~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

今日の一冊「とてもすてきなわたしの学校」

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

とてもすてきなわたしの学校
ドクター・スース (著), J・プレラツキー (著), レイン・スミス (著), 神宮 輝夫 (著)

学校のなまえはなんでもスクール。どこにでもある学校にみえる。ところが、それがちがっている。わたしたちはみんなこの学校がだいすき―。ゆかいな学校の先生たちのおはなしを韻文風に、ノンセンスに、そして楽しく語ります。

 

 

とてもお気に入りの一冊です。

 

読み聞かせとして、私が特に得意としているものです。
これはやりすぎはあまりよくないことなのですが、もう独自にキャラ付けをして、特殊な声色を使って読んでしまっています。

 

学校のお話なので、先生が「みなさ~ん」などと呼びかけますが、高い声使って気取った感じでやります。

「はじめに、サボテンと め牛のちがいを おしえます。
それから、空をとびたいカバが、なぜ とべないのか おしえます」

 

「いらねー」とか言われてしまいました。

 

この「とてもすてきなわたしのがっこう」ですが、字が割と多いです!

 

なので、読みきかせには時間が足りるかどうか、ちょっと躊躇する所です。
だいたいみなさん、15分の中で2~3冊で組みたてをされます。
(いまはコロナで中止になっているのですが…)

 

あまり注目されてないのが残念なぐらいなのですが、絵もすごく独特でパンチがきいており、内容もたいへん面白いので、ぜひここはひとつ興味を持ってもらいたいです。

 

訳がうたうように読めていいなあ、と思ったら、やっぱり神宮輝夫さんでした。

 

 

このディンカビルにある「ディンクズバ道理とディンクゾトトーリがぶつかる角に建っているなんでもスクール」は割とわかりやすい形での個性を尊重する学校です。

 

こういう理想的な世界を目の前に展開してあげるというのは小さい頃には大変有効なことで、しかも雰囲気がとてもハチャメチャに明るいです。
感じがよくて楽しそうです。

 

学校の名前が「なんでもスクール」。
こんなふうに訳している神宮輝夫さんグッジョブです。
なんかすごくいい加減な感じがよく出てます。

 

ありえないような個性的でシュールな先生方が、ありえないようなことをさまざま、教えてくれています。ナンセンスそのものです。

 

ボブル先生は 音のききわけをおしえ、
ウォブル先生は においのかぎわけをおしえ、

…。 

ヴァイニング先生は「しかた」をおしえる。
生きている小鳩に どうやって コショウをかけるかをおしえ、
特大のトカゲに どうやってくらをつけるかをおしえ、
そして、のりかたまでおしえてくれる。

 

まあまあ、「いらねー」と言われたら「ですよね」と答えるしかないような授業内容です。

 

ヒロイン?枠の、すてきなボンカーズ先生が出てきます。
この先生が「みなさーん!」と言い、「ブタにパンツまではかせ」た人です。絵がとてもすてきです!

 

学校で働いている人々も個性的です。
掃除機の名前は「スーパー・ツルピカ・ゴミヒトツナーシ」です。

 

「人まで吸われてるじゃん」、ていう声が聞こえました。
子どもら、しらっとして斜めで見ているような子でも、実はすごくよく見てます。

 

 

こうして、個性豊かな先生やスタッフに囲まれた、ゆかいな学校生活なのですが、校長先生はちょっと違います。

 

まったくリーダーシップを取れるタイプではありません。
ちいさくてしわしわで、いつも泣きそうな顔をしており…そして、つけまゆげ
これは、笑ってくれるところです。

 

「これこれは ならったかね。あれやこれやは どうかね?」
そのために、かおは ウメボシそっくり。
あんまり、くよくよ しすぎるからね

 

校長先生は、この楽しい学校の肝であり、中心でもある、ボンカーズ先生が大好きです。
(表紙になっているのが、ボンカーズ先生です)
とても度胸ない、いつもめそめそしている弱気な先生なので、セクハラなどとてもできそうにありません。
よこ目で見てるだけです。

 

 

さて、国全体の統一テストが行われることになり、もし成績が悪ければ、「いんきなじゅうじゅんスクール」に転校になってしまうとのことになりました。

 

じゅうじゅんスクールの絵がすごいです。
「いぬも おびえて ほえるだけ」の灰色の世界です。いっきに雰囲気が暗く成ります。

 

まあ、絵本なりのお約束で、みんな超いい点数を取り、めそめそしていた校長先生も大ニコニコなのですが、テストのはじまりが何気にひどいです。

 

「あと十分で しけんははじまり。
今のせきで うけてください」

 

「は?ありえねー」
とか、聞いてる子が言ったりしてました。
たしかに、あと十分はないわ~、と私でも思います。

 

 

独特のテンションでお話は進みます。
絵がとにかく個性的なので、眺めているだけでも楽しいです。

 

みんなでよかった、よかったと喜びあうのですが、「やったー!」とボンカーズ先生が校長先生に、キス…。

 

ここまでけっこう楽しくいてくれたのですが、(5年生でした)一瞬でシーンと…。
みんな、すっごい画面を凝視してます。

 

えっ…それ…いいの?みたいな雰囲気になっちゃって、こんなありえないようなナンセンスなお話なのに、みんなすごいまじめにお話に入り込んでいるんだな~、と思いました。

 

 

よい意味での個性の尊重をうたい、理想的な学校生活をたのしく、あかるく、表現している絵本です。

 

だいじなことは おしえてあります。
地球はまるい。
赤と白をまぜると ピンクになる。
もっと だいじなことだって、
きちんと おしえてあるのです。
そうです、それは かんがえること。
みんな ごうかく まちがいありません。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

Hooray for Diffendoofer Day! (Dr. Seuss) (英語) ペーパーバック - 2001/11/1 Dr. Seuss (著), Jack Prelutsky (著), Lane Smith (イラスト)

 

 

 

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大人が読む児童書「魔女ファミリー」 4 読了 何よりもハロウィンにふさわしい、子どものための小説です。

 

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

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>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

魔女ファミリー

エレナー・エスティス (著), エドワード・アーディゾーニ (イラスト), 井上 富雄 (翻訳)

7歳の女の子エイミーが魔女の絵を描きながら「いけ、ガラス山へ!」と命令すると、悪名高い魔女ばあさんが本当に追放された。空想と現実がたくみに交錯する長編ファンタジーの新訳。

 

大人が読む児童書「魔女ファミリー」 1  -

大人が読む児童書「魔女ファミリー」 2  -

大人が読む児童書「魔女ファミリー」 3 - 

 


ほぼ半分くらいまで、こうして大騒ぎしたところで、ついにハロウィンがやってきます。
(割と早いです)

 

というのも、このハロウィンのできごとがメイン。
ハロウィンの作品です!

 

そして、重大な転換が起きます。

 

分身とも言える状態だった、ちび魔女とエイミーが入れ替わってしまうのです!
ここから、魔女の世界をエイミーが冒険することになります。

 

これは面白すぎるので絶対言いたくない内容なのですが…。
本そのものが、若干ネタバレしています。
(旧訳の方なのですが)

 

昨日、母の通院日だったので、病院にいました。
大変長く待たせる病院なので、続きを読むためにこの本を持って行っていました。

 

そのとき、本を開いてはいなかったのですが、腕に抱えてました。

 

すると、向かいにいる小学生高学年ぐらいの少年が、じーーーっと裏表紙を見ています。
私に気付かれても、ずっと裏表紙から目を離さずにいます。
じーーーーっ(<●><●>)

 

うんそうだね、これちょっと気になる挿し絵だよね。

 

☟これが、裏表紙の絵です。

f:id:WhichBook:20200930014021j:plain

 

実は妹子のお友達、あらゆる本を(妹子よりもはるかに)飲むように吸収してくれるのですが、この「魔女ファミリー」だけは何となくすすみませんでした。


相性もありますし、無理に進められないな~。
面白いと思うんだけど、どうしたんだろう?

 

面白くないかな?と聞いてみると何と
「すごく怖いから」
という返事が返ってきました!

 

もう、リアルにスリリングすぎてとても怖いのだそうです!
特に、裏表紙のこの絵がすでに怖かったらしいです。

 

確かに、読み返していると、魔女は魔女なので、ちび魔女ちゃんのお友達の魔女の子と言えど、怖い、恐ろしい所があります。

 

悪い魔女である設定の魔女ばあさんはともかく、ちび魔女と仲良くなる人魚の子も、仲良くなごやかに遊んでいたのに、ちび魔女が帰ろうとすると不思議な甘く誘うような魔力のある歌声を出してきます。(セイレーン?)


ちび魔女、眠くなって帰れなくなりそうになったりして、そのあと眠っていたら一体どうなっていたのかわからない怖さがありました。

 

 

 

そして、ちび魔女がぽん!と現れたりする、いきなりな展開のお話なのですが、細かい所でものすごくリアルです。

 

・エイミーは、「たまにかなしがることころをたのしむところがある」

・ちび魔女は、指から火花がだせるいもうとの赤ちゃん魔女が一瞬、ねたましくなる。

・クラリッサはパーティがすきだが、エイミーは声をあげてさわぐパーティはすきではない。

 

などなど、細かい所で女の子たちの心の機微をとらえるのがすばらしく上手いです。

 

ねこについてこんなこと書いてあります。

「あの子は、いつまでも六つのままなのよ。あのネコだっておなじ。うまれたときから、六週間のまんま。」(わたしたちのネコも、そうだといいですね。)

まったくです。 

妹子「いやいや、こっちの寿命がつきるわ!」

 

 

ストーリーも面白いのですが、こういう、すこし「!」と思うところが重なって、なおかつ、笑えるところもあって、物語どんどんに引き込まれていくという、トリプルコラボレーションです。

 

これ以上ハロウィンにふさわしく、しかもばっちり長めの「小説っぽい本型」であるという本は、なかなかありませんので、ぜひぜひ、今年のハロウィンにあわせて読んでみて欲しいと思います。

 

 


どうでもいいですが、久しぶりに読み返してみたら、魔女の正しい座り方は「横座り」だそうです。

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

The Witch Family
Kindle版 Eleanor Estes (著), Edward Ardizzone (イラスト)

 

 

最後の最後に、ネタバレになりますが、英語版では「glass」が「grass」になるという、非常に小粋なことば遊びのエンディングが用意されており、それはそれは感動です。

 

いや、日本語でも十分に感動なのですが、なぜガラスが草?、これはさすがに、英語版ならではの仕掛けです。

 

何から何まで面白い一冊です!

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

百まいのドレス
エレナ エスティス (著), ルイス スロボドキン (イラスト), 石井 桃子

「百まいのドレス」を持っていると言い張る、まずしいポーランド移民の女の子ワンダ。人気者で活発なペギーが先頭に立って、みんなでワンダをからかいます。ペギーの親友マデラインは、よくないことだと感じながら、だまって見ていました…。どんなところでも、どんな人にも起こりうる差別の問題を、むずかしい言葉を使わずにみごとに描いた、アメリカの名作。ロングセラー『百まいのきもの』が50年ぶりに生まれかわりました。(「BOOK」データベースより)

 

 

 

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大人が読む児童書「魔女ファミリー」 3

 

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

魔女ファミリー

エレナー・エスティス (著), エドワード・アーディゾーニ (イラスト), 井上 富雄 (翻訳)

7歳の女の子エイミーが魔女の絵を描きながら「いけ、ガラス山へ!」と命令すると、悪名高い魔女ばあさんが本当に追放された。空想と現実がたくみに交錯する長編ファンタジーの新訳。

 

大人が読む児童書「魔女ファミリー」 1  -

大人が読む児童書「魔女ファミリー」 2  -

 

 

エイミー、内心ビビっているようで、とんでもなく失礼な手紙を魔女ばあさん送ってきたわけですが、魔女ばあさんも内心、手紙が嬉しくて喜んでます。

 

手紙には、「アブラカダブラをとなえてみなさい」とありました…。
魔女ばあさんが呪文を唱えてみると…なんと!

 

ちょうどエイミーたちと同じ年ぐらいの、ちいさな魔女(ちび魔女)が現れたでありませんか!
魔女ばあさんターンが続くので、というか全編を通して、この新たに現れた新キャラ「ちび魔女」がほぼ主人公です。

 

ちび魔女はいわば、エイミーの分身ともいえる存在です。
魔女や魔法があるので、何が起きても不思議はありません。
アブラカダブラ、と唱えるだけで、突然、ぽん!と女の子が現れました。

 

この不思議さをするっと受け入れられる柔軟性はやはり、子どもならではです。
ちょっと賢くなってしまって、RPGラノベ慣れしてしまったら、世界の摂理が…5種の精霊が…云々、設定に力がこめちゃいます。

 

話にリアル感を持たせるために、設定に凝るのはよくわかる話なのですが、この唐突さがまったく違和感がないあたりが、子どもの心を本当によくわかっていてすごいなと思います。

 

 

ちび魔女は、特に何も驚いた様子もなく、魔女ばあさんと「こんにちは」とあいさつを交わし、「すぐにうちとけて、あちこち見てまわりました」
このちび魔女登場のシーンはとても可愛らしく、そして美しいところです。

 

ちび魔女は、また、そとへとびだしていって、こうさけびました。
「まあ、なんてきれいなところなの。どちらをむいてもきらきらしているし、つるつるだわ。」
日がのぼりました。ガラス山は、ばら色、もも色、金色、むらさき色、さまざまな色にひかりかがやきました。魔女ばあさんの家があるガラス‼のいただきは、もも色にふちどりされた雲の上にうかぶ島のように見えました。黒がいちばんすきな魔女ばあさんさえ、このけしきにうっとり し て、「おお、うつくしや、うつくしゃ!」と、いいました。
やがて、雲がうごきはじめました。ちび魔女は、はるかかなたを見わたしました。とおくに、そこで海がおわるかとおもわれるように、ひとすじ青く、水平線が見えました。

 

描写の美しさでごまかされてるような気がしないでもないですが、この、美しいものを発見する子どもの感性が、読んでいるこちらの心もあたためます。

 

 

話の都合で前後しましたが、このちび魔女がぽん!と現れる前に、例の重要登場人物、マルハナバチのマルチのシーンにかなりの行がさかれています。

 

魔女ばあさん、マルチを探している間にうっかり魔法をかけてしまうのですが、この魔法のハチはとにかく、魔女ばあさんの天敵になります。

 

監視者であり、お目付け役であり、助けになる、無茶苦茶に頼もしいやつです。

 

さて、この魔女ばあさん、なんとなくユーモラスなとんでもおばあちゃんです。
悪いことをするのがステータス、悪いことをしまくる大魔女として偉い人だったわけなので、虎視眈々と悪いことをするチャンスを狙っています。

 

子どもみたいなところもあり、いたずらをするし、恐ろしい所もあれば、子どもを心配する本物の保護者みたいなところもあります。

 

 

ちび魔女を見て、魔女ばあさん悪いことを考えつきます。
それは、髪をくしでとかすことです!

 

えっ…?
一体、それの何が悪いの…?
と疑問に思う間もなく、てんやわんやの大騒ぎが始まります。
ラプンツェルの言及が出てきます)

 

魔女はぼうしをとらない規則があるとか、髪をとかすのはご法度とか、へーそうなんだ、というような説明がついてきますが、それよりも、嫌がるのに無理やり髪をとかそうとしてちび魔女を追いかけまわしたり、ぼうしをすっとばしたりします。

 

おばあちゃんェ…。

 

「お・や・め」とハチがいいました。
「いたっ!」魔女ばあさんは、くしをおとしました。

 

ここご丁寧に、この魔法のハチは、シャーペンの替え芯のように、かえばりいれをからだに持っているという説明がされてます。

 

この、いきなり衝動がおさえきれず、悪いこと(またはいたずら)をはじめるおばあちゃん、止めようとするちび魔女、ハチに刺されてひどいめにあう、というのが、今後のさまざまなぼうけんの一つのパターンです。

 

どのエピソードもとてもおもしろく、そしてどの登場人物も、どこか毒を持っています。

 

 

さて誰もがエイミーが主人公だと信じているところで、もっともメインで活躍するのは、このエイミーの分身ともいえるちび魔女ちゃんです。

 

しかし、エイミーの存在が薄れてしまうことなどまったくなく、やはり、このすべてのお話の根幹にしっかりエイミーの存在があってこそなのだというのが読んでいてよくわかります。

 

言い忘れていましたが、ちゃんとちび魔女ちゃんもちびねこを連れてます。

 

こんな風にエピソードはすすんでいきます。

 

・ちび魔女、学校へ行くの巻。

 

新参者を受け入れられない魔女の子たちが、意地悪しますが、ちび魔女はマルチの助けを借りて対応します。

 

・誕生日パーティの巻

 

魔女の子たちを読んでのパーティに、エイミーとクラリッサも魔法で呼び出され、(しかも魔女ばあさんにだけは見えないというおまけつき)、大騒ぎが巻き起こる。

 

・人魚のお友達の巻

 

・赤ちゃん魔女登場の巻

 

・魔女ばあさん、ウサギ畑で荒ぶるの巻

 

もうよい子(?)でいるのに飽き飽きした魔女ばあさん、ガラス山を飛び出してウサギ畑に襲い掛かります。

 

・かきとり競争の巻

 

魔女ばあさん、天敵のマルチを何とかしようと荒ぶります。

 

どれもこれも、面白くて腹を抱えて笑うか、またはちょっとドキドキして目が離せないこと請け合いのエピソードばかりです。

 

海外ドラマの展開も真っ青の、「続きが気になって仕方ない状態」に陥ります。

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

The Witch Family
Kindle版 Eleanor Estes (著), Edward Ardizzone (イラスト)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

百まいのドレス
エレナ エスティス (著), ルイス スロボドキン (イラスト), 石井 桃子

「百まいのドレス」を持っていると言い張る、まずしいポーランド移民の女の子ワンダ。人気者で活発なペギーが先頭に立って、みんなでワンダをからかいます。ペギーの親友マデラインは、よくないことだと感じながら、だまって見ていました…。どんなところでも、どんな人にも起こりうる差別の問題を、むずかしい言葉を使わずにみごとに描いた、アメリカの名作。ロングセラー『百まいのきもの』が50年ぶりに生まれかわりました。(「BOOK」データベースより)

 

 

 

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閑話 重版出来(テレビドラマ)が面白い

閑話です。

 

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すごく今更なのですが、重版出来というドラマをAmazonプライムで見はじめました。 

1話、2話…。

面白い!

 

重版出来!【TBSオンデマンド】(Amazonプライム)

黒木華が連続ドラマ初主演!新人編集者がコミック雑誌編集部を舞台に、ライバル雑誌に打ち勝とうと奮闘する群像劇を描く。共演はオダギリジョー、坂口健太郎松重豊ほか。(C)TBS(C)松田奈緒子/小学館

 

コミック編集者の話なのですが、漫画家さん、出版社さん、書店さんの、それこそ作ってから手元に届くまでのつながりと努力をきちんと描いていて、すごく面白いドラマです。
(まだ途中です)

 

 

5話を見て、何となく色々と考え込んでしまいました。

 

出版社さんは、書店さんにコミックスを並べた時の見栄えまで細かく考えて、装丁を考え、いかに手にとってもらえるかを思考錯誤しています。
(いや、ドラマで、の話ではありますが)

 

きっとコミックスだけではないでしょう。
文芸書も、ビジネス書も、専門誌も…。
同じだと思います。

 

しかし、今の子どもたちはそもそも「書店に行く」という習慣が、ない。
週刊誌を買って読みまわしするという経験がない。

 

書店に行くことがなければ、コミックスを手に取ることもない。
まして、ジャケ買いするなんて、ものすごく限られていると思います。

 

今の子たちは、コミックスを読むのも、ラノベを読むのも、どちらかといえばスマホです。

 

5話で、このドラマの出版社の社長さんが、とても苦労して育ち、荒れていた過去が語られます。
隣に座っていた人から、一冊の本を手渡される。
宮沢賢治の本でした。

 

「本がわたしを人間にしてくれた」

 

その一冊の本を、差し出す人になりたいです。

 

自分だけで会える子どもたちは限られてます。
それにやっぱり、渡すのはおとななんです。

 

だから児童文学は、おとなが読んでくれないと、お話になりません。
まずおとなが読むべきです!(力説)

 

書店さんに人を呼ぶのは、やっぱり大衆文学、コミックスです。

コミック、ラノベ、雑誌。
今なら鬼滅の刃です!!

 

ここで子どもたちに、本屋に足を運ぶクセを身につけて欲しい。

書店さんを大事にしたいです。 

 

子どもが欲しがる好きな本を、コミックスを、嫌がらずに一緒に買ってあげて欲しいです。
そして、欲を言うなら、「子供が買って欲しい好きなもの1冊」と、「こちらがおすすめする本を1冊」、というコラボレーションで買ってあげて欲しいです。

 

そういう、書店に連れて行く、図書館に連れて行く、本を買う、というのは、子どもはほぼ、自分からするようにはなりません。


そこはやっぱり、大人の努力であり、大人の教育しかないと私は思っています…。

 

 

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重版出来、良かったです。

本屋さんに行きたくなるようなドラマでした。

ぜひ、見て見てください。
(今ならAmazonプライムで無料です)

 

ちなみにめちゃ評価高いです。

 

 

 

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イギリスとアイルランドの昔話 はれときどきぶた くまのがっこうシリーズ(既12巻)
ひみつの花園 飛ぶ教室 いたずらきかんしゃちゅうちゅう
ねむいねむいねずみ ダーシェンカ すみっコぐらし ストーリーズ

 

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大人が読む児童書「魔女ファミリー」 2

 

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

魔女ファミリー

エレナー・エスティス (著), エドワード・アーディゾーニ (イラスト), 井上 富雄 (翻訳)

7歳の女の子エイミーが魔女の絵を描きながら「いけ、ガラス山へ!」と命令すると、悪名高い魔女ばあさんが本当に追放された。空想と現実がたくみに交錯する長編ファンタジーの新訳。

 

大人が読む児童書「魔女ファミリー」 1  -

 

 

怒りにまかせて魔女ばあさんを追放したエイミーですが、多少落ち着いて来ると、ハロウィンに魔女がいないのはまずい、と思いつきました。

アンガーマネジメントで深呼吸でもしたのかもしれません。

 

エイミーの中ではどうやら、「魔女ばあさん一人がいない=すべての魔女がいないも同然」らしいです。
他の魔女が小物すぎるのか、それとも魔女ばあさんが凄すぎるのか。
たぶん後者です。

 

旧訳では、ハロウィンは「万聖節」と訳されていました。
新訳ではもちろん、「ハロウィン」です。
「魔女のいないハロウィンはサンタのいないクリスマスのようなもの」

魔女ばあさんが一年中いい魔女でいたら、ハロウィンで下界に降りて来てもいい。
まるで、いい子でいたらサンタさんが…という発想にそっくりです。

 

それを子どもたちが決定するところにおかしみがあります。

 

 

エイミー、「追放」と「征服」をあわせて「追服」ということばを作ります。
新しい言葉をご披露して何度も言ってみる、エイミーの得意げなドヤ顔が可愛いです。
この言葉遊びの面白さがふんだんに入っているところもこの本の魅力です!

 

この冒頭で、ほとんど動かないのですが、超・重要登場人物(?)…。
人物?人物…。が、登場します。

 

庭でじっとしている、年取った大きなマルハナバチです。
エイミーのおとうさんがマルチと名付け、そう呼ばれてます。
このハチは大変、大変、大変重要人物?です!
テストに出ます。

 

 

こうして威勢よく、魔女ばあさんを追放して元気に話しているように見えて、エイミーは実はけっこう、怖がっています。

 

ふとお日さまが黒い雲に隠れ、遠くでかみなりが鳴ります…。
魔女ばあさんが今、ガラス山に向かっているのかもしれない!

 

何気なく、おとなりさんのボダイジュによじのぼったりしますが、影に入れば見つからないだろうとの判断からです。
「ふくしゅう」されて魔法をかけられたら大変だからです。

 

「ゆうかん」な割に内心けっこうビビってるのですが、このために、「魔女ばあさんがいかにすごいか」というのも強調されて、けっこうリアルに魔女ばあさん追放するなんてこれはまじでヤバいんじゃね?という気持ちに読んでいるこちらもなってきます。

 

 

エイミーは魔女ばあさんに事情を説明した命令書兼ご挨拶のお手紙を書くことにします。
(クラリッサはまったく手紙が好きではなく、おばあちゃんにもなかなか手紙を書こうとしないあたり、あるあるです。私もこのタイプです…)

 

いつの間にか、庭からマルハナバチのマルチがいなくなっています…。
何気ない描写ですが、重要な布石です!
魔女ばあさんと一緒に、行ってしまったのです。

 

エイミーは、魔女ばあさんにあてて手紙をかきはじめました。エイミーは、わからないことばがあれば、かってにつくってかきました。

 

ここで、魔女が「さかさまことば」が好きだということや、「書き取り競争」が苦手などということもさらっと語られます。
あとで大騒ぎの魔女を含めての書き取り競争があります。

 

どうやって手紙を届けるのか?
手紙を窓枠に置くと、ベニスズメが一羽飛んできて、手紙をくわえて飛び去っていきます。
素敵な描写です!

 

からだがきらきらかがやくまっかなベニスズメが一わ、みごとなつばさに冬の日をあびてとんできて、窓べにとまりました。

 

このもりだくさんの一章、最後にエイミーが疲れてベッドに寝転ぶと、クラリッサがレコードをかけはじめます。
レコードだー!!
今の子たちは知らないだろうな~。
しかもこの題名が可愛いです。
「ウィンドーのわんちゃんはいくら?」というのです。

 

スパゲティの「つるつる」もそうですが、この「ウィンドーのわんちゃんはいくら?」という字の表現がかわいくて、すごく記憶に残っていました。

 

今回、この記事を書くにあたって、英語版を確認してみたら、
How much is that Doggie in the Window?
でした。

 

YouTubeで確認してみたら…ありましたー!!
いや~。いい時代になったものです。
レトロ感あふれる曲です。時代ですね。

www.youtube.com

 

 

 

2章、場面は魔女ばあさんターンに切り替わります。

 

魔女ばあさん、エイミーの命令によって、本当に追放されてしまってます!

 

一章までだと、どことなく、この二人の女の子たちの絵の話なのか、想像なのか、それにしてはリアルだな、などと感じていたものが、一気に現実となります。

 

魔女ばあさん、ガラス山で怒ってぷんぷんしています。

 

「ちぇ、ちぇ、ちぇ、まったくひどい場所だぞえ!おてんとうさまさえ、ガラスでぎらぎらしちまって。イバラのしげみも、野バラのしげみもありゃしない。あばれまわりたい荒れ野もなけりゃあ、沼もない!」

 

ここまでの流れがすばらしくなめらかで自然です。
えっ?なんで?と思うような余地なく、すうっと物語に入っていきます。

 

どこを見てもぎらぎらしたガラスばかりのガラス山、魔女ばあさんと一緒にいるのは…ねこです!
まあ、お約束です。
ほうきとねこは、魔女にぜったいのつきものです。

 

このお話では、魔法使いや魔女が引退するとねこになるということになってます。
(ちなみに、ちょびっとですがしゃべります)

 

絵の中のお話なのか、空想が広がっているだけなのか、その境目は曖昧です。

 

こんな事態に(なぜか)なってしまい、ご機嫌ななめな魔女ばあさんに、ベニスズメが手紙を届けてくれます。
むろん、エイミーからの手紙でした。

 

魔女ばあさん、うっかり喜びます。
こんなときは、敵からの手紙でも嬉しいものみたいです。

 

エイミーからの手紙が出だしからとんでもなくひどいです。

 

いじわるで、年よりで、こんじょうまがりのまじょばあさんへ

 

いや~、こりゃひどい。
ちなみに一通目はすでに一章で描かれてますけど、その時は

 

しんあいなる、たいへん、たいへんお年よりのまじょばあさんへ

 

でした。

 

 

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

The Witch Family
Kindle版 Eleanor Estes (著), Edward Ardizzone (イラスト)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

百まいのドレス
エレナ エスティス (著), ルイス スロボドキン (イラスト), 石井 桃子

「百まいのドレス」を持っていると言い張る、まずしいポーランド移民の女の子ワンダ。人気者で活発なペギーが先頭に立って、みんなでワンダをからかいます。ペギーの親友マデラインは、よくないことだと感じながら、だまって見ていました…。どんなところでも、どんな人にも起こりうる差別の問題を、むずかしい言葉を使わずにみごとに描いた、アメリカの名作。ロングセラー『百まいのきもの』が50年ぶりに生まれかわりました。(「BOOK」データベースより)

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

イギリスとアイルランドの昔話 児童文学論 砂の妖精
ももいろのきりん ふしぎなオルガン 小さいおばけ
ナルニア国全7冊セット まんばのにしき 本へのとびら

 

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大人が読む児童書「魔女ファミリー」 1 旧訳「ガラス山の魔女たち」

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

魔女ファミリー
エレナー・エスティス (著), エドワード・アーディゾーニ (イラスト), 井上 富雄 (翻訳)

7歳の女の子エイミーが魔女の絵を描きながら「いけ、ガラス山へ!」と命令すると、悪名高い魔女ばあさんが本当に追放された。空想と現実がたくみに交錯する長編ファンタジーの新訳。

 

 

ハロウィンの本の紹介、いよいよ本番です。
真打ちです。
この時を待ってました。

 

「閑話 好きすぎて…」で書いた、好きすぎてなかなか紹介しづらかったうちの一冊です。

 

まだ日本にハロウィンがこれほど浸透していなかった頃、わたしにハロウィンのお祭りを教えてくれた本です。

 

初心に戻って読み返してみたいと思います。

 

作者は「100まいのドレス」を書いた、エレナー・エステスさん。

 

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旧訳は「ガラス山の魔女たち」という題名でした。
新訳が出ているのは本っ当に嬉しいことです。
面白いし、何十回となく読み返してきた、語り継いでいきたい本です。

 

 

冒頭、こんな風に始まります。(手持ちが旧訳の方です) 

魔女のなかでいちばんえらかった魔女ばあさんが、ある日、とつぜん追放されました。それは、魔女でもなんでもない、ふつうの女の子のエイミーが、「魔女ばあさんは追放よ」といったからでした。

 

魔女ばあさんは、あらゆるお話に出て来る、悪い魔女です。
魔女のボス、親分、頭取、なんでもいいですがとにかくトップクラスの悪玉です。

 

ガラス山は、ひとっ子ひとりいないし、木一本もないはげ山で、さむい風がふきすさぶところでした。その山のてっぺんの魔女の家で、家族のいない魔女ばあさんは、たったひとりですまなくてはならなくなるのです。
そのわけは、この魔女ばあさんのわるさにあきれたエイミーという女の子が、追放すべきだといいだしたからなのです。

 

冒頭、ここから始まるので、さて魔女のお話かというと、場面は切り替わって、ふたりの女の子が、机について絵を描いています。

 

よくある、今でも本当に普通の風景です。
年齢はもうすぐ七つ。小学校低学年です。(かわいい盛りです!)

 

◇ 

 

このお話、数名のモブ以外は、全篇通して、ほぼ女子しか出てきません。
やっぱりこれは、魔女というのは女の世界なんです。
(心が女性な人も、女の世界をチラ見してみたい男性も大歓迎です。関係なくおもしろいと思います)

 

こうして読み返してみると、不思議な冒頭です。
エイミーとそのなかよしのクラリッサ、二人が今、夢中になって描いてるのは魔女の絵です。

 

エイミーのお母さんから、悪い魔女の魔女ばあさんの話をたくさん聞いたばかりなので、そのことで頭がいっぱいです。
描きながら、エイミーは絵にむかってつぶやきます。
「いけ!ガラス山へ!」

 

こどもたち、とんでもなく憎たらしい悪役のお話を聞いて、義憤の念にかられたとき、空想の中でたくさん、罰を与えようとします。
(ここでその義憤の対象をネット上に見つけたり、頭の中の罰を書き込んだりしちゃいけないです。炎上必至です)

 

わたしだったら…。ぼくだったら…。
こうしてやりたい、ああしてやりたい!

 

ナンシイ「フカに食わせたい。木に吊るしたい。錨をつけて海にしずめたい」>対象:大おばさん

 

妹子はプロイスラーの「ちいさな魔女」を読んで、ちいさな魔女をいじめた大魔女たちにめっちゃやたら興奮して怒っていました。
「ほんっと、さいってい!!最悪!何あいつら!もうね、おまえらのほうきこそ折ってやるわ!焼いてやる!ぐちゃぐちゃにして、ふみつけて…!」

 

子どもであるがために、その報復はかなり過激で、苛烈であることが多いです。
エイミーも、魔女ばあさんのあまりの悪さに義憤を感じて、絵の中で罰を与えようとします。
「いけ、ガラス山へ!」

 

つるつるの、木ひとつ生えていない、荒涼としたガラス山へ、エイミーは絵の中で、魔女ばあさんを追放します。

 

描いた絵がそのまま命を持ち、意志を持ち、勝手に動き始めます。
魔女ばあさんが先なのか?絵が先なのか?

 

空想とファンタジーが、一体となって混じり合い、何の違和感も抱かせない、見事な導入です。

 

 

この冒頭で語られるエイミーとなかよしのクラリッサの場面がとても魅力的です。

 

・エイミーの金髪は月の光の色、クラリッサの色は太陽の色。すてきです。

 

ふたりともゆうかんな女の子で、クラリッサは、ひとりで図書館へいけましたし、エイミーは、ひとりでは図書館にいけませんが、クラリッサにまけずおとらずゆうかんで、予防注射だってこわくありませんでした。

 

可愛すぎます。

 

・お昼ごはんは「つるつる」を食べる。
お昼はたいてい、スパゲッティのようなのですが、二人ともこれを「つるつる」と称しています。
これがまたおいしそうで、美味しそうで…!
当時はパスタはまあ、せいぜいやるとしてもミートソースぐらいでしたから、憧れでした。
よく「つるつる」を作ってくれとせがんだものです。

 

今や…スパゲティはそうめんに継ぐめんどくさい時のメインメニューです。
ああ、ありがたみが…。

 

・エイミーの家の庭には、モミの木に縛り付けたブランコがある。
これは憧れでした!
ご近所に住んでいる二年生、三年生の子たちは、もう体重が重くなりすぎているので乗れません。
まだ体の小さい、エイミーたちの特権です。

 

・二人が住んでいるのはワシントンのようです。
イチョウの並木道のある町の描写がとても美しいです。
この冒頭は何から何まですばらしいです。

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

The Witch Family (Young Classic)
Kindle版 Eleanor Estes (著), Edward Ardizzone (イラスト)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

百まいのドレス
エレナ エスティス (著), ルイス スロボドキン (イラスト), 石井 桃子 (翻訳)

「百まいのドレス」を持っていると言い張る、まずしいポーランド移民の女の子ワンダ。人気者で活発なペギーが先頭に立って、みんなでワンダをからかいます。ペギーの親友マデラインは、よくないことだと感じながら、だまって見ていました…。どんなところでも、どんな人にも起こりうる差別の問題を、むずかしい言葉を使わずにみごとに描いた、アメリカの名作。ロングセラー『百まいのきもの』が50年ぶりに生まれかわりました。(「BOOK」データベースより)

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

こども六法 Mad about Madeline: The Complete Tales (英語) 九月姫とウグイス
やかまし村の春・夏・秋・冬 ものいうなべ シャーロットのおくりもの
ゴインキョとチーズどろぼう 長くつ下のピッピ ハヤ号セイ川をいく

 

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今日の一冊「おねえちゃんって、もうたいへん!」

今日、ご紹介するのは、かなりしっかりしたページ数の多い、「本型の絵本」です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

おねえちゃんって、もうたいへん!
いとう みく (著), つじむら あゆこ (イラスト)

お母さんの再婚で突然妹ができた小学1年生のココ。妹の名前はナッちゃん、3歳。大声で叫ぶし泣くし、ダンゴムシを大事な筆箱に入れてくるし…。「かいじゅうみたい」ってココは思いました。

 

 

ふっと書店で見かけると、ああ、これ好きなやつ!と思います。
おねえちゃんシリーズの1冊目です。

 

今や、ものすごく貴重な、「字が大きくて読みやすいけど、きちんとした本型になっている」という数少ない本です。
内容は大きな字でとても読みやすく、やさしくて、小さなお子さんにぴったりです。

 

「ふらいぱんじいさん」に代表されるような、しっかりした装丁の本らしい本に、小さい頃から触れるのはとても大事です。
「本を読む」ということに対して抵抗をなくし、慣れてもらえます。
活字文化の意地のために最適です!

 

ジーク・活字文化! 

 

内容がよいのでよく平積みされてますし、推薦図書にもなっていますが、ずらっと並べられた推薦図書の中でも、目に見えて減っているのを見ると、嬉しくなります。
やっぱり面白いし、いいよね!と思って。 

 

 

妹をもったおねえちゃんの奮闘を描いています。
おねえちゃんになってしまった、ならざるを得なかったけれど、自分もまだちいさな女の子、ココちゃん。

 

葛藤があり、そう簡単に妹のナッちゃんを受け入れられません。
ママは甘いし、ワガママ言うし、邪魔だし…。

 

絵がまた面白いです。

 

この妹ちゃん、おねえちゃんの3倍ぐらいおっきいです。

 

ココちゃんは真剣なのですが、満面の笑みで3倍ぐらい大きい妹ちゃんをおんぶしたりしている図は、絵だけで笑ってしまいます。

 

おねえちゃん、妹ちゃんのことを「かいじゅう」と称しているのですが、無理もありません。
そのくらい存在は大きく、今までずっとひとりじめだったママと自分のあいだに立ちはだかっています。

 

妹かわいい、かわいいの良い子ちゃんのおねえちゃんじゃないところがとても良いです!
(いや、そういうおねえちゃんがいてもほのぼのしてて良いんですけども)

 

存在を受け入れられない葛藤。
お世話しなきゃならなない葛藤。

 

でも妹はおねえちゃんがだーい好き!

 

寄って来られてうっとおしい葛藤。
言葉が通じない葛藤…。

 

ある意味、子どもを持ったお母さんも、少しこの気持ちに共感するところがあると思います。
子どもはみんなかいじゅうですから、理性的に話も出来ないですし、困ったな、うっとおしいな、めんどくさいな、という気持ちが完全にゼロということはないはずです!

 

そういうおとなの気持ちから見ても、とても「よくわかる話です」。
…というお話です。

 

いつか紹介しようしようと思っていたのですが、ふと書店で見かけ、図書館で見かけ、タイムラインで見かけたので、これはもう紹介せずばなるまい、と思って書きました。

 

我慢に我慢をかさねて日々を送り、葛藤と戦いながらがんばっているココちゃんに幸あれ、です。
また、ナッちゃんのまったくめげない明るさもまた、とても良い感じです。

 

そしてもっともっと、「本型の絵本」が増えてくれればいいのになあ、と思います。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

おねえちゃんって、ほーんとつらい!

いとう みく (著), つじむら あゆこ (イラスト)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

おねえちゃんって、いっつもがまん! ?
いとうみく (著), つじむらあゆこ (イラスト)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

ふらいぱんじいさん
神沢 利子 (著), 堀内 誠一 (イラスト)

 

 

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子どもの本だな【広告】

大どろぼうホッツェンプロッツ(全3巻) ちいさなあなたへ エルシー・ピドック、ゆめでなわとびをする
児童文学論 おめでたこぶた タランと黒い魔法の釜
科学と科学者のはなし よるくま ぜったいたべないからね

 

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今日の一冊「大食いフィニギンのホネのスープ」

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

大食いフィニギンのホネのスープ
カンブリア エバンズ (著), 川島 誠 (翻訳)

ガイコツのフィニギンは大食いで有名。ハロウィンの日、知らない町にやってきたフィニギンが、そこで出会ったのは―。

 

ハロウィン本はたくさんあるのですが、2011年発行の(わたしが紹介するにしては)比較的新しい本です(笑)

 

兄助がみずから手にとって選んだのですが、読みきかせでも評判がよく、とても思い出深い本です。
やはり評価は気になるので、Amazonを見てみましたが、☆5で嬉しくなりました。
評価数は6ですが。

 

評価数が少ないけど評価がめちゃ高いというのは、愛されてる本です。

 

今日はこれにしよう、と持ってきて開いていると
「おっ、いい本持ってきましたね」
と妹子
「これ大好き!」
妹子もお気に入りです。

 

物語は、妖怪の世界の妖怪街で起きた出来事です。
(妖怪…?)

 

古い映画ですが名作の、ティム・バートンナイトメアー・ビフォア・クリスマスを思わせるような、ハロウィンの町です。

 

「これはね、オオカミ男が全部しゃべっちゃうところが良かった」
と妹子が言ってます。

 

妖怪たちは、ある知らせにおびえます。
「大食いフィニギンが来たぞー!」

 

何もかも食べられてしまう。
みんな、パニックになって各々の食糧を隠します。

 

魔女は目玉の煮こみのびんづめ
ビーストはこうもりのつばさ
ゾンビはカエルの足

といった風にです。

 

フィニギンがやってきた時には街はみんな家に隠れて扉をしめ、鍵をかけちゃってました。

 

新しい本なだけあって、割とコミック調で、ときどき登場人物たちは吹き出しでしゃべります。

 

おしりたんていよりは、ゾロリのイメージでしょうか。
文章と吹き出しが入り混じっています。

 

フィニギン、大鍋を広間のど真ん中に設置して、火をおこし(最近焚火だの火起こしの話題多いな…)スープを煮はじめます。

 

そして、これはまほうの骨なんだよー。
すごくおいしくなるんだよー
みたいな感じで、骨を煮はじめます。

 

だんだんみんな集まってきました。

 

たぶんこれは、どう考えても間違いなくただのホネと水です。
同じことを各地方で繰り返してきたでしょうから、カッスカスのもうどう煮ようと何ひとつも出ない、ダシも完全に出来ってしまったホネのはずです。

 

しかし、子どもたちはだまされてます!
妖怪たちも騙されます。

 

「あーここに目玉のびんづめがあったらもっと美味しくなるのにな~?」(チラッ)

 

オオカミ男が、
「ぼくしってるよー」
的な感じで、魔女がねー、目玉のびんづめをねー。としゃべってしまいます。

 

魔女さん、周囲の視線の圧に負けて、びんづめを持ってきてしまいました。

 

このオオカミ男、どう見てもハリネズミといった感じのちっちゃなぼうやです。
はっきりいってまったくオオカミには見えません。

だけどまあ、可愛いからいいんです。

 

このオオカミ君、
フィニギンが
「あー、あれがあったらなー」(チラッ)
とするたびに、
あそこにあるよー、と教えてしまうので、次第にみんな食材を全部持ち寄り、(当たり前ですが)結局、美味しいスープが出来上がります!

 

みんなで持ち寄って、みんなで食べて、みんなで美味しい
よかったね

 

という本です。

 

ハロウィンの世界から出ないので、人間だとか、トリックオアトリートだとかは出てきません。
どこかの町の、どこかの街角で起きたほのぼのしたお話です。

 

しかし絵がユーモラスですし、吹き出しを多用していておもしろく、特に見開きのスープに目玉やらネズミのふんやら、足のつめなどが浮いていて、それをいちいち解説しているシーンは、子どもたちもみんな嫌がりながらも興味しんしんで眺めてくれます。

 

内容は、ポルトガルの民話である「石のスープ」(Wiki参照)を題材にしているようで、昔話の再話と呼べるかと思います。

 

このもととなっているらしき「石のスープ」について、カバーについている説明でちゃんと言及している所がとても良いです。

 

これはハロウィンにはとてもちょうどよく、ハロウィンじゃなくてもちょうどよい一冊です。

  

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

Bone Soup (Halloween Story) (英語)
Cambria Evans (著)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ナイトメアー・ビフォア・クリスマス (字幕版)

恐怖と怪奇に彩られた異世界で愛や優しさと無縁に育った青年が本当の愛に目覚めるまでを、グロテスクかつメルヘンチックに描いたファンタジー

 

 

 

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アンデルセン童話集 どろぼう がっこう 999ひきのきょうだいのおひっこし
こひつじまある しろねこしろちゃん 子うさぎましろのお話
ドン・キホーテ プー横丁にたった家 とこちゃんはどこ

 

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今日の一冊「十八番目はチボー先生」

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

十八番目はチボー先生
フランソワ・モーリヤック (著), 杉捷夫 訳 (著)

 

 

この本、e-honでは「現在お取り扱いできません」になっていますし、Amazonでは何と¥17,500-のお値段がついています。
絶版本なのですが、ずっと大好きで手元に残していた本です。

 

今、改めてみると、ウン十年越しに、今更、気が付きました。
作者がモーリヤックではありませんか。
ノーベル文学賞作家だー!うそぉ…。

今更気付くなんて遅すぎる。

 

この本をはじめてページをめくった時のことを、どうしてかはっきりと覚えています。

 

なぜなら、「これはまたものすごくつまらなそうだなあ」と思ったからです。
「さすがにないわ」とも思いました。

 

はっきりいって、冒頭は完全に大人の小説です。
とても小学生が読むものとは思われません。

 

若い女性が汽車に入ってきて荷物を置き、でぶっちょの話ずきの男の人にからまれます。
挿絵といい、様子といい、古きよきハリウッド映画それも白黒時代のもののようです。

 

行く先が同じだったので、このめちゃずうずうしい男性は、あれこれ話しかけてこの女性の目的を探ろうとします。
この女性こそがチボー先生。
11歳の男の子の家庭教師として雇われて来たのでした。

 

旅館の食事だとか、あれこれ聞いてもいないご当地情報をマシンガンのように話しまくる男性、家庭教師として来たことを知るとびっくりした顔をして、それから笑い出します。
そして「やれ、気の毒な!」と言います。
こうなってはチボー先生も事情を聴きたくなります。

 

──やれ気のどくな、とは、なぜでしょうか? とってもいいかたたちだと、間に立ったかたが保証してくださいましたが。それに、やといいれの条件もわたくしとしては、思いのほかに有利でしたし……
こんなことまで、つりこまれて言ったことがはずかしくなって、女のひとは、キュッとくちびるをかみました。

 

この会話がもはや、児童文学とはとても思われません。
いや本当に、冒頭から家庭教師の先生の採用条件についてまで描写する子どもの本なんてあるでしょうか?

 

しかし、このあたりからどんどん、どんどん、右肩上がりで面白くなってきます。
生徒である11歳の男の子、お母さんが亡くなって、お父さんとおばあちゃんと、(この時代なので)乳母さんに育てられています。

 

この三人の大人が、現代のモンスターペアレントも真っ青な甘やかしをしているので、この子供もおそろしいほどわがままになり、手がつけられない乱暴になってしまっています。
チボー先生、とりあえずこの大人たちを一時的に別居させておいて、この子と奮闘を重ねるのですが…。

 

妹子「この親!この親だめでしょ!ふざけんなよ甘やかしてりゃいいと思うなよ」

 

試しに妹子に読んでみてもらったのですが、このモンスターペアレントたちがあまりにもムカつくので、どんどん読み進めてくれました。
これは兄助(妹子の兄)も、ガンガン読んでくれたので、やっぱりこんな冒頭なんですが面白いのです。

 

ちらっと取り上げてみたらやっぱり面白いのでこの記事を書いたのですが、今回はじめて、じっくりとあとがきを読んでみました。

このあとがきがまた...。
一体誰に読ませようとしてるのー!?というような、ものすごい大人向けの文章です。
そもそも、子供の本でも、大人も同時に読むものとして設定されていはいないのだろうか?

 

もしかすると、昔はそれが普通だったのかな?

 

1958年初版、62年前の作品です。
訳された杉捷夫さんのあとがきのごく一部ですが、こんな感じです。

 

人の心の持っている秘密の世界へはいっていくのが小説家の仕事であると、モーリヤックはいつも考えているようであり、少なくとも、今までの作品ではそれを実行しているように思われます。その世界はいつも複雑ではかることのできない深さを持っていることが多いようです。

 

「だいじなことは、じぶんとこの子の間に、議論をしたり、言いあいをしたりする機会を生まれさせることだ。」(一五二ページ)
おそらく、これらのことばの中に、この童話で作者の書こうとしたことの核心がやどっていると思われます。

 

確かに、こんな風に主人公のチボー先生が、おそるべき甘やかされっ子の暴君に対して考えるシーンがあります。
ていうか、冒頭もそうなんですが、完全におとな目線の小説なんです!

 

しかし、少年の心情を描く部分ももちろんありますし、メインはこの少年のビフォーアフターにあるわけなので、児童文学…う~ん、子どもについての本であることは間違いないです。
雇用条件について書いてても。

 

このあとがきは、どう考えても子供が読むはずがないです。

 

人間の心の世界、それはしばしば、まともに見ることもできないくらい、濁ったおそろしい世界ですが、それをあきることなく、描きつづけている作家であると言えましょう。人間のみじめさと、そのみじめな人間にたいする深い愛情がこの人の作品の底をつらぬいているように考えられます。

 

世界は複雑で、とても割りきることはできない。しかし、芸術(文学)は何かの形で割りきって、これをうつしとる。もしくは、これにかたどったべつの世界を築く。そのばあい、複雑で混沌としているものをできるだけ混沌のままとらえるのに、文章 - 文体というものが大きなはたらきをする。

 

訳者のかたの、並々ならぬモーリヤックへの敬愛の念を感じます。
恥ずかしながら、これ、面白かったな~と思って手に取って、検索して中古¥17,500-のお値段にびっくりして、それから紹介しようとして…。
で、今回はじめてあとがきまでくわしく読んだわけです。

 

「小説の技術は、何よりも、現実の転位であって、現実の再現ではないことを、みとめなければなるまい。ひとりの作家が生きた複雑さの何一つをも犠牲にしまいと努力すればするほど、ますますつくりごとの印象をあたえることは、おどろくべきものがある。(略)人々は、舞台がその真実の土台を、すなわち詩を、ふたたび発見した時でなければ、死をまぬがれないであろうということを、感じはじめている。」
(『小説家とその作中人物』)

  

このお話、モンスターペアレントもしかり、反抗期の男の子の行動や心理がまんま同じだったり、今読んでもすごく共感できます。
また、このおそるべきぼうやの心を開いたのが、音楽に対する情熱であった所など、じ~んときて胸熱になります。

 

紹介しようと思わないと、ここまで見直すことはなかったと思います。
よい本は、ずっとそばにいて大人になった時にもあらゆる面で寄り添ってくれるものなんだなあと思いました。

 

どこかで見かけることがあったら、ぜひ読んでみてもらいたい一冊です。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

テレーズ・デスケイルゥ
モーリヤック (著), 杉 捷夫 (翻訳) 形式: Kindle版

ボルドーの荒涼たる松林を吹きぬける烈風にそそのかされたように、なぜ、と問われても答えられぬ不思議な情熱に誘われて、テレーズは夫を殺して自由を得ようとうするが果せず、しかも夫には別離の願いを退けられる……。情念の世界に生き、孤独と虚無の中で枯れはててゆく女テレーズを、独特の精緻な文体で描き、無神の世界に生きる人の心を襲う底知れぬ不安を宗教的視野で描く名作。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

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世界むかし話集6ロシア・西スラブ編上 野尻湖のぞう マルコヴァルドさんの四季
ギルガメシュ王ものがたり エルシー・ピドック、ゆめでなわとびをする ひっこしだいさくせん―5ひきのすてきなねずみ
賢者の贈り物 がんばれヘンリーくん ルピナスさん―小さなおばあさんのお話

 

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がちキャン△2~ランサム「ツバメの谷」 再読4 読了

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

ツバメの谷(上)
アーサー・ランサム (著), 神宮 輝夫 (翻訳)

ツバメ号とアマゾン号』の冒険から一年、ウォーカー家の4人きょうだいは、ふたたび湖で帆船を走らせますが、ツバメ号が突風にあおられ、暗礁にぶつかって沈んでしまいます。船を失った探険家たちは、新たにみつけた「ツバメの谷」でキャンプをすることに。アマゾン海賊姉妹とともに、夏休みの冒険に乗り出します。

 

がちキャン△~究極のアウトドア体験!「ツバメ号とアマゾン号」 再読1 

再読2再読3 再読4(読了)

 

 

がちキャン△2~ランサム「ツバメの谷」 再読1

再読2再読3

 

 

この、難破してしまったときのジョンの絶望はすごいです。
船を失った船長…。

 

しかし、子どもたちは(小学生ぐらいなのに)極限にありながら、出来る限りの最善の行動を取ります!

 

「ツバメの谷」を読んでいると、あやうい事故に遭いながらも、ぎりぎりの判断が出来るはず、たとえ子どもであっても、という「アウトドアにおけるリスクの教科書」的な役割を果たしている本だなと思うこともあります。

 

ウォーカー家のお父さんが、第一巻「ツバメ号とアマゾン号」で、四人兄弟姉妹に、子どもだけでのキャンプを許してくれたときの電報は

ボレロノロマハノロマデナケレバオボレナイ

 でした。
いわゆる自己責任を書いているようでありながら、これはどんな時においても、その時における最善を尽くせと言っているように見えます。

 

泳ぎは全員マスターしていたので、みんな岸に泳ぎつきます。
ジョンはぎりぎりに、いかりを投げておきますが、これがあとで座礁した船を岸に引き上げるのに役に立ちます。

 

この遭難時のわたしの推しの二人のスーパー女子二人の行動が実に対照的です。

 

ナンシイは、岩にぶつかって座礁したのを知るが早いかすぐに自分の船に走っていき、ロープを彼らに投げます。

 

そして、驚くべきはやはりスーザンです。 

スーザン航海士は、どんなときでも、そのときどきにふさわしいことを心得ていた。だから、今も、人間はこの世のおわりのときでも、できたらぬれネズミでうろつかない方がいいことをちゃんと心得ていた。今なすべきことは、火をすぐにもやしつけることだった。 

完璧か!
末おそろしいお子さんです。


ショックで呆然自失となるどころか、泳ぎ着いてすぐに服を乾かす準備までする。
有能すぎて逆に怖いです。
さからえそうな気がしません。

 

「あなたたちふたりも、着がえたほうがいいわ。」と、スーザンがいった。
「とにかく、ぼくはそのつもりだよ。」と、ジョンがいった。「もぐって船を見てくるつもりなんだ。」
「それから、あなたもよ。なにをするつもりか知らないけど。」と、スーザンがAB船員にいった。「そして、着がえたら、もっとたくさんたきぎを集めてきてちょうだい。」
「うまい、航海士君。」と、ナンシイ・ブラケットがいった。「水夫どもをいつもはたらかしておけば、反乱をおこすひまはないんだ。」

 

ナンシイはただ厳しい苛烈な女海賊というだけでなく、ほめるべきところはちゃんとほめます。
ジョンを慰めながらも、こういう時には、言葉で大丈夫大丈夫とか、命があってよかったなどと感情的になぐさめるのではなく、具体的な提案をもってツバメ号を引き上げるのを手伝います。

いたわりの言葉をかける時も、どことなく論理的です。

 

ジョンは、いかりをつかんで、はい上がってきた。
「お手柄だ、ナンシイ。きみが、このやり方を思いつかなかったら、もっとずっと時間がかかったよ。」
「あなたの船の水夫たちはすばらしいわね。」と、ナンシイがいった。「水夫たちが、きめられたとおりに綱をまいておかなかったら、ぜったい確実もつれちゃって、あなただってうまくいかりを投げることなんかできなかったわよ。」

 

一度は絶望していたジョン船長でしたが、おとな(フリント船長)が助けにくる前に、子どもたちの力だけで船をひきあげておく、という「最善の策」「出来るかぎりのことをしておく」を思いつきます。

 

 

この難破を期に、船を船大工さんにあずけてなおしている間、陸での冒険中心の物語になっていくわけです。

 

緊張感のある冒険が続きます。
リスクに細心の注意をはらっているのがわかる記述です。

 

山登りでは、いちばん年下のロジャが、ヤギに気を取られて 足を滑らせます。ザイルを巻いていなければ 危なかった…!

 

年長組(ジョンとスーザン)と年少組(ティティとロジャ)が、別ルートを通って元来た道を戻った時には、濃霧が発生し、年少組は道をそれてしまいます。

 

安易な遊びではありません。
やはり、それだけアウトドアは危険だということでもあります!

 

いついかなるときも、あらゆるリスクを考え、体調を管理、歯みがきや洗顔などといったちょっとなら…というすきも見逃しません。

 

この正確さ、このきちんとすることの大切さ、規則正しい生活と言われたことは守ること。
…という単純なことがミスを防ぎ、事故を防ぎ、事故が起きたとしても被害を最小限に食い止めます。

 

他にも、ティティが大おばさんを溶かしてしまって、殺すつもりじゃなかったと嘆くところなど、最高に笑えるし、もう読む手が止められません。

 

ぜひ読んでもらいたいです。

 

 

おとなであるブラケット姉妹のジムおじさん(=フリント船長)は、もっとも子どもたちに寄り添ってくれるおとなです。
子どもたちの気持ちがよくわかり、トラブルが起きたときには助けになり、ほかのおとなたちとの緩衝にもなってくれます。

 

そんな触れ合いの中でも、特に印象的な所があります。
ティティは、「ピーター・ダック」という老船乗りのことを、たびたび口にします。
ピーター・ダックはティティの想像の産物です。

 

ピーター・ダックは、くちばしのきいろいときからの船乗りと自称し、物語の中で、子どもたちと共に小アンチル諸島まで航海した老水夫で、やはり物語の中で、海賊の黄金でポケットをふくらまして、ローウィストフ トへ帰航した。ティティはこの人物創造に大きな役割をはたし、現在はあらゆる面にこの人物を役立てていた。

ティティにとって、人形などなんの価値もなかった。ピーター・ダックのほうが、どんな人形よりも、はるかに役に立った。ピーター・ダックは、いつもじぶんで、きちんと身づくろいできたし、けっしてまいごにならなかった。中からおがくずがこぼれ出すこともなかった。ティティが頭の中で考えさえすれば、ピーター・ダックはどんな冒険にでも、いつでもとびこんでいける状態で、すぐにあらわれた。

 

スーザンがスーパーカリスマ主婦で、ナンシイが女CEOだとしたら、ティティはまちがいなく作家です。


そして、このピーター・ダックについての空想と記述があまりにも、生き生きとしているため、ついにこの老水夫はティティの想像を飛び越え、第三話でも実在の水夫としてランサム・サーガに姿を現すこととなります。

 

ランサム・サーガが大きな飛躍を遂げるのはやはり、三冊目「ヤマネコ号の冒険」からです。
子どもたちは湖でキャンプして空想と周囲の冒険をするのみならず、'ついに、海に船出することになります。

 

生きて動いている、本物の船乗りです。

 

ティティも別にそれをあ…あのピーター・ダックが!?なんて言及もせず、普通に受け入れています。

 

悪党も海賊も出てきますし、ものすごく楽しく面白いお話ですが、突然、これだけ子どもたちの危険に気をつけているお母さんの手を離れて、子どもたちだけで世界を旅するというのは…。
(「ツバメの谷」では、トラブル続出なので、かなりお母さんは気をもんでいます)

 

この三冊目「ヤマネコ号の冒険」は、ティティの空想、ティティが書きつけた物語なのではないかな?…などと思うことがあります。

 

なんとなく、そのように思わせる余地を残した不思議さです。

 

そして、この二作目「ツバメの谷」で、フリント船長が何気なくこのピーター・ダックについて言及するシーン

 

ティティはフリント船長を見て、一瞬いやな気持になった。

 

子どもにとっての空想や物語の世界が、いかに神聖なものであるか、おとなとして思い知らされるシーンです。

 

子どもの世界は自由で深く広く、どこまでもひろがっていき、そこに大人が介在することのできない聖域なのだなと思いました。

 

そして、作者であるランサムが、そのことをしっかりと自覚していることも、おとなへの線引きをきっちりこうして描写していることも、すばらしいなと思いました。

 

この感覚、大人として子供たちに接している自分も、決して忘れてはならないことだなと思います。
子供には子供の世界があるのです。

 

この「ツバメの谷」によって、現れたピーター・ダックによって、三冊目からぐっと物語は広がりをみせ、子どもの遊びから大海原へ…それも、船を操るリアルさは保ったままというすごいクオリティの冒険になることになります!

 

 

というわけで、今回の「ツバメの谷」は、ここでおしまいにしておきます。

懐かしいと思う方も、ぜひ再読してみてもらいたいです。
やはり、昔読んだ時とは違う箇所に目がとまり、年齢に応じて、面白いと思う箇所も変わり、見方も変わりつつ、でもやっぱり面白いです。

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

Swallows & Amazons - The Complete Collection: 12 Novels including Swallowdale, Peter Duck, Winter Holiday, Coot Club, Pigeon Post, Secret Water, The Big ... Lee, Great Northern? (English Edition) Kindle版 Arthur Ransome (著)

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

やかまし村はいつもにぎやか ガンバとカワウソの冒険 ともしびをかかげて〈上〉
ホビットの冒険〈上〉 くらやみの谷の小人たち しずくの首飾り
ジェインのもうふ こまったさんのスパゲティ ドリトル先生ものがたり

 

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がちキャン△2~ランサム「ツバメの谷」 再読3

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

ツバメの谷(上)
アーサー・ランサム (著), 神宮 輝夫 (翻訳)

ツバメ号とアマゾン号』の冒険から一年、ウォーカー家の4人きょうだいは、ふたたび湖で帆船を走らせますが、ツバメ号が突風にあおられ、暗礁にぶつかって沈んでしまいます。船を失った探険家たちは、新たにみつけた「ツバメの谷」でキャンプをすることに。アマゾン海賊姉妹とともに、夏休みの冒険に乗り出します。

 

がちキャン△~究極のアウトドア体験!「ツバメ号とアマゾン号」 再読1 

再読2再読3 再読4(読了)

 

 

がちキャン△2~ランサム「ツバメの谷」 再読1

再読2

  

ブラケット姉妹がやってきて、事情を自分たちの口で話してくれます。

 

頭のかたい大おばさんが「お母さんに自分たちのことでひどいことを言ってる」というその内容はあまり語られないのですが、大人になってからだと何となく「女の子らしくない」「非常識」「レディとしてのたしなみを」的なことを言っていたっぽいことが察せられます。

 

ここは、おとな目線でしんみりくる所です。

 

ナンシイはナンシイなのに...。
そのままでいいのに。
どうして、女らしいとか男らしいとか、世間体とか、そういう枠にがちがちにはめられなければならないのか。

 

それに対するナンシイが想像する報復がすごいです。

 

無人島に置き去りにする
・いかりに縛って海底に沈める
・フカにくわせる
・岩の上においてけぼりにしてカニにくわせる
・木にぶらさげて鳥にくわせる

 

いかにもナンシイの考えそうな、アマゾン海賊らしい発想です。
意思の強さと激しさは、この大おばさんの気性を受け継いでるような気がしないでもないのですが…。

 

この本のいいところは、そのおばさんが「一体どう言っていたのか」を具体的に台詞を出していないところです。
だから、子どもには読んでいても「フーン...?」という感じであまりよくわかりません。

 

ブラケット姉妹が「何を禁止されているか」を言うことでなんとなく知られるだけです。

 

これはすばらしいなと思いました。
大人の説教をあれこれと詳細に書いて、その偏見や保守的なルールがどうであるか、を表現しないことで、完全に子どもの世界のままでいることができるからです。
なのに、こうして大人が読めばそれと知られる...。


さてその内容ですが。

 

・家でごはんを食べないといけない → ある意味当たり前です。
・キャンプ禁止 → 四六時中、というのはどうなのでしょうか。
・金さがし禁止 → これはゴールドラッシュの採掘ごっこのことだと思いますが、だとすると要はアナホリです。
・毎日いい服を着ていなければならない → ナンシイのレースのドレス姿がちらっと見られるのですけど、いったいどんな感じだったのだろう…み…見たい!!

 

う~ん。

 

改めて見ると、どうなんでしょうか?

 

 

もう一つ面白いのは、お互いの世間話に年長組が夢中になっている間、ティティとロジャの年下組がこの世間話がだんだん、つまらなくなってきたことです。
子どもあるある!

 

二人とも抜け出し、ティティとロジャは、川沿いに遡って橋の下をくぐり、探検します。
川沿いを探検して見つけたもの、ここのワクワク感は、本当に子供に帰ったかのような素晴らしさです!!
ここは詳しく書けませんが、キャンプ、冒険の楽しさをすべて詰め込んだようなスリリングな楽しさです。

 

2巻目のツバメの谷は帆走よりもこの、探検や冒険、キャンプのいりまじったリアルな面白さが際立っています。

 

また、キャンプにつきものの危険というものが、ある意味テーマであるかのように、きちんと描いています。
非常事態、それもまた、キャンプの一貫です。

 

 

これまでの4人兄弟姉妹の子どもたちの行動は、

 

 ヤマネコ島に来る。
  ↓
 ナンシイたちを待ってて来ないので馬蹄湾に移動、かまどを作り煙の合図を立てる。
  ↓
 合流して、話している間にロジャとティティ、川沿いですばらしい発見をする。
  ↓
 ナンシイたちと別れてヤマネコ島に戻り、一晩過ごす。
  ↓
 次の日にまた馬蹄湾でナンシイたちと合流をする…はず…だった。

 

という流れです。

 

ジョンは、ナンシイたちよりも早く馬蹄湾に付きたいと考えていますが、先に入られてしまいました。

 

ヨット帆走は、天候や風の動きに左右されますから、予定を立ててこうしよう、と決めてもその通りに行くとは限りません。

 

ジョンの中に、ナンシイに対するライバル心のようなものがあります。
(実際、ナンシイの方がベテランですし、明らかに経験豊かです)

 

また、谷の探検のための懐中電灯探しや塩による遅れが、ジョンの注意力を失わせます。

ティティとロジャは驚かせようの思ってまだ発見のことを話していないので、なぜ懐中電灯が必要なのかジョンにはわかりません。

 

結果、ツバメ号は...。
開始5分の1くらいの所で...(正確に言うと561ページ中85ページの所で)、強い風にあおられ、岩にぶつかって、難破してしまいます!!

 

あー!!!
このときの読んでるこちら側の絶望も半端ないです。
帆走のやり方や、波や風の読み方、帆の操り方などまで、詳細でリアルなため、本当に、目の前で座礁した気分になります。

 

素晴らしい谷を見つけた、
馬蹄湾への先着争いでアマゾン号と競争したいジョン船長
ティティが懐中電灯を探す
スーザンが品物をおさらいして、塩を取りに戻る(二分の遅延)
焦って船を走らせて座礁

 

これのおかげで、二巻は船よりも陸の冒険やキャンプ生活がメインになります。

 

よりいっそうがちキャン△なわけです。

 

ここからは

 

洞窟
登山
遭難

 

です!

 

息つく暇もなく面白いです。

 

(なんとなく図解)

f:id:WhichBook:20200921093949j:plain

画:妹子

 

(続きます)

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

Swallows & Amazons - The Complete Collection: 12 Novels including Swallowdale, Peter Duck, Winter Holiday, Coot Club, Pigeon Post, Secret Water, The Big ... Lee, Great Northern? (English Edition) Kindle版 Arthur Ransome (著)

 

 

 

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らいおんみどりの日ようび ニワトリ号一番のり ぼくがぼくであること
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世界むかし話集6ロシア・西スラブ編上 シャーロットのおくりもの めのまどあけろ

 

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がちキャン△2~ランサム「ツバメの谷」 再読2

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

ツバメの谷(上)
アーサー・ランサム (著), 神宮 輝夫 (翻訳)

ツバメ号とアマゾン号』の冒険から一年、ウォーカー家の4人きょうだいは、ふたたび湖で帆船を走らせますが、ツバメ号が突風にあおられ、暗礁にぶつかって沈んでしまいます。船を失った探険家たちは、新たにみつけた「ツバメの谷」でキャンプをすることに。アマゾン海賊姉妹とともに、夏休みの冒険に乗り出します。

 

がちキャン△~究極のアウトドア体験!「ツバメ号とアマゾン号」 再読1 

再読2再読3 再読4(読了)

 

がちキャン△2~ランサム「ツバメの谷」 再読1 -

 

 

スーザンが火おこしをはじめました。
がちキャン△2のはじまりだー!

 

スーザンが火おこしをはじめました。

 

実はうちも、ヒロシのソロキャンプの「焚き火台」を購入して火おこしをやりはじめたのですが…。
本当に難しいです。
着火剤がなくて、しかもこちらはかちかちやれば一応火が出るチャッカマンがありますが、この子たちはマッチのみ。

 

自分は大人になるまでキャンプなんて一度もしたことがないまま来ましたが(親はアウトドアが好きではなかったので)、子どもの頃からこのスーザンの火おこしシーンはずーっと憧れでした。

 

スーザン航海士くらい火をもやすのが上手な人間はなかった。たちまちのうちに、一にぎりの枯れ葉に火をつけたかと思うと、枯れ葉の上にインディアンの小屋のようにたてかけた枯れアシや小校に、その火がもえうつった。小さなインディアン小屋のまわりには、もっとふとい枝でひとまわり大きな小屋ができていたが、それにもすぐに火がもえうつった。木のもえる小気味よい音がして、かわいたたき木から、一筋のすんだ青い煙が、みどりの木の間をぬってのぼっていった。ヤマネコ島も、また人がすむようになったのだ。

 

ここでは、枝や葉の積み方を、「インディアンの小屋」に例えています。
これは、最近わりと売られている「ティピー」のことだと思うのです。

 

 

子供用テント ティピーテント

 

これがわかりやすいと思いますが、テントの上部が「木を組み合わせる形」になってます。

 

キャンプの火起こしの時の薪や小枝の組み方は、たくさんのスタイルが出て紹介されていますが、私はスーザンのやり方を踏襲させていただきます!

 

 

火おこしの次はテントを張ります。
この順番にわたくしは注目しました。

 

火おこしはともかく、やかんの水が沸騰するのに、これは相当に時間がかかります!
最近やってみたのでわかりました。

 

薪に火がつき、炭にも着火するまで、相当ずっと燃やしてなければなりません。
なので、先に火を起こすというのは大変、効率がよいやり方だと思います。

 

今回はちゃんと、テントのペグを打ち込んでいます。


テントの下からは石を取り除き、ペグを打つ際には穴を掘り、焚き火を真ん中にしてどのテントからも見えるように円形に配置します。
だれもが火の始末、または火が耐えないようにの工夫でしょうか。
倉庫用テントが別にあり、荷物はそちらに保管しています。

 

あっ、何か面白いことが書いてある...。

スーザンは、ジョンが船長とはいいながら男の子なので、たよりにならないときもあることを知っていた。そして、航海士として三人きょうだいをあずかっている気もちだった。

 

※作者は男性です。

それに、ここから続く、ティティのこういう所の描写が大好きです。 

ティティは港のつめたい水にちょっと手を入れてみたが、それは、ただ、じぶんがほんとうに島にいるのだということからだで感じとるためだった。

 

 

お母さんが来て、食料品の補充があり、お茶でもてなして、第一夜を迎えます。お母さんが言いました。

 

「年とった木のように寝て、若こまのようにおきなさいよ」

 

妹子「若こまってなに?」
わたし「まだ年の若い馬のことだよ…一応検索してみよう?」

 

若駒とは - コトバンク

[日本酒・本格焼酎泡盛]銘柄コレクションの解説
栃木の日本酒。地元には古くから初午の日に飾り馬が村内をめぐる風習があり、酒名は、その馬が店に飛び込んできたことに由来。大吟醸酒は40%まで磨いた山田錦を小仕込みで醸す。ほかに本醸造酒普通酒などがある。原料米は五百万石、山田錦など。仕込み水は日光山系の伏流水。蔵元の「若駒酒造」は万延元年(1860)創業。所在地は小山市大字小薬。

 

これはちがうわ。

 

インターネットは便利ですが、たまに検索してもずばりの答えは出てこず、情報を取捨選択しなければならないので面倒です。

 

 

さて結局、今回はブラケット姉妹とはあまりがっつり遊ぶことは出来ません。
ずっと家に拘束されているようです。

 

ざっくりと言ってしまうと、恐ろしい大おばさんにとっつかまって、良家の子女らしくおとなしく、お行儀よくしていることを強制されているのです。

 

 

子どもたちは、「馬蹄湾」に流れ込む渓流を探検するつもりでした。

 

四人の探検家たちは、前の晩とてもつかれていたのに、朝は、はやく目をさました。東岸の丘陵をおおう森林の上に朝日が顔を出し、木の間を通してヤマネコ島に光をなげかけると、まっ白な四つのテントにも、あかるい光がまだらにあたった。それがとてもあかるくて、みんな、目をつぶっていられなくなった。そして、目をあけると、テントの上でおどっている、まぶしい日の光を見るより、外のみどりを見るほうが、楽だった。

 

テントを通して見える陽の光の表現がすばらしいです。

 

ヤマネコ島から渓流の河口に移動、ここでまたかまどをつくります。
石を重ねてやっている模様です。
私が使ったような、組み立て式焚き火台のようなのは邪道です。
薪も現地調達です。

 

これを全部子どもたちだけで、やります!

 

 

(続きます)

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

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魔女の宅急便 ツバメの谷 野の白鳥
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ぼくは王さま ハンカチの上の花畑 火の鳥と魔法のじゅうたん

 

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がちキャン△2~ランサム「ツバメの谷」 再読1

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

ツバメの谷(上)
アーサー・ランサム (著), 神宮 輝夫 (翻訳)

ツバメ号とアマゾン号』の冒険から一年、ウォーカー家の4人きょうだいは、ふたたび湖で帆船を走らせますが、ツバメ号が突風にあおられ、暗礁にぶつかって沈んでしまいます。船を失った探険家たちは、新たにみつけた「ツバメの谷」でキャンプをすることに。アマゾン海賊姉妹とともに、夏休みの冒険に乗り出します。

 

 

アーサー・ランサムのシリーズは本当に大好きなので、全部必ず紹介しよう(=全部もう1回きっちりと再読しよう)と心に固く決めていました。

 

前に「がちキャン△」と称して、一冊めを紹介しましたが、今回は二冊目です。

 

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冒頭の紹介リンクはもちろん、神宮輝夫さんがみずから新訳をされた文庫版なのですが、今読もうとしているのはやはり、かつてランサムシリーズに慣れ親しんだ人、また、昔の児童図書館に通っていた人ならば必ず目にしたことがあるはずの、この分厚い灰色のぶっきらぼうな装丁の本です。

 

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これです!!
この厚み!

 

本ずきだから読めるのではなくて、あまりにも面白いから読めてしまうのだ。
と、強く強く主張したいです。

 

今回は前回の「ツバメ号とアマゾン号」から1年後という設定です。

 

ウォーカー四兄弟姉妹たちは「汽車」でウィンダミア湖(がモデルと言われている)に湖にふたたびやって来るのですが、冒頭でティティがちょっと面白いことを言います。

 

「まだ島の名まえをいっちゃいけないのよ。」と、ティティAB船員がいった。ティティは船のまん中の荷物の上にこしかけて、かごにはいって航海しているじぶんのオウムの世話をやいていた。「あなたは『陸だ、陸だ』っていって、からからにかわいたくちびるをなめるのよ。それがどんな陸だかわかるのは、もうちょっと近づいてからよ。何週間もさがしまわっていた陸かもしれないじゃないの。」

 

空想好きのティティは、もう物語の中で物語の世界に入り込んでいます。
あーこれ、「ニワトリ号」のこと言ってるわ~、と一瞬思いました。
(読んだばかりだったので...)

 

もしかしたら、ロビンソン・クルーソーかもしれませんが。

 

この「ツバメの谷」においては、ティティの空想癖が如何なく発揮されるのですが、ちょっと面白いことに、ランサムシリーズの世界がぐっと「子供の遊び」の枠を超えて広がりを見せるのは、やっぱり三冊目の「ウミネコ号」です。

 

二冊目は、このウォーカー兄弟とブラケット姉妹の遊びの域は越えませんが、三冊目ではついに海に出発です。

 一冊目でもちょっと触れられた、子どもたちの空想の船乗り「ピーター・ダック」が、この二冊目ではティティの空想の中でもっともっと広がりを見せ、三冊目では、ついに…!

 

いやいや、先を読み進めます。

 

 

一番上の二人は安定です。
ピーターは相変わらずヨット帆走がすばらしい腕前ですし、スーザンは食料品のリストの照合をすませて満足しています。

 

二冊目では、四人のキャラクターがよりはっきりしてきたように思います。


ティティの空想がとどまるところを知らず広がるのと同じぐらいに、スーザンは、どんな大人のカリスマ主婦ユーチューバーもかなわないぐらいものすごい完璧な主婦です。


スーザン、確かこのときまだ小学校高学年ぐらいのはずなのです。

 

スーザンがおぼえていなかったらおき忘れてきたようなものがとてもたくさんあったが、なに一つ忘れてこなかった。その上、けさはまた、食料品のリストつくりと照合と、ツバメ号へのつみこみ作業があった。

 

たとえ伝説のカリスマ家政婦も、家・移動時・(子供だけの)キャンプ時・ヨット帆走時、すべてに完璧に対応できる、小学校高学年のスーパーカリスマ家政婦にはかなわないとわたしは思います!
スーザンはさらに、ヨット帆走もで一人できます!!

 

本当に、ヘッドハンティングしたいです。
何かの。

 

 

さて、ウォーカー四人兄弟姉妹の子どもたち、また楽しくナンシイたちと遊べることを期待していたのですが、ウォーカー四人兄弟姉妹が現れたらすぐに気付くはずの、ブラケット姉妹の姿がありません。

 

「アマゾン号は港にはいっていません。」と、見張りがいった。
四人とも、今の今まで、心の中で、アマゾン号は港にいると考えていた。煙や旗があがっていないのも、ツバメ号がまっすぐ上陸地につくと判断したナンシイ船長が、アマゾン号を港にかくして、島のどこかで待ち伏せしているとすれば、うなずけることだった。そして、待ち伏せこそナンシイがやりそうなことなのだ。

 

待ち伏せこそ一番やりそうなこと」
どんな奴やねん。

 

ティティ、スーザンについで、ナンシイはやっぱり相当に強烈なキャラクターです。
ブラケット姉妹、特に姉のナンシイは、おてんばの極み、男顔負けです。

 

船をアマゾン海賊と名前をつけたのも、アマゾンの女戦士の伝説から来ているに違いないです。

 

読んでいてたまに、ナンシイが女の子であることなど忘れてしまうほどなので、かなりのものです。

子どものときは少年少女の境がないとかそういう問題ではなくて、ナンシイはナンシイであり、ナンシイとしか言い様がありません。

 

激烈・苛烈・頼りになる・船長・海賊・帆走の名手・赤い毛糸の帽子
などがナンシイの個性、ナンシイキーワードです。

 

この子はカリスマ女社長タイプだ...!
きっと!
女CEOとか敵対的M&Aとか、超似合ってる!

(妄想です)

 

 

あっ、スーザンが火おこしをはじめました。
がちキャン△2のはじまりだー!

 

 

(続きます)

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

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ちょっとだけ 西の魔女が死んだ やさしいライオン
しんせつなともだち 風をつむぐ少年 ひさの星
あおい目のこねこ 思い出のマーニー〈上〉 北極のムーシカミーシカ

 

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今日の一冊「ヒロシのソロキャンプ-~自分で見つけるキャンプの流儀~」 にひっかけて「ツバメの谷」

閑話です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

すっかり秋めいて涼しくなってきました。
キャンプ日和です。

 

 夏にお店でツバメ号っぽい船を見つけて衝動的に買ってしまってから、どうにもツバメ号とアマゾン号な気分をずっと引きずっています。

f:id:WhichBook:20200918114742j:plain


 

だんな「こんな本を買ってしまいました…」

本を買うと、私に申告しなければならないと思っているらしく、持ってきます。

 

「ヒロシのソロキャンプ」じゃないですか~!

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ヒロシのソロキャンプ-~自分で見つけるキャンプの流儀~
ヒロシ (著)

YouTuberとして再ブレイク! チャンネル登録者数80万人を超え、今なお増え続ける、ソロキャンパー芸人・ヒロシによる初のキャンプ本。愛用の道具紹介、実践術、動画撮影の極意など、ヒロシ流キャンプのこだわり・楽しみ方をたっぷり公開!

 

ヒロシのキャンプyoutubeはなんだかずいぶん有名になってしまって、テレビにもバンバン出るようになり、ついに番組まで作られるようになってしまいました。
まあ、そもそもが芸人さんなのでいいのですけど、そっと愛でていた時の方が良かったなんて思うこともありました。


しかしこの本、読んでみると面白いです。

 

カッコつけようとして失敗したり、少しでもカメラの撮り方を工夫しようとして奮闘している様子も書かれています。
ひとりで山の中でいるように見えても、角度を変えると車がごちゃごちゃたくさん並んでいたりするのには笑ってしまいました。
(「山の中に勝手に入るな」と書かれて、そう見せてんだよ!と舌打ちしたとか…)

 

どこぞの企業から送られてきた道具を使ってみたら、ヒロシが使ったと宣伝されていたと書いていたり…(捨てたそうです 笑)

 

かと思えばちゃっかりオリジナルTシャツは赤が余っているのでこの機会にぜひ買ってほしいと宣伝していたりします。

 

じゃあさて、キャンプ好きの旦那とこの面白さについて共有してみようか。

 

面白かったよね、と言ってみたら、
「面白かった?ぜんぜん読んでないんだけど」

 

私が1番読んで欲しかったのはおいしいキャンプ飯を食べたいなら高い肉を買えと書いていたところだったんですけどね…。

 

最後に書いた、協調性の圧をかけてくる「みんなで」と言う言葉に負のイメージしかなく、避けて避けてそソロキャンプを始めたはずなのに、またその個となったひとりひとりがなんとなく集まって群れをつくっている、その矛盾に葛藤しているあたりが面白いと思いました。

 

 

そして、我慢できずに、ツバメの谷を読み始めてしまいました。

 

ランサム・シリーズ第二段です。

 

あの楽しかった夏のキャンプは去年のこととなっています。
はじめて子どもだけの帆走とキャンプを許してもらえた夏、ブラケット姉妹との海賊ごっこ、戦争、フリント船長、宝物(トランク)…。

 

翌年に、子どもたちはまた楽しい夏が過ごせるものと、期待に胸を膨らませて汽車に乗っています。

 

この二冊目は、「ツバメの谷」は、帆走よりもキャンプや山登りの方がメインなので、まさに「がちキャン△2」といった感じです。
また、物語がサーガとしてぐっと広がる仕掛けがあり、また別の視点からキャンプの楽しさを描いていて、飽きるということがありません。

 

明日からは「ツバメの谷」にしよう。そうしよう。
ヒロシありがとう!
ランサムの世界に戻ってきました。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ツバメの谷(上)
アーサー・ランサム (著), 神宮 輝夫 (翻訳)

 

 

 

 

 

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ガンバリルおじさんとホオちゃん ものいうなべ しずくの首飾り
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今日の一冊「ニャーンといったのはだーれ」

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

ニャーンといったのはだーれ
ステーエフ (著), 西郷 竹彦 (翻訳)

「ニャーンといったのはだれ?」と子犬はネズミや猛犬にきいてまわり、いろんな失敗をします。幼児が周囲への認識を深めていく過程を描く。

 

 

この本が再販されているのはとても嬉しいことで、自分もかなり幼い頃に買ってもらい、これまで常にそばにあった相当に古い本です。
ボロッボロですが、まだ今でも手元に残っています。

 

作者はウラジミール・ステーエフ。
名前からわかるとおり、ロシアの絵本作家さんです。
ソ連時代のかたで、モスクワ生まれのようです。

 

初版は1969年(昭和44年)発行の、50年以上経つ絵本ですが、とにかく、絵が!
絵が、抜群に可愛いのです。

 

すごく動きがある、どちらかというとアニメ調の絵です。
初期のディズニーや、トムとジェリーを思わせるような感じですが、そこまでデフォルメされておらず、動物は動物らしく、とても表情があってかわいいです。

 

可愛いこいぬが、ニャーンという声をきいて、ふと耳をそばだてます。
いったい何だろう?誰がこんな鳴き声を立てたんだろう?とさがし始めます。

 

ねこが、すごくねこで、こいぬがすごくいぬです。

 

 

さまざまな動物に「きみかい?」と聞いてまわるのですが、かえるには笑われ、ねずみにはこわがられ(当然です)…。
そのくらいなら良いのですが、獰猛な犬には脅されて一目散に逃げます。

 

f:id:WhichBook:20200917111805j:plain

 

(このあたりが、トムとジェリーを彷彿とさせるのですが、おわかりでしょうか…)

 

しかし、読んでいるこちらには、絵の中にちゃんとねこが見えています。
こいぬの視点では見えないのですが、しっぽが垂れていたり、もうあからさまに普通にテーブルの上に座っていたりします。

 

とても、ああ、ねこだなあ!という感じがします。

 

読み聞かせをすると、子どもたちはもどかしいようで、
「いるじゃんそこに!そこに!!」
「何でわかんないの?」
と大騒ぎしてくれます。

 

本当にすごく可愛らしいですし、いぬずきさんにもねこずきさんにもばっちりの一冊です。

 

ただ一つ残念なのは、改訂版ではもともと載っていたもう一つの「三びきのこねこ」がが削られてしまったことですが、このわんちゃんのお話だけでも必見のかわいさです。

 

このたび調べてみるとステーエフの「三びきのこねこ」は別の絵(イタリアのかた?)で再販されていました。

 

おそらく再版にあたって原版が見つからなかったか何か事情があるのかなあと思いました。
(完全な推測にすぎませんが)

 

 

 

もとのステーエフの絵は、こんな感じです。

f:id:WhichBook:20200917100441j:plain

f:id:WhichBook:20200917100446j:plain

 

もう、随分古い本なのでとても薄汚れているのですが、この愛らしさ!
大好きな一冊です。

 

 

 ↓再販はこちらです。
この柔らかそうな、ふわふわのねこさんもすごくすごく可愛いです...💖

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

三びきのこねこ
ヴラジーミル・ステーエフ(文)、さがのやよい(訳) (著),
ジュリオ・マエストロ (イラスト)

 

 

 

whichbook.hatenablog.com

 

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