~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

大人が読む児童書「青い月の石」 4 読了 読め読め有効認定

大人が読む児童書。
積ん読・解消計画★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

青い月の石
トンケ・ドラフト (著), 西村 由美 (翻訳)

ヨーストはある暗い夜、家の外にあやしい黒い影を目にする。そして次の日、校庭の地面の下からぶきみな男が現れた。その名は地下世界の王、マホッヘルチェ! ヨーストは足あとを追っていくが……。それは月が青くなったときに始まった、少年と仲間のとくべつな冒険の物語。現実とおとぎ話が入り交じる、人気作家のファンタジー

 

 

大人が読む児童書「青い月の石」 1 異世界へ行く資格とは

大人が読む児童書「青い月の石」 2 天女の羽衣はカモ

大人が読む児童書「青い月の石」 3 たまに王子をビンタしたくなる

 

 

わたし「妹子!面白かったよ!とてもいい本だった」

 

ここからは、おすすめしてきた妹子との雑談です。
妹子は、題名が綺麗だと思って選んだそうです。

 

妹子「月の石で青い、ってすごく綺麗じゃない」

 

なるほど。宝石キーワードだったのです。
(妹子はからすのように、キラキラピカピカしたものが大好きです。)

 

わたし「でも青い月の石は、投げ込んで終わったね」
妹子「石があればまた冒険に出られたんじゃないの?月は二度と青くならないの?」
わたし「大丈夫。青い月って新月だから」

 

最後にヒヤシンタ姫が説明してました。

 

ならば、青い月は気付いていないだけで、誰のもとにも訪れているわけです。

 

新月の夜に何かが起きる。

 

ヨーストのおばあちゃんが言ってました。 

「月は、だれにも気づかれずに、青くなることがあるんだよ。」

 

 

これは、わたしは大人として読むからわかるのですが、妹子は(自分も…)、小さい頃に、お友達とたくさん空想ごっこをして遊んでいました。

 

わたし「ちぎれるほど振り回してリカちゃんとか、ほっぺちゃんたちが暴れまわってたの覚えてるかな?」
妹子「よく覚えてる」

 

特に面白かったのは、お金持ちのお嬢さまと居候の女の子の話でした。
親は外国に住んでるのでいません。

 

妹子「夜は変身するんだよ!それで怪盗なの」
わたし「金持ちなのに泥棒かよって思ったからよく覚えてる」

 

プリキュアの影響も大でしたが、おおむねオリジナルでした。

 

大きなほっぺちゃんを馬にして、空を飛んで戦うのですが、バトルにワイヤーアクションばりのスローモーションが入っていて、すごく面白かったです。

 

あれは、本当に起きたことだったと思います。

 

お友達たちは、もうそろそろ、記憶も薄れ、失いかけているような気がします。

 

特に女の子はグループを作りますから、いったん属してしまうと、そのグループの中での小さなルールでいっぱいになってしまいます。

 

兄助(妹子の兄)のときですけど、グループの「影響力のある子」を嫌って、引き離したいと思う親御さんが、お受験を頑張らせ、塾づけに…ということもありました。

 

(そういう塾の先生がたがみな、口をそろえて「読解力!本本本!読書・読書!」と言ってきます。そして、「何の本を?」という所には答えがありません…)

 

 

妹子もこれからどうなるかは誰にもわかりません。

 

妹子、こんな風に聞いてきます。

「大人にならないといけないの?大人になったら忘れるの?」
「いや違うよ。大人になることと、それを失わないことは違うんだよ」

 

そんな「大人になったら忘れるの?」なんて問いかけを直接されたことがとても印象的でした。
そんな、お話の中で起きるような問いかけをされることなんて、なかなか出来る体験ではありません。

 

この話では、ヨーストが失いかけていましたが、それを取り戻したのが何と、強力な悪の力だったというところがすごい面白いなあと思いました。

 

それと、かごめかごめのような、歌いつがれてきた古い歌によってです。

 

古い歌と、悪の力が、物語の力を呼び覚ます。

 

古い歌には魔法が潜んでいるのです。

 

 

読め読めと言って言われて読んだよりも、「自分で探し当てて、自分で読んで感動したと思った」という感動はやはり、特別のものであるようです。

 

「こういう本に出会えて良かったね」
と言うと、こんな風に言ってきました。

 

「あのねフリーチェが姫を戻すところね、音がすーっと消えていって、まわりが透明になって声だけ本当に聞えたの」

 

ほお~。

 

ワスレナグサに身を変えてしまっていたヒヤシンタ姫を戻すのはフリーチェです。

 

好きな本を持っている方はみんなわかってもらえると思いますが、こういう体験は本当に貴重だと思います。

 

 

今回は、立場逆転で読め読め読めと言われて読んだわけですが、結果的にとてもよかったです!

 

今回、私が読め読めと言われて放置していたのは何と半年です。
どんだけ放置していたのか…。

 

本をおすすめするというのは難しいです。
好みもありますし、時期もあります。

 

しかし、自分がしぶしぶ読んでみて良かったので、やはり読め読めと言い続けることは無駄ではない、と思いました。

 

本との出会いは、人との出会いと同じような所があります。

 

自分好みの本に出会うには、まずたくさんの本を手にとってみて当たらなければなりません。
開いてみなければ、出会うこともないわけです。

 

結果的に、読まされた本が合わなくて
あ、そうか自分はやっぱり漫画だわ
とか
活字には基本むいてないわ。そういう人がいてもいいよね
という結論に達したとしても、それはそれでいいんだと思います。

 

名作に触れた経験は、決して無駄にはなりませんから。
それだけの力を持っている本だから、名作と呼ばれているわけです。

 

めちゃくちゃな言い方をするようですけど、どうせまだよく知らない時期に与えるなら、名作です☆

 

(と同時に、こどもが買って欲しいと言って来る本が自分の好みにあわず、下らないと思っても買ってあげて欲しいと思います💦)

 

 

蛇足

 

妹子「ひどい!泥棒じゃない!怪盗だから!泥棒とかちがう!」
わたし「うーんそうだったかな…」

 

妹子「ふでばこについてるきつねがとらわれてるからって、それを助けに行ってたの!泥棒じゃない!怪盗なのひどい!訂正して!」

 

わたし(うーんでもそのときは宝石を盗みに行くって言ってたのをわたしは覚えてるんだけどな…脳内のどこかで修正したんだな…)

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

王への手紙
トンケ・ドラフト (著, イラスト), 西村 由美 (翻訳)

騎士になるための最後の試練の夜、16歳の見習い騎士ティウリは、見知らぬ男に重要な手紙を託された。思いがけない使命を与えられ、大山脈のかなたの隣国へと向かったティウリの行く手には、陰険なスパイやさまざまな陰謀が待っていた。(「BOOK」データベースより)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ふたごの兄弟の物語
トンケ・ドラフト (著, イラスト),  西村 由美 (翻訳)

そっくりだけれど、性格はまったくちがうふたごのお話。盗難事件にまきこまれたり、同じお姫さまを好きになったり…。いつも二人は、うりふたつであることを利用して、大かつやく!ふたごの大冒険がはじまります。小学5・6年以上。(「BOOK」データベースより)

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

クローディアの秘密 ウルスリのすず マチルダばあやといたずらきょうだい
ガンピーさんのふなあそび いいおかお 真夜中のパーティー
ねずみのいもほり はなのすきなうし すてきな三にんぐみ

 

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大人が読む児童書「青い月の石」 3 たまに王子をビンタしたくなる

大人が読む児童書。
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この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

青い月の石
トンケ・ドラフト (著), 西村 由美 (翻訳)

ヨーストはある暗い夜、家の外にあやしい黒い影を目にする。そして次の日、校庭の地面の下からぶきみな男が現れた。その名は地下世界の王、マホッヘルチェ! ヨーストは足あとを追っていくが……。それは月が青くなったときに始まった、少年と仲間のとくべつな冒険の物語。現実とおとぎ話が入り交じる、人気作家のファンタジー

 

 

大人が読む児童書「青い月の石」 1 異世界へ行く資格とは

大人が読む児童書「青い月の石」 2 天女の羽衣はカモ

 

 

姫は魔法を駆使して地下世界の王マホッフヘルチェの裏をかきました。
手に手を取って逃げるイアン王子、ヒヤシンタ姫、ヨーストの三人です。

 

見守りながら待っていたヤンと、魔法使いのオルムと合流、熾烈な逃走劇が繰り広げられます。
(やっとヤンが合流できました!)


地下世界の王は、非常に力のある恐ろしい残酷な王さまなので、それはそれは怖いです。

 

ヨーストは皆を守るために、青い月の石を手放さなければなりませんでした。

 

地下世界の王は最後の最後に、逃亡者たちに呪いをかけます。

 

恐ろしいその呪いとは、イアン王子とヨースト、この二人が日が昇るまでの間に、「あること」をした瞬間に、相手を忘れてしまうというものでした…。

 

忠告されたにも関わらず、残念ながら二人ともすべてを忘れてしまいます。

 

イアン王子に忘れられて拒否された姫は、悲嘆にくれてワスレナグサに身を変えてしまいました。

 

 

さて何日もいなくなっていたヨーストとヤン。
親たちは気をもんでやきもきしています。

 

この物語では、不思議な魔法世界の出来事は、現実世界と平行線で完全につながっています。
境目のようなものがなく、また時間軸も同じです。

 

「あの世界では数ヶ月たったものがこちらの世界では数秒だった」ということがないのです。

 

なので、ヤンの親などはもう、それはそれは心配しています。
そして、ヨーストは全てを忘れ去っているので、覚えているのはヤンしかいません!

 

ヒヤシンタ姫を助けるにしても、とにかくヤン。
ヤンだけが頼りなのです!!

 

ここまで読んできての、
「お前だけだぞ~~!頼むヤン!」感はすごいです。

 

いじめっ子だったヤンがヨーストのバディとなって一緒に旅をして、あれほど辛抱強くヨースト主導の冒険を待っていた意味がここでわかりました。

 

ここからは、ヤンの奮闘と冒険に変わります。

 

おとなとして読んでいての意見ですが、作者はもしかすると、いじめっ子の子供にも、冒険に参加してそのワクワクする楽しさを味わって欲しかったのかもしれません。

 

作り話、うそつき、と言っていたはずのヤンが、今度は信じてもらえない苦しみを味わいます。
しかし、ヤンはつよいので…からかったらぶんなぐられる圧はあります…)

 

ここで、ヤンの助けとなってくれるのがあの女の子、フリーチェです。

 

第三部は、ヤンとフリーチェが奮闘の結果、ヒヤシンタ姫を助け、イアンとヨーストの記憶を取り戻す…というお話です。

 

もう、最後まで読まないと気持ちがおさまりきれません。

 

 

全部話してしまっては面白くないので、あらすじに関してはざっくり紹介でここまでにしておきますが、このお話の魅力は何といっても、ヒヤシンタ姫です!

 

魔法を自在にあやつり、美しくて優しいヒヤシンタ姫が実に魅力的です。

 

そして、若干、ヒヤシンタ姫ばかり頑張っているような感じがしなくもありません
あまりにもヒヤシンタ姫と、その魔法が素敵なので。

 

父王とも互角に渡り合っていますし、かっこよくもあります。
とにかく姫が頼りで、イアン王子はおんぶにだっこです。

 

第三部にいたっては、王子はいくら姫が訴えても忘れた忘れた、知らない人だと言い張りますので、
これほど頑張っていたヒヤシンタ姫を忘れた挙句にその態度はなにごとだ!
と、読んでいるこちらとしては、王子を往復ビンタしたくなります。

 

いや、グーパンチかな…。

 

もっと頑張らんかいおらぁ!

 

しかし、ラストでのカタルシスはそれはそれは突き抜けていてすっきりです。

 

たいていの人は信じないかもしれないけれど、人はみんな魔法の力を持ってるのよ。

 

 〆は、妹子に読了をご報告です。

 

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

王への手紙
トンケ・ドラフト (著, イラスト), 西村 由美 (翻訳)

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ふたごの兄弟の物語
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大人が読む児童書「青い月の石」 2 天女の羽衣はカモ

大人が読む児童書。
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今日の一冊

 

青い月の石
トンケ・ドラフト (著), 西村 由美 (翻訳)

ヨーストはある暗い夜、家の外にあやしい黒い影を目にする。そして次の日、校庭の地面の下からぶきみな男が現れた。その名は地下世界の王、マホッヘルチェ! ヨーストは足あとを追っていくが……。それは月が青くなったときに始まった、少年と仲間のとくべつな冒険の物語。現実とおとぎ話が入り交じる、人気作家のファンタジー

 

 

大人が読む児童書「青い月の石」 1 異世界へ行く資格とは

 

 

「月をもう一度青くしてほしい」
と望んだヨースト。

 

突然、ネコのペイルがフーッとうなり、ヨーストは不思議な人影が家の前に立っているのを見ます。

 

庭の垣根の格子戸のむこうに、だれかが立っていた。大きなぼうしをかぶり、コートを着た、ずんぐりした人だ。じっとつっ立ったまま、家を見ている。

 

その人は背中を向けて去ったのですが、また何かの気配がします。
そして、ヨーストの家のドアを叩く音…。

 

いつも訪問者を歓迎するおばあちゃんは「闇を中に入れないでおこう」と答えただけで、開きません。
(何かよくないものなの?わかるの?教えておじいさんおばあちゃーん!)

 

しかしまだ、ドアをたたく音はします。
おばあちゃんは様子を見にいきました。

 

ヨーストは、食卓にすわったままでいた。この家が黒い姿に囲まれてる、黒い影にとり囲まれてる…とつぜん、そんな気がした。気のせいか、舌足らずなささやき声が聞えるようにも思った。そして、玄関前の石段に、黒い影たちの指揮官が立っていそうな気もする…。

 

結局、ドアの外には誰もいませんでした。


このあたりは、ほん怖にもありそうな、すごくホラーな展開でした!
恐ろしいし、ドキドキするし、何か不吉な予感がします。

 

 


学校に行ったヨーストは、子どもたちが運動場で「マホッヘルチェ」で遊んでいるのを見ます。

この「マホッヘルチェ」は、要は「花いちもんめ」「かごめかごめ」のようなものです。
やはり、古い子どもたちの遊びのようです。

 

どこから来たの?
マホッフ、マホッフ、マホッヘルチェ
どこから来たの?マホッヘルチェ

 

あのたったひとりの心の救いである女の子、フリーチェがとても大きな役割を果たします。

最初になぜかヤンを指さしたフリーチェです。
そのあと、外から見ていたヨーストのことも誘ったので、仲間はずれだったヨーストはこの遊びに入ることができました。

 

どこから来たの? → 地面の下からやってきた

何を持ってきてくれた? → きらめく青い月の石だよ

そして、この遊びと、この歌声から、地下を支配する王が呼び出されるのを、ここで遊んでいた子どもたち全員が目撃することとなります。

 

 

このお話は、大きく分けて三部構成になっています。

 

第一部:マホッヘルチェ
第二部:地下世界の王
第三部:ワスレナグサ わたしを忘れないで

 

そして、前書きにも書かれていたように、「どこかで読んだことがある、おとぎ話」がベースになっています。

 

第一部は導入です。
地下の王、マホッヘルチェに出会い、魔法をかけられたイアン王子の冒険に付き合うまで。
何と、いじめっ子のヤンがバディになって冒険に付き合うことになります!

 

この導入がとても丁寧なので、お話に引きこまれていきます。

 

 

 

第二部は、地下世界の王にとらわれたイアン王子とヨーストが、王の末娘のヒヤシンタ姫の助けを借りて、マホッヘルチェ王の支配を抜けようとして奮闘する展開です。

 

イアン王子とヒヤシンタ姫の物語は、昔話にはよくあるパターンで、「課題婚」というのに分類されるやつです。

 

強力で邪悪な王に囚われますが、その娘と愛し合い、助けを借りて支配を抜けるお話です。

 

この「課題婚」

・お父さんの王が、明らかに殺す目的の無茶苦茶な無理難題を出す。

・娘がこっそりと解決方法やごまかし方を教える。

というのを、主に3回繰り返すのですが、女性の合意は絶対必要なんだろうな~、などと思います。

 

日本で言うなら、大国主のミコトと、スセリヒメのようなお話です。

芥川龍之介が「老いたる素戔嗚尊」(青空文庫)で、いい感じの短編を書いています。
(興味のある方はぜひ!)

 

 

イアン王子を助けるヨーストの活躍ですが、その裏で、バディのヤンが「魔法使いのオルム」とひたすら待っています。

 

「魔法使いのオルム」は、ヤンがうそつきと言ってヨーストをいじめていたときの、作り話に出てきた魔法使いです。

 

ヤンは物語に巻き込まれてしまい、もう信じるしかありません。
第二部と第三部のはじまりで、いったん二人はいつもの日常生活に戻りますが、ヨーストをいじめた連中をヤンはぶんなぐってやめさせます。

 

 

 

このお話の魅力は、何といってもヒヤシンタ姫です!

イアン王子との出会いは、「七夕のお話」の展開です。
つまり「天女の羽衣」です。

 

イアン王子は、魔法使いオルムの忠告にしたがって、末娘のヒヤシンタ姫の羽根の衣装を取るのですが...。
可愛らしいことに、このヒヤシンタ姫の羽衣、白鳥ではなくて、カモです。

 

カモの羽衣。
可愛い...♡

 

よちよち歩きのカモを想像しますけど、ヒヤシンタ姫はとても聡明で、美しくて、優しくて、とにかく非の打ち所がない女性です。

 

イアン王子はもうメロメロですが、読んでいる私もメロメロです。

何しろカモですし。

 

ヒヤシンタ姫は、イアン王子とヨーストがどうしたらいいのかを、実にことこまかに教えてくれます。

また、魔法も使えるので、このお話は読んでいるうちに、だんだん
父親の王の魔法と、娘の魔法の、化かし合い合戦の様相を呈してきます。

 

イアン王子はただの人間なので、正直力不足は否めません。
ここが、さっとレビューを一読した感じ、ちょっと情けない印象を与えるところもあるようでした。

わたしは気になりませんでしたが...。

 

ヨーストは、おばあちゃんの魔法や、過去の冒険から不思議なグッズを使うことができ、ヒヤシンタ姫と力を合わせてイアン王子を助けることができます。

 

芥川のスサノオは、乱暴者の中にもすずやかで健康的な精神を感じさせますが、この地下世界の王、マホッヘルチェはとにかく不気味です。

 

悪意に満ちていて、残酷で、力があり、そして非常にプライドが高いです。
それはそれは、威厳に満ちていて、支配を抜けるのは決して容易なことではありません。

 

バディのヤンは、ずっと地下世界の外で待ちぼうけなのですが、これが、なぜヤンがこのお話にいなければならなかったのかが第三部ではよくわかります。

 

必須人物です。

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

王への手紙
トンケ・ドラフト (著, イラスト), 西村 由美 (翻訳)

騎士になるための最後の試練の夜、16歳の見習い騎士ティウリは、見知らぬ男に重要な手紙を託された。思いがけない使命を与えられ、大山脈のかなたの隣国へと向かったティウリの行く手には、陰険なスパイやさまざまな陰謀が待っていた。(「BOOK」データベースより)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ふたごの兄弟の物語
トンケ・ドラフト (著, イラスト),  西村 由美 (翻訳)

そっくりだけれど、性格はまったくちがうふたごのお話。盗難事件にまきこまれたり、同じお姫さまを好きになったり…。いつも二人は、うりふたつであることを利用して、大かつやく!ふたごの大冒険がはじまります。小学5・6年以上。(「BOOK」データベースより)

 

 

 

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くいしんぼうのあおむしくん シンデレラ迷宮 ガンピーさんのふなあそび
火星の王女 星の林に月の船 こえどまつり
はてしない物語 タランと角の王 いたずらきかんしゃちゅうちゅう

 

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大人が読む児童書「青い月の石」 1 異世界へ行く資格とは

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

青い月の石
トンケ・ドラフト (著), 西村 由美 (翻訳)

ヨーストはある暗い夜、家の外にあやしい黒い影を目にする。そして次の日、校庭の地面の下からぶきみな男が現れた。その名は地下世界の王、マホッヘルチェ! ヨーストは足あとを追っていくが……。それは月が青くなったときに始まった、少年と仲間のとくべつな冒険の物語。現実とおとぎ話が入り交じる、人気作家のファンタジー

 

 

 

 

さて次に何を紹介しようか。
悩んでいると妹子がこれをすすめてきました。
しかも今日は怒っています。

 

「なんでこれ紹介しないの!?」
「まだ読んでないんだよ」
「早く読んで!早く紹介して!いい本なんだから」
 

この本は妹子が自分で選んだ本です。

 

本屋さんの岩波文庫の棚から自分で選びました。

 

いつも読め読めと言っている親を喜ばせるためのポーズなんじゃないだろうか。
途中で放り出すだろうな。
とかなんとか、ろくなことを考えていませんでした。

 

しかし、あっという間にというわけではありませんでしたが順調に読み終わり、それからずっとおすすめしてきます。

 

時間がなかったのもありますが、読むなら腰を据えてきちんと読みたいなと思っていました。

トンケ・ドラフト。オランダの作家さんです。

 

「青い月の石」

「王への手紙」

は、図書館でもよく見かけます。

 

 

ぱらぱらっとめくった感じ、ちょっと薄気味悪く怖い冒頭です。

 

マホッフ・マホッフ・マホッヘルチェ

 

の文句が目に付きました。

主人公、ヨーストはヤンという子を筆頭にいじめられている様子。

心に苦しみを抱えた子が異世界へ行って冒険をするというのは、よくある内容なので、そういう感じなのかな?

 

というわけで、妹子のプレッシャーもあってしっかりと腰を据えて読み始めてみました。

 

普段、読め読めと言っている立場逆転です。

 

 

最初のページに、作者の前書きがあります。

最初は何となく読み飛ばしていたのですが、あとでとても重要だったと思ったので、書き留めておきます。

 

ずっと昔、わたしは、なんともすてきな、わくわくするおとぎ話を読みました。そ の後、それに似たおとぎ話にたくさん出会いましたが、どれを読んでみても、あれほどとくべつなお話はありませんでした。そこで、わたしは、あのお話を自分で書きとめることにしました。書いているうちに、それは、現実が重要な役割を果たす、とても長い冒険物語となりました。


そしてまた、人びとがわすれさった、古い古い歌に出てくる謎の人物 あのマホ ッヘルチェとは、いったい何者だったのかについて、わたしの考えを書くことになったのです。

 

似たようなおとぎ話にはたくさんであったけれど、どれを読んでもあれほどとくべつなお話はない──。

 

わたしにとって、先日ご紹介したオーノワ夫人の「青い鳥」などは、これにあたるかもしれません。

また、レアンダーの「沼の中のハイノ」なども...。

 

 

主人公は10歳の少年、ヨースト。
10歳というのは小学校4年生ぐらいでしょうか。

 

ただ無邪気に走り回って遊ぶ年令を抜けて、だんだん、クラスの中での人間関係は複雑になっていく頃です。

 

「すこし変わった子」ヨースト。

 

ヨーストには両親がいません。
おばあちゃんに育てられています。
このおばあちゃんは魔女ではないかと言われています。

 

ヨーストをいじめている子どもたちの筆頭はヤン。

 

それともうひとつ理由があり、ヨーストは「へんなやつ」「うそつき」「頭がおかしい」と言われています。
たくさんの不思議な話をするのです。

 

・自分の家の屋根に降り立った火の鳥、残っているその羽
・大きな森に住んでいる魔法使いのオルム
・不思議な呪文が刻まれたおばあちゃんのほうきの柄である棒

 

空想?おとぎ話?
でも、(このお話では)ヨーストは過去に実際に体験したということになっています。

 

これが、この本での、他のいじめられっ子たちが飛び込んでいくファンタジーとの大きな違いです。

 

いじめられている子…。

 

はてしない物語」、などもそうですが、私には、もともとファンタジーというのは、「現実の残酷さに苦しんでいる子どもたちの居場所になるところだ」、という意識があります。

 

物語の主人公になるには、それなりの資格がいるのだと。
その資格は、ランダムにふられるサイコロの目や、宝くじのように、いきなり飛び込んでくるのではなくて、それなりの理由がある、という風に考えています。

 

苦しみが開く、内部世界への扉です。
その内部世界は、思っているよりもはるかに広く、深く、多彩で、魔法と冒険に満ち満ちている…。

 

そして、このような物語を読んだ子がたとえ、幸せな子だったとしても、人生の中では何度も何度も、とても苦しい時が訪れることがあるはずです。

 

そんなとき、この「資格」が発動する!

 

というとちょっと変ですけれども、この「苦しいときに開かれる扉」というものの存在、その意味を知っておくことが、世の中のどんな人にとっても、助けとなるのではないか、そんな風に思っています。

 

 

 

過去にたくさんの冒険を重ねてきたヨースト。
しかし現実は残酷なので、ヨーストは苦しい学校生活を送っています。

 

たった一つの救いは、おさななじみで、一番の信頼をしている可愛い女の子、フリーチェです。
しかし一歳年下なのでクラスにはいません。

 

フリーチェの存在も、なんとなく、はてしない物語におけるバスチアンにおけるクリスタ的な位置づけを想像させます。


ヨーストが話している、うそと言われる話は、いじめっ子たちを恐れさせています。

 

ヤンたちは、ヨーストをいじめつづけた。だがじつは、ヤンたちも、心の奥底では、ヨーストの話がうそだと言いきれる自信がなかった。うそだと言いきれないでいるのは、不安だった!それで、ますますひどく、ヨーストをからかうようになった。

 

つらい毎日を送るうちに、次第に、自分自身の冒険さえ信じられなくなっていくヨースト。
次第に、夢なのか、おとぎ話なのか、空想なのか、それとも本当に起きたことだったのか…。
わからなくなっていきます。

 

おばあちゃんはなんと言ってたかな…?そうだ!「月が青くなったら、何かとくべつなことが起こる」って言ってた。

 

でも、しばらく青い月は現れていませんでした。

ヨーストは窓から祈ります。

「どうかもう一度、月を青くしてください!」

 

それがすべての始まりでした。

 

 

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王への手紙
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今日の一冊「ジオジオのかんむり」 その心は煉獄さん

今日の一冊「ジオジオのかんむり」

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

ジオジオのかんむり
岸田 衿子 (著), 中谷 千代子 (イラスト)

ジオジオはライオンの中でも一番強かった王さまで、立派なかんむりをかぶっています。でも、ひとりぼっちでした。そこへ、卵をすべて失った小鳥がやってきました。嘆く小鳥にジオジオは語りかけます。「たまごをうみたいなら、いいところがあるぞ」。それはなんとジオジオのかんむりの中。ここなら安心、たまごは無事かえり小鳥たちは元気にジオジオのまわりを飛び回ります。年老いたライオンと小鳥との心の交流を優しいタッチで描きます

 

たくさんのやさしい絵本を描かれている岸田衿子さんの絵本です。

まだまだ、一番売れ筋の所に、平積み現役です!

 

ひらがなが子どもにやさしく、絵もやさしく、内容もやさしい絵本です。

 

年取ったライオンのジオジオ。

 

年はとっていますが、とても強い強いライオンでした。
その強さのために、ジオジオは恐れられ、孤独を抱えています。

 

そこに、たまごをすべて失った鳥が舞い降ります。

 

ジオジオは、自分の冠の中に鳥を導きました…。

 

年取ったジオジオですが、王は王。
捕食者たちはとてもジオジオには近寄れないので、冠の中で守られて、ひなたちはすくすくと育って行きます。

 

妹子「その本、おもしろい?」
わたし「面白いというよりもいい話という感じかな」
妹子「どんな本?」
わたし「まあひとことで言えば…」
妹子「言えば?」

 

わたし「煉獄さんって感じかな」
妹子「えええーーー!読むーー!!」

 

煉獄さんのお母さん「弱き人を助けることは、強く生まれた者の責務です」

 

とまでは言わないまでも、ジオジオの強さの中には強いがゆえの孤独があって、冠の中にはからっぽの空間があります。

その冠の空間が、たまごによって満たされる。
これまで、どんなに産んでも育てられず、すべての卵を失ってしまった鳥の守りとなり、巣となって、ついに冠から、小鳥たちが飛び立っていく…。

 

ジオジオはもう、孤独ではありません。

 

しっとりとやさしい絵本です。

 

わたし「妹子、どうだった?」
妹子「煉獄さんだったわ…」

 

年取ったとか、ひなたちを育てたとか、なんだか死にそうな感じがする年とったジオジオですが、この後も生き続け、誕生日を迎えたり、パンを焼いたりと、そこそこ元気です。

 

ぜひ手にとって煉獄さんかどうかを確かめてみてください♡

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ジオジオのたんじょうび
岸田 衿子 (著), 中谷 千代子 (イラスト)

らいおんのジオジオは、せかいじゅうでいちばんおかしがだいすき。七十さいのたんじょうびのおいわいに、ケーキをちゅうもんしました。そのケーキは、とくべつおおきいこと、とくべつおいしいこと、いろんなきのみやくだものをたくさんつかって、あじとかおりをよくすること。さあたいへん!どうぶつたちは、ざいりょうあつめにおおいそがし。5~7歳向。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ジオジオのパンやさん
岸田 衿子 (著), 中谷 千代子 (イラスト)

らいおんのジオジオがパンやさんをひらきました。しまうまパンにきりんパン、どせいパンにほうきぼしパン、ひなぎくパンにはちみつパン。どうぶつたちは、ジオジオのやくパンがだいすき。

 

 

 

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大人が読む児童書「オンネリとアンネリのふゆ」 2 読了 小人たちとの素敵な暮らし

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 

オンネリとアンネリのふゆ
クレンニエミ・マリヤッタ (著), カルマ・マイヤ (イラスト), 渡部 翠 (翻訳)

『オンネリとアンネリのおうち』で小さな可愛いおうちを手に入れたオンネリとアンネリのもとに、11月のある日、ショーララと名乗る小さな家族が薔薇乃木夫人をたずねてきました。彼らは、彼らをつかまえようとする悪い人間たちから逃げているといいます。そこでふたりは、夫人が見つかるまで、家にかくまうことにしました。はたして、彼らを守ることができるのでしょうか。フィンランド生まれの、ハラハラドキドキの冬の物語。

 

 

大人が読む児童書「オンネリとアンネリのふゆ」 1 ドールハウスは夢の国

 

 

この本のほとんど、といっていいほどのページが、「小人たちとの素敵な暮らし」の描写です。

 

小人たちのお話は、さまざま、たくさんありますけど、やはりなかなか人間との交流は難しいです。

 

 

メアリ・ノートン「床下の小人たち」

アリエッティの一家は、出来る限り見つからないように細心の注意を払っていますし、見つかってしまったらやっぱり、そこに住むことは出来なくなります。

いぬいとみこ 「木かげの家の小人たち」

イギリスから渡ってきた小人たちをお世話することを許されているのは、決められた一族だけです。 

 

さとうさとる「だれも知らない小さな国―コロボックル物語」

コロボックルたちは、暮らしを外界の変化に添って変えようと試みますが、決して人々と交わろうとはしません。

 

 

オンネリとアンネリのお話も、基本は同じなのですけど、でも、これらの物語のどれよりも、たっぷり、ゆっくり、小人たちと最高に楽しい時間を過ごさせてくれます。

 

何しろ、小人たちは家が見つかるまでの仮の住まいを、ドールハウスで過ごしてくれる のですから…。

 

でも、生きたお人形遊びという感じはしません。

小人たち一家との、その精神的な交流がとても楽しそうです。

 

・すてきなおばあさま
・作家のようなことをしているお父さんのショーララ氏(ガリバー旅行記ムーミンの冬を小人用に書き写しています) 
・模範的主婦のショーララ夫人
・無茶苦茶な暴れん坊、プティ坊
・おとなしくて可愛いリッリちゃん
・小人のあかちゃん

 

プティッチャネン族とのことですが、この一家と一緒に過ごすクリスマスの日のパーティと言ったら、夢に見ることができそうなすばらしさです。

 

実にうまいことできてるもので、実際のクリスマスは、オンネリちゃんもアンネリちゃんも、ちゃんとそれぞれ、自分たちの家族と過ごすのですが、プティッチャネン族のクリスマスは、プティ・クリスマスといって、実際のクリスマスより前に行われます。

 

このクリスマスのお祝いのシーンが、不思議な魔法がかかったように、さまざまなことが次々に起きて…。

 

それはそれは、メアリー・ポピンズで起きることのように、とても起きそうもないことが、次々に起こります。

 

メアリー・ポピンズで「ああ、この楽しさがもうちょっと長く続けばいいのになあ!」
メアリ・ノートンで「小人たちと自由に普通にずっと暮らしたり遊んだりできたらいいのになあ!」

 

という夢を体現してくれます。

もちろん、それだけでは終わらないのですが…。

 

 

様子が変わってくるのは後半です。

 

わたし「妹子ー!!」

 

妹子「はい、なに?」
わたし「何なのこいつら!もうムカついて、ムカついて…!」

妹子、すぐにわかったようでした。

妹子「そーうでしょー!そいつらね、もう読んでると腹が立って腹が立って、追い出したい…!って思うけど、追い出せないの!何とかしたいってずーっともう…ムカムカして…」

 

子供たちだけで住む家。

そんな憧れの家に、ずけずけと入り込んで来た図々しい大人の女性。

 

やはり、オンネリもアンネリも、いくら自分たちだけの家だとは言っても、大人がそこに、正当性を振りかざして

 

「誰か面倒を見る人がいるでしょ!」
とか
「はいこれできまり!」
とか言われてしまうと、子供の力だけではどうにも追い出せないのです…。

 

この女性、どうやらたくらみがある様子。

 

しかし、その厚顔無恥さ、図々しさ…。

 

大人になってからも、やっぱりこれは体験するものです。 
ああ、知ってる!!
と思いました。

 

こういう、他人と自分との垣根のまったくない人。
図々しくて声が大きく、目的を達するために手段を択ばない行動力がある人

 

確かにいます。

PTAなどでも見かけたことが…

 

 

とてもハラハラさせられました。
このお話のほとんどが「とても素敵な小人たちとの交流」なので、それを邪魔された時の不愉快さも、十割増しぐらいでした。

 

妹子のヘビロテなのもよくわかるなあ、と思いました。

とても可愛らしい、少女の夢がいっぱいつまったお話です。

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

オンネリとアンネリのおうち
マリヤッタ・クレンニエミ (著), マイヤ・カルマ (イラスト), 渡部 翠 (翻訳)

なかよしの女の子オンネリとアンネリは、夏休みのある日、「正直な拾い主さんにさしあげます」と書かれた封筒をひろいました。中に入っていたのは、たくさんのお金。家族の誰にもかまってもらえず、いつもひとりぼっちだったふたりは、そのお金でふたりだけのおうちを買うことにしました。女の子の憧れがぎっしりつまった夢のようなおうちで、ふたりだけの暮らしがはじまります。フィンランド生まれの、楽しくて幸せな夏の物語。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

オンネリとアンネリのおうち
(Amazonプライム字幕版)

オンネリとアンネリはとっても仲良し。ある日ふたりは、バラ通りで「正直者にあげます」と書かれた手紙とお金の入った封筒を拾い、そのお金で、バラの木夫人というおばあさんから夢のように素敵な水色のおうちを買うことに。オンネリは9人きょうだいのまん中で、アンネリは離婚したおとうさんとおかあさんの間を行ったり来たり。ふたりの両親は忙しすぎて、自分たちがいなくても気づかない。「わたしたち、ふたりの家に住んでいい?」気難しそうなお隣さんや、魔法が使える陽気なおばさん姉妹、ちょっぴり変わったご近所さんと交流しながら、ふたりだけの楽しい生活が始まる。しかし、お隣さんに泥棒が―! (C) Zodiak Finland Oy 2014. All rights reserved.

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

オンネリとアンネリのふゆ
(Amazonプライム字幕版)

クリスマスの近づくある日、バラの木夫人から買った小さなかわいいおうちで暮らすオンネリとアンネリのもとに、プティッチャネンというこびとの一族の家族がバラの木夫人をたずねてやってきました。おうちをなくしたこびとの家族は、彼らをつかまえようとする悪い人間たちから逃げているといいます。そこでふたりは、夫人の居場所が分かるまで、ふたりのドールハウスに家族をかくまうことに。しかし、お金に困っているガソリンスタンド店の夫婦がこびとの家族の存在に気づいて…!はたして、ふたりは彼らを守ることができるのでしょうか。(C)Zodiak Finland Oy 2015. All rights reserved.

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

オンネリとアンネリとひみつのさくせん
(Amazonプライム字幕版)

オンネリとアンネリのおうちの前に、突然できた“子供の家”。高い柵に囲まれたそこは、身寄りのない子供たちを所長のミンナ・ピンナが、ガチガチのルールで支配する自由のない場所だった。ある日、逃げ出した少年を見つけたオンネリとアンネリは、“子供の家”でのひどい扱いを聞かされる。子供たちを助けるため、ふたりは近所のリキネン夫妻やノッポティーナ&プクティーナ姉妹、プティッチャネン親子と一緒に、“ひみつのさくせん”を決行することに…。(C)Zodiak Finland Oy 2017. All rights reserved.

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ロッタちゃんとクリスマスツリー
アストリッド=リンドグレーン (著), イロン=ヴィークランド (イラスト), やまむろ しずか (翻訳)

明日は、楽しいクリスマスイブ。けれども、ロッタちゃんの家では、まだクリスマスツリーにするモミの木が手にはいりません。嘆き悲しんでばかりいるお兄さんたちを残してロッタちゃんは雪の町へ飛び出していきます。行動的な女の子を生き生きと描いたリンドグレーンの絵本。絵は彼女とのコンビが多いヴィークランドです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ぐりとぐらのおきゃくさま
なかがわ りえこ (著), やまわき ゆりこ (イラスト)

森で雪合戦をしていたぐりとぐらは、雪の上に大きな足跡を見つけました。足跡は森をぬけ、原っぱを通り、ぐりとぐらの家まで続いていました。ドアを開けると玄関には大きな長靴、壁には真っ赤なオーバーと白いマフラー、そして赤い帽子がかかっています。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

床下の小人たち―小人の冒険シリーズ〈1〉
メアリー ノートン (著), ダイアナ・スタンレー (イラスト), 林 容吉 (翻訳)

イギリスの古風な家の床下に住む小人の一家。暮らしに必要なものはすべて、こっそり人間から借りていましたが、ある日、その家の男の子に姿を見られてしまいます―カーネギー賞を受賞した「小人シリーズ」の第1作。小学5・6年以上。(「BOOK」データベースより)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

小人の冒険シリーズ 全5冊セット
メアリー・ノートン (著), 猪熊 葉子 (翻訳), 林 容吉 (翻訳)

 

 

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借りぐらしのアリエッティ [DVD] 米林宏昌 (監督) 形式: DVD

 

 

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木かげの家の小人たち
いぬい とみこ (著), 吉井 忠 (イラスト)

森山家の末っ子、ゆりには秘密の大切な仕事がありました。それは森山家に住んでいる四人のイギリス生まれの小人たちに、かならず毎朝一杯のミルクを届けることでした。しかし日本は大きな戦争に突入し、ミルク運びは次第に困難になっていきます。…日本児童文学史上に残る傑作ファンタジーです。小学校中級以上。(「BOOK」データベースより)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

くらやみの谷の小人たち
いぬい とみこ (著), 吉井 忠 (イラスト)

日本の児童文学史に残る傑作ファンタジー『木かげの家の小人たち』の続編です。アマネジャキとともに信州にとどまることを決意したロビンとアイリスは、今度はモモンガーや花の精、木の精たちといった、日本の土着の妖精たちと、地下にひそむ邪悪なものたちとの壮絶な戦いに巻きこまれていきます。小学校中級以上。(「BOOK」データベースより)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

だれも知らない小さな国―コロボックル物語 1
佐藤 さとる (著), 村上 勉 (イラスト)

小学校三年生のときだった。もちの木をさがしにいったぼくは、こんもりした小山や杉林にかこまれた、三角形の平地を見つけた。小さないずみがわき、まっかなつばきの花のさく、どこかふしぎな感じのする場所だった。―そして、とうとうぼくは見た。小川に流れていく赤いくつの中で、虫のようなものが動いているのを。小指ほどしかない小さな人たちが、手をふっているのを!(「BOOK」データベースより)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

新イラスト版 コロボックル物語1 だれも知らない小さな国
佐藤 さとる (著), 村上 勉 (著)

 

 

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床下の小人たち―小人の冒険シリーズ〈1〉 (岩波少年文庫) (日本語) 文庫 - 2000/9/18 メアリー ノートン (著), ダイアナ・スタンレー (イラスト), Mary Norton (原著), 林 容吉 (翻訳)

イギリスの古風な家の床下に住む小人の一家。暮らしに必要なものはすべて、こっそり人間から借りていましたが、ある日、その家の男の子に姿を見られてしまいます―カーネギー賞を受賞した「小人シリーズ」の第1作。小学5・6年以上。(「BOOK」データベースより)

 

 

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小人の冒険シリーズ 全5冊セット (岩波少年文庫) (日本語) 単行本(ソフトカバー) - 2010/2/6 メアリー・ノートン (著), 猪熊 葉子 (翻訳), 林 容吉 (翻訳)

 

 

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木かげの家の小人たち (福音館文庫 物語) (日本語) 文庫 - 2002/6/20 いぬい とみこ (著), 吉井 忠 (イラスト)

森山家の末っ子、ゆりには秘密の大切な仕事がありました。それは森山家に住んでいる四人のイギリス生まれの小人たちに、かならず毎朝一杯のミルクを届けることでした。しかし日本は大きな戦争に突入し、ミルク運びは次第に困難になっていきます。…日本児童文学史上に残る傑作ファンタジーです。小学校中級以上。(「BOOK」データベースより)

 

 

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くらやみの谷の小人たち (福音館文庫 物語) (日本語) 文庫 - 2002/8/7 いぬい とみこ (著), 吉井 忠 (イラスト)

日本の児童文学史に残る傑作ファンタジー『木かげの家の小人たち』の続編です。アマネジャキとともに信州にとどまることを決意したロビンとアイリスは、今度はモモンガーや花の精、木の精たちといった、日本の土着の妖精たちと、地下にひそむ邪悪なものたちとの壮絶な戦いに巻きこまれていきます。小学校中級以上。(「BOOK」データベースより)

 

 

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だれも知らない小さな国―コロボックル物語 1 (講談社青い鳥文庫 18-1) (日本語) 文庫 - 1980/11/10 佐藤 さとる (著), 村上 勉 (イラスト)

小学校三年生のときだった。もちの木をさがしにいったぼくは、こんもりした小山や杉林にかこまれた、三角形の平地を見つけた。小さないずみがわき、まっかなつばきの花のさく、どこかふしぎな感じのする場所だった。―そして、とうとうぼくは見た。小川に流れていく赤いくつの中で、虫のようなものが動いているのを。小指ほどしかない小さな人たちが、手をふっているのを!(「BOOK」データベースより)

 

 

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新イラスト版 コロボックル物語1 だれも知らない小さな国 (児童文学創作シリーズ) (日本語) 単行本 - 2015/10/28 佐藤 さとる (著), 村上 勉 (著)

 

 

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床下の小人たち―小人の冒険シリーズ〈1〉 (岩波少年文庫) (日本語) 文庫 - 2000/9/18 メアリー ノートン (著), ダイアナ・スタンレー (イラスト), Mary Norton (原著), 林 容吉 (翻訳)

イギリスの古風な家の床下に住む小人の一家。暮らしに必要なものはすべて、こっそり人間から借りていましたが、ある日、その家の男の子に姿を見られてしまいます―カーネギー賞を受賞した「小人シリーズ」の第1作。小学5・6年以上。(「BOOK」データベースより)

 

 

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小人の冒険シリーズ 全5冊セット (岩波少年文庫) (日本語) 単行本(ソフトカバー) - 2010/2/6 メアリー・ノートン (著), 猪熊 葉子 (翻訳), 林 容吉 (翻訳)

 

 

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木かげの家の小人たち (福音館文庫 物語) (日本語) 文庫 - 2002/6/20 いぬい とみこ (著), 吉井 忠 (イラスト)

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くらやみの谷の小人たち (福音館文庫 物語) (日本語) 文庫 - 2002/8/7 いぬい とみこ (著), 吉井 忠 (イラスト)

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木かげの家の小人たち (福音館文庫 物語) (日本語) 文庫 - 2002/6/20 いぬい とみこ (著), 吉井 忠 (イラスト)

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イギリスの古風な家の床下に住む小人の一家。暮らしに必要なものはすべて、こっそり人間から借りていましたが、ある日、その家の男の子に姿を見られてしまいます―カーネギー賞を受賞した「小人シリーズ」の第1作。小学5・6年以上。(「BOOK」データベースより)

 

 

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木かげの家の小人たち (福音館文庫 物語) (日本語) 文庫 - 2002/6/20 いぬい とみこ (著), 吉井 忠 (イラスト)

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さすらいの孤児ラスムス 11ぴきのねこ おひさま はらっぱ
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オンネリとアンネリのふゆ
クレンニエミ・マリヤッタ (著), カルマ・マイヤ (イラスト), 渡部 翠 (翻訳)

『オンネリとアンネリのおうち』で小さな可愛いおうちを手に入れたオンネリとアンネリのもとに、11月のある日、ショーララと名乗る小さな家族が薔薇乃木夫人をたずねてきました。彼らは、彼らをつかまえようとする悪い人間たちから逃げているといいます。そこでふたりは、夫人が見つかるまで、家にかくまうことにしました。はたして、彼らを守ることができるのでしょうか。フィンランド生まれの、ハラハラドキドキの冬の物語。

 

今更嘆いても仕方がないのですが、去年のクリスマスシーズンを、バタバタと過ごしてしまったなあ。


「ロッタちゃんとクリスマスツリー」とか
ぐりとぐらのおきゃくさま」とか
クリスマスのお話はいっぱいあったのになあ~

 

クリスマスシーズンの本を1月に紹介するのは、何とも間抜けな感じです。

その中で、「オンネリとアンネリのふゆ」も、クリスマスを扱ってはいますけど、冬の季節全般を通してのお話です。

 

なので、冬が終わらないうちに紹介したいと思いました。

 

以前、 「オンネリとアンネリのおうち」を一度、さらっとご紹介しましたが、「オンネリとアンネリのふゆ」は、これの続編です。

 

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仲良しのオンネリとアンネリ。

 

ある日、「正直な拾い主さんにさしあげます」と書かれた封筒をひろいました。

正直な広い主と認められた二人は、そのお金で薔薇乃木婦人という不思議な女性から、夢のような家を買い、二人で住むようになりました...。

 

これは、「オンネリとアンネリのふゆ」を読む上でも、大前提のお話です。

 

薔薇乃木婦人…。

不思議な人です。
こちらの「オンネリとアンネリのふゆ」でも、とても重要なキーマンです。

 

妹子「薔薇乃木婦人ってね、あれは絶対わざとやってるよ。わざとその人に合う家を作って人を喜ばせようとしてるの」

 

 

仲良く、ふたりで可愛い夢のようなおうちに住んでいるオンネリとアンネリ。

おとなりは、不思議な庭を持つ、ノッポティーナさんとプクティーナさんで、とても仲良くしています。

 

ノッポティーナさんとプクティーナさん。

この訳が大好きです。

 

「オンネリとアンネリのおうち」は、夏休みのお話でしたが、「ふゆ」 は文字通り冬のお話です。

 

ムーミンと同じく、フィンランドのお話ですが、しんしんとした雪に閉ざされていくときに、二人はお庭に「さようなら、またね」を言います。

 

ムーミンたちが冬眠をするお話を書いたトーベ・ヤンソンさんの気持ちがわかるようなシーンでした。

やはり、北の国のお話なんだなあと思いました。

 

 

ある日、二人がおうちで過ごしていると小人の家族がやってきます。

 

今まで住んでいた家を失ってしまい、新たな家を探すために、薔薇乃木婦人を探しているとのこと。

雪に閉ざされそうなお天気をみて、二人は家族をおうちへ入れてあげます。

 

この小人の一家、ちゃんとした車に乗っています。

 

やんちゃな男の子と赤ちゃん、おばあちゃまをつれたご夫婦です。
面白いことに、このだんなさんのお仕事は、大きい人向けの長すぎる単語を簡潔にした抄訳の小人用の本を執筆することです。

(翻訳業のようなもののようです)

 

薔薇乃木婦人のいとこ、ノッポティーナさんとプクティーナさんの所には、定期的に婦人から手紙が来るはず。

オンネリとアンネリは、薔薇乃木婦人のお手紙が来るまで、小人たちと一緒に暮らし始めます。

 

 

このお話は、妹子が大・大・大好きで、ヘビロテです。

本家の「オンネリとアンネリのおうち」よりも、こちらばかり読んでいます。

 

わたしは、「オンネリとアンネリのおうち」しか読んでいなかったので、これは妹子より遅れての後発です。

 

この年になってのあらたな児童書…。
ワクワクします。

 

 

さわりを読んでみて、妹子が好きな気持ちがちょっとわかりました。

小人たんたちを住まわせるのは、この家の付属品だった、三階建ての豪華なドールハウス

 

小さな食器や調度品を、小人たちは遊びでなく実際に使ってその家に(仮住まいですが)住むことになります。

 

ドールハウス、これは夢です…。

「ドールハウス」の検索結果 - Yahoo!検索(画像)

 

そして、かわいい女の子の語り口が、「おうち」よりもわりと今風です。

 

いま、目の前にいて、顔を真っ赤にして目をきらきらさせて、一生懸命話してくれている感じがすごくします。
とても可愛いです。

 

「オンネリとアンネリのふゆ」は、比較的新しい訳本です。(2016年)

原作は

オンネリとアンネリのおうち 1966年 邦訳1972年(昭和47年)
オンネリとアンネリのふゆ 1968年 邦訳2016年(平成28年)

原作が書かれたのは、アメリカのアポロ11号が月面着陸したころです。

 

いま、映画化され、続編が翻訳されて出版され、こどものこころをひきつける。

色あせない魅力です。

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

オンネリとアンネリのおうち
マリヤッタ・クレンニエミ (著), マイヤ・カルマ (イラスト), 渡部 翠 (翻訳)

なかよしの女の子オンネリとアンネリは、夏休みのある日、「正直な拾い主さんにさしあげます」と書かれた封筒をひろいました。中に入っていたのは、たくさんのお金。家族の誰にもかまってもらえず、いつもひとりぼっちだったふたりは、そのお金でふたりだけのおうちを買うことにしました。女の子の憧れがぎっしりつまった夢のようなおうちで、ふたりだけの暮らしがはじまります。フィンランド生まれの、楽しくて幸せな夏の物語。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

オンネリとアンネリのおうち
(Amazonプライム字幕版)

オンネリとアンネリはとっても仲良し。ある日ふたりは、バラ通りで「正直者にあげます」と書かれた手紙とお金の入った封筒を拾い、そのお金で、バラの木夫人というおばあさんから夢のように素敵な水色のおうちを買うことに。オンネリは9人きょうだいのまん中で、アンネリは離婚したおとうさんとおかあさんの間を行ったり来たり。ふたりの両親は忙しすぎて、自分たちがいなくても気づかない。「わたしたち、ふたりの家に住んでいい?」気難しそうなお隣さんや、魔法が使える陽気なおばさん姉妹、ちょっぴり変わったご近所さんと交流しながら、ふたりだけの楽しい生活が始まる。しかし、お隣さんに泥棒が―! (C) Zodiak Finland Oy 2014. All rights reserved.

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

オンネリとアンネリのふゆ
(Amazonプライム字幕版)

クリスマスの近づくある日、バラの木夫人から買った小さなかわいいおうちで暮らすオンネリとアンネリのもとに、プティッチャネンというこびとの一族の家族がバラの木夫人をたずねてやってきました。おうちをなくしたこびとの家族は、彼らをつかまえようとする悪い人間たちから逃げているといいます。そこでふたりは、夫人の居場所が分かるまで、ふたりのドールハウスに家族をかくまうことに。しかし、お金に困っているガソリンスタンド店の夫婦がこびとの家族の存在に気づいて…!はたして、ふたりは彼らを守ることができるのでしょうか。(C)Zodiak Finland Oy 2015. All rights reserved.

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

オンネリとアンネリとひみつのさくせん
(Amazonプライム字幕版)

オンネリとアンネリのおうちの前に、突然できた“子供の家”。高い柵に囲まれたそこは、身寄りのない子供たちを所長のミンナ・ピンナが、ガチガチのルールで支配する自由のない場所だった。ある日、逃げ出した少年を見つけたオンネリとアンネリは、“子供の家”でのひどい扱いを聞かされる。子供たちを助けるため、ふたりは近所のリキネン夫妻やノッポティーナ&プクティーナ姉妹、プティッチャネン親子と一緒に、“ひみつのさくせん”を決行することに…。(C)Zodiak Finland Oy 2017. All rights reserved.

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ロッタちゃんとクリスマスツリー
アストリッド=リンドグレーン (著), イロン=ヴィークランド (イラスト), やまむろ しずか (翻訳)

明日は、楽しいクリスマスイブ。けれども、ロッタちゃんの家では、まだクリスマスツリーにするモミの木が手にはいりません。嘆き悲しんでばかりいるお兄さんたちを残してロッタちゃんは雪の町へ飛び出していきます。行動的な女の子を生き生きと描いたリンドグレーンの絵本。絵は彼女とのコンビが多いヴィークランドです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ぐりとぐらのおきゃくさま
なかがわ りえこ (著), やまわき ゆりこ (イラスト)

森で雪合戦をしていたぐりとぐらは、雪の上に大きな足跡を見つけました。足跡は森をぬけ、原っぱを通り、ぐりとぐらの家まで続いていました。ドアを開けると玄関には大きな長靴、壁には真っ赤なオーバーと白いマフラー、そして赤い帽子がかかっています。

 

 

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子どもの本だな【広告】

少年キム マルコヴァルドさんの四季 わたしのわごむはわたさない
やまなし ふしぎなマチルダばあや 万葉集 ほか(大岡 信 著)
はじめてのおこづかい ナンタケットの夜鳥 グレイ・ラビットのおはなし

 

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再読「エルマーのぼうけん」読了 3 ハラハラするRPG展開。案外(かなり)ひどいどうぶつたち

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

エルマーのぼうけん
ルース・スタイルス・ガネット (著), ルース・クリスマン・ガネット (イラスト), わたなべ しげお (翻訳), 子どもの本研究会 (編集)

年取ったのらねこからどうぶつ島に囚われているりゅうの子どもの話を聞いたエルマーは、りゅうの子どもを助ける冒険の旅に出発します。どうぶつ島ではライオン、トラ、サイなど恐ろしい動物たちが待ちうけていました。エルマーは、知恵と勇気で出発前にリュックにつめた輪ゴムやチューインガム、歯ブラシをつかって、次々と動物たちをやりこめていきます。エルマーはりゅうの子どもを助け出すことができるのでしょうか?

 

 

再読「エルマーのぼうけん」 1 面白いのに少し難しい導入

再読「エルマーのぼうけん」 2 ねこの説明、カラフルで芸術的な挿し絵の魅力

 

 

「エルマーのぼうけん」はおよそ100ページ。
短いようでいながら、 おそろしく濃い内容です。

 

読み返して、おとななのですが、ひとつひとつの文章をしっかり読んでいって、内容を受け取ることが楽しかったです。

 

何より、どうぶつたちが実にひどいです。

 

エルマー、りゅうを助けるために、かなりの危ない綱渡りをしています。

 

どうぶつたち、島じゅうを見張っているみたいです!

 

みかんの皮ひとつ、捨てることができません。
怪しいと言って、報告されてしまうのです。

 

エルマーは、どうぶつ島にわたるまえのみかん島で、かなりのみかんを入手しています。

かなり何度も読み返したのですけど、25個のピーナッツバターとゼリーのサンドイッチはどこで食べてしまったのか見つけることはできませんでした。

 

たぶん、6日6晩隠れていた船の中で、食べ尽くしてしまったのでしょう。

 

ゼリーのサンドイッチ…。
どう考えても、これはジャムなんじゃないかなと思うのですけど、もうその誤訳(?)すら、面白い味となっているので、絶対に変えてほしくないです。

 

全員がスパイとなっているような、どうぶつ島。

何一つ油断できません。

 

ここからはもう、わざわざあげつらって紹介することもない、おもしろ展開なので、ぜひ読んでいただきたいと思うし、持っている方ももう一度引っ張り出して読んでみて欲しいと思うのですが、

エルマー、持って行ったアイテムを何ひとつ無駄にしません。

 

これはおそらく、ねこのアイデアだったのかもしれないと思います。

それほど、(私が読み飛ばしていた)序盤で、ねことエルマーはしっかりと話し合いを行っていました。

 

どうぶつたちが、実に油断がならないので、 

 

チューインガムをかむとら。
つのをめちゃくちゃにこするサイ。
このユーモラスな表紙の状態になったライオン。

 

などなど、これは完璧な作戦でした。

 

読んでいて、いちばん油断がならなかったのが、イノシシでした。

見張りであり、情報網を把握していて、あらゆる所に目を光らせています。

 

アイテムが唯一きかなかったのも、このイノシシどもでしたし、断片的な証拠を拾って、侵入者の存在につなげていく...。


恐ろしい奴らです。

 

 

訳されたわたなべしげおさんは、「どろんこハリー」の名訳でも知られるかたです。

また、「ミス・ビアンカ」シリーズを訳されています。

 

 

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平易でユーモラスな、すばらしい語り口の翻訳者さんです。

 

 

  

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

エルマーのぼうけんセット
ルース・スタイルス・ガネット (著), ルース・クリスマン・ガネット (イラスト), 渡辺 茂男 (翻訳)

エルマー少年とりゅうの子の冒険物語3部作。ユーモアたっぷりのお話は、読むものの心を空想の世界に羽ばたかせながら、物語のリアリティーに引き込みます。幼年童話の最高峰として読みつがれているロングセラー。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

エルマーとりゅう
ルース・スタイルス・ガネット (著), ルース・クリスマン・ガネット (イラスト), わたなべ しげお (翻訳), 子どもの本研究会 (編集)

「エルマーのぼうけん」の続編。ぶじ動物島を脱出したエルマーとりゅうが、「知りたがり病」という病気をめぐって大活躍。一度読みはじめたらやめられない抜群のおもしろさです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

エルマーと16ぴきのりゅう
ルース・スタイルス・ガネット (著), ルース・クリスマン・ガネット (イラスト), わたなべ しげお (翻訳), 子どもの本研究会 (編集)

エルマーのお話の完結編。やっと家に帰りついたりゅうを捕えようと、人間どもがやってきます! エルマーは、りゅうの家族を救おうと、りゅうの家にやってきます。心躍る結末です。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

どろんこハリー
ジーン・ジオン (著), マーガレット・ブロイ・グレアム (イラスト), わたなべ しげお (翻訳)

ハリーは、黒いぶちのある白いイヌです。なんでも好きですが、お風呂に入ることだけは、だいきらいでした。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ミス・ビアンカ くらやみ城の冒険
マージェリー・シャープ (著), 渡辺 茂男 (翻訳)

優雅な貴婦人ねずみのミス・ビアンカ、勇敢な家ねずみのバーナード、ノルウェーの船乗りねずみのニルス。3匹は世界的なねずみの組織「囚人友の会」の任務で、とらわれの詩人を助けるために、地の果てのくらやみ城へ向かう。そこで彼らを待ちうけていたのは、おそろしく残忍なねこだった!ねずみたちの大冒険シリーズ1作目。

 

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子どもの本だな【広告】

雨月物語(佐藤 さとる 著) おしっこちょっぴりもれたろう 大どろぼうホッツェンプロッツ
こども六法 もっちゃうもっちゃうもうもっちゃう シートン動物記(青い鳥文庫)
ちょっとだけ ライオンと魔女と洋服だんす やまなし

 

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再読「エルマーのぼうけん」 2 ねこの説明、カラフルで芸術的な挿し絵の魅力。

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

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>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

エルマーのぼうけん
ルース・スタイルス・ガネット (著), ルース・クリスマン・ガネット (イラスト), わたなべ しげお (翻訳), 子どもの本研究会 (編集)

年取ったのらねこからどうぶつ島に囚われているりゅうの子どもの話を聞いたエルマーは、りゅうの子どもを助ける冒険の旅に出発します。どうぶつ島ではライオン、トラ、サイなど恐ろしい動物たちが待ちうけていました。エルマーは、知恵と勇気で出発前にリュックにつめた輪ゴムやチューインガム、歯ブラシをつかって、次々と動物たちをやりこめていきます。エルマーはりゅうの子どもを助け出すことができるのでしょうか?

 

 

再読「エルマーのぼうけん」 1 面白いのに少し難しい導入

 

 

この、のらねこさんは、年取った船乗りのイメージです。

「年取った船乗りは、物知りで、世界のさまざまなことを知っている」という、海外の児童書に特有のイメージがあります。

 

小さい頃に、読み飛ばしていた「ねこの説明」。

冒険にそのまま突入していましたから、わたしがきちんと読み始めて覚えていたのは

 

3.エルマー しまをみつける
からでした。

 

一章と二章の

1.ぼくのとうさん ねこにあう
2.エルマー にげだす

を、最初から順序だてて読んでみると、第一人称が「ぼくのとうさん」から、「エルマー」 にはっきりと変わったのは、エルマーのお母さんがねこを連れてきたことに怒りながら
「エルマー・エレベーター!」
と名前を呼んだ時からでした。

 

 

ねこは、エルマーに、みかん島とどうぶつ島がどういう感じなのか、ていねいに話をしていきます。

 

島の真ん中を流れているどろ川や、わたし船の役割をしてくれているようだけど、ぜんぜん頼りになりそうもない上に腹をすかせているワニだとか、詳しく話すので、エルマー

 

「だけど、ひこうきと、いまのはなしと、どんなかんけいがあるの?」
ねこのせつめいがあまりながいのでエルマーは、がまんができなくなってききました。

 

ちょうど私も我慢ができなくなってくるところでした。

 

しかし、ここで、出ました!
りゅうの子です。

空からおっこちてきた、ちっちゃな子どものりゅうです。

 

・大きさは大きなくろくまぐらい。
・からだには、きいろと、そらいろのしまがある。
・つのと、目と、足のうらは、目のさめるような赤。

 

色鮮やかで、とてもきれいです。
「エルマーのぼうけん」では裏表紙になりますが、見ていても、いつも本当にカラフル心浮き立つような色彩です。

 

どうして、このねこが、長い時間をかけて丁寧に、どろ川と、あてにならないワニの話をしていたのか、わかりました。

 

どうぶつたちは、この赤ちゃんりゅうをつかまえて、「川わたりもんだい」の解決をはかることにしたのです。

 

りゅうの赤ちゃんが、けがをして飛べない間に、首にふといなわをつけ、虐待しながら児童労働を強いて働かせます。

 

ものすごいおもいにもつをはこばせたり、それで、もし、りゅうがもんくをいえば、はねをかじったり、からだをたたいたりしました。

 

最低です!
犯罪です!

 

ねこは、エルマーのやさしさを見て、この人はと見込んで、りゅうをたすけるのをやってみては、と頼んだのでした。

 

エルマーは、やってみることにしました。
「お母さんがねこにあんまりしつれいなことをしたので」腹を立てていたのです。
半分、家出のようなものでした。

 

エルマーは、ねこと一緒に時間をかけて準備を整え、綿密に計画を練ります。
ねこは一緒に行くことはできませんが、あらゆる面でアドバイスをしました。

 

この準備する品のリストは、とても楽しい所です。
流し読みしていたようでも、ここだけは強烈に覚えていました。

 

輪ゴムや、じしゃくなど、色々ありますが、やはり一番強烈なのは

 

チューインガム
ももいろのぼうつきキャンデー2ダース
はブラシとチューブいりはみがき

などです。

 

特に、ももいろのぼうつきキャンデー2ダースは、しばらく自分の憧れになりました。

 

お弁当がすごいです。

ピーナッツバターとゼリーをはさんだサンドイッチ25個。

 

腐っちゃわないのだろうか…?

 

ねこは、船に乗るときにも活躍します。

おかしななきごえをして、番人の気をひいているうちに、エルマーは船にのりこみ、密航をします。

 

このときの、波止場でいっぴきで船を見送るねこの絵がとても可愛らしいです。

 

 

この絵がとても素敵なのですが、何となく、新印象派と呼ばれる点描で書かれているものにスタイルが似ています。

でも、本当に点描で描かれているのかどうかは確認できませんでした...。

グランド・ジャット島の日曜日の午後

この絵をもっと色鮮やかにして、ほのぼのとした感じです。

 

どうぶつ島のジャングルといい、芸術的で大好きです。

 

この絵で、ワラワラと出て来るさまざまなどうぶつたちが、強烈ですごく印象に残ります。

 

 

つづきます。

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

エルマーのぼうけんセット
ルース・スタイルス・ガネット (著), ルース・クリスマン・ガネット (イラスト), 渡辺 茂男 (翻訳)

エルマー少年とりゅうの子の冒険物語3部作。ユーモアたっぷりのお話は、読むものの心を空想の世界に羽ばたかせながら、物語のリアリティーに引き込みます。幼年童話の最高峰として読みつがれているロングセラー。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

エルマーとりゅう
ルース・スタイルス・ガネット (著), ルース・クリスマン・ガネット (イラスト), わたなべ しげお (翻訳), 子どもの本研究会 (編集)

「エルマーのぼうけん」の続編。ぶじ動物島を脱出したエルマーとりゅうが、「知りたがり病」という病気をめぐって大活躍。一度読みはじめたらやめられない抜群のおもしろさです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

エルマーと16ぴきのりゅう
ルース・スタイルス・ガネット (著), ルース・クリスマン・ガネット (イラスト), わたなべ しげお (翻訳), 子どもの本研究会 (編集)

エルマーのお話の完結編。やっと家に帰りついたりゅうを捕えようと、人間どもがやってきます! エルマーは、りゅうの家族を救おうと、りゅうの家にやってきます。心躍る結末です。

 

 

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子どもの本だな【広告】

種をまく人 わかったさんのおかしシリーズ 全10巻 朝びらき丸東の海へ
天国を出ていく―本の小べや 小公女セーラ 5ひきのすてきなねずみ まちのじどうしゃレース
びりっかすの子ねこ ジェインのもうふ 長くつ下のピッピ

 

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再読「エルマーのぼうけん」 1 面白いのに少し難しい導入

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

エルマーのぼうけん
ルース・スタイルス・ガネット (著), ルース・クリスマン・ガネット (イラスト), わたなべ しげお (翻訳), 子どもの本研究会 (編集)

年取ったのらねこからどうぶつ島に囚われているりゅうの子どもの話を聞いたエルマーは、りゅうの子どもを助ける冒険の旅に出発します。どうぶつ島ではライオン、トラ、サイなど恐ろしい動物たちが待ちうけていました。エルマーは、知恵と勇気で出発前にリュックにつめた輪ゴムやチューインガム、歯ブラシをつかって、次々と動物たちをやりこめていきます。エルマーはりゅうの子どもを助け出すことができるのでしょうか?

 

 

幼児が本に親しむ一番最初の本。

 

前に「フライパンじいさん」をあげましたけど、「エルマーのぼうけん」は海外の本で親しめるのに一番最適な本です。

 

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絵本はもう楽々読めるお子さん。
少し物心ついて、ひらがなを追えるようになったあたりでの、第二のブックスタートです。

 

装丁がきちんとして、100ページ超ぐらいあり、いかにも「本を読んでいるぞ~!」と感じられます。

 

開くといきなり地図があります。

 

みかん島とどうぶつ島です。

 

 

…みかんと、どうぶつ。

 

再読してみて思ったのは、この作品、ぜんぜん高学年から大人までの鑑賞に十分にたえうるということです。
面白いです!

 

すごく鮮やかで芸術的な絵もすばらしいです。
この絵の魅力は大きいです。

 

何とこの絵、作者の義母さんが描かれているそうです!
これはすごく珍しいと思うのですが、どうなんでしょうか。

 

母と娘とか、父と息子とかは聞いたことがあるのですけど、嫁と姑の合作というのは、あまり例がないような気がします。
(仲が良いのは良いことです(*^-^*))

 

 

 

最初の一章は
「ぼくのとうさん ねこにあう」
なのですが、ここの冒頭はなかなかすんなり頭に入ってきません。

 

主人公はエルマーだと思って読み始めたら、「ぼくのとうさん」
エルマーのとうさんかな?

 

違いました。

 

絵にある、猫に話しかけている子供がエルマーで、かつ、作者のお父さんだという情報がよくわかりませんでした。
(少なくとも私はそうでした)

 

ぼくのとうさんとねこは、すぐなかよくなりました。 

 

昔は、この情報の混乱のまま、最後まで話が続いていくのだろうか、最後まで「ぼくのとうさんは」で行くのだろうかと、かなり心配になってました。

 

なので、小さい頃のわたしは、ねこを読み飛ばしていました。
(子供の頃の話です)

 

第二章になると、主人公も「エルマー」の第一人称になるので、すんなりと理解できたのです。

 

とりあえずこれは、書いてる人のお父さん、しかもそのお父さんが子供だった時の話なのです。

 

 

おとななので、一章をしっかり読み直します。

 

読み返してみて思いますが、ここの冒頭はとても大事です!
この年とったねこが全ての始まりでした。

 

雨にぬれてみじめな状態だったのらねこに、「ぼくのとうさん」=「エルマー」は、しんせつに話しかけます。

 

「ぼくのうちにきてみませんか?」

 

ねこは驚きますが、礼儀正しく謙虚に「だんろのそばでミルク」を所望します。

 

「それにぼくのかあさんは、おさらに一ぱいぐらいのミルクならきっとわけてくれるよ」

 

しかしこれは安請け合いでした。
エルマーのおかあさんは、ねこぎらいだったのです…。

 

エルマー、迂闊だぞ。

そこは把握しておけよ…。

 

「一ど、やどなしののらねこにたべものをやれば、まちじゅうののらねこにたべものをやるようなことになっちまうんだからね」

 

これは、残念ながら一理あります。
わたしは野良猫が大大大好きですが、やはり、食べ物をあげるのは反則です。
写真を撮るだけにとどめます。

 

エルマーはがっかりしますが、こっそりねこにしんせつにしていました。(婉曲表現)

 

このねことの友情が、エルマーを不思議な冒険にさそうことになります。

 

ねこは、エルマーの「ひこうきをもちたい」という夢を聞いて、不思議な話をしてくれます。

 

もしかしたら、その夢、かなうかも。
それも大きくなってからじゃなくて、いますぐに。


 

 

 

つづきます。

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

エルマーのぼうけんセット
ルース・スタイルス・ガネット (著), ルース・クリスマン・ガネット (イラスト), 渡辺 茂男 (翻訳)

エルマー少年とりゅうの子の冒険物語3部作。ユーモアたっぷりのお話は、読むものの心を空想の世界に羽ばたかせながら、物語のリアリティーに引き込みます。幼年童話の最高峰として読みつがれているロングセラー。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

エルマーとりゅう
ルース・スタイルス・ガネット (著), ルース・クリスマン・ガネット (イラスト), わたなべ しげお (翻訳), 子どもの本研究会 (編集)

「エルマーのぼうけん」の続編。ぶじ動物島を脱出したエルマーとりゅうが、「知りたがり病」という病気をめぐって大活躍。一度読みはじめたらやめられない抜群のおもしろさです。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

エルマーと16ぴきのりゅう
ルース・スタイルス・ガネット (著), ルース・クリスマン・ガネット (イラスト), わたなべ しげお (翻訳), 子どもの本研究会 (編集)

エルマーのお話の完結編。やっと家に帰りついたりゅうを捕えようと、人間どもがやってきます! エルマーは、りゅうの家族を救おうと、りゅうの家にやってきます。心躍る結末です。

 

 

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子どもの本だな【広告】

サリーのこけももつみ まいごになったおにんぎょう マチルダばあや、ロンドンへ行く
ウエズレーの国 チョコレート戦争 からすが池の魔女
白いりゅう黒いりゅう ウェン王子とトラ (日本語) 大型本 - 2007/6/16 チェン ジャンホン (著), 平岡 敦 (翻訳) あなたのおへそ

 

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今日の一冊「くまのがっこう ジャッキーのうんどうかい」

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

くまのがっこう ジャッキーのうんどうかい
あいはら ひろゆき (著), あだち なみ (イラスト)

もうすぐ、くまのがっこうの運動会。いちばんのおちびさんも、かけっこだったらおにいちゃんに勝てるかも! いつにもまして、練習いっぱいしてがんばったジャッキー。いちについて、よーい、どん! いちばんになれるかな? くまのがっこうシリーズ第6巻。

 

 

どれをとってもひたすら可愛い、「くまのがっこう」シリーズ。

 

the-bears-school.com

 

キャラクター商品としても大人気です。

 

あだちなみさんの、本当にスタイリッシュで洗練されたセンスの良い、愛らしくあたたかい絵がすばらしいです。

 

この「くまのがっこう」シリーズの中でも、私の一番のお気に入りが「うんどうかい」です。
読み聞かせに一番向いているのもこれです。

 

「読み聞かせ得意リスト」に入っています。

 

どちらかというとジャッキーシリーズは、ジャッキーの恋のお相手のしろくまデイビッドくんよりも、まだデイビッドくんが出ていない頃の方が好みです。

 

くまのがっこうのくまのこたちは、
1、2、3、4……
ぜんぶで12ひき。
みんななかよくくらしています。
いちばんさいごの12ばんめ
たったひとりのおんなのこが、ジャッキーです。

 

というのが定番のご挨拶です。

 

11ぴきのおにいちゃん!
1ぴきでも手に余るのに、11ぴき。

 

お兄ちゃんたちにひたすら可愛がられている小さな妹のジャッキー。

 

このお話は、妹子よりも兄助の方がずっと好きだったような気がします。

 

なかなか話題に出てこないすっかり大きくなってしまって威嚇してくるお兄ちゃんの兄助ですが、それはそれはたくさんの本を読んでくれました。

渡すものを文句も言わずに、おとなしく読んでくれてたなあと思い出します。

 

この11ぴきのお兄ちゃんぐまたちは、みんなちゃんと名前があって、顔も違いますし、ひとりひとりキャラがあります。

私はやっぱり、本ずきのアントンが一番好きです。
3番目のお兄ちゃんですね。

 

お兄ちゃんなので、何でも(ジャッキーよりは)上手にこなすことができます。

 

「パンやさん」などでは、手際よく働いているお兄ちゃんぐまたちですが、「うんどうかい」。
こちらの場合は、かけっこにうんていに、とびばこに棒のぼり...。

 

何をやっても、お兄ちゃん達の方がすぐれています。

 

ジャッキーは、うんていには手が届かないし、とびばこは1段しか、それも座ってるだけだし、棒のぼりも下にちょこんとしがみついているだけです。

 

すごく可愛いです。

 

ジャッキーはご機嫌ななめ、「おさぼりして」散歩に出かけてしまいました。

 

カエルが出てきてひゃっと逃げ出したジャッキーは、すごく早く走れたことに気が付きます。

 

よーーーし!

 

自信をつけ、猛練習を始めます。

 

このあたりの、カエルにびっくりするシーン、「まけないぞったらまけないぞ」の練習シーンなど、あいはらひろゆきさんの操る言葉が、リズミカルで、非常に読み聞かせにむいています。

 

何より一番盛り上がるのは、「よーいどん!」になってからです。
(まあ、これは個人的好みなのですが...)
まるで競馬レースを実況しているかのように読みます。

 

ジャッキーはやい!ジャッキーはやい!
あーおい上げてきた!早い!

 

などの、文句です。
何しろ名前がジャッキーですしね...(何が?)

 

今、これを書くために持ち出してきたら、以前にはなかったクレヨン書きで、最後のお兄ちゃんたちが...の文字が強調されてました。

 

この本をご存じのかたはわかると思います。

 

そうですよねぇ~。
お兄ちゃんですもんね。

 

最後の大びらきのお弁当画面、あだちなみさんの絵の素晴らしさを余すとこなく見せてくれる、最高の一冊です。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

くまのがっこうシリーズ(既12巻)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ジャッキーのパンやさん―くまのがっこう
あいはら ひろゆき (著), あだち なみ (イラスト)

ピンク色の表紙に並ぶ12匹のくまの子たち。おやおや最後のひとりはまだ仕度ができていません。『ジャッキーのパンやさん』は、くまの学校のバザーの1日を描いた物語。くまの子たちは、この日が来るのをとっても楽しみにしていて、一生懸命パンをつくるのだけど、1番小さくて、ただ1人の女の子、ジャッキーは、お手伝いをしているというよりは…。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

フラニーとメラニー すてきなおんがくかい
あいはら ひろゆき (著), あだち なみ (イラスト)

ふたりのスープは、今日も幸せをはこびます赤うさぎの姉妹、フラニーとメラニーがつくるスープは森の評判です。ケンカをしていた鳥たちも、スープを飲んだらすっかり仲直りし、声をあわせて歌うのでした。

 

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ねずみのアナトール 砂の妖精 みどりのゆび
はじめてのおつかい 地底旅行 飛ぶ教室
影との戦い 火の鳥と魔法のじゅうたん ジュニア版ファーブル昆虫記 全8巻セット

 

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オーノワ夫人「青い鳥」5 バレエ「ブルーバード」の結末をさっくりと

後半は、もしかするとバレエの青い鳥のあらすじを調べてここにたどり着いた方のために、ざっくりの説明にしておきます。

 

これで興味を持った方は、ぜひ図書館で探してみてください。
国立国会図書館に所蔵されているのは確認ずみです。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

  

 

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オーノワ夫人「青い鳥」1 バレエ「ブルー・バード」の元ネタ

オーノワ夫人「青い鳥」2 フロリーヌ姫=フロリナ王女

オーノワ夫人「青い鳥」3 バレエ「ブルー・バード」の衣装の羽

オーノワ夫人「青い鳥」4 魔女と魔法使い

 

 

 

今度は、女王になったフロリーヌが国を大臣たちにあずけ、シャルマン王を取り返すために、冒険の旅に出ます。

 

もちろん、フロリーヌ姫は、シャルマン王の顛末を知らないので、唐突に青い鳥が来なくなったという事しかわかりません。
鳥を探して旅をするのですが、色々なことが起こります。

 

その中でも、スーシオは自分の姉であると打ち明ける、美しい仙女が一瞬だけ、現れます。
旅の助けに、「こまったときに割るたまご」をもらうのですが、RPGのアイテムっぽいです。

 

1個目 - 昇れない象牙の山
2個目 - 魔法の鏡の谷

 

と、冒険の間に2個使い、いよいよシャルマン王の国に到着です。

 

シャルマン王は、とうとう結婚しなければならない所まで追い詰められていました。
いやで仕方が無いので、なるべくそばによりつかないようにするとか、一日でも伸ばそうと苦心したりしています。

 

一般的に、鉢かつぎ系のおとぎ話では、何ごとか、自分の正体を明かす工夫をたくらむのですが、この3回を、フロリーヌはこういう風にしています。

 

1回目 - シャルマン王にもらったエメラルドの腕輪(あの貢ぎ物が、こんな所で生きてきた!)
2回目 - 3個目のたまご
3回目 - 4個目のたまご

 

このたまごから出てくる魔法の品が、微に入り細に入り、あれこれとことばを尽くして描写されますが、実にめずらしいものです。

 

こんな面白い品はなかなかありません。
ぜひ本で読んでいただきたいなあ、と思います。

 

4個目のたまごを使い切った時にはもう、あとがありません。

 

しかも翌日は結婚式とのことで、から、絶体絶命、ハラハラしっぱなしなのですが(昔は今ほど離婚が簡単ではないと思うので…)
ギリギリであることが起き、なんとか二人は結ばれることができました。

 

やっとめぐりあった二人の前に、魔法使いとあのフロリーヌを助けてくれた仙女が現れます。
そして、2対1なので、力関係により、スーシオはもう手出しを出来なくなったと告げて解決です。
力関係なんかーーい!

 

トリュイトンヌは、雌ぶた(トリュイ)に変えられてしまいました。

 

とりあえず、命だけは助かったわけです。
ここで、そもそもの岩魚(トルイト)と、雌ぶた(トリュイ)をひっかけた、フランス式のしゃれになっていたことがわかります。

 

このお話、往年のおとぎ話に添った作りでありながらも、

・細部にいたる細かい描写
・人生訓をふくんだ意見
・宝石をちりばめたリアルなアイテム
・しゃれを含んだネーミング

そうとうに筋立てを考えて作られて書かれていることがわかります。

 

やはり昔から語り継がれて残っているお話の面白さというのは、極限には原典にあるものです。

 

抄訳や、あらすじ解説では、その良さや意味がかき消されてしまったりすることもあるものなので、ざっくり紹介や「○分でわかる○○」系に頼りすぎずに、ぜひ本をひもといてみて欲しいと思います。

 

(とか言いながら、割と「○分でわかる○○」にはお世話になってたりもするのですが…)

 

冒頭の継母との結婚の所も、王さまが頭をぶっつける所をどんだけだよと思ったり、悪女の小細工に戦慄するときにも、「生き生きとした青いひとみ」などという所にふっと理由も見出したり。

 

そこを省いて「再婚しました☆」だけでは、味気ないです。

 

◇ 

 

作者の何気ないひとこと、ふたことがとても印象的だったりします。

 

トリュイトンヌとの婚約を死って、嘆き悲しむフロリーヌの所などに、

心に深い悲しみを抱いているときは、食べるものなどは見るのもいやになります。

などとちらっとひとこと書かれていて、こういう部分が味を添えておもしろいです。

 

妹子のお友達は、この本の絵が好きだと言っていました。
見てすぐに、「わあー、すてきな絵!」と言っていて、この絵をすてきと感じるのが良いなあと思いました。

 f:id:WhichBook:20201225033042j:plain

 さし絵 高橋忠彌さんだそうです。

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さて大団円を迎えたこの「ブルーバード」のお話ですが、ぜひ図書館でも通ってみていただきたいと思うのは、この本「フランス編1」には、ラブレー「ガルガンチュワ物語」が入っています。

 

フランスの古典です。
それはそれは…ハチャメチャな物語で、とても面白いです。

 

忠実に訳しているものも読んだのですが、この訳に匹敵するものはないなと思うほどの名訳、名抄訳です。
(お酒と下ネタのお話が満載です。うんこ、おしっこなどは頻出単語です)
いつか、紹介する機会があればなあと思います。

 

 

この本には、他にも、おとな版で読んだらびっくりした「狐物語」、またフランス古典版「美女と野獣」も入っています。

 

もし、バレエ関係でこちらにたどり着いた方も、昔話にしろ、原典にしろ、たくさんのお話を読んでみて欲しいと思います。

 

バレエは、海外文学への扉となりうる、物語の宝庫ですから。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

  

「 青い鳥」はないのですが、オーノワ夫人の「美女と野獣」です。

 

美女と野獣 (ワンス・アポンナ・タイム・シリーズ)
ドーノワ夫人 (著), エティエンヌ・ドレセール (イラスト), 石川 康弘 (翻訳)

そまつな服を着て、このうえなくみじめなくらしをつづけながら、娘たちはいつも、むかしのぜいたくで楽しかった生活をなつかしんでいました。ただ末娘だけは、明るく、強く、生きようとしていました。彼女は、父親がはじめて不幸に見舞われたとき、だれよりもなぎけ悲しみました。けれども、もちまえの快活さを取りもどすと、つらい生活にたえて、仕事に取りかかって、父親や兄さんたちをできるだけなぐさめようとしたり、姉さんたちの気持ちが、歌やダンスでまぎれるようにつとめるのでした。ボローニャ・ブックフェア特別賞受賞のシリーズ。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

白いねこ
オーノワ夫人 (著), こみね ゆら (著)

「1年後のこの時刻にこの世でいちばんかわいい犬を探して来た者にこの国を与える」 王の言葉に3人の王子は旅に出ます。17世紀フランスの、話ができる白い猫の繰り広げる、不思議で華麗な世界をのぞいてみて下さい。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

こちらのオーノワ夫人の「青い鳥」とはまったく関係のないメーテルリンクの「青い鳥」ですが、せっかくなのでリンクを置いておくことにしました。

 

青い鳥
モーリス メーテルリンク (著), 大社 玲子 (イラスト), 末松 氷海子 (翻訳)

貧しいきこりの子どもチルチルとミチルは、「幸福」の象徴である「青い鳥」をさがして、思い出の国や夜の御殿、未来の国などを旅します.ノーベル賞作家による、有名な戯曲.新訳.

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ガルガンチュア―ガルガンチュアとパンタグリュエル
フランソワ ラブレー (著), 宮下 志朗 (翻訳)

フランス・ルネサンス文学を代表する作家フランソワ・ラブレーの傑作大長編、待望の新訳版。この巻では、巨人王ガルガンチュアの誕生・成長と冒険の数々、さらに戦争とその顛末が、笑いと風刺を織り込んだ密度の高い文体によって描き出されてゆく。現代的センスあふれる清新な訳文から、不朽の物語の爆発的な面白さと輝かしい感動が楽しく伝わってくる。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ガルガンチュワ物語―ラブレー第一之書
ラブレー (著), 渡辺 一夫 (翻訳)

単行本(函入)全5冊セット・1984年1刷。渡辺一夫訳。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

狐物語
レオポルド・ショヴォー (編集, イラスト), 山脇 百合子 (翻訳)

フランス中世に成立した『狐物語』は、赤毛の性悪狐・ルナールが知恵の限りをつくして森の動物や農村の人間たちとわたりあい、またライオンのノーブル王が君臨する宮廷にあってさまざまに策略をめぐらすお話の集成です。多くの国や地域にも広まり親しまれている動物叙事詩の代表作に、『年をとったワニの話』のL.ショヴォーが絵をつけた現代語版を、読みやすく生き生きした日本語に移しました。巻末の充実した解説も必読です!

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

狐物語
鈴木 覚 (翻訳), 原野 昇 (翻訳), 福本 直之 (翻訳)

本書は、12世紀後半から13世紀にかけて主に北フランスで作られた動物叙事詩、20話を収録する。各話共通の主人公はルナールという名の狐で、この狐がいろいろな動物や領主、騎士、僧侶などに悪知恵を働かせ、騒動を引き起こす様を明るく陽気に描いている。随所に諷刺を盛り込んだ韻文物語。

 

 

 

「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492

 

プロジェクト・グーテンベルクについて
Wikiの説明ページ

プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館

 

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オーノワ夫人「青い鳥」4 魔女と魔法使い

青い鳥に変えられてしまったシャルマン王。 

 

首尾がうまくいかなかったことを聞いた王妃は腹をたて、フロリーヌに八つ当たりをして憂さ晴らしすることにします。

トリュイトンヌはフロリーヌを装って王から巻き上げた指輪を持っているので、着飾ってフロリーヌの所に行き、結婚したとか優しいとか大嘘をついてみせます。

 

父王さまには、フロリーヌを塔から出さないように釘を刺すのですが…。

 

王さま「万事、よきにはからえ~(思考放棄)」

 

多分この父王は、最初の奥さんが亡くなった時に壁に頭をぶっつけて死んでた方が良かったでしょうね。


結論:戦犯は壁に頭をぶつけて死なないように配慮した部下

 

 

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オーノワ夫人「青い鳥」1 バレエ「ブルー・バード」の元ネタ

オーノワ夫人「青い鳥」2 フロリーヌ姫=フロリナ王女

オーノワ夫人「青い鳥」3 バレエ「ブルー・バード」の衣装の羽

 

 

 

青い鳥とフロリーヌ姫(フロリナ王女)は、ここでお互いを見つけて、この牢屋で逢瀬を重ねます。


「ブルーバード」グランパ・ド・ドゥの内容は、おそらくこの部分だと思われます。

やっと、バレエの内容になってきました。

 

「でも、あなたはどなた、かわいい小鳥さん」と、フロリーヌは羽をやさしくなでながら、ききました。
「かわいい(シャルマン)とおっしゃったではありませんか。それがわたしの名前です」

 

これはいかにもしゃれてるなあ~と思いました。

多分、王さまの名前「シャルマン」はこの台詞を言わせたいがためにつけられたんじゃないかという気がします。

 

この青い鳥なのですが、フロリーヌが好きなあまり、ものや宝石を必死に貢ぎまくります。
やっぱり今も昔も、推しに対してやろうとるすことは同じみたいです。

 

・ダイヤの耳飾り
・エメラルドの腕輪(一つの大きなエメラルドを切子にして真ん中に穴をあけ、手と腕が通るようにしたもの)
・真珠玉にはめこんだ小さな懐中時計

 

どうやって入手するのかというと、鳥なので自分の国に飛んで行って部屋に忍び込み、持ち去るのです。

フロリーヌも、実にうまいことを言いやがります。 

「せっかく時計をくださっても、役にたちませんわ。あなたがいらっしゃらないときは、早く時がたってくれればよいと思いますし。ごいっしょにお話ししていれば、まるで夢のようにすぎてしまいますもの。どちらにしても、時計があれば、かえって苦労がましますわ」

 

それで、青い鳥は、あなたのやさしい心を傷つけましたねとか何とか...。
フロリーヌは、そんな、あなたが思ってくださることがいっそうわかりましたわとか何とか...。

 

何かこんな風な、いちゃいちゃした会話を交わしながらも、青い鳥はフロリナ王女に貢ぎつづけます。

 

真珠の首飾り、みごとな細工の指輪、ダイヤのくさり、ヘヤ・ピン。花のいろどりに似せて宝石でつくった花たば、おもしろい本、まるい浮きぼり細工。

 

「おもしろい本」てのがあるのに注目しました。

あらゆる面で気を使っています。

 

 

さて、ふたりがいちゃいちゃしている間に、王妃は必死でトリュイトンヌの嫁入り先を探しますが、どこからも断られてしまいます。

 

断る方もよくないので、「フロリーヌならいいけど」、と一言付け加えるので、二人はかんかんに腹を立て、謀反の疑いをかけて(=八つ当たりして)やろうと示し合わせて塔にやってきました。

 

牢の中のフロリーヌは、宝石で飾り立て、香まで焚いている有様なので、二人はびっくりします。

(ここはかなり長く、色々あるのですけど、中略)

結局、見張り番を置かれてしまい、フロリーヌと青い鳥はなかなか会えなくなってしまいます。

 

眠ったすきに、フロリーヌは急いで窓を開け放ち、呼びかけます。
ちょっとユーモラスです。

 

青い鳥さん、空の色、
わたしのところへ、はよおいで

これは、フロリーヌのことばどおりで、歌にするため変えたりしたところは一字もありません。

 

「一字もありません」念押しの一言によって、いっそうこの呼びかけが際立ちます。

 

「はよおいで」は、他に何とかならなかったのかなあと思いますが、この本は、そういう違和感よりも、いわゆる575の「5」に当てはまるかどうか、の方を重視しているみたいです。

 

このよびかけを何度も行い、また、逢瀬を重ねるのですが、王妃の悪だくみで青い鳥は、ひどいけがをさせられてしまいました。
(糸杉の木立に、「剣や包丁やかみそりや短刀をゆわえつけておいた」ということになってます)

 

昔の本は日本のも海外のもですけど、割と、小道具をたくさん重ねて表現することが多いです。
とても楽しいので、こういうのは積極的に現代の児童書にも取り入れてもらいたいものです。

特に子供向けだと、語彙力が増えることにもなるんじゃないでしょうか?(無理矢理感)

 

 

全身傷だらけになってしまった青い鳥。
ここで、「シャルマン王の友達の魔法使い」の登場です。
 

あの空とぶかえる車がどうなったのかという所まで、ちゃんと伏線回収してあります。
乗り手のないからのまま、魔法使いの所に戻ってきたのです。

それで、何かあったに違いないと思った魔法使い、すでに地球をくまなく8回も探していました。

 

魔法使いに発見され、看護されたシャルマン王、自分を裏切ってかみそりをゆわえておいたのがフロリーヌだと思い込んでいます。
はて...なぜ?
とまあ、それは良いとして、魔法使いに保護されている間に、フロリーヌの方には重大な転機が訪れていました。

 

父君の王さまが亡くなったのです。

 

あの情けないアホンダラの思考停止王がです。
悪女の手練手管にやられて、奧さんのことはコロッと忘れるわ、娘のことは放置するわ…。

 

「青い鳥 2」でも書きましたが、民衆は蜂起して、王妃とトリュイトンヌにおそいかかりました。

 

ここは割とすごい展開です。

 

これまで国のひとびとは、トリュイトンヌ親子が、王さまの寵愛をほしいままにして、かってなふるまいをしているのを、こころよく思ってはいませんでしたから、たちまち、むほんを起して御殿におしかけ、フロリーヌ姫を返せ、フロリーヌ姫こそ位をおつぎになるおかただと叫びました。腹をたてた妃は、高飛車に出ておさえつけようと考え、御殿のバルコンにすがたをあらわし、ひとびとに向かっておどし文句を並べましたが、かえってさわぎをますます大きくし、ついにひとびとは王妃の居間の戸をおしやぶってなだれこみ、部屋をさんざんあらしたあげく、王妃を石でなぐりころしてしまいました。

 

すごい幕引きの仕方です。

 

ありそうなだけに、なまなましいです。
これは、「まっかに焼けた鉄の靴をはいて踊らされる」という、白雪姫のラストよりも、もっと怖いです。

 

トリュイトンヌは、スーシオの所に逃げて無事でした。

 

普通、継母がいなくなったならば力も半減して、何とかなりそうなものなのですが、トリュイトンヌにはまだ、スーシオという強力な後ろ盾がいます。

この革命が起きて、フロリーヌが女王になった、ここまででちょうどお話は半分です。

 

恋愛ものとしては、邪魔が入り、ラブラブの所があり、裏切りだと思い込み、実に波乱万丈です。

 

 

面白いのが、魔女や魔法使いの関係性です。
魔法使いは、スーシオの所に話をつけに行くのですが、お互いに顔見知りであることが語られます。

 

魔法使いと魔女とは似たりよったりのもので、もう五六百年もの顔なじみですし、この、長い年月のあいだ、よいことにせよ悪いことにせよ、いっしょになって、いくたびしごとをしたかしれないなかでした。

 

この設定は面白いなあ。
現代のラノベなどにも転用できそうです。

 

昔話は設定の宝庫ですので、お話を書こうと志す人は、どんな媒体であっても、たくさん参考にすべきところがありますから、そういう点でも、ラノベ作家勢のかたがたにも、ぜひ読んでもらいたい所です。
「青い鳥」はあらゆる面から面白いです。

 

「容貌をあげつらうのはよくない」という忖度をしていない時代に作られたものなので、そういう面からも新鮮な印象を得る所があります。

 

 

魔法使いと魔女は話し合いをして、何とか、執行猶予つきの仮釈放まで話をこぎつけました。
ここからは、フロリーヌが頑張る番です。

 

もう、自由の身になっていますので、身なりを変えて旅をして、シャルマン王の国まで行き、シャルマン王が何としても結婚するまいと頑張って日にちをのばしている間に…。


好きな人を取り返す!

 

という展開です。
(内容としては、鉢かつぎ姫系です)

  

 

 

つづきます。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

  

「 青い鳥」はないのですが、オーノワ夫人の「美女と野獣」です。

 

美女と野獣 (ワンス・アポンナ・タイム・シリーズ)
ドーノワ夫人 (著), エティエンヌ・ドレセール (イラスト), 石川 康弘 (翻訳)

そまつな服を着て、このうえなくみじめなくらしをつづけながら、娘たちはいつも、むかしのぜいたくで楽しかった生活をなつかしんでいました。ただ末娘だけは、明るく、強く、生きようとしていました。彼女は、父親がはじめて不幸に見舞われたとき、だれよりもなぎけ悲しみました。けれども、もちまえの快活さを取りもどすと、つらい生活にたえて、仕事に取りかかって、父親や兄さんたちをできるだけなぐさめようとしたり、姉さんたちの気持ちが、歌やダンスでまぎれるようにつとめるのでした。ボローニャ・ブックフェア特別賞受賞のシリーズ。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

白いねこ
オーノワ夫人 (著), こみね ゆら (著)

「1年後のこの時刻にこの世でいちばんかわいい犬を探して来た者にこの国を与える」 王の言葉に3人の王子は旅に出ます。17世紀フランスの、話ができる白い猫の繰り広げる、不思議で華麗な世界をのぞいてみて下さい。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

こちらのオーノワ夫人の「青い鳥」とはまったく関係のないメーテルリンクの「青い鳥」ですが、せっかくなのでリンクを置いておくことにしました。

 

青い鳥
モーリス メーテルリンク (著), 大社 玲子 (イラスト), 末松 氷海子 (翻訳)

貧しいきこりの子どもチルチルとミチルは、「幸福」の象徴である「青い鳥」をさがして、思い出の国や夜の御殿、未来の国などを旅します.ノーベル賞作家による、有名な戯曲.新訳.

 

「プロジェクト・グーテンベルク」
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プロジェクト・グーテンベルクについて
Wikiの説明ページ

プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館

 

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オーノワ夫人「青い鳥」3 バレエ「ブルーバード」の衣装の羽

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

「青い鳥」の内容自体は、昨日ざっくり紹介したとおりなのですが、このあとは私の独断と偏見による面白かったささいな所を紹介していきたいと思います。

 

これで興味を持った方は、ぜひ図書館で探してみてください。
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オーノワ夫人「青い鳥」1 バレエ「ブルー・バード」の元ネタ

オーノワ夫人「青い鳥」2 フロリーヌ姫=フロリナ王女

 

 

 

王妃は、家来に命じてフロリーヌの悪口を言わせますが、
シャルマン「どうせねたみでしょ」
聞く耳を持ちません。

 

そこで、気の利いた家来が忖度してフロリーヌをちょっと褒めてみると、シャルマンは顔色が変わって嬉しそうになります。

 

ほんとうに、愛する気持というものは、いくらかくしてるかくしきれるものではありません。したいあう人のくちびるにも、まなざしにも、声色にもみんな愛の心があらわれます。だまっていても、話していても、喜ぶときも、悲しむときも、したいあう人の心というものは、かならず顔に出てしまうのです。

 

いかにもフランスらしい文章だなあ、と思います。

 

王妃がトリュイトンヌをすすめればすすめるほど、意地になってあからさまな無視をするシャルマン王。
シャルマン王が意地になればなるほど、後には引けない王妃は芸能事務所顔負けの超ゴリ押し作戦を展開します。

 

ここで面白かったことが二つ。
王妃が懐柔策で用意した、豪勢な贈り物と、シャルマン王の乗り物です。

 

豪勢な贈り物「愛の勲章」

 

金の心臓にまっかな七宝を焼きつけ、いくつかの矢でそのまわりをとりまき、そのうちの一本が、このハートをつらぬいていて、そのハートには、「ただ一矢、わが心をきずつけん」という文字がきざまれていました。王妃は、まえもって、シャルマン王のために、だちょうのたまごほどもある大粒のルビーでハートをつくらせておきましたし、矢の一本一本は長さが指ほどもあるダイヤ一個でつくらせておきました。このハートを首にかけるくさりは、真珠をつらねてつくってあり、その真珠は、いちばん小さいのでも、五百グラムはあろうという重さのものでした。

 

そもそもの「金の心臓にまっかな七宝を焼きつけ」たものは、王妃が結婚するときに王さまにお願いして作らせたものなんだそうです。

シャルマン王への賄賂は、心臓をルビーで作っているので、七宝を焼き付けたものよりもさらに価値がありそうです。

 

勲章にそえて、宝石をちりばめた金の表紙の、子牛皮を紙のかわりにしたすばらしいにしき絵のはいった本が一さつとどけられました。その本には、「愛の勲章」をつける者の守らなければならないことが、美しい文章で書いてありました。

 

細かいです。

 

シャルマン王は、この勲章を見て、しばらくお礼のことばも出ないほどおどろいてしまいました。 

  

まあ、そうでしょうね。

 

今、気がついたのですけど、このシャルマン、王子さまではなくて王さまでした。

てっきりフロリーヌからだと思い込んだシャルマン王、トリュイトンヌからだと聞いた途端に態度を180度転換、おそろしく冷たく突っ返します。

 

フロリーヌは王妃によって幽閉されてしまいますが、ここでうらみごとを言うときに「なまじ、ほんのすこし、きれいに生まれついたために、かえって、しあわせになるどころか、ひどいめにあわされるばかりなのだ」なんて言ってます。

 

本人も容姿には多少の(?)自信があるということか…。

 

シャルマン王は、幽閉されたフロリーヌと小窓の所で逢引する算段を立てますが、仲介者の召使は裏切って王妃に密告します。

 

王妃は、すぐさま、自分の娘を小窓のところへださせようと考えて、トリュイトンヌにそのむねを言いきかせました。トリュイトンヌは、生まれついての大ばかでしたが、このときばかりはぬけめがなかったのです。

 

いちいち、トリュイトンヌサゲ↓には余念がありません。
いかにも、口頭で話してきかせているような内容です。

 

シャルマンはトリュイトンヌをフロリーヌだと思いこんで勘違いの相談をするわけですが、いくら闇夜+ヴェールの二重用心をしていたとしても、何で間違えるかな?と思わなくもありません。

 

しかしそれよりも面白いのが、シャルマン王は、魔法の空とぶ乗り物を持っているのですが、これがつばさのはえたかえるが引いているという所です。

 

これは、「えっ!?」と思って、何度も読み返しました。

 

あれこれ昔話を読んできましたけど、つばさのはえたかえるというのはやはり非常にめずらしくて、すごく記憶に残っています。

 

古くは猿飛佐助、ちょっと前ならNARUTO、忍術で現れる大ガマというのはイメージとしてありますが。しかもこれ、「大がえる」なのです。

 

プリンス・チャーミングはかえるに乗って現れた。

 

 

すっかり勘違いのあまり、トリュイトンヌをフロリーヌと思い込んだ王は、自分の指輪まで与え、合流して逃避行をするのですが、トリュイトンヌは自分の名づけ親の魔女、スーシオの館に誘導します。

 

シャルマンの大がえるも、「友達の魔法使い」にもらっているので、魔女・魔法使いがそれぞれ後ろだてとして存在するようです。

 

大がえるどもは、世界じゅうの地図を心得ていましたから、またたくまに、シャルマン 王とトリュイトンヌを、スー シオの屋敷に案内しました。

 

どんだけかえるの所が好きなんだと思われるでしょうけど、私はドラえもんのどこでもドアより、この大がえるの乗り物が欲しかったです。

 

 

王が青い鳥に変えられてしまうことになるスーシオの館ですが、広間の壁は「すこしもくもりのないすきとおったダイヤ」でできています。
ガラスじゃありません。

ダイヤです。

 

スーシオによって足を動かなくされてしまった王は、「なだめたり、おどしたり、いろいろ有利な条件をもちだしたり」して説得されますが、聞く耳を持ちません。

 

「たたきころすなり、皮をはぐなり、どうとでもするがよい。わたしは、フロリーヌ姫とでなければ、だれとも結婚するものか」

 

これから、王はにくにくしげに二人をにらみつけたまま、いっさいしゃべらなくなってしまいました。
二十日の間、昼も夜も眠らずに、「食べもせず、ねむりもせず、すわりもしないで」頼み込みます。
いや死ぬだろ…。
これだけ言ってだめならあきらめそうなものです。

 

腹をたてたスーシオ、約束をして守らないのだから七年間罰を受けるのだと宣告します。
この罰が青い鳥だったわけですね。
しかしこの王さま、ただおとなしく鳥にされるだけじゃないのです。

 

それまで何を言われてもかたく口をつぐんでいたシャルマン王が、とつぜん大声で答えました。
「こんな、いやな女といっしょにならずにすむのなら、どんなめにあわされようと、そのほうが、よっぽどありがたい。」

 

この嫌いっぷりがまた、ものすごいです。

フロリーヌと結婚できても出来なくても、トリュイトンヌとだけはいやだ、という強い意志を感じます。

 

トリュイトンヌも言い返したりするのですが、冷笑とか皮肉の応酬です。
これだけ拒否されてもまだ結婚したいと考える人の気持ちがわからないです。

 

青い鳥に変えられた描写がとても綺麗です。 

 

からだは小さくなって、空色まじりの美しい長い羽で包まれ、目は星のようにきらきらかがやくまるい目となり、鼻はいつのまにかぞうげのように白いくちばしに変わり、頭の上には、王冠のような白い冠毛がはえ、美しい声でさえずり始めましたが、人間のように口をきくこともできるのでした。

 

頭の上には、王冠のような白い冠毛がはえのところが、バレエで有名なあの、「ブルーバード」の衣装の頭についている羽のことだと思います。

 

飛び回ってからも、愛や悲しみをあらわす花言葉を持つ木ばかりを選んで止まるとか、芸が細かいです。

 

てんにんか(花ことばは「愛」)
糸杉(花ことばは「死」または「悲しみ」)
とちゃんと注釈がついています。

 

止まって歌う歌も、ちゃんと57になっていて、語呂がよいです。

 

にくい王妃ににくらしい
トリュイトンヌの悪だくみ。
どこに姫君かくしたか。

 

という感じです。(割と長い歌ですが)一部抜粋です

 

 

 

 

つづきます。

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

  

「 青い鳥」はないのですが、オーノワ夫人の「美女と野獣」です。

 

美女と野獣 (ワンス・アポンナ・タイム・シリーズ)
ドーノワ夫人 (著), エティエンヌ・ドレセール (イラスト), 石川 康弘 (翻訳)

そまつな服を着て、このうえなくみじめなくらしをつづけながら、娘たちはいつも、むかしのぜいたくで楽しかった生活をなつかしんでいました。ただ末娘だけは、明るく、強く、生きようとしていました。彼女は、父親がはじめて不幸に見舞われたとき、だれよりもなぎけ悲しみました。けれども、もちまえの快活さを取りもどすと、つらい生活にたえて、仕事に取りかかって、父親や兄さんたちをできるだけなぐさめようとしたり、姉さんたちの気持ちが、歌やダンスでまぎれるようにつとめるのでした。ボローニャ・ブックフェア特別賞受賞のシリーズ。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

白いねこ
オーノワ夫人 (著), こみね ゆら (著)

「1年後のこの時刻にこの世でいちばんかわいい犬を探して来た者にこの国を与える」 王の言葉に3人の王子は旅に出ます。17世紀フランスの、話ができる白い猫の繰り広げる、不思議で華麗な世界をのぞいてみて下さい。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

こちらのオーノワ夫人の「青い鳥」とはまったく関係のないメーテルリンクの「青い鳥」ですが、せっかくなのでリンクを置いておくことにしました。

 

青い鳥
モーリス メーテルリンク (著), 大社 玲子 (イラスト), 末松 氷海子 (翻訳)

貧しいきこりの子どもチルチルとミチルは、「幸福」の象徴である「青い鳥」をさがして、思い出の国や夜の御殿、未来の国などを旅します.ノーベル賞作家による、有名な戯曲.新訳.

 

「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492

 

プロジェクト・グーテンベルクについて
Wikiの説明ページ

プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館

 

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オーノワ夫人「青い鳥」2 フロリーヌ姫=フロリナ王女

 

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

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オーノワ夫人「青い鳥」1 バレエ「ブルー・バード」の元ネタ

 

 

フロリーヌとトリュイトンヌの名前があまりにも強烈で、バレエのフロリナ王女にまったく結びついていませんでした。


前回話した、悪女の深慮遠謀にコロっとやられてしまった王さまはもう、ほぼお話に出てきません。

出てこないばかりか、出てきてもまったく役に立ちません。

 

ここで、お話の主人公はフロリーヌ姫(フロリナ王女)にバトンタッチです。

 

 

花の女神フローラに似ているとのことでフロリーヌ。15歳です。
この姫の美しさについて、オーノワ夫人はあらゆる賛辞で言葉を尽くしています。

 

ついぞけばけばしい身なりをしていたことがありません。かろやかなタフタの衣装を、いくつかの宝石のボタンでとめたものが好きでしたが、そのかわり、冠だけは、花をたくさんたばねた、みごとな花冠で、ふさふさとした髪に、この花冠をつけると、いっそうひきたつのでした。

 

さて、王さまを手玉に取った悪女の継母は、名づけ親の魔女、スーシオに預けている自分の娘を呼んできます。

 

ここから、フロリーヌがいかに美しいかと同じぐらい、この継母の娘がいかに醜いかの記述が延々と続きます。

 

この対比が、昔話としては非常にすぐれていて、やはり子どもとしてはめちゃくちゃ夢中になります。

 

ちょうど、岩魚(トルイト)のように、顔に赤あざがあるところから、トリュイトンヌと呼ばれていました。黒い髪は、さわるのも気味がわるいほどあぶらじみていて、ふけだらけで、はだも黄いろで、あぶらぎっていました。

 

うーん強烈。

 

この「容姿をあからさまに比較するような描写」がいけないから、出版業界から消されてしまったのでしょうか。

 

しかしこのお話において、トリュイトンヌの存在は非常に大きいのです。

 

トリュイトンヌがこれほどしっかりした悪役をやってくれているから、よりいっそうお話が面白いのです。

 

正直、フロリーヌがいかに綺麗かを読んでいるよりも、トリュイトンヌにおぞけをふるって近付きたくない王子さまの描写の方が面白かったです。
(大人になってみれば、たしかにこれが微妙だというのは理解できます)

 

しかし、トリュイトンヌは、名づけの魔女スーシオと継母からは、目の中に入れても痛くないほど可愛がられています。
そこが人間らしいです。

 

 

王さま、二人の王女をそろそろ結婚させようとするのですが、王妃は「わたしの娘の方が年上だし、ずっと愛きょうもあるから先」と言います。

 

えっ…。

 

まだ、冒頭のエピソードの強烈さが残っていますから、王さまいったいどういう反応なのかと思えば、こうです。

 

王さまは口あらそいをするのがきらいでしたから、それがよかろう、万事いいようにするがいい、と答えました。

 

あんなに前の奥さんのことで強烈に悲しんでいたのに。
娘はこんなに可愛いのに。

 

王さま「万事、よきにはからえ~(思考放棄)」

 

この王さまの行動パターンは、今にいたるまで世界の七不思議の謎のひとつとしてわたしの中に残っています。

大人になってみると、こういう人、いる、というのはわかるのですが、納得はできません。

 

 

ここで、相手としてシャルマン王子が登場です。

 

「うるわしの=シャルマン」というわけで、まあ要はプリンス・チャーミングです。
オーノワ夫人の「青い鳥」の英語ページの要約では、まんま「ぷりんす・ちゃーみんぐ」でした。

 

この呼び方もいったい何が元ネタで、どこで定着したのかと思っていましたが、シャルマン王子がもとだったのだろうか…?
(単なる想像です)

 

当然、継母はフロリーヌに目をつけないようにあらゆる手を打とうとします。

召使を味方につけてフロリーヌの衣装・髪飾り・宝石に到るまで盗み出させるという、あまり頭のよくないいじめのような戦法です。

 

広間のかたすみに、ふだん着のまま小さくなっているフロリーヌ王女。

 

王子が到着しますが、引き合わされたトリュイトンヌ。
服や飾りが立派なだけに、ふだんよりずっと不器量な顔立ちになるという逆効果。

 

王子のあからさまな嫌がり方と、まったく気付かないこの母娘の厚顔無恥さが、このお話のおかしみです。

 

微妙ながらも、腹が立ちつつも、ユーモラスでおかしいのです。

 

王子は顔をそむけてしまいますが、王妃は「トリュイトンヌが気に入りすぎたので口もきけないのだろう」と解釈、顔をそむけた方にトリュイトンヌをおしやるという。

 

何か既に、美醜を越えた思い込みの激しさに、これはもう王子が災難としか言えません。

 

しかし王子は負けていません。

 

押しの強さが強いだけ、負けずに押し返して主張をします。

 

そこは、父の王さまが思考放棄しているだけ、すごくがんばるのです。

 

ふだん着の姿を発見されて真っ赤になったフロリーヌがあまりに美しいので、王子はもう、フロリーヌしか目に入りません。

 

「姫君、たとえようもない美しさが、なによりの飾りではありませんか。このうえ、なんのつまらぬ飾りがいりましょう」

 

まあ、さすがはフランスのお話だけあって、非常にお上手です。
王妃がいらいらして邪魔しますが、

 

べつに王妃にえんりょしなければならない立場でもありませんから、自分の思うとおり、フロリーヌ姫をほめあげて、三時間も姫と話しつづけました。

 

つよいです (゚A゚;)。

 

しかしこの押しの強さに対して押し返す力が強いだけ、ものすごく長く激しいバトルになるのです。

 

王さまはそれがわかっているので、早々に戦線離脱したものと思われます。

 

 

ここでざっと、だいたいの構成をお話すると

 

・王の再婚事情。
・フロリーヌとシャルマンが出会う。
・シャルマン、魔女スーシオに青い鳥に変えられる。
・塔にとじこめられたフロリーヌとシャルマンの逢瀬。
・あの手この手を使って、あらゆる邪魔をする王妃たち。
・魔法使いのとりなしで、青い鳥から王子に戻る。フロリーヌは王さまの死により女王になる。
・フロリーヌ、変装して王子のもとへ。割と長い旅路になる。
・鉢かつぎ姫的展開から、王子が気付いて大団円になるまで。

 

という順になるでしょうか。
シンデレラよりは長いです。
異種変身+鉢かつぎ、といったところでしょうか。

 

面白いのは、途中で王さまが死んだ時に、フロリーヌが女王になることです。

 

民衆は、王妃とトリュイトンヌの専横にずっと飽き飽きしていたので、蜂起して王妃を追い落とし、フロリーヌを女王に付けるのです。

 

これはちょっと、他にはない展開です。
あまりこういうパターンは読んだことがありません。
さすがはおふらんす

 

革命が起きるわけです。
(これは、市民革命よりもはるかに昔のお話ですが)

 

ここからは、あらすじをおさらいしながら、面白かったところ、気になったところを拾って行こうかなと思います。

 

 

つづきます。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

  

「 青い鳥」はないのですが、オーノワ夫人の「美女と野獣」です。

 

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ドーノワ夫人 (著), エティエンヌ・ドレセール (イラスト), 石川 康弘 (翻訳)

そまつな服を着て、このうえなくみじめなくらしをつづけながら、娘たちはいつも、むかしのぜいたくで楽しかった生活をなつかしんでいました。ただ末娘だけは、明るく、強く、生きようとしていました。彼女は、父親がはじめて不幸に見舞われたとき、だれよりもなぎけ悲しみました。けれども、もちまえの快活さを取りもどすと、つらい生活にたえて、仕事に取りかかって、父親や兄さんたちをできるだけなぐさめようとしたり、姉さんたちの気持ちが、歌やダンスでまぎれるようにつとめるのでした。ボローニャ・ブックフェア特別賞受賞のシリーズ。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

白いねこ
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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

こちらのオーノワ夫人の「青い鳥」とはまったく関係のないメーテルリンクの「青い鳥」ですが、せっかくなのでリンクを置いておくことにしました。

 

青い鳥
モーリス メーテルリンク (著), 大社 玲子 (イラスト), 末松 氷海子 (翻訳)

貧しいきこりの子どもチルチルとミチルは、「幸福」の象徴である「青い鳥」をさがして、思い出の国や夜の御殿、未来の国などを旅します.ノーベル賞作家による、有名な戯曲.新訳.

 

「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492

 

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プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館

 

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