今日、ご紹介するのは児童書です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
今日の一冊
「くまの子ウーフ」の物語は、1969年の刊行以来、小学校の教科書をはじめ、さまざまな形で読み継がれてきたロングセラーです。卵を割ると、必ず卵が出てくることに感心し、自分が何でできているか真剣に考えるウーフ。子どもたちはウーフとともに考え、発見の喜びに目を輝かせてきました。また、命のふしぎと生きることの本質をあざやかに描いた物語は、幅広い層の読者の共感を集めてきました。時代を経てますます輝きを増すウーフの世界をたっぷり味わえる「くまの子ウーフの童話集」を、コンパクトなサイズにリニューアルしてお届けします。
大人が読む児童書「くまの子ウーフ」1 反応が鈍くてトロいからって、傷付いていないわけじゃない
やっぱりウーフを語る上では外せない存在。
それはツネタです。
以前、「そらいろのたね」でも言及しましたけど、妹子と兄助のツネタの嫌いっぷりは度を越しています。
◇
ツネタ初登場回は、第2話。
ウーフは おしっこでできてるか?
これまで、変わった題名です!
冒頭で出てくる、パンとはちみつと目玉やきの素晴らしさ。
ウーフのお母さん、片手で卵を割ってます。
おさらにのせた目玉やきは、金色にかがやいています。
ウーフは、はちみつをつけて、パンをたべました。それから、おさじでたまごのきみをすくいました。
この、たまごのきみの美味しそうなこと!
子供たち、実は卵の黄身が苦手なのですが(実はわたしもです)それはそれは一生懸命食べようとしてくれるようになりました。
◇
卵の黄身を食べながら、相変わらずいろんなことを考えているウーフ。
今度は、たまごって何からできているんだろう?と考えています。
なんていい疑問なのでしょう。
ウーフのお父さんもそう考えたみたいで、とつぜん会話に参加して、熱心に夫婦に説明しています。
卵は黄身と白身からできている。
おさじはステンレス。
パンはこむぎこ。
椅子、座布団、いろんなものがいろんなものからできている。
ウーフはすっかり嬉しくなってしまいました。
「へえ、ぼく、なにがなんでできてるか、すっかりわかっちゃった。よし、きつねのツネタくんにも教えてやろう。」
◇
途中でめんどりに会いました。
ウーフは、ちゃんといつもたまごをもらっているお礼の挨拶をする、よい子です。
自分の考えたいろんな空想でめんどりを煙に巻いてしまうウーフ。
びっくりしてめんどりは卵をうみおとし、ウーフはそのたまごをもらいます。
うみたての、ほかほかのたまごです。
ここで、ツネタ登場です!
「おはよう、ウーフ。どこへいくの。」というのが、このツネタの第一声なのですが、読み聞かせのとき、私はいつも、感じ悪く読んでしまいます。
とにかくこの子は、なんとも感じが悪いのです。
◇
ウーフは天真爛漫に、さっきまでの「何が何でできているか」という話をツネタにしてみせるのですが、こいつはウーフの言うことを、頭からてんでバカにしている感じです。
逆に聞き返して来ました。
ウーフは一体何でできているのかと。
困ってしまったウーフ。
パンとはちみつと、たまご……?
なんて可愛いー!
なんて純真な子なんだー!!
ツネタは馬鹿にしたように言います。
「めんどりはたまごをうむ。けれど、ウーフはうまないよ。うまないかわりに、からだからだすのはおしっこさ。はは、ウーフはね、おしっこでできてるのさ。じゃ、このたまご、もらってくぜ。ばいばい」
さっとウーフの手からたまごもひったくって取って走って去っていくというおまけつき。
妹子「は?泥棒」
新たな発見、気付きをもたらしそうな、そういう所から化学に興味をもちそうな、「この世のものは何でできているのか?」というウーフの純粋な問い。
それらをぜんぶ、このイヤミなことばと行動で、何もかも、一瞬で無にするツネタ!
第一話に出てきたフナも、こういう感じで感じが悪かったのですが、フナはまだ「くまに対して警戒心を持っており、捕食される側である」という前提があります。
まあ言ってみれば、イヤなことを言う理由があるとでも言いましょうか
しかしツネタはそんなの何もないんです!
しかも、一番近所に住んでいて、年も近く、日々交流しているお友達っぽいのです。
こいつはただ単に意地悪なんです!
意味もなく。
◇
いま大人の立場から言うと、まあ、先生方ほどたくさんの子供たちを見てきたわけじゃないにしても、やっぱり思うのはツネタこそ子供、そのままの姿、ということです。
ウーフのおっとりした、ぼわんとした所が、頭も口もまわるツネタのような子にはちょっと目ざわりで気に入らないんですよね。
ムラムラッと、いじめてみたくなる。
言っても響かない様子だから、強いことばで傷付けて、ぶちこわしにしたくなる。
おっとりタイプのお子さんのお母さんて、こういう姿を、よく園でも公園でも、家で遊んでいるときでも、見ることがあると思います。
そういうとき、ママさんたちは、見ていることしかできないので、本当につらいみたいです。
第三者的に見ていても、相当にイヤな感じなのに、当事者だととても冷静ではいられなさそうです。
◇
ウーフは、ツネタを追いかけている間にころんでしまい、泣きながら立ち上がりましたが、あれっと思いました。
自分からは、おしっこだけじゃなくて、血も出る詩、なみだも出る。
ウーフは、足をひきずりながら、歩きだしました。
きんぽうげの花は、きらきらかがやき、野原を気もちのいい風がふいていきました。
美しい周囲の景色が、次第にウーフの気持ちを変えていきます。
ウーフは、青い空を見ながら草原をころがって帰ることにしました。
「足がいたくたって、へいきだい。ころころころころ、おもしろいや。ぼくは、ウーフさ。くまの子ウーフはいたいと思ったり、たべたいと思ったり、おこったり、よろこんだりするんだ。おしっこなんか、そんなことかんがえっこないさ。ころがってかえるなんてすてきなこと、なみだも、ちも、かんがえつかないさ」
なんて偉いんだろう。
自分で立ち直って、そして、想像する力も失わない。
むしろ、あれこれと想像することがウーフを立ち直らせたのだともいえる気がします。
◇
しかし、残念ながら兄助や妹子のようなタイプには、まったくこのような、内省によって到達するような境地には至らず、
このありさまです。
写真ではよく撮れなかったのですが、ツネタの顔が、めちゃくちゃにツメでかじられてます。
これ、二話目のつぎの、三話目の表紙なのです。
二話があって、次の話はどうかと思って開いたら、どかんとツネタがでっかく出てきたもんですから、それで、この野郎!出やがったな!という気持ちが抑えきれずに、がりがりにひっかいたらしいのです。
その憎しみが、かえってそこなっているというか……自分の世界を持つウーフのつよさ、しなやかさ、やわらかいすてきなところをもっと思い出して欲しいのに………。
ここまでしても、破れなかったこの本の装丁はほんとにすごいなと思いました。
◇
そう思いながらも、ここまでこの本が、子どもたちの心をとらえて離さないのは、やっぱりツネタの存在がものすごく本質を突いているというか、痛いところに刺さるからではないか、と思いました。
ありのままの子どもの真実を、えぐるほどするどく、描き出しているからではないでしょうか。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ゆうじが模型飛行機を飛ばしていると、きつねがやってきて「そらいろのたね」と模型飛行機を交換することになりました。そらいろのたねを植えて水をやると、なんと空色の家が生えてきたではありませんか! 空色の家はみるみるうちに大きくなり、たくさんの動物や鳥や子どもたちの楽しい遊び場になります。しかし再びやってきたきつねが、みんなを追い出して空色の家を独り占めしてしまいます。きつねが家にはいると、空色の家はさらに大きくなって……。
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カムは、湖のそばにたち、金のユビワを北にむかって、三ど大きくふりました。かあさんのびょうきをなおすイノチノクサをもとめて、火の山にすむ大オニ・ガムリイと対決するカム。リズム感あふれる文章でつづる、スケールの大きなファンタジー。(「BOOK」データベースより)
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たまごを焼くのが大好きなふらいぱんじいさん。新しい目玉焼きなべがきて、たまごを焼かせてもらえなくなってしまいます。そこで、ふらいぱんじいさんは旅に出ることにしました。
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よみがえったトナカイの首領はやてを追って、たかしとゆうこの旅は始まった。人はなぜ、他の生きものの命を奪わなければ生きられないのだろう。重たい問いを抱きながらふたりは、動物たちの国の壮絶な戦いに立ち会う。
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たつくんは、ひとりでパンツがはけないんだよ。片足をあげると、どでん!と転んでしまう。「えい、パンツなんかはかないや。」
「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492
◆プロジェクト・グーテンベルクについて
☞Wikiの説明ページ
プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリカ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館。
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