこの学校がだいすき―。ゆかいな学校の先生たちのおはなしを韻文風に、ノンセンスに、そして楽しく語ります。

 

 

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子どもの本だな【広告】

野の白鳥 赤い蝋燭と人魚 おんがくかいのよる―5ひきのすてきなねずみ
わたしのワンピース サム・ピッグだいかつやく おしいれのぼうけん
名探偵カッレ 城跡の謎 兎の眼 ちいさなきいろいかさ

 

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大人が読む児童書「みつばちマーヤの冒険」 7 敵同士の恋。やっと戻ってきた「昆虫すごいぜ」

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

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>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

みつばちマーヤの冒険
ワルデマル・ボンゼルス (著), ホーマー・ボス (イラスト), 毛利孝夫 (翻訳)

ワルデマル・ボンゼルス原作の「みつばちマーヤの冒険」の完訳&新訳です。生まれたばかりのミツバチのマーヤは、最初に巣を飛び立つと、そのままこの美しい世界の冒険に出ます。そしていろいろな虫たちに出会い、さまざまな経験を重ねてゆきます。

 

 

「昆虫すごいぜ」から、「みつばちマーヤ」

1 エーミールを訳された高橋健二さん

2 マミられてしまったきんばえ。世界の美しさと残酷さ。

3 とんぼのシュヌックの魅力

4 人の恋路に口出すな ~こおろぎと甲虫の痴情のもつれ~

5 死のねむりからさめる所が、いつも花のなかだとはかぎらない。

6 魔法のように美しい文章&感情移入しすぎる

 

 

 

気を取り直して、みつばちマーヤ最大の盛り上がり、すずめばちターンを音読をはじめました。

 

そもそもが「昆虫すごいぜ」がきっかけで読み返そうと思ったのではなかっただろうか。
そして、その「昆虫すごいぜ」で、すずめばちとオニヤンマが、宿命のライバルという所がきっかけだったはず。

 

そのすずめばちとオニヤンマターンを、まさか音読させられる羽目になるとは。

 

さて、マーヤは、すずめばちにつかまってしまいました。
そして、盗賊の城に連れていかれてしまいます。

 

わたし「妹子さん、怖いなら無理しなくてよいのでは」
妹子「(伏せのポーズで)いいから早く読んで!!!」

 

鬼滅の刃は怖くないのに、みつばちマーヤは怖い。
でも続きは読みたい。

 

確かに、この緻密で美しい表現力が、かえって怖さを増大させている感はあります。

 

 

すずめばちの牢屋には、そこらじゅうに死体が散らばっています。
これまでの話の中で、親しく交流してきたたくさんの虫たちのかけらです。
みつばちの羽や殻も転がっています。

 

生態系のトップに君臨している感がすごいです。

 

マーヤがつかまって牢屋に入れられたのは
「女王ばちが、生きたみつばちを好んでお食べになるから」
でした。

 

牢屋のすきまから、マーヤは、すずめばちの宮殿の玉座の間をのぞきこみます。

 

驚きふるえながら、彼女は、金色さんぜんたるよろいを見ました。それは全身、下までみごとな黒いしまでかざられていたので、それを見るものは、はじめてとらを見た子どもが受けるような印象を受けました。

 

そこでマーヤが聞いたのは、翌日の明け方にすずめばちたちが、みつばちの巣を急襲し、巣ばこを略奪しようというたくらみでした。

 

妹子「おわった」
わたし「いやいやいや。お話なんだからって。大丈夫だって」
妹子「だって、そんな恐ろしいところから出られるわけないしー!!」
兄助「黙って聞けよ!」

 

おまえ(妹子の兄)、聞いているのかね…。

 

もう大きくなって、母と妹の読む読まないのたわむれなど知らないよ、という顔をしているのですが、こいつが割と話を知らないふりをして聞いていることを私は知っています。

妹子にはわからないような話もして聞かせるのは、半ば兄助に話しているようなところもあります。

 

 

第十四章 脱出

 

もはや、目次がネタバレです。

 

マーヤは、壁をかじってこっそりと外へ出ようとします。
しかし、あと一歩というところで、門のところに番兵がいるのに気づきました。

 

しかし、この番兵の様子は、どこかマーヤの心を打つものがありました。
どこか悲し気で、物思いにしずむ番兵の姿…。

 

番兵はすっかり考えこんで、月に照らされた夜景を見渡しているようすでした。あごを手でささえて、頭をすこしかしげていました。金のよろいが月の光でどんなにかがやいていたことでしょう!その姿勢には、何か小さいマーヤの心を動かすものがありました。ひどく悲しそうにしている。なんと美しいことだろう。あの姿勢はなんとけだかく、あのよろいはなんとりっぱにきらめいていることだろう。

 

小さいマーヤは、自分の目の前にいるのが敵だということを、すっかり忘れてしまいました。ああ、マーヤは、やさしい心ねと、美しいものを喜ぶたちのために、すべての危険を忘れるようになったことが、どんなにたびたびあったことでしょう。

 

番兵に見つかってしまったマーヤですが、不思議なことに番兵は、静かな調子でマーヤとおしゃべりを始めるのでした。

 

ここで、
「善と悪、敵と味方を分けるものとは何か?」
などと深く考えさせられる会話が続くのですが、このすずめばちはどこか上の空で、何かが心にかかっている様子です。

 

「あなたは悲しんでいるような気が、わたしはしましたの。悲しんでいるものは、いじわるにはなりえない、とわたしはいつも思っていました。」
(略)
「うらぎりがどんなにひとを悲しませるかを、ぼくは経験して、あまりにもつらい思いをしたよ。シュヌックがぼくを捨てた時にね……。」

 

妹子「マ?」

 

「ぼくは、自分の命よりいじょうにシュヌックを愛しているんだ。どこにいったら、また彼女に会えるか、言っておくれ!」

 

妹子「マ?」
わたし「その今風の言い方するのやめて」
妹子「え?マ?うそ。まじで?えっ?くまばち(すずめばち)と、シュヌックが…?え?」

 

「恐怖!戦慄のすずめばち城」から飛び出した突然のラブロマンスに、頭がついていけない妹子、混乱中。

 

シュヌックの居場所を教えることを条件に、マーヤは自由になりました。
そして、仲間のみつばちたちに危険を知らせるために、マーヤは飛ぶのでした…。

 

ここでやっと、「昆虫すごいぜ」を見たときに、「うわあああ」となった所にもどってきました。

 

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ここから、検証に入りました。

 

妹子は、「伏せ」の状態からもとに戻りました。

 

兄助「だから怖くないっつってんのに、騒ぐから、こいつ…!」

 

妹子「でもさあ、シュヌックはオニヤンマじゃないと思うよ?オニヤンマってすごいんだよ?はっきりいってもうとんぼじゃないから。見た目からしてもうグロいから。すごいシマシマで、それこそすずめばちみたいな色してるんだよ?たぶん、シュヌックはギンヤンマだと思う。ギンヤンマ、すごくきれいだもん!」

 

突然、ものすごくしゃべりはじめた。

 

わたし「いやあ、お母さんもオニヤンマではないかなと思った。でも、オニヤンマって日本のトンボみたいだから、きっとドイツのとんぼはオニヤンマじゃないんだろうね…」

 

「昆虫すごいぜ」のオニヤンマ回を見るまで、とんぼがすずめばちを食べることがあるなんて思いもしていなませんでした。

 

とんぼって、すごいんだ…!

彼らの恋には、リアリティがあったんだ!

 

でも、そういえば、シュヌックはマーヤが戦う姿勢を見せたときも、たいして怖がりもしなかったな。

 

全編を通して、牧歌的な(痴情のもつれはともかく)雰囲気が漂っているなかで、血の気が引くような残酷さをさいしょに見せたのはシュヌックだったな、とか。

 

自由で美しいけど、力のあるシュヌックなら、すずめばちとも対等かもしれないな、とか…。

 

これは、敵同士の恋っ!
物語的に、最高に、萌えるところ!

 

 

しかし、おとなになったからあれこれ考えてしまいます。

 

シュヌックは、どうして彼を捨てたのかな?
何となく、シュヌックはこの若いすずめばちの番兵ほど、彼を愛してはいないような気がします。

(番兵はもう、シュヌックのためなら何を捨ててもいいというほどの情熱です)

 

シュヌックは、死んだ弟の方をずっと愛しているような気がする。

 

しかも、たぶんシュヌックは縛られるのが嫌いなので(たぶん)、すずめばちの彼の愛が重くなったのかもしれません。

 

結局、彼はシュヌックには会えたのだろうか。

会いに行って、いったいどうなるんだろうか。
これからおきる、みつばちVSすずめばち大戦争に、彼は参加したのだろうか…。

 

でも、わたしはこの若いすずめばちの兵士が好きになったので、シュヌックも何となくほだされて、久しぶり、なつかしいわ!なんて言って、恋もうまくいくといいな…なんて、想像しています。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

NHK「香川照之の昆虫すごいぜ!」図鑑 vol.1
カマキリ先生 (著), NHK「昆虫すごいぜ!」制作班 (著)

NHK香川照之の昆虫すごいぜ!」、待望の出版化。俳優、香川照之さんが扮する「カマキリ先生」が、黄緑の衣装に身をつつみ、昆虫の魅力を伝える。取り上げる昆虫は、カマキリ先生が「子どもたちに見てほしい、知ってほしい」という昆虫たち。番組のなかでは伝えきれなかった昆虫の生態を迫力満点のビジュアルとともに紹介する。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ジュニア版ファーブル昆虫記 全8巻セット
ジャン・アンリ・ファーブル (著), 奥本 大三郎 (著), 見山 博 (著)

大自然の調和と不思議を描いた永遠の名作を生き生きとした文章と豊富な図版で子どもから大人まで楽しめるシリーズです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

完訳 ファーブル昆虫記
ジャン=アンリ・ファーブル (著), 奥本 大三郎 (翻訳)

読み継がれる昆虫の叙事詩、待望の完訳版!虫の詩人・ファーブルが著した昆虫自然科学の古典がファーブルの第一人者・奥本大三郎の解りやすい翻訳でよみがえる。詳細な脚注、訳注、細密な昆虫イラスト、美しい写真口絵が充実。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

【e-hon】 ─ ネットで予約、本屋さんで受け取れる e-hon サービスで本屋さんを応援しよう📚️

 

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子どもの本だな【広告】

くまのがっこうシリーズ(既12巻) もう ぬげない バクのあかちゃん
宝島 クローディアの秘密 タランと角の王
ベイジル―ねずみの国のシャーロック・ホームズ わかったさんのおかしシリーズ 全10巻 雪のおしろへいったウッレ

 

 

大人が読む児童書「みつばちマーヤの冒険」 6 魔法のように美しい文章&感情移入しすぎる

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

みつばちマーヤの冒険 (望林堂完訳文庫) Kindle版 ワルデマル・ボンゼルス (著), ホーマー・ボス (イラスト), 毛利孝夫 (翻訳)

ワルデマル・ボンゼルス原作の「みつばちマーヤの冒険」の完訳&新訳です。生まれたばかりのミツバチのマーヤは、最初に巣を飛び立つと、そのままこの美しい世界の冒険に出ます。そしていろいろな虫たちに出会い、さまざまな経験を重ねてゆきます。

 

 

「昆虫すごいぜ」から、「みつばちマーヤ」

大人が読む児童書「みつばちマーヤの冒険」 1 エーミールを訳された高橋健二さん

大人が読む児童書「みつばちマーヤの冒険」 2 マミられてしまったきんばえ。世界の美しさと残酷さ。

大人が読む児童書「みつばちマーヤの冒険」 3 とんぼのシュヌックの魅力

大人が読む児童書「みつばちマーヤの冒険」 4 人の恋路に口出すな ~こおろぎと甲虫の痴情のもつれ~

大人が読む児童書「みつばちマーヤの冒険」 5 死のねむりからさめる所が、いつも花のなかだとはかぎらない。

 

 

妹子「ほんとうに美しい文章だね。魔法みたい」

 

そんなことを言ってくれたら、無理やり読ませた方も読ませがいがあるというものです。

 

妹子「自然の描写がすっごくきれい。一つ一つに気を取られる。聞いて。『水はささやき、きらめき、うなだれたすいれんはねむっているようでした。』」
わたし「きれいだね」
妹子「全部書き留めたいぐらい。でも妖精の話よくわからなかった」
わたし「人間は愛し合う姿が一番美しいということだよね」

 

妹子「で、あの妖精って結局、男なの?女なの?」
わたし「『ぼく』って言ってたと思うが」
妹子「そうだっけ?それであの妖精はどうなったの?」
わたし「おまえちゃんと読んでるの!?」
妹子「読んでる、読んでるよ~!でもあんまりきれいな表現に目がいって、中身が頭に入ってこないんだよ!」

 

そんなことってあるのか。
いや、あるような気がするな…。

 

わたしはあらすじの方が気になるので、割と読み飛ばすことが多いけれど、妹子は一行一行かみ砕くように読んでいるので、全体的に俯瞰して読むことがまだできていないんだろうな。
と冷静さを保つために分析してみました。

 

 

というわけで、すずめばちの出てくるクライマックス直前が、この本屈指の美しいところなわけです。

 

妖精とマーヤのやりとり、愛し合う人間の姿の美しさ、は言うまでもないことなのですが、わたしがこの中でも一番好きなのは、蛾の話でした。

 

わたし「蛾の話がすごく好き。蛾のところもう一度読んでみて」

 

蛾は、この話では「夜のちょう」と表現されています。

 

彼らは高いポプラの枝にとまりました。そばでは、身がるな葉っぱが月の光のなかでささやいていました。月に照らされた静かな夜のけしきが、遠くまで見渡せました。ちょうは、月光をいっぱいに受けて、マーヤのまむかいにとまっていました。彼は、ひろげた羽をゆっくりあげたり、またそうっとさげたりしました。だれかにすずしい風をあおいでやろうとでもするようなかっこうでした。羽の上に、はすかいに、うすい美しい水いろの太いしまが走っているのが、マーヤに見えました。黒い頭は、黒っぽいビロードでおおわれているようでした。黒い一対の目のあかあかとかがやいている顔は、異様に神秘的な仮面をかぶってでもいるように見えました。夜の動物はなんとふしぎだったでしょう。

 

妖精は、マーヤに人間を見せてあげるために、蛾(夜のちょう)に道案内を頼みました。
マーヤは、夜のちょうの羽にすっかり心を奪われて、
「あなたはたいそうきれいね」
といいます。

 

妖精とマーヤと別れた後に、夜のちょうはひとりで考え込むのでした。

 

夜のちょうは、とまったまま、妖精の着ものの光がだんだん小さくなり、とうとう、青い遠景の奥に沈んでしまうまで、ふたりを見おくりました。それから、葉っぱの上で、ゆっくりすこしむきを変えると、頭をまわし、太い青いリボンのついた自分の大きな羽を見つめました。そして、すっかり考えこんでしまいました。
彼はこう思いました。自分は、灰いろでみにくい。自分の着ものは、昼のちょうのきらびやかな衣裳とは、くらべものにならない。そう言われるのを、ずいぶんたびたび聞いた。あの小さいみつばちは、この自分の美しいところだけを見たのだ。──それから、自分はやっぱり悲しいのじゃないかしら、と考えてみました。マーヤは、彼にそのことをたずねたのでした。「いや」と、彼はしまいに言いました。「ぼくはもう悲しくないぞ。それだけは、たしかだ。」

 

ここが大好きで、妖精の話以上にずっと心に残っていました。

 

たぶん、マーヤは、この夜のちょう(蛾)が昼のちょうに比べて美しくないから、よいところを探そう、としたのではなくて、純粋にきれいだと思ったからそう言ったまでなのだと思います。

マーヤの言葉が純粋にそう思っているから出た言葉だったから、蛾の心を打ったのでした。

 

妹子「うーんやっぱり表現のほうに目が行くな」
わたし「ここぞとばかりに、この作者(訳者も)最大限の力出してる感じするよね」

 

表現力、フルパワーかめはめ波という感じです。

 

妹子「『生まれてからいちばん奇妙な夢』って、お話の題名になりそうな気がする。そういう(切り取ってみても印象的なことば)が多い気がする。さっき、『誠実な知識欲と創作された見事なものに対する喜び』ってあったけど、それも本の題名になるなって思った」
わたし「なるほど」

 

そういうのを探す読書の楽しみというのもありそうです。

 

そして、どこを切り取っても文章が美しい、という本がそうなかなか巡り合えるものではないことも確かです。

 

本との巡り合いを大切にしたいものです。

 

そして、この紹介では、この本の一番美しい、妖精と人間の話をさっくりと省いてしまっているので、ぜひ!
ぜひ!
みつばちマーヤを(できれば高橋健二さん訳版を読んでみていただきたいです)

 

 

さて、すずめばち…。

 

第十三章「盗賊の城」

 

妹子「怖い!」
わたし「はやい」
妹子「いや、怖い、怖い!題名からして怖い!もう何が起きるの!?怖くて読めないんだけど!」
わたし「大丈夫大丈夫。ほら」
(次のページをぺらっ)

 

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妹子も怖がるので小さめに

 

妹子、絶叫。

 

妹子「怖い~~~!!!その絵むり!!絶対読めない~~~!!!」
わたし「ええー!ここまで読んで最後読まないの!?」
妹子「読まないのもむりー!」
わたし「じゃあ読めば」
妹子「お母さん音読して!!」

 

ええーー!

 

うーん……。
結構長いんだけど…。

 

仕方なく、ここからは音読してやることになりました。
読みながら見てみると、妹子「伏せ」みたいな状態になって目をふさいでいます。

 

わたし「鬼滅の刃は平気なのに、どうしてこれはむりなの?字だよ!?」
妹子「鬼滅は怖くない。マーヤは怖い!一行目から怖い!!きれいだから余計怖い!」
兄助「ガキがさあ~、怖い怖いって、うるさいんだよ!怖くねーよ!早く読めよ!」

 

とうとう、お兄ちゃんまで出てくる大騒ぎとなってしまいました。

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

みつばちマーヤの冒険
ワルデマル ボンゼルス (著), 熊田 千佳慕 (著)

フランスのファーブル愛好家から"プチ・ファーブル"と親しまれている細密画家、熊田千佳慕氏が馬の毛3本の絵筆を駆使して5年、ついにあのワルデマル・ボンゼルスの名作"みつばちマーヤ"を美しい絵本として完成させました。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

みつばちマーヤのぼうけん
中脇 初枝 (監修), 本田 久作 岡部 順 宮川 治雄 (著)

好奇心旺盛なみつばちの女の子マーヤは、外の世界へ飛び出します。フンコロガシやチョウなど、さまざまな虫たちと出会って……。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

みつばちマーヤの冒険
アイプランニング (著), 日本アニメーション株式会社 (著), ウァイデマル・ボンゼルス (著)

ミツバチの女の子マーヤは、ミツバチの王国を飛び出して、外の広くてすばらしい世界で、不思議なこと、うれしいこと、悲しいことなどをたくさん経験します。やがて、古巣の王国へ帰ってみると、仲間が破滅の危機に…。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ジュニア版ファーブル昆虫記 全8巻セット
ジャン・アンリ・ファーブル (著), 奥本 大三郎 (著), 見山 博 (著)

大自然の調和と不思議を描いた永遠の名作を生き生きとした文章と豊富な図版で子どもから大人まで楽しめるシリーズです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

完訳 ファーブル昆虫記
ジャン=アンリ・ファーブル (著), 奥本 大三郎 (翻訳)

読み継がれる昆虫の叙事詩、待望の完訳版!虫の詩人・ファーブルが著した昆虫自然科学の古典がファーブルの第一人者・奥本大三郎の解りやすい翻訳でよみがえる。詳細な脚注、訳注、細密な昆虫イラスト、美しい写真口絵が充実。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492

 

プロジェクト・グーテンベルクについて
Wikiの説明ページ

プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館

 

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子どもの本だな【広告】

マンガでわかる能・狂言 青い月の石 おちゃのじかんにきたとら
ジョゼと虎と魚たち きつねのホイティ ウルスリのすず
かいじゅうたちのいるところ 小さなスプーンおばさん フラニーとメラニー すてきなおんがくかい

 

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閑話 読み聞かせの特集「この本読んで! 79号(2021夏号)」

閑話です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

この本読んで! 79号(2021夏号)

絵本と読みきかせの情報がぎっしりの季刊誌。読みきかせボランティアの方や、司書、保育園・幼稚園の先生方に大好評!

 

 

いつも得る情報が遅いです。
いまさら、こんな雑誌を手に入れて、にやにやしながら見ていました。

 

この2021年夏号(第79回)は、読みきかせ完全ガイドとのことで、とてもよい特集でした!

 

(もう秋号が出ているかと思います)

 

判断が遅い!

 

とても細かく紹介していて、とても参考になりました。

 

ちょっとだけへえ~!と思ったのが、読み聞かせをする場所です。

 

学校、書店はなるほどだったのですが、
「病院・福祉施設・特別支援の場などの場合」
というのがありました。

 

これが、病院にいる子どもたちだけではなくて、介護施設という場合もあるなと思いました。

ベテランの方がする読みきかせは、大人の私が見ていても楽しいです。
ちょっとした、芸能の域に達している人もいます。

 

おじいちゃん、おばあちゃんたち向けということもあるのかもしれないな、と思いました。

 

 

中川李枝子さんのインタビューがすばらしかったです。

 

「子どもたちにとっての読書はひとりひとり違うもの」

 

今の時代にあっても、大人は子どもたちが読みたいものを与えればいいかというと、そうでもないと思うわね。子どもの興味・関心に寄り添いながら、一緒になって読むこと。そのときの子どもの反応を観察すると、その子の性格も、長所も短所もわかるので、とても役に立つんです。

 

すすめられた本を読もうとしなくてもいいの。それぞれのおうちに、それぞれの本があっていい。どの家も同じような本が並んでいるなんてつまらないじゃない、自由なんだもの。

 

 

「それぞれのおうちに、それぞれの本があっていい。子どもはそれぞれ」

  

もう、これははるか昔(去年ぐらい)コロナ休校になる前のことです。

 

子どもたちが話していて、ひとりが鬼滅の刃にはまっていて、周囲にしきりとおすすめしていました。
しかし、おすすめされている方は、まったく興味がありません。
というか、むしろ嫌いなようです。

 

無表情だったり、困った顔をしたりしています。
挙句の果てに話をそらせようとしていました。
唐突に別の話をしようとするので、おすすめしている方が怒ってしまいました。

 

「血が嫌いって言ったって、血が出てるほかの話だって見てたじゃないー!!!」

 

かわいそうに…。
あんなに一生懸命おすすめしてるのに…。
(他人事とは思えない)

 

かといって、イヤなのを無理に読めなんてとても言えない!!
これは、自分の経験からしても、よーく、よーくわかります。

 

本当に本当に、子供達の趣味嗜好は実に多種多様です。

 

◇ 

 

中川李枝子さんのインタビュー、一方で、こうも書かれています。

 

「子どもが読みたいものを与えればいいかというと、そうでもない」

 

このひとことは、重いなと思いました。
正直、今の時代だと、子どもが読みたいものは限られてきてしまいますから…。

 

要は、幅広くたくさんの本を!ということなんだと思います。


漫画もいいけれど、児童書もまた、まったく違う世界を広げてくれますから。

 

中川李枝子さん、自分の戦争中の子ども時代によせてこんな風に書かれています。

 

世界はどうなっているのか、ほかの国の子どもたちはどういう生活をしているのかを知りたくて、古今東西いろいろな国のおはなしを読みました。それが、岩波少年文庫との出会いでした。 


岩波少年文庫と、福音館古典童話は、今も昔も、古今東西の名作をずっと発信し続けてくれています。

 

ぜひ親ごさんも一緒に、いや、お子さんよりも先に、読んで欲しいものです。(圧)

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

この本読んで! 76号(2020秋号)

古今東西、老若男女、ネコが好きな人は太古の昔から世界中にたくさんいます。だからなのか、ネコを描いた絵本もたくさん。ネコ好き編集部選りすぐりの愛すべきネコ絵本をご紹介。

 

ねこの特集だったので、何となく…。

 

 

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子どもの本だな【広告】

朝びらき丸東の海へ 冒険者たち ガンバと15ひきの仲間 森は生きている
デイビッド・マックチーバーと29ひきの犬 地獄めぐり 鬼の大宴会 にじいろのさかな
いいおかお エルマーとりゅう 狐物語

 

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大人が読む児童書「みつばちマーヤの冒険」 5 死のねむりからさめる所が、いつも花のなかだとはかぎらない。

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

みつばちマーヤの冒険
ワルデマル・ボンゼルス (著), ホーマー・ボス (イラスト), 毛利孝夫 (翻訳)

ワルデマル・ボンゼルス原作の「みつばちマーヤの冒険」の完訳&新訳です。生まれたばかりのミツバチのマーヤは、最初に巣を飛び立つと、そのままこの美しい世界の冒険に出ます。そしていろいろな虫たちに出会い、さまざまな経験を重ねてゆきます。

 

「昆虫すごいぜ」から、「みつばちマーヤ」

大人が読む児童書「みつばちマーヤの冒険」 1 エーミールを訳された高橋健二さん

大人が読む児童書「みつばちマーヤの冒険」 2 マミられてしまったきんばえ。世界の美しさと残酷さ。

大人が読む児童書「みつばちマーヤの冒険」 3 とんぼのシュヌックの魅力

大人が読む児童書「みつばちマーヤの冒険」 4 人の恋路に口出すな ~こおろぎと甲虫の痴情のもつれ~

 

 

マーヤ、家を出る。
 ↓
葉っぱを垂らして、ひっくり返って困っている甲虫のクルトを助ける。
 ↓
マーヤ、くもの巣につかまり、クルトに助けてもらう

 

このあたりが、ごく一般的に知られている、みつばちマーヤの物語ではないでしょうか。

 

本屋で妹子、マーヤを発見!
目ざとく、さっと抜きました。
やっぱり、本屋さんのクルクル回る、「名作どうわ」の所は、目立っています。

 

 

 

しかし、妹子はすっかり腹を立ててしまいました。

とんぼがものすごい悪人づらだったからです。

 

まあ、あながち間違いではないような気もするのですが、この後に関わって来るシュヌックのことを考えると、ちょっと残念な改変ではあります。

 

当然、痴情のもつれもなかったことになってます。

 

でも、こういうので興味を持って、完訳を読んだときの衝撃というのもまたすごいと思うので、この「名作どうわ」は子供たちにはどしどし、読ませてもらいたいものです。

 

 

さて、蜘蛛につかまったマーヤの所を読んでいる妹子ですが、恐くないか訪ねると、

 

妹子「ぜんぜんこわくない。助かりそうなフラグぷんぷんしてる。それよりちょうがこわい」
わたし「ちょう?」
妹子「まあ聞きなよ」

 

妹子が音読してくれました。

 

彼女の泣き声とさけび声は、高く、恐怖にみちて、静かな夏めいたあたりいったいにひびきました。そこらでは、日光が金緑色の薬にきらきら光り、昆虫が飛びかい、小鳥が空中に身をおどらせていました。すぐ近くでジャスミンが青い空の色のなかで、におっていました。そこへ飛んでいこうと思ったのでしたが、もうマーヤはおしまいでした。
青みがかった小さいちょうちょが、綱のようにちらちら光るいろの即点を羽につけて、マーヤのすぐそばを通りかかりました。
「おや、かわいそうに。」と、ちょうは、小さいマーヤの悲鳴を聞き、マーヤが、くものあみのなかで死にもの狂いでもがいているのを見ると、さけびました。「らくに死ねますようにいのりますよ。わたしは助けてあげることができません。わたしだって、いつか、ひょっとするとこんやにも、同じめに会うんです。でも、今はまだぼくは楽しいんです。さようなら。深い死のねむりのなかでも、お日さまを忘れないように。」
ちょうは、ひらひらと飛んでいきました。咲く花と、太陽と、生きる幸福とに、よいきっていました。

 

わたし「うーん、確かにこいつはひどい」

 

妹子「ね?ひどいでしょ?こいつ、はっきりいってとんぼより怖い。くびをかみちぎるよりこわいよ。『さようなら。深い死のねむりのなかでも、お日さまを忘れないように』だよ?何も言わない方がましだよ。こんな言葉、どこから出て来るの?こいつ誰なの、何者なの?」

 

妹子、少し考え込んでいて、それから叫びました。

 

妹子「さ…作者っ?じゃあ、このちょうの正体は…さくしゃ?えっこっわ!
わたし「君のような勘のいいガキは嫌いだよ」

 

 

蜘蛛の網から逃れた後には、かめ虫、ちょうちょ、木くい虫などなどと交流します。
どの虫からも、少しずつ人間の話を聞きだします。

 

人間の、さまざまな面が虫たちの視点から語られます。

 

虫であるマーヤが、「にんげん」にあこがれ、探し求めるという物語の形から、何となく、「このマーヤにあこがれられるような人間であらねばならないな」という気持ちになるという不思議な効果があります。

 

ときどき、マーヤは虫たちに失礼な態度を取られたり、脅されたりもしますが、そのたびにみつばち族の誇りが頭をもたげます。
そして、羽を震わせて澄んだ威嚇のうなり声をあげ、おしりの針を思い出させます。

 

この態度は、なかなか見習うべきものがあると思いました。
誰でも、いつでも、心にはマーヤのような針を持っておくべきなのだろうと考えます。

 

学校生活でも、社会生活でも、相手が反撃してくると思ってもいない相手に攻撃されたとき、しっかりと対峙して反撃することはとても大事です。

 

攻撃を常態化させてはなりません。
ごく初期の段階で、反撃を示すことが大事です。
関係性が出来上がってしまってから覆すのはなかなか大変なことですから…。
人間関係、やさしさと迎合だけでは、うまくいきません。

 

マーヤが落ち着いて羽を震わせ、目を光らせて「わたしはみつばちよ」と言うとき、かっこいいなあ!と思うのです。

 

 

第十章「夜のふしぎ」

 

マーヤははじめて「夜」というものを目にします。

 

この、もとが美しいボンゼルスの文章を、これ以上なく美しく訳されている高橋健二さんですが、この筆が冴えわたるのが、マーヤが妖精に出会う場面です。


マーヤは妖精に導かれて、「もっとも美しい人間」を見ることになるわけですが、印象的なフレーズがたくさんでてきます。

 

死のねむりからさめる所が、いつも花のなかだとはかぎらない。

 

ふっと妖精が口にした言葉なのですが、こうして文脈の中から切り取って見せただけでもとても美しくて不思議な言葉です。

 

この十章を全部説明してしまうとつまらないので、そこはぜひ「みつばちマーヤ」を読んでもらうとして…。

 

おとなとして読んでいて、非常に示唆にとんで、すばらしいなという部分がありましたので、そっちをご紹介します。

 

十章冒頭で、マーヤの現状を説明する部分なのですが、ここでマーヤはもう、おとなのみつばちになりかかっていることがわかります。

 

何となく、記憶の中では、巣を飛び出してから冒険の果てに戻るまで、若い向こう見ずなみつばちであるままなのかと思っていましたが、けっこう長い間外で暮らしているのでした。

 

マーヤはまだ、巣に戻ろうとしません。
仲間と故郷に対する、戻りたいという望みは持っているのですが、そんなマーヤのことを、作者はこんな風に書いています。

 

また、(こうしてさまよっているマーヤは)秩序だった活動や有益なしごとや、なかまどうしのまどいに、あこがれる時もありました。しかししょせん、彼女は──小さいマーヤは、落ちつかない性質を持っていました。みつばちの団体にいたら、きっといつも快く感じるわけにはいかなかったでしょう。人間のあいだでもそうですが、どんな動物でも、ひとりひとりの性格がみんなの習慣になじめないということは、起りがちです。そういうものを、いけないときめてしまうまえに、慎重にし、真剣に検討しなければなりません。なぜなら、それは決して怠慢とかわがままとかにかぎってはおらず、そういうやむにまれない心のうらには、日常生活ではえられない、もっと高いもの、もっとよいものへの深いあこがれが、ひそんでいることが、たびたびあるからです。

 

「落ち着かない」「感じやすい」という特徴に対して、たくさんの名前をつけて、団体行動になじまないと悩むのはどこでも非常によくあることです。

特に同調圧力の強い場においては、本人も周囲も、とても苦しみます。

 

読み返すことがなかったら、この部分に注目することはなかったな、と思うと同時に、この部分は、明らかにおとなの読者、それも親たちに向けて書いているのではないでしょうか。

 

しかし、美しい経験をつんで幸福に暮らしていても、ひとりでいるのは、つらいものです。小さいマーヤは、経験をつめばつむほど、いっそう団体と愛情とにあこがれることが多くなりました。

 

マーヤは、幼いままのみつばちではありませんでした。
旅につれて、成長するにつれて、変化していく心と体を、この物語は見事に描き出しています。

 

 

マーヤがまだ帰りたくなかったのは、人間というものの真髄を見届けたかったからでした。

 

ふしぎな夜の歌が、高らかに、遠くまでとどくようにひびく

 

ここから、クライマックスにかけて、最高にドラマチックな盛り上がりを見せてくれます。

 

すずめばちの登場です。

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

みつばちマーヤの冒険 (小学館児童出版文化賞受賞作家シリーズ) 大型本 – 1996/4/16 ワルデマル ボンゼルス (著), 熊田 千佳慕 (著)

フランスのファーブル愛好家から"プチ・ファーブル"と親しまれている細密画家、熊田千佳慕氏が馬の毛3本の絵筆を駆使して5年、ついにあのワルデマル・ボンゼルスの名作"みつばちマーヤ"を美しい絵本として完成させました。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

みつばちマーヤのぼうけん (はじめての世界名作えほん) 単行本 – 2020/3/12 中脇 初枝 (監修), 本田 久作 岡部 順 宮川 治雄 (著)

好奇心旺盛なみつばちの女の子マーヤは、外の世界へ飛び出します。フンコロガシやチョウなど、さまざまな虫たちと出会って……。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ジュニア版ファーブル昆虫記 全8巻セット (日本語) 単行本 - 2005/4/1 ジャン・アンリ・ファーブル (著), 奥本 大三郎 (著), 見山 博 (著)

大自然の調和と不思議を描いた永遠の名作を生き生きとした文章と豊富な図版で子どもから大人まで楽しめるシリーズです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

完訳 ファーブル昆虫記 第1巻 上 (日本語) 単行本 - 2005/11/25 ジャン=アンリ・ファーブル (著), 奥本 大三郎 (翻訳) 5つ星のうち4.8 13個の評価

読み継がれる昆虫の叙事詩、待望の完訳版!虫の詩人・ファーブルが著した昆虫自然科学の古典がファーブルの第一人者・奥本大三郎の解りやすい翻訳でよみがえる。詳細な脚注、訳注、細密な昆虫イラスト、美しい写真口絵が充実。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

いたずらきかんしゃちゅうちゅう 子うさぎましろのお話 チョコレート戦争
おたまじゃくしの 101ちゃん オズの魔法使い 王さまと九人のきょうだい
ねずみのいもほり 路傍の石 はじめてのキャンプ

 

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大人が読む児童書「みつばちマーヤの冒険」 4 人の恋路に口出すな ~こおろぎと甲虫の痴情のもつれ~

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

みつばちマーヤの冒険
ワルデマル・ボンゼルス (著), ホーマー・ボス (イラスト), 毛利孝夫 (翻訳)

ワルデマル・ボンゼルス原作の「みつばちマーヤの冒険」の完訳&新訳です。生まれたばかりのミツバチのマーヤは、最初に巣を飛び立つと、そのままこの美しい世界の冒険に出ます。そしていろいろな虫たちに出会い、さまざまな経験を重ねてゆきます。

 

「昆虫すごいぜ」から、「みつばちマーヤ」

大人が読む児童書「みつばちマーヤの冒険」 1 エーミールを訳された高橋健二さん

大人が読む児童書「みつばちマーヤの冒険」 2 マミられてしまったきんばえ。世界の美しさと残酷さ。

大人が読む児童書「みつばちマーヤの冒険」 3 とんぼのシュヌックの魅力

 

 

さて、とんぼのシュヌックと、別れたマーヤ、翌朝は「水いろのつりがねそうのうてな」の中で目を覚ましました。

 

全部載せてしまいたいぐらい、いちいちすべての表現が美しいです。

 

花の黄色い雄しべからすこし花粉をとり、それから念いりに朝のお化粧をすると...

  

妹子「みつばち、お化粧するんだ」
わたし「するんだよ」

 

このつりがねそうの中にいたマーヤ、雨の中やすんでいると、下に「甲虫」がやってきました。

 

この「甲虫」、冒頭でも出てきていましたが、ほかのマーヤで確認したところ、ハナムグリになっていました。
この本では「ばらこがね」になっていました。
そしていまここで、なぜ「ばらこがね」だったのか、ここで理由がわかることになります。

 

この「甲虫」、ある虫のほら穴に向けて、「一緒にお出かけしよう」と呼びかけています。
マーヤが見ているのには気づいていません。

 

出てきたのは、こおろぎです。
甲虫、とても丁寧にあいさつをして、「ぼくの最愛の♡」なんて言ってます。
こおろぎの名前が「イッフィー」であり、甲虫が「クルト」であることもわかりました。

 

ところが、こおろぎのイッフィーの様子がおかしいです。

 

「だめなの、クルトさん。」と、彼女は言いました。「わたしごいっしょにはいけないの。世間のひとの口がうるさいから」
かわいそうに甲虫はまったくひどくびっくりしたようすです。

 

妹子「ん?んん~?これは…?」

 

「あんたは、わたしの無学をずいぶんあさましく利用したのね。あなたは、自分はばらこがね、、、、、だっておっしゃったわね。ところが、きのうかたつむりさんが、あんたはまぐそこがね、、、、、、だって言ったわ。たいへんなちがいだわ。かたつむりさんは、あんたが仕事をしているところを見たんですって。その仕事のことをここでくわしく言おうとは思わないけれど。わたしがひきさがるのは、おわかりになるわね。」

 

妹子、ページをめくりなおして調べています。
妹子「いや、だって、このイッフィーってこおろぎだよね?クルトはそのまぐそ、、、…って、種類が違うじゃん」
わたし「愛に垣根はないんだよ」

 

クルトは、驚きがおさまると、かんかんになりました。
「いや、わからない。」と、彼ははげしくさけびました。「ぼくは、ぼく自身をもとにして愛されたいんで、ぼくの仕事にこだわっちゃ、こまる。ひとりの男がどこそこにいたからってことで、その男を判断することがどうしてできるかね。」

 

マーヤの目の前で、甲虫のクルトは、ひどい理由でフラれてしまいました。

 

甲虫は悲しみに打たれながらもみみずを食べはじめるのですが、そこでマーヤは見つかってしまいます。
ここからは、抄訳でも子供むけでも、よく書かれている展開です。

 

ひっくり返って、戻ることができなくなってしまったクルトを、マーヤが葉っぱを使って助けます。
この出来事も、のちのちのフラグになります。

 

が、イッフィーとの痴情のもつれは、たいていの抄訳では一切、なかったことにされています。

 

 

しかし、私も改めて読んでみると、この、こおろぎの「イッフィー」。
「三日前に夫が地ねずみに食われたという若いやもめの身」
とか言っています。

 

三日前に夫を失ったばかりの未亡人にしては、ちょっと新しい恋人を作るのも早すぎやしませんかねえ~。

 

 甲虫のクルト、マーヤに挨拶するときにも、やっぱり
「ばらこがねの一族で、クルト」
なんて自己紹介しています。

 

男の見得と、女の打算…。
(イッフィーは、夫を失った後、食べるための狩りをクルトに手伝ってもらっていたっぽいことが何となく暗示されています)

 

色と欲がまみれる、昆虫の世界…。
残酷な神が支配する、みつばちマーヤの世界観!

 

どんなんだよ~!みつばちマーヤ!怖いわ!
私もちょっと怖くなってきたわ!

 

妹子「見栄はって、ばらこがね、、、、、とかってさ~いるんだよね男子って。イキった名前つけるやつ。ダークタイガーとかレッドドラゴンとかさ~。『12歳』っていう漫画でもね、『漆黒の豹』とかってさ~。さすがにばかじゃないかなってね…」

 

万年中二病の私の胸にまで深く刺さってきたので、その台詞やめてあげて。

 

 

ここからは、少し落ち着いた展開です。
ばった、はえなどと交流です。

 

妹子「またハエ!もういいよハエ!早くいなくなれよ!」
わたし「トラウマになってしまったのか」
妹子「またとんぼが来るぞ!」

 

「そうでしょうとも。」とだけ、プック(はえ)は言いました。そして自分のあたまをちぎりとろうとしました。

 

妹子「もう何なの~~~~!自分でかよ!!!」
わたし「さすがに苦笑」
妹子「とんぼもいらないってか!むだをはぶいたか!」

 

とんぼじゃなくてハエにトラウマが生まれてしまっていた…。

  

妹子「今までさあ、どこにハエが転がってても、そんなに残酷だと思ってなかったから。学校で死んでるハエは、何があって死んだんだろう…」

 

急にしんみりしたこと言い出した。
まあ、そういうこと考えるのは悪いことじゃないのかもしれません。

 

 

ハエでふっとんでしまいましたが、ばったも結構強烈です。

 

「いったいあなたはだれ?」と、マーヤはたずねました。
「おそろしくひとをいらいらさせるのね。」
「しかし、ぼくはどこへいったって知られてますよ。」緑いろの男は言い、歯をむきだしてまた笑いました。それほど徹底的に歯をむきだしてだれかが笑うのを、マーヤはついぞ見たことがありませんでした。

 

こういう人、いるよな…。
徹底的に歯をむきだして笑う、って…。

 

妹子「おそろしくひとをいらいらさせるのね。っていい表現だね。怒りかたも上品だ。これをもっと男子に対して、上から目線で軽蔑したように言えば…」
わたし「だから学校で使おうとしないで~~!」

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

みつばちマーヤの冒険
ワルデマル ボンゼルス (著), 熊田 千佳慕 (著)

フランスのファーブル愛好家から"プチ・ファーブル"と親しまれている細密画家、熊田千佳慕氏が馬の毛3本の絵筆を駆使して5年、ついにあのワルデマル・ボンゼルスの名作"みつばちマーヤ"を美しい絵本として完成させました。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

完訳 ファーブル昆虫記
ジャン=アンリ・ファーブル (著), 奥本 大三郎 (翻訳)

読み継がれる昆虫の叙事詩、待望の完訳版!虫の詩人・ファーブルが著した昆虫自然科学の古典がファーブルの第一人者・奥本大三郎の解りやすい翻訳でよみがえる。詳細な脚注、訳注、細密な昆虫イラスト、美しい写真口絵が充実。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

僕の心のヤバイやつ
(少年チャンピオン・コミックス) 桜井のりお (著)

学園カースト頂点の美少女・山田杏奈の殺害を妄想してはほくそ笑む、重度の中二病陰キャ・市川京太郎。だが山田を観察する内に、京太郎が思う「底辺を見下す陽キャ」とは全然違うことに徐々に気づいていき…!? 陰キャ男子・京太郎の初めての恋、始まる。陽キャ美少女×陰キャ少年のニヤニヤ系青春格差ラブコメディ!!

 

妹子もハマってますが、私もハマっています。
この二人の展開が、すごくかわいいです。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

12歳。
(ちゃおコミックス) まいた菜穂 (著)

大人でもない、子供でもない、ビミョウなお年ごろの小学生6年生・花日。担任の先生のキスを、クラスの男の子と偶然目撃したり、自分はまだなのに友達に先に生理が来て悩んだり。花日の友達の結衣は、イジワルしてくる男の子が気になって・・・。12歳の少女のピュアな悩みと初恋を描いた大人気シリーズ第1巻。

 

わたしはもう、こういうのを楽しむ子供の心は失ってしまいましたが、妹子はただいま絶賛どはまり中です。

 

 

 

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閑話 YouTube「有隣堂しか知らない世界」

閑話です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日のチャンネル

www.youtube.com

 

 毎週、我が家は全員で欠かさずに見ているYouTubeチャンネル
「有隣堂しか知らない世界」
 

もうすぐ、チャンネル登録者数8万人を突破しそうで、本当に感慨深いです。

 

 

あれは、2020年7月のこと。
ほぼ一年前です。

 

だんながこんなことを言ってきました。

 

「取引先がYoutubeチャンネル作ったから、登録してあげて」
「取引先ってどこ?」
有隣堂

 

えええええー!
本屋さんなの!

それは応援するわ!

 

今や、絶滅危惧種になりそうな本屋さん。

 

でも、本当に意外と子供ってアナログが好きなんですよ!

 

YouTubeばっか見ているような感じがするだろうけど、普通に漫画を買って回し読みしていたりします。
雑誌も漫画も、電子書籍よりもこっちの方が読みやすい~って文句を言います。
(兄助や妹子ではなく、お友達たちの話です。)

 

本買うのも読むのも、まだまだお年寄りと一部のマニアな本好きだけではないです。

 

子どもたちも多大なるポテンシャルを秘めています!

 

 

というわけで、はじめてこのチャンネルを登録したときが2020年7月。

 

今となってはたぶん、このYouTubeを見ている人ならみんな知ってるであろう有名回、「【飾りじゃないのよ】物理の力で文字を書く!ガラスペンの世界 ~有隣堂しか知らない世界002~」が公開されたばかりの時でした。

 

 

わたし「いや、面白い」
だんな「よかったら、宣伝もしてあげて。本屋さんって、今本当に大変だから」
わたし「めっちゃするわ!喜んでするわ」

 

職場では死ぬほど宣伝しましたが、ネット上ではいうほど宣伝したわけではないんです。
チキンなので…。

 

純粋に面白いです。

時間も長すぎず、掛け合いも飽きさせず、カットを多用していて、テンポもよい!

 

正直、ほかのYouTubeチャンネル、わたしはほぼ二倍速ものによっては三倍速で見ています。

video speed controllerという、chrome拡張機能を使っています。

 

 

妹子がこのチャンネルに登場する文房具バイヤーの岡崎さんを大のお気に入りになってしまいました。

 

わたしも、大好きです…♡

 

なんだかホンワカしていて、すごく癒されます。
ブッコロー(このミミズクみたいなやつです)との掛け合いも絶妙です。

 

まだあの頃は、500人を超えるか超えないかぐらいのチャンネルでした。

正直、わたしはこの頃、ガラスペンよりもキムワイプ回の方が面白いかなと思っていました。

 

【超性能ティッシュ】キレイの概念が変わる!キムワイプの世界~有隣堂しか知らない世界001~

 

 

そして、キムワイプ回と岡崎さんに魅了されてしまった妹子、断固ガラスペンを買いに行くといってききません。

 

普段なら一蹴するところですが、何とかして応援してあげたい本屋さんのこと。

 

これは、有隣堂で買わずばなるまい。
有隣堂に出かけていきました。

 

わたし「ないね」
妹子「ない。でも、聞いたらあるかもしれない」
わたし「えっ、ちょっ…」

 

アグレッシブな妹子は、店員さんに突撃です。 

 

本の注文の取り方を練習させたりしていたのが、かえって裏目に出ました。
私は恥ずかしいので、隠れていました。
きっとないんだろうと思いましたし。

 

店員さんにないって言ってもらえればあきらめるだろう。
(ごめんなさい店員さん…)

 

背中で声が聞えます。

 

「ガラスペン?ガラスペン…?ちょっと待ってくださいね~」

 

子どもにも丁寧に応対する書店員さんに好感度UP。

 

裏方へまわろうとしたとき、ちょうど出てきた人と話をしている様子です。

 

「うちって、ガラスペンって置いてます?」
「ガラス…ペン…?なんで?」
「さあ…」

 

エッ…。

 

「なんで」とな。

 

YouTubeでガラスペン特集をしていること、あまり有隣堂内でも浸透していない?

 

もしかして、書店員さんたち、現場では、「また本部が変なこと始めたよ」的な位置づけで、あまり歓迎されてないのかもしれない?

 

ちょっと嫌な汗が出てきました。
ごめんなさいごめんなさい。
変な子の応対させて本来の業務を中断させてしまってごめんなさい。



「…」
「…」
「あっ!もしかして、YouTube見たんじゃないー!?」
「…っ!それだっ!」

 

という、店員さんの会話を、いたたまれない気持ちで聞いていた、あの頃が懐かしいです。

 

それだっ!というのが、タイミングもよく指でピストル作っていて、すごく掛け合いぽくて思わず笑ってしまった懐かしい記憶。

 

「ごめんね~。今ね、置いてないんですよ」

と優しく言われて、妹子、しぶしぶ戻ってきていました。

 

その後、ガラスペンはまったく関係ないお店で購入。
返す返すも有隣堂!ごめんなさい…ッ!

 

ちょっと立ち寄った時に偶然にも置いてあったのです。
けっこう、お高かったです…。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

有隣堂paypayモールのガラスペンはこちらです。

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

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大人が読む児童書「みつばちマーヤの冒険」 3 とんぼのシュヌックの魅力

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

みつばちマーヤの冒険
ワルデマル・ボンゼルス (著), ホーマー・ボス (イラスト), 毛利孝夫 (翻訳)

ワルデマル・ボンゼルス原作の「みつばちマーヤの冒険」の完訳&新訳です。生まれたばかりのミツバチのマーヤは、最初に巣を飛び立つと、そのままこの美しい世界の冒険に出ます。そしていろいろな虫たちに出会い、さまざまな経験を重ねてゆきます。

 

「昆虫すごいぜ」から、「みつばちマーヤ」

大人が読む児童書「みつばちマーヤの冒険」 1 エーミールを訳された高橋健二さん

大人が読む児童書「みつばちマーヤの冒険」 2 マミられてしまったきんばえ。世界の美しさと残酷さ。

 

 

わたし「妹子さん、本当に大丈夫?嫌だった?」
妹子「いやまあ、三国志の方がひどいから」

 

う、うん、まあ、確かに。

 

妹子「三国志はさあ、ズバァ!グサッ!ドシューッ!だから」
わたし「……………」

 

これ以上突っ込むのはやめよう。

 

とりあえず、まどマギよりは比較対象がまだ許容範囲なもの(三国志)になりました。
妹子、次を読み進めています。

 

妹子が以前、読んだーと言っていたのは、ばらこがねの超序盤のあたりまでだけだったらしいです。
ここまでだけだったら、確かにイメージは「ほのぼの☆メルヘン☆虫の擬人化」で終わってたはずです。

 

妹子「こんなん読んだら二度と忘れないわ!」

 

何となく、児童書というものは、
「まんがよりもお上品で文学的で、意識高い系の啓発に満ちたもの」
という認識がありますが

 

それは幻想です。

 

内容は、鬼滅の刃であり、三国志であり、まどマギであり、メイドインアビスです。
(何かヤバそうなもの集めてみました)

 

異世界系なんてこっちが元祖です!
読んだら面白くてやめられなくなること間違いなしです。

 

 

妹子「シュヌックっていうんだ。こいつ女なの!?」
わたし「うん、それもね魔性の女!自由で残酷な悪女的な…美人だと思うよ」
妹子「虫でしょ?」

 

その突っ込みはいらないんだな!

 

この、きんばえをマミったとんぼこそ、シュヌック。

 

「とんぼ」と言うだけで、残念ながら、オニヤンマかどうかは判断できませんが、私の中では、残酷さ以上に強烈な魅力をもって記憶に残っているキャラです。

 

シュヌック、隙あらばマーヤも食ってしまおうかというような、獰猛な気配を見せます。
(カマキリ先生のオニヤンマの回を見てしまうと、みつばちごとき、いくら抵抗しても一瞬で食ってしまいそうではあります)

 

とんぼはいじわるな目つきをしました。食事をおえて、こんどはすこし前かがみになってとまり、ねらいをつけるようにマーヤを見つめていました。まるで、まさに獲物におどりかかろうとする猛獣のように見えました。

 

何となく、野生のねこっぽいです。
しかし、マーヤが戦うために羽を震わせて威嚇を始めると、少し態度を変えました。

 

とんぼは、おびやかすように、ゆっくり言いました。
「とんぼはみつばち族とは、いたってなかよく暮らしているんですよ。」
「あなたもそうしたほうがとくよ。」と、マーヤはすかさず言いました。
「あんたは、わたしがあんたをこわがっている、とでも思ってるの?──わたしが、──あんたを?」と、とんぼはたずねました。とんぼはぐいとあしの茎をはなしました。茎はもとの位置にはねかえりました。

 

とんぼの飛ぶ様子があまりにも美しいので、マーヤはすっかり魅了されてしまいます。

 

とんぼは、きらめく羽をさあっとはばたきながら、水の表面のまぢかまでおりました。それが湖にうつっているのは、見るからに全くみごとでした。二匹のとんぼが見えるようでした。二匹がガラスのような羽をたいそう早く美しく動かすので、明かるい銀いろの光が、まわりに流れているようでした。あまりみごとな光景だったので、小さいマーヤは、かわいそうなハンス・クリストフのために腹をたてたことも、危険なことも、すっかり忘れてしまいました。彼女は手をたたいて、すっかり感激してさけびました。
「まあ、きれい!まあ、きれい!」
「わたしのことを言っているの?」と、とんぼはあきれてたずねましたが、すぐ付け加えて言いました。「そりゃ、わたしは見てもらうだけのことはあるのよ」

 

うちとけた二人(二匹)は、自己紹介をしてお話を始めます。

 

マーヤのこの、切り替わりの速さ、そして感動しやすく、きれいなものを見るとすぐに我を忘れてしまうのも、いかにも子供らしい純粋さです。

 

妹子「こいついきなり馴れ馴れしくしてきて、お友達を食べた奴とお友達になってんじゃねぇ~よ!」
わたし「いやまぁ」
妹子「バリボリ食べたくせに」

 

(引用はしませんでしたが、シュヌックがはえを食べる時には、擬音も出てきます)

 

シュヌックは、涙ながらにすすり泣きながら、マーヤに弟のとんぼの死を語ります。

 

妹子「うぇぇーぐろすぎる!」
わたし「こっから先、そんなぐろい所あったかな」
妹子「シュヌックの弟が、男の子に捕まってポケットに入れられた!」
わたし「普通だ」

 

「少年は、腹がへると、うちの弟とかえるを捨てたの。(略)
弟はわたしの首をだいて、別れのキスをしたの。そして、男らしく、泣き言なんか言わず、小さい英雄として死んでいったの。弟のもみくちゃになった羽のさいごのふるえがやんだ時、わたしはかしの葉を彼の上にのせてやり、花の咲いているちどめぐさをさがし、その青い花が彼の名誉を記念して、墓の上でしぼむようにしてやったの。(略)
静かな夕べのなかへ、二つの赤い太陽に向かって飛んだわ。太陽が、夕空と湖とに、二つ見えたの。あれほど悲しい、おごそかな気持ちになったものは、ありゃしないわ。」

 

とても、さっきまでマーヤのお友達をばりっぼりやったうえに、マーヤも襲おうかなと思っていた同じ人(?)のいうセリフとは思えません。

 

しかも、訳し方によるのかもしれませんが、何となくすごく……色っぽいです。

 
妹子「う~ん。人間の男子というのが最悪だというのが今わかった

わたし「!?」

 

妹子「僕ヤバ(最近ハマっている漫画)とこれ読んで、人間の男子が気持ち悪くて大嫌いになった」
わたし「う、う~~ん……」
妹子「本当は知ってたけど、信じたくなかったんだと思う」

 

返事の仕様がない。

 

無数の明かるい色がぱっときらめきました。したたる水や、曇りのない宝石に見られるような、青白い、愛らしい色でした。シュヌックは、緑のあしの茎のあいだをぬけて、水の表面まで飛びだしました。彼女が朝日のなかで歌っているのが聞えました。マーヤはその美しい歌に耳をすましました。民謡の、うれいをおびたあまさがあって、小さいマーヤの胸を陽気に、そして同時に悲しい気分にしました。

 

シュヌックは、話したいだけ話すと、ぱっと飛び立って歌を歌います。

 

あたたかいもやと風と流れ、
翼にあたる熱い太陽。
心のなかの楽しさよ。
ああ、長くはつづかぬこのいのち、
かがやかしい夏よ、ありがとう。
きょうのこの日はかぐわしい。 

 

 妹子「シュヌック、マーヤとはまったく違うイメージだね」
わたし「そうでしょう」
妹子「短いスカート…上が派手な感じで金髪…光に反射して…」
わたし「ほう」
妹子「それでカラコンわざといれまちがえてピアスしてるJK」

 

どんなチャラ女子だよ!!!
しかもオッドアイ偽造かよ!!

コスプレイヤーみたいだよそれじゃあ!

 

もうちょっときれいめのお姉さんで想像してあげて。

 

わたし「続き読まないの?」
妹子「ちょっと落ち着かせて。衝撃的すぎた」

 

マーヤのほのぼのな旅は、シュヌックの登場で唐突に血まみれの弱肉強食展開になりました。

 

しかも、殺戮する捕食者でありながら、美しいというこの矛盾。

加えて、さっきまで話した虫を食べてしまったとんぼと仲良くお話をする。
そこでマーヤは、「人間→とんぼ→はえという、力関係を知りました。

 

わたし「矛盾が同時に存在しているのがにんげ…、キャラなんだよ。シュヌックは、こわいだけのひと…虫じゃないんだよ」

 

妹子「シュヌックの世界観では、とんぼが純粋無垢な優しい人。かえるがやくざで、(とんぼを捕まえた)男の子がそのやくざを動かしてる政界の悪い人」

 

どっから出てくるんだその発想。

 

 

もう無茶苦茶ですが、つづきます。

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

みつばちマーヤの冒険
ワルデマル ボンゼルス (著), 熊田 千佳慕 (著)

フランスのファーブル愛好家から"プチ・ファーブル"と親しまれている細密画家、熊田千佳慕氏が馬の毛3本の絵筆を駆使して5年、ついにあのワルデマル・ボンゼルスの名作"みつばちマーヤ"を美しい絵本として完成させました。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

完訳 ファーブル昆虫記
ジャン=アンリ・ファーブル (著), 奥本 大三郎 (翻訳)

読み継がれる昆虫の叙事詩、待望の完訳版!虫の詩人・ファーブルが著した昆虫自然科学の古典がファーブルの第一人者・奥本大三郎の解りやすい翻訳でよみがえる。詳細な脚注、訳注、細密な昆虫イラスト、美しい写真口絵が充実。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ジュニア版ファーブル昆虫記 全8巻セット
ジャン・アンリ・ファーブル (著), 奥本 大三郎 (著), 見山 博 (著)

大自然の調和と不思議を描いた永遠の名作を生き生きとした文章と豊富な図版で子どもから大人まで楽しめるシリーズです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

魔法少女まどか☆マギカ

大好きな家族がいて、親友がいて、時には笑い、時には泣く、そんなどこにでもある日常。市立見滝原中学校に通う、普通の中学二年生・鹿目まどかも、そんな日常の中で暮らす一人。ある日、彼女に不思議な出会いが訪れる。この出会いは偶然なのか、必然なのか、彼女はまだ知らない。それは、彼女の運命を変えてしまうような出会い--それは、新たなる魔法少女物語の始まり-- ©Magica Quartet/Aniplex・Madoka Partners・MBS

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

鬼滅の刃

時は大正、日本。炭を売る心優しき少年・炭治郎は、ある日鬼に家族を皆殺しにされてしまう。さらに唯一生き残った妹の襧豆子は鬼に変貌してしまった。絶望的な現実に打ちのめされる炭治郎だったが、妹を人間に戻し、家族を殺した鬼を討つため、“鬼狩り”の道を進む決意をする。人と鬼とが織りなす哀しき兄妹の物語が、今、始まる--! ©吾峠呼世晴集英社アニプレックスufotable

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

メイドインアビス

隅々まで探索されつくした世界に、唯一残された秘境の大穴『アビス』。どこまで続くとも知れない深く巨大なその縦穴には、奇妙奇怪な生物たちが生息し、今の人類では作りえない貴重な遺物が眠っている。「アビス」の不可思議に満ちた姿は人々を魅了し、冒険へと駆り立てた。そうして幾度も大穴に挑戦する冒険者たちは、次第に『探窟家』呼ばれるようになっていった。アビスの縁に築かれた街『オース』に暮らす孤児のリコは、いつか母のような偉大な探窟家になり、アビスの謎を解き明かすことを夢見ていた。 そんなある日、リコはアビスを探窟中に、少年の姿をしたロボットを拾い…?(C)2017 つくしあきひと竹書房/メイドインアビス製作委員会

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

僕の心のヤバイやつ
(少年チャンピオン・コミックス) 桜井のりお (著)

学園カースト頂点の美少女・山田杏奈の殺害を妄想してはほくそ笑む、重度の中二病陰キャ・市川京太郎。だが山田を観察する内に、京太郎が思う「底辺を見下す陽キャ」とは全然違うことに徐々に気づいていき…!? 陰キャ男子・京太郎の初めての恋、始まる。陽キャ美少女×陰キャ少年のニヤニヤ系青春格差ラブコメディ!!

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 児童書のはずなのに、今日はアニメや漫画連発の紹介になってしまいました。 

 

 

 

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こんとあき 秘密の花園 若草物語
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大人が読む児童書「みつばちマーヤの冒険」 2 マミられてしまったきんばえ。世界の美しさと残酷さ。

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

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みつばちマーヤの冒険
ワルデマル・ボンゼルス (著), ホーマー・ボス (イラスト), 毛利孝夫 (翻訳)

 

 

「昆虫すごいぜ」から、「みつばちマーヤ」

大人が読む児童書「みつばちマーヤの冒険」 1 エーミールを訳された高橋健二さん

 

 

 ※今回は、若干、閲覧注意!な内容です。

 

序盤の、生まれたてで、カッサンドラにお世話してもらうマーヤは、すごくかわいいです。

 

元気でちょっと生意気ですが、何だか上品です。

 

彼女(カッサンドラ)は、マーヤの美しくかがやいている、まだやわらかくて、まあたらしい、なんとも言えずすばらしくすきとおっている羽をつかまえて、あまり出はいりするもののないすみっこへおしやりました。はちみつのつまっているいくつかの穴の前でした。
マーヤは立ちどまって、戸だなの一つに、しっかりつかまりました。
「ここは、すてきなにおいがするわ。」と、マーヤはカッサンドラに言いました。

 

叱られると

 

マーヤは赤くなって、手の細い指を日本、口のなかへいれました。
「それなあに?あまのじゃくって?」と、彼女ははにかみながらたずねました。

 

カッサンドラが、花を暗記させようとすると

 

「第一行目はすぐにおぼえられますよ。『エリカとぼだいじゅの花』っていうの、まねして言ってごらん」
「言えないわ」と、小さいマーヤは言いました。「恐ろしくむずかしいわ。あとで自分の目で見られるんでしょう」

 

可愛い!
可愛さは正義ッ!

 

カッサンドラも、理由はわからないけれど、マーヤにとつぜん特別な愛情を感じ、ほかの子ばちには教えないようなことをさまざま、教えます。

中でも、この時カッサンドラに教えてもらった人間に対する特別な愛情とあこがれが、マーヤの心に強く印象づけられることになりました。

 

 

最初の飛行は本当に美しい描写です。
門の外の、最初のあふれる光、金と緑のかがやき、太陽、花、ひとつひとつの言葉が見事です。
こんな風に世界を新鮮で美しいと感じることがあっただろうか、と単純に感動します。

 

花のガクのことを、うてな、と訳しています。

 

彼女はうきうきとうれしくなって笑い、チューリップのうてなの中からみつの汁を深く一飲みすいこみました。 

 

チューリップのうてな、ってきれいな表現だな~~。
本当にうてなのことを「うてな」て書いてある文を、それほど読んだことがない気がします。
(この高橋健二訳マーヤでは、「うてな」の語彙は頻繁に登場します)

 

朝になったらなったで、朝つゆの表現がまたすばらしいです。

 

すると、花びらがかすかに動くにつれて、きらきら光る銀いろの玉が、彼女のほうにころがってきました。マーヤと同じくらいの大きさで、すきとおっていて、にじの七色にきらめいていました。このすがすがしい銀の玉のきらびやかさに、マーヤはうっとりしましたが、同時にひどくびっくりしました。すきとおったまりはころころところがって、花びらのふちを越して、かしいだかと思うと、日光のなかに飛びこんで、草のなかに落ちました。

美しい玉が下でたくさんの小さい真珠にくだけるのを見ると、マーヤはかすかに驚きのさけび声をあげました。ところが、こんどは草のなかで、たいそう生き生きとみずみずしくきらきら光り、ふるえる小さいしずくとなって、茎を伝わっており、燈火の光をうけたダイヤモンドのようにきらめくものがありました。それが、しめっぽい夜のあいだに、花のうてなのなかでできた大きな水のしずくだったことを、マーヤは知ったのでした。

 

マーヤが初めて目にした、「朝つゆ」。
この水滴ひとつを、ここまで丁寧な表現で、美しく描写しています。

 

これは、第二話のペッピーというばらこがねの家での話でした。

1話でみつばちの巣を出て、2話ではじめて会ったみつばち以外の虫との交流です。

 

さまざまな虫たちと出会いますが、みつばちは上品で高貴な一族、という位置づけです。

このばらこがねのペッピーは、若干粗野で、田舎紳士。お嬢さんが知り合った市勢の人といった感じです。

お嬢さんといっても、みつばちは戦う一族なので、弱い感じは一切ありません。
男女なんて感じさせない、(そもそも虫でもありますし)ちょっと不思議な雰囲気です。

 

 

さて三章。「森の湖とそこに住むものたち」です。
妹子さんは面白いと言ってご満悦です。

 

妹子「マーヤかわいい
わたし「そうだね」
妹子「わたしの中でね、マーヤはピュアで上品。白いドレスでね」
わたし「へー」

 

白いドレスのマーヤか。

 

妹子、今の世代の子どもたちもみんなそうですが、このマーヤのイメージがないのですよね。


 なので、どういう想像をしているのか聞くのが新鮮です。

 

妹子「そう、白いドレスでね、髪は長くて、はだしなの。いかにもみつばちっていう羽がついてて…みつばちの誇りを持っている」

 

確かに、このマーヤは生意気なかわいらしさはともかく、なかなか上品です。

 

妹子「いぶかしむ!って出てきたよ!すてきな日本語。怪しんでって意味だよね?」

 

学校で影響されて、虫やだ~とか言うのですが、マーヤを読むと影響されて、コガネムシ可愛いとかいうので、子どもはコッロコロ変わります。

 

ここから、💀閲覧注意!💀です。

 

 

「小さな鋼鉄いろのきんばえ」とマーヤ、話をする展開になりました。

 

妹子「ハンス・クリストフ?はえか…なら、目を大きくしないと🤔。蝶ネクタイをつけて…。」

 

絵のことを考えてるようですが、私は胸がどきどきしてます。
この先の展開、大丈夫だろうか…。

 

その時、まったく思いもしなかったような恐ろしいことが起こりました。(略)
ちょうど風が枯れ葉のなかでうなるようなひびきでした。そのうえ歌うような、ひゅうという声と、獲物を追うかん高い怒りのさけびが聞え、すきとおった美しい影が、マーヤのとまっている葉っぱの上をさっとかすめました。

 

とんぼです。

 

「水とガラスと宝石のようにきらめく」美しいとんぼが、たった今まで話していたきんばえ、ハンス・クリストフを捕まえてしまいました。

 

とんぼは、いたってうちとけて言いました。
「ちびさん、いったいあんたはどうしたの?」
「そのひとをはなしてやって。」とマーヤはさけびました。目に涙が浮かんできました。「そのひとは、ハンス・クリストフっていって……」
とんぼは、ほおえみました。

(略)

「そうね、こりゃ、かわいいちびさんだことね。」と、彼女はなさけぶかそうに答えてから、その頭をかみきりました。

  

妹子「こわっ!!!!こっわ。こっわ!!!いきなり猟奇的なんだけど!突然すごいびっくりしたんだけど」

 

わたし「食べられた?」

 妹子「恐すぎでしょ!これ怖い話なの!?読む自信なくしたんだけど!」

わたし「いやそこがピークだから。この先これ以上怖くならない。マジでそこが一番こわい。お母さんも読んだとき本当にびっくりした」

 

弱肉強食の世界、きれいごとでは終わりません。

 

あまりにも美しいこの世界には、唐突に、思いもよらない残酷なことが起きるのでした。

 

マーヤ、ペッピー、ハンスと名前がついていたり、挨拶をしたり、擬人化とでも言うようなキャラ造形なので、何となく予定調和なほのぼのを想像するでしょうが、そんな予想をこなごなに打ち砕く衝撃展開です。

 

わたし「妹子さん、大丈夫?」
妹子「これ、あれだよ!!マギってやつ!」
わたし「ま。マギ…?」
妹子「あの『わけがわからないよ』とか言う白いきつねみたいな奴が出てくる!頭からパクッと食べられちゃうあれ!」

 

も、もしかして…。
まどマギのマミさんのこと言ってる…?

 

わたし「いったいどこでまどマギを知ったんだ」
妹子「学校でもみんな知ってるよ。YouTubeでいっぱい出てるもん。」 

 

Youtubeェ……。

 

いくら家で必死になってロックしていても、友達から見せられるYouTubeまで防ぐことはできなかった……。

 

しかし、マミさんのおかげ?で、妹子はこの世界に残酷さが存在することには深く納得し、続きを読み進めていくのでした。
これでいいのか?

何か複雑……。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

魔法少女まどか☆マギカ

大好きな家族がいて、親友がいて、時には笑い、時には泣く、そんなどこにでもある日常。市立見滝原中学校に通う、普通の中学二年生・鹿目まどかも、そんな日常の中で暮らす一人。ある日、彼女に不思議な出会いが訪れる。この出会いは偶然なのか、必然なのか、彼女はまだ知らない。それは、彼女の運命を変えてしまうような出会い--それは、新たなる魔法少女物語の始まり-- ©Magica Quartet/Aniplex・Madoka Partners・MBS

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

みつばちマーヤの冒険
ワルデマル ボンゼルス (著), 熊田 千佳慕 (著)

フランスのファーブル愛好家から"プチ・ファーブル"と親しまれている細密画家、熊田千佳慕氏が馬の毛3本の絵筆を駆使して5年、ついにあのワルデマル・ボンゼルスの名作"みつばちマーヤ"を美しい絵本として完成させました。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ジュニア版ファーブル昆虫記 全8巻セット (日本語) 単行本 - 2005/4/1 ジャン・アンリ・ファーブル (著), 奥本 大三郎 (著), 見山 博 (著)

大自然の調和と不思議を描いた永遠の名作を生き生きとした文章と豊富な図版で子どもから大人まで楽しめるシリーズです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

完訳 ファーブル昆虫記 第1巻 上 (日本語) 単行本 - 2005/11/25 ジャン=アンリ・ファーブル (著), 奥本 大三郎 (翻訳) 5つ星のうち4.8 13個の評価

読み継がれる昆虫の叙事詩、待望の完訳版!虫の詩人・ファーブルが著した昆虫自然科学の古典がファーブルの第一人者・奥本大三郎の解りやすい翻訳でよみがえる。詳細な脚注、訳注、細密な昆虫イラスト、美しい写真口絵が充実。

 

 

「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492

 

プロジェクト・グーテンベルクについて
Wikiの説明ページ

プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館

 

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大人が読む児童書「みつばちマーヤの冒険」 1 エーミールを訳した高橋健二さんのマーヤ

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

みつばちマーヤの冒険
ワルデマル・ボンゼルス (著), ホーマー・ボス (イラスト), 毛利孝夫 (翻訳)

 

 

「昆虫すごいぜ」から、「みつばちマーヤ」

 

 

「みつばちマーヤ」と聞けば、かなりの確率でこちらのマーヤが思い浮かぶであろう昭和期アニメ版のマーヤ。
(最近はもう、記憶から薄れつつありそうですが…)

 

 

割と長い物語である完訳版、これがまたド派手に面白いものなので、ぜひ一度手にとって読んでいただきたいものです!

 

 

私が持っているバージョンは、この赤い「世界少年少女文学全集」です。

 

f:id:WhichBook:20210830100047j:plain

吉田健一さん訳の「アリス」と並んで、高橋健二さん訳の「みつばちマーヤ」は、大・大・大好きでした。

 

大好きだったこの一冊。
妹子にはうるさく言って、もう少し小さい頃に読んでもらったけど、もう一度読んでもらおう。

 

 

最近は、漫画や創作の方に気を取られがちですが、ただ読んで、というよりも
「ブログのネタにするから読んで」
と言った方が、読んでくれるという……。

 

複雑です。

 

もはやこのブログが子どもに本を読んでもらうための手段になっています。

 

そういうことを言わなくても、砂漠で水を飲むように、ガッツガツに読んでくれる子供たちもいるのですが、自分の子がそうとは限らないのが悲しいところです。

 

子どもは意志が出てくると難しい。

 

読み始めたらするすると読んでくれるし、面白い面白いと言ってくれるのですが、やっぱり、字の多い本というのは、ある程度一押しも二押しも必要なので、そこはやっぱり鋭意努力・工夫しないとダメなんだなと再認識する毎日です。

 

 

とりあえず、開けてみると、第三章でした。

 

第三章 森の湖とそこに住むものたち

 

う~ん、きれいな題名!
目次からして素敵!ウットリ。

 

そして、この第三章こそ、シュヌックの登場する回でした。
あまりにも好きすぎて、何度も何度も開いていたため、自然にこのページが開いてしまったようです。

 

このみつばちマーヤのお話。
ほのぼのとしたみつばちのぼうけん☆虫たちとの交流☆妖精たちも出て来てメルヘンチック☆
…だけでは、終わらない奥深さを持った作品です。
(おいおい、説明します)

 

 

もちろん、ざっくりと話してしまうと、
巣を抜けだしたみつばちのマーヤが、次々にいろんな虫たちと交流をしていく。
この大筋には変わりありません。

 

目次から見ていきます。

 

作者がみずから盛大にネタバレをぶちかましていますが、構わずにご紹介してしまいます。

 

カッコ内は、わたしがつけた、登場する昆虫の名前です。

 

第一章 ふるさとの町を出るマーヤ (みつばち)
第二章 ペッピーのばらの家 (ばらこがね)
第三章 森の湖とそこに住むものたち (きんばえ、とんぼ)
第四章 イッフィーとクルト (あり、まぐそこがね、こおろぎ)
第五章 ばった
第六章 プック (はえ
第七章 マーヤ、くもに捕らえられる (じょろうぐも)
第八章 かめ虫とちょうちょ (かめ虫、もんしろちょう)
第九章 ハンニバルと人間との戦い (きくい虫、ザトウムシ)
第十章 夜のふしぎ (蚊、夜こおろぎ)
第十一章 妖精の旅 (蛾、ほたる)
第十二章 ななほしてんとう虫、アロイス
第十三章 盗賊の城 (むかで、すずめばち)
第十四章 脱出
第十五章 帰郷
常十六章 みつばちとくまばちの戦い
第十七草 女王のおあいて役

 

このお話の訳では、「くまばち」になっていますが、英語版ではhornet。
スズメバチのことをさす「くまばち」であると考えて差し支えないと思います。

 

 

この「みつばちマーヤ」を訳されたのは、ドイツ文学者の高橋健二さん。

高橋健二 (ドイツ文学者) - Wikipedia

 

何といっても、このかたが訳された本の中でもっとも有名なのは、

 

「そうか、そうか、つまり君はそんなやつなんだな」

 

という、超有名なトラウマ級煽り文句を口にしたエーミールのお話。
教科書に載っている「少年の日の思い出」を訳された方です。

 

少し話はズレてしまいますが、先日、Twitterで「エーミール」ネタがバズっていました。

 

 

 

「そうか、そうか」ですべてがわかるというのはすごいことだと思います。

本歌取りではないですけど、日本ってこういう「知っていることが前提」という共通知識を取り入れて投稿をし、それがこうして話題になるというのは、とても…。

大好きです。 


そして、こちらにも書かれていましたが

 

高橋健二さんに、ヘッセが直接新聞の切り抜きを渡した、というのがすごいです。

 

この「少年少女文学全集」には、エーミールの話である「少年の日の思い出」が含まれています。

 

あとがきで、高橋健二さんがそのことについて言及されていました。

 

ここに集めた作品は、「寓話集」と「思い出草」から取ったものです。「少年の日の思い出」は、わたしがおたずねした時、ヘッセ自身がくださった切りぬきのなかから訳しました。

 

わぁ~本当だ! 

Twitterで話題になった記事から、リアルタイムで本の中から、ご本人のあとがきを確認できるなんて…。

 

日本でもっとも多くの人に読まれた海外文学作品が、本場のドイツでもほとんど知られていないなんて!

びっくりです。

 

 

この赤本の中で、ほかに掲載されているヘッセの作品は、ほかにも
「三本のぼだいじゅ」
「幼い友の死」
「少年時代から」
「幼い日の聖フランシス」
があります。

 

どれも、おそらく日本語に訳されている中でも貴重な作品だと思います。
わたしは「聖フランシス」の話が深く心に残っています。

 

…。

 

…この高橋健二さんが、「みつばちマーヤ」
また、ケストナーの「点子ちゃんとアントン」を訳されているんですよ!(意味もなくドヤ顔)

 

whichbook.hatenablog.com

 

ヘルマン・ヘッセに直接お話を手渡された人が、「点子ちゃんとアントン」を訳しているんですよー!!

大事なことなので二回言いました。

 

 

というわけで、「みつばちマーヤ」に戻りますが、これはたいそうドラマチックな筋立てです。

とてもエンターテイメントとして、盛り上がりも抜群ですし、映画になるのも、アニメになるのもよくわかります。

 

また、さすがにこの高橋健二さんの訳がうまい!!

 

「水の子」の単語でさんざんつまづいていた妹子、ゆっくり読む派も、マーヤはするする~っと読んでいきました。

 

whichbook.hatenablog.com

 

 

原文がグーテンベルクで公開されていますので、載せておきます。

 

ドイツ語版 「みつばちマーヤ」原文(挿絵なし)
 

英語版「みつばちマーヤ」
こちらは、割とリアルな挿絵つきです。

https://www.gutenberg.org/cache/epub/22354/pg22354.cover.medium.jpg     https://www.gutenberg.org/files/22354/22354-h/images/frontis.jpg

 

 

ワルデマル・ボンゼルスの著作で、フリーで読めるもの

 

 

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プロジェクト・グーテンベルクについて
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プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館

 


 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

みつばちマーヤの冒険
ワルデマル ボンゼルス (著), 熊田 千佳慕 (著)

フランスのファーブル愛好家から"プチ・ファーブル"と親しまれている細密画家、熊田千佳慕氏が馬の毛3本の絵筆を駆使して5年、ついにあのワルデマル・ボンゼルスの名作"みつばちマーヤ"を美しい絵本として完成させました。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

みつばちマーヤのぼうけん
中脇 初枝 (監修), 本田 久作 岡部 順 宮川 治雄 (著)

好奇心旺盛なみつばちの女の子マーヤは、外の世界へ飛び出します。フンコロガシやチョウなど、さまざまな虫たちと出会って……。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

みつばちマーヤの冒険 (絵本アニメ世界名作劇場)
アイプランニング (著), 日本アニメーション株式会社 (著), ウァイデマル・ボンゼルス (著)

ミツバチの女の子マーヤは、ミツバチの王国を飛び出して、外の広くてすばらしい世界で、不思議なこと、うれしいこと、悲しいことなどをたくさん経験します。やがて、古巣の王国へ帰ってみると、仲間が破滅の危機に…。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

文庫 少年の日の思い出
ヘルマン ヘッセ (著),  岡田 朝雄 (翻訳)

車輪の下』と同時代の初期短編集。青春の心の動きを類い稀な描写で描いた独自の世界。表題作は蝶の標本を巡る話で昆虫好きの訳者がこれまでの誤訳を詳細に正す。

 

こちらは、岡田朝雄さんによる改訂版です。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

教科書名短篇 - 少年時代
中央公論新社 (編集)

ヘッセ、永井龍男から山川方夫三浦哲郎まで。少年期の苦く切ない記憶、淡い恋情を描いた佳篇を中学教科書から精選。珠玉の12篇。文庫オリジナル。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

車輪の下
ヘルマン・ヘッセ (著), 高橋 健二 (翻訳)

ひたむきな自然児であるだけに傷つきやすい少年ハンスは、周囲の人々の期待にこたえようとひたすら勉強にうちこみ、神学校の入学試験に通った。だが、そこでの生活は少年の心を踏みにじる規則ずくめなものだった。少年らしい反抗に駆りたてられた彼は、学校を去って見習い工として出なおそうとする……。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ジュニア版ファーブル昆虫記 全8巻セット
ジャン・アンリ・ファーブル (著), 奥本 大三郎 (著), 見山 博 (著)

大自然の調和と不思議を描いた永遠の名作を生き生きとした文章と豊富な図版で子どもから大人まで楽しめるシリーズです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

完訳 ファーブル昆虫記
ジャン=アンリ・ファーブル (著), 奥本 大三郎 (翻訳)

読み継がれる昆虫の叙事詩、待望の完訳版!虫の詩人・ファーブルが著した昆虫自然科学の古典がファーブルの第一人者・奥本大三郎の解りやすい翻訳でよみがえる。詳細な脚注、訳注、細密な昆虫イラスト、美しい写真口絵が充実。

 

 

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雪のおしろへいったウッレ ジオジオのかんむり かさどろぼう
マーシャとババヤガーのおおきなとり おにたのぼうし ひっこしだいさくせん
トム・ソーヤの冒険 マリールイズいえでする だれにも見えないベランダ

 

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「昆虫すごいぜ」から、「みつばちマーヤ」

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

みつばちマーヤの冒険
ワルデマル・ボンゼルス (著), ホーマー・ボス (イラスト), 毛利孝夫 (翻訳)

 

 

みんな大好き、カマキリ先生。 

この夏休み終盤に、特集をしていました。

 

www6.nhk.or.jp

 

昆虫大好きのだんなが子どもそっちのけで見ています。

子どもらも虫は好きなので、ほ~とかへ~とか言いながら見ています。

 

私も普段積極的には決してしようとしない家事を、珍しくやりながら何となく流し見していたのですが…。

 

その中の一言に、食いついてしまいました。

 

わたし「そこ巻き戻して!」
だんな「いやこれ、いま放送してるやつだから。録画はしてるけど」
わたし「オニヤンマが何だって?」
妹子「突然どうした?」
わたし「オニヤンマ!すずめばちが何だって?」
妹子「オニヤンマとすずめばちは、永遠のライバルだって。お互いに食いあいをするんだって」
だんな「そうだよ、オニヤンマはすごいよ、もうギャングだから。スズメバチぐらい捕まえてあっという間に食べてしまうよ。でもスズメバチも、何匹も集まってオニヤンマをやっつけて食べてしまう。天敵同士だよ。」

 

わたし「…………!!!!!じゃあ、じゃあ、シュヌックは…!」

妹子「何!?何、どういうこと!?」

わたし「うわあああ」
 

(間)

 

というわけで(何がだ!)

次の児童書の紹介は「みつばちマーヤ」にしようかと思います。

 

そこで

・どうして「うわあああ」になったのか。

・どうして、オニヤンマとすずめばちの話なのに、みつばちマーヤになったのか

を、じっくりと話してみようかと思います。

 

 

一般的に、「みつばちマーヤ」と言われたらこれ!

 

もう昭和の記憶の彼方に消えそうですけど、あの頃は「みつばちハッチ」と双璧をなす人気アニメだったと記憶しています。

(私も実は微妙に時代がずれていて、ちゃんと見てるわけではないんですけど...)

 

 

私が愛読しているのは、こちらの「少年少女文学全集」の「みつばちマーヤ」
訳は、高橋健二さんです。

 

 

f:id:WhichBook:20210829122643j:plain

 

ここは、過去のカマキリ先生の、オニヤンマ回を回収したいところです。
NHK for school 」とやらで見ることができそうです。

 

これだ!

 カマキリ先生 オニヤンマ回

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

NHK「香川照之の昆虫すごいぜ!」図鑑 vol.1
カマキリ先生 (著), NHK「昆虫すごいぜ!」制作班 (著)

NHK香川照之の昆虫すごいぜ!」、待望の出版化。俳優、香川照之さんが扮する「カマキリ先生」が、黄緑の衣装に身をつつみ、昆虫の魅力を伝える。取り上げる昆虫は、カマキリ先生が「子どもたちに見てほしい、知ってほしい」という昆虫たち。番組のなかでは伝えきれなかった昆虫の生態を迫力満点のビジュアルとともに紹介する。

 

 ムックですが、図鑑が出ていたんですね!
カマキリ先生、すごい人気です。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

みつばちマーヤの冒険
ワルデマル ボンゼルス (著), 熊田 千佳慕 (著)

フランスのファーブル愛好家から"プチ・ファーブル"と親しまれている細密画家、熊田千佳慕氏が馬の毛3本の絵筆を駆使して5年、ついにあのワルデマル・ボンゼルスの名作"みつばちマーヤ"を美しい絵本として完成させました。

 

これは、子供むきの絵本です。
低学年にマーヤの存在を知ってもらうにはぴったりです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

みつばちマーヤのぼうけん (はじめての世界名作えほん)
中脇 初枝 (監修), 本田 久作 岡部 順 宮川 治雄 (著)

好奇心旺盛なみつばちの女の子マーヤは、外の世界へ飛び出します。フンコロガシやチョウなど、さまざまな虫たちと出会って……。

 

この「えほん」シリーズ、子供たち大好きですよね。
いつも書店さんの、クルクル回る本立てに群がって熱心に読んでいるのを見かけます。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

みつばちマーヤの冒険
アイプランニング (著), 日本アニメーション株式会社 (著), ウァイデマル・ボンゼルス (著)

ミツバチの女の子マーヤは、ミツバチの王国を飛び出して、外の広くてすばらしい世界で、不思議なこと、うれしいこと、悲しいことなどをたくさん経験します。やがて、古巣の王国へ帰ってみると、仲間が破滅の危機に…。

 

やっぱり、これですよね!これ!
ここからですよ。日本の「みつばちマーヤ」は…。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ジュニア版ファーブル昆虫記 全8巻セット
ジャン・アンリ・ファーブル (著), 奥本 大三郎 (著), 見山 博 (著)

大自然の調和と不思議を描いた永遠の名作を生き生きとした文章と豊富な図版で子どもから大人まで楽しめるシリーズです。

 

何となく、虫つながりでファーブルも。
という気分になりました。
本当にしっかりと訳されていて、虫ずきさんには絶対!必須!です。
プレゼントとしても絶対に喜ばれます。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

完訳 ファーブル昆虫記
ジャン=アンリ・ファーブル (著), 奥本 大三郎 (翻訳) 5つ星のうち4.8 13個の評価

読み継がれる昆虫の叙事詩、待望の完訳版!虫の詩人・ファーブルが著した昆虫自然科学の古典がファーブルの第一人者・奥本大三郎の解りやすい翻訳でよみがえる。詳細な脚注、訳注、細密な昆虫イラスト、美しい写真口絵が充実。

 

 絵から入るファーブルもよいかもしれません。 

 

 

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14ひきのあさごはん ちいさいモモちゃん(2) ルウのおうち フランクリンとルナ、本のなかへ
完訳 ファーブル昆虫記 第1巻 カッレくんの冒険 おやすみなさいおつきさま
こども論語 ものすごくおおきなプリンのうえで どんぐりむらのぱんやさん

 

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閑話 スマートメディアがやってきた。

閑話です。

 

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さて、長々とレビューしてきた「水の子」ですが、語彙の豊富さは暴力的なほどです。

 

あとがきにだって、「わからなければ読み飛ばしてよいのです」って書いてたぐらいですから。

 

しかし、そういう妥協や忖度が一切通用しない妹子があまりにも単語の一つ一つを質問攻めしてくるので、参ってしまい、絶対にスマートメディアを買うぞと決心しました 。

 

ひたすら面倒くさいの極みです。

 

本当に面倒くさいです。
はっきりいって、おちおちブログなど書いていられません。

 

自分で調べてと言って検索を解放すると、あっという間にYouTubeに気を取られてしまうので厄介です。

かといって、答えないのも何か悔しい。

 

スマートメディアがすべての検索に対応できるとも思えませんが、ある程度は軽減してくれるのではないだろうか。

 

そんな淡い期待を抱いて、いざ購入!

 

なぜGoogleを選んだかというと、バーチャルアシスタントって名前がついているではないですか。

iPhoneはシリ。
Amazonはアレクサ。

何か名前をつけて、疑似人格に寄せてそれっぽくしてるではないですか。

 

Googleはというと、「おーけー、ぐーぐる!」

 

身も蓋もないその潔さ。
逆に何となく好感が持てました。

 

 

きたーっ!!

 

Google Nest-Chalk ホワイト

Googleの声アクティブアシスタントを体験! Google アシスタントに知りたいことを尋ねて、レシピ、地元の企業、スポーツなどに関する視覚的な答えを得ることができます。

 (たしか、これよりもよい新機種が出ています。私は型落ちで安くなっているのを購入しました)

 

 

ここで箱の写真や、開封する経過をレポするとよいのかもしれませんが(そういう紹介、ありますよね)、そこが趣旨のブログではないので、華麗にスルーします。

 

見た感じや、手に取った感じの感想は「普通」。
Google以上に身も蓋もありません。

 

大きすぎず小さすぎず。
割とズッシリしているなと思った、そのぐらいです。

 

問題はこの後に起きました。

 

 

さてWi-Fiの接続設定をします。

 

5分後。
つながらないです。

 

10分後。
つながらない。再起動を繰り返します。

こういう機械系に強い兄助(久々に登場の長男)に確認してもらいましたが間違っていません。

 

20分後。
つながらない~~~ッ!!!

 

Google Nest」「再起動」などで検索した結果、どうやら、Wi-Fiルーターの問題だというのは理解しました。


APなんちゃらかんちゃらを有効にしなければならないのです。

 

「だから ルーター早く買えって言ってたのに~!」

 などと10年前のルーターに毒づきながら、どうしても諦めきれない。
旦那には内緒なので、帰ってくるのを待つわけにもいかないです。

 

子供ら「お父さんが見たら『また機械が増えたー!!』って言って投げ飛ばしちゃうんじゃない?」
わたし「大丈夫大丈夫。ちゃんと接続できてれば大丈夫」

 

初期の計画:部屋と同化させ、「あれっ?こんなのあったっけ?」「あったよ~前から」と、自然にすんなりと納得させる。

 

なんとしても自分で設定してしまわねばなりません…!! 

 

 

腰を据えて、もう一度ちゃんと情報を確認することにして、ルーターの型番を検索します。
さらに、AP Experience なんちゃらかんちゃらとやらを検索します。
(かなりうろ覚えです)
ルーターにボタンがついているとな?
表示された画像とは違うけど、ルーターの似たようなつまみをガチャガチャします。

 

何と、繋がりました!

 

奇跡だ。

 

これで繋がるとか、嘘だろ。

ドキドキしながら「Ok Google!」
わぁー反応してくれる。

 

f:id:WhichBook:20210828143726j:plain



 

レビューにも、いくつか、「接続できない。再起動ばかりする」と書かれてましたけど、このAPなんちゃらが原因っぽい気がします。

 

これはけっこう大きい。
すんなりつながらなかった場合、Wi-Fiの接続で投げ出してしまう人もいるかもしれません。

 

 

細かい設定はあとに回します。
何としても、YouTubeだけは阻止せねばなりません。
必死こいて検索します。

 

しかし、妹子が喜ぶこと喜ぶこと。
わたし「まって設定が」
妹子「OK、グーグル!放射能について教えて」

 

今!?
いきなりの質問がそれ!?

 

Google先生、思いっきりWikipediaの概要欄を読み上げてくるので、説明が難しいです。
子供向けではありません。

 

うーんこれは、失敗なのか?

…と思ったら妹子は、Wikipedia の説明のわからない単語を、さらにGoogleに聞いていたので、そこはすごいなと思いました。

 

このアグレッシブさは一切成績に結びつきません。

 

わたし「『水の子』からにしてよ!そのために買ったんだから~!」

 

結局

ウミテング ツチクジラ モリモク エレボス島

 など検索していました。

 

モリ=モクって、私も何だろうと思いながら、この年までスルーしていました。
鳥の種類だったんだ。へぇ~。

 

画像でも検索できます。
「〇〇の画像を見せて」
などで見ることができました。

 

とりあえず、ひと段落です。

 

f:id:WhichBook:20210828091017j:plain


後ろにうっすらと見えるのは、たぶん「なんでもいっぱい大図鑑 ピクチャーペディア」です。 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

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水の子―陸の子のためのおとぎばなし
キングスレイ (著), クルックシャンクス (イラスト), 阿部 知二 (翻訳)

煙突そうじの少年トムは,仕事中お屋敷のおじょうさんの部屋に入ってしまい,どろぼうとまちがわれてにげるうちに,川に落ちて「水の子」となります.ファンタジーの古典

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

なんでもいっぱい大図鑑 ピクチャーペディア 大型本
スミソニアン協会 (監修), DK社 (編集)

世界9ヶ国で発行の大百科図鑑がいよいよ日本上陸!国内では集まらない地球サイズのグローバルな内容!大人も知らない知識がぎっしり詰まっています。

 

 

「水の子」原文は、フリーで公開されています。 

www.gutenberg.org

「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492

 

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点子ちゃん あたまにかきの木 こわれた腕環―ゲド戦記〈2〉
きんぎょが にげた パパ、お月さまとって! モモ
ジオジオのたんじょうび 秘密の花園 オズのまほうつかい

 

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大人が読む児童書「水の子」 6 読了 復刊お願いしまぁ~~す!(サマーウォーズ風に)

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

水の子―陸の子のためのおとぎばなし
キングスレイ (著), クルックシャンクス (イラスト), 阿部 知二 (翻訳)

 

 

これまでのレビュー

「水の子」 絶版になっている貴重名作

大人が読む児童書「水の子」 1 レビューするのが難しすぎる。

大人が読む児童書「水の子」 2 そもそも論。水の子とは何ぞ?

大人が読む児童書「水の子」 3 「報いのおばさん」という妖精

大人が読む児童書「水の子」 4 語彙力の暴力

大人が読む児童書「水の子」 5 現代にも通じる痛烈な風刺と、「水のいぬ」

 

 

妹子も、多大なる時間をかけて、ついに終盤にたどりつきました。
スマートメディア、ありがとう、ありがとう!

 

このあたりの旅は(勉強の国のカブも)面白かったらしく、一つひとつうるさくコメントしていました。

 

カンムリガラスの娘さんが殺された話には、すごい衝撃を受けていました。
妹子「とつぜんどうした!?猟奇的!しかもひどい。これまでほのぼのだったのに!どうして!?」

 

このお話、脱線が多いですが、これらのたくさんの小話が面白いので、どれかは必ず記憶にひっかかってくる感じです。

 

 

世界の果ての牢獄のような所にグライムズはいます。

 

妹子「助けたくない人を助けるってグライムズなのー!?」
わたし「う、うん」

 

そこ、これまで気づいていなかったのか。

 

確かに、そこはよほど注意深く読んでいないと、ふわっとしていたからな。
って、あんなに詳細に読んでたくせに、そこは見逃してたんかーい!
と思いながら、ぶつぶつとつぶやきます。

 

わたし「なぜグライムズなのか。自分が虐待されて搾取されていて、もう二度と会いたくないし、助けたくもないと思っていたグライムズの所に来るというね。トムが自分で選んだ道で、その行為の意味というのはね…(ぶつぶつ)」

 

妹子「書きなよ」
わたし「はいっ?」
妹子「書いたら?それ」

 

ぶつぶつの内容:

 

・トムは別にグライムズにお願いされて許しに来たわけじゃない。
・強制はされなかった。
・おそらくトムは、グライムズを赦したときに、本当に自由になれる。自分のうらみから自由になれるとでもいうような意味で。
・そこにグライムズ本人の意思や選択は、あまり関係ない。彼は彼の思いがあるから。

 

とでもいうようなことを、ぶつぶつとつぶやきました。

 

 

絶版になっているので、結論を書いてしまいますが

 

グライムズは、煙突にぎゅうづめになって閉じ込められていました。
セメントのように固まって出られなくなってしまっているのです。
(これまでの習慣や、悪癖や、固定観念から出られないというような表現のようです)

 

あれこれ会話しているちに、トムが皆に追いかけられていた時に、親切にしてくれたヴェンデールの谷のおばあさんが、グライムズのお母さんだったことがわかります。

 

この事実が、グライムズの心を溶かしました。
涙を流したグライムズの、自らの涙が、固まっていた煙突のすすを溶かして、グライムズは出ることができるようになりました。

 

報いのおばさんは、最後に、トムとエリさんの前に美しい姿を現して、その正体を垣間見せます。
その姿が、一番最初にグライムズがトムを殴ろうとしたときにとがめたアイルランドの女や、海の女王や、また親切のおばさんと、姿が変わっていく…。
すべては一つの存在だったのか、それとも…。

 

とても神秘的で、この不思議な物語の幕引きにふさわしい感動です。

 

エリさんと二人、トムは、報いのおばさんに導かれて、「外の世界へ出る」ことになります。

 

 

ここで、不思議な「裏階段」というものが出てきます。


おばさんは、トムに「何なんですかそれは」と聞かれて、
「子どもには無理にいろんなことを教えなくてもいいのです」
なんて答えています。

 

妹子「階段…」
わたし「不思議だよね」
妹子「何なのこれは?」
わたし「それは自分で考えるんだよ」
妹子「たとえば。ブログ書くんでしょ」

 

ぎゃふんです。

 

わたし「お母さんが想像したのは、たとえば…不死のとびら…全能の力…どんな悪いことしても天国にストレートで行けちゃうパスポートのようなもの…死者を生き返らせる力のような…リセットボタンのような…時間を巻き戻すような…バッドエンドをひっくり返すような…」

 

妹子「このこん棒、けっこう可愛いね」
わたし「聞いてないのかよ」

 

こん棒に目と鼻がついていて、警察官の役割をしているのですが、絵がなかなか可愛いです。
(一応説明)

 

 

この本について、あとがきで、阿部知二さんの息子の阿部良雄さんがこんな風にこの本について、紹介してくれています。

 

(この「水の子」の中での、子どもたちへの)励ましのことばが、グレンヴィル・アーサー坊ややそのほかのちいさな少年たちに向けて語られているのは、男性と女性の任務や生き方がはっきりと区別されていた十九世紀英国のお話だからです。今日の私たちは、この教訓が、すべての男の子、すべての女の子のために向けられたものだと思いながら読むのが、当然ではないでしょうか。

でもこれは、そういう教訓ばかりの、かたくるしいお話ではない。それは、作者自身も言っている通りです。何よりもまず、美しい、おもしろいおとぎ話なのだ。このあとがきを書いている私は昭和七年の生まれですが、父の知二が若いころに訳して昭和六年にはじめて本になったとの童話を、子どものころ、くりかえしくりかえし読んであきなかった、なつかしい思い出があります。その後も昭和二十二年に東郷青児画伯のさし絵入りで再版され、昭和二十七年にも岩波少年文庫の一冊としてあらためて本になりました。今度は最初に本が出てからもう五十年近くたっていることではあり、ことばづかいなどもわかりにくくなっている点が多いので、なくなった父に代って私が、岩波書店編集部のご協力を得て、全面的に手を入れました。ずいぶん読みやすくなったのではないかと思います。知らない人の名前や何かがたくさん出てきても、そんなものは気にせずどんどん読み進めばよいのです。グレンヴィル・アーサー坊やや十九世紀英国の子どもたちにしても、そんな名前をぜんぶ知っていたわけではないと思います。

 

まさに、この本は何度読み返しても面白く、また新たな発見がある本です。

 

 

搾取される子どもたち

 

先日の「ヤマネコ号の冒険」でも、キャビンボーイとして働く、下層階級の労働力として扱われる子どもの姿が描かれました。
ランサムもキングスレイも、そういう児童労働問題や、貧困に対して、じっと目を向けていたのだなあという印象です。

 

それも、決して「助けてやろう」「ひどいなあ」などという上から目線ではないのがまた特徴的です。

 

アーサー・ランサムでは、自立して働いている少年に対するリスペクトがあふれていました。
「ヤマネコ号」のビル少年は、海事技術に関しては、ずっとウォーカー兄弟姉妹たちよりもベテランですし、そのことに誇りをもっています。
ビル少年が海賊どもの間で覚えた悪いこと(噛みタバコなど)も、責めたりやめろと言ったりはしません。

 

階級は階級として存在しながらも、人間性を鋭く見抜き、尊重し、対等として見ている、そんな目線です。

 

 

 

グライムズは、悪いことだけしてきた人間です。

 

今回、読み返してみると、実はこの物語、
グライムズのためのお話だったのではないか?
と、そんな気がしてきました。

 

トムは冒頭で、ちいさなグライムズみたいな感じでした。
大きくなれば、グライムズみたいになっただろうな、というイメージです。

 

このお話は、煙突につめこまれてにっちもさっちもいかなくなっている、固定観念に縛られて、どこにも行けなくなっている大人たちへの物語でもあるのではないだろうか。
なぜなら、大人でなければわからないような個所がたくさん出てきますから。

 

子どもだけに書いたのではない。
もし子供が読んだとしても、その人が大人になったときにまた読み返して、子供に帰ることもでき、また大人として新たな気づきも見いだせる。

 

報いのおばさんが、とても難しい顔をして、
「グライムズのような人間をどうにかするのは、とても難しいことだ」
と言うほどだった、そんなグライムズのような男の中にひそんでいる、少年の心に向けて語っている面もあるのではないだろうか。

 

グライムズを救えるのは、グライムズの中の、小さな少年だけなのではないか。

 

そんな風にも感じました。

 

何にしても、これは本当に名作なので、
復刊!
どうか!復刊を!

 

お願いしまぁ~~~~す!!!
(ぽちっ)

  

復刊ドットコムの投票ページです。

www.fukkan.com

 

(登録してログインをする必要がありますが、何ら宣伝のたぐいはないです)

 

 

そして、ここまで長い長いレビューにお付き合いくださった方、ありがとうございました!

 

whichbook.hatenablog.com

 

 

「水の子」原文は、フリーで公開されています。 

www.gutenberg.org

「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492

 

プロジェクト・グーテンベルクについて
Wikiの説明ページ

プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ヤマネコ号の冒険
アーサー・ランサム (著), 神宮 輝夫 (翻訳)

ツバメ号とアマゾン号の乗組員たちは、老水夫ピーター・ダックと知りあい、帆船ヤマネコ号で、イギリス海峡に船出しました。ところがピーター・ダックの宝をつけねらう海賊、ブラック・ジェイクがあらわれ、しつこく彼らを追いまわします。初めて味わう本格的な航海の喜び。熱帯の島で起きる思わぬ事件。海洋冒険物語。

 

改めて、「ヤマネコ号の冒険」といい、「水の子」といい、児童書は子供への愛にあふれたものなのだなと再確認です。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

カーディとお姫さまの物語
ジョージ・マクドナルド (著), 竹宮 恵子 (イラスト), 脇 明子 (翻訳)

少年カーディが地下のゴブリンの国からお姫さまを救いだしてから1年.お姫さまの命と王国がまた危険にさらされました.悪賢い従者たちが権力と富をねらって策略をめぐらしはじめたのです.

 

マクドナルドが好きなかたは、きっと「水の子」が気に入っていただけると思います。
神秘的な所や、不思議でありながら面白いところ、共通点がいっぱいです。

 

 

 

 

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大人が読む児童書「水の子」 5 現代にも通じる痛烈な風刺と、「水のいぬ」

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

水の子―陸の子のためのおとぎばなし
キングスレイ (著), クルックシャンクス (イラスト), 阿部 知二 (翻訳)

 

 

これまでのレビュー

「水の子」 絶版になっている貴重名作

大人が読む児童書「水の子」 1 レビューするのが難しすぎる。

大人が読む児童書「水の子」 2 そもそも論。水の子とは何ぞ?

大人が読む児童書「水の子」 3 「報いのおばさん」という妖精

大人が読む児童書「水の子」 4 語彙力の暴力

 

 

 

長いお話なので、もう一度おさらいしてみます。

 

・トムは、グライムズ親方のもとでの放埓な煙突そうじの小僧としての生活から、エリさんという別世界の存在とも思えるほど自分と違う少女と出会いました。

 

・そこで、トムの心を打ったのは、
「自分は大切にされた子どもではない」
ということでした。

 

・トムは冤罪によって群衆から追いかけられまくって川におち、水の子として生まれ変わりました。

 

・「水の子」となったトムは、児童労働をするわけでもなく、虐待されるでもない、自由でのびのびとした「子どもらしい生活」を送ります。

 

・自由な生活から、報いのおばさん、親切のおばさんという、母性の二面にあたたかく抱きとめられ、悪いことをしたら叱られる、さまざまなことを学びます。

 

・もう一歩成長するためには「したくないが、しなければならないこと」をする必要がある。
かつてのトムにとっては避けがたい運命であり、圧倒的な力を持っていたグライムズ親方と向き合わねばならないのだ、ということを悟ります。

 

・グライムズ親方を探す旅の途中で、トムはさまざまなものを目にすることになります。

 ☝イマココ

 

 

さてこのお話は、348Pあります。

 

初期のトムが逃れようがなかった「グライムズ親方」という存在。
搾取され、虐待されていた相手です。
でも、当時のトムは、それが当たり前の生活であって、ひどいことなのだということも知りませんでした。

 

やっと逃げ出せた相手を今となってあえて探す。

 

それは、トムが成長して、親方にも面と向かうことが出来るようになったからなのだろう、と思います。

 

この核心に向かって、旅をしていくトム。
ついにグライムズにたどり着き、クライマックスから感動のラストシーンを迎えるまでの流れは、残り20Pに集約されています。

 

348Pあって、トムが旅に出るのが237Pですから、
(いったい何を計算しているのか…)
残り111ページあるわけです。

 

その111ページの中の、91ページが、旅です。

 

 

 旅のおともをする、水の犬というのが出てきます。
かわいいです!

 

いかにもタイタニックっぽい感じの難破船から、飼い犬が海に落ちて、水の犬になったのです。

 

(このお話が書かれたのは、タイタニックよりもずっと昔なので、ここで難破しているのは帆船です)

 

トムと水の犬が旅する間に見るさまざまな事物や事件。

 

こうして改めて読んでいると
「本当のことしか書いていないな」
と思います。

 

たくさんの、社会への風刺を含んでいます。

 

・カンムリガラスの娘ガラスが、理不尽なおきてによって、みんなの真ん中に立たされて、つつき殺されてしまうというお話があります。
 あれ?どこかで聞いたような…。

 

・うわさの国(笑)
 いやだ行きたくない(笑)

 

・小さな国の小さな世界の本しか読まない国
「本を読んでは、自分が大統領のようにもまけないくらい偉くなったと思っているのだった」
まあ、皮肉!

 (トムがこの本よりもいいなと思ったのは「ジャックと豆の木」「美女と野獣」でした)

 

・「世界連合の人間会議」というものの中のたちのよくない党に所属していた人たちの国。
な……なんですとー!

 

自分のことをたなにあげて、他人のおせっかいをする。(略)朝から晩まで口をまげては、世の中が気に食わないといってはぶつぶついっていた。

 

これは、本当に1862年の本なんでしょうか。
怖い。

 

キングスレー先生の毒舌、留まるところ知らずです。 

 

1862~63年の歴史をWikipediaさまに教えてもらったら、この頃は生麦事件が起きたり、リンカーンが黒人解放宣言をしたりしていました。

大きく時代が動いているときだったんですね。

 

 

 

 

やっぱり、一番強烈なのは、勉強の国のカブたちのお話です。
これ、自分が子供のときも好きな箇所でしたし、妹子も気に入りました。

 

キングスレーの、子どもたちに対する考えの一端が見えるようです。

 

子どもというものは、花を摘んだり、どろ遊びしたり、鳥の巣をつついたり、スグリの木のまわりでダンスしたりしていればいいのです。それを、この国の親たちは、学問をさせるばかりです。勉強、勉強、勉強。ふだんの日にはふだんの日の課業、日曜には日曜の課業。土曜ごとに試験。毎月試験。その上一年一年で試験――それも一度では足りないとでもいうのか、一つの課目を七度試験する。まるでお祭騒ぎです。とうとう頭ばかり大きくなって、体は小さくなって、カブラになってしまったのですよ。中身はほとんど水ばかり。まだその上に親たちといったら、ちょっとでも青い葉が生えるともぎ取ってしまう。子どもたちが生き生きしてはいけないと思ってるんでしょうよ。

 

 

詰め込み教育がゆきすぎて、無茶をして死んでしまったカブの子を、聖者だ!殉教者だ!と喜ぶ親カブラ…。

 

キングスレー先生は自分が牧師なのに、迷信や狂信については非常に厳しいです。

 

 

 

 

次第に近づいてくる、グライムズという核心。

 

トムがやっと逃れられた最初の運命に、勇気をもって近付くごとに、海の中のファンタジーの世界から、よりいっそう現実世界に近付いているようです。

 

摩訶不思議な旅をしているようでありながら、もしかするとこれは、読み手の精神の旅であったのかもしれない、と思い始めました。

 

心の旅……?

 

何となく、星の王子さまっぽくもあり、また、ダンテの神曲のようでもあります。

 

もしかすると、トムもエリさんも死んだのだろうか?と思っていたのも、これは、「精神の死」のようなものを暗示していたのだろうか? 

 

 

妹子「ここはもう読み飛ばそう」
わたし「それでいいよ(助かった)」
妹子「ラピュタが出てきた!」
わたし「ガリバー旅行記だ!ジブリラピュタガリバーからとってるんだよ」
妹子「ええー!!!うそぉー!!」

 

ガリバー旅行記の影響すごい。
 

もしかすると、作者キングスレーは、ガリバー旅行記の子ども版のようなものが書きたかったのかもしれません。

 

whichbook.hatenablog.com

 

 

「水の子」原文は、フリーで公開されています。 

www.gutenberg.org

「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492

 

プロジェクト・グーテンベルクについて
Wikiの説明ページ

プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

星の王子さま
サン・テグジュペリ (著), 管 啓次郎 (翻訳)

砂漠のまっただ中に不時着した飛行士の前に現れた不思議な金髪の少年。少年の話から、彼の存在の神秘が次第に明らかに……生きる意味を問いかける永遠の名作、斬新な新訳で登場。

 

新訳の星の王子さまです。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ガリバー旅行記 Kindle版
ジョナサン スウィフト (著), 原 民喜 (翻訳)

18世紀前半のアイルランドの作家ジョナサン・スウィフトの風刺小説で、昭和初期~戦後期の抒情作家・詩人である原民喜の唯一の翻訳作品。奇妙奇天烈な国への旅行記を装った当時の社会への痛烈な風刺である。

 

さすがは人気のガリバー旅行記
大人向けも、子ども向けも、ものすごくたくさんの訳がありました。
しかし、このkindle版のよいところは、何と0円!

少々の訳の古さは多めにみようというものです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ガリバー旅行記 (10歳までに読みたい世界名作)
ジョナサン スウィフト (著), 芝田 勝茂 (翻訳)

大の冒険好きのガリバーが乗った船が、大嵐にあいました。ある島で目覚めたガリバーはびっくり! 12分の1くらいの人間が、まわりにぞろぞろ。「こびとの国」での冒険はいかに! オールカラーイラストでさくさく読める世界名作シリーズ、第4弾

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ガリヴァー旅行記 (岩波少年文庫)
スウィフト(著),中野好夫(訳)

1726年に書かれて以来,世界中の大人と子どもに愛読されてきた名作.船医のガリヴァーが航海に出て見聞したふしぎな国々「小人国」「大人国」での奇想天外な事件を語る.〔解説 海保眞夫〕

 

色々ありますが、これはちょっとはずせない!
なぜなら、中野好夫さんが訳されているからです。
さすがは岩波少年文庫です。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ガリヴァー旅行記
スウィフト (著), 平井 正穂 (著)

子供のころ誰しも一度はあの大人国・小人国の物語に胸を躍らせたにちがいない.だが,おとなの目で原作を読むとき,そこにはおのずと別の世界が現出する.他をえぐり自らをえぐるスウィフト(一六六七―一七四五)の筆鋒は,ほとんど諷刺の枠をつき破り,ついには人間そのものに対する戦慄すべき呪詛へと行きつかずには止まない.

 

これは、大人向けの本の方ですね。
風刺が本当にえぐいので、どんどんテンションが低くなっていき、 「馬の国」から帰るときには、もう人間世界では気持ち悪くて暮らせないぐらいになってたりします。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ガリバー旅行記 (21世紀版・少年少女世界文学館 第4巻)
ジョナサン・スウィフト (著), 加藤 光也 (翻訳)

異界の国々をめぐる奇想天外な冒険旅行記 「もうだめだ、つぎの1歩でふみつぶされてしまう。」小人国の怪物も、大人国に行けば、こんなありさま 冒険、正義、愛情、涙と笑い――世界の名作にドキドキ、ワクワク

 

これは子ども版です!
でもやっぱり、子ども版とはいっても、大筋の風刺の部分は残っているものです。
そこがないと面白くないんですよね。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ガリバー旅行記 (角川つばさ文庫)
サラ・ウィルソン (著), 東京ゴールデン商会 (著), はしもと しん (著)

ちょっとホラふきのメールボーイ・ガリバーに、トラベルライターの仕事が舞い込んだ。いざ、バミューダ・トライアングルへ! 大嵐に巻き込まれ流れ着いたのは、小人たちの国。抱腹絶倒の現代版ガリバーの冒険!

 

kindleで出ているものも多いです。
今すぐ読もうと思えば読める、電車の中で静かにさせようとするときにも、YouTubeよりもkindle児童書の方が、こう……何か、教育的によさそうですよ!(宣伝)

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ガリヴァー旅行記 (福音館古典童話シリーズ 26)
ジョナサン スウィフト (著), C.E.ブロック (イラスト), 坂井 晴彦 (翻訳)

人間の背丈が15センチほどの小人国。一方、20メートルを越える巨人の国。ガリヴァーの数奇な運命が繰り広げる数々の冒険を、約100枚の原書のさし絵を完全復刻しておとどけします。

 

岩波にするか、福音館にするかは、非常に悩むところです。
うーーーん。どっちも読みたい。
こういうときこそ、図書館の出番です。
岩波さんは最近、積極的にkindle展開しているので、ハードカバーの本で福音館、kindleで岩波という手もありそうです。 
(どっちも欲しいな・・・という、夢を語っています。)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ガリバー旅行記 (講談社青い鳥文庫 )
ジョナサン=スウィフト (著), 金 斗鉉 (イラスト), 加藤 光也 (翻訳)

ねている間に手足と体をしばられ、台車にのせられて小人国の都につれてこられたガリバー……。小山のような人間に、都は大さわぎ!左足を鎖でつながれたガリバーは、小さな皇帝と会いますが……。小人国、大人国、飛ぶ島、馬の国をめぐる、ガリバーの楽しい冒険をえがいたイギリスの風刺文学の傑作。

 

もう絶版になってしまったのでしょうか?
古本で49円で売られていました。
しかし、評価で「子供むけかなあ…?」と書かれているところをみると、かなり忠実にきちんと訳されているのではないでしょうか。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ガリバーの冒険
井上 ひさし (著), 安野 光雅 (イラスト), ジョナサン スウィフト (原著)

1969年に刊行された幻の共作を、安野氏が絵を全面描きなおして現代に復刊。子どもから大人まで楽しめるユーモアあふれる絵本です

 

絵本なので、子どもたちへのとっかかりはここからではないかと思います。
読み聞かせにもむいています。
安野 光雅さんの絵がとても素敵で、文章は井上ひさしさんという、あるいみすごく豪華な絵本です。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

神曲 地獄篇 (河出文庫)
ダンテ・アリギエーリ (著), 平川祐弘 (翻訳)

一三〇〇年春、人生の道の半ば、三十五歳のダンテは古代ローマの大詩人ウェルギリウスの導きをえて、生き身のまま地獄・煉獄・天国をめぐる旅に出る。地獄の門をくぐり、永劫の呵責をうける亡者たちと出会いながら二人は地獄の谷を降りて行く。最高の名訳で贈る、世界文学の最高傑作。第一部地獄篇。

 

これはおとな版です。
さすがにこれを子どもに読ませるのはきついです。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

長い長いお医者さんの話
カレル・チャペック (著), ヨセフ・チャペック (イラスト), 中野 好夫 (翻訳)

チェコの文豪カレル・チャペックの楽しい童話集。しんせつな町のお医者さんたちや、はたらき者の郵便屋さんが活躍するしゃれたおとぎ話9編を、兄ヨセフのゆかいな挿し絵が飾ります。

 

中野好夫さんのすばらしい訳が光る本です。
チャペックのお話がまた、とても面白いです。
これも語彙の豊富な一冊です。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

アラビアン・ナイト
ディクソン (編集), ジョン・キデルモンロー (イラスト),  中野 好夫 (翻訳)

 

 ディクソン版のアラビアン・ナイトを、中野好夫さんが訳されています。
読めばわかりますけど、そこかしこで「ええっ?ええええっ!?」がてんこもりで、夢中になれること請け合いです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

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春がきたよ、ムーミントロール ぶたたぬききつねねこ チム、ジンジャーをたすける
めっきらもっきら どおんどん どろんこハリー 路傍の石
あばれはっちゃく ‐ワンぱく編 おまたせクッキー つみきのいえ

 

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