~珠玉の児童書~

~珠玉の児童書の世界~

学校で塾で、読解力を身に付けるには本を読め、と言われる。ではいったい、どの本を読めばいいのか?日本が、世界が誇る珠玉の児童書の数々をご紹介。

大人が読む児童書「ガンバとカワウソの冒険」 1

大人が読む児童書。
積ん読・解消計画★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

ガンバとカワウソの冒険
斎藤 惇夫 (著), 薮内 正幸 (イラスト)

ガンバと15ひきの仲間は,ゆくえ不明のネズミをたずねて四の島に渡ります。そこには,想像をこえる体験が….

 

 

どうしても我慢できなくて、「ガンバとカワウソの冒険」を開いてしまいました。
ガンバシリーズ3作目、まだ未読です。

 

ガンバシリーズ1作目の読了感想です。

大人が読む児童書「グリックの冒険」1 

ガンバシリーズ2作目の読了感想です。

大人が読む児童書「冒険者たち ガンバと15ひきの仲間」 1

「ガンバの冒険」アニメ作品を見てみました

 

偏っちゃうので、楽しみはもうちょっと後に…後に…と思っていたけれど、目の前にドーンとあると 開かずにはいられません。

 

開いてみると、冒頭にケネス・グレアムの「たのしい川べ」の引用が乗っています。

 

だからね、若いきょうだい、きみもきたまえ。時は待っていないし、南の国は、きみをよんでいるのだ。二度と帰らない時がいってしまわないうちに、冒険してみるんだな!ただ戸を一つしめて、陽気に一歩ふみだせば、それでいいんだ! 古い生活にかわって、新しい生活がはじまるのさ。

  (グレーアム作『たのしい川べ』石井桃子訳より)

 

これはあかん。素晴らしい。
冒険の夢へ誘う、美しい言葉です。

 

ちょっと戻って表紙の裏側を開いて見てみると 地図が載っています。
この地図もいいなあ!
何もかもがいいです。

 

んっ?
「シジンとナギサの結婚式」

 

いきなり地図でネタバレをぶちかまされたような気が…。

 

しかし、たとえ 筋を知っていたとしても、実際に読んでみるとそのたびにまるで初めて飲むかのような ドキドキ感を何度でも味わえるのこそ、名作のゆえんです。
(まだ読んでないですけど)

 

さて話は 「冒険者たち ガンバと15ひきの仲間」が終わったところ、ガンバが心地よい我が家に戻ったところで始まります。

 

夢見ヶ島でのノロイとの戦い が終わったら一周年記念をイタリアのベトララで 執り行うことになっており、何とも景気の良い話です。
コロナもないし、バブルかな…(1982年初版発行です)

 

ガンバがかじっている、クナックソーセージ とはなんぞ?

これかな…?
ホッツェンプロッツのグルメを確認した後なので、こんな所でソーセージとか出されたら 過剰に反応してしまいます。

 

ガンバ、ちゃんと潮路のことを考えてくれてるんだ!(涙…)
ノロイのことを考えるのは当たり前ですが、ボーボとオイボレ、その名前が出てくることが切ないです。

 

15ひきのお仲間のマンプク、 イカサマ 、ガクシャ、 シジンの4匹 が入ってきました。
そして また新たな冒険に誘うのですが、今回は「シジンの恋人を助ける」という話になってます。

 

ここで思いましたが、これまでガンバ三部作を読んできて、作者は割とロマンチックだなと思いました。
恋が多いです。

 

嫌なわけないです。
超超大好物です。いいです。いいよお~!
最初から掴みがいいです。(興奮するな)

 

シジンの恋人はなぎささん 名前のセンスもいいです。のんのん、潮路、なぎさと来ました。
イタリア行きにはまだ余裕があるで、まだ4週間あるそうです。
4週間で戻ってこれるんだろうか…。
この話、ハードカバーで545ページもあります。
今19ページ目です。

 

f:id:WhichBook:20201014030210j:plain

この話を聞くガンバの偉そうな態度はかなり笑えます。
すっかり親分が板についた余裕です。リーダー、ガンバ!

 

 

シジンの昔話に移行します。

 

そのむすめのネズミは丸い大きな黒い目を、すこししからかうように光らせながら…

 本当に女性陣が魅力的です。うっとりです。

 

読みながら ネズミじゃなくて もう人で想像してます。
1970~80年代活躍の女優を無駄に検索してしまいました…。

 

 

予想ですが、どうやらなんとなくガンバとカワウソは仲良しっぽい感じがします。
イタチのノロイとは死闘を繰り広げたわけですが、ここでご覧ください

イタチの写真

「イタチ」の検索結果 - Yahoo!検索(画像)

「ノロイ ガンバ」の検索結果 - Yahoo!検索(画像)

 

カワウソの写真

「カワウソ」の検索結果 - Yahoo!検索(画像)

 

そもそもがイタチの検索結果と、ノロイの検索結果の違いがすごすぎます。

カワウソもイタチ科なんだけどなー。ネズミを食べたりはしないのだろうか…。 

 

まだちょっとアニメのノロイのビジュアルが、原作と頭の中で結びつき過ぎていて(ものすごいインパクトでした)、にわかにカワウソとの友情を信じがたい自分がいるのも確かです。

 

頭を切り替えるしかない!のは分かっているのですが…。
あの顔が…あのノロイの顔が…。

 

f:id:WhichBook:20200606011410j:plain


 

さ…先を続けます。

 

ナギサ「雪のたくさん降る街を見なくてはいけない用があって」
どういうことだろうか。
まあとにかく、雪国を見てから帰るところのようです。
シジンはは雪国出身なので、そこで出会います。

 

このナギサという娘のネズミ、かなり旅慣れています。
シジンははじめて東北から東京に出てきた純情な田舎の青年というイメ―ジです。

 

ドキドキしながら入った電車の中で、都会のお姉さんに出会った。
のんのんは肉体的ハンデもありますが内気だけど芯の強い子、潮路はキリッとした優等生の同級生、今回は割と奔放な都会っ子です。
生意気で、世慣れていて、喧嘩っぱやい…下町っ子ですかね。

 

シジンはナギサに教えてもらって、港の忠助という年寄りネズミをたずねるのですが、ここでシジンの本名も忠助であることが判明し、わたしは若干混乱しました。
年よりの忠助おやじと、シジンである若い忠助です。

 

この年より忠助は、港で税関か手荷物検査か、チケット確認するスタッフみたいなことをしています。
一人一人チェックをして、船に乗るか乗らないかはこのおやじが決めるのです。

 

ここは考えたらだめだ!
そういうものなんだ!

 

(続きます)  

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

冒険者たち ガンバと15ひきの仲間
斎藤 惇夫 (著), 薮内 正幸 (イラスト)

イタチと戦う島ネズミを助けに,ガンバと15ひきの仲間は、船で夢見が島に向いました。しかし、白毛ノロイがひきいる、どうもうなイタチの群れに追いつめられ、海岸の岩山で最後の決戦の時をむかえます。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ガンバの冒険シリーズ 全3冊
斎藤 惇夫 (著), 薮内 正幸 (イラスト)

 

 

 

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今日の一冊 氷室冴子の「落窪物語 (少年少女古典文学館)」

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

落窪物語 (21世紀版少年少女古典文学館 第3巻)
氷室 冴子 (著)

落窪物語』は、早くに母を失った姫君が、継母にいじめられ、苦労しながらもやがてすばらしい貴公子とめぐりあい、幸せを得る物語である。このストーリーの基本的なパターンはシンデレラに代表されるが、古来、世界各地で作られ、今に語り継がれている。平安時代に書かれたこの物語も、みやびな恋物語というより、生身の人間の喜怒哀楽を興味深く描いた大衆文学として読み継がれ、語り継がれてきたロングセラー小説の1つである。

 

さてそろそろ、古典も読まないとねー。
というわけで、図書館の「少年少女古典文学館」の棚に移動しました。

 

ここも、ひとけが少ないエリアです。
福音館古典童話シリーズや、灰色のランサム・サーガと一緒に
「分厚い本エリア」
という感じで、そっけなく鎮座しています。

 

妹子も相変わらず、てんで面白くなさそうな顔をしています。
ほんとにこの子は、自分からガツガツ読む本好きちゃんではないのです。

 

いつも「読まされてます~」というふくれっ面で読み始めます。
嫌がるのを無理に読ませることはないわ…。

 

なんて言うと思うかー!!!!

 

「これにしなさい!!」
強引に押し付けました。

 

この星の下に生まれたことを不運と思うがよい。 

 

 

家に帰って、「勉強するのがいいか、本を読むのがいいか」と迫ると、黙って本をもってきました。

 

常々、気が乗らない時には、選択肢にすると、とりあえずやってくれます。

 

ごはんですよ!!」
「…」
「妹子!寝ちゃったの?」
たいてい、寝室で読んでます。
「妹子!ごはん!」
「やめられないよ~!やだーー!」

 

半泣きで叫びながらそれでもまだ読んでます。器用だな。

 

「これ面白すぎるよー!!!」

 

だから言ったでしょ!
氷室冴子だぞ?面白くないわけがないだろ!!(ドヤァ)

 

「何て素敵なジャパネスク」をはじめとした、ラノベのはしり、当時はコバルト文庫と呼ばれていたジュニア小説の看板作家さんです。
(もうお亡くなりになってしまいましたが…)
今の母親世代で、ジュニア小説を読んでいた人なら、懐かしい~!!と絶対なるはずです。

 

氷室冴子さんの本は、こちらでも言及しました。 

whichbook.hatenablog.com

 

 

 

この講談社の「少年少女古典文学館」、宝の山です。

 

氷室冴子の「落窪物語」

北杜夫の「竹取物語」・俵万智の「伊勢物語」

栗本薫の「里見八犬伝」

佐藤さとるの「雨月物語」

大岡信の「万葉集」 

 

こうして名前を見ただけで手に取りたくなる作家のラインナップだらけです。

 

◇ 

 

落窪物語は、要はシンデレラなので、とても受け入れられやすいお話です。
下手をすると、ラブストーリーを拒んで月に帰っちゃうかぐや姫よりも、すんなり心に入ります。

 

あとがきで氷室冴子さん、悪役をほめちぎっています。
私もよく悪役をほめちぎるので、すごく共感しましたし、さすがは氷室冴子さん!という気持ちになりました。

 

女性のもとに通う男子の、苦労したりみっともない姿をさらしたり、ユーモラスな大騒動になるあたりも、他にはない生き生きとしたリアルな描写で面白い!と書かれています。

 

さすがは、平安文学に造形の深い人の書いたあとがきだ…と思いながら、ラストの方からパラパラめくっていると、こんな文章が飛び込んできました。

 

シンデレラ=落窪の継母、悪役のきたのかたの悔し紛れの捨て台詞です。

 

夜もふけて、母屋をその北の方にゆずり、対の屋にうつろうとするおちくぼ姫に、北の方は、ふと声をかけた。
「あなたも夫をもつ身になって、いずれ子ってばわかるでしょうが、自分の腹を痛めた子はかわいいものですよ。中将さまはそんなことはないでしょうが、ふいに中将さまのお子を、母君が亡くなったからといって引き取らなければならなくなって、その子が自分の子よりも美しくて、賢しげなのを見たら、胸が焼ける思いもするかもしれませんよ。にくむなといったって、にくらしいのが人情よ。でもいまとなれば、わたしもわるかったんでしょうよ、たぶんね。」
酒がはいったせいか、すこしほおを赤らめていう、そのことばのどこにも、やはり、こりたというひびきはないのである。

 

うわぁ…。
ぐっさり、刺さったわ…。
すごい、この北の方のこの台詞。

 

おちくぼは、その言葉を否定できないとして受け止める所でこのお話は終わっています。
(後半はかなり端折ったみたいです)

 

こんな親心が、やっぱり児童会やらPTAやらあれこれの活動やらで、親たちが果てしなくヒートアップする一つの遠因でもあると思います。
我が子!一・筋!と心を入れすぎるのもどこかでセーブしなければならないもの。

 

どや顔でどうだ面白かろうと差し出した本に、自分がカウンターパンチをくらった気分でした。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

21世紀版少年少女古典文学館セット

名作古典文学を21世紀の少年少女たちに!読みやすいふりがな、カラーさし絵、本文中の豊富な用語解説で、日本の古典文学にはじめて出会う少年少女の理解を助ける古典文学全集の決定版です。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

竹取物語・伊勢物語
北 杜夫 (著), 俵 万智 (著)

もの悲しくもユーモアあふれる日本最古のファンタジー。さようなら!わたし月に帰っちゃうから。辞書なしで、古典の名作がラクラク読める!

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

里見八犬伝
栗本 薫 (著)

里見八犬伝』は、江戸時代の読本作家・曲亭馬琴が、28年の年月と失明の不運をのりこえて完成させた全106冊にも及ぶ大伝奇小説だ。悪と戦う正義の犬士たち、義のために犠牲となる女たちが織りなす波瀾万丈の物語は、エンターテイメント小説の原点として尽きない魅力を放つ。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

雨月物語
佐藤 さとる (著)

士農工商身分制度こそあったものの、生産力は増大し、人々も合理的な考え方を身につけ始めた時代だった。しかし、合理主義をおし進めれば進めるほど、人間にとって未知の世界に対しての探究心も強まり、現世の外にある闇の世界にひかれていくものでもある。上田秋成の『雨月物語』は、人の心の中の闇を、厳しく美しく描いた小説集である。怨霊と生者の対話を通して、人間の愛憎や執着、欲望や悔恨をあますところなく表現し、近世怪奇文学の最高峰といわれている。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

万葉集 ほか
大岡 信 (著)

自然を愛でる歌、旅の歌、恋の歌、死者を悼む歌……。日本最古の歌集。心のふるさとっていう感じ!辞書なしで、古典の名作がラクラク読める!

 

 

 

 

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タランと角の王 リンゴ畑のマーティン・ピピン 大食いフィニギンのホネのスープ
魔女モティ やさしいライオン とぶ船
銀のいす ライオンと魔女と洋服だんす 宝島

 

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今日の一冊「オズの魔法使い」 紹介するのは二回目です。

 

今日、ご紹介するのは児童書です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

オズのまほうつかい
ライマン・フランク ボーム (著), 立原 えりか (翻訳)

突然のたつまきで、家ごと飛ばされてしまったドロシーと犬のトト。着いたのは、偉大な魔法使いの住む、「オズ」の国でした。家に帰るため、ドロシーと仲間たちの、不思議な旅が始まります。オールカラーイラストでさくさく読める世界名作シリーズ、第3弾。

 

 

妹子「よし、勇気と知恵と心臓と家を読もう!」

 

????

 

オズの魔法使いのことのようでした。
知恵と勇気と心臓と家…。
家…?🤔

 

一度やっぱり、こちらでご紹介しました。

whichbook.hatenablog.com

 

新しい本を買うとき、入手しにくいこともあり、また安いので、
(古い本だし、仕方ないか…)
と思いながら文庫版を買っていたのですが、やはりハードカバーは圧倒的に読みやすいです!

これも、福音館古典童話シリーズのハードカバーです。
完訳です。

 

オズの魔法使い
ライマン・フランク・ボーム (著), ウィリアム・W.デンスロウ (イラスト), 渡辺 茂男 (翻訳)

竜巻きによってオズ大王の住む魔法の国に運ばれたドロシーは、かかしとブリキの樵と臆病なライオンと共に大冒険をします。完全復刻した124枚のデンスロウの挿絵をそえた決定版です。

 

分厚くても、オズなので、以前の「ニワトリ号一番乗り」のようなとっつきにくさも一切なく、分厚くてもスラスラ読めてしまいます。


この分厚いハードカバーで、絵がたくさん、かつ読みやすいというのは、オズがやっぱり一番なのではないでしょうか?
ちいさいモモちゃんの二倍ぐらいの分厚さです。

 

 

完訳は、カンザスの灰色の大草原から始まります。

 

ドロシーが、家の戸口に立って、あたりを見まわすと、どちらを向いても、見えるのは、広い灰色の草原ばかりでした。どの方向にめ、まっ平らな広いひろい広がりが地平線までつづいていて、そこには、木一本、家一軒、見あたりませんでした。太陽が、 たがやされた土地を、灰色の塊になるまで焼けこがし、何本かの地割れの筋をつけていました。

 

オズの魔法使いは、全14編を通してどれも、とてもポジティブで明るく楽しく、怖い所はあっても基本、安定しています。
しかし、出だしのこの一文は、どこかアメリカの開拓生活の厳しい現実を垣間見るような気がします。

 

ここから、一転して竜巻にさらわれ、珍妙な人々の住む魔法の国に飛んでいくわけですが、いっきに灰色から豊かな色彩へ、この対比がすごいのでとても引き込まれます。

 

いきなりドロシーの家が魔女をぶっつぶすというのも、とても奇想天外です。
魔女の顔も見ていないのに…。

 

おさらいをします。
「何だっけ。勇気がライオンでしょ。知恵がかかし。心臓は誰」
「ブリキのきこり」
あまりにも当たり前すぎて逆に忘れかけてます。

 

妹子「かかし、自分のことばかだっていってるけど、ぜんぜんばかじゃなくない?」
わたし「そうなんだよ。あと絶対に作者は かかしがお気に入りだと思う。活躍の仕方が群を抜いてる」
妹子「だよね」

 

 

勇気が行動力で、ちえは考える力、 心臓は命で、ドロシーの家は多分「肉体」…?

 

皆で足りない部分を補いあい、力を合わせる、チームワークを表現しているようでありながら、また違った側面から見ると、これは「一人の人間を構成するそれぞれの部位」と見ることもできそうです。

それら全部がバランスが取れていないと人は人として行動する時にぎくしゃくしてしまう。

 

…という風にも見える、と思いながらも、しかしそんなことはどうでもいいです。
楽しい、面白いので、それでいいと思います。

 

読み方にはさまざまな楽しみ方があって、でも子どもたちは、物語を物語としていっぱいに楽しんでもらえればいいだけです。

 

いつか大人になって、もう一度紐解いてみた時に、何となく隠された意味があったり、おとなへのメッセージのようなおとなの会話が隠されていたり…。

(それは親なのか、それとも大人になった子供たちへなのか…?)

そういう二重三重に楽しい、よく考えられた物語は、何度読んでも楽しいというのは、読書の楽しさの醍醐味だなあと思います。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 こちらは岩波文庫版です。

 

 

オズの魔法使い
ライマン・フランク・ボーム (著), W・デンズロウ (イラスト), 幾島 幸子 (翻訳)

大竜巻に家ごと吹き上げられた少女ドロシーは,愛犬トトとともにふしぎな国へおりたつ.かかしやブリキのきこり,おくびょうなライオンが加わって,冒険の旅が始まる.アメリカファンタジーの古典.

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

トムは真夜中の庭で コールド・ショルダー通りのなぞ ふるやのもり
ねこのごんごん 世界むかし話集10アメリカ・オセアニア編 はらぺこおなべ
ムギと王さま 青い月の石 あしながおじさん

 

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今日の一冊「雪のおしろへいったウッレ」

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

雪のおしろへいったウッレ
エルサ ベスコフ (著), 石井 登志子 (翻訳)

6歳の誕生日にスキーをもらった男の子ウッレ。雪がふると、真っ白になった森に出かけました。キラキラとかがやく森の奥で出会った霜じいさんに、ウッレは、冬王さまのお城へつれていってもらいました。スキーをたのしんだ冬がおわり、やがて、雪どけばあさんがやってきて…。冬のおとずれから春のはじまりまで、季節のうつりかわりを、北欧の森を舞台にファンタジックに描きます。初版1907年の名作絵本。徳間書店の子どもの本20周年記念作品。

 

スウェーデンの絵本です。

 

6歳のお誕生日のお父さんから新しいスキーをもらったウッレ少年、雪を心から待ち望んでいます。
今までは2枚の板切れで作られた短いスキーでした。

 

北欧らしいお話です。
ムーミンも「冬」が特に印象的でした。

 

せっかくのスキーを早く使ってみたい少年ですが、どうやら暖冬のようです。
クリスマスの2週間前とのことなので、けっこう降らない年もあるんだな~と思いました。

 

(北欧、もっと雪の期間が長いのかと思っていました…)
(調べてみたら、やはり南北に長いので、所によっては北海道よりもあたたかかったりもするんだそうです!)

 

絵が本当に素敵です。
絵にからめて、最初の文字が大きいのは、海外の古い絵本をチラ見していた時(読むのはなかなかむり)に、たくさん見たスタイルです。

 

たとえばGutenbergのこちらの絵本

The Baby's Own Aesop

http://www.gutenberg.org/files/25433/25433-h/images/preface.jpg

最初の文字が、飾り文字で大きく表示されてますけど、こんな感じの若干、クラシックなつくりのとてもきれいな絵です。

 

ウッレ少年、名前の響きの不思議さも文化のひとつだなぁ。

 

オートミールとミルクの朝ごはん、紙で包んだサンドイッチを両方のポケットに入れてくれてるそうです。飯テロです。

 

外では、霜じいさんと雪どけばあさんがけんかしています。
(というか、一方的に雪どけばあさんが追い払われています)

 

ニ頭のシロクマが番をする、大きな雪のお城に「冬王様」。
両脇にセイウチ、とても荘厳な王様です。 

 

ムーミンの氷姫さまを思い出すすてきさです 。

 

こちらの冬王さまも、霜じいさんもとてもよくしてくれて、ウッレ少年はクリスマス・プレゼントを作る城の中の人々と交流したり、遊んだりします。

 

春になれば、雪どけばあさんに春の王女さま。

 

雪遊びででいっぱいの、とても楽しい絵本です。

 

 

「プロジェクト・グーテンベルク」
http://www.gutenberg.org/ebooks/author/492

 

プロジェクト・グーテンベルクについて
Wikiの説明ページ

プロジェクト・グーテンベルク(Project Gutenberg、略称PG)は、著者の死後一定期間が経過し、(アメリ著作権法下で)著作権の切れた名作などの全文を電子化して、インターネット上で公開するという計画。1971年創始であり、最も歴史ある電子図書館

 

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やまんばのにしき くまのパディントン きかんしゃ1414
読書ノート(羽海野 チカ イラスト) エルマーのぼうけんセット クローディアの秘密
イヌと友だちのバイオリン ヤマネコとウミネコ 科学と科学者のはなし

 

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今日の一冊「ふしぎな銀の木 スリランカの昔話」

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

ふしぎな銀の木 スリランカの昔話

シビル・ウェッタシンハ (イラスト, その他), 松岡 享子 (翻訳), 市川 雅子 (翻訳)

『きつねのホイティ』『ねこのくにのおきゃくさま』でおなじみの作家シビル・ウェッタシンハさんは、幼いころスリランカ南部の村でたくさんの昔話を聞いて育ちました。そのなかでも大好きだったのが、この『ふしぎな銀の木』です。物語は、王の夢に現れた「銀の木が生え、銀の花が咲き、銀の実がなり、そして木のてっぺんで銀のオンドリが三度鳴く」という不思議な世界を、三人の王子が探しにいくお話です。旅の途中でふたりの兄王子たちは誘惑に負けてしまいますが、勇敢な末の王子だけは、まばゆいばかりに美しい白の乙女、金の乙女、そして銀の乙女にたどりつきます。しかし、やっと出会えた乙女に王子はある決断をしなくてはならなくなります。そのあと地面から生えてきたものこそ、あの「ふしぎな銀の木」なのでした。89歳になる作者が、なつかしい記憶を思いおこしながら描いたこの作品は、スリランカの豊かな色彩と、目に浮かぶように語られていくことばの魅力にあふれています。

 

こちらは、絵がとても異国情緒にあふれて素敵なスリランカの昔話です。

 

内容はロシアの昔話などによくあるモチーフで、
「三人の王子と賢い末の息子」
という、たとえば「(ロシアの)火の鳥」のお話とよく似ています。

 

ロシアの火の鳥、これは手塚治虫の「火の鳥」のルーツとなった民話です。アニメ映画にもなっていました。

せむしのこうま|マンガ|手塚治虫 TEZUKA OSAMU OFFICIAL

 

昔話には、世界中に似たような話がたくさんあるようで、伝播したのか、それとも、地域を問わず、世界全体に通じる何らかの共通概念のようなものがあるのか…。

 

共通点はありながらも、お話は各地によって違い、それぞれの文化に彩られていて、興味深いです。

 

スリランカのある王さまが、銀の木の夢を見ました。
銀の木に銀の花に銀の実、銀のオンドリの高らかなときの声

 

謎を解くために、三人の王子が旅に出る所も同じです。

 

この途中で兄二人がたいてい、何らかの誘惑に負けて足止めをくらってしまうのですが、このお話の場合、

 

「たべて……たべて……たべて!」
→頭に長くて太い日本の角

 

「のんで……のんで……のんで!」
→大きなみどり色のカエル

 

欲望を抑制きず、本能の赴くままに行動した結果、獣になるというパターンです。

 

一人ずつ行って、戻って来ないから次の王子、というパターンと、三人一緒に旅立つパターンとありますが、この場合は三人一緒に進んで途中で枝分かれする、という形でした。

 

 

末の王子は、瞑想している隠者の所に行きつきますが、隠者の挿絵など、仏教文化の影響を感じます。

 

隠者の導きに従って「神秘の洞窟」へ
戦うのは毒蛇、すずめばち… 

黒いじゅうたんのようなスズメバチの死がいをふみしめて、洞窟のなかへ入っていきました

黒いじゅうたんのようなスズメバチの死がい!
ヒッ…ヒイー!

 

出会うのは

白の乙女
金の乙女
銀のおとめ

 

バニアンの木の下で休むというのが、気になりました。
調べてみると、ベンガルボダイジュ(Wiki)、沖縄で言うところのガジュマルの木のようです。

 助けられた二人の兄がわるさをして、弟の足を引っ張るのも
計・画・通・り
期待を裏切らないお兄ちゃんズ。

 

アジアンテイストの絵がとても素敵です。
しかし、おとめをいつも全員切り殺すところがすごいです。
(そのたびに生き返ります)

 

何を示唆しているのだろう?
不思議なままに強い印象を残します。
いらぬ分析はなしに、そのままに受け取りたいと思います。

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

きつねのホイティ (世界傑作絵本シリーズ) (日本語) 大型本 - 1994/3/25 シビル ウェッタシンハ (著, イラスト), Sybil Wettasinghe (原著), 松岡 享子 (翻訳)

ごちそうが食べたい一心で、人間に変装してやってきたきつねと、それを知っていながら、だまされたふりをする村人たちとのやりとりをユーモラスに描いたスリランカの絵本。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ねこのくにのおきゃくさま
シビル ウェッタシンハ (著), 松岡 享子 (翻訳)

ねこの国におかしな仮面をかぶった2人組がやってきました。2人が踊りをおどると、そのすばらしいこと! でも、王様から仮面をとるように言われます。さて、2人の正体は……?

 

 

かさどろぼう
シビル ウェッタシンハ (著), 猪熊 葉子 (翻訳)

まだ、かさのない村から、生まれてはじめて町へでかけたキリ・ママおじさんは、「なんてきれいで、べんりなものだろう」と、よろこんでかさを買って帰りました。ところが、村に帰って、お店でコーヒーを飲んでいるうちに、かさは、だれかにぬすまれてしまいました。何度かさを買って帰っても、ぜんぶぬすまれてしまったおじさんは、どろぼうをつかまえてやろうと思い…?スリランカを代表する絵本作家が、小さな村を舞台にのびのびと描く、ユーモラスで楽しいお話です。(「BOOK」データベースより)

 

日本の昔話に触れるのは、自国文化の伝統を学ぶ第一歩だし、世界の昔話に触れるのは、文化の相互理解の第一歩だと思います。

なにより、見ているだけでもうっとりするエキゾチックな絵の数々です。

 

 

 

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さすらいのジェニー 100かいだてのいえ 地底旅行
十八番目はチボー先生 (岩波少年文庫) 新書 - 1958/6/10 フランソワ・モーリヤック (著), 杉捷夫 訳 (著) エルシー・ピドック、ゆめでなわとびをする 魔女ファミリー
天国を出ていく あおい目のこねこ 時の旅人

 

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今日の一冊「三銃士」 福音館古典童話シリーズの不適切な紹介

今日、ご紹介するのは児童書です。
若干、不適切な説明がありますので、ご容赦ください。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

三銃士(上) (福音館古典童話シリーズ)
A・デュマ (著), F・E・ツィエール (イラスト), 朝倉 剛 (翻訳)

銃士隊を志願してパリにのぼったダルタニャンは、パリきっての名剣士3人と決闘を約束するが……。若い主人公が17世紀初頭のフランスを舞台に、恋に剣に大活躍する長編物語。

 

じっくりと読みながらご紹介したいところですが、今日はさらっと紹介します。
というのも以前ちらっと書いたと思うのですが、福音館書店出版の子供用の三銃士の衝撃のエッチさというのを、この目できっちり確認してきましたので報告しようと思います。

福音館古典童話シリーズと言えば、これです!!

f:id:WhichBook:20201010034228j:plain

この並びの圧の強さ!!

一体子どもの誰が自分から手に取るのか?という厚さと、大人なラインナップです。

 

さて山積みにバラバラなっている本棚を掘り出して、三銃士をじっくりと確認したところ、記憶違いをしていましたが、主人公のダルタニャンが恋仲になる、ボナシュー夫人の召使いを口説いたと思っていたのですが違いました。

 

そうではなくて、なんと希代の悪女、ミレディの小間使いを口説いていました!!
(ダルタニャンはミレディとも、ズバリそういう感じの仲になってます)

 

「ねえ、きみ、きみはぼくを疑っているようだが、ぼくの愛のしるしを見せてやろう」
「どんな愛?」とケティーがたずねた。
「ケティー、いまでは、もうきみに夢中なんだ」
「その証拠は?」
「今夜、奥さまのところには行かないで、きみといっしょに過ごす。どうだい?」
「まあ!うれしい!」ケティーは、こう叫んで、手をたたいた。
ダルタニャンは、ひじ掛けいすにかけながら言った。
「こっちへきたまえ。きみほどきれいな小間使いさんに会ったことはないよ」
ダルタニャンがことばたくみに言ったので、娘は信じるよりほかなかった……ところが驚いたことに、愛くるしいケティーは、頑強に身をかまえている。
攻めたり、守ったりしているうちに、時間がたってしまった。

 

いったいこれは何のことなんだろうか?
攻めたり守ったり?頑強に身を構えて?

何を?

 

加えてこの挿絵です。

まあご覧ください。

 

f:id:WhichBook:20201010034550j:plain

 

この胸の谷間はどういうことなんだろうか。
ダルタニャンも、そのひねまがった口髭と、チューでもしたげな口が…何かもう…もう…、若者というよりは、はっきり言ってエロおやじみたいな感じでびっくりです。

 

今に至るまで覚えているのですから、このページは相当に衝撃だったわけです。

 

逆にこの「十歳までに読みたい世界名作三銃士」の爽やかなこと!!

 

 

三銃士 (10歳までに読みたい世界名作)
アレクサンドル デュマ (著), 横山 洋子 (監修), 山田 一喜 (イラスト), 岡田 好惠 (翻訳)

銃士になることを夢見て、パリにやって来た、ダルタニャン。しかし、フランス王宮では、国王ルイ13世をおとしいれる陰謀が企てられていた……。最強の仲間・三銃士と共に、正義のための熱い戦いが始まる! さくさく読める世界名作シリーズ第22弾。

 

「本を読まない子供が夢中になって読んだ」などという嬉しいレビューがついています。

 

ぜひぜひ、お子さんにこれを読ませてあげて、その後にさりげなく福音館の三銃士も置いておいてあげてほしいです(なぜ)

 

なんとこの福音館古典童話シリーズの三銃士、この凄まじい分厚さにもかかわらず、いまだに新品で売られています。すごいです。

 

どれだけのパンチがあるのかあの胸に…。

 

そしてアマゾンのレビューが非常に面白いです。
やはり、挿絵はミレディばかり、とても色気があった、的な意見が書いてあります。
同志よ!と握手をしたい。
やはり私の感じたこの三銃士のエッチさは間違いではなかったのです!

 

言われてみれば、下巻のこれは間違いなくミレディですが、なんとも色っぽいです。

 

 

三銃士(下) (福音館古典童話シリーズ) (日本語) 単行本 - 1978/4/25 A・デュマ (著), F・E・ツィエール (イラスト), 朝倉 剛 (翻訳)

宰相リシュリューの陰謀と復讐に燃える悪女ミレディーの魔手――ダルタニャンと3人の剣士の熱誠と友情が、彼らを勝利へと導くでしょうか。当時の精緻な木版画を復刻しておとどけします。

 

これによれば、当時の精緻な木版画を復刻とあるので、当時の人はさぞかし、この版画をじっくりとながめたんでしょうね…。

 

そもそもダルタニャンの恋人が人妻であるだとか、さまざまなツッコミどころはたくさんあるのですが、まあそんな話はともかくとして、筋立て、ストーリーが本当に面白い、物語中の物語ですので、是非是非お子さんにオススメしそして自分用に………もうこのあたりでやめておきます。

 

 

 

 

 

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王さまと九人のきょうだい かあちゃん取扱説明書 思い出のマーニー〈上〉
世界むかし話集7インド・中近東編 教室はまちがうところだ ミス・ビアンカ ダイヤの館の冒険
アンデルセン童話集 こえどまつり くまのがっこうシリーズ(既12巻)

 

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今日の一冊「からすのパンやさん」

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

からすのパンやさん
加古 里子 (著)

カラスの町「いずみがもり」にある、1軒の売れないパン屋さん。お父さんお母さん、4羽の子ガラス、家族みんなで、楽しい形のパンをどっさり焼いた。パンを買いにやってきたカラスの子ども、おじいさん、おばあさん、そしてなぜか消防自動車、救急車、テレビのカメラマンまでやってきて森は大騒ぎに…。

 

歯医者の待合室で、妹子が持ってきました。

「見て!久しぶりだよー。これだいすき」

 

あっ、明日はこれにしよう。

 

「えっ!?」
信じられないものを見るような目で見られました。
「紹介してなかったの!?」

 

うそでしょ!?という非難のまなざし…。

 

「って、メモるなよ!」
すみません(笑)

 

「どろぼうがっこうは紹介したんだけどね~」
むしばミュータンスなど、どちらかというとマイナー路線?を紹介していました。

 

いずみがもりの
くろもじ さんちょうめの
かどの ちゅうくらいの きに、

 

からすのパンやさんがあります。

 

うまれたあかちゃんは

 

ちょこちゃん
りんごちゃん
れもんちゃん
おもちちゃん

 

かわいい…。

 

げんきにあかるく 

さわいだり、いたずらしたり、
おねだりするので

 親ごさんも大変だわこれは💦

 

わたし「あまりにも、かこさとしさんを紹介しすぎて、ちょっとしばらくやめようと思ってたんだけど」
妹子「いいじゃんべつに」

 

こげたパンや売れ残りのパンがこどもたちのおやつになるのですが、からすのおともだちがうらやましがって欲しいといいます。

 

みんなで汗をかいてパンをこねて焼いて、見開きで所狭しと並んだパンのページの、面白くておいしそうなこと!

 

毎回、見るたびに違うパンに注目しますが、今日見つけたのは

 

こねこぱん
ぶたぱん
ばいおりんぱん

 

あたりでした。

 

客?が客を呼び、どんどん膨れ上がる大騒ぎ! 

(「武装警官の一連隊」には、時代を感じます。恰好が完全に安保闘争の学生紛争に立ち向かう装備です

 

迫りくる群衆のさばきかたが上手い!
この、「けんぶつだけのひと」を別並びにするところ、別にしてみると、買わないのは照れ臭いのかそこには列が出来なくて結局みんな買っていくところ、うまーい!!

 

何から何まで可愛くておいしそうな、すばらしい絵本です。

 

あとがきに、これを書くにあたって加古里子さんが示唆を受けた芸術作品への言及があります。

 

古典や芸術に刺激を受けて作品を作った時、そこへの導きを入れられてます。

 

舞踊に関心をおもちの方なら、きっと知っておられると思いますが、ロシアに、モイセーエフ舞踊団というのがあります。数多くの上演内容と伝統をもつ、すぐれた舞踊団ですが、その演目のひとつに組曲パルチザン」というのがあります。
長途につかれ馬上に眠りながらの行進、索敵、斥候、待ちぶせ、銃撃、味方の負傷、突撃、勝利、そしてまた次の敵をもとめて広野にきえていくバルチザンの情景が、詩情豊かに息もつかせぬ民族舞踊でつづられた作品でした。
わたしはそのみごとな内容に、芸術的な香気にうたいあげたすばらしい演出よりも、そこに登場する兵士・農民・労働者・老若男女の一人ひとりの人物描写が、こころにくいまでに人間的なふくらみとこまやかさで舞踊的にえがきつくされていることに、ひどく心をうたれました。

個々の生きた人物描写と全体への総合化の大事なことを、わたしはモイセーエフから学び、さて、からすの一羽一羽に試みてみたのがこの作品です。どうかそんなわけですので、もう一度からすたちの表情をみて笑ってください。

 

からすシリーズはたくさんありますけど、このパンやさんはやはり最高傑作だなと思います。

 

久しぶりに読ませてくれた歯医者さんありがとう。
この歯医者、なかなか児童書が充実していて大好きです。

 

お医者さんはもっと本棚を充実させてほしいです!!

 

本屋さんも、お医者さんに置く本の営業やってもいいのではないか?と思うくらいです。
おっ?いいアイデアでは?

 

だんな「本屋さんにそんな余裕があると思いますか!?」

 

うう...。
現実が…。

 

 

 

 

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あのころはフリードリヒがいた 大きな森の小さな家 世界むかし話集5東欧・古代編
まぼろしの小さい犬 風をつむぐ少年 かあちゃん取扱説明書
ぜったいたべないからね ミラクル・ベイビー ダイドーと父ちゃん

 

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閑話 マクベスとスプラトゥーン

閑話です。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

きれいはきたない
きたないはきれい

 

シェイクスピアマクベス三魔女のセリフです。


妹子は、ずいぶんこのセリフが気に入ったみたいで、ことあるごとにこのセリフを言います。
「きれいはきたない、きたないはきれいって言うでしょ!」

 

ついに兄助が怒り出しました。

「その台詞は、普通の人は知らない。わかんないんだよ!」
「そんなはずない!有名な台詞だよねえ?」

 

妹子、私の方に同意を求めます。
何とも答えづらい。

 

マクベスのこのセリフはシェイクスピアの中でもそうとうに有名なものだとは思うけど、日本で浸透しているかというと…わからないです。

 

「ちがうよ」ともいいづらい。

 

すると妹子が言います。

 

「でもその台詞、スプラトゥーンであったんだよ!オクトというダウンロードゲームのかにさんが、話しかけるとたまに『きれいはきたない、きたないはきれい』って言うんだよ!だから有名な台詞なの。たまに、『おじさんのチャームポイントはおひげだよ』とも言うよ!」

 

スプラトゥーンにそんな台詞を仕込む製作者のセンスを感じました~♡♡♡

 

シェイクスピアは、色々なアレンジがあり、ストーリーがダイナミックでとても面白いので、たくさん読んでもらいたいなと思います。

 

 

わたしのおすすめする本を、湯水のように消化して面白い、面白い、と言ってくれるお子さんがたがいます。

 

毎年のクラスに一人か…二人。
掘り起こせばもっといるのかも。

 

そして、そのようなお子さんの家に本棚がなくて、親御さんがまったくぜんぜん、本や読書に興味ない、というご家庭があります。

 

割とスポーティなお母さんから

「うちの子本当に本ばっかり読んでて…、わたし本にぜんぜん興味がなくて、まったくわからないだけど…」

なんてお聞きすると、本当にすごくすごく、もったいないなー!と思ってしまいます。
絶対にそこから本好きになって、本屋さんに通って文庫を買ってくれる芽が!
芽がそこにあるのに…。

 

可能性をすくいとるシステムがなくて、そのままにされている気がしています。

 

わたしにあなたのお子さん紹介してください。

 

というのは、何か新種の変態みたいでどうにも言いにくいです。

 

あなたにはこういう本が似合うと思う…これ、面白いと思う、という、児童書ソムリエみたいなのをやってみたいです。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

マクベス (シェイクスピア名作コレクション)
ウィリアム シェイクスピア (著), 小田島 雄志 (著), 里中 満智子 (イラスト)

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

シェイクスピア物語集―知っておきたい代表作10
ウィリアム シェイクスピア (著), ジェラルディン マコックラン (著), ひらい たかこ (イラスト), 金原 瑞人 (翻訳)

シェイクスピアの芝居は四百年の時を超えていまも世界でくりかえし上演されています。それほどまでに人びとに愛されるシェイクスピア作品の魅力とはなんでしょうか。名文で知られるイギリスの女流作家ジェラルディン・マコックランが、シェイクスピアの台詞を活かしながら、そのエッセンスを物語化し、魅力の本質にせまります。小学校高学年から。(「BOOK」データベースより)

 

 

 

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ゆうちゃんのみきさーしゃ よるくま ハンカチの上の花畑
ひみつの花園 ねずみくんのチョッキ 5ひきのすてきなねずみ まちのじどうしゃレース
チポリーノの冒険 エーミールと探偵たち 魔法のカクテル

 

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大人が読む児童書「大どろぼうホッツェンプロッツ」 5 グルメ情報まとめ

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

大どろぼうホッツェンプロッツ
オトフリート=プロイスラー (著), トリップ (イラスト), 中村 浩三 (翻訳)

おばあさんの大切なコーヒーひきが、大どろぼうホッツェンプロッツに盗まれてしまいました。大魔法使いツワッケルマンや妖精も登場して、少年カスパールとゼッペルの大活躍がはじまります。

 

大人が読む児童書「大どろぼうホッツェンプロッツ」 1 オルゴールつきコーヒーミル

大人が読む児童書「大どろぼうホッツェンプロッツ」 2 生クリームをかけたプラムケーキ

大人が読む児童書「大どろぼうホッツェンプロッツ」 3 ぼうし=名前 チェンジ作戦

大人が読む児童書「大どろぼうホッツェンプロッツ」 4

 

 

「大どろぼうホッツェンプロッツ」

おばあさんレシピ:あわだてた、なまクリームをかけたプラムケーキ

ツワッケルマンのお昼:7皿のマッシュポテト

ツワッケルマンの夕飯:六ダース半のジャガイモ団子(ニョッキ?)をタマネギソースでいただく。

カスパールの朝食:パン1本にバターとチーズを添えて 

ツワッケルマンが夕飯に食べたいもの:皮をむいて小さくきざんだジャガイモのからあげ(フライドポテト?) 

ホッツェンプロッツの夕食:串にさした、ふとったガチョウの丸焼き

 

ツワッケルマンの食糧貯蔵室:きゅうりのつけもの(ピクルス?)
 たなにならんでいるつぼのジャム
 バターミルク
 サラミソーセージ・コショウ入りソーセージ
 ソーセージは種類もいろいろ、長さもふとさもいろいろ、天井にぶらさがっている。(生ハムの原木っぽいものも)

おまわりさんの朝食:何食べてるのかわからないけど、たぶんパンとチーズとコーヒー。

(こんな感じのカッティング ボードにパンなのかチーズなのか乗せて、ナイフ片手に切りながらオシャレなコーヒーポットを傾けています...。最高!!) 

大魔法使いツワッケルマンの食糧貯蔵質のすばらしさは、子ども心にも、がっちりと刻み付けられました…。 

 

 ◇

 

 

「大どろぼうホッツェンプロッツ ふたたびあらわる」

 

おばあさんレシピ:焼きソーセージとザワークラウト

おばあさんレシピ:吉草茶(バルドリアン茶?バレアリン茶?)とひと山のパンにバター

ホッツェンプロッツの持ち物:うどんこね板(パンこね台?)自分でパン作るの?

ホッツェンプロッツの妄想:ラム酒とナシ酒(ナシ酒!?)

ホッツェンプロッツのレシピ:ロートカッペのきのこスープ(ロートカッペ=Leccinum。最後の隠し味にお酢

 

1冊目の「生クリームをかけたプラムケーキ」と同じポジションに該当するのが、ソーセージとザワークラウトです!!

ザワークラウト、今は色んなレシピがあって、おうちでも簡単につくれます。
私はザワークラウトレタスクラブのこちらのレシピを勝手にアレンジした自分用のザワークラウトレシピを使っています。

超いいかげん即席ザワークラウト
 ものすごく適当に酢と水を目分量で同量加え、黒こしょう、砂糖多め、塩少な目、千切りキャベツ(細かすぎないこと)。煮立ってから5分。ふたしてさらに5分。
 火を止めて荒熱が取れたらコップに入れてラップで内ぶたと外ぶたをして冷蔵庫保管。

すっかりホッツェンプロッツに影響されてしまったので、値引きされているちょっとお高めのソーセージを焼いて、マスタードを添え、この即席キャベツをつけたのですが、あっという間になくなってしまいました。

キャベツがちょっと古くなりかかって、千切りはイヤだなとか、お味噌汁に入れるには多いなというぐらいの時に、とてもちょうどいいです。

ただ、酢を煮るのですごい匂いがします。そこだけは仕方ないです。

 

毒きのこクナルピルツは、訳注に「ふみつけるとはじける毒きのこ」と書いてるので、実際にありそうなんですが、見つかりませんでした~。

 

 

「大どろぼうホッツェンプロッツ みたびあらわる」

 

おばあさんのレシピ:魔法のかぼちゃ。小=アンズの味、大=チョコレートのあじ、中=外側はあわだてたなまクリーム、内側はラズベリーシャーベットの味

 

シュロッターベック夫人のもてなし:紅茶を、パンにソーセージをはさんだもの(ホットドッグ?)

 

カスパールとゼッペルの薬草:アニス、アルニカ、バルドリアン(バレアリン?=吉草)、バズィーリエン草、はちみつで甘くしたビタークレー(ミズガシワ)、ヒナ皮(キナ)、アイビシュ(ウスベニタチアオイ)、エンツィーアン(リンドウ)、フーフラティヒ(フキタンポポ

 

ホッツェンプロッツの食糧貯蔵室:

 ラードのはいったつぼ
 ベーコンの大きな切り身
 いくつものかんにはいった塩づけの肉
 数ふくろのツビーバック
 サラミソーセージ
 大きなチーズのかたまり
 ニシンのくんせい
 ハタンキョウで作ったブランデー
 玉ねぎ、ニンニク、コショウ、パプリカ等

 

ホッツェンプロッツのどろぼう料理:いろいろな薬味を小さく刻んでフライパンにいれてかきまぜたもの。(タマネギ、ベーコン、ニンニクが主)

 

おばあさんレシピ:カミツレせんじ薬

カスパールとゼッペルがホッツェンプロッツに作った朝食:たまご12個を焼いたもの

ホッツェンプロッツのおべんとう:パン、ベーコン、チーズ、ういきょう入りソーセージ

おばあさんレシピ:ニッキとアップル・シュトルーデル(ニョッキ?)

 

シュロッターベック夫人の祝宴:トルコのモカコーヒー、シュトロイゼルクーヘン、チョコレートドーナツ山盛り、ポンス酒(ラム酒にレモンや砂糖をまぜたあつい飲み物)

おばあさんのまちがえたかぼちゃ:外がわはスイスチーズ、中は酢漬けのニシン巻きの味

 

「みたびあらわる」は、料理?に関する記述がとても詳細です。
特に、ハーブに対する知識がすごいです。
やはり、作者のプロイスラ―ご本人も半分魔法使いだったのだろうか…。

 

 

ホッツェンプロッツは、こうしておとなが読んでみても、何から何まで楽しい作品でした。
ここまで付き合ってくださった方々、ありがとうございました!

 

 

 

 

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レ・ミゼラブル 西の魔女が死んだ 魔女のむすこたち
もりのなか いないいないばあや 若草物語(上)
ムーミン谷の冬 ナンタケットの夜鳥 フェアリーたちの魔法の夜

 

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大人が読む児童書「大どろぼうホッツェンプロッツ」 4

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

大どろぼうホッツェンプロッツ
オトフリート=プロイスラー (著), トリップ (イラスト), 中村 浩三 (翻訳)

おばあさんの大切なコーヒーひきが、大どろぼうホッツェンプロッツに盗まれてしまいました。大魔法使いツワッケルマンや妖精も登場して、少年カスパールとゼッペルの大活躍がはじまります。

 

大人が読む児童書「大どろぼうホッツェンプロッツ」 1 

大人が読む児童書「大どろぼうホッツェンプロッツ」 2 生クリームをかけたプラムケーキ

大人が読む児童書「大どろぼうホッツェンプロッツ」 3 帽子=名前 チェンジ作戦 

 

 

カスパールは大魔法使いツワッケルマンの家で、ゼッペルはホッツェンプロッツの家で、それぞれこきつかわれることになります。

 

ツワッケルマン、カスパールの品定めをします。

魔法使いは、めがねをはなの上にかけると、カスパールをじろじろみました。カスパールは、できるだけばかのような顔をしました。
「こいつ、みかけどおりのばかかな?」と、大魔法使いツワッケルマンは、たずねました。
「すくなくとも、みかけより、りこうということはないさ」と、ホッツェンプロッツはこたえました。

カスパール、ホッツェンプロッツのときにしたのと同じように、名前をまちがえてばかと思わせる作戦を展開します。

 

カスパール「シュナッケルマンさん」

ペトロジリウス=ツワッケルマンは、ふんがいしました。
「こいつ、わしの名まえをかってにかえたな!」と、魔法使いはおこってさけびました。

大魔法使いも、まあまあなばかです。

 

カスパール、次々に間違えてみせます。


ツェプロディリウス=ワッケルツァーン
レプロツィリウス=ハッケルシュパン
エプロリジウス=ダッケルシュワンツ
シュペクトロフィリウス=ツァケルシュワン
レプロツィリウス=ハッケルシュパン

 

 妹子「むしろこっちのほうが言うの難しくない?」

 それわたしもちょっと思いました。

 

このユーモラスさ、テンポのよさ、面白さ…!
やっぱりホッツェンプロッツは最高です!

 

 

ツワッケルマンの館で下働きすることになった(ばかのふりをした)カスパール、夜になって逃亡をこころみるのですが、どうにもうまくいきません。

 

この、「どうしても出ることが出来ない」状態が、いかにも不思議な魔法の世界が、もう自分たちがRPGで慣れ切った魔法と違って、この今の世界、現実としっかり結びついているような不思議さがあります。

 

こちらで言うなら、おいなりさんの鳥居あたりに漂っている気配…のドイツ版に共通するような不思議さです。

 

 外に出ることはできないのですが、食べ物はたっぷりあります。

このツワッケルマンの塔、食糧貯蔵質のさらに地下から、不気味な声が聞えてきます…。

カスパールは、好奇心とその音の悲劇的な響きに耐えられず、禁止された塔の地下へ降りていきます…。

 

 

このあたりから、妹子どころか久しぶりに読んでいるわたしが耐えられなくなってしまいました。
妹子をおしのけ、一人で先を読み始めます。

 

わたし「(読みながら)ちょっと!『大どろぼうホッツェンプロッツふたびあらわる』と、『みたびあらわる』持ってきて!文庫で買ってたよね?行方不明になってたから探してきて!」
妹子「たぶん、ある場所わかると思う」

 

5分ほどで、見つけてきてくれました。

 

わたし「(読みながら)兄助!お風呂洗って!妹子!ごはんたいてくれる!

 

たまに陥る、とんでもなくひどい状態です。
(あくまでたまに!たまにです!)

 

とうとう、この1日でついに、「みたびあらわる」まで全部読んでしまいました…。
といっても、一応児童書だし読みやすいので、1時間ぐらいで読んでしまいました。

あー、面白かった…。

 

 

このお話、グルメもいっぱいですが、作者のプロイスラ―が書く世界はとにかく、魔法でいっぱいです。
ホッツェンプロッツの続編も続続編もそうですが、ほかの作品もです。

昔ながらの不思議な伝説の気配です。

 

プロイスラ―は、チェコのリベレツ出身だそうで、ドイツ・ポーランドチェコのちょうど境のところにある街でした。

f:id:WhichBook:20201006074202j:plain

Google Earth リベレツ

 

ちょうどすぐそばに、よくプロイスラ―の作品に名前が出て来る「ザクセン州」とか「ドレスデン」の名前がありました! 

一度でいいから行ってみたい、憧れの土地です…。
(食べ物もおいしそう…)

 

はっ、今はコロナが流行ってるんだった...😞

 

 

ここから展開される、ツワッケルマンの地下室にひそむ謎…。
「立ち入りおことわり」の3度の禁止を破って立ち入ったその先にあったのは…。

不思議な声の正体は…

 

なんて、こんな有名な作品だと、ものすごく今更なのですが、一応ここまでにしときます。

 

 

詳しい内容は、買ってもらって確認してもらうとして、あともう1回だけ、「大どろぼうホッツェンプロッツ5」の記事を書きたいのですが、これは、食べ物について集中的にじっくり、たっぷり語りたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここからは、読んだ人向けの個人敵なつぶやきです。
まさに、大人になって読んでからの感想です。

 

妖精アマリリスとツワッケルマンの関係性、これはいったいどういうことなのだろう?と、昔つくづくと考えたことがあります。

 

マリリスは妖精の国の住人で、空中にとけて消えて行くような描写がありますから、基本はそちらにいるものと思われます。
人間界に住んでいて、あくまで人間がベースであるらしき悪人の大魔法使いツワッケルマンと、いったいどうして親交があったのだろうか?

 

ホッツェンプロッツもですけど、根っからの悪人ではありません。
三冊目で改心したホッツェンプロッツが、「悪人であることを演じ続けるのは疲れる」と言っているシーンがあります。

 

ツワッケルマンも、基本、性悪ではあるのですけど、そこまでではなかった時期があったのかもしれません…?

 

わたしがね、ときどき、ちょっぴり、あの人の魔法のじゃまをしたの。そしたら、わたしのことが、いやになったのね。わたしが、あの人に気をゆるしすぎたのを、いいことにして、わたしをだまして…

 

この、なんとなく含んだような、納得がいくようないかないような説明が、いつまでも頭に残っていました。

気を許しすぎた…?
どういうこと…?

もちろん、こんなのはもやもやと心の中で考えてるだけで、子どもたちには言わないようにしています。

 

そんなことあるわけないでしょ!と完全に言い切れない、完全に最初から最後まで敵同士であったわけではなさそうな、なんらかの交流があったことをにおわせるアマリリスの説明です。

 

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大人が読む児童書「大どろぼうホッツェンプロッツ」 3 帽子=名前 チェンジ作戦

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

>力をこめた紹介記事☆超絶☆名作

>今日の一冊 軽くご紹介

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

大どろぼうホッツェンプロッツ
オトフリート=プロイスラー (著), トリップ (イラスト), 中村 浩三 (翻訳)

おばあさんの大切なコーヒーひきが、大どろぼうホッツェンプロッツに盗まれてしまいました。大魔法使いツワッケルマンや妖精も登場して、少年カスパールとゼッペルの大活躍がはじまります。

 

大人が読む児童書「大どろぼうホッツェンプロッツ」 1 オルゴールつきコーヒーミル

大人が読む児童書「大どろぼうホッツェンプロッツ」 2 生クリームをかけたプラムケーキ

 

 

カスパールとゼッペルによって、隠れ家を特定されてしまったホッツェンプロッツですが…。
なんともいえないユーモラスさというか、恐ろしいんですけど、やることが面白いです。

 

子どもの手作りのミル(ホッツェンプロッツファンなら、ここは「コーヒーひき」、というのが正しいです)を欲しがったり、子どもの奸計にあっさりとだまされたりです。

 

はこの中身が黄金ではなくて砂だとわかったホッツェンプロッツ

「ちくしょう!」どろぼうは、さけびました。「おれをだましたな。からかったな!」
ホッツェンプロッツは、りょう手で、どろぼう用のそりかえったかたなをつかむと、あわれなジャガイモばこにおそいかかり、きってきって、きりきざみました。
あげくのはては、がんじょうなオークの材厚板でできているテーブルまでも、たたいてばらばらにしてしまいました。

 

おそろしいシーンのはずなのですが、なんとなく笑えます。

 

隠れ家へ向かうカスパールとゼッペルは、途中で相談して変装のため、お互いのぼうしをとりかえます。
変装するためにぼうしをとりかえる?
よく考えると、ななめ上の発想です。
ぼうしをとりかえることがなぜ変装になるのか。

 

しかし、妹子はちーとも疑問に思ってません。
え?当たり前でしょ?という感じなんです。
考えてみれば、私も子どもの頃は疑問になど思っていませんでした。

 

この変装はゼッペルからの提案です。
ゼッペル、カスパールにばかりいいとこ見せられないもんな!

 

ぼうしをとりかえた感想です。 

「へんちくりんだぜ!」カスパールはいいました。「おばあさんが、そのかっこうをみたら、またすぐきぜつするだろうな」

 笑えます。

 

 

カスパールとゼッペルがつかまる所も、1ページ1ページすべてが面白いのですが…
コショウピストルか…。
ホッツェンプロッツ、武器にもコショウを使うという、序盤から「塩降りおじさん」みたいな」みごとなコショウの使い手だったんだな…。

 

しかしホッツェンプロッツ、帽子の特徴だけで、完全にカスパールとゼッペルをとりちがえてます。

 

わたし「顔は覚えてないってことだよね。どんだけ信じてるんだろう。むしろ帽子こそが名前を持ったアイデンティティであるってレベルだわ」

妹子「しかたないんだよ。わたしとお友達ちゃんがさ、髪の毛を同じように結んだとき、迷ってたでしょ?」

確かに背格好といい、同じぐらいでふたごみたいだけど…。

妹子「お友達ちゃんと、いっつも身につけてるのを交感して、服とかとりかえたら、あっ、こっちが妹子だなって思うでしょ」

 

思うか!親を何だと思ってるんだ!!

 

もう一度確認してみると、そもそも黄金注意の箱を持って行こうとした時に、すでにこういう風に書かれてます。

 

ひとりはともかくカスパールです。だって。毛糸のとんがりぼうしで、とおくからでも、カスパールとわかるのです。
あとのひとりは?
ふたりづれのひとりが、カスパールなら、あとのひとりは、友だちのゼッペルにきまっています。そのくらいのことは、ホッツェンプロッツだって、しらないはずがありません。

 

やはり、ぼうしか。
しかし、何気にゼッペルの扱いがひどいです。

 

 

二人はそれぞれ、ホッツェンプロッツにとっつかまります。

 

変装しようと言い出したのはゼッペルなのに、カスパールと取り違えられると、頑強に訂正するゼッペルの巻。

 

お…お前は…じゃあいったい何の目的でぼうしを取り換えようと提案したんだー!!

 

カスパールはさすがにそつがなく、わざとゼッペルのふりをします。
挙句の果てに、ばかのふりをしてホッツェンプロッツを煙に巻きます。

 

このばかのふりをする方法が、名前を覚えられず言い間違える、というものなのですが…。
プロッツェンホッツ
ロッツェンポッツ
ポッツェンロッツ

大どろぼう「べらぼうめ!おまえには、こんなかんたんきまわる名まえもおぼえられないのか!」

 

妹子「わたしだって名前間違えられたら魔法でヒキガエルに変えて地獄の釜に叩き込んでやるわ!」
そ…そうですか。

 

泥棒がふたりをとっ捕まえたのは、下働きが欲しかったからでした。
そして、二人は多いので、カスパールは売り飛ばすことになります。

 

カスパールの売り込み先は、大泥棒のお友達の、大魔法使い、ペトロジリウス=ツワッケルマンです。

 

 

この魔法使い、ホッツェンプロッツに負けず劣らずの大悪党なのですが、何ともユーモラスです。

子供の頃読んだとき、この大魔法使いの館が大好きでした。
ホッツェンプロッツの所よりこっちで働きたかったです。

 

妹子「ハムもらえるしね」

 

それだ!!

  

この大魔法使い、ジャガイモが大好きです。
他のどんなことも魔法でやれるのに、ジャガイモの皮むきだけは出来ない…。
なので、登場したときはエプロンをつけてジャガイモの皮むきをしています。

 

マカロニやムギだけで我慢できなくなった時…。
ムギ…多分、オートミールのことかなあ。
(食い物の話になると、目の色が変わります)

 

ツワッケルマンはばかな召使が欲しい。
魔法を覚えられる危険を冒したくない。
魔法使いの弟子」は欲しくないのです!

 

ばかな(ふりをしている)カスパールこそがふさわしいとホッツェンプロッツは考えたのでした。

  

妹子「(ツワッケルマンの館では)すきなように食べていいっていわれてるんでしょ。じゃがいも二、三個つまみぐいしてもばれそうにないね。粉とかもあるんだったらケーキも作れるね。ふとっちまうよ」

 

お前も食い物のことばかり考えてるね…。
血は争えないのでした。

 

 

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空がレースにみえるとき 魔女ファミリー 世界むかし話集2ドイツ・スイス編
りんごかもしれない ガンバリルおじさんとホオちゃん しずくの首飾り

 

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大人が読む児童書「大どろぼうホッツェンプロッツ」 2 生クリームをかけたプラムケーキ

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

大どろぼうホッツェンプロッツ
オトフリート=プロイスラー (著), トリップ (イラスト), 中村 浩三 (翻訳)

おばあさんの大切なコーヒーひきが、大どろぼうホッツェンプロッツに盗まれてしまいました。大魔法使いツワッケルマンや妖精も登場して、少年カスパールとゼッペルの大活躍がはじまります。

 

大人が読む児童書「大どろぼうホッツェンプロッツ」 1 

 

 

ここで、主人公の二人組、カスパールとゼッペルの登場です。

 

このカスパールとゼッペルなのですが、関係性や家族構成が割と謎です。
そもそもこの物語の一行目から、「カスパールのおばあさんは」、で始まっているので、ここが祖母と孫であるという所は間違いないです。

 

妹子「あなた(ゼッペル)のご両親は?って思うんだよね」

  

ゼッペルはカスパールの親友です。
常に一緒にいてあれこれ何でも一緒にします。

しかし、カスパールのご両親もいません。

続編、続続編を読めば分かりますが、おばあさんとカスパールとゼッペルは、三人でおばあさんの家に住んでいます。

 

でもまあ、問題はそこじゃないので、読み進めます。
雰囲気です、ふんいき!

 

 

オルゴールつきコーヒーミルに続いて、読み手にとって最高に憧れなのが、カスパールとゼッペルが、それなしで過ごすぐらいなら自らの力で大どろぼうを追うべしと決心するに至った、おばあさんの「あわだてた生クリームをかけたプラムケーキ」です!

 

おばあさんはコーヒーひきを盗まれたショックで作れなくなってしまいましたので…。

 

色々検索してみましたが、ドイツなので、プラムケーキといえどどちらかというと、ふわふわのスポンジではなくて、フルーツケーキのような、どっしりしたものではないでしょうか!?

 

カスパールと友だちのゼッペルは、パン屋にいって、メリケン粉を一ふくろに、イーストきんをしょうしょうと、さとう1キロを買いました。

 

注目!注目!
プラム入りのケーキを作るのにイーストを買ってます。
てことは、もしかするとこれはパンだ!!

 

妹子「これ、子どものおつかいかな?メリケン粉ってそうとう重いよ?お兄ちゃんにお米10キロのやつかってきてってお母さんが頼んだのぐらいだよ?」

 

さりげなく暴露しないでくれるかな!?疲れてたんだよ!!

 

牛乳屋によって美味しいクリームも買ってます。

 

このお話、とにかくもう、お食事が本当に美味しそうです。
ことあるごとに、食事についての記述が出てきます。
続編・続続編もグルメてんこもりです。
なので、続続編の結末で、ホッツェンプロッツが…おっと、誰か来たようだ。

 

 妹子「カスパールとゼッペルさ、おばあさんのプラムケーキを毎日食べるために、コンスタンチープルの皇帝になりたいんだって言うけどさ!皇帝だったらもっと豪華なごはん頼めばいいのにね」

 

んっ?何か違和感が…。

コンスタン…?ちーぷる?
(このあと無茶苦茶笑いました)
 

よく考えたら毎週プラムケーキはちょっと飽きないかな?

妹子「私、毎週ちゃお読んで飽きてないから」

 

ちゃお=プラムケーキの衝撃。

 

  

 

カスパール。ゼッペル、そしてかけつけたおまわりさんのディンペルモーザー氏が、気絶したおばあさんを発見します。
15分×12回、999数えた後の悲鳴を聞きつけました。

 

ディンペルモーザー氏「公務執行妨害だぞ!」
妹子「公務執行妨害ってなに?」
わたし「警察がどろぼうさんをおいかけてるとき、邪魔するとたいほされる。(いいかげんな教え方)」

妹子「あー、それは子供六法で見た」

 

ものすごく今更ですが、こうして読んでみると、ホッツェンプロッツが泥棒稼業で噂になりはじめたのは、この二年半ぐらいらしいです。
もう十年選手ぐらいの、ベテラン大泥棒かと思ってたんですが、ここ二年半ぐらいなのか~?
 

 

カスパールとゼッペル、ホッツェンプロッツを捕まえる作戦を練ります。
頭がキレるリーダー格はどちらかというと、カスパールの方です。
ゼッペルの方が若干、素朴です。

 

重要な二人の特徴ですが、
カスパールは赤いとんがりぼうし。
ゼッペルはみどり色のチロル帽。

 

おばあさんが倒れているシーンで、二人の絵の所に親切にも名前が書いてありますが、これは非常に重要で、あとでこのぼうしを取り替えたり名前を入れ替えたりしますので、絶対覚えてないといけない情報です!

 

小さい頃の妹子は、まるで話の中の悪人たちのように、完全にこんがらがって混同していました。

 

ゼッペルはわりとひどいめにばかりあってます。
序盤から、カスパールの策にのっかって、白い砂を入れた「黄金注意!」と書いた箱を作らされ、「おやゆびを五十七回たたいて」仕上げてます。

 

この白い砂のあとをつけて、ホッツェンプロッツの隠れ家までたどりつこうというわけです。あったまいい~。

 

残念ながら、この計画はホッツェンプロッツにすぐバレてしまい、二人は大どろぼうの復讐を受けることになるのですが…。

 

 

ふと気づいたのですけど、この本、修辞の入った描写がほとんどないです。
「湖がきらきらと輝いていた」とか「風がさっと吹きすぎて行った」などという、描写が極力、省かれています。

 

そのかわり、シンプルに動きのある、冗談を交えた力強いストーリーテリングで、ぐいぐい、読み手を引っ張っていって離しません。

 

 

あと、訳者の親切からだと思うのですが、お話のところどころにちゃんと「ドイツ」「ドイツでは」って書いてありました。

 

妹子はそんな細かい所まで、ちゃんと読んでなかったか忘れていたようです。

 
アメリカじゃないからー!!

 

 

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メロディ~だいすきなわたしのピアノ イワンのばか ぐるんぱのようちえん
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大人が読む児童書「大どろぼうホッツェンプロッツ」 1 オルゴールつきコーヒーミル

大人が読む児童書。
「再読★児童書編」です。


この記事はネタバレもしていくことになりますので、未読の方はご注意ください。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

大どろぼうホッツェンプロッツ
オトフリート=プロイスラー (著), トリップ (イラスト), 中村 浩三 (翻訳)

おばあさんの大切なコーヒーひきが、大どろぼうホッツェンプロッツに盗まれてしまいました。大魔法使いツワッケルマンや妖精も登場して、少年カスパールとゼッペルの大活躍がはじまります。

 

あまりにも有名で、あまりにも人気なため、いいかな~なんて思ってましたが、リクエストがあったので、すごく久しぶりに読み返しがてら、紹介したいと思います。

 

今回は趣向を変えて、妹子と一緒に読んでみようかと思います。

 

本を、「一緒に読む」って可能なの?
という感じですが、可能です!
さまざまな条件が重なってのことだと思いますけど…。

 

そんな読み方はぜったいにいやだ、という人も(子も)、いると思います。

 

そして、こういうときやはり、児童書のハードカバーは本当に強いです!!
文庫だとこうはいきません。

 

この読み方は、気持ちが乗り切らない妹子を、見張りながら読ませるためにはじめました。

 

ものによりますが、200Pある本の、だいたい、10~20ページまでを一緒に読みます。
キャラを説明しながら、描写を目にとめながら
「あっここ好き!この文章、きれいじゃない?」とか
「この子はこの時代のここに住んでいるんだね」とかいう感じです。

 

まさに、このブログでやっているような感じです。

 

あーこれあとで出てくる超面白い展開の伏線なんだよな~とか
序盤をざっと紹介したりだとか。
そして、このブログで説明していない(するときもありますが)、後半の展開に入るときには、もう待ちきれなくなってバンバン先を読んでくれる、というわけです。

 

飽きたら、さくっとやめるようにしています。

 

逆に兄助(妹子の兄)は、「読んでおいて」とぽんと渡しただけでするする~と読んでくれました。
そして今は、自分が認めたものだけしか読んでくれない頑固者です…。

 

 

さてもう、このホッツェンプロッツは、ほっといてもガンガン読んでくれるので、今更一緒に読むこともないのですが、お願いしたら快く一緒に読んでくれました。

 

まず、冒頭です。
おばあさんが庭でベンチに腰掛けて、コーヒー豆をひいてます。
庭でコーヒーを挽くのか…。
妹子が指さしました。

 

「このコーヒーひきが欲しい」

 

それは、読んだ誰もが思うことです。
もちろん、大どろぼうのホッツェンプロッツもそう思いました。

 

ハンドルを回すと歌を演奏する、つまりオルゴール形式のコーヒーミル。
すてきです。

 

かなでるのは、「五月はものみなあらたに」という歌だそうですが、これは調べてみると、童謡の「ちょうちょ」だそうです!
ちょうちょ、ちょうちょ、お花に止まれ~♪

 

かわいいです。
嬉しくて前の2杯もコーヒーを飲むようになったというのもおばあさんもかわいいです。

 

そこに、いかにも悪党という感じの男がやってきて…
「そいつをよこせ!」

 

カスパールのおばあさん「あなたはどうしてそんなことをおっしゃるのです?どうしてここへいらしたんですか?そんな大きな声をするのはよしてください」

 

このおばあちゃん、割と度胸があるというか、肝が据わってます。
  

妹子「この、いかにも悪そうな感じのピストル持ってる奴がよこせって言ってるのに、まったく怖がらないおばあさんってすごい。普通はピストル持ってるだけでガタガタ震えて、誰かー!誰か助けて!とか、なりそう」

 

ホッツェンプロッツっという名前に思い当たった途端におびえはじめました。
 

妹子「ピストルには驚かないけど、サーベルと短刀には驚くんだよ。アメリカの人って自分を守るためにピストルはつねに持ち歩いてるんでしょ。驚かないんだよ」

 

これアメリカじゃない、ドイツです…。

 

そっか、子どもは、わかんないですね。
アメリカとドイツの違いなんて、私も意識していなかったと思います。
そもそもアメリカやドイツと思って読んでなかったですが、一体どこから認識しはじめたんだろう?

 

それはやっぱり、長いこと、同じ本を何度も何度も、読み返しては読み返し、何十年も続けていくうちに次第に入ってきたことだなあと思います。

このホッツェンプロッツは、何十回も読み返し、何十年も付き合うのに足る本です!

 


さてこのコーヒーミル。
何とカスパールとゼッペル二人の手作りです。

 

このいきなり出てきた泥棒さん、子供の手作りの、オルゴールつきコーヒーミルがほしいのです。
改めて読んでみると、何かかわいいな…。


妹子「かわいくない!このピストルだってでかすぎるから。本格的すぎ!見てこの大きさ?普通じゃないから」

 

昔はあんまり小型のピストルって作れなかったんだよ。
火縄銃のちっちゃいので。
確か銃身が長い方が弾の回転がたくさんかかって威力が増すんじゃなかったかな…って、これは子供にきかせる話じゃなかったな。

 

さてこのどろぼうさん、意外に親切です。
999までかぞえたら助けをもとめていい。許可を出してます。

 

おばあさんの絶望感がすごいです。

 

どろぼうはにげたのです。コーヒーひきもなくなったのです。

 

このコーヒーひきは、この世にたった一つしかない、宝物です。
何か高額な宝石とか盗まれるのじゃなくて、この手作り感のある特別なミルが何物にも代えがたいほどおばあさんが大切にしてるものだという感じがよく伝わってきました。

 

妹子「999って、60秒が一分でしょ。15分ぐらい?短くない?そう遠くまで逃げてないよね?」
わたし「12回やりなおすんだよ」
妹子「やり直してるから、けっきょくこいつ30分ぐらい待ったやん」
わたし「どこまでかぞえてから12回やりなおすのかによるけど…」

 

15×12で180分。だいぶ待ってます。

 

この調子で、読み続けられるんだろうか。
ちっちゃい頃よりも、あれこれ考えるようになってます。

 

 

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

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魔女のむすこたち ジャッキーのパンやさん グレイ・ラビットのおはなし
ママはかいぞく ツバメ号とアマゾン号 リラとわたし
九月姫とウグイス あおい目のこねこ イギリスとアイルランドの昔話

 

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閑話 子どもたちが魔女ファミリーとホッツェンプロッツを読む

閑話です。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

魔女ファミリー
エレナー・エスティス (著), エドワード・アーディゾーニ (イラスト), 井上 富雄 (翻訳)

7歳の女の子エイミーが魔女の絵を描きながら「いけ、ガラス山へ!」と命令すると、悪名高い魔女ばあさんが本当に追放された。空想と現実がたくみに交錯する長編ファンタジーの新訳。

 

 

 

ときどき登場する妹子のお友達に、「カッレくんとホッツェンプロッツを紹介してください!」と言われたので次はホッツェンプロッツにしようかと思っていました。

 

また遊びに来てたのですけど、「魔女ファミリー」について聞いてみました。
「今なら読めるかも」というので渡してみます。
最初に紹介したのは、まだ小さい頃でした。

 

妹子と、時々くすくす笑いながら普通に読みすすめていました。
やはり年齢だったのかな?

 

 

妹子とこの子は、まさにエイミーとクラリッサを混ぜたみたいな二人組です。
二人とも遊んでいると、ずっと絵を描いているか、お話を作っています。

 

私はそういうお友達はいなかったので、うらやましいなあと思いながら見てました。

 

妹子がエイミーな所もあり、クラリッサなところもあります。

 

妹子はひとりで図書館に行けます。>クラリッサです。
どちらかというと、お友達の方が図書館にひとりでは行けるようになるのは、遅かったです。>エイミーです。

 

妹子は何もかもすぐに忘れがちです。>クラリッサです。

 

お友達は、たとえ見えないからといって、舌を出すのはいけないことだという考えです>エイミーです。
妹子は、舌を出してみたりするタイプです>クラリッサです。

  

こうして検証してみると、比較的、お友達=エイミー、妹子=クラリッサっぽいです。

 

なので、本も好きですし、すごーくお友達にはこの「魔女ファミリー」の本、好きになってくれそうだと思っていたのですが…。

 

「魔女ばあさん、ウサギ畑で荒ぶるの巻」あたりに来たとき、お友達が「魔女ファミリー」のページをめくる手が遅くなりました。
(いつもはページをめくる手も早い早い、バンバンめくっていきます)

 

ある1ページで、じーっと止まっています。
お顔に、すごいしわが寄っています。
怖い顔でずーっとそのページにかがみこんでます。
「おがくず…」とかつぶやいてます。

 

あとで聞いてみると、ウサギ畑に襲い掛かる魔女ばあさんが恐ろしくてたまらず、勇敢な見張り役のウサギが立ってるのですが、いつ食べられかと思って気が気じゃなかったようです。

 

二人で話してました。

 

妹子「もう本当に怖すぎ」
お友達「頭からうさぎを血だらけでなまのままバリバリ食べると思うとぞっとする。バケツ一杯のマッシュポテトで食べる方がずっとマシ」

 

バケツ一杯のマッシュポテト、これはホッツェンプロッツのことだと思います。

 

妹子「魔女ばあさんが『毒だ!こりゃ、罠じゃ!』って本物のうさぎを投げ飛ばしたよね?もう終わったかと思った」
お友達「持って帰ったたまごは食べたのかな?あかちゃん魔女とか、具合悪くなりそうじゃない?」

 

お友達「こいつら(ちび魔女のクラスメイトたち)が嫌い。もう本当に最悪だし、やることがこわい。特に裏表紙の絵!(やっぱり言ってます)すごい顔で踊ってるでしょ。」
妹子「こんな足踏みして(真似)、こんな感じで踊るんでしょ?」
お友達「この顔が!最高・意地悪そうでほんとこわい」

 

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魔女の世界は悪いことをするのが良いことで、悪いほどステータスなので、ちび魔女のクラスメイトたちも、すぐに悪いことをしようとするし、追放者のエイミーは敵とみなしています。
 

この魔女の世界の中で、普通に話が出来て友達になれるのは、ちび魔女ひとりです。
(あかちゃんは問題外なので…)

 

ちび魔女は成績はよくても、魔女の世界ではちょっと変わり者、はみだし者と言えるでしょう。

 

そして、どことなく、エイミーが作り出したはずのこの魔女の世界が勝手にふくらみ、意思をもち、エイミーをも倒そうとする…という展開が、若干、エイミーよりのお友達には、あまりにもリアルで恐怖なのかもしれないな~。と思いました。

 

「こわかったら、あまり無理しないでね!」と一声かけたら、ホッツェンプロッツに移行しました。

 

 

わたし「ホッツェンプロッツも怖くない?」
お友達「ぜんっぜん、こわくない!」

 

えらい勢いです。
その早いこと、早いこと!

 

若干、「魔女ファミリー」の方が描写も細かく、高年齢向けではありますが、めちゃくちゃに早いです。
あっという間に読み終わってしまいました。

 

なので、ここはひとつ、次に紹介するのはお友達ちゃんも妹子も大・大・大好きな「ホッツェンプロッツ」にしようかと思います。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

大どろぼうホッツェンプロッツ
オトフリート=プロイスラー (著), トリップ (イラスト), 中村 浩三 (翻訳)

おばあさんの大切なコーヒーひきが、大どろぼうホッツェンプロッツに盗まれてしまいました。大魔法使いツワッケルマンや妖精も登場して、少年カスパールとゼッペルの大活躍がはじまります。

 

 

 

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子どもの本だな【広告】

リンゴ畑のマーティン・ピピン たのしい川べ はじめてのおるすばん
朝びらき丸東の海へ おでかけのまえに あおくんときいろちゃん
コッペパンはきつねいろ しんせつなともだち クルミわりとネズミの王さま

 

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今日の一冊「こえどまつり」

今日、ご紹介するのは絵本です。

 

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 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

今日の一冊

 

こえどまつり
大道あや (著)

国指定重要無形民族文化財である、川越まつり。1648年が始まりと言われ、360年以上の歴史を持つお祭りです。川越が「小江戸」と呼ばれたことから、小江戸祭りとも呼ばれるそうですが、作者・大道あやさんが受け取った、このお祭りのにぎわいと、その絢爛なイメージをたっぷりと描いた絵本です。ネコのごんごん、イヌのちのび、カラスのあーよは小江戸祭りを見に出かけます。途中、カラスのあーよがはぐれてしまいますが、無事3匹は一緒になって、今度は山車をひっぱります。大道さんが大好きだった、ネコ、イヌ、カラスを主人公にし、子どもたちがお祭りを楽しんでいるかのように、その様子を味わわせてくれます。所狭しと並ぶ屋台や、山車をひく人々の様子、笛や太鼓の音など、お祭りの熱気が伝わってきます。

 

 

文字がほとんどない絵本です。

 

以前、ご紹介した「ねこのごんごん」の続編です。

 

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しかし、前の回ではあんなに厳しくもいとおしい、ねこの先輩・後輩同士の世代を引き継いだ物語が展開されていたのに、この続編、まったくといっていいほどほぼ物語がありません。

 

これは、「日本の大きなお祭りの様子を教える絵の本」です。

 

とりあえず、少ないながらも物語を追っていくと、
大人になってしっかりしたねこのごんごんは、お祭りを見に出かけます。

 

おばさんが、
「ちのびとあーやはごんごんの言う事をよくきくんだよ」
と言って、門の先で手をふって送り出してくれます。

 

一緒に行くわんちゃん、ちのびは柴犬で、マルチーズっぽかった(ちょい意地悪の)のんとは違います。
あーやはからすです。

 

からす…?


ごんごんがすっかりお兄さんになって、ちのびとあーやの引率です。

 

からすのあーやが、いたずら心を起こして踊りのかさを持って行ってしまったりと、一応あれこれ起きるのですが、「絵」のみのページがほとんどです。

 

あーやがごめんなさいした後に、おなかがすいたから帰ろう、とごんごんが言うのですが、帰り道の途中でおべんとうを持ってきてくれたおばさんに会います。

 

こ、これは…すでに、ねこではないです。
はっきりいって、子どもです!!

 

ああ、あんなにちびちゃんだったごんごんがおとなになって…
と思わないこともないのですが、これはまったく別物のお話として読んだ方が良さそうです。

 

◇ 

 

このお祭りの賑わいたるや、すごいです。
見開きのど迫力が次々に続きます。

 

一番の大賑わいになった頃には、もう台詞もまったくなく、お祭りの絵が次々に続きます。
すごい人ごみです。密です。
ケンカしている人もいます。
喧騒が見開きの中から聞こえてきそうな迫力です。

 

昔のお祭りがどんな風だったか、その一端を感じることができます。

 

こえどまつりとは何なのかずっと疑問だったのですが
最近になって、小江戸祭り」というのがあるのを知りました。
今回のAmazonの商品説明にはちゃんと、川越まつりのことの説明がありました。

 

なので、ちょんやごんごんは、川越のねこさんだったのです。

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ねこのごんごん

大道 あや (著)

一匹のこねこがある家に迷い込みました。年老いたねこ“ちょん”は迷いねこを“ごんごん”と名付けました……。こねこと年老いたねことの交流をほのぼのと描きます。

 

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

ねこのごんごんは2009年、こえどまつりは2011年に再販されています。
それだけ、とてもよい絵本です。

 

 

 

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